説明

カーペットの再生するための方法およびシステム、ならびに再生された材料から製造されたカーペット

本発明は、カーペットと、カーペットを作製しリサイクルする方法とに関する。一態様では、カーペットは、表面および裏面を有する1次裏当てと、1次裏当てに取着されてこの1次裏当ての表面から延びておりこの1次裏当ての裏面に露出する複数の繊維と、テルペン溶媒溶液から再生されたリサイクル済みポリマーを含む接着組成物裏当てと、接着裏当てに隣接する任意選択の2次裏当てとを含む。カーペットを作製する方法は、1次裏当ての裏面に接着組成物を押出しコーティングして、接着組成物裏当てを形成するステップを含む。カーペットをリサイクルする方法は、1種または複数のポリマーカーペット成分を、それらを溶解することによって回収することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2006年11月13日に出願された米国仮特許出願第60/865,611号に対する優先権およびこの出願の利益を主張する。この仮特許出願第60/865,611号の全体の開示は、すべての目的のために本明細書において参考として援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、一般に、カーペットから1種または複数のポリマー成分を再生するための方法およびシステムに関する。本発明は、開示された方法およびシステムによって再生された使用済みカーペット材料を含むカーペットにも関する。さらに本発明は、使用済みカーペットから再生された材料を含むカーペットの製造方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
カーペット、特にナイロンカーペットは、多くの家庭および企業で選択された床敷物である。残念ながらカーペットは、寿命が限られており、最終的には交換しなければならず、その結果、使用済みカーペット廃棄物は一般に、ごみ埋立地に送られる。毎年発生する莫大な量のカーペット廃棄物は、ごみ埋立地の容量に負担となり、環境に悪影響を及ぼす。さらに、ほとんどのカーペットは、表面繊維としてナイロンで、即ち比較的高価な材料で作製される。廃棄された使用済みカーペットの量は、潜在的に再使用可能なカーペット成分が、毎年何十億ドルも失われていることを示す。
【0004】
環境に対する使用済みカーペットの影響を低減させるには、また繊維およびその他の有用なカーペット材料廃棄物を廃棄することによる経済的損失の一部を取り戻すには、カーペットのリサイクルが理に適った解決策であると考えられる。しかし、カーペットをリサイクルすることは、その3種の主な成分が化学的にかつ物理的に多様であるので難しい。ほとんどのカーペットは、その約20〜50重量%が表面繊維からなり、残りは、一般にポリプロピレンである裏当て材と、このカーペット繊維および裏当て材を接着する接着剤である。接着剤は、典型的には、カルボキシル化スチレン−ブタジエン(XSB)ラテックスコポリマーと、炭酸カルシウムなどの無機充填剤とを含む。さらに、硬化した熱硬化性の系は、ある状況では回収可能であるが、2代目のカーペットの製造において原材料のポリマー成分として再使用することができない。
【0005】
カーペットをリサイクルするには、表面繊維を典型的には接着剤および裏当てから切り離して、新製品に再加工しまたは化学的にリサイクルする。カーペット繊維を機械的に除去するための様々な方法が使用されてきた。これらの方法は、不都合なことに、低収率のリサイクル済みカーペット繊維をもたらす。例えば特許文献1は、アルカリ水溶液の存在下で剪断力を加えることによって完全に除去することができる接着剤を用いる方法を開示している。別の例では、特許文献2は、カーペットを粉砕して約4分の1インチ未満の繊維長にし、水浴で洗浄し、カーペットの様々な材料を密度に応じて分離させる方法を開示している。
【0006】
他の例では、特許文献3は、空気、水、加熱された空気、水蒸気、および化学溶液からなる高度に加圧された流体を繰り返し当て、回転要素で繰り返し剥がすことによって、ラテックス/充填剤の結合剤系をばらばらにし剥離することにより、カーペット全体を解体し、切り離し、分離するための方法について記述している。
【0007】
別の例では、特許文献4は、粒度が小さくなるように裁断しかつ衝撃力にかけ、粒子をスクリーンで分離し洗浄し、その後、液体サイクロンで水中で分離するという多数のステップを用いた、カーペットから表面繊維を回収する方法について記述している。洗浄操作は任意選択で、水酸化ナトリウムや非イオン性界面活性剤など、粒子の湿潤および分離を改善する添加剤を含む。
【0008】
カーペットをリサイクルする別の方法は、残りの成分からのカーペット繊維自体を溶解することである。例えば特許文献5は、アルコール−水の薬剤に溶解することによって、カーペット廃棄物からナイロンを抽出する方法について記述している。この方法は不都合なことに、大量の有機溶媒を使用する。他の例では、特許文献6は、カプロラクタム−水の混合物に溶解することによって、カーペット廃棄物からナイロンを抽出する方法について記述する。この方法も、大量の有機溶媒を必要とする。
【0009】
さらに他の例では、特許文献7は、精製および重合することができるカプロラクタムを得るために、押出し溶融物として反応器に供給されかつ高温高圧の過熱水蒸気と接触する多成分廃棄物材料を、解重合する方法について記述している。最後に、特許文献8は、カーペットの繊維をリサイクルする難しさについて記述し、また有機軟化剤の使用を含む方法について記述している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6,610,769号明細書
【特許文献2】米国特許第5,240,530号明細書
【特許文献3】米国特許第5,230,473号明細書
【特許文献4】米国特許第5,722,603号明細書
【特許文献5】米国特許第5,840,773号明細書
【特許文献6】米国特許第5,889,142号明細書
【特許文献7】米国特許第5,932,724号明細書
【特許文献8】米国特許第5,916,410号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、カーペットの1種または複数の構成部分をリサイクルするための改善された方法およびシステムを提供することが求められている。さらに、2代目のカーペットの製造で使用するのに適切な、再生された材料をもたらすことができる、改善されたカーペットリサイクル方法およびシステムを提供することが求められている。さらに、使用済みカーペットから再生された1種または複数の材料を含むカーペット構造の製造が、求められている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、1つには、カーペットから1種または複数のポリマー成分を再生するための新規な方法の発見に基づいている。リサイクルされるカーペットは、任意のカーペットであってよい。1つの態様では、またこれに限定するものではないが、カーペットは、使用済みまたは未使用のカーペット、製造残留物、および品質管理欠陥品などであってよい。この方法は、一般に、少なくとも1種のポリマーベース成分を含む使用済みカーペットを、テルペン含有溶媒系に曝すステップを含む。使用済みカーペット中のポリマー成分は、テルペン含有溶媒系に少なくとも実質的に溶解する。ポリマーの溶解後、任意の不溶性成分材料を溶媒系から除去し、その後、溶解したポリマー成分から溶媒系を分離することができる。本発明の実施形態では、溶解したポリマー成分の分離は、テルペン溶媒の抽出によって行うことができる。テルペン溶媒の抽出を少なくとも実質的に終了した後、再生されることになる当初から溶解しているポリマー材料を含んだ組成物が残される。この得られた組成物は、2代目のカーペットの製造で使用するのに適した組成物を含有するポリマーを得るために、さらに加工することができ、但し2代目のカーペットの1種または複数の成分は、上記に要約した方法によって再生された組成物を含有するポリマーを含むものである。
【0013】
別の広範な態様では、本発明は、複数の繊維と、表面および裏面を有する1次裏当て材と、任意選択のプレコート材料と、接着裏当て材と、任意選択の2次裏当て材とを含み、複数の繊維が1次裏当て材に結合しており、1次裏当て材の表面から突出しており、かつ1次裏当て材の裏面に露出しているカーペットを提供する。一態様では、任意選択のプレコート層が、1次裏当て層の裏面に付着され、その後、接着裏当て材がプレコート層に隣接して配置される。あるいは、プレコート層が存在しない場合、接着裏当て材は、1次裏当て材の裏面に配置することができる。これらの態様によれば、任意選択の2次裏当て材は、接着裏当て材に隣接して付着させることができる。本発明のこの広範な態様によれば、上述のカーペット構造のいずれか1種または複数の成分は、上述の再生されたポリマー組成物を含むことができる。1つの例示的な態様では、接着裏当て材は、上述の再生されたポリマー組成物を含む。さらに、製造されたカーペット構造は、広幅織りカーペット、カーペットタイル、またはエリアラグにすることもできる。
【0014】
さらに別の広範な態様では、本発明は、上記に要約した、1種または複数の再生されたポリマー組成物を含むカーペットを作製する方法も提供する。製造されたカーペットは、ヤーンを含む表面と、1次裏当て材と、接着裏当て材とを含む。上述のように、カーペットは任意選択で、1次裏当ての裏面と接着材料との間に配置されたプレコート層を含むことができる。さらにカーペットは、任意選択で、2次裏当て材も含むことができ、但し1次裏当て材は、カーペットの表面とは反対側に裏面を有している。この方法の態様によれば、ヤーンは1次裏当て材に取着しており、接着裏当て材は1次裏当て材の裏面に付着しており、任意選択の2次裏当て材は、接着裏当て材上に付着している。例示的な態様では、接着裏当て層は、上記に要約した再生されたポリマー組成物を含む。
【0015】
本発明の追加の実施形態は、一部が詳細な説明、図、および下記の特許請求の範囲で記述され、一部が詳細な説明から得られ、または本発明の実施によって学ぶことができる。前述の概略的な説明および下記の詳細な説明の両方は、単なる例示および説明にすぎず、開示される本発明を制限するものではないことが、理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一態様による、例示的なリサイクルシステムおよび方法を示す、概略図である。
【図2】本発明の例示的な多重容器逆流溶媒溶解システムを示す概略図である。
【図3】例示的なタフテッドカーペットを示す図である。
【図4】本発明の一態様による、例示的な押出しコーティングラインを示す概略図である。
【図5】本発明の一態様による、例示的な押出しコーティングラインを示す概略図である。
【図6】本発明の一態様による、例示的なタフテッドカーペットタイルを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、以下の詳細な説明、実施例、図面、および特許請求の範囲と、それらの先のおよび以下の記述を参照することによって、より容易に理解することができる。しかし、本発明の装置、システム、および/または方法が開示され記述される前に、本発明は、他に特に指定しない限り、開示された特定の装置、システム、および/または方法に限定されず、したがって当然ながら、変更を加えることができることが理解されよう。本明細書で使用される用語は、特定の態様のみ記述することを目的とし、限定を意味するものではないことも理解されよう。
【0018】
本発明の以下の説明は、その最良の現在知られている実施形態において、本発明の使用可能な教示として提供される。このために、当業者は、本明細書に記述される本発明の様々な態様に多くの変更を加えることができ、それでもなお本発明の有益な結果が得られることを、認識し理解するであろう。本発明の所望の利益のいくつかは、本発明の特徴のいくつかを、その他の特徴を利用することなく選択することによって得ることができることも、明らかにされよう。したがって当業者なら、本発明に対する多くの修正および適用が可能であり、ある環境ではなお望ましいものにすることができ、本発明の一部であることを、理解するであろう。このように、以下の説明は、本発明の原理の例示として提供され、その限定を意味するものではない。
【0019】
本明細書で使用される単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が他に明示しない限り、複数形を含む。このように、例えば「表面」と言った場合には、文脈が他に明示しない限り、2種以上のそのような表面を有する態様を含む。
【0020】
範囲は、「約」の1つの特定の値から、かつ/または「約」の別の特定の値までと、本明細書で表すことができる。そのような範囲を表す場合、別の態様は、1つの特定の値から、かつ/またはその他の特定の値までを含む。同様に、先行詞「約」を使用することによって、値を近似値として表す場合、特定の値は別の態様を形成することが理解されよう。範囲のそれぞれの端点は、共に他方の端点に対して有意であり、かつ他方の端点とは無関係であることが、さらに理解されよう。
【0021】
本明細書で使用される「任意選択」または「任意選択で」という用語は、引き続き記述される事象または状況が生じても生じなくてもよいことを意味し、その記述には、前記事象または状況が生じる場合と生じない場合とが含まれることを意味する。
【0022】
「密接な接触」という用語は、1次裏当て材の裏面と接着裏当て材との間の機械的相互作用を指す。
【0023】
「実質的な封入」という用語は、1次裏当て材の裏面と接着裏当て材との間の界面でまたは界面のすぐ近くで、ヤーンまたは繊維束を十分に取り囲む接着裏当て材を指す。
【0024】
「実質的な圧密」という用語は、ヤーンまたは繊維束を実質的に封入し、1次裏当て材の裏面と接着裏当て材とを密接に接触させることによって実現されるカーペットの、全体的一体性および寸法安定性を指す。一態様では、実質的に圧密化されたカーペットは、様々なカーペットの成分に対して、良好な成分の凝集性および良好な耐剥離性を保持している。
【0025】
「一体的融着」という用語は、本明細書では、当技術分野で知られているものと同じ意味で使用され、接着裏当て材の融点よりも高い温度を使用したカーペット成分の熱結合を指す。この態様では、一体的融着は、接着裏当て材が、繊維または1次裏当て材あるいはこれら両方と同じポリマーを含む場合に生ずる。しかし、接着裏当て材が繊維および1次裏当て材とは異なるポリマーを含む場合、一体的融着は生じない。別の態様では、「同じポリマー」という用語は、ポリマーのモノマー単位が同じ化学的性質のものであることを意味するが、それらの分子または形態学的属性は異なってもよい。逆に言えば、「異なるポリマー」という用語は、いかなる分子または形態学的相違とも無関係に、ポリマーのモノマー単位が異なる化学的性質のものであることを意味する。このように、本発明の様々な定義によれば、ポリプロピレン1次裏当て材およびポリエチレン接着裏当て材は、これらカーペット成分が異なる化学的性質のものであるので、一体的に融着しないと考えられる。
【0026】
「カーペット成分」という用語は、本明細書では、カーペット繊維束、1次裏当て材、任意選択のプレコート層、接着裏当て材、任意選択の強化層、および任意選択の2次裏当て材を、個別に指すのに使用される。
【0027】
「押出しコーティング」という用語は、本明細書では、その従来の意味で押出し技法を指すのに使用され、即ち、通常はペレット形のポリマー組成物を、その融解温度よりも高い温度まで押出し機内で加熱し、次いでスロットダイに強制的に通して、半融解または融解ポリマーシートを形成する技法を指すのに使用される。半融解または融解ポリマーシートは、連続的に供給される生繊維材料(greige good)上に連続的に引き落とされて、この生繊維材料の裏面をポリマー組成物でコーティングする。本明細書で使用される押出しコーティングは、生繊維材料へのコーティングの付着に限定するものではなく、むしろ、例えば1次裏当ておよび/または2次裏当てを含むカーペット構成の任意の所望の成分に、組成物を付着させるのに使用できることも理解すべきである。
【0028】
一態様では、「積層技法」という用語は、本明細書では、その従来の意味で使用され、最初に接着裏当て材を、固化したまたは実質的に固化したフィルムまたはシートとして形成し、その後、個別の加工ステップで、フィルムまたはシートを再加熱しあるいはそのフィルムまたはシートの温度を上昇させた後、このフィルムまたはシートを1次裏当て材の裏面に付着させることによる、接着裏当て材の生繊維材料への付着を指す。
【0029】
「熱含量」という用語は、本明細書では、充填剤の熱容量と比重との数学的積を指すのに使用される。高い熱含量を有すると見なされる充填剤は、本発明の特定の実施形態において、接着裏当て材の固化または融解時間を延ばすのに使用される。その開示が参照により本明細書に組み込まれるThe Handbook for Chemical Technicians、Howard J. StraussおよびMilton Kaufmann、McGraw Hill Book Company、1976年、セクション14および2−1は、選択鉱物充填剤の熱容量および比重に関する情報を提供する。本発明で使用するのに適した充填剤は、本発明の押出しコーティング加工温度範囲全体にわたって、その物理的状態を変化させない(即ち、固体材料のままである)。例示的な好ましい高熱含量充填剤は、高い比重および高い熱容量の組合せを有している。
【0030】
「内破剤」という用語は、本明細書では、従来の発泡剤の使用、または熱によって、通常はある特定の活性化温度で活性化したときに、ガス抜きしもしくはガス抜きを引き起こすその他の化合物の使用を指すのに使用される。本発明では、内破剤を使用して、接着裏当て材をヤーンまたは繊維束の空きスペースに向けて内破しまたは押し遣ることができる。
【0031】
「加工材料」という用語は、本明細書では、接着裏当て材の接着または物理界面相互作用を妨げることのできる、スピン仕上げワックス、装置油、およびサイズ剤などの物質を指すのに使用される。任意選択で、加工材料の少なくとも一部は、改善された機械結合が実現される本発明の精練または洗浄技法によって除去しまたは押し退けることができる。
【0032】
「ポリプロピレンカーペット」および「ポリプロピレン生繊維材料」という用語は、本明細書では、カーペットまたは生繊維材料用の1次裏当て材がポリプロピレンまたは他の何らかの材料からなるか否かに関わらず、実質的にポリプロピレン繊維からなるカーペットまたは生繊維材料を指すのに使用される。
【0033】
「ナイロンカーペット」および「ナイロン生繊維材料」という用語は、本明細書では、カーペットまたは生繊維材料用の1次裏当て材がナイロンまたは他の何らかの材料からなるか否かに関わらず、実質的にナイロン繊維からなるカーペットまたは生繊維材料を指すのに使用される。
【0034】
エチレンポリマーについて述べるのに使用される「線状」という用語は、本明細書では、エチレンポリマーのポリマー主鎖が、測定可能なまたは実証可能な長鎖分岐に欠けていることを指すのに使用され、例えばポリマーは、平均0.01長分岐/炭素1000個未満で置換される。
