説明

カーナビゲーションシステム

【課題】車両や車両が使用される環境に好適で、少ないデータ量で行うことができるナビゲーションシステムを提供する。
【解決手段】ナビゲーション機能の処理プログラム19を車両情報に適合した設定状態とするカーナビゲーションシステム1であって、車両情報を取得する車両情報取得手段14と、車両情報に含まれる客先情報が、保有する客先一覧テーブルに存在するか否かを判定する取得情報判定手段15と、取得された客先情報が客先一覧テーブルに存在しないと判定されたとき、当該客先情報が内部記憶装置12に記憶されている場合は当該客先情報に基づいた設定情報を生成し、記憶されていない場合は初期値の設定情報を生成する設定情報生成手段16と、生成された設定情報を処理プログラムに通知する設定情報通知手段17と、設定情報通知手段から通知された設定情報に応じて処理プログラム内部19の設定状態を切り替える設定情報切替手段18とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はカーナビゲーションシステムに関し、特に1台のカーナビゲーションシステムを複数の客先に対応可能ならしめるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されるナビゲーション装置が知られている。このようなナビゲーション装置のメーカーは、例えば自動車メーカーやディーラーといった客先(又は出荷先)が変わるとナビゲーション装置の仕様も異なるので、ハードウェアやプログラムを個々の客先に適合する仕様で作製して提供している。従って、客先が異なれば同じ機種であっても地図データやプログラム等を共用することはできない。
【0003】
そこで、種々の機種で使用されているCD−ROMを選択、交換してナビゲーションシステムを共用することができるナビゲーション装置が開発されている(例えば、特許文献1参照)。このナビゲーション装置は、CD−ROMに各機種対応のナビゲーション処理用プログラムと経路探索や経路誘導を行うための地図情報その他の経路情報を記憶しておき、中央処理装置は、CD−ROMから自機種に適合するプログラムを検索してプログラムメモリに読み込み起動し、以てナビゲーション機能を実現する。従って、複数の機種でCD−ROMを共用して機種に固定されないナビゲーションサービスが提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−53948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来のナビゲーション装置では、複数の機種にそれぞれ対応する複数のプログラムをCD−ROMに記憶しておき、各機種が自己に適合するプログラムをCD−ROMから取得して実行するように構成されているので、ナビゲーション装置に適合するナビゲーション機能の実現は可能であるが、そのナビゲーション装置を搭載した車両やその車両が使用される環境に好適なナビゲーション機能の実現は困難である。
【0006】
また、上述した従来のナビゲーション装置において、例えば、全ての客先でハードウェアを共通とし、客先毎にプログラムを用意してCD−ROMに格納するように構成することも可能であるが、客先の数に対応するプログラムをCD−ROMに記憶しておく必要があるので、客先が増えればプログラムのデータ量が膨大になり、CD−ROMに記憶させることができない事態が発生する。
【0007】
この発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、車両や車両が使用される環境に好適なナビゲーションを少ないデータ量で行うことができるナビゲーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るカーナビゲーションシステムは、上記目的を達成するために、車載LANを経由して車両が保持している車両情報を取得し、ナビゲーション機能を実現するための処理プログラムを当該車両情報に適合した設定状態とするカーナビゲーションシステムであって、車両情報を取得する車両情報取得手段と、取得された車両情報に含まれる客先情報が、保有する客先一覧テーブルに存在するか否かを判定する取得情報判定手段と、取得情報判定手段において、取得された客先情報が客先一覧テーブルに存在しないと判定されたとき、当該客先情報が内部記憶装置に記憶されている場合は当該客先情報に基づいた設定情報を生成し、記憶されていない場合は初期値の設定情報を生成する設定情報生成手段と、生成された設定情報を処理プログラムに通知する設定情報通知手段と、設定情報通知手段から通知された設定情報に応じて処理プログラム内部の設定状態を切り替える設定情報切替手段とを備えるように構成されている。