説明

カード状媒体処理装置およびカード状媒体処理装置の制御方法

【課題】簡易な構成で、カード状媒体のジャムの発生を抑制することが可能であり、かつ、カード状媒体のジャムが発生してもカード状媒体の強制排出が可能となるカード状媒体処理装置を提供すること。
【解決手段】カード状媒体処理装置1は、カード状媒体2が挿入される挿入口9と、挿入口9から挿入されたカード状媒体2に当接してカード状媒体2を搬送する媒体搬送手段3と、媒体搬送手段3を駆動するモータ4とを備えている。このカード状媒体処理装置1では、挿入口9から挿入されるカード状媒体2を取り込むときのモータ4の出力の最大値である取込時最大値は、挿入口9に向かってカード状媒体2を排出するときのモータ4の出力の最大値である排出時最大値よりも小さく設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード状媒体に所定の処理を行うカード状媒体処理装置およびこのカード状媒体処理装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カードを装置内部に取り込んで所定の処理を行うカードリーダが利用されている。この種のカードリーダでは、たとえば、変形したカード(曲がりカード)等が装置内部に取り込まれると、装置内部に形成されるカード搬送路でカードが詰まってしまう現象(カードジャム)が発生する。そこで、カードジャムが発生したときに、カードを装置の外部へ強制排出する強制排出機構を備えるカードリーダが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載のカードリーダでは、強制排出機構は、カードの表面に接触するタイミングベルトと、このタイミングベルトが架け渡される2個のタイミングプーリとから構成されており、カードジャムが発生すると、タイミングベルトが駆動して、カードを強制排出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−102648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のカードリーダは、強制排出機構を備えているため、このカードリーダでは、カードジャムが発生しても、確実にカードを強制排出することが可能である。一方で、このカードリーダは、強制排出機構を備えているため、装置の構成が複雑となり、その結果、コストが高くなってしまう。
【0005】
そこで、本発明の課題は、簡易な構成で、カード状媒体のジャムの発生を抑制することが可能であり、かつ、カード状媒体のジャムが発生してもカード状媒体の強制排出が可能となるカード状媒体処理装置およびカード状媒体処理装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明のカード状媒体処理装置は、カード状媒体が挿入される挿入口と、挿入口から挿入されたカード状媒体に当接してカード状媒体を搬送する媒体搬送手段と、媒体搬送手段を駆動するモータとを備え、挿入口から挿入されるカード状媒体を取り込むときのモータの出力の最大値である取込時最大値は、挿入口に向かってカード状媒体を排出するときのモータの出力の最大値である排出時最大値よりも小さく設定されていることを特徴とする。
【0007】
本発明のカード状媒体処理装置では、カード状媒体を取り込むときのモータ出力の最大値は、カード状媒体を排出するときのモータ出力の最大値よりも小さく設定されている。そのため、本発明では、カード状媒体のジャムを抑制するための特別な機構がカード状媒体処理装置に設けられていなくても、媒体搬送手段によって排出できないカード状媒体が装置内部へ取り込まれるのを抑制することが可能になる。すなわち、本発明では、簡易な構成で、カード状媒体のジャムの発生を抑制することが可能になる。その結果、本発明では、カード状媒体処理装置の信頼性を高めることが可能になる。
【0008】
また、本発明では、カード状媒体を排出するときのモータ出力の最大値がカード状媒体を取り込むときのモータ出力の最大値よりも大きく設定されているため、装置内で詰まった(ジャムした)カード状媒体を強制排出するための機構がカード状媒体処理装置に設けられていなくても、たとえば、ユーザによって、カード状媒体がカード状媒体処理装置の内部へむりやり押し込まれてカード状媒体のジャムが発生した場合には、カード状媒体を強制排出することが可能になる。すなわち、本発明では、簡易な構成で、カード状媒体を強制排出することが可能になる。さらに、本発明では、媒体搬送手段によって排出できないカード状媒体が装置内部へ取り込まれるのを抑制することが可能になるため、カード状媒体や媒体搬送手段等の損傷を抑制することが可能になる。
【0009】
また、上記の課題を解決するため、本発明のカード状媒体処理装置は、カード状媒体を内部に取り込んで所定の処理を行うカード状媒体処理装置において、カード状媒体が挿入される挿入口と、挿入口から挿入されたカード状媒体に当接してカード状媒体を搬送する媒体搬送手段と、媒体搬送手段を駆動するモータとを備え、挿入口から挿入されるカード状媒体を取り込むときの、少なくともユーザがカード状媒体を掴めなくなる位置までカード状媒体が取り込まれるまでのモータの出力の最大値である取込時最大値は、挿入口に向かってカード状媒体を排出するときの、少なくともユーザがカード状媒体を掴める位置までカード状媒体が排出されるまでのモータの出力の最大値である排出時最大値よりも小さく設定されていることを特徴とする。