【0035】
本明細書で使用される「コポリマー」という用語は、2個以上の種々の反復単位(モノマー残基)から形成されたポリマーを指す。例として、かつこれらに限定するものではないが、コポリマーは、交互コポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、またはグラフトコポリマーでよい。
【0036】
エチレンポリマーについて述べるのに使用される「均質エチレンポリマー」という用語は、その開示が参照により本明細書に組み込まれているElstonの米国特許第3645992号での当初の開示により、従来の意味で使用され、即ち、コモノマーが所与のポリマー分子内にランダムに分布しており、かつポリマー分子の実質的に全てが実質的に同じエチレンとコモノマーとのモル比を有している、エチレンポリマーを指すのに使用される。本明細書で定義されるように、実質的に線状のエチレンポリマーおよび均質に分岐した線状エチレンは、共に、均質エチレンポリマーである。
【0037】
均質に分岐したエチレンポリマーは、短鎖分岐を有しかつ比較的高い短鎖分岐分布指数(SCBDI)または比較的高い組成物分布分岐指数(CDBI)を特徴とする、均質エチレンポリマーである。即ちエチレンポリマーは、50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上のSCBDIまたはCDBIを有し、本質的に、測定可能な高密度(結晶性)ポリマー画分に欠けている。
【0038】
SCBDIまたはCDBIは、全モルコモノマー含量の中央値が50%以内のコモノマー含量を有するポリマー分子の重量%と定義され、ポリマー中のコモノマー分布とベルヌーイ分布で予測されるコモノマー分布との比較を表す。ポリオレフィンのSCBDIまたはCDBIは、例えば、その全ての開示が参照により本明細書に組み込まれているWildら、Journal of Polymer Science、Poly. Phys.版、20巻、441頁(1982年)、L. D. Cady、「The Role of Comonomer Type and Distribution in LLDPE Product Performance」、SPE Regional Technical Conference、Quaker Square Hilton、Akron、Ohio、10月1〜2日、107〜119頁(1985年)、または米国特許第4798081号および第5008204号によって記述されるような、例えば昇温溶離分画(本明細書では「TREF」と省略される)などの、当技術分野で知られている技法から得られたデータから都合良く計算することができる。しかし、好ましいTREF技法は、SCBDIまたはCDBIの計算でパージ量を含まない。より好ましくは、ポリマーのコモノマー分布およびSCBDIまたはCDBIは、例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5292845号およびJ. C. RandallのRev. Macromol. Chem. Phys.、C29、201〜317頁に記載されている技法により、13C NMR分析を使用して決定される。
【0039】
「均質に分岐した線状エチレンポリマー」および「均質に分岐した線状エチレン/αオレフィンポリマー」という用語は、オレフィンポリマーが、均質なまたは狭い短分岐分布を有する(即ち、ポリマーは比較的高いSCBDIまたはCDBIを有する)が、長鎖分岐を持たないことを意味する。即ち、線状エチレンポリマーは、長鎖分岐が存在しないことを特徴とする均質エチレンポリマーである。そのようなポリマーは、均一な短鎖分岐分布(即ち、均質に分岐している)を提供する重合プロセス(例えば、Elstonの米国特許第3645992号に記載されるような)を使用して、作製することができる。彼の重合プロセスでは、Elstonは、そのようなポリマーを作製するのに可溶性バナジウム触媒系を使用するが、三井石油化学工業やExxon Chemical Companyなどのその他は、Elstonによって記述されたポリマーと類似した均質構造を有するポリマーを作製するのに、いわゆるシングルサイト触媒系を使用することが報告されている。さらに、その開示が参照により本明細書に組み込まれているEwenらの米国特許第4937299号およびTsutsuiらの米国特許第5218071号は、均質に分岐した線状エチレンポリマーを調製するための、メタロセン触媒の使用を開示する。均質に分岐した線状エチレンポリマーは、典型的には、3未満、好ましくは2.8未満、より好ましくは2.3未満の分子量分布M/Mを有することを特徴とする。
【0040】
「均質な線状に分岐したエチレンポリマー」または「均質に分岐した線状エチレン/αオレフィンポリマー」という用語は、数多くの長鎖分岐を有する当業者に知られている高圧分岐ポリエチレンを指すものではない。一態様では、「均質線状エチレンポリマー」という用語は一般に、線状エチレンホモポリマーと線状エチレン/αオレフィンインターポリマーとの両方を指す。例えば、線状エチレン/αオレフィンインターポリマーは、短鎖分岐を有し、αオレフィンは、典型的には少なくとも1種のC〜C20αオレフィン(例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、および1−オクテン)である。
【0041】
他の態様では、エチレンホモポリマーに関連して使用する場合(即ち、いかなるコモノマーも含有せず、したがって短鎖分岐を含有しない、高密度エチレンポリマー)、「均質エチレンポリマー」または「均質線状エチレンポリマー」という用語は、ポリマーが、例えば、以下の3つ全ての開示が参照により本明細書に組み込まれている、ElstonまたはEwenにより記述されたもの、またはCanichの米国特許第5026798号および第5055438号によって記述されたもの、またはStevensらの米国特許第5064802号により記述されたものなど均質触媒系を使用して、例示的に作製されたことを意味する。
【0042】
一態様では、「実質的に線状のエチレンポリマー」という用語は、本明細書では、長鎖分岐を有する均質に分岐したエチレンポリマーを指すのに使用する。この用語は、線状ポリマー主鎖を有する不均質にまたは均質に分岐したエチレンポリマーを指すものではない。実質的に線状のエチレンポリマーの場合、長鎖分岐は、ポリマー主鎖と同じコモノマー分布を有し、長鎖分岐は、これが結合するポリマー主鎖の長さとほぼ同じ長さまで長くすることができる。実質的に線状のエチレンポリマーのポリマー主鎖は、長鎖分岐約0.01個/炭素1000個から長鎖分岐約3個/炭素1000個、より好ましくは長鎖分岐約0.01個/炭素1000個から長鎖分岐約1個/炭素1000個、特に長鎖分岐約0.05個/炭素1000個から長鎖分岐約1個/炭素1000個で置換される。
【0043】
他の態様において、長鎖分岐は、本明細書では少なくとも6炭素の鎖長と定義され、それよりも長いと、その長さは13C核磁気共鳴分光法を使用して区別することができない。長鎖分岐の存在は、13C核磁気共鳴(NMR)分光法を使用することにより、エチレンホモポリマーにおいて決定することができ、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、Randallによって記述された方法(Rev. Macromol. Chem. Phys.、C29、V. 2&3、285〜297頁)を使用して定量される。
【0044】
現行の13C核磁気共鳴分光法は、6炭素原子よりも長い長鎖分岐の長さを決定することはできないが、エチレン/1−オクテンインターポリマーを含めたエチレンポリマー中の長鎖分岐の存在を決定するのに有用な、その他の知られている技法がある。そのような2つの例示的な方法は、低角レーザ光散乱検出器(GPC−LALLS)を結合したゲル透過クロマトグラフィと、差動式粘度計検出器(GPC−DV)を結合したゲル透過クロマトグラフィである。長鎖分岐検出のためのこれら技法の使用、およびその基礎をなす理論は、文献に文書化されている。例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、Zimm, G. H.およびStockmayer, W. H.、J. Chem. Phys.、17、1301(1949年)、およびRudin, A.、Modem Methods of Polymer Characterization、John Wiley & Sons、New York(1991年)103〜112頁を参照されたい。
【0045】
他の態様では、実質的に線状のエチレンポリマーは、均質に分岐したエチレンポリマーであり、その開示が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5272236号および米国特許第5278272号に開示されている。均質に分岐した実質的に線状のエチレンポリマーは、ミシガン州ミッドランドのThe Dow Chemical CompanyからAFFINITY(商標)ポリオレフィンプラストマーとして、およびDupont Dow Elastomers JVからENGAGE(商標)ポリオレフィンエラストマーとして入手可能である。均質に分岐した実質的に線状のエチレンポリマーは、その開示が参照により本明細書に組み込まれる欧州特許出願416815−Aに開示された方法など、拘束幾何触媒の存在下での、エチレンと1種または複数の任意選択のαオレフィンコモノマーとの溶液、スラリー、または気相重合を介して、調製することができる。好ましくは、溶液重合プロセスは、本発明で使用される実質的に線状のエチレンポリマーを製造するのに使用される。
【0046】
「不均質な」および「不均質に分岐した」という用語は、エチレンポリマーを、様々なエチレンとコモノマーとのモル比を有するインターポリマー分子の混合物と特徴付けることができることを意味する。不均質に分岐したエチレンポリマーは、約30%未満の短鎖分岐分布指数(SCBDI)を有することを特徴とする。不均質に分岐した線状エチレンポリマーは、The Dow Chemical CompanyからDOWLEX(商標)線状低密度ポリエチレンとして、およびATTANE(商標)超低密度ポリエチレン樹脂として、入手可能である。不均質に分岐した線状エチレンポリマーは、その開示が参照により本明細書に組み込まれるAndersonらの米国特許第4076698号に開示されるようなプロセスによって、チーグラーナッタ触媒の存在下、エチレンと1種または複数の任意選択のαオレフィンコモノマーとの溶液、スラリー、または気相重合を介して調製することができる。不均質に分岐したエチレンポリマーは、典型的には3.5から4.1の範囲内の分子量分布M/Mを有することを特徴とし、したがって、組成上の短鎖分岐分布および分子量分布の両方に関し、実質的に線状のエチレンポリマーおよび均質に分岐した線状エチレンポリマーとは異なっている。
【0047】
本発明に有用な、実質的に線状のエチレンポリマーは、驚くことに、比較的狭い分子量分布(MWD)を有するにも関わらず、優れた加工性を有する。この態様では、実質的に線状のエチレンポリマーのメルトフローレート(I10/I)を、多分散性指数(即ち、分子量分布(M/M))とは本質的に無関係に変えることができる。これは、多分散性指数が増大するにつれてI10/I値も増大するような、理論的性質を有する従来の不均質に分岐した線状ポリエチレン樹脂とは対照的である。実質的に線状のエチレンポリマーのレオロジー特性も、比較的低く本質的に固定されたI10/I比を有する均質に分岐した線状エチレンポリマーとは異なっている。
【0048】
本明細書および結びの特許請求の範囲において、組成物または物品中の特定の要素または成分を重量部で示す場合は、その要素または成分と、重量部で表される組成物または物品中の任意のその他の要素または成分との間の重量関係を示す。このように、成分Xを2重量部および成分Yを5重量部含有する組成物または組成物の選択された部分では、XおよびYが2:5の重量比で存在し、追加の成分が組成物に含有されるか否かに関わらず、そのような比で存在する。
【0049】
成分の重量%は、他に特に記述しない限り、成分が含まれている配合物または組成物の全重量を基にする。
【0050】
本明細書で使用されるカーペットという用語は、文脈で他に明示しない限り、広幅織りカーペット、カーペットタイル、およびエリアラグも総称的に含むのに使用される。「広幅織りカーペット」は、ロール形態に製造されかつロール形態で使用することが意図される、広幅織りの織物フローリング製品を意味する。「カーペットタイル」は、従来18”×18”、24”×24”、または36”×36”平方のモジュール式床敷物を示すが、その他のサイズおよび形状も、本発明の範囲内にある。
【0051】
本発明は、本発明の好ましい実施形態の下記の詳細な説明およびそこに含まれる実施例と、図およびそれに関する先のおよび以下の説明を参照することによって、より容易に理解することができる。
【0052】
上記に要約したように、ある広範な態様では、本発明は、カーペットリサイクルシステムと、使用済みカーペット構造などの製造されたカーペット構造から1種または複数のポリマーを再生するための方法とを提供する。リサイクルシステムおよび方法は、テルペン含有溶媒系に可溶な任意のポリマー材料を再生するのに使用することができる。再生することができ、かつ製造されたカーペット構造内で一般に見られる例示的なポリマーには、ポリエチレンポリマー、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)、不均質に分岐した線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、不均質に分岐した超低密度ポリエチレン(ULDPE)、不均質に分岐した極低密度ポリエチレン(VLDPE)、不均質に分岐した線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、不均質に分岐した線状極低密度ポリエチレン(VLLDPE)、エチレンおよびαオレフィンのコポリマー、ポリプロピレン、プロピレンおよびαオレフィンのコポリマー、プロピレンおよびエチレンのコポリマー、エチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)、エチレンメチルアセテートコポリマー(EMA)、グラフト化ポリエチレンポリマー(例えば、無水マレイン酸押出しグラフト化不均質分岐線状低ポリエチレン、または無水マレイン酸押出しグラフト化均質分岐超低密度ポリエチレン)、エチレンアクリル酸コポリマー、エチレンエチルアクリレートコポリマー、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリブチレン、ポリカーボネート、エチレンプロピレンポリマー、エチレンスチレンポリマー、およびスチレンブロックコポリマーが含まれる。
【0053】
例示的かつ非限定的な態様では、本発明の方法およびシステムは、使用済みカーペット組成物から均質に分岐したエチレンポリマーを再生するのに使用することができる。再生することができる、例示的な均質に分岐したエチレンポリマーには、その開示全体が全ての目的で参照により本明細書に組み込まれている2005年7月29日出願の米国特許出願第11/193277号に記載された、カーペット構造で接着裏当て材として使用されたものが含まれる。これらのポリマー成分の再生に加え、以下により詳細に記述されるように、本発明の方法およびシステムは、例えばナイロンヤーン繊維、無機難燃剤、添加剤、および充填剤を含めた、カーペット組成物の1種または複数の非テルペン可溶成分部分の再生も可能にする。
【0054】
再生されるポリマーを含んだ製造されたカーペット構造は、限定するものではないがタフテッドカーペット、ニードルパンチカーペット、および硬織りカーペットも含めた、任意の所望のカーペット構造にすることができる。さらに、システムおよび方法は、カーペット構造がテルペンベースの溶媒系に可溶な少なくとも1種のポリマー材料を含む限り、広幅織りカーペット、カーペットタイル、およびエリアラグに関しても使用することができる。一態様では、リサイクルされるカーペット構造は、繊維束、1次裏当て材、任意選択のプレコート層、接着裏当て材、任意選択の強化層、および任意選択の2次裏当て材を含む。そのために、再生されるポリマー材料は、これら成分部分のいずれか1つまたは複数の中に存在することができる。例えば一態様では、繊維束は、ポリプロピレン繊維束からなるものにすることができる。この態様によれば、繊維束中のポリプロピレンは、本明細書に記述される方法およびシステムによって再生することができる。しかし、別の態様では、繊維束は、テルペン含有溶液に溶解しないナイロン材料を含んでよい。この態様によれば、再生されるポリマーは、カーペット構造の1種または複数のその他の成分部分に存在させることができる。例えば、上述の1種または複数のポリマー成分は、接着裏当て材または任意選択の2次裏当て材にも存在させることができる。したがって、本発明の方法およびシステムで供給材料として使用されるカーペットは、このカーペットがテルペン溶媒系に可溶な少なくとも1種のポリマーを含む限り、任意の特定の形、構造、または材料に限定されないことを理解すべきである。さらに、リサイクルされるカーペットは、任意のカーペットでよいことが考えられる。一態様では、限定するものではないが、カーペットは、使用済みまたは使用前のカーペット、製造残留物、および品質管理欠陥品などでよい。
【0055】
図1は、本発明の一態様による例示的なリサイクル方法およびシステム100を、概略的に示す。図示されるように、使用済みカーペット供給材料110が供給される。カーペット供給材料110は、この場合も、本明細書に記述される少なくとも1種のポリマー組成物を含む、任意の所望のカーペット構造にすることができる。使用済みカーペットに関して一般に見られるように、リサイクルプロセスの効率を損なう可能性がある異物が、使用済みカーペットには存在する可能性がある。例示的な異物には、ステープル、金属片、爪、ブラッド、またはさらにカーペットをその初期設置部位から除去する間に使用された用具などの金属材料を含めることができる。したがってシステムおよび方法は、任意選択で、全ての異物を最初に使用済みカーペットから除去するステップ120を、含むことができる。異物が除去されたら(たとえ存在しても)、使用済みカーペットをサイズ縮小ステーション130に送ることができる。サイズ縮小は、溶媒系に接触することができるカーペットの表面積を増大させ、したがってテルペン溶媒系へのポリマーの溶解を促進させることができる。このために、サイズ縮小は、任意の従来の工業用シュレッダ、裁断機、および粉砕機などによって実現することができる。一態様では、好ましいサイズ縮小装置は、Herbold型SMS60/100/G3/2造粒機を含む。任意の所望のサイズ縮小を使用することができるが、好ましい態様では、カーペットは、0.5インチから4インチまでの範囲の平均長さおよび/または幅を有する複数の塊または小片に縮小される。
【0056】