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係るカーナビゲーションシステムによれば、車両が保持している車両情報に基づいて処理プログラムの設定を切り替えてナビゲーション機能を実現しているので、車両やその車両が使用される環境に好適なナビゲーションを行うことができる。また、車両情報に応じて処理プログラムの設定状態を変更することにより、車両情報に応じたナビゲーションを行うことができるので、複数の機種にそれぞれ対応する複数のプログラムを備える必要がなく1つのプログラムでナビゲーション機能を実現できる。従って、プログラムの増加に伴ってデータ量が膨大になるという事態を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1に係るカーナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るカーナビゲーションシステムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】この発明の実施の形態1に係るカーナビゲーションシステムにおける第1の設定状態の切り替えパターンを説明するための図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係るカーナビゲーションシステムにおける第2の設定状態の切り替えパターンを説明するための図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係るカーナビゲーションシステムにおける第3の設定状態の切り替えパターンを説明するための図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係るカーナビゲーションシステムにおける第1の設定状態の切り替えパターンの具体例を説明するための図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係るカーナビゲーションシステムにおける第2の設定状態の切り替えパターンの具体例を説明するための図である。
【図8】この発明の実施の形態1に係るカーナビゲーションシステムにおける第3の設定状態の切り替えパターンの具体例を説明するための図である。
【図9】この発明の実施の形態2に係るカーナビゲーションシステムにおいて地図を表示する場合の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るカーナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。このカーナビゲーションシステム1は、車両2に搭載されて使用される。車両2には、車両信号出力装置3が設置されている。カーナビゲーションシステム1と車両信号出力装置3との間は、車載LAN(Local Area Network)によって接続されている。車載LANは、MOST(Media Oriented Systems Transport)バス、CAN(Controller Area Network)バス、シリアルバス、赤外線やブルートゥース(Bluetooth)等を用いて構成できる。なお、車載LANには、上記以外に、カーオーディオやAV機器といった情報系のユニット、ボディ系、安全系、パワートレイン(走行制御)系の各ユニットが接続される。
【0012】
車両信号出力装置3は、車両情報を出力する。この車両情報は、例えば車両2のメーカーやディーラーといった客先において予め車両信号出力装置3に設定される。車両情報は、客先を表す客先情報を含んで構成されている。
【0013】
カーナビゲーションシステム1は、車載情報装置10、情報記憶装置20及び表示装置30から構成されている。車載情報装置10は、さらに、外部通信インタフェース11、内部記憶装置12及び情報処理部13から構成されている。
【0014】
外部通信インタフェース11は、カーナビゲーションシステム1が車両信号出力装置3と通信を行うためのインタフェースである。外部通信インタフェース11は、車両信号出力装置3から車両情報を受け取って情報処理部13に送る。この外部通信インタフェース11は、車載LANで採用される通信規格、つまりMOST、CAN、シリアル、赤外線、ブルートゥース等に適合するように適宜構成される。
【0015】
内部記憶装置12は、例えばRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等から構成することができる。この内部記憶装置12は、車両信号出力装置3から受信された車両情報に含まれる客先情報を記憶する。なお、カーナビゲーションシステム1が車両2に取り付けられた直後の初期状態では、この内部記憶装置12の内容は空である。