【0010】
本発明のカード状媒体処理装置では、カード状媒体を取り込むときの、少なくともユーザがカード状媒体を掴めなくなる位置までカード状媒体が取り込まれるまでのモータ出力の最大値は、カード状媒体を排出するときの、少なくともユーザがカード状媒体を掴める位置までカード状媒体が排出されるまでのモータ出力の最大値よりも小さく設定されている。そのため、本発明では、カード状媒体のジャムを抑制するための特別な機構がカード状媒体処理装置に設けられていなくても、ユーザが掴める位置まで排出できないカード状媒体が、ユーザが掴めなくなる位置まで取り込まれるのを抑制することが可能になる。すなわち、本発明では、簡易な構成で、カード状媒体のジャムの発生を抑制することが可能になり、カード状媒体処理装置の信頼性を高めることが可能になる。
【0011】
また、本発明では、カード状媒体を排出するときの、少なくともユーザがカード状媒体を掴める位置までカード状媒体が排出されるまでのモータ出力の最大値が、カード状媒体を取り込むときの、少なくともユーザがカード状媒体を掴めなくなる位置までカード状媒体が取り込まれるまでのモータ出力の最大値よりも大きく設定されているため、装置内で詰まったカード状媒体を強制排出するための機構がカード状媒体処理装置に設けられていなくても、カード状媒体のジャムが発生した場合には、ユーザがカード状媒体を掴める位置までカード状媒体を強制排出することが可能になる。さらに、本発明では、ユーザが掴める位置まで排出できないカード状媒体が、ユーザが掴めなくなる位置まで取り込まれるのを抑制することが可能になるため、カード状媒体や媒体搬送手段等の損傷を抑制することが可能になる。
【0012】
本発明において、取込時最大値は、排出時最大値でモータを駆動したときに排出可能なカード状媒体を取り込める値に設定されていることが好ましい。すなわち、本発明において、取込時最大値は、排出時最大値でモータを駆動したときに排出できないカード状媒体を取り込めない値に設定されていることが好ましい。このように構成すると、カード状媒体のジャムの発生を防止することが可能になる。
【0013】
本発明において、排出時最大値は、モータの定格出力であることが好ましい。このように構成すると、カード状媒体の排出時に、モータの出力を最大限利用することが可能になる。そのため、カード状媒体処理装置から排出できるカード状媒体の許容範囲を広げることが可能になる。すなわち、カード状媒体のジャムの発生を抑制しつつ、カード状媒体処理装置に取り込めるカード状媒体の許容範囲を広げることが可能になり、カード状媒体処理装置で処理できるカード状媒体の許容範囲を広げることが可能になる。また、カード状媒体の排出時に、モータの出力を最大限利用することが可能になるため、カード状媒体のジャムが発生しても、強制排出できるカード状媒体の許容範囲を広げることが可能になる。
【0014】
本発明において、モータは、たとえば、印加される電圧によって出力を制御する電圧制御によって制御されている。また、この場合には、カード状媒体処理装置は、モータの回転数を検出するための矩形波状のパルス信号を生成するための回転検出機構を備え、パルス信号のエッジの時間間隔に基づいてモータに印加される電圧が制御されていることが好ましい。このように構成すると、パルス信号のエッジの時間間隔が一定となるように、モータを制御することが可能になる。すなわち、カード状媒体処理装置の内部でカード状媒体が一定速度で搬送されるようにモータを制御することが可能になる。したがって、たとえば、カード状媒体処理装置の内部で、カード状媒体に記録された磁気データを適切に読み取ったり、カード状媒体に磁気データを適切に書き込んだりすることが可能になる。
【0015】
また、上記の課題を解決するため、本発明のカード状媒体処理装置の制御方法は、カード状媒体が挿入される挿入口と、挿入口から挿入されたカード状媒体に当接してカード状媒体を搬送する媒体搬送手段と、媒体搬送手段を駆動するモータとを備えるカード状媒体処理装置の制御方法であって、挿入口から挿入されるカード状媒体を取り込むときのモータの出力の最大値である取込時最大値以下の出力でモータを駆動してカード状媒体を取り込む媒体取込ステップと、挿入口に向かってカード状媒体を排出するときのモータの出力の最大値である排出時最大値以下の出力でモータを駆動してカード状媒体を排出する媒体排出ステップとを備え、取込時最大値は、排出時最大値よりも小さく設定されていることを特徴とする。
【0016】
本発明のカード状媒体処理装置の制御方法では、媒体取込ステップにおいて、カード状媒体を取り込むときのモータの出力の最大値は、媒体排出ステップにおいて、カード状媒体を排出するときのモータの出力の最大値よりも小さく設定されている。そのため、本発明の制御方法によれば、カード状媒体のジャムを抑制するための特別な機構がカード状媒体処理装置に設けられていなくても、媒体搬送手段によって排出できないカード状媒体が装置内部へ取り込まれるのを抑制することが可能になる。すなわち、本発明の制御方法によれば、カード状媒体処理装置が簡易な構成であっても、カード状媒体のジャムの発生を抑制することが可能になる。その結果、本発明では、カード状媒体処理装置の信頼性を高めることが可能になる。
【0017】