供給材料カーペットが、適切にサイズ決めされた小片に縮小された後、この供給材料を、任意選択で洗浄ステーション140で予備洗浄して、使用済みカーペットに存在する可能性がある汚れ、砂、油、無機廃棄物、または有機廃棄物などの不純物を全て除去することができる。サイズ決めされた縮小カーペット小片の、任意選択の予備洗浄は、例えば水、アセトン、または有機溶媒も利用する溶媒洗浄を含むことができる。
【0057】
任意選択の予備洗浄の後、カーペット供給材料を、テルペンを含む溶媒系150に導入する。溶媒系に導入すると、本明細書に記述されるあらゆるテルペン可溶性ポリマー材料が、テルペン溶媒中に溶解することになる。望む場合には、溶媒系を、周囲温度よりも高く加熱して、溶媒へのポリマーの溶解を促進させることができる。例えば、本発明の態様によれば、テルペン溶媒系の沸点近くであるが沸点よりもまだ低い温度にまで、溶媒を加熱することが望ましいと考えられる。さらに、別のその他の態様では、溶媒系を高圧下で維持することができる。当業者に理解されるように、加圧容器を使用して、高い圧力下で溶媒系を維持することができる。圧力を増大させることにより、加圧溶媒の沸点に到達することなく、溶媒系をさらに高い温度まで加熱することができ、溶媒系へのポリマーの溶解がさらに促進される。
【0058】
溶解ステップは、カーペット内に存在するテルペン可溶性ポリマー全てを少なくとも実質的に溶解するのに十分な時間にわたり、上述の所望の温度および圧力の条件下で維持される単一容器内で、カーペットを溶媒系に接触させるステップを含むことができる。しかし代替の態様では、溶解ステップは、複数の連続した溶解容器を含むことができ、そこでは初期カーペット供給材料が、複数の溶解容器内に順次導入される。複数の容器の使用は、以下に述べる揮発分除去の前に所与の容器で実現することのできる、溶解したポリマーの濃度を、最大限にすることができる。図2を参照すると、3つの連続した逆流タンクからなる例示的な溶解システム200が、示されている。図2aでは、カーペット205を、当初は純粋溶媒からなる容器1に最初に導入し、そこではカーペット内のテルペン可溶性ポリマー材料の第1の部分が、溶媒系に溶解し始める。カーペット内に存在し得る種々の材料に関連した様々な溶解速度が原因で、テルペン可溶性ポリマーの実質的に全てを溶解する際の容器1の効率は、溶媒が可溶化ポリマーの最大濃度に達する前に、またはテルペン可溶性ポリマーの実質的に全てが溶解する前に、著しく低下する可能性がある。したがって、ポリマーの第1の部分が溶解した後、不溶性材料および余分なテルペン溶解性ポリマーを含んだ残されたカーペット205’を、容器1から取り出し、当初は純粋溶媒を含有する容器2に導入することができる。容器2に入ると、テルペン可溶性ポリマーの第2の部分は、溶媒系に溶解することになる。しかし、やはりカーペットに存在し得る種々の材料に関連した様々な溶解速度が原因で、残されたテルペン可溶性ポリマーの実質的に全てを溶解する際の容器2の効率は、溶媒が可溶化ポリマーの最大濃度に到達する前に、著しく低下する可能性がある。したがって、ポリマーの第2の部分が容器2に溶解した後、不溶性材料および余分なテルペン可溶性ポリマーを含んだ残されたカーペット205”を、容器2から取り出し、引き続き、やはり最初は純粋溶媒が入っている容器3に導入することができる。このプロセスは、容器1が溶解ポリマーの最大濃度に達するまで繰り返すことができ、達した時には、容器1をラインから離脱させて、後続の揮発分除去および溶解ポリマーの再生を行うことができる。
【0059】
図2bに示されるように、容器1が除去されたら、容器2および3をそれぞれ先に進めることができ、純粋溶媒が入っている新しい容器4を、このシステムに導入することができる。次いで上述の逐次溶解プロセスを、容器2が溶解ポリマーの最大濃度に達するまで繰り返すことができ、達した時には、容器2をラインから離脱させて、後続の揮発分除去および溶解ポリマーの再生を行うことができる。図2cに示されるように、容器2を除去したら、容器3および4をそれぞれ先に進めることができ、新しい容器5を導入することができる。例示された逆流プロセスは、3つの溶解容器を含むものが示されているが、このプロセスは、任意の所望の数の揮発分除去容器を利用することができ、例示された態様に限定するものではないことを理解すべきである。
【0060】
テルペン溶媒系150は、下記の一般構造を有する少なくとも1種のテルペンを含む
【0061】
【化1】

(式中、各
「−−−−」は、任意選択の結合を意味し;任意選択の結合の少なくとも2つが存在し;R、R1’、およびRは独立に、アルキルおよびカルボキシルから選択され;R、RおよびRは独立に水素、ヒドロキシル、カルボニル、ハロゲン、アルキル、アルコキシル、カルボキシル、およびアシルから選択され;Rは、水素、ヒドロキシル、または酸素から選択される)。例示的な態様では、テルペン溶媒系は、さらに、RおよびRがメチルであり;C1とC2との間の任意選択の結合が存在しかつR1’がメチレンであり;C1とC2との間の任意選択の結合が存在し;かつR、R、およびRが水素である、上述のテルペンを含むことができる。別の例示的な態様では、テルペンは、C5とC6との間およびC6とRとの間の任意選択の結合が存在せず、かつC6がS配置を有している、上述の一般構造を有することができる。
【0062】
例示的な態様では、テルペンは、ジペンテン(ラセミリモネン)でよい。あるいはテルペンは、非ラセミ1−メチル−4−プロプ−1−エン−2−イル−シクロヘキセン(RリモネンまたはSリモネン)でよい。さらに、テルペンは(S)−鏡像異性体(非天然リモネン)でよい。別の態様では、テルペンは、2−メチル−5−(プロプ−1−エン−2−イル)シクロヘキス−2−エノンである。
【0063】
代替の態様では、少なくとも1種のテルペンは、下記の構造を有するD−リモネンでよい。
【0064】
【化2】

代替の態様では、少なくとも1種のテルペンは、下記の構造を有するカルベオールでよい。
【0065】
【化3】

さらになお、少なくとも1種のテルペンは、下記の構造を有することができる。
【0066】
【化4】

さらに別の態様では、少なくとも1種のテルペンは、下記の構造を有することができる。
【0067】
【化5】

別の態様では、少なくとも1種のテルペンは、ピネンでよい。そのため、ある例示的な態様では、ピネンは、下記の構造を有するαピネンでよい。
【0068】
【化6】

あるいはピネンは、下記の構造を有するβピネンでよい。
【0069】
【化7】


【0070】
ある態様では、同様の溶解度パラメータ、同様の誘電率、同様の混和性、同様の親和性、および同様の疎水性、同様の密度、同様の沸点、および/または同様の化学構造を有する当業者に知られている溶媒を、開示された溶媒の代わりに用いることができ、または開示された溶媒と組み合わせて用いることができることも考えられる。
【0071】
テルペンの他に、溶媒系は、少なくとも1種の第2の溶媒を任意選択でさらに含むことができる。例えば、添加された第2の溶媒または共溶媒は、テルペン含有溶液から溶解ポリマーを分離するのを促進させる分離剤として、使用することができる。一態様では、第2の溶媒は、限定するものではないが例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、およびオクタンから選択された1種または複数の炭化水素;限定するものではないが例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、第3級ブタノール、およびイソプロピルから選択された1種または複数のアルコール;限定するものではないが例えば、アセトン、ブタノン、シクロヘキサノンから選択された1種または複数のケトン;あるいは1種または複数の炭化水素;あるいはこれらの混合物を含むことができる。したがって、少なくとも1種のテルペンは、約25体積%から約100体積%の範囲内の任意の所望の量で、溶媒系中に存在することができ、少なくとも1種の第2の溶媒は、約0体積%から約25体積%で存在することができる。さらになお別の態様では、少なくとも1種のテルペンは、約50体積%から約100体積%で存在することができ、少なくとも1種の第2の溶媒は、約0体積%から約50体積%で存在する。さらに別の例示的な態様では、少なくとも1種のテルペンは、約75体積%から約100体積%の量で存在することができ、少なくとも1種の第2の溶媒は、約0体積%から約25体積%の量で存在することができる。
【0072】
溶媒と溶解される材料との最適な重量比は、1つには使用される特定の溶媒系および/または溶解される特定のカーペット構造の組成物に応じて変化することが、理解されよう。しかし、ある例示的な態様では、限定するものではないが、テルペン溶媒と、カーペット材料中に存在するテルペン可溶性ポリマーとの、全重量%に対する重量比は、約1:1、5:1、7:1、10:1、15:1、20:1、25:1、またはさらに50:1までにすることができる。さらに、当業者に理解されるように、使用される溶媒の量は、最小限に抑えることが望ましいと考えられるが、それは揮発分除去プロセス中に溶液から抽出される溶媒の量が、減少することになるからである。
【0073】
ポリマーの溶解が少なくとも実質的に終了した後、溶解したポリマーを含むテルペン溶液を分離ステーション160に搬送し、溶解していない全ての成分を溶媒系から分離することができる。例えば、リサイクルされる初期カーペット供給材料は、限定するものではないが例えば、充填剤や難燃剤などの無機材料と、ナイロン表面繊維やテルペン溶媒系に溶解しないその他のポリマーなどのポリマー材料とを含むことができる。これらの材料165は、この後続の分離ステップ160の間に溶液から機械的に除去することができる。溶液から固形分を除去するための、任意の従来の方法を使用することができる。例えば、不溶性ヤーンおよび/または繊維束は、例えばストレーナバスケットまたはフィルタバッグを使用した従来の濾過によって、分離することができる。無機充填剤や難燃剤などの不溶性粒状固形分は、遠心分離、膜濾過、真空ベルト濾過、キャンドルチューブ濾過、および振動剪断強化濾過プロセス(VSEP)などの技法を使用して、回収することができる。例示的な態様では、材料165を分離するための好ましい装置は、Laroc,Inc.製のPANNEVIS RT−GT HGD真空ベルトフィルタを含む。さらに、分離した後に、これらの不溶性材料を、2代目のカーペット材料で引き続き使用されるようにさらに加工することができる。後続の加工は、例えば、あらゆる残留溶媒から分離された不溶性材料を乾燥するための、ステップ167を含むことができる。この乾燥ステップ167中、残留溶媒は、本明細書に記述するリサイクルシステムで再使用するために、回収することができる。
【0074】
あらゆる不溶性成分材料165を分離した後、溶解したポリマーを含むテルペン溶媒系を、揮発分除去170にかける。揮発分除去は、限定するものではないが例えば、蒸留、減圧、フラッシュタンクプロセス、ベント式押出し機、またはワイプトフィルム蒸発器を含めた、溶解ポリマー組成物からテルペン溶媒を分離するための任意の従来の手段を利用することができる。例示的な態様では、テルペン溶媒は、蒸留によって溶液から抽出することができ、その結果、当初溶解していたポリマー材料からテルペン溶媒が少なくとも実質的に分離される。分離中、抽出された溶媒系175を回収して、本明細書に記述されるリサイクルシステムおよび方法における溶媒として、引き続き使用することができる。例示的な態様では、テルペン溶媒を抽出するための好ましい装置は、LIST USA,Inc.製の7リットルCSTRの使用を含む。
【0075】
初期揮発分除去ステップ170の後、残された再生ポリマー組成物は、使用済みカーペットの組成物に応じて2種以上の可溶性ポリマー材料のブレンドを含むことができることを、理解すべきである。さらに、最初に再生したポリマー材料は、1種または複数のポリマー添加剤、あるいは当初のカーペット小片に存在した汚染物質をも含む可能性がある。再生されたポリマー組成物は、残留する未抽出テルペン溶媒を含んだままになることも、さらに考えられる。したがって、再生されたポリマー組成物は、ポリマー組成物のこれらの部分のいずれか1種または複数が除去されるように、任意選択でさらに加工することができる。例えば、図1に示される例示的な態様では、再生されたポリマー組成物を、任意選択の第2のまたは後続の揮発分除去ステーション180に搬送して、残留溶媒を除去することができる。第2のまたは任意の後続の揮発分除去ステップは、第1の揮発分除去ステップに関連した上述の装置を、再び使用することができる。例示的な装置は、NFM Welding Engineers製WEシリーズ2”非噛合い反回転ベント式54:1 L/D 2軸押出し機を含むことができる。
【0076】
例示的な態様では、任意選択の第2の揮発分除去ステップは、例えば、第1の揮発分除去ステップ170から最初に再生したポリマー組成物を、ベント式押出し機に通して、再生ポリマー190にするステップを、含むことができる。再生したポリマーは、さらに、引き続き使用しかつ/または貯蔵するために、任意の所望の形態に加工することができる。例えば再生ポリマー190は、例えばGalaアンダーウォータペレタイザまたはConairストンドペレタイザを使用して、パレットに載せることができる。
【0077】
以下にさらに詳述するように、再生ポリマー190は、2代目カーペット組成物の1種または複数の成分の製造で、使用することができる。さらになお、ステップ170で最初に再生されたポリマー材料中に存在していてもよい、任意の残留テルペン溶媒185も、押出しプロセス中に回収することができ、その後、別のリサイクルプロセスで再使用することができる。本明細書に記述されるプロセスは、いくつかの実施形態によれば、回分式プロセスとして使用するように構成できることも、理解すべきである。あるいは、記述されるプロセスは、連続プロセスとして構成することもできる。
【0078】
本発明の態様によれば、本明細書に記述されるプロセスから得られた再生ポリマー組成物は、2代目のカーペットの製造において引き続き使用するのに適切であることを示す、物理的性質を示すことができる。例えば、一態様では、本発明の再生されたポリマー組成物は、ASTM D1238−04Cに従って測定したときに、2g/10分から200g/10分の範囲のメルトフローレートを示し、例示的な割合として10g/10分、25g/10分、50g/10分、75g/10分、100g/10分、125g/10分、150g/10分、175g/10分、およびこれらの値のいずれか2個から得られたメルトフローレートの範囲内の任意の値を含む。さらにその他の態様では、再生されたポリマー組成物は、ASTM D1238−04Cに従って測定したときに、20g/10分から100g/10分の範囲のメルトフローレートを示すことができ、30g/10分、40g/10分、50g/10分、60g/10分、70g/10分、80g/10分、90g/10分、およびこれらの値のいずれか2個から得られたメルトフローレートの範囲内の任意のメルトフローレートという、例示的なメルトフローレートを含む。
【0079】
別の広範な態様によれば、本発明は、上述のプロセスから再生されたポリマー組成物を含む、2代目のカーペットを提供する。好ましい態様では、2代目のカーペットは、房付き広幅織りカーペットでよい。代替の態様では、2代目のカーペットは、タフテッドカーペットタイルでよい。図3に示すように、例示的なタフテッド300が示されている。タフテッドカーペット300は、ヤーン320(繊維束としても知られている)と、表面312および裏面314を有する1次裏当て材310と、接着裏当て材330と、任意選択で2次裏当て材340とを含む、複合体構造である。タフテッドカーペットの表面を形成するには、より長い1つ1つのステッチが1次裏当て材の表面を通して延びるように、ヤーンを1次裏当て材に通して房状にする。
【0080】
タフテッドカーペットの表面は、一般に3つの方法で作製することができる。第1に、ループパイルカーペットの場合、房形成プロセスで形成されたヤーンループを原型のまま残す。第2に、カットパイルカーペットの場合、房形成中または形成後にヤーンループを切断して、ループの代わりに大量の単一ヤーン端部を生成する。第3に、いくつかのカーペットスタイルは、ループおよびカットパイルの両方を含む。この混成体の1つの種類は、種々の長さのループが房状に形成された後、未切断の、部分切断の、および完全切断のループの混合物が生成されるように、ある高さでカーペットが剪断された、チップ剪断カーペットと呼ばれる。あるいは、房形成機は、ループの一部のみを切断するように構成することができ、それによって、切断および未切断のループのパターンが残される。ループであろうと切断であろうと混成体であろうと、1次裏当て材の裏面のヤーンは、緊密な延ばされていないループを含む。
【0081】
接着裏当て材または2次裏当て材を付着させない房付きヤーンおよび1次裏当て材の組合せを、カーペット産業では原料タフテッドカーペットまたは生繊維材料と呼ぶ。生繊維材料は、接着裏当て材および任意選択の2次裏当て材を1次裏当て材の裏面に付着させることによって、完成されたタフテッドカーペットになる。完成されたタフテッドカーペットは、典型的には6または12フィートの幅のロール状の広幅織りカーペットとして作製することができる。あるいはカーペットは、限定するものではないが例えば、米国においては典型的に24平方インチでありその他の地域では50平方センチメートルである、カーペットタイルとして作製することができる。
【0082】
接着裏当て材を1次裏当て材の裏面に付着させて、ヤーンを1次裏当て材に添着する。一態様では、接着裏当ては、ヤーンの返し縫い部分を実質的に包み込み、ヤーンを突き抜け、個々のカーペット繊維を結合する。適正に付着された接着裏当て材は、1次裏当て材を実質的に通過しない。
【0083】
上述のように、かつ図3に示されるように、本発明のカーペットは、任意選択の2次裏当て材を含むことも好ましい。好ましくは、第2の裏当て材は、押し出された接着裏当て層に直接積層されるのに対し、押出し物は、押出しコーティング後も融解したまである。この技法は、1次裏当てへの押出しコーティングの浸透を改善できることがわかった。
【0084】
あるいは、2次裏当て材は、押し出された層の少なくとも最外部分を再加熱および/または再融解することによって、あるいは少なくとも2つの専用押出し機を使用した共押出しコーティング技法によって、後のステップで積層することができる。また、2次裏当て材は、接着裏当て材と2次裏当て材との間にポリマー接着材料の層を介在させるなど、いくつかのその他の手段によって積層することができる。適切なポリマー接着材料には、エチレンアクリル酸(EAA)コポリマー、イオノマー、および無水マレイン酸グラフト化ポリエチレン組成物が含まれるが、これらに限定するものではない。
【0085】
2次裏当て材の材料は、Action Bac(登録商標)という名称でPropex,Inc.から販売されたポリプロピレン織布など、従来の材料でよい。この材料は、一方向に走るポリプロピレンモノフィラメントと、別の方向に走るポリプロピレンヤーンとを用いた絡み織りである。そのような材料の適切な例は、Style 3870という名称でPropex,Inc.から販売されている。この材料は、約2OSYの坪量を有する。別の態様では、本発明で使用される2次裏当て材は、モノフィラメントが両方向に走っているポリプロピレン織布でよい。