【0016】
情報処理部13は、図示しないCPUが実行するプログラムの処理によって実現されている。情報処理部13は、車両情報取得手段14、取得情報判定手段15、設定情報比較手段16、設定情報通知手段17、設定情報切替手段18及び処理プログラム19から構成されている。この発明の設定情報生成手段は、取得情報判定手段15と設定情報比較手段16とから構成されている。
【0017】
処理プログラム19は、自車位置を検出するロケーション機能を実現するためのロケーション処理プログラム、表示装置30に地図を表示させる地図表示機能を実現するための地図表示処理プログラム、表示装置30にメニューを表示させるメニュー表示機能を実現するためのメニュー表示処理プログラム、表示装置30にスタートアップ画面を表示させるオープニング機能を実現するためのオープニング処理プログラム、住所及び施設検索のデータを選択する検索機能を実現するための検索処理プログラムを含んでいる。この処理プログラム19は、その内部に、客先情報に基づいて生成された設定情報が設定されることにより、客先に適合した動作を行う。
【0018】
車両情報取得手段14は、車両信号出力装置3から外部通信インタフェース11を介して車両情報を取得する。この車両情報取得手段14で取得された車両情報に含まれる客先情報は、取得情報判定手段15に送られる。
【0019】
取得情報判定手段15は、車両情報取得手段14から送られてきた客先情報が有効であるか無効であるかを判定する。この判定は、情報処理部13に設けられた図示しない客先一覧テーブルに客先情報で示される客先が存在するかどうかを調べることにより行われる。取得情報判定手段15で有効と判定された客先情報は、設定情報比較手段16に送られる。なお、取得情報判定手段15で無効と判定された場合は、客先情報は設定情報比較手段16に送られず、情報処理部13にて所定の処理(詳細は後述する)が行われる。
【0020】
設定情報比較手段16は、取得情報判定手段15から送られてきた客先情報と内部記憶装置12に記憶されている客先情報とを比較する。この設定情報比較手段16で比較された結果、一致することが判断された場合は、客先情報は設定情報通知手段17に送られる。一方、一致しないことが判断された場合は、客先情報は、内部記憶装置12に送られて格納される。
【0021】
設定情報通知手段17は、設定情報比較手段16から送られてくる客先情報、内部記憶手段12に記憶されている客先情報及び初期値の何れかに基づき設定情報を生成する。この設定情報通知手段17で生成された設定情報は、設定情報切替手段18に送られる。
【0022】
設定情報切替手段18は、設定情報を利用する処理プログラム19、具体的にはロケーション処理プログラム、地図表示処理プログラム、メニュー表示処理プログラム、オープニング処理プログラム及び検索処理プログラムの各々に設けられており、設定情報通知手段17から通知を受け取った設定情報に適合するように処理プログラム19の内部の設定状態を切り替える。この設定情報切替手段18によって内部の設定状態が切り替えられた処理プログラム19は、情報記憶装置20及び/又は表示装置30にアクセスし、客先に適合したロケーション機能、地図表示機能、メニュー表示機能、オープニング機能又は検索機能を実現するための処理を実行する。
【0023】
情報記憶装置20は、例えばCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、HDD(Hard Disc Drive)等から構成されており、地図データ21、処理プログラム19(図示しない)、その他の各種データを記憶している。この情報記憶装置20の内容は、情報処理部13から読み出される。
【0024】
表示装置30は、例えば液晶ディスプレイ装置(LCD)から構成されており、表示部31を備えている。表示部31は、情報処理部13の設定情報切替手段18によって設定状態が切り替えられた処理プログラム19の処理に従って、例えば客先に応じた地図画面、メニュー画面、スタートアップ画面、検索画面等を表示する。
【0025】
次に、上記のように構成される、この発明の実施の形態1に係るナビゲーションシステムの動作を、図2〜図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0026】
車両2の電源投入に伴ってカーナビゲーションシステム1にも電源が投入されると、まず、車両情報の取得が行われる(ステップST10)。即ち、情報処理部13の車両情報取得手段14は、車両信号出力装置3から外部通信インタフェース11を介して車両情報を取得する。次いで、取得情報(取得された車両情報)の判定が行われ(ステップST11)、取得情報が有効であるか無効であるかが調べられる(ステップST12)。即ち、取得情報判定手段15は、車両情報取得手段14で取得された車両情報に含まれる客先情報が有効であるか無効であるかを調べる。