また、本発明では、カード状媒体を排出するときのモータ出力の最大値がカード状媒体を取り込むときのモータ出力の最大値よりも大きく設定されているため、装置内で詰まったカード状媒体を強制排出するための機構がカード状媒体処理装置に設けられていなくても、カード状媒体のジャムが発生した場合には、カード状媒体を強制排出することが可能になる。さらに、本発明では、媒体搬送手段によって排出できないカード状媒体が装置内部へ取り込まれるのを抑制することが可能になるため、カード状媒体や媒体搬送手段等の損傷を抑制することが可能になる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明のカード状媒体処理装置では、簡易な構成で、カード状媒体のジャムの発生を抑制することが可能であり、かつ、カード状媒体のジャムが発生してもカード状媒体の強制排出が可能となる。また、本発明のカード状媒体処理装置の制御方法によれば、カード状媒体処理装置が簡易な構成であっても、カード状媒体のジャムの発生を抑制することが可能であり、かつ、カード状媒体のジャムが発生してもカード状媒体の強制排出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態にかかるカード状媒体処理装置の概略構成を説明するための概略図である。
【図2】図2は、図1に示すCPUで生成されるパルス信号の一例を示す図である。
【図3】図1に示すカード状媒体処理装置におけるカード状媒体の取込制御のフローの一例を示すフローチャートである。
【図4】図1に示すカード状媒体処理装置におけるカード状媒体の排出制御のフローの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
(カード状媒体処理装置の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるカード状媒体処理装置1の概略構成を説明するための概略図である。図2は、図1に示すCPU16で生成されるパルス信号SGの一例を示す図である。
【0022】
本形態のカード状媒体処理装置1は、カード状媒体であるカード2を装置内部に取り込んで、カード2に記録されたデータの読取りおよび/またはカード2にデータの書込みを行うためのカードリーダである。したがって、以下では、本形態のカード状媒体処理装置1を「カードリーダ1」とする。このカードリーダ1は、たとえば、所定の上位装置に搭載されて使用される。
【0023】
カードリーダ1は、図1に示すように、カードリーダ1の内部でカード2を搬送する媒体搬送手段としての搬送ローラ3と、搬送ローラ3を駆動するモータ4と、カードリーダ1の内部でカード2を検出するための第1検出機構5、第2検出機構6および第3検出機構7と、カードリーダ1を制御するための制御部8とを備えている。また、カードリーダ1は、カード2に記録された磁気データを読み取るための磁気ヘッド(図示省略)を備えている。なお、カードリーダ1は、ICチップが固定されたカード2を処理するためのIC接点や、通信用アンテナが内蔵されたカード2を処理するための通信用アンテナを備えていても良い。
【0024】
カードリーダ1には、カード2が挿入される挿入口9が形成されている。また、カードリーダ1の内部には、挿入口9から挿入されたカード2が搬送されるカード搬送路が形成されている。本形態では、図1に示すX1方向にカード2が挿入されて取り込まれ、X2方向にカード2が排出される。すなわち、X1方向は、カード2の挿入方向(取込方向)であり、X2方向はカード2の排出方向である。以下では、カード2のX1方向端を「先端」、X2方向端を「後端」とする。
【0025】
カード2は、たとえば、厚さが0.7〜0.8mm程度の矩形状の塩化ビニール製のカードである。カード2には、磁気データが記録される磁気ストライプが形成されている。すなわち、カード2は磁気カードである。なお、カード2には、ICチップが固定されても良い。また、カード2には、通信用のアンテナが内蔵されても良い。また、カード2は、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードや、所定の厚さの紙カード等であっても良い。
【0026】
搬送ローラ3は、歯車列等の動力伝達機構を介してモータ4に連結されている。また、搬送ローラ3には、搬送ローラ3に向かって付勢されるパッドローラ11が対向配置されている。カード2は、搬送ローラ3とパッドローラ11との間に挟まれた状態で搬送される。すなわち、搬送ローラ3とパッドローラ11とは、挿入口9から挿入されたカード2に当接して、カード2を搬送する。なお、所定の動力伝達機構を介してモータ4に連結される搬送ローラが、パッドローラ11の代わりに搬送ローラ3に対向配置されても良い。
【0027】
搬送ローラ3とパッドローラ11とは、カードリーダ1の比較的、挿入口9側に配置されており、ユーザがカード2の後端側を掴んだ状態で、カード2の先端側をカードリーダ1の中に挿入すると、カード2の先端側が搬送ローラ3とパッドローラ11との間に達し、以降は、搬送ローラ3とパッドローラ11とによってカード2が搬送される。また、カード2の排出時に、カード2の先端が搬送ローラ3とパッドローラ11との間から抜けると、ユーザがカード2の後端側を掴めるように、カード2の後端側が挿入口9の外部に露出する。また、本形態では、カードリーダ1の中にカード2が取り込まれて停止したときに、カード2の後端側は、搬送ローラ3とパッドローラ11との間に挟まれている。
【0028】
モータ4は、サーボモータである。本形態のモータ4は、印加される電圧によって出力および回転数を制御する電圧制御によって制御されている。このモータ4には、モータ4をサーボ制御するための回転検出機構としてのエンコーダ12が取り付けられている。すなわち、モータ4には、モータ4の回転数や回転位置を検出するためのエンコーダ12が取り付けられている。エンコーダ12は、たとえば、モータ4の回転軸に固定される円板状のスリット板と、光学式のセンサとによって構成されている。