【0086】
あるいは、2次裏当て材は、不織布でよい。ニードルパンチ、スパンボンド、ウェットレイド、メルトブローン、水流交絡、および空気交絡がなされたものを含むがこれらに限定するものではない、いくつかのタイプが入手可能である。一態様では、2次裏当ては、リサイクルが促進されるようにポリオレフィンから作製されることが好ましい。例えば不織布は、スパンボンドポリプロピレン織布でよい。典型的には、スパンボンド織布は、押し出され空気延伸がなされたポリマーフィラメントから作製され、これらが一緒に下に置かれ、次いで例えば加熱カレンダーロールによってポイント結合される。そのようなスパンボンド2次裏当ての坪量は、様々にすることができ、好ましくは35から80g/m(gsm)の間、より好ましくは60から80gsmの間である。坪量は、77〜83gsm(例えば、80gsm)が最も好ましい。スパンボンド織布でより高い坪量が好まれる一因は、より高い坪量の織布は、融解した押出し裏当てに接触したときに融解し難いことである。別の例では、ニードルパンチ不織布2次裏当てを使用することが好ましい。例示的なプロピレン不織布ニードルパンチ2次裏当て材は、約3.5OSYの坪量を有する型式番号9001641として、Propex,Inc.から入手可能である。
【0087】
さらに別の態様では、2次裏当ては、Shaw Industries,Inc.製のSoftBac(登録商標)などの、ニードルパンチポリプロピレン織布でよい。この例示的な態様では、この材料は、その片面にニードルパンチがなされたポリプロピレン繊維を約1.5OSY有することによって強化されており、その全坪量は約3.5OSYである。このニードルパンチ織布は、接着裏当て層内に埋め込まれたポリプロピレン繊維を有するように、積層される。その結果、ポリプロピレン織布のストランドが露出した。この実施形態は、ニードルパンチ繊維を用いない実施形態と比べて、改善された貼付け特性を有することが示されているが、それはニードルパンチ繊維が存在しないと、ポリプロピレン織布のストランドが少なくとも部分的に、接着裏当て層に埋め込まれるからである。したがって、接着用の表面積は減少する。この実施形態で作製されたカーペットの裏面は、伝統的なラテックス裏当てカーペットに見られるよりも、摩耗性が非常に低いということも記述された。またカーペットは、伝統的なラテックス裏当てカーペットよりも柔軟である。その結果、この実施形態は、エリアラグなどを作製するのに好ましい。さらにその他の材料を、2次裏当てに使用することができる。例えば、一体的なパッドが望まれる場合、ポリウレタンフォームまたはその他のクッション材料を、カーペットの裏面に積層することができる。そのような裏当ては、広幅織りカーペットならびにカーペットタイルに使用することができる。
【0088】
本発明の態様によれば、上述の例示的なタフテッドカーペット構造の接着裏当て材は、リサイクルされた接着裏当て組成物である。リサイクルされた接着組成物の少なくとも一部は、上述の使用済みカーペットから再生された1種または複数の再生ポリマー材料からなる。そのため、本発明の2代目の接着組成物は、ポリマー部分および充填剤部分を含んでいる。いくつかの態様によれば、リサイクルされた接着組成物のポリマー部分は、本質的に再生されたポリマー材料からなるものでよい。あるいは、リサイクルされた接着剤のポリマー部分は、再生されたポリマーと、未使用のまたは再生されていないポリマー成分との組合せでよい。したがって、接着組成物のリサイクルされたポリマー部分は、接着組成物のポリマー部分の全重量に対して、接着組成物のポリマー成分を0重量%よりも高くかつ約100重量%までの範囲の任意の量で存在することができる。例えば、再生されたポリマーは、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40%、45重量%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、および95%の例示的な相対重量パーセンテージで存在させることもできるが、これらに限定するものではない。さらになお、再生されたポリマー部分は、第1のパーセンテージから第2のパーセンテージまでの任意の範囲内の量で存在することができ、この第1および第2のパーセンテージは、上述の重量パーセンテージの値のいずれかから選択される。
【0089】
当業者に理解されるように、接着組成物に使用される再生ポリマー材料の実際の組成は、上述のリサイクルプロセスにかけられる初期カーペット材料中に存在した特定のテルペン可溶性成分に依存することになる。本発明の態様によれば、再生されたポリマー組成物は、1種または複数のポリオレフィンポリマーを含むことができる。例えば、再生されたポリマー組成物は、ポリエチレンポリマー、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)、不均質に分岐した線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、不均質に分岐した超低密度ポリエチレン(ULDPE)、不均質に分岐した極低密度ポリエチレン(VLDPE)、不均質に分岐した線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、不均質に分岐した線状極低密度ポリエチレン(VLLDPE)、エチレンおよびαオレフィンのコポリマー、ポリプロピレン、プロピレンおよびαオレフィンのコポリマー、プロピレンおよびエチレンのコポリマー、エチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)、エチレンメチルアクリレートコポリマー(EMA)、グラフト化ポリエチレンポリマー(例えば、無水マレイン酸押出しグラフト化不均質分岐線状低ポリエチレン、または無水マレイン酸押出しグラフト化均質分岐状超低密度ポリエチレン)、エチレンアクリル酸コポリマー、エチレンエチルアクリレートコポリマー、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリブチレン、ポリカーボネート、エチレンプロピレンポリマー、エチレンスチレンポリマー、およびスチレンブロックコポリマーを含むことができる。さらになお、接着剤のリサイクルされたポリマー部分は、前述のポリマーの任意の組合せを、任意の様々な相対重量パーセンテージで含むことができることを理解すべきである。
【0090】
上述のポリエチレンポリマーの他に、再生されたポリマー組成物は、リサイクルされる初代のカーペット中に存在した1種または複数の非ポリマー材料も含むことができ、これらは再生されたポリオレフィン材料と組み合わせて存在してもよい(やはり、リサイクルされる初期カーペット供給材料中に存在していることにより)。したがって、接着組成物のリサイクルされたポリマー部分に存在し得る、例示的かつ非限定的な非ポリオレフィン組成物は、限定するものではないがエチレン系不飽和カルボン酸、無水物、アルキルエステルおよび半エステル、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸およびシトラコン酸、無水シトラコン酸、コハク酸、無水コハク酸、メチル水素マレエート、およびエチル水素マレエート;エチレン系不飽和カルボン酸のエステル、例えばアクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸イソブチル、およびフマル酸メチル;カルボン酸の不飽和エステル、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、および安息香酸ビニル;およびエチレン系不飽和アミドおよびニトリル、例えばアクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、およびフマロニトリル;および(2)オレフィンモノマーまたは脂肪族αオレフィンモノマーまたはこれらのコポリマーなどの、1種または複数のエチレン系不飽和炭化水素モノマー、例えばエチレン、プロピレン、ブテン−1−およびイソブテン;共役ジエン、例えばブタジエンおよびイソプレン;およびモノビニリデン芳香族カルボン酸モノマー、例えばスチレン、α−メチルスチレン、トルエン、およびt−ブチルスチレンを含む。
【0091】
上述のように、接着組成物のポリマー部分は、リサイクルされたポリマー組成物と、1種または複数の未使用のポリマー組成物とのブレンドを含むことができる。このため、接着組成物のポリマー部分に存在する場合には、未使用のポリマー部分は、接着組成物のポリマー部分に存在するポリマー成分の全重量に対して、全ポリマー部分の約0から約99重量%の範囲の量で存在することができる。他の例示的な重量パーセンテージには、限定するものではないが5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、またはさらに95重量%が含まれる。さらに別の態様では、接着組成物の未使用のポリマー成分は、第1のパーセンテージから第2のパーセンテージまでの任意の範囲内の量で存在することができ、これら第1および第2のパーセンテージは、上述の重量パーセンテージの値のいずれかから選択される。
【0092】
接着組成物中に存在する場合、未使用のポリマー成分は、ポリエチレンポリマー、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)、不均質に分岐した線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、不均質に分岐した超低密度ポリエチレン(ULDPE)、不均質に分岐した極低密度ポリエチレン(VLDPE)、不均質に分岐した線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、不均質に分岐した線状極低密度ポリエチレン(VLLDPE)、エチレンおよびαオレフィンのコポリマー、ポリプロピレン、プロピレンおよびαオレフィンのコポリマー、プロピレンおよびエチレンのコポリマー、エチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)、エチレンメチルアクリレートコポリマー(EMA)、グラフト化ポリエチレンポリマー(例えば、無水マレイン酸押出しグラフト化不均質分岐線状低ポリエチレン、または無水マレイン酸押出しグラフト化均質分岐状超低密度ポリエチレン)、エチレンアクリル酸コポリマー、エチレンエチルアクリレートコポリマー、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリブチレン、ポリカーボネート、エチレンプロピレンポリマー、エチレンスチレンポリマー、およびスチレンブロックコポリマーを含むことができる。
【0093】
好ましい態様では、未使用のポリマー成分は、実質的に線状のエチレンポリマーなど、均質に分岐した線状エチレンポリマーを含む。例示的な態様では、未使用のポリマー成分で使用することができる、好ましい実質的に線状のエチレンポリマーには、Dow Chemicalsから入手可能なAffinity(登録商標)シリーズのポリマーが含まれる。これらの好ましい例示的なエチレンポリマーは、押出しコーティングされたカーペット裏当て適用例に、特に商用および住居用のカーペット市場に、独自の利点をもたらす。例えば、これらのポリマーは、低密度ポリエチレン(LDPE)、不均質に分岐した線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、および不均質に分岐した超低密度ポリエチレン(ULDPE)などの従来のエチレンポリマーに対して、比較的低い凝固温度、繊維束がポリプロピレンからなる場合に利益をもたらすことができるポリプロピレンとの比較的良好な接着性、および低いモジュラスを有する。
【0094】
本発明では、接着裏当て材を付着させるための、カーペットの裏面の押出しコーティング中に、接着組成物は、カーペットヤーン(繊維束)の良好な浸透をもたらし、ヤーン内での繊維の良好な圧密も可能になる。一態様では、タフテッドカーペット用の接着裏当てとして使用される場合、3.25ポンド(1.5kg)以上のタフト結合(または、タフトロック)強度を実現することができ、より好ましくは5ポンド(2.3kg)以上、さらに最も好ましくは7.5ポンド(3.4kg)以上である。他の態様では、タフト結合強度は、接着組成物中に存在する選択された未使用のポリマー成分の分子量を増すことによって、増大させることもできる。しかし、改善されたタフト結合強度に向けて選択された、より高いポリマー分子量は、良好なヤーン浸透および良好な押出しコーティング性に一般に必要とされる、より低いポリマー分子量の要件とは反対である。したがって、押出しコーティング性と耐摩耗性との間、ならびに耐化学薬品性とカーペット柔軟性との間のバランスが維持されるように、ブレンドされたリサイクル済みおよび未使用のポリマー成分の性質を、選択すべきである。
【0095】
他の態様では、カーペット生繊維材料に、実質的に線状のエチレンポリマーおよび均質に分岐した線状エチレンポリマーを含んだ接着組成物を裏当てした場合、(未使用ポリマーの一部として、リサイクルされたポリマー部分として、またはこれらの組合せとして存在してもしなくても)これらの低い曲げ弾性率は、カーペットの設置および一般的なカーペットの取扱いを容易にするのに利点をもたらすことができる。この態様では、実質的に線状のエチレンポリマーは特に、接着裏当て材として用いた場合、ポリプロピレンに対して高い機械的接着性を示し、様々なカーペット層および成分の、即ちポリプロピレン繊維、繊維束、1次裏当て材、接着裏当て材、および任意選択で付着させる場合には2次裏当て材の、圧密および耐剥離性を改善する。その結果、この例示的な態様では、非常に良好な耐摩耗性およびタフト結合強度を得ることができる。当業者に理解されるように、良好な耐摩耗性は、一般にカーペットの耐久性を改善するので、良好な耐摩耗性は商用のカーペットクリーニング操作で重要である。
【0096】
操作上、接着剤の成分としての、好ましい実質的に線状のエチレンポリマーおよび均質に分岐した線状エチレンポリマーの使用(未使用のポリマーの一部、リサイクルされたポリマー部分、またはこれらの組合せとして存在してもしなくても)によって、2次裏当て材を除外することが可能になり、したがって、著しい製造コストの節約を行うことができる。さらに、好ましいポリマー接着剤を用いて接着により裏当てされたカーペットは、カーペットの衛生特性を高める、十分な流体および粒子障壁をもたらすことができる。
【0097】
未使用ポリマーとして使用することができ、またはリサイクルされる使用済みカーペットに存在することができる、例示的な好ましい均質に分岐したエチレンポリマーは、示差走査熱量測定を使用して測定したときに、−30℃から150℃の間の温度範囲で単一の融解ピークを有する。本発明で使用される、最も好ましい均質に分岐したエチレンポリマーは、
(a)メルトフロー比、I10/I≦5.63
(b)ゲル透過クロマトグラフィにより測定され、かつ方程式:
i.(M/M)≦(I10/I)−4.63
により定義されたときの、分子量分布、M/M
(c)実質的に線状のエチレンポリマーに関する表面融解破壊の開始時の臨界剪断速度が、線状エチレンポリマーに関する表面融解破壊の開始時の臨界剪断速度よりも少なくとも50%高くなるような、気体押出しレオロジーであって、線状エチレンポリマーは、均質に分岐した短鎖分岐分布を有しておりかつ長鎖分岐は有しておらず、実質的に線状のエチレンポリマーおよび線状エチレンポリマーは同時に、エチレンホモポリマーまたはエチレンおよび少なくとも1種のC〜C20αオレフィンのインターポリマーであり、かつ同じIおよびM/Mを有しており、実質的に線状のエチレンポリマーおよび線状エチレンポリマーのそれぞれの臨界剪断速度は、気体押出しレオメータを使用して同じ融解温度で測定される、気体押出しレオロジー、および
(d)単一示差走査熱力測定DSCによる、−30℃から150℃の間の融解ピーク
を有することを特徴とする、実質的に線状のエチレンポリマーである。
【0098】
一実施例では、融解破壊に関する臨界剪断速度、ならびに「流動学的加工指数」(PI)などのその他のレオロジー特性の決定は、気体押出しレオメータ(GER)を使用して行うことができる。1つの例示的な気体押出しレオメータは、その開示が共に参照により本明細書に組み込まれているM. Shida、R. N. ShroffおよびL, V. Cancio、Polymer Engineering Science 17巻、11号、770頁(1977年)、および「Rheometers for Molten Plastics」 John Dealy、Van Nostrand Reinhold Co.編(1982年)、97〜99頁に記述されている。一実施例では、GER実験を、190℃の温度、約250から約5500psig(約1.7から約37.4MPa)の間の窒素圧力で、入口角が約180℃の0.0754mm径の20:1 L/Dダイを使用して行う。本明細書に記述される、好ましい実質的に線状のエチレンポリマーの場合、PIは、見掛けの剪断圧力2.15×10ダイン/cm(2.19×10kg/m)で、GERによって測定された材料の、見掛けの粘度(単位:キロポアズ)である。本発明で使用される、実質的に線状のエチレンポリマーは、0.01キロポアズから50キロポアズの範囲のPIを有し、好ましくは15キロポアズ以下である。1つの例示的な態様では、本明細書で使用された実質的に線状のエチレンポリマーは、それぞれが実質的に線状のエチレンポリマーの10%以内のIおよびM/Mを有する線状エチレンポリマー(Elstonの米国特許第3645992号に記載されている、チーグラー重合化ポリマー、または均質に分岐した線状ポリマー)のPIの、70%以下のPIも有する。
【0099】
別の態様では、見掛けの剪断速度に対する見掛けの剪断応力のプロットを使用して、エチレンポリマーの、融解破壊現象を特定し、かつ臨界剪断速度および臨界剪断応力を定量する。その開示が参照により本明細書に組み込まれているRamamurthy 、the Journal of Rheology、30(2)、337〜357頁、1986年によれば、上述のある臨界流量、観察された押出し物の不規則性は、2つの主なタイプ:表面融解破壊および総融解破壊に広く分類することができる。典型的には、表面融解破壊は、明らかに安定な流動条件下で生じ、詳細には、反射鏡のようなフィルムの光沢からより過酷な「サメ肌」形態にまで及ぶ。本明細書では、上述のGERを使用して決定されたように表面融解破壊(OSME)の開始は、押出し物の表面粗さを倍率40×でのみ検出することができる、押出し物の光沢の低下の開始時に特徴付けることができる。米国特許第5278272号に記載されるように、実質的に線状のエチレンインターポリマーおよびホモポリマーに関する表面融解破壊の開始時の、臨界剪断速度は、本質的に同じIおよびM/Mを有する線状エチレンポリマーの、表面融解破壊の開始時の臨界剪断速度よりも、少なくとも50%大きい。