【0027】
このステップST12において、取得情報が有効であることが判断されると、次いで、設定情報比較処理が行われ(ステップST13)、取得情報に含まれる客先情報が内部記憶装置12に記憶されている客先情報と一致するかどうかが調べられる(ステップST14)。具体的には、設定情報比較手段16は、取得情報判定手段15から送られてきた取得情報(車両情報)に含まれる客先情報と内部記憶装置12に記憶されている客先情報とを比較し、これらが一致するかどうかを調べる。
【0028】
このステップST14において一致することが判断されると、取得された客先情報が処理プログラム19に通知される(ステップST15)。即ち、設定情報通知手段17は、取得情報(車両情報)に含まれる客先情報に基づき設定情報を生成し、処理プログラム19に含まれる設定情報切替手段18に通知する。
【0029】
上記ステップST14で一致しないことが判断された場合は、内部記憶手段12に記憶されている前回の客先情報が処理プログラム19に通知される(ステップST16)。即ち、設定情報通知手段17は、内部記憶装置12に記憶されている前回の客先情報に基づき設定情報を生成し、処理プログラム19に含まれる設定情報切替手段18に通知する。その後、今回取得された客先情報が内部記憶装置12に記憶される(ステップST17)。従って、今回取得された客先情報は、次回にカーナビゲーションシステム1の電源が投入された際に有効になる。
【0030】
上記ステップST12で取得情報が無効であることが判断されると、次いで、内部記憶装置12に客先情報が存在するかどうかが調べられる(ステップST18)。ここで、存在することが判断されると、内部記憶装置12に記憶されている客先情報が処理プログラム19に通知される(ステップST19)。即ち、設定情報通知手段17は、内部記憶装置12に記憶されている客先情報に基づき設定情報を生成し、処理プログラム19に含まれる設定情報切替手段18に通知する。
【0031】
上記ステップST18で、内部記憶装置12に客先情報が存在しないことが判断されると、設定情報の初期値が処理プログラム19に通知される(ステップST20)。即ち、設定情報通知手段17は、カーナビゲーションシステム1で予め定められている設定情報の初期値を処理プログラム19に含まれる設定情報切替手段18に通知する。
【0032】
上記ステップST15、ST16、ST19及びST20で設定情報の通知を受けた設定情報切替手段18は、その通知を受けた設定情報に適合するように自己のプログラム内部の設定状態を切り替える。設定情報切替手段18によって内部の設定状態が切り替えられた処理プログラム19は、情報記憶装置20及び/又は表示装置30にアクセスし、各々の機能を実現するための処理を実行する。設定状態の切り替えは、次の3つのパターンの何れかで行われる。
【0033】
第1の設定状態の切り替えパターンでは、図3に示すように、設定情報が通知されると(ステップST21)、プログラム上のデータを設定情報に応じて単純に置き替えることにより設定値が切り替えられる(ステップST22)。この第1の設定状態の切り替えパターンは、ロケーション機能を実現するためのロケーション処理プログラムで採用される。この場合、図6に示すように、客先毎に設定値をプログラム上に保時しておき、客先情報に応じて設定値が切り替えられる。例えば、車両情報として客先Bを表す客先情報が受信された場合、設定値Dがロケーション処理プログラムの内部に設定される。これにより、例えば、客先Bの車に適合したタイヤ周長等のロケータ情報が出力される。
【0034】
第2の設定状態の切り替えパターンでは、図4に示すように、設定情報が通知されると(ステップST30)、設定情報に応じて予めプログラム上に保持されているデータを切り替え(ステップST31)、客先に応じた表示出力が行われる(ステップST32)。この第2の設定状態の切り替えパターンは、オープニング表示機能を実現するためのオープニング処理プログラムで採用される。この場合、図7に示すように、予めプログラム上に格納されているオープニングデータが客先情報に応じて読み取られて表示される。例えば、車両情報として客先Aを表す客先情報が受信された場合、プログラム上の客先Aのオープニングデータが表示される。これにより、例えば、客先Aの要求に沿ったスタートアップ画面が表示される。
【0035】
