説明

カーボンナノチューブ含有中間転写部材

【課題】優れた機械特性、および湿度非感応性を有し、解像度問題が最小に抑えられた現像された画像を得ることができる高いコピー品質を可能とする中間転写部材を提供する。
【解決手段】本発明によるUV硬化性中間転写部材は、支持基材と、カーボンナノチューブ層と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
中間転写部材、より詳細には、デジタル、イメージオンイメージ、などを含む、静電複写、例えば、電子写真機器または装置およびプリンタにおける、現像された画像などの画像を転写するのに有用な中間転写部材を開示する。実施形態では、支持基材、例えばポリイミド第1層と、カーボンナノチューブを含むUV(紫外光)硬化性またはUV硬化第2層とを備え、ポリイミド基材層はさらに導電性成分を含み、第2層は必要に応じてエポキシアクリレートポリマ、光開始剤、必要に応じて用いられるアクリレートモノマまたはビニルモノマ、脂肪酸エポキシアクリレートおよび/またはフッ素化アクリレートオリゴマーを含む、中間転写部材が選択される。
【背景技術】
【0002】
例えば、約2から約25重量%の総固体の量のポリアニリンと、約75から約98重量%の総固体の量で存在する熱可塑性ポリイミドとを含み、ポリアニリンは例えば、約0.5から約5μmの粒子サイズを有する均質組成物を含む溶接可能な中間転写ベルトが米国特許第7,130,569号において示されている。
【0003】
パズルカット継ぎ目部材は、米国特許第5,487,707号、同第6,318,223号および同第6,440,515号において開示されている。
【0004】
ポリアニリン充填ポリイミドパズルカット継ぎ目ベルトが米国特許第6,602,156号において示されているが、パズルカット継ぎ目ベルトの製造は労働集約的で経費がかかり、パズルカット継ぎ目は、実施形態において弱い場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7,130,569号公報
【特許文献2】米国特許第5,487,707号公報
【特許文献3】米国特許第6,318,223号公報
【特許文献4】米国特許第6,440,515号公報
【特許文献5】米国特許第6,602,156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのため、本明細書で説明した多くの利点、例えば、優れた機械特性、および湿度非感応性を有し、解像度問題が最小に抑えられた現像された画像を得ることができる高いコピー品質を可能とする中間転写部材を提供することが望ましい。パズルカット継ぎ目を有さない可能性があるが、有することができ、代わりに、溶接可能な継ぎ目を有し、これにより、労働集約的な工程、例えば、指でパズルカット継ぎ目を手作業により一緒に穿孔させることなしで、かつ長期にわたる高温および高湿度調整工程なしで、製造することができる中間転写ベルトを提供することが望ましい。また、溶接可能な中間転写ベルトを提供することも望ましい。
【0007】
本発明は、上記利点のうち少なくともいずれか1つを満足する中間転写部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるUV硬化性中間転写部材は、支持基材と、カーボンナノチューブ層と、を備える。
【0009】
本発明の観点では、本開示は、カーボンナノチューブ表面層とポリイミドベース層とを備える、多層中間転写部材、例えばベルト(ITB)に関し、ポリイミド層はさらに、必要に応じて用いられる添加物として導電性成分を含み、必要に応じて用いられる接着層は2つの層間に配置され、その層状部材は公知の溶液鋳造法および公知の押出成形プロセスにより調製することができる。また、必要に応じて用いられる接着層は公知の噴霧コーティングおよび流し塗りプロセスにより生成され、適用される。
【発明の効果】
【0010】
多くの利点が実施形態における本開示の中間転写部材と関連し、例えば、ポリイミドベース層を有する多くの公知の中間転写部材と比べた場合の優れた機械特性、ロバスト性、一貫性、および優れた表面抵抗率、優れた画像転写(トナー転写およびクリーニング)、複数の層状中間転写部材中に接着層が含まれる場合の許容される接着特性、長期間維持される優れた導電率または抵抗率、寸法安定性、長期間のITB(中間転写ベルト)湿度非感応性、ポリマ溶液中での優れた分散性、および許容される表面摩擦特性、ならびに最小に抑えられた、または実質的に起こらない層の剥離または分離である。
【0011】
より詳細には、UV硬化技術は成熟しているので、少なくとも2つの利点、ほとんど零のVOC揮発性および調製効率(数秒以内に硬化)が提供される。
【0012】
また、多くの導電性成分、例えばカーボンブラックを含む中間転写部材に比べ、本開示の分散されたカーボンナノチューブの中間転写部材は、主にカーボンナノチューブの優れた導電率のためにほぼ透明である。そして、実施形態では、本明細書で開示した中間転写部材に対し、例えば、約10から約1013Ω/sqまでの表面抵抗率を達成するために、少量、例えば1重量%以下のカーボンナノチューブを選択することができる。
【0013】
したがって、本開示の実施形態では、カーボンナノチューブ含有中間転写部材は、完全、ほとんど100%の硬化に対し、カーボンナノチューブ層を横切ってUV光を透過させる。例えば、約1重量%の量である場合、ほとんど完全に透明である。相対的に、カーボンブラック含有中間転写部材は普通、同程度の抵抗率を達成するには約5重量%の高い負荷を必要とする(5重量%未満では、ITB抵抗率は機能範囲外であり、例えば、1014Ω/sqを超える)。また、カーボンブラック含有層は、UV光が該層深くに浸透することを実質的に阻止する。このため、完全な硬化を得るのが困難である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の実施形態は、支持基材と、その上の、カーボンナノチューブ層を含むコーティングとを備える中間転写部材が開示される。また、ポリイミド支持基材層と、その上の、光開始剤、ポリマまたはモノマ、およびカーボンナノチューブを含む層とを備え、カーボンナノチューブ含有層は剥離および脱結束に供せられており、この層はUV硬化性である中間転写部材が開示される。また、ポリイミド支持基材層と、その上の、カーボンナノチューブ表面層とを備え、カーボンナノチューブはフラーレンから構成され、カーボンナノチューブは、カーボンナノチューブを分散剤と混合することにより剥離および脱結束に供せられ、表面層はエポキシアクリレートポリマ、アクリレートモノマ、および下式により表される光開始剤を含み、
【化1】