【0100】
さらに、総融解破壊は、不安定な押出し流動条件で生ずる可能性があり、詳細には、規則的な歪み(粗い部分および滑らかな部分、ねじれ部分などが交互に生ずる)からランダムな歪みにまで及ぶ。好ましくは、フィルム、コーティング、および成型の性能特性が最大限になるよう商業的に許容されるものにするには、表面欠陥が存在する場合にはその欠陥を最小限に抑えるべきである。本発明で使用される、好ましい実質的に線状のエチレンポリマーに関する総融解破壊の開始時の、臨界剪断応力は、特に0.910g/cc未満の密度を有するものの場合、4×10ダイン/cmよりも大きい。一態様では、表面融解破壊の開始時(OSMF)および総融解破壊の開始時(OGMF)の臨界剪断速度は、本明細書では、GERによって押し出された押出し物の表面粗さおよび構成の変化に基づいて使用されることになる。
【0101】
別の態様では、本発明で使用される好ましい、均質に分岐したエチレンポリマーは、単一のDSC融解ピークによって特徴付けることができる。この態様では、単一の融解ピークは、インジウムおよび脱イオン水で標準化された示差走査熱量計を使用して決定することができる。例示的な方法は、5〜7mgのサンプルサイズ、4分間保持される約140℃までの「第1の加熱」、3分間保持される−30℃までの10℃/分での冷却、および「第2の加熱」のための、150℃まで10℃/分での加熱を含む。単一の融解ピークは、「第2の加熱」の熱流対温度の曲線から得られる。ポリマーの全融解熱は、曲線下の面積から計算される。
【0102】
一態様では、0.86g/ccから0.910g/ccの密度を有する好ましい、均質に分岐したエチレンポリマーの場合、単一の融解ピークは、装置感度に応じて、ポリマーの全融解熱の12%未満、典型的には9%未満、より典型的には6%未満を構成する低融解側で「肩」または「こぶ」を示すことができる。そのようなアーチファクトは、Exact(商標)樹脂などの、その他の均質に分岐したポリマーで観察可能であり、アーチファクトの融解領域を通して単調に変化する単一融解ピークの勾配に基づいて、認められる。この態様では、アーチファクトは単一融解ピークの融点の34℃以内で、典型的には27℃以内で、より典型的には20℃以内で生ずる可能性がある。アーチファクトに起因する融解熱は、それに関連した熱流対温度曲線下の面積の特異積分によって、個別に決定することができる。
【0103】
さらに別の例示的な態様では、本発明で使用される実質的に線状のエチレンポリマーと均質な線状エチレンポリマーに関する分子量分布(M/M)は、一般に約1.8から約2.8である。しかし別の態様では、実質的に線状のエチレンポリマーは、比較的狭い分子量分布を有するにも関わらず、優れた加工性を有することが知られている。均質に、また不均質に分岐した線状エチレンポリマーとは異なり、実質的に線状のエチレンポリマーのメルトフロー比(I10/I)は、それらの分子量分布M/Mとは本質的に無関係に変えることができる。
【0104】
様々な態様では、本発明の接着組成物中に存在する好ましい、均質に分岐したエチレンポリマーは(未使用のポリマー、リサイクル済みポリマー、またはこれらの組合せとして存在してもしなくても)、溶液、気相、またはスラリー重合プロセスまたはこれらの組合せによって調製された、エチレンと少なくとも1種のαオレフィンとのインターポリマーを含むことができる。一実施例において、かつ限定するものではないが、適切なαオレフィンは、下式CH=CH−Rによって表され、但しRはヒドロカルビル基である。さらにRは、1から20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基でよく、したがってこの式は、C〜C20αオレフィンを含む。コモノマーとして使用される例示的なαオレフィンは、プロピレン、1−ブテン、1−イソブチレン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、および1−オクテン、ならびに例えば、限定するものではないがスチレン、ハロ−またはアルキル−置換スチレン、テトラフルオロ−エチレン、ビニルベンゾシクロブタン、1,4ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、およびシクロアルカン、例えばシクロペンテン、シクロヘキセン、およびシクロオクテンなどの、その他のコモノマータイプを含むことができる。好ましくは、コモノマーは、高級αオレフィンからなる接着裏当て材が特に改善された靭性を有することになるので、1−ブテン、1−ペンテン、4メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、またはこれらの混合物になる。しかし、最も好ましくは、コモノマーは1−オクテンになり、エチレンポリマーは溶液プロセスで調製されることになる。
【0105】
本発明の態様では、本発明で使用される好ましいエチレンポリマーは、比較的低いモジュラスを有する。即ち、エチレンポリマーは、ASTM D790により測定したときに、24000psi(163.3MPa)未満、特に19000psi(129.3MPa)未満、最も特別には14000psi(95.2MPa)未満の2%割線係数を有すると特徴付けることができる。さらに、本発明で使用される好ましいエチレンポリマーは、実質的に非晶質または全体的に非晶質である。即ち、エチレンポリマーは、方程式 結晶化度%=H/292×100(式中、Hは、J/gを単位とする融解熱である)を使用して、示差走査熱量測定によって測定したときに、40%未満、好ましくは30%未満、より好ましくは20%未満、最も好ましくは10%未満の結晶化度%を有することを特徴とする。
【0106】
別の態様では、接着組成物のリサイクルされたポリマー部分または未使用のポリマー部分は、1種または複数の合成または天然ポリマー材料と一緒にブレンドされた、好ましい均質に分岐したエチレンポリマーを含むことができることを、理解すべきである。例えば、限定するものではないが、本発明で使用される均質に分岐したエチレンポリマーとブレンドしまたは混合するのに適したポリマーは、別の均質に分岐したエチレンポリマー、低密度ポリエチレン、不均質に分岐したLLDPE、不均質に分岐したULDPE、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、グラフト化ポリエチレン(例えば、無水マレイン酸押出しグラフト化不均質分岐線状低ポリエチレン、または無水マレイン酸押出しグラフト化均質分岐状超低密度ポリエチレン)、エチレンアクリル酸コポリマー、エチレンビニルアセテートコポリマー、エチレンエチルアクリレートコポリマー、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリカーボネート、エチレンプロピレンポリマー、エチレンスチレンポリマー、およびスチレンブロックコポリマーを含むことができる。
【0107】
本発明の別の態様では、接着組成物のリサイクルされたポリマー部分または未使用のポリマー部分は、改質された、均質に分岐したエチレンポリマーを含むことができる。特に、本発明のある態様では、接着組成物の未使用のポリマー部分またはリサイクルされたポリマー部分中に存在することができる、少なくとも1種の均質に分岐したエチレンポリマーは、少なくとも1種の接着ポリマー添加剤を添加することによって、改質することができる。適切な接着ポリマー添加剤には、例えば、限定するものではないが、(1)1種または複数のエチレン系不飽和カルボン酸、無水物、アルキルエステルおよび半エステル、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸およびシトラコン酸、無水シトラコン酸、コハク酸、無水コハク酸、メチル水素マレエート、およびエチル水素マレエート;エチレン系不飽和カルボン酸のエステル、例えばアクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸イソブチル、およびフマル酸メチル;カルボン酸の不飽和エステル、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、および安息香酸ビニル;およびエチレン系不飽和アミドおよびニトリル、例えばアクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、およびフマロニトリルと;(2)脂肪族αオレフィンモノマーなどの、1種または複数のエチレン系不飽和炭化水素モノマー、例えばエチレン、プロピレン、ブテン−1−およびイソブテン;共役ジエン、例えばブタジエンおよびイソプレン;およびモノビニリデン芳香族カルボン酸モノマー、例えばスチレン、α−メチルスチレン、トルエン、およびt−ブチルスチレンとからなるポリマー生成物が含まれる。
【0108】
接着組成物の未使用のポリマー部分に使用される、改質された、均質に分岐したエチレンポリマーは、例えば、共重合または重合手順およびその後の化学または押出しグラフト化手順などの知られている技法によって、都合良く調製することができる。適切なグラフト化技法は、その全ての開示が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第4762890号;第4927888号;第4230830号;第3873643号;および第3882194号に記載されている。さらに、前述の接着ポリマー添加剤の存在は、個々にであろうと、または改質された均質に分岐したエチレンポリマーの一部としてであろうと、接着組成物のリサイクルポリマー部分を得るために本明細書に記述されるようにリサイクルされた、初期の使用済みカーペット中のこれらポリマーおよびポリマー添加剤の存在に起因することを、理解すべきである。
【0109】
本発明で使用される、好ましい接着ポリマー添加剤は、無水マレイン酸グラフトを含み、この無水マレイン酸は、約0.1から約5.0重量%、好ましくは約0.5から約1.5重量%の濃度で、エチレンポリマーにグラフト化されている。本発明における接着ポリマー添加剤として、エチレンポリマー/無水マレイン酸グラフトが存在することにより、特に、例えば限定するものではないがナイロンおよびポリエステル表面カーペットなどの極性ポリマーに関連して使用される場合、接着裏当て材としての、押出しコーティングされた均質に分岐したエチレンポリマーの、性能および動作ウィンドウを改善することができる。この改善は、実質的により高い比較耐摩耗性およびタフト結合強度に関する。例示的な態様では、無水マレイン酸グラフトを形成するための好ましい組成物は、Dow Chemicalsから入手可能なAmplify(登録商標)GR204である。
【0110】
グラフト化ホストポリマーとして使用される好ましいエチレンポリマーには、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、不均質に分岐した線状低密度ポリエチレン(LLPDE)、均質に分岐した線状エチレンポリマー、および実質的に線状のエチレンポリマーが含まれる。好ましいホストエチレンポリマーは、0.86g/cc、0.87g/cc、0.88g/cc、0.89g/cc、0.90g/cc、0.91g/cc、0.92g/cc、0.93g/cc以上、あるいは、さらに最も好ましくは0.94g/cc以上のポリマー密度を有する。実質的に線状のエチレンポリマーおよび高密度ポリエチレンは、好ましいホストエチレンポリマーである。
【0111】
リサイクルされたポリマー部分および任意選択の未使用のポリマー部分のブレンドを含めた、接着裏当ての様々なポリマーの実際のブレンドまたは混合は、融解押出し配合、乾式ブレンド、ロールミル、融解混合であって、バンバリーミキサ、2軸押出し機などによるもの、および多重反応器重合を含むがこれらに限定するものではない当技術分野で知られている任意の技法によって、都合良く実現することができる。
【0112】
生繊維材料の表面に押し出される接着組成物は、未処理のままで使用することができ、または、1種もしくは複数の添加剤を含ませることができると考えられることが、理解されよう。この態様では、本発明の接着組成物は、特徴的な性質を失うことなく、当業者に周知の発泡剤、pH制御剤、難燃剤、充填剤、増粘剤、湿潤剤、分散剤、抗菌剤、潤滑剤、染料、および抗酸化剤などの例示的な添加剤を、任意選択で含んでよい。
【0113】
一態様では、接着組成物はさらに、カーペット構造がASTM−E648試験手順による放射束床材試験要件を確実に満たすのに十分な、1種または複数の難燃剤を含む。特に、ある態様によれば、本発明のカーペット構造は、ASTM−E648により測定したときに、cm当たり0.45ワットよりも高いクラス1の臨界放射束を示す。本発明のその他の態様によれば、本明細書に記述されるカーペット構造は、ASTM−E648により測定したときに、cm当たり0.22から0.44ワットの範囲のクラス2臨界放射束を示すことができる。さらに別の態様では、本発明のカーペット構造は、ASTM−E648により測定したときに、cm当たり0.22ワット未満の分類不可能な放射束を示すことができる。
【0114】
本発明の接着裏当て組成物に組み込むことができる例示的な難燃剤には、限定するものではないが、有機リン系難燃剤、赤リン水酸化マグネシウム、二水酸化マグネシウム、ヘキサブロモシクロドデカン、臭素含有難燃剤、臭素化芳香族難燃剤、シアヌール酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ホウ酸メラミン、メチロールおよびその誘導体、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、レゾルシノールビス−(リン酸ジフェニル)、臭素化ラテックスベース、三酸化アンチモン、ホウ酸ストロンチウム、リン酸ストロンチウム、モノマーN−アルコキシ障害アミン(NOR HAS)、トリアジンおよびその誘導体、高アスペクト比タルク、リン酸化エステル、有機的に改質されたナノクレーおよびナノチューブ、非有機的に改質されたナノクレーおよびナノチューブ、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸、アンモニウム塩、リン酸トリアリール、イソプロピル化リン酸トリフェニル、リン酸エステル、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、ベントナイト(アルカリ性活性化ナノクレーおよびナノチューブ)、オルガノクレー、アルミニウム三水和物(ATH)、アゾジカーボンアミド、ジアゼンジカルボキサミド、アゾジ炭酸ジアミド(ADC)、リン酸トリアリール、イソプロピル化リン酸トリフェニル、トリアジン誘導体、アルカリ性活性化オルガノクレー、および酸化アルミニウムが含まれる。任意の所望量の難燃剤を、本発明の接着組成物で使用することができ、そのような量の選択は、1つには使用される特定の難燃剤に、また同時に、製造される2代目のカーペットで実現される所望レベルの難燃性に、依存することになる。そのような量は、単なる日常的な実験を通して容易に決定することができる。
【0115】
本発明の接着裏当て組成物に組み込むことができる、例示的かつ非限定的な充填剤には、炭酸カルシウム、フライアッシュ、ナイロン6の解重合からの残留副産物(ENR副産物とも呼ぶ)、リサイクルされた炭酸カルシウム、アルミニウム三水和物、タルク、ナノクレー、硫酸バリウム、バライト、バライトガラス繊維、ガラス粉末、屑ガラス、金属粉末、アルミナ、水和アルミナ、クレー、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、シリカ、ガラス、ヒュームドシリカ、カーボンブラック、黒鉛、セメントダスト、長石、霞石、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、チタネート、ガラス微小球、チョーク、酸化カルシウム、およびこれらの任意の組合せを含めることができる。1つの好ましい態様では、リサイクルされた接着組成物は、熱含量の高い無機充填剤を含む。いくつかの態様では、充填剤は、比較的高い熱含量を示すことが好ましい。そのような充填剤の例には、限定するものではないが、炭酸カルシウム、アルミニウム三水和物、タルク、およびバライトが含まれる。例示的な高熱含量充填剤は、押出し物をより長く高温のままにし、高度な封入および浸透を行うという有益な結果をもたらす。この態様では、高熱含量充填剤は、押出しコーティング融解流に都合良く組み込むことができるサイズに、摩砕しまたは沈殿させるべきである。無機充填剤材料に関する例示的な非限定的粒度は、約1から約50ミクロンの範囲の粒度を含むことができる。さらになお、充填剤成分は、任意の所望量で存在できることも理解すべきである。しかし、例示的な態様では、充填剤は、接着組成物の全重量に対して25重量%から90重量%の範囲の量で存在し、例示的な量として30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、および85重量%が含まれる。さらになお、存在する充填剤の量は、上述の重量パーセンテージのいずれか2つから得られた任意の範囲内にすることができる。
【0116】
さらに別の態様では、接着組成物は、1種または複数の増粘添加剤をさらに含むことができる。増粘剤は、例えば、トール油またはロジンベースにすることができ、あるいは、脂肪族または脂肪芳香族炭化水素ブレンド樹脂にすることができる。例示的な態様では、増粘剤は、Eastman Chemical Company、Kingsport、Tennessee、USAから入手可能なPiccotac 1115増粘剤などの、炭化水素増粘剤にすることができる。増粘剤は任意選択の成分であるので、存在する場合の増粘剤の量は、0重量%よりも高くかつ接着組成物の50重量%までおよびそれよりもさらに高い値の範囲内にすることができる。例えば、一態様では、増粘剤の量は、5重量%から45重量%の範囲内にすることができる。さらに別の態様では、増粘剤の量を、10重量%から20重量%の範囲内にすることができる。
【0117】
さらに別の態様では、接着裏当ては、発泡接着裏当てにすることができる。このために、発泡裏当てがカーペットに求められる場合、発泡剤を、接着裏当て材および/または任意選択の2次裏当て剤に添加することができる。使用される場合、発泡剤は、限定するものではないが、アゾジカルボンアミド、トルエンスルホニルセミカルバジド、およびオキシビス(ベンゼンスルホニル)ヒドラジドなどの従来の熱活性化発泡剤であることが好ましい。この態様では、選択された内破剤が接着裏当て材に配合されることも考えられ、押出し条件は、内破材の活性化がニップの時点で生ずると共に接着裏当て材が依然として半融解または融解状態であるように、設定される。内破剤の使用により実現された、改善されたヤーン浸透により、カーペットは、比較的改善された耐摩耗性を示すことになる。このように、内破剤を使用すると、改善された押出しコーティング性が得られるように、かつなおより高い耐摩耗性が維持されるように(即ち、より高い分子量のポリマー組成物を基にした接着裏当て材に匹敵する)、より低い分子量を有するポリマー組成物を使用することが可能になる。
