説明

カーブコンベヤ

【課題】より簡略な構成でカーブコンベヤにおけるスティック音の発生を抑制する。
【解決手段】カーブベルト13を駆動テーパローラ11と従動テーパローラ12に掛け回し扇型に張設する。駆動テーパローラ11の外周面にベルト片を貼り付け、凹凸目を施す。従動テーパローラ12の表面を滑らかな表面とする。従動テーパローラ12とカーブベルト13との間の摩擦係数を駆動テーパローラ11とカーブベルト13との間の摩擦係数の半分以下とする。駆動テーパローラ11のシャフト11Aをベルト伝動装置14を介して原動機15に連結し、回転駆動力を伝達する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーパローラを用いてカーブベルトを張設するカーブコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
カーブコンベヤには、一対のテーパローラにカーブベルトを掛け回し、カーブベルトを扇形に張設するものが知られている。このようなカーブコンベヤでは、各テーパローラがベルトに駆動力を伝達するために、各テーパローラはグリップカをもってカーブベルトと接触している。しかし、カーブコンベヤでは、テーパローラやカーブベルトの製造誤差などにより、扇形に張設された実際のカーブベルトの内側と外側の周長は、テーパローラが規定する内側と外側の周長と僅かに異なる。したがって、カーブベルトがテーパローラに確りとグリップされて駆動されると、内側と外側の周長誤差によりベルトに歪みが生じ、徐々に蓄積される。蓄積された歪みによる力がグリップ力を上回ると、ベルトとテーパローラとの間にスリップが発生して所謂スティック音が発生する。
【0003】
このような問題に対して、一対のテーパローラの一方を駆動ローラとし、他方を従動ローラとして、各ローラの材質を異ならせるとともに、従動ローラとカーブベルトの間の摩擦係数を駆動ローラとカーブベルトとの間の摩擦係数の半分以下に設定し、これにより、スティック音の発生を抑制したものが提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開平9−315532号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、より簡略な構成でカーブコンベヤにおけるスティック音の発生を抑制することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るカーブコンベヤは、テーパローラを用いてカーブベルトを張設するカーブコンベヤであって、駆動力をカーブベルトに伝達するための駆動テーパローラと、アイドル機能をもってカーブベルトを支持する従動テーパローラとを備え、駆動テーパローラと従動テーパローラの相互位置及びベルト製作精度に起因するずれから発生するカーブベルトの周速差によるベルト帆布と駆動テーパローラの表面との間のスティックスリップ現象を防止したことを特徴としている。
【0006】
例えば駆動テーパローラの表面粗さを粗くして、ベルト帆布と駆動テーパローラの表面との間のスティックスリップ現象を防止する。このとき駆動テーパローラの外周面に凹凸目を設けるとともに、従動テーパローラの外周面は滑らかな表面とし、従動テーパローラとカーブベルトとの間の摩擦係数は駆動テーパローラとカーブベルトとの間の摩擦係数の半分以下とするこが好ましい。
【0007】
凹凸目は、例えば駆動テーパローラの外周面に凹凸目を有する凹凸目シートを貼り付けることにより設けられる。また凹凸目シートの硬さは、カーブベルトの硬さよりも硬いことが好ましい。
【0008】
従動テーパローラの表面には、例えば樹脂塗装またはポリエステル塗装が施される。また従動テーパローラは、金属製あるいは硬質樹脂製である。また好ましくは、テーパローラにおいて、径の細い方の摩擦係数と径の太い方の摩擦係数を変化させる(異ならせる)。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明によれば、簡略な構成でカーブコンベヤにおけるスティック音の発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態であるカーブベルトを用いたベルトコンベヤの概観を模式的に示す平面図である。
【0011】
本実施形態のカーブコンベヤ10では、駆動テーパローラ11と従動テーパローラ12が、所定の中心角度をなすように配置される。駆動テーパローラ11と従動テーパローラ12には、カーブベルト13が掛け回され、カーブベルト13は扇形に張設される。
【0012】
駆動テーパローラ11および従動テーパローラ12は、カーブコンベヤ10における扇形の中心に向かうに従って径が細くなるローラであり、駆動テーパローラ11のシャフト11Aは、例えばベルト伝動装置14により、原動機15に連結され、回転力が与えられる。一方、従動テーパローラ12は、自由に回転できるようにコンベア本体に取り付けられており、ベルトに対して駆動力を与えることはない。
【0013】
図2は、駆動テーパローラ11の模式的な側面図である。本実施形態において、駆動テーパローラ11の表面(外周面)には凹凸目(例えばローレット目)が形成される。すなわち、本実施形態では、駆動テーパローラ11に例えばローレットローラが用いられる。一方、本実施形態において、従動テーパローラ12の表面には、例えば樹脂塗装またはポリエステル塗装が施されるか、あるいはテーパローラ自身が金属あるいは硬質樹脂製などとされ、従動テーパローラ12の外周面は滑らかな表面とされる。また、本実施形態では、凹凸目を駆動テーパローラ11に施すことにより、従動テーパローラ12とカーブベルト13との間の摩擦係数を、駆動テーパローラ11とカーブベルト13との間の摩擦係数の半分以下としている。