【0029】
第1〜第3検出機構5〜7は、発光素子13と受光素子14とを備える光学式のセンサである。図1に示すように、第1検出機構5は、挿入口9の近傍に配置され、第2検出機構6は、カード2の取込方向X1において、搬送ローラ3の少し奥側に配置され、第3検出機構7は、カード2の取込方向X1において、カードリーダ1の奥端側に配置されている。
【0030】
本形態では、第1検出機構5の発光素子13と受光素子14との間をカード2の先端側が遮ると、カード2が挿入口9から挿入されたことが検出される。また、第2検出機構6の発光素子13と受光素子14との間をカード2の先端側が遮ると、カード2が搬送ローラ3とパッドローラ11とによって搬送され始めたことが検出される。また、第3検出機構7の発光素子13と受光素子14との間をカード2の先端側が遮ると、カード2がカードリーダ1の内部まで取り込まれたことが検出される。一方、カードリーダ1からカード2が排出される際には、第2検出機構6の発光素子13と受光素子14との間からカード2の先端が抜けると、カード2が排出されたことが検出される。
【0031】
制御部8は、モータ4の制御に関する構成として、CPU16と、モータドライバ17とを備えている。また、制御部8は、カードリーダ1が搭載される上位装置の制御部である上位制御部に接続されている。CPU16には、第1〜第3検出機構5〜7とエンコーダ12とが接続されている。また、モータドライバ17の入力側は、CPU16に接続され、モータドライバ17の出力側は、モータ4に接続されている。モータドライバ17は、CPU16からの出力信号に基づいてモータ4に電圧を印加する。
【0032】
CPU16は、ROM18に記録されたプログラムに基づいて、所定の演算処理や情報処理を行うとともにモータドライバ17を介してモータ4を制御する。たとえば、CPU16は、第1〜第3検出機構5〜7からの出力信号に基づいて、モータドライバ17を介して、モータ4の起動、停止を制御する。また、CPU16は、エンコーダ12からの出力信号に基づいて、モータ4の回転数(回転速度)や回転位置を検出するための矩形波状のパルス信号SG(図2参照)を生成する。
【0033】
また、CPU16は、モータ4の回転数が一定となるように、モータドライバ17を介してモータ4を電圧制御する。具体的には、CPU16は、所定のサーボ演算を行い、モータ4の回転数が一定となるような調整電圧指令値を算出し、モータドライバ17に出力することで、モータ4を電圧制御する。より具体的には、CPU16は、パルス信号SGのエッジEGの時間間隔ΔT1(図2参照)を用いたサーボ演算を行い、モータ4の回転数が一定となるような調整電圧指令値を算出し、モータドライバ17に出力することで、モータ4を電圧制御する。すなわち、本形態では、パルス信号SGのエッジEGの時間間隔ΔT1に基づいて、モータ4に印加される調整電圧Vが制御されている。なお、CPU16でのサーボ演算は、調整電圧定数をSとすると、たとえば、以下の式にしたがって行われる。
調整電圧指令値=S×ΔT1
【0034】
なお、カード2の取込時において、上記のサーボ演算によって算出された調整電圧指令値に基づいてモータ4に印加される調整電圧Vが後述の制限電圧Vlimよりも大きくなっている場合には、CPU16は、後述のように、モータ4に印加される調整電圧Vが制限電圧Vlimとなる調整電圧指令値をモータドライバ17に出力する。また、カード2の排出時において、上記のサーボ演算によって算出された調整電圧指令値に基づいてモータ4に印加される調整電圧Vが後述の最大電圧Vmaxよりも大きくなっている場合には、CPU16は、後述のように、モータ4に印加される調整電圧Vが最大電圧Vmaxとなる調整電圧指令値をモータドライバ17に出力する。
【0035】
本形態では、挿入口9から挿入されるカード2をカードリーダ1の中に取り込むときのモータ4の出力(モータ4の駆動力)の最大値である取込時最大値は、挿入口9に向かってカード2を排出するときのモータ4の出力の最大値である排出時最大値よりも小さく設定されている。すなわち、本形態では、カード2を取り込むときのモータ4の出力の最大値がカード2を排出するときのモータ4の出力の最大値よりも小さくなるように、ROM18に記録されたプログラム上で、モータ4に印加される最大電圧が設定されている。
【0036】
具体的には、排出時最大値がモータ4の定格出力となるように、カード2の排出時にモータ4に印加される最大電圧が設定されている。また、取込時最大値が、排出時最大値でモータ4を駆動したときに排出可能なカード2を取り込める値となるように(すなわち、取込時最大値が、排出時最大値でモータ4を駆動したときに排出できないカード2を取り込めない値となるように)、カード2の取込時にモータ4に印加される最大電圧が設定されている。すなわち、カード2の取込時にモータ4に印加される最大電圧は、カード2の排出時にモータ4に印加される最大電圧に対して制限された電圧となっている。たとえば、カード2の排出時にモータ4に印加される最大電圧は、5Vに設定され、カード2の取込時にモータ4に印加される最大電圧は、3.5Vに設定されている。なお、以下の説明では、カード2の取込時にモータ4に印加される最大電圧を「制限電圧Vlim」とし、カード2の排出時にモータ4に印加される最大電圧を「最大電圧Vmax」とする。