(式中、Rはアルキル、アリール、またはそれらの混合物である)
また、下式により表される分散剤を含む中間転写部材が開示される。
【化2】

および
【化3】

(式中、nは繰り返し部分の数を示し、Fはハロゲン化物、例えば、塩化物、フッ化物、臭化物またはヨウ化物であり、nの例は1から約225、約5から約100、約50から約125、約10から約75、などである)。また、ポリイミド第1支持基材層と、その上の、本明細書で説明されるように処理されたカーボンナノチューブを含む第2の層と、第1の層と第2の層との間に配置された接着層とを備え、第1の層は、カーボンブラック、ポリアニリンなどのような公知の導電性成分をさらに含む転写媒体、ポリイミド基材層と、その上の、剥離および脱結束カーボンナノチューブである処理ナノチューブを含む層とを備え、基材層は導電性成分をさらに含み、基材は約20から約500μmの厚さであり、剥離および脱結束カーボンナノチューブ層は約1から約150μmの厚さであり、カーボンナノチューブの重量%は約0.1から約10、または約0.5から約3であり、この層中の成分合計は約100%である中間転写ベルトが開示される。例えば、ポリイミド支持基材層と、その上の、約1から約80重量%の量で存在する、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエステル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン−コ−ポリテトラフルオロエチレン、およびそれらの混合物からなる群より選択されるポリマをさらに含む剥離および脱結束カーボンナノチューブ層とを備える中間転写部材が開示される。
【0015】
分散剤に対するアルキルは、例えば、約1から約25、約1から約18、約1から約12、約1から約6の炭素原子を含み、アリールは、例えば、6から約36、6から約24、6から約18、6から12の炭素原子を含む。さらに、アルキルおよびアリール置換基はその置換誘導体を含む。特定のアルキル類は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルなどであり、一方、アリールの例はフェニル、アントリル、ベンジルなどである。
【0016】
実施形態では、例えば、高い導電率、例えば、約10から約1012Ω/sqの表面抵抗率を達成するために、とりわけ、約1重量%以下のカーボンナノチューブが本明細書で示した中間転写部材中に存在する場合、カーボンナノチューブ(CNT)は剥離され、脱結束される(各CNTは他のものと凝集されるより、むしろ分離される)。ゼイベックスパフォーマンスマテリアルズ(Zyvex Performance Materials)(オハイオ州コロンバス)は、CNTを剥離し、脱結束させる特許技術を開発し、この場合、CNTは分散剤、例えば、参考文献、米国化学会ジャーナル(Journal of The American Chemical Society)、124、9034、2002および下式により表されるような分散剤の助けにより分散される。
【化4】