第3の設定状態の切り替えパターンでは、図5に示すように、設定情報が通知されると(ステップST40)、設定情報に応じて情報記憶装置20上のデータが読み取られて切り替えられ(ステップST41)、表示出力が行われる(ステップST42)。この第3の設定状態の切り替えパターンは、主に、メニュー表示機能を実現するためのメニュー表示処理プログラム、地図表示機能を実現するための地図表示処理プログラム、検索機能を実現するための検索処理プログラムで採用される。検索機能を使用する場合、車両情報として客先Aを表す客先情報が受信されると、図8に示すように、設定情報に応じて予め情報記憶装置20に格納されている客先Aの検索データを検索できるように切り替えられる。また、上記と同様の方法により、メニュー表示機能を使用する場合、客先固有のメニュー画面を表示することができ、地図表示機能を使用する場合、地図上に客先のシンボルを表示させることができる。
【0036】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係るカーナビゲーションシステムによれば、外部の車両信号出力装置3から取得可能な車両情報を利用することで、客先の要求に沿った仕様の機能を1つのプログラムで実現が可能となり、共通プラットフォームである同一のハードウェア上で複数の機種としての動作が可能になる。また、プログラムを一本化できるので、プログラムを保存する地図データの記録媒体の容量増加が抑制でき、カーナビゲーションシステムに必要なデータ領域を確保することが可能になる。更に、客先等の設定情報(コンフィグレーション)はプログラムの更新によって追加することも可能であり、プログラムのリリース後にも多様な客先への対応可能である。
【0037】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係るカーナビゲーションシステムでは、車両情報として、地域情報、言語情報及びステアリング位置情報が取得される。地域情報は、車両2の仕向先、つまり車両が使用される地域を表す情報である。言語情報は、車両2で情報の入出力に使用される言語を表す情報である。ステアリング位置情報は、車両2のステアリングの位置、つまり左ハンドルであるか右ハンドルであるかを表す情報である。
【0038】
実施の形態2に係るカーナビゲーションシステムの構成は、図1に示した実施の形態1に係るカーナビゲーションシステムのそれと同じである。
【0039】
次に、この発明の実施の形態2に係るカーナビゲーションシステムの動作を説明する。なお、車両情報が地域情報、言語情報及びステアリング位置情報を含むことを除けば、処理の手順は、図2のフローチャートに示した実施の形態1のそれと略同じであるので、以下では、フローチャートを用いないで説明する。
【0040】
車両2の電源投入に伴ってカーナビゲーションシステム1にも電源が投入されると、まず、車両情報取得手段14は、車両信号出力装置3から外部通信インタフェース11を介して車両情報を取得する。この車両情報には、上述した地域情報、言語情報及びステアリング位置情報が含まれる。ここで、地域情報として「イギリス」、言語情報として「英語」、ステアリング位置情報として「左ハンドル」がそれぞれ取得されるものとする。この車両情報取得手段14で取得された車両情報は、取得情報判定手段15に送られる。
【0041】
取得情報判定手段15は、車両情報取得手段14から送られてきた車両情報、つまり地域情報がイギリス、言語情報が英語、ステアリング位置情報が左ハンドルであり、これらの情報が有効であるか無効であるかを判定する。この判定は、情報処理部13に設けられた図示しないテーブルに地域情報として「イギリス」、言語情報として「英語」、ステアリング位置情報として「左ハンドル」が登録されているかどうかを調べることにより行われる。この取得情報判定手段15で有効と判定された場合、その車両情報は設定情報比較手段16に送られる。なお、取得情報判定手段15で無効と判定された場合は、車両情報は設定情報比較手段16に送られず、情報処理部13にて、初期値として情報処理部13に記憶されている地域情報、言語情報及びステアリング位置情報に従って所定の処理が行われる(詳細は省略する)。
【0042】
設定情報比較手段16は、取得情報判定手段15から送られてきた車両情報、つまり地域情報がイギリス、言語情報が英語、ステアリング位置情報が左ハンドルといった各情報と内部記憶装置12に記憶されている、それらに対応する情報とを比較する。この設定情報比較手段16で比較された結果、一致することが判断された場合は、地域情報、言語情報及びステアリング位置情報は設定情報通知手段17に送られる。一方、一致しないことが判断された場合は、地域情報、言語情報及びステアリング位置情報は、内部記憶装置12に送られて格納される。
【0043】
設定情報通知手段17は、設定情報比較手段16から送られてくる地域情報、言語情報及びステアリング位置情報に基づき設定情報を生成する。この設定情報通知手段17で生成された設定情報は、設定情報切替手段18に送られる。