【0037】
(カード状媒体の取込制御と排出制御)
図3は、図1に示すカード状媒体処理装置1におけるカード状媒体2の取込制御のフローの一例を示すフローチャートである。図4は、図1に示すカード状媒体処理装置1におけるカード状媒体2の排出制御のフローの一例を示すフローチャートである。
【0038】
以上のように構成されたカードリーダ1におけるカード2の取込制御の一例、および、カード2の排出制御の一例を以下に説明する。
【0039】
まず、カード2の取込制御の一例を図3に示すフローに基づいて説明する。上位制御部から制御部8にカード2の取込指令が入力されると、制御部8は、カード2の取込制御を開始する。具体的には、まず、カード2の挿入待ちの状態のカードリーダ1において、第1検出機構5でカード2が検出されると、CPU16は、モータドライバ17を介してモータ4を起動する(ステップS1)。その後、CPU16は、RAM等の記憶手段にモータ4の起動時間T0と、このときの現在時間T1を記憶する(ステップS2)。なお、このステップS2において記憶される起動時間T0と現在時間T1とは、同じ時間である。
【0040】
また、CPU16は、第3検出機構7によってカード2の先端側が検出されたか否かを判断する(ステップS3)。ステップS3において、第3検出機構7によってカード2の先端側が検出されると、CPU16は、カード2の取込が完了したとして(ステップS4)、モータ4を停止し(ステップS5)、カード2の取込制御が終了する。
【0041】
一方、ステップS3において、第3検出機構7によってカード2の先端側が検出されない場合には、CPU16は、このときの現在時間から起動時間T0を引いた時間ΔT2を算出し(ステップS6)、時間ΔT2が予め設定されたジャム判定時間を経過しているか否かを判断する(ステップS7)。ステップS7で、時間ΔT2がジャム判定時間を経過している場合には、CPU16は、カード2の取込ジャムが発生しているとして(ステップS8)、ステップS5へ進み、モータ4を停止する。
【0042】
また、ステップS7で、時間ΔT2がジャム判定時間を経過していない場合には、CPU16は、エンコーダ12からの出力信号に基づいて生成されるパルス信号SGのエッジEGが検出されたか否かを判断する(ステップS9)。モータ4の起動後の経過時間が短くて、ステップS9でエッジEGが検出されない場合には、ステップS3へ戻る。
【0043】
一方、ステップS9でエッジEGが検出された場合には、CPU16は、エッジEGが検出された時間を現在時間として、この現在時間から先に記憶された現在時間T1を引いた時間ΔT1を算出するとともに、このエッジEGが検出された現在時間を新たな現在時間T1として現在時間T1を更新し、更新された現在時間T1を記憶する(ステップS10)。
【0044】
その後、CPU16は、サーボ演算を行って、調整電圧指令値を算出し(ステップS11)、ステップS11で算出された調整電圧指令値に基づいてモータ4に印加される電圧Vが制限電圧Vlimよりも大きいか否かを判断する(ステップS12)。ステップS12で、電圧Vが制限電圧Vlim以下である場合には、CPU16は、ステップS11で算出された調整電圧指令値をモータドライバ17に出力し、モータドライバ17は、ステップS11で算出された調整電圧指令値に基づく電圧Vを調整電圧Vとしてモータ4に印加して(ステップS13)、ステップS3へ戻る。
【0045】
一方、ステップS12で、電圧Vが制限電圧Vlimよりも大きい場合には、CPU16は、ステップS11で算出された調整電圧指令値に代えて、モータ4に印加される電圧が制限電圧Vlimとなる調整電圧指令値を調整電圧指令値として設定し(ステップS14)、ステップS13へ進む。この場合、ステップS13では、CPU16は、モータ4に印加される電圧が制限電圧Vlimとなる調整電圧指令値をモータドライバ17に出力し、モータドライバ17は、制限電圧Vlimを調整電圧Vとしてモータ4に印加する。
【0046】
なお、ステップS10において、モータ4の起動後、最初にエッジEGが検出されたときの現在時間からステップS2で記憶された現在時間T1を引いた時間ΔT1は、エッジEGの時間間隔ΔT1と必ずしも一致しないが、モータ4の起動後、2回目以降にエッジEGが検出されたとき(すなわち、ステップS13を経てからステップS3へ戻ったとき)の現在時間から前回のステップS10で記憶された現在時間T1を引いた時間ΔT1は、エッジEGの時間間隔ΔT1と一致する。
【0047】
続いて、カード2の排出制御の一例を図4に示すフローに基づいて説明する。上位制御部から制御部8にカード2の排出指令が入力されると、制御部8は、カード2の排出制御を開始する。具体的には、まず、CPU16は、モータドライバ17を介してモータ4を起動する(ステップS21)。その後、CPU16は、RAM等の記憶手段にモータ4の起動時間T0と、このときの現在時間T1を記憶する(ステップS22)。なお、カード2の取込時と同様に、このステップS22において記憶される起動時間T0と現在時間T1とは、同じ時間である。
【0048】
また、CPU16は、第2検出機構6によってカード2の先端の抜け(先端抜け)が検出されたか否かを判断する(ステップS23)。ステップS23において、第2検出機構6によってカード2の先端抜けが検出されると、CPU16は、カード2の排出が完了したとして(ステップS24)、モータ4を停止し(ステップS25)、カード2の排出制御が終了する。