【0014】
これにより、駆動テーパローラ11のグリップ力のみでカーブベルト13の搬送に必要な高いトルクを得て、従動テーパローラ12は単にアイドラとして用いることができる。すなわち、従動テーパローラ12においてカーブベルト13はグリップされていないので、駆動テーパローラ11のグリップ力により発生したベルトの歪みは、従動テーパローラ12を通して直ちに解消されるため、駆動テーパローラと従動テーパローラの相互位置及びベルト製作精度に起因するずれから発生するカーブベルトの周速差の発生が防止され、これによりベルト帆布と駆動テーパローラの表面との間で発生するスティック音(スティックスリップ現象)の発生を防止することができる。
【0015】
また、図2に示すように、駆動テーパローラ11の表面は、例えば軸方向に複数の領域(例えば3つの領域)A1、A2、A3に分割されており、各領域に異なる凹凸目を施すことができる。扇形の中心側、すなわち径の細い側の領域から順に、グリップ力の高い(摩擦係数の高い)凹凸目が形成される(領域A1のグリップ力>領域A2のグリップ力>領域A3のグリップ力)。
【0016】
カーブコンベヤでは、一般に扇形の中心に向けた向心力がカーブベルトに作用し、駆動中にベルトが中心方向にずれる。したがって、通常カーブベルトの外周部には、図1に示されるように、向心力によるずれを防止するためのベルト保持機構17が設けられている。なおベルト保持機構17は、例えばローラを用いてカーブベルトの外周部に設けられたビードを把持する構成を備えたものである。
【0017】
一方、図2を参照して説明された構成のように、駆動テーパローラ11の中心側のグリップ力を外側のグリップ力よりも高く設定すると、カーブベルト13が中心側にずれることを防止することができ、これによりベルト保持機構の必要性が低減され、その機構を簡略化あるいは省略することができる。
【0018】
また、図3に示されるように、例えば駆動テーパローラ11の外周面に凹凸目を有するシート(例えばベルト片)16を貼り付けることにより凹凸目を形成することもできる。これにより、極めて簡単に凹凸目(特に異なる複数の凹凸目)を駆動テーパローラ11に設けることができる。また、このとき駆動テーパローラ11に貼り付けられる凹凸目シート16には、搬送用のカーブベルト13よりも硬いベルトが用いられる。これにより、凹凸目の摩耗を防止することができる。
【0019】
以上のように、本実施形態によれば、簡略な構成でスティック音の発生を抑制することができるとともに、ベルト保持機構の必要性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態であるカーブベルトを用いたベルトコンベヤの概観を模式的に示す平面図である。
【図2】駆動テーパローラの模式的な側面図である。
【図3】本実施形態の駆動テーパローラの断面図である。
【符号の説明】
【0021】
10 カーブコンベヤ
11 駆動テーパローラ
12 従動テーパローラ
13 カーブベルト
14 ベルト伝動装置
15 原動機
16 凹凸目シート(ベルト片)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーパローラを用いてカーブベルトを張設するカーブコンベヤであって、
駆動力を前記カーブベルトに伝達するための駆動テーパローラと、
アイドル機能をもって前記カーブベルトを支持する従動テーパローラとを備え、
前記駆動テーパローラと前記従動テーパローラの相互位置及びベルト製作精度に起因するずれから発生する前記カーブベルトの周速差によるベルト帆布と前記駆動テーパローラの表面との間のスティックスリップ現象を防止する
ことを特徴とするカーブコンベヤ。
【請求項2】
前記駆動テーパローラの表面粗さを粗くして、前記ベルト帆布と前記駆動テーパローラの表面との間の前記スティックスリップ現象を防止することを特徴とする請求項1に記載のカーブコンベヤ。
【請求項3】
前記駆動テーパローラの外周面に凹凸目を設けるとともに、前記従動テーパローラの外周面は滑らかな表面とし、前記従動テーパローラと前記カーブベルトとの間の摩擦係数が前記駆動テーパローラと前記カーブベルトとの間の摩擦係数の半分以下とすることを特徴とする請求項2に記載のカーブコンベヤ。
【請求項4】
前記凹凸目が、前記駆動テーパローラの外周面に凹凸目を有する凹凸目シートを貼り付けることにより設けられることを特徴とする請求項3に記載のカーブコンベヤ。
【請求項5】
前記凹凸目シートの硬さが、前記カーブベルトの硬さよりも硬いことを特徴とする請求項4に記載のカーブコンベヤ。
【請求項6】
前記従動テーパローラの表面に、樹脂塗装またはポリエステル塗装が施されることを特徴とする請求項1に記載のカーブコンベヤ。
【請求項7】
前記従動テーパローラが、金属製あるいは硬質樹脂製であることを特徴とする請求項1に記載のカーブコンベヤ。
【請求項8】
前記テーパローラにおいて、径の細い方の摩擦係数と径の太い方の摩擦係数を変化させたことを特徴とする請求項1に記載のカーブコンベヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−308213(P2007−308213A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−136176(P2006−136176)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(000111085)ニッタ株式会社 (588)
【Fターム(参考)】