【0044】
設定情報切替手段18は、設定情報を利用する処理プログラム19に対し、地域情報がイギリス、言語情報が英語、ステアリング位置情報が左ハンドルとなるようにプログラム内部の設定状態を切り替える。この設定情報切替手段18によって内部の設定状態が切り替えられた処理プログラム19は、情報記憶装置20及び/又は表示装置30にアクセスし、各々の機能を実現するための処理を実行する。
【0045】
例えば、地図表示処理プログラムは、地図を表示装置30の表示部31に表示するにあたり、地図上の通り(Street)の名称を表す英語の文字列を、図9(A)に示すように、左側の運転席から見やすいように回転させて表示させる。なお、右ハンドル仕様の地域情報、言語情報及びステアリング位置情報が取得された場合は、地図表示処理プログラムは、地図上の通りの名称を表す文字列を、図9(B)に示すように、右側の運転席から見やすいように回転させて表示させる。
【0046】
以上説明したように、この発明の実施の形態2に係るカーナビゲーションシステムによれば、外部の車両信号出力装置3から取得可能な車両情報を利用することで、車両2が使用される地域、言語及び車両2のステアリング位置に適合するナビゲーション機能を1つのプログラムで実現が可能となり、共通プラットフォームである同一のハードウェア上で複数の機種としての動作が可能になる。
【符号の説明】
【0047】
1 カーナビゲーションシステム、2 車両、3 車両信号出力装置、10 車載情報装置、11 外部通信インタフェース、12 内部記憶装置、13 情報処理部、14 車両情報取得手段、15 取得情報判定手段、16 設定情報比較手段、17 設定情報通知手段、18 設定情報切替手段、19 処理プログラム、20 情報記憶装置、21 地図データ、30 表示装置、31 表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載LANを経由して車両が保持している車両情報を取得し、ナビゲーション機能を実現するための処理プログラムを当該車両情報に適合した設定状態とするカーナビゲーションシステムであって、
前記車両情報を取得する車両情報取得手段と、
取得された車両情報に含まれる客先情報が、保有する客先一覧テーブルに存在するか否かを判定する取得情報判定手段と、
前記取得情報判定手段において、取得された客先情報が前記客先一覧テーブルに存在しないと判定されたとき、当該客先情報が内部記憶装置に記憶されている場合は当該客先情報に基づいた設定情報を生成し、記憶されていない場合は初期値の設定情報を生成する設定情報生成手段と、
生成された設定情報を前記処理プログラムに通知する設定情報通知手段と、
前記設定情報通知手段から通知された設定情報に応じて前記処理プログラム内部の設定状態を切り替える設定情報切替手段とを備えるカーナビゲーションシステム。
【請求項2】
客先一覧テーブルに存在すると判定された客先情報を内部記憶装置に記憶された客先情報と比較し、一致しない場合、当該客先情報を前記内部記憶装置に格納する設定情報比較手段をさらに備え、
前記設定情報比較手段において、取得された客先情報が前記内部記憶装置に記憶されている場合は当該客先情報に基づいて設定情報を生成し、記憶されていない場合は直前に前記内部記憶装置に記憶された客先情報に基づいて設定情報を生成することを特徴とする請求項1記載のカーナビゲーションシステム。
【請求項3】
車両情報取得手段で取得される車両情報は、地域情報、言語情報及びステアリング情報を含み、処理プログラムは、該地域情報、言語情報及びステアリング情報に従ってナビゲーション機能を実現する処理を実行することを特徴とする請求項1記載のカーナビゲーションシステム。
【請求項4】
ナビゲーション機能は、自車位置を検出するロケーション機能、地図を表示させる地図表示機能、メニューを表示させるメニュー表示機能、スタートアップ画面を表示させるオープニング機能並びに住所及び施設検索のデータを選択する検索機能の少なくとも1つであることを特徴とする請求項1記載のカーナビゲーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−8420(P2010−8420A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187257(P2009−187257)
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【分割の表示】特願2003−423013(P2003−423013)の分割
【原出願日】平成15年12月19日(2003.12.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】