【0049】
一方、ステップS23において、第2検出機構6によってカード2の先端抜けが検出されない場合には、CPU16は、このときの現在時間から起動時間T0を引いた時間ΔT2を算出し(ステップS26)、時間ΔT2が予め設定されたジャム判定時間を経過しているか否かを判断する(ステップS27)。ステップS27で、時間ΔT2がジャム判定時間を経過している場合には、CPU16は、カード2の排出ジャムが発生しているとして(ステップS28)、ステップS25へ進み、モータ4を停止する。
【0050】
また、ステップS27で、時間ΔT2がジャム判定時間を経過していない場合には、CPU16は、パルス信号SGのエッジEGが検出されたか否かを判断する(ステップS29)。モータ4の起動後の経過時間が短くて、ステップS29でエッジEGが検出されない場合には、ステップS23へ戻る。
【0051】
一方、ステップS29でエッジEGが検出された場合には、CPU16は、エッジEGが検出された時間を現在時間として、この現在時間から先に記憶された現在時間T1を引いた時間ΔT1を算出するとともに、このエッジEGが検出された現在時間を新たな現在時間T1として現在時間T1を更新し、更新された現在時間T1を記憶する(ステップS30)。
【0052】
その後、CPU16は、サーボ演算を行って、調整電圧指令値を算出し(ステップS31)、ステップS31で算出された調整電圧指令値に基づいてモータ4に印加される電圧Vが最大電圧Vmaxよりも大きいか否かを判断する(ステップS32)。ステップS32で、電圧Vが最大電圧Vmax以下である場合には、CPU16は、ステップS31で算出された調整電圧指令値をモータドライバ17に出力し、モータドライバ17は、ステップS31で算出された調整電圧指令値に基づく電圧Vを調整電圧Vとしてモータ4に印加して(ステップS33)、ステップS23へ戻る。
【0053】
一方、ステップS32で、電圧Vが最大電圧Vmaxよりも大きい場合には、CPU16は、ステップS31で算出された調整電圧指令値に代えて、モータ4に印加される電圧が最大電圧Vmaxとなる調整電圧指令値を調整電圧指令値として設定し(ステップS34)、ステップS33へ進む。この場合、ステップS33では、CPU16は、モータ4に印加される電圧が最大電圧Vmaxとなる調整電圧指令値をモータドライバ17に出力し、モータドライバ17は、最大電圧Vmaxを調整電圧Vとしてモータ4に印加する。
【0054】
なお、カード2の取込制御と同様に、ステップS30において、モータ4の起動後、最初にエッジEGが検出されたときの現在時間からステップS22で記憶された現在時間T1を引いた時間ΔT1は、エッジEGの時間間隔ΔT1と必ずしも一致しないが、モータ4の起動後、2回目以降にエッジEGが検出されたとき(すなわち、ステップS33を経てからステップS23へ戻ったとき)の現在時間から前回のステップS30で記憶された現在時間T1を引いた時間ΔT1は、エッジEGの時間間隔ΔT1と一致する。
【0055】
本形態では、ステップS1〜ステップS14は、挿入口9から挿入されるカード2を取り込むときのモータ4の出力の最大値である取込時最大値以下の出力でモータ4を駆動してカード2を取り込む媒体取込ステップである。また、ステップS21〜ステップS34は、挿入口9に向かってカード2を排出するときのモータ4の出力の最大値である排出時最大値以下の出力でモータ2を駆動してカード2を排出する媒体排出ステップである。
【0056】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、カード2の取込時のモータ4の出力の最大値は、カード2の排出時のモータ4の出力の最大値よりも小さく設定されている。具体的には、カード2の取込時のモータ4の出力の最大値は、カード2の排出時のモータ4の出力の最大値でモータ4を駆動したときに排出可能なカード2を取り込める値に設定されている。すなわち、本形態では、カード2の取込時にモータ4に印加される最大電圧である制限電圧Vlimは、カード2の排出時にモータ4に印加される最大電圧である最大電圧Vmaxがモータ4に印加されたときに排出可能なカード2のみを取り込める値になっている。
【0057】
そのため、本形態では、カード2のジャムを抑制するための特別な機構がカードリーダ1に設けられていなくても、搬送ローラ3とパッドローラ11とによって排出できないカード2がカードリーダ1の内部へ取り込まれるのを防止することが可能になる。すなわち、本形態では、簡易な構成で、カード2のジャムの発生を防止することが可能になる。その結果、本形態では、カードリーダ1の信頼性を高めることが可能になる。
【0058】
また、本形態では、搬送ローラ3とパッドローラ11とによって排出できないカード2がカードリーダ1の内部へ取り込まれるのを防止することが可能になるため、カード2、搬送ローラ3、パッドローラ11および磁気ヘッド等の損傷を抑制することが可能になる。
【0059】
本形態では、カード2の排出時のモータ4の出力の最大値がモータ4の定格出力となるように、カード2の排出時にモータ4に印加される最大電圧が設定されている。そのため、カード2の排出時には、モータ4の出力を最大限利用することが可能になる。したがって、カードリーダ1から排出できるカード2の許容範囲を広げることが可能になる。すなわち、カード2のジャムの発生を防止しつつ、カードリーダ1に取り込めるカード2の許容範囲を広げることが可能になる。その結果、本形態では、カードリーダ1で処理できるカード2の許容範囲を広げることが可能になる。