および
【化5】

(式中、nは繰り返し部分の数を示し、Fはハロゲン化物、より詳細には、フッ化物であり、一般に、式中、各R置換基はアルキル、アルコキシ、またはアリールとしてもよいことが想定されるが、理論に制限されることは望ましくない)
【0017】
CNTの分散剤に対する重量比は、例えば、約95/5から約60/40、または約90/10から約70/30、または83.3/16.7である。CNT分散剤の特定の例は、ゼイベックスパフォーマンスマテリアルズから入手可能な、約0.78重量%固体の、塩化メチレン中の、約83.3/16.7比で選択された多層ナノチューブ(MWNT)/分散剤を含む。
【0018】
カーボンナノチューブ(CNT)は公知であり、一般に、円柱ナノ構造を有する炭素の同素体を示す。ナノチューブは、28,000,000:1までの長さ対直径比を用いて構築することができ、並外れた強度および独特な電気特性を示し、有効な熱伝導体であることが報告されている。
【0019】
ナノチューブはフラーレン構造ファミリーのメンバであり、このファミリーは球状バッキボールも含む。ナノチューブの端部はバッキボール構造の半球でキャップされている。それらの名称はそれらのサイズから誘導される。ナノチューブの直径は、例えば、数nmのオーダーであり(ヒトの毛髪の幅の約1/50,000)、長さは数μmまでとすることができるからである。ナノチューブは、単層ナノチューブ(SWNT)および多層ナノチューブ(MWNT)として分類される。
【0020】
支持基材の例としては、ポリイミド類、ポリアミドイミド類、ポリエーテルイミド類、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0021】
支持基材の例はポリイミド類であり、公知の低温および急速硬化ポリイミドポリマ類、例えばVTEC(商標)PI 1388、080−051、851、302、203、201およびPETI−5(全て、ペンシルバニア州リーディング所在のリチャードブレインインターナショナル社(Richard Blaine International,Incorporated)から入手可能)が含まれる。これらの熱硬化性ポリイミド類は、約180℃から約260℃の温度で、短期間、例えば約10から約120分、または約20から約60分で硬化させることができ、約5,000から約500,000、または約10,000から約100,000の数平均分子量、および約50,000から約5,000,000、または約100,000から約1,000,000の重量平均分子量を有する。また、支持基材に対しては、300℃を超える温度で硬化させることができる熱硬化性ポリイミド類、例えば、PYRE M.L.(登録商標)RC−5019、RC 5057 RC−5069、RC−5097、RC−5053およびRK−692(全て、ニュージャージー州パーリン所在のインダストリアルサミットテクノロジー社(Industrial Summit Technology Corporation)から市販されている)、RP−46およびRP−50(どちらも、バージニア州ハンプトン所在のユニテック(Unitech)LLCから市販されている)、デュリミド(DURIMIDE)(登録商標)100(ロードアイランド州ノースキングスタウン所在のフジフィルムエレクトロニックマテリアルズU.S.A.社(FUJIFILM Electronic Materials U.S.A. Inc.)から市販されている)、およびカプトン(KAPTON)(登録商標)HN、VNおよびFN(全て、デラウェア州ウィルミントン所在のE.I.デュポン(DuPont)から市販されている)を選択することができる。
【0022】
適した支持基材ポリイミド類としては、様々なジアミン類および二無水物類から形成されたもの、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドなどが挙げられる。より詳細には、ポリイミド類としては、芳香族ポリイミド類、例えば、ピロメリット酸およびジアミノジフェニルエーテルを反応させることにより、またはコポリマ酸類、例えば、ビフェニルテトラカルボン酸およびピロメリット酸を2つの芳香族ジアミン類、例えばp−フェニレンジアミンおよびジアミノジフェニルエーテルを用いてイミド化することにより形成されたものが挙げられる。別の適したポリイミドとしては、2,2−ビス[4−(8−アミノフェノキシ)フェノキシ]−ヘキサフルオロプロパンと反応させたピロメリット酸二無水物およびベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物コポリマ酸が挙げられる。芳香族ポリイミド類としては、1,2,1’,2’−ビフェニルテトラカルボキシミドおよびパラ−フェニレン基を含むもの、およびジフェニルエーテル末端スペーサ特性を備えたビフェニルテトラカルボキシミド官能性を有するものが挙げられる。ポリイミド類の混合物もまた使用することができる。