【0118】
従来の発泡剤、または発泡剤として普通に機能する任意の材料を、本発明では内破剤として使用することができるが、接着裏当て材マトリックスの膨張は、融解ポリマーがヤーンまたは繊維束の内部および空きスペースに強制的に入れられるようにこの材料が活性化したときに、適切に制限されまたは限定されること、および内破剤を使用した結果、接着裏当て材の実質的な膨張がないことを条件とする。
【0119】
さらになお、別のその他の添加剤も、本発明の接着裏当て材に含めることができることを理解すべきであり、例えば、限定するものではないが、立体障害フェノール、立体障害アミンおよびホスファイトなどの、抗酸化剤を使用してもよい。適切な抗酸化剤は、例えば、障害フェノールおよびホスファイトを含むことができる。その他の可能性のある添加剤には、ブロック防止財、顔料および着色剤、帯電防止剤、抗菌剤(第4級アンモニウム塩)、およびチルロールリリース添加剤(脂肪酸アミドなど)が含まれる。
【0120】
さらに別の広範な態様では、本発明は、本明細書に記述されるカーペットを製造するための方法も提供する。記述されるように、カーペットおよびカーペットタイルは本発明の個別の態様であるが、これらの態様の表面織布の基本構造は、本発明ではそれほど重要ではなく、したがって一緒に論じられることになる。
【0121】
本発明の第1の態様では、表面織布が提供される。表面織布は、タフト化生繊維材料、融着材料、または織布およびニードルパンチ材料にすることができる。タフト化生繊維材料、融着、または織布およびニードルパンチ表面織布を使用してもしなくても、表面ヤーンは、例えば、限定するものではないが、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、およびポリトリメチレンテレフタレート(PTT)などの合成繊維から作製することができる。さらになお、表面ヤーンは、ステープルレーヨン繊維、セルロース繊維、コットン繊維、ビスコース、およびこれらの組合せなどの天然繊維からなるものでよい。特に好ましい態様では、表面ヤーンは、ポリプロピレンからなる。別の好ましい態様では、表面ヤーンはナイロン繊維からなる。
【0122】
生繊維材料を作製するために、ヤーンをタフト処理し、織り、またはニードルパンチを行って1次裏当てにする。タフト処理、製織、またはニードルパンチは、当業者に適切であることが知られている任意の手法で実施することができ、したがって本明細書では詳細に論じない。ヤーンを1次裏当てに固定するために、接着材料を織布の裏面に付着させる。本発明の一態様では、織布の裏面に付着される接着材料は、本明細書に記述されるリサイクル済みの接着裏当て組成物からなる。しかし、代替の態様では、かつ以下により詳細に記述されるように、本発明のリサイクル済み接着裏当て材を付着する前に、ヤーンを1次裏当てに固定させるため、織布の裏面にはプレコート層を最初に付着することができる。
【0123】
本発明では、織布または不織布1次裏当て材を使用することができる。求められる1次裏当てのタイプは、広幅織りカーペット、カーペットタイル、またはエリアラグが作製されていてもいなくても、製品の所望の最終用途(例えば、商用または居住用)、使用される表面ヤーンのタイプ、および製品の価格を含むがこれらに限定されない様々な要因に依存することになる。適切な1次裏当て織布の一例は、Propex,Inc.製の、24×18の1次織布、型番2218である。適切な織布裏当て材の一例は、Colbond、Enka、North Carolinaにより製造された、Colbond UMT 135である。その他のタイプの1次裏当て、例えば水流交絡繊維および繊維ガラスなども、本明細書で使用するのに適している。
【0124】
融着した表面織布は、接着層に、特に熱可塑性の、ポリ塩化ビニル層やホットメルト接着層などに埋め込まれた、複数のカットパイルヤーン、例えばナイロンまたはその他の天然もしくは合成繊維型材料を特徴とする。ポリ塩化ビニルプラスチゾル層が使用される場合、層の加熱によって、層がゲル化し次いで融着して固体形態になり、それと同時に、ホットメルト接着材料を用いることによって、融解層が付着され、その後、固体形態に冷却される。複数の繊維状ヤーンは、接着ベース層に結合し、そこから真っ直ぐに延びて、表層摩耗面を形成する。融着表面織物を作製する方法は知られており、例えば、その開示全体が参照により組み込まれる米国特許第6089007号に記載されている。
【0125】
別の態様では、任意の従来のタフト化またはニードルパンチ装置および/またはステッチパターンを、本発明のカーペットに使用することができる。同様にタフト化ヤーンループが、ループパイルを生成するためにカットされないままであるか否か;カットパイルを作製するためにカットされたか否か;または剪断されたチップとして知られる表面生地を作製するためにカットされ、部分的にカットされ、もしくはカットされないままであるか否かは、問題ではない。ヤーンをタフト化しまたはニードルパンチを行って1次裏当て材にした後、生繊維材料は、この1次裏当て材の裏面が外側に向くように従来通りに巻き上げ、裏当てラインに移送されるまで保持することができる。
【0126】
1つの例示的な実施形態では、生繊維材料は、その表面に接着裏当て材が押し出される前に、精練しまたは洗浄して、ヤーン製造プロセスからヤーン表面に残されているスピン仕上げ化学薬品として知られる加工助剤、例えば油状または蝋状の化学薬品などの、全てまたは実質的に全てを除去しまたは押し退けることができる。加工助剤としてのポリオレフィンワックス(従来の有機および鉱油ではない)の使用によって、接着裏当て材はそれ自体で性能を改善することが可能になり、または精練もしくは洗浄法の使用を、少なくとも最小限に抑えることが可能になると考えられる。
【0127】
記述されるように、本発明のいくつかの態様によれば、生繊維材料は任意選択で、接着裏当て材が表面に押し出される前に、プレコート材料(図示せず)でコーティングすることができる。水性プレコート材料は、例えば、分散体としてまたはエマルジョンとして添加することができる。例示的な態様では、エマルジョンは、例えばエチレンアクリル酸(EAA)、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリプロピレン、またはポリエチレン(例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、または実質的に線状のエチレンポリマー、またはこれらの混合物)などであるがこれらに限定するものではない、様々なポリオレフィン材料から作製することができる。さらに、プレコート材料は、EVAホットメルト、VAEエマルジョン、カルボキシル化スチレン−ブタジエン(XSB)ラテックスコポリマー、SBRラテックス、BDMMAラテックス、アクリルラテックス、アクリルコポリマー、スチレンコポリマー、ブタジエンアクリレートコポリマー、ポリオレフィンホットメルト、ポリウレタン、ポリオレフィン分散体および/またはエマルジョン、およびこれらの任意の組合せを含むがこれらに限定することのない群から、選択できると考えられる。
【0128】
使用される場合、プレコートはさらに、1種または複数の難燃剤を含むことができる。任意選択のプレコート層に組み込むことができる、例示的な難燃剤には、限定するものではないが、有機リン難燃剤、赤リン水酸化マグネシウム、二水酸化マグネシウム、ヘキサブロモシクロドデカン、臭素含有難燃剤、臭素化芳香族難燃剤、シアヌール酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ホウ酸メラミン、メチロールおよびその誘導体、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、レゾルシノールビス−(リン酸ジフェニル)、臭素化ラテックスベース、三酸化アンチモン、ホウ酸ストロンチウム、リン酸ストロンチウム、モノマーN−アルコキシ障害アミン(NOR HAS)、トリアジンおよびその誘導体、高アスペクト比タルク、リン酸化エステル、有機的に改質されたナノクレーおよびナノチューブ、非有機的に改質されたナノクレーおよびナノチューブ、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸、アンモニウム塩、リン酸トリアリール、イソプロピル化リン酸トリフェニル、リン酸エステル、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、ベントナイト(アルカリ性活性化ナノクレーおよびナノチューブ)、オルガノクレー、アルミニウム三水和物(ATH)、アゾジカーボンアミド、ジアゼンジカルボキサミド、アゾジ炭酸ジアミド(ADC)、リン酸トリアリール、イソプロピル化リン酸トリフェニル、トリアジン誘導体、アルカリ性活性化オルガノクレー、および酸化アルミニウムが含まれる。任意の所望量の難燃剤を、プレコートに使用することができ、そのような量の選択は、1つには使用される特定の難燃剤に、また同時に、製造される2代目のカーペットで実現される所望レベルの難燃性に、依存することになる。そのような量は、単なる日常的な実験を通して容易に決定することができる。
【0129】
さらに別の態様では、プレコートは、好ましくはその他の成分を含有することができる。例えば、少なくとも実質的に分散させたポリオレフィン粒子の保持を助けるために、界面活性剤を含めることができる。適切な界面活性剤には、例えば、限定するものではないが非イオン性、陰イオン性、陽イオン性、およびフッ素系界面活性剤を含めることができる。好ましくは界面活性剤は、エマルジョンまたは分散体の全重量に対して、約0.01から約5重量%の間の量で存在する。より好ましくは、界面活性剤は陰イオン性である。
【0130】
別の例では、プレコートはさらに、増粘剤、消泡剤、および/または分散増強剤を含むことができる。この態様では、増粘剤は、適切な粘度を分散体に与えるのを助ける。例えば、増粘剤は例示的に、ポリアクリル酸のナトリウムおよびアンモニウム塩を含むことができ、分散体の全重量に対して約0.1から約5重量%の間の量で最も良く存在する。消泡剤は、限定するものではないが非シリコーン消泡剤でよく、分散体の全重量に対して約0.01から約5.0重量%の間の量で存在する。例示的な分散増強剤は、分散のための相溶化剤として働くヒュームドシリカでよく、より大きなポリオレフィン粒子の使用が可能になる。好ましくは、ヒュームドシリカは、分散体の全重量に対して約0.1から約0.2重量%の間で存在する。
【0131】
さらに別の態様では、プレコートは、1種または複数の充填剤を含むことができる。本発明の接着裏当て組成物に組み込むことができる、例示的かつ非限定的な充填剤には、炭酸カルシウム、フライアッシュ、ナイロン6の解重合からの残留副産物(ENR副産物とも呼ぶ)、リサイクルされた炭酸カルシウム、アルミニウム三水和物、タルク、ナノクレー、硫酸バリウム、バライト、バライトガラス繊維、ガラス粉末、屑ガラス、金属粉末、アルミナ、水和アルミナ、クレー、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、シリカ、ガラス、ヒュームドシリカ、カーボンブラック、黒鉛、セメントダスト、長石、霞石、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、チタネート、ガラス微小球、チョーク、酸化カルシウム、およびこれらの任意の組合せを含めることができる。
【0132】
プレコートは、様々な方法でカーペットに付着させることができる。例えば分散体は、ロールオーバーローラアプリケータまたはドクターブレードなどにより、直接付着させることができる。あるいは、プレコートは、パンアプリケータなどで間接的に付着させることができる。付着されるプレコートの量およびプレコート中の粒子の濃度は、所望の加工および製造パラメータに応じて変えることができると考えられる。一例では、付着される分散体の量および粒子の濃度は、カーペット1平方ヤード当たり(OSY)約4から約12オンスの間で付着されるように選択される。一態様では、これは、約50重量%のポリオレフィン粒子(エマルジョンの全重量に対して)を含有する分散体またはエマルジョンを使用し、約8から約30OSYの間の分散体を付着させることによって、実現することができる。したがって、プレコートの所望の付着重量は、少なくとも1つには、プレコート中の無機充填剤および/または難燃剤の存在および量に応じて変わることを、理解すべきである。例示的な態様では、好ましいラテックスプレコートは、Dow ChemicalからのLXC 807 NAである。
【0133】
プレコートの付着後、エマルジョンが乾燥し、融解し、かつ/または硬化するように、1次裏当ての裏面に熱を加えることができる。その結果、ヤーンのループは、1次裏当てに少なくとも部分的に固定することができる。好ましくは、熱は、製品を炉内に通すことによって加えられる。
【0134】
ポリオレフィン粒子の、任意選択のプレコートエマルジョンによる処理の後、そこに追加の裏当て材を付着させることができる。追加の裏当ては、その表面に従来の2次裏当てを積層することもできる熱可塑性材料、好ましくは上述のリサイクルされた接着裏当て組成物の、押し出されたシートの使用を含む、好ましい方法を用いた様々な方法によって付着させることができる。特に、融解熱可塑性材料は、カーペットほどに広いシートが作製されるように、ダイを通して押し出されることが好ましい。融解状態の押し出されたシートは、1次カーペット裏当ての裏面に付着される。シートは融解しているので、シートはヤーンのループの形状に一致することになり、さらに、1次裏当てにループを封入し固定するように働く。プレコートが生繊維材料の裏面に付着している態様では、プレコートが、接着裏当て組成物と生繊維材料の裏面との間に配置されることが、理解されよう。あるいは、任意選択のプレコート層が付着されない態様によれば、本発明のリサイクルされた接着裏当て組成物は、1次裏当ての裏面に直接付着され、それ自体が1次裏当てにループを固定する働きをすることができる。
【0135】
例示的な押出しコーティング構成には、限定するものではないが、単層T型ダイ、シングルリップダイ共押出しコーティング、デュアルリップダイ共押出しコーティング、コートハンガーダイ、および多段階押出しコーティングを含めることができる。好ましくは、押出しコーティング装置は、約4から約60オンス/yd(OSY)の全コーティング重量を適用するように構成され、その例示的な量としては、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、および55オンス/yd(OSY)が含まれ、さらにこれらの値から得られたコーティング重量の、任意の範囲が含まれる。このために、押出しコーティングされた層の所望のコーティング重量は、少なくとも1つには、押出し物中の任意の難燃剤または無機充填剤の量に依存することになることを、理解すべきである。
【0136】
押出しコーティング融解温度は、主に、押し出されている接着裏当て組成物の特定の組成に依存する。上述の好ましい、実質的に線状のポリエチレンを含む、上述のリサイクルされた接着裏当て組成物を使用する場合、押出しコーティング融解温度は約350°Fよりも高くすることができ、いくつかの態様では、350°Fから650°Fまでの範囲である。別の態様では、融解温度は375°Fから600°Fの範囲内にすることができる。あるいは、融解温度は400°Fから550°Fの範囲内にすることができる。さらになお、本発明の態様では、融解温度を425°Fから500°Fの範囲内にすることができる。
【0137】
図4は、本明細書に記述されるリサイクルされた接着裏当て組成物を、生繊維材料の裏面に付着して、接着裏当てカーペット470を提供するための、例示的なライン400を示す。図示されるように、ライン400は、スロットダイ422を備えた押出し機421、ニップロール424、チルロール423、排気フード426、ターンロール428、およびプレヒータ425を含む。示されるように、ニップロールは、好ましくは真空スロット429を備え、その円周部分全体を真空に引くようになされており、真空ポンプ427と連絡した状態に構成されている。スロットダイ422は、リサイクルされた接着裏当て材を、半融解または融解ポリマーシート430の形で生繊維材料440上に定量吐出するように構成され、このときポリマーシート330はチルロール423へと向かっており、生繊維材料440は、任意選択の真空ニップロール424へと向かった状態である。さらに示されるように、任意選択の2次裏当て材450を、ポリマーシート430上に付着させることができる。ニップロール424およびチルロール423が互いに最も近接する点は、ニップ460と見なされる。
【0138】
本発明の態様によれば、発明のリサイクル済み接着裏当て組成物の、複数の2つ以上の個別の層または塗布物は、生繊維材料の裏面に付着できることが、さらに考えられる。例えば、上述の任意のプレコートが付着されていない態様では、リサイクルされた接着裏当て組成物の第1の層を付着させて、ヤーンループを1次裏当てに固定し、その後、引き続き、本発明のリサイクルされた接着組成物を付着することが望ましいと考えられる。このため、2層の押し出されたリサイクル済み接着裏当てを有するカーペットは、図4に示されるものと同様の、単一の押出しダイ、ニップロール、およびチルロールで作製できると考えられる。特に、押し出された裏当ての第1の層は、ラインに最初に通すことによって付着することができ、その後、カーペットを巻き上げる。次いで押し出された裏当ての第2の層は、同じラインに次の回で通すことによって、第1の層の上面に付着させることができる。
【0139】
リサイクルされた接着裏当て組成物の2つ以上の押出し層を有する態様によれば、2層は、任意選択で、同じ接着裏当て組成物からなることができ、あるいは任意選択で、それぞれが異なる接着裏当て組成物を含む層にすることができる。例えば第1の層は、第1の層の裏面に付着される第2の層よりも高いメルトインデックスを有する1次裏当て材(第1の層)の裏面に直接付着することができる。この態様では、ヤーンの封入および浸透を利用するのは第1の層であるので、この層は、ヤーンの封入および浸透を促進させるのに十分高いメルトインデックス(十分低い溶融粘度)を有するべきである。ヤーンの封入および浸透を一般に利用しない第2の層は、カーペットの底面として、または任意選択の2次裏当て材の付着を促進させるために、使用してもよい。この例では、冷却後により高い強度を得るために、より低いメルトインデックスを有することが好ましくなることもある。さらに、より低い品質および/またはそれほど緊密に制御されない性質の樹脂は、繊維束の封入または浸透を利用していないので、第2の層に使用してもよい。好ましい実施形態では、第2の層は、リサイクルされた接着組成物から形成することができる。この態様では、第1および第2の層は、異なるポリマーの化学的性質または組成からなるものでよいと考えられる。
【0140】