【0060】
本形態では、カード2の排出時のモータ4の出力の最大値がカード2の取込時のモータ4の出力の最大値よりも大きく設定されている。そのため、本形態では、カードリーダ1の内部で詰まった(ジャムした)カード2を強制排出するための機構がカードリーダ1に設けられていなくても、たとえば、ユーザによって、カードリーダ1の内部へカード2がむりやり押し込まれてカード2のジャムが発生した場合には、カード2を強制排出することが可能になる。すなわち、本形態では、簡易な構成で、カード2を強制排出することが可能になる。
【0061】
特に本形態では、カード2の排出時のモータ4の出力の最大値がモータ4の定格出力となるように、カード2の排出時にモータ4に印加される最大電圧が設定されているため、カード2のジャムが発生した場合であっても、強制排出できるカード2の許容範囲を広げることが可能になる。
【0062】
本形態では、モータ4の回転数が一定となるように、パルス信号SGのエッジEGの時間間隔ΔT1に基づいてモータ4に印加される電圧が制御されている。すなわち、カードリーダ1の内部でカード2が一定速度で搬送されるようにモータ4が制御されている。したがって、図示を省略する磁気ヘッドでカード2に記録された磁気データを適切に読み取ったり、カード2に磁気データを適切に書き込んだりすることが可能になる。
【0063】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0064】
上述した形態では、カード2の取込時にモータ4に印加される調整電圧Vが制限電圧Vlim以下となるように、モータ4が電圧制御されている。この他にもたとえば、カード2の取込時における所定の期間にモータ4に印加される調整電圧Vが制限電圧Vlim以下となり、かつ、カード2の取込時におけるそれ以外の期間にモータ4に印加される調整電圧Vが制限電圧Vlimよりも大きな電圧以下となるように、モータ4が電圧制御されても良い。また、上述した形態では、カード2の排出時にモータ4に印加される調整電圧Vが最大電圧Vmax以下となるように、モータ4は電圧制御されているが、カード2の排出時における所定の期間にモータ4に印加される調整電圧Vが最大電圧Vmax以下となり、かつ、カード2の排出時におけるそれ以外の期間にモータ4に印加される調整電圧Vが最大電圧Vmaxよりも小さな電圧以下となるように、モータ4が電圧制御されても良い。
【0065】
たとえば、カード2の取込時であって、ユーザがカード2を掴めなくなる位置までカード2が取り込まれるまでの間にモータ4に印加される調整電圧Vが制限電圧Vlim以下となり、かつ、カード2の取込時であって、ユーザがカード2を掴めなくなる位置までカード2が取り込まれた後にモータ4に印加される調整電圧Vが制限電圧Vlimより大きな電圧(たとえば、最大電圧Vmax)以下となるように、モータ4が電圧制御されても良い。また、カード2の排出時であって、ユーザがカード2を掴める位置までカード2が排出されるまでの間にモータ4に印加される調整電圧Vが最大電圧Vmax以下となり、かつ、カード2の排出時であって、ユーザがカード2を掴める位置までカード2が排出された後にモータ4に印加される調整電圧Vが最大電圧Vmaxよりも小さな電圧(たとえば、制限電圧Vlim)以下となるように、モータ4が電圧制御されても良い。
【0066】
すなわち、カード2の取込時の、ユーザがカード2を掴めなくなる位置までカード2が取り込まれるまでのモータ4の出力の最大値が、カード2の排出時の、ユーザがカード2を掴める位置までカード2が排出されるまでのモータ4の出力の最大値よりも小さく設定されても良い。この場合であっても、カード2のジャムを抑制するための特別な機構がカードリーダ1に設けられていなくても、ユーザが掴める位置まで排出できないカード2が、ユーザが掴めなくなる位置まで取り込まれるのを防止することが可能になる。すなわち、この場合であっても、簡易な構成で、カード2のジャムの発生を防止することが可能になる。
【0067】
上述した形態では、カード2の排出時のモータ4の出力の最大値が定格出力となるように、カード2の排出時にモータ4に印加される最大電圧が設定されている。この他にもたとえば、カード2の排出時のモータ4の出力の最大値が定格出力よりも小さくなるように、カード2の排出時にモータ4に印加される最大電圧が設定されても良い。
【0068】
上述した形態では、カード2の取込時のモータ4の出力の最大値が、カード2の排出時のモータ4の出力の最大値でモータ4を駆動したときに排出可能なカード2のみを取り込める値となるように、カード2の取込時にモータ4に印加される最大電圧が設定されている。この他にもたとえば、カード2の取込時のモータ4の出力の最大値が、カード2の排出時のモータ4の出力の最大値でモータ4を駆動したときに磁気ヘッドで読み取られた磁気データを適切に再生することができる速度で搬送可能なカード2を取り込める値となるように、カード2の取込時にモータ4に印加される最大電圧が設定されても良い。すなわち、カード2の取込時のモータ4の出力の最大値が、カード2の排出時のモータ4の出力の最大値でモータ4を駆動したときに磁気ヘッドで読み取られた磁気データを適切に再生することができる速度で搬送できないカード2を取り込めない値となるように、カード2の取込時にモータ4に印加される最大電圧が設定されても良い。また、カード2の取込時のモータ4の出力の最大値がこの値以外の値となるように、カード2の取込時にモータ4に印加される最大電圧が設定されても良い。