さらに別の態様では、単一のポリマー組成である2つ以上の層を押し出して、カーペットに付着される接着裏当ての厚さまたは重量のさらなる制御を行うことができる。さらになお、代替の実施形態では、接着裏当て組成物の3層以上を1次裏当て材の裏面に押し出して、さらに高いコーティング重量を実現することができ、かつ/または付着された第1および最後の層の間でのより漸進的な遷移を得ることができる。この態様では、2層を付着させるのに、デュアルリップダイを使用することができる。あるいは、これらの2層以上を付着させるのに、2つ以上の押出しステーションまたはシングルリップ共押出しダイを使用することができる。
【0141】
さらに別の態様では、カーペットの接着裏当て層に強化層を付着するのが望ましいこともある。強化層は、例えば、カーペットタイルとしての使用が意図される本発明の態様に、寸法安定性を付加することができる。このため、織布および不織布繊維ガラスまたはポリプロピレンスクリムなどを含めた、任意の従来の強化材料を使用することができる。好ましい態様では、スクリムを、リサイクルされた接着裏当て組成物の2つ以上の層の間に付着させることができる。例えば図5は、本発明の態様によるカーペットを製造するための、例示的なライン520を概略的に示す。図示されるように、生繊維材料521の長さ、即ち1次裏当てにタフト化されたヤーンは、ロール523から巻き解かれる。生繊維材料521は、1次裏当てがプレヒータ529に向かう状態で、ローラ525および527を通過する。対流式炉または赤外線パネルなどのプレヒータは、接着裏当て材が表面に押し出されてヤーン束の封入および浸透が高められる前に、生繊維材料の裏面を加熱するのに使用することができる。予備加熱の他に、または予備加熱の代わりとして、本発明のプロセスは、加熱後浸漬プロセスステップを用いて接着裏当て材の融解時間を延ばし、それによって、接着裏当て材によるヤーンまたは繊維束の封入および浸透を改善してもよい。
【0142】
押出し機531は、ローラ527とニップロール541との間の点で、生繊維材料の裏面に、ダイ533を通してリサイクルされた接着裏当て組成物の第1のシート535が押し出されるように取り付ける。シート535が生繊維材料に接触する正確な位置は、ニップロール541とチルロール543との間を通過する前に、融解ポリマーが生繊維材料上で静止するのに望まれるライン速度および時間に応じて、変えることができる。この図示される実施形態では、ニップロール541の直前の点でチルロール543に接触するように、不織布繊維ガラスのスクリム539を、ロール537から供給することができる。その結果、完成したカーペットで強化布として働くことになるスクリム539は、ポリマーを通して生繊維材料に積層される。
【0143】
線状インチ当たりのポンド(PLI)で測定された、ニップロール541とチルロール543との間の所望の圧力は、押し出されたシートを押し出すのに求められる力に応じて、変えることができる。特に、この所望の圧力は、空気シリンダ内の圧力を変化させることによって、調節することができる。あるいは、ニップロール541およびチルロール543は、これら2つのロール間の間隔を、例えばその間を通過する材料の厚さに応じて所望のギャップ幅に調節することができるギャップモードで、操作することができる。また、図4に関連して記述されるように、ニップロールには真空スロットを含めることも望ましいと考えられる。さらに、加圧空気の噴流を使用して、押し出されたシートをカーペット裏当てに押しつけることもできる。さらになお、チルロール543のサイズおよびカーペットがそれに対して巻かれる時間の長さは、このプロセスで望まれる冷却レベルに応じて変えることができる。好ましくは、チルロール543は、そこに周囲水または冷水を単に通すことにより、冷却される。
【0144】
チルロール543を通過した後、カーペットは、ローラ545および547上に運ばれ、このとき、カーペットパイルはこれらのローラに向かい、また接着剤535の第1の層およびそこに積層されたスクリム539を有するカーペットの裏面は、第2のプレヒータ563に向かった状態である。第2の押出し機549は、リサイクルされた接着裏当て組成物553の第2のシートを、そのダイ551を通してスクリム539の裏面に押し出す。やはり、押し出されたシート553がスクリム539に接触する点は、上述のように変えることができる。
【0145】
この時点で、任意選択の2次裏当て織布567がカーペット組成物に望まれる場合、537で示される場合と同様の第2のロール565から織布を導入することができ、ニップロール555とチルロール557との間を通過するときに押し出されたシート553を通してカーペットに積層されるようにする。その後、カーペットはニップロール555とチルロール557との間を通過する。やはり、これら2つのロール555および557の間に加えられる圧力は、必要に応じて変えることができる。最後に、チルロール557の周りを通過した後、完成したカーペット561はロール559の周りを通過し、好ましくはエンボス加工ロール(図示せず)を通過して、所望のパターンをカーペットの裏面に印刷する。
【0146】
上述のように、本発明のカーペットは、2次裏当て材を任意選択で含むことができる。図4および図5に示されるように、2次裏当て材は、好ましくは押し出された層に直接積層され、一方、押出し物は、1次裏当てへの押出しコーティングの浸透が改善されるように、押出しコーティング後も融解したままである。あるいは、2次裏当て材は、押し出された層の少なくとも最外部分を再加熱および/または再融解することによって、または、少なくとも2つの専用押出し機を使用した共押出しコーティング技法によって、その後のステップで積層することができる。また、2次裏当て材は、接着裏当て材と2次裏当て材との間にポリマー接着材料層を介在させるなど、いくつかのその他の従来の手段によって、積層することができる。適切なポリマー接着材料には、限定するものではないが、エチレンアクリル酸(EAA)コポリマー、イオノマー、および無水マレイン酸グラフト化ポリエチレン組成物が含まれる。2次裏当て材は、織布または不織布にすることができ、さらに、1種または複数のポリエチレンポリマー、例えば限定するものではないが、低密度ポリエチレン(LDPE)、不均質に分岐した線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、不均質に分岐した超低密度ポリエチレン(ULDPE)、不均質に分岐した極低密度ポリエチレン(VLDPE)、不均質に分岐した線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、不均質に分岐した線状極低密度ポリエチレン(VLLDPE)、エチレンおよびαオレフィンのコポリマー、ポリプロピレン、プロピレンおよびαオレフィンのコポリマー、プロピレンおよびエチレンのコポリマー、エチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)、エチレンメチルアセテートコポリマー(EMA)、グラフト化ポリエチレンポリマー(例えば、無水マレイン酸押出しグラフト化不均質分岐線状低ポリエチレン、または無水マレイン酸押出しグラフト化均質分岐超低密度ポリエチレン)、エチレンアクリル酸コポリマー、エチレンエチルアクリレートコポリマー、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリブチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ゴム、エチレンプロピレンポリマー、エチレンスチレンポリマー、スチレンブロックコポリマー、およびバルカネートからなるものにすることができる。
【0147】
さらに別の態様では、本明細書に記述される押出し裏当てカーペット構成および方法は、カーペットタイルの作製に特に適している。図6は、本発明により作製されたカーペットタイル600の、例示的な断面を示す。表面ヤーン603は、カーペットタイルの表面604が1次裏当て601の上面にあり、かつバックステッチ605が1次裏当ての下側にあるように、1次裏当て601にタフト化されている。1次裏当て601の裏面およびバックステッチ605には、本明細書に記述されるプロセスから再生された少なくとも1種のリサイクル済みポリオレフィンポリマー成分を含む、リサイクル済み接着組成物層607が付着されている。カーペットタイルの好ましい実施形態では、カーペットは、約5から約200OSYの押出し接着裏当てを含む。より好ましくは、タイル用カーペットは、約30から約80OSYの押出し裏当てを含み、最も好ましくは50OSYである。
【0148】
好ましくは、カーペットタイルは、上記にて論じた図5で例示されるように、2回通過させることによって、その押出し接着裏当てを受け取る。1回目の通過により、層607が付着される。好ましくは、この層607は、押出しポリマーに対して約2.5から約100OSYの間であり、より好ましくは、約15から約40OSYの間であり、最も好ましくは25OSYである。2回目の通過により、層611が付着される。好ましくは、第2の層611は、約2.5から約100OSYであり、より好ましくは、約15から40OSYの間であり、最も好ましくは25OSYである。
【0149】
例えばカーペットタイルを作製する場合、押出し裏当ての第1および第2の層の間に強化材料層609を埋め込むことが、やはり好ましいと考えられる。カーペットタイルの重要な性質は、寸法安定性、即ち、タイルがそのサイズおよび平坦性を経時的に維持できることである。この強化材料層を含むことによって、この好ましい実施形態により作製されたカーペットタイルの寸法安定性が高まることがわかった。適切な強化材料には、不織またはウェットレイド繊維ガラススクリムなどの、寸法的および熱的に安定な布、ならびに熱可塑性の織布および不織布(例えば、ポリプロピレン、ナイロン、およびポリエステル)が含まれる。最も好ましくは、強化層は、坪量が3.5OSYである、「Typar」としてReemayから販売されているポリプロピレン不織布である。あるいは、好ましい強化層は、坪量が1.4OSYである、「Ultra−Mat」としてELK Corp.から販売されている繊維ガラススクリムである。
【0150】
カーペットタイルは、押出し裏当ての第2の層611の下に、2次裏当て布613を含んでもよい。2次裏当て布に適した材料には、上述のものが含まれる。
【0151】
当業者なら、上述の特定の実施例にも関わらず、参照により本明細書に組み込まれるD. C. Blackly、Latex and Textiles、セクション19.4.2、361頁に記述されるような、直接コーティングおよびロールメータリング、およびナイフコーティングおよびリックロール塗布を含めるがこれらに限定するものではない当業者に知られている方法によって、カーペットを製造できることが考えられることを理解するであろう。
【実施例】
【0152】
本発明の原理をさらに示すため、本明細書に開示される本発明の様々な態様をどのように作製しかつ/または評価することができるのかについて、完全な開示および記述が当業者にもたらされるように、以下の実施例を提示する。これらは、本発明を純粋に例示するものであり、本発明者らがその発明と見なす範囲を限定するものではない。数(例えば、量、温度など)に関する正確さを確かなものにするために、努力がなされてきたが、いくらかの誤差および偏差が生じた可能性がある。他に特に指示しない限り、部は重量部であり、温度は摂氏温度または周囲温度であり、圧力は、大気または完全真空でありまたはその付近である。
【0153】
(実施例1)
対照サンプルに関するメルトフロー比および再生の評価
例示的な接着組成物のメルトフロー比およびリサイクル性を評価するために、一連の実験を行った。次いでこれらのメルトフロー比を、例示的な未使用接着組成物メルトフロー比と比較した。理論に拘泥するものではないが、メルトフロー比は、一態様において、ポリマー接着組成物の加工特性を示すことができ、したがって、測定されたメルトフロー比の相関関係または類似性は、一態様において、2代目のカーペット組成物を作製する際に本発明によるリサイクル接着組成物を利用できることを示すことができると考えられる。
【0154】
最初に、未使用接着成分からなる対照サンプルを、そのメルトフロー加工特性に関して評価した。対照サンプルは、Dow Chemicals製Affinity(登録商標)シリーズの実質的に線状のポリエチレンポリマー約75重量%と、炭化水素増粘剤樹脂(Eastman Chemical製Piccotac 1115)約20重量%と、接着改質剤(Dow Chemical製GR204)5重量%とからなるポリマー接着組成物であった。対照組成物の5つのサンプルについて、ASTM D1238−04Cに従い試験をし、得られたデータを以下の表1に示す。
【0155】
表1:未使用対照サンプルのメルトフロー比
【0156】
【表1】

次いで上述の未使用接着成分からなる対照接着組成物を、テルペン溶媒系に溶解しその後本発明の方法に従って再生されるその能力について、評価した。リサイクル方法は、真空炉を摂氏約200度に予熱するステップを含んでいた。押し出された対照未使用接着層のサンプルを得、その後、サイズを、約0.25インチ未満のサイズのポリマーチップにまで縮小した。
【0157】
丸底の250mlフラスコを使用して、D−リモネン約60.0gおよびポリマーチップ6.0gを合わせた。次いで機械的撹拌を行うために、磁気撹拌子をフラスコに加えた。サンプルを加熱する前に、フラスコ内の空気をCOガス流でパージした。その後、サンプルを、所定位置でCOブランケットにより加熱した。液体サンプルに熱を均等に分布させるため、丸底加熱マントルを使用した。撹拌子を、中程度の撹拌で作動させて、加熱中にガラス容器からポリマーチップを引き離したままにした。サンプルを、沸騰近くになるまでゆっくり加熱し、チップを溶液中に溶解させた。
【0158】
COブランケットがD−リモネン蒸気によって容器から外に押し出されたら、凝縮器および溶媒回収装置を接続して、フラスコから蒸留されたD−リモネンを回収した。D−リモネンの大部分を蒸留しながら、サンプルをゆっくりと加熱し続けた。過熱されてこのプロセスがスピードアップしないように注意しながら、液体体積の減少と共に熱を徐々に増加させた。溶媒除去の結果生じた粘度の増大により、撹拌子の回転がほぼまたは完全に停止するまで、溶解したポリマー組成物の揮発分除去を行った。それ以上溶媒の揮発分除去がなされなくなったら、熱源を除去した。
【0159】
熱を除去した後、フラスコに再びCOガスを充填して、サンプルの酸化を防止し、次いで栓で密封した。ガラス容器を安全に取り扱うことができるようになるまで、周囲条件下でサンプルを冷却させた。冷却したら、回収されたポリマーをガラス容器から擦り取り、PTFE−コーティング付きウォッチガラス(直径6”)内に置いた。次いでポリマー充填がなされたPTFEウォッチガラスを、窒素ブランケット下の予熱された真空炉内に置いた。真空ポンプを係合し、窒素パージを約30秒間実行した。その後、窒素弁を閉じ、約29.5”以上の真空圧を実現するために、真空ポンプを作動させた。
【0160】
サンプルを、200Cで16時間、完全真空圧でそのままにした。この真空乾燥により、回収されたポリマー中に含有されかつ典型的には常圧蒸留条件下で除去することのできない残留溶媒が、除去された。真空乾燥が終了したら、真空圧が解除されるまで、炉のチャンバに再びNを充填した。次いでサンプルを炉から取り出し、周囲条件で冷却させた。
【0161】
回収したポリマーサンプルを冷却したら、回収した対照ポリマー組成物の9個のサンプルに関し、対照と同じ方法を使用して、そのメルトフローレート特性に関して再び試験をした。得られたメルトフローレートを、以下の表2に示す。
【0162】
表2−再生した対照サンプルのメルトフロー特性
【0163】
【表2】

上記表1に示される、未使用の対照サンプルの初期メルトフロー特性と比較した場合、回収した対照サンプルに関するメルトフローレートの結果は、押し出された接着層から回収したポリマーが、未使用の接着組成物の場合と同様の加工促成を有するであろうことを示している。
【0164】
さらに、回収されたポリマー中に残っているあらゆる溶媒の残留レベルを決定するために、物質収支およびポリマー品質の研究を行った。具体的には、上述の対照サンプルに関し、200°で、約16時間の停留時間で、かつ29.5”の真空下で、対照ポリマーサンプルは、約0%から0.26%の範囲にある、溶媒の例示的な残留レベルを実現することができると決定した。この決定のために得られかつ使用されたデータを、以下の表3に示す。
【0165】
表3
【0166】
【表3】


【0167】
(実施例2)
実際のカーペット組成物からの例示的な接着剤再生
本発明の方法に関し、実際のカーペット組成物からポリマー材料を再生することができるか評価した。約26.6oz/syの全ヤーン重量および約31.32oz/syの全ポリマー重量を含んだ全材料重量が約57.92oz/syの、タフト処理された広幅織りカーペット構成であるカーペット組成物に対して、一連の11の再生実験を実施した。ヤーンは、約3.2oz/syの重量を有するポリプロピレン1次裏当てにタフト化されたナイロンヤーンであった。ラテックスプレコート、Dow Chemicals製LXC 807 NAを、約5.16oz/syの量で1次裏当てに付着させた。対照サンプルに関連して上述された未使用の接着組成物を、約19.24oz/syの量で1次裏当てに付着させた。全重量が約3.68oz/syである不織布ポリプロピレン2次裏当ても、付着させた。
【0168】
この実施例に従い、真空炉を再び200℃に予熱した。上述のカーペットのサイズを、約1/2”×1/2”の小片に縮小した。丸底の250mlフラスコを使用して、サイズ縮小がなされたカーペット小片の約6.00gと、D−リモネンの約60.00gとを、一緒に合わせた。磁気撹拌子も、機械的撹拌のために加えた。フラスコ中の「空気」を、COガスを使用してパージし、その後、サンプルを加熱した。液体サンプルに熱を均等に分布させるため、丸底加熱マントルを使用して、所定位置のCOブランケットでサンプルを加熱した。次いで撹拌子を、中程度の撹拌レベルに関与させて、加熱中にガラス容器からカーペット小片が引き離されるよう保持した。サンプルを、ほぼ沸騰するまでゆっくりと加熱し、サンプルを溶媒に溶解させた。
【0169】
カーペットの非ナイロン成分がD−リモネン溶液に溶解したら、フラスコを加熱マントルから取り出した。次いでメッシュスクリーン材料(60メッシュ)を切断して、ブフナー漏斗に適合させた。メッシュフィルタをブフナー漏斗内に置いたら、漏斗を、空の丸底フラスコ上に配置した。次いで溶解したポリマー混合物、液体、ヤーンなどを、ブフナー漏斗に通して濾過し、ポリマー溶液が収集されるようにスクリーニングし、ナイロンヤーンなどの非溶解成分を分離した。次いで収集されたヤーンを、沸騰したD−リモネンで3回洗浄して、ヤーン表面にコーティングされた残留ポリマーを収集した。このD−リモネンは、全体的により高いポリマー収率が実現されるように揮発分除去を行うため、主なポリマー溶液の濾液と再結合することができる。
【0170】
フラスコ内に収集されたポリマー溶液を、加熱マントルに再び戻して、揮発分除去を行った。空気も、サンプルを再加熱する前にCOガスを使用して、再びフラスコからパージした。所定位置のCOブランケットを用い、サンプルを再び沸点付近まで加熱した。COブランケットが、D−リモネン蒸気によって容器から押し遣られ始めたら、凝縮器および溶媒回収装置をフラスコに接続して、フラスコから蒸留されたD−リモネンを収集した。サンプルをゆっくりと加熱し、それと共にD−リモネンの大部分をフラスコから蒸留し、熱は、フラスコ内の液体の体積が低下すると共に徐々に増大させた。これを、粘度の増大および溶媒の除去によって撹拌子がその回転をほぼまたは完全に停止させるまで、継続した。溶媒から揮発分除去を行ったら、熱源を取り外した。対照サンプルに関し、上述と同じか類似するプロセスを利用して、回収されたポリマー成分を冷却し、真空乾燥して、サンプルから、残された残留溶媒を少なくとも実質的に除去した。
【0171】
回収したポリマーサンプルを冷却したら、回収したポリマー組成物の、メルトフローレート特性に関して試験をした。得られたメルトフローレートを、以下の表4に示す。
【0172】
表4−再生サンプル1〜8のメルトフロー特性
【0173】
【表4】

上記表1に示される未使用の対照サンプルの初期メルトフロー特性と比較した場合、これらの回収されたサンプルに関するメルトフローレートの結果は、実際のカーペット組成物から回収されたポリマーが、未使用の接着組成物の場合と同様の加工特性を示し、したがって、2代目の接着組成物でリサイクル成分として使用できることを示している。
【0174】
実施例2で既に述べたものと同じ実験手順を利用して、これら追加のサンプルのメルトフロー特性を測定し、それによって、実際のカーペットサンプルから再生したポリマー組成物に関して実現された、メルトフロー特性の再現性および信頼性を評価した。3つの追加のサンプルのメルトフローレートは、それぞれに関し、4回に分けて(A〜D)、ASTM D1238−04Cの手順に従って測定した。これら追加の3つのサンプルに関するメルトフローデータを、以下の表5に示す。
【0175】
表5−再生したサンプル9〜11のメルトフロー特性
【0176】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
テルペン可溶性ポリマーを含むカーペットを、テルペンを含む溶媒系に接触させるステップと、
ポリマー組成物の少なくとも一部を溶媒系に溶解して、テルペンおよび溶解したポリマーの溶液を提供するステップと、
テルペンを、テルペンおよび溶解したポリマーの溶液から分離して、再生されたポリマー組成物を提供するステップと
を含む、カーペットからポリマーを再生するための方法。
【請求項2】
前記ポリマーがポリオレフィンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
接触している前記カーペットが、複数の、サイズを縮小させたカーペット小片を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記カーペットを溶媒系に接触させる前に、カーペットのサイズを縮小させて、前記複数のカーペット小片を得る、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記カーペットが、表面ヤーン、1次カーペット裏当て、および接着カーペット裏当て組成物を含む、タフト処理されたカーペットであり、前記ポリオレフィンポリマーが、少なくとも接着裏当て組成物中に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記カーペットが、テルペン可溶性ではない表面ヤーン繊維を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記カーペットが、テルペン可溶性ではない無機充填剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
テルペンおよび溶解したポリオレフィンの前記溶液が、さらに、非テルペン可溶性表面ヤーン繊維を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
テルペンおよび溶解したポリオレフィンの前記溶液が、さらに、非テルペン可溶性無機充填剤を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記溶解するステップが、テルペン溶媒系を、テルペンの沸点よりも低い温度に加熱するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記テルペンが、下記の構造を有する、請求項1に記載の方法
【化8】

(式中、
a.各−−−−は、任意選択の結合を意味し、
b.任意選択の結合の少なくとも2つが存在し、
c.R、R1’、およびRは、独立に、アルキルおよびカルボキシルから選択され、
d.R、R、およびRは、独立に、水素、ヒドロキシル、カルボニル、ハロゲン、アルキル、アルコキシル、カルボニル、およびアシルから選択され、
e.Rは、水素、ヒドロキシル、または酸素から選択される)。
【請求項12】
前記テルペンが、柑橘類、マツ、またはこれらの組合せから得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
f.RおよびRがメチルであり、
g.C1とC2との間の任意選択の結合が存在し、かつR1’がメチレンであり、
h.C1とC2との間の任意選択の結合が存在し、
i.R、R、およびRが水素である、
請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記テルペンがD−リモネンである、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記テルペンがピネンである、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記テルペンがα−ピネンである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記カーペットが、少なくとも1種の非テルペン可溶性組成物を含み、少なくとも1種の非テルペン可溶性組成物が、テルペンおよび溶解したポリマーの溶液中に存在し、テルペン溶媒を溶液から分離する前に、少なくとも1種の非テルペン可溶性組成物が溶液から分離される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記テルペンを溶液から分離した後、分離されたテルペンを、後続のテルペン溶媒系で再使用するために収集する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記再生されたポリマー組成物を乾燥して、残留テルペン溶媒を全て除去する、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記再生されたポリマー組成物が、HDPE、LDPE、LLDPE、ULDPE、VLDPE、VLLDPE、エチレンおよびαオレフィンのコポリマー、ポリプロピレン、プロピレンおよびαオレフィンのコポリマー、プロピレンおよびエチレンのコポリマー、EVA、およびEMAの少なくとも1種を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
1次裏当てと、
1次裏当ての底面を貫通し、そこから1次裏当ての上面に突出する、複数のカーペット繊維と、
1次裏当ての底面に接続され、テルペン溶媒溶液から再生されたリサイクル済みポリマーを含んだ接着組成物を含む、接着裏当てと
を含む、カーペット組成物。
【請求項22】
前記再生されたポリマーがポリオレフィンを含む、請求項21に記載のカーペット組成物。
【請求項23】
前記再生されたポリマー組成物が、HDPE、LDPE、LLDPE、ULDPE、VLDPE、VLLDPE、エチレンおよびαオレフィンのコポリマー、ポリプロピレン、プロピレンおよびαオレフィンのコポリマー、プロピレンおよびエチレンのコポリマー、EVA、およびEMAの少なくとも1種を含む、請求項21に記載のカーペット組成物。
【請求項24】
前記接着組成物が、再生されたポリマー組成物と、未使用のポリオレフィン組成物とのブレンドを含む、請求項21に記載のカーペット組成物。
【請求項25】
前記未使用のポリオレフィン組成物が、50%以上の短鎖分岐分布指数(SCDBI)を有することを特徴とする少なくとも1種の均質に分岐したエチレンポリマーを含む、請求項24に記載のカーペット組成物。
【請求項26】
前記接着組成物が、繊維に実質的に浸透しかつ繊維を実質的に圧密化した、請求項21に記載のカーペット組成物。
【請求項27】
前記カーペットが、ASTM D−1335−67に従い測定したときに5ポンド以上のタフト結合を有する、請求項21に記載のカーペット組成物。
【請求項28】
前記少なくとも1種の均質に分岐したエチレンポリマーが、さらに、−30から150℃の間に単一の示差走査熱量測定DSC融解ピークを有することを特徴とする、請求項25に記載のカーペット組成物。
【請求項29】
前記少なくとも1種の均質に分岐したエチレンポリマーが、均質に分岐した線状エチレンポリマーである、請求項25に記載のカーペット組成物。
【請求項30】
前記1次裏当てが、織布1次裏当てである、請求項21に記載のカーペット組成物。
【請求項31】
前記1次裏当てが、不織布1次裏当てである、請求項21に記載のカーペット組成物。
【請求項32】
前記複数のカーペット繊維が、複数のヤーンを含む、請求項21に記載のカーペット組成物。
【請求項33】
前記カーペット繊維が、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、アクリル、ポリアミド、ウール、木綿、レーヨン、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項21に記載のカーペット組成物。
【請求項34】
前記1次裏当てが、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、アクリル、ポリアミド、繊維ガラス、ウール、木綿、レーヨン、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項21に記載のカーペット組成物。
【請求項35】
前記1次裏当てが、本質的にポリプロピレン材料からなる、請求項21に記載のカーペット組成物。
【請求項36】
前記1次裏当ての底面の少なくとも一部に接続されたプレコート材料をさらに含む、請求項21に記載のカーペット組成物。
【請求項37】
前記プレコート材料が、EVAホットメルト、VAEエマルジョン、カルボキシル化スチレン−ブタジエン(XSB)ラテックスコポリマー、SBRラテックス、BDMMAラテックス、アクリルラテックス、アクリルコポリマー、スチレンコポリマー、ポリウレタン、ポリオレフィンホットメルト、ポリオレフィン分散体、ブタジエンアクリレートコポリマー、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項36に記載のカーペット組成物。
【請求項38】
前記接着裏当ての下面に接続された2次裏当てをさらに含む、請求項21に記載のカーペット組成物。
【請求項39】
前記2次裏当てが織布である、請求項38に記載のカーペット組成物。
【請求項40】
前記2次裏当てが不織布である、請求項38に記載のカーペット組成物。
【請求項41】
前記2次裏当てが、ポリプロピレン、ポリエチレン、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項38に記載のカーペット組成物。
【請求項42】
前記2次裏当て材が、50%以上の短鎖分岐分布指数(SCDBI)を有することを特徴とする少なくとも1種の均質に分岐したエチレンポリマーを含む、請求項38に記載のカーペット組成物。
【請求項43】
前記1次裏当ての底面の少なくとも一部に接続されたプレコート材料をさらに含み、接着裏当てが、プレコート材料と2次裏当ての上面との間に介在されている、請求項38に記載のカーペット組成物。
【請求項44】
前記プレコート材料が、EVAホットメルト、VAEエマルジョン、カルボキシル化スチレン−ブタジエン(XSB)ラテックスコポリマー、SBRラテックス、BDMMAラテックス、アクリルラテックス、アクリルコポリマー、スチレンコポリマー、ポリオレフィンホットメルト、ポリオレフィンエマルジョン、ブタジエンアクリレートコポリマー、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項43に記載のカーペット組成物。
【請求項45】
前記接着組成物が、さらに、HBEP、ポリエチレン、ポリプロピレン、EVA EMAC、HBPP、およびこれらの組合せからなる群から選択されたポリマーを含む、請求項21に記載のカーペット組成物。
【請求項46】
1次裏当ておよび複数のカーペット繊維からなり、複数のカーペット繊維が1次裏当ての底面を貫通し、そこから1次裏当ての上面に突出している生繊維材料を提供するステップと、
接着ポリマー組成物を1次裏当ての底面に付着させ、前記接着組成物がテルペン溶媒溶液から再生したリサイクル済みポリマーを含むものであるステップと
を含む、カーペットを作製する方法。
【請求項47】
前記リサイクル済みポリマーがポリオレフィンである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記再生されたポリオレフィン組成物が、HDPE、LDPE、LLDPE、ULDPE、VLDPE、VLLDPE、エチレンおよびαオレフィンのコポリマー、ポリプロピレン、プロピレンおよびαオレフィンのコポリマー、プロピレンおよびエチレンのコポリマー、EVA、およびEMAの少なくとも1種を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記付着させた接着組成物が、再生されたポリオレフィン組成物と未使用のポリオレフィン組成物とのブレンドを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記未使用のポリオレフィン組成物が、50%以上の短鎖分岐分布指数(SCDBI)を有することを特徴とする少なくとも1種の均質に分岐したエチレンポリマーを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記付着させた接着組成物が、繊維に実質的に浸透しかつ繊維を実質的に圧密化する、請求項46に記載の方法。
【請求項52】
前記少なくとも1種の均質に分岐したエチレンポリマーが、さらに、−30から150℃の間に単一の示差走査熱量測定DSC融解ピークを有することを特徴とする、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記少なくとも1種の均質に分岐したエチレンポリマーが、均質に分岐した線状エチレンポリマーである、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
前記1次裏当てが、織布1次裏当てである、請求項46に記載の方法。
【請求項55】
前記1次裏当てが、不織布1次裏当てである、請求項46に記載の方法。
【請求項56】
前記複数のカーペット繊維が複数のヤーンを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項57】
前記カーペット繊維が、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、アクリル、ポリアミド、ウール、木綿、レーヨン、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項58】
前記1次裏当てが、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、アクリル、ポリアミド、繊維ガラス、ウール、木綿、レーヨン、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項59】
前記1次裏当てが、本質的にポリプロピレン材料からなる、請求項46に記載の方法。
【請求項60】
前記接着組成物を付着させる前に、プレコート材料を生繊維材料の裏面に付着させるステップをさらに含む、請求項46に記載の方法。
【請求項61】
前記プレコート材料が、EVAホットメルト、VAEエマルジョン、カルボキシル化スチレン−ブタジエン(XSB)ラテックスコポリマー、SBRラテックス、BDMMAラテックス、アクリルラテックス、アクリルコポリマー、スチレンコポリマー、ポリオレフィンホットメルト、ポリオレフィン分散体、ブタジエンアクリレートコポリマー、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
2次裏当て材を、付着させた接着裏当て組成物の表面に付着させるステップをさらに含む、請求項46に記載の方法。
【請求項63】
前記2次裏当て材が織布である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記2次裏当て材が不織布である、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記2次裏当て材が、ポリプロピレン、ポリエチレン、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項62に記載の方法。
【請求項66】
前記2次裏当て材が、50%以上の短鎖分岐分布指数(SCDBI)を有することを特徴とする少なくとも1種の均質に分岐したエチレンポリマーを含む、請求項62に記載の方法。
【請求項67】
前記接着組成物を付着させる前に、生繊維材料の裏面にプレコート材料を付着させるステップをさらに含む、請求項62に記載の方法。
【請求項68】
前記プレコート材料が、EVAホットメルト、VAEエマルジョン、カルボキシル化スチレン−ブタジエン(XSB)ラテックスコポリマー、SBRラテックス、BDMMAラテックス、アクリルラテックス、アクリルコポリマー、スチレンコポリマー、ポリオレフィンホットメルト、ポリオレフィン分散体、ブタジエンアクリレートコポリマー、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項67に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−509490(P2010−509490A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537317(P2009−537317)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/084562
【国際公開番号】WO2008/064012
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(509133894)シャウ インダストリーズ グループ, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】