【0069】
上述した形態では、カード2に当接してカード2を搬送する媒体搬送手段は、搬送ローラ3である。この他にもたとえば、カード2に当接してカード2を搬送する媒体搬送手段は、カード2の表面に当接するベルトと、このベルトが架け渡されるプーリとによって構成されても良い。また、媒体搬送手段は、カード2の端面に当接する鉤状の爪部材と、この爪部材が固定されるベルトと、このベルトが架け渡されるプーリとによって構成されても良い。
【0070】
上述した形態では、カードリーダ1は、磁気カードを処理するための装置である。この他にもたとえば、本発明の構成が適用されるカード状媒体処理装置は、接触式のICカードを処理するための装置であっても良いし、非接触式のICカードを処理するための装置であっても良い。また、本発明の構成が適用されるカード状媒体処理装置は、カード2に印字を行うための印字装置であっても良いし、カード2の表面の画像を読み取るための画像読取装置であっても良い。
【0071】
上述した形態では、カードリーダ1は、塩化ビニール製のカード2、PET製のカード2あるいは紙製のカード2等を取り扱うためのカード用のカードリーダである。この他にもたとえば、本発明の構成が適用されるカード状媒体処理装置は、パスポート等のカード状媒体を取り扱うためのカード状媒体処理装置であっても良い。また、上述した形態では、モータ4は電圧制御されているが、モータ4は電流制御されても良い。
【符号の説明】
【0072】
1 カードリーダ(カード状媒体処理装置)
2 カード(カード状媒体)
3 搬送ローラ(媒体搬送手段)
4 モータ
9 挿入口
12 エンコーダ(回転検出機構)
EG エッジ
S1〜S14 媒体取込ステップ
S21〜S34 媒体排出ステップ
SG パルス信号
ΔT1 時間間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード状媒体が挿入される挿入口と、前記挿入口から挿入された前記カード状媒体に当接して前記カード状媒体を搬送する媒体搬送手段と、前記媒体搬送手段を駆動するモータとを備え、
前記挿入口から挿入される前記カード状媒体を取り込むときの前記モータの出力の最大値である取込時最大値は、前記挿入口に向かって前記カード状媒体を排出するときの前記モータの出力の最大値である排出時最大値よりも小さく設定されていることを特徴とするカード状媒体処理装置。
【請求項2】
カード状媒体を内部に取り込んで所定の処理を行うカード状媒体処理装置において、
前記カード状媒体が挿入される挿入口と、前記挿入口から挿入された前記カード状媒体に当接して前記カード状媒体を搬送する媒体搬送手段と、前記媒体搬送手段を駆動するモータとを備え、
前記挿入口から挿入される前記カード状媒体を取り込むときの、少なくともユーザが前記カード状媒体を掴めなくなる位置まで前記カード状媒体が取り込まれるまでの前記モータの出力の最大値である取込時最大値は、前記挿入口に向かって前記カード状媒体を排出するときの、少なくともユーザが前記カード状媒体を掴める位置まで前記カード状媒体が排出されるまでの前記モータの出力の最大値である排出時最大値よりも小さく設定されていることを特徴とするカード状媒体処理装置。
【請求項3】
前記取込時最大値は、前記排出時最大値で前記モータを駆動したときに排出可能な前記カード状媒体を取り込める値に設定されていることを特徴とする請求項1または2記載のカード状媒体処理装置。
【請求項4】
前記排出時最大値は、前記モータの定格出力であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のカード状媒体処理装置。
【請求項5】
前記モータは、印加される電圧によって出力を制御する電圧制御によって制御されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のカード状媒体処理装置。
【請求項6】
前記モータの回転数を検出するための矩形波状のパルス信号を生成するための回転検出機構を備え、
前記パルス信号のエッジの時間間隔に基づいて前記モータに印加される電圧が制御されていることを特徴とする請求項5記載のカード状媒体処理装置。
【請求項7】
カード状媒体が挿入される挿入口と、前記挿入口から挿入された前記カード状媒体に当接して前記カード状媒体を搬送する媒体搬送手段と、前記媒体搬送手段を駆動するモータとを備えるカード状媒体処理装置の制御方法であって、
前記挿入口から挿入される前記カード状媒体を取り込むときの前記モータの出力の最大値である取込時最大値以下の出力で前記モータを駆動して前記カード状媒体を取り込む媒体取込ステップと、前記挿入口に向かって前記カード状媒体を排出するときの前記モータの出力の最大値である排出時最大値以下の出力で前記モータを駆動して前記カード状媒体を排出する媒体排出ステップとを備え、
前記取込時最大値は、前記排出時最大値よりも小さく設定されていることを特徴とするカード状媒体処理装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−138450(P2011−138450A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44(P2010−44)
【出願日】平成22年1月4日(2010.1.4)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】