【0023】
実施形態では、ポリアミドイミド類は、少なくとも下記2つの方法により合成することができる。(1)イソシアネートとトリメリット酸無水物との間の反応を含むイソシアネート法、または(2)ジアミンとトリメリット酸無水物クロリドとが反応させられる酸塩化物法である。これらのポリアミドイミド類の例としては、バイロマックス(VYLOMAX)(登録商標)HR−11NN(N−メチルピロリドンに溶解させた15重量%溶液、T=300℃、およびM=45,000)、HR−12N2(N−メチルピロリドン/キシレン/メチルエチルケトン=50/35/15に溶解させた30重量%溶液、T=255℃、およびM=8,000)、HR−13X(N−メチルピロリドン/キシレン=67/33に溶解させた30重量%溶液、T=280℃、およびM=10,000)、HR−15ET(エタノール/トルエン=50/50に溶解させた14重量%溶液、T=260℃、およびM=10,000)、HR−16NN(N−メチルピロリドンに溶解させた14重量%溶液、T=320℃、およびM=100,000)(全て、日本の東洋紡(株)(Toyobo Company)から入手可能である)、およびトーロン(TORLON)(登録商標)AI−10(T=272℃)(ジョージア州アルファレッタ所在のソルベイアドバンスドポリマーズ(Solvay Advanced Polymers)LLCから市販されている)が挙げられる。
【0024】
例えばカーボンブラック等の導電性材料、金属酸化物またはポリアニリンは、中間転写部材の基材層中に、例えば、約1から約3重量%、約3から約20重量%、または特定的には約5から約15重量%の量で存在する。
【0025】
より特定的には、カーボンブラック選択表面基は、酸またはオゾンとの酸化により形成させることができ、この場合、例えば、カルボキシレート類、フェノール類などから酸素基が吸収または化学吸着される。炭素表面は本質的には、主に酸化プロセスおよびフリーラジカル反応を除き、ほとんどの有機反応化学薬品に対し不活性である。
【0026】
カーボンブラックの導電率は、主に、表面積およびその構造に依存する。一般に、表面積が高いほど、かつ構造が高次であるほど、カーボンブラックはより導電性となる。表面積は、B.E.T.窒素表面積/カーボンブラックの単位重量により測定され、一次粒子サイズの測定値である。構造はカーボンブラックの一次凝集物の形態を示す複雑な特性である。これは、一次凝集物を構成する一次粒子の数、およびそれらが共に「融合」される様式の両方の測定である。高次構造カーボンブラック類は、かなりの「分枝」および「連鎖」を有する多くの一次粒子から構成される凝集物により特徴づけられ、一方、低次構造カーボンブラックはより少ない一次粒子から構成されるコンパクトな凝集物により特徴づけられる。構造は、カーボンブラック内の空隙によるジブチルフタレート(DBP)吸収により測定される。構造が高次であるほど、空隙がより多くなり、DBP吸収がより高くなる。
【0027】
ITM(中間転写部材)のための導電性成分として選択されたカーボンブラック類の例としては、キャボット社(Cabot Corporation)から入手可能な、バルカン(VULCAN)(登録商標)カーボンブラック類、リーガル(REGAL)(登録商標)カーボンブラック類、モナーク(MONARCH)(登録商標)カーボンブラック類、およびブラックパールズ(BLACK PEARLS)(登録商標)カーボンブラック類が挙げられる。導電性カーボンブラック類の特定の例は、ブラックパールズ(登録商標)1000(B.E.T.表面積=343m/g、DBP吸収=1.05ml/g)、ブラックパールズ(登録商標)880(B.E.T.表面積=240m/g、DBP吸収=1.06ml/g)、ブラックパールズ(登録商標)800(B.E.T.表面積=230m/g、DBP吸収=0.68ml/g)、ブラックパールズ(登録商標)L(B.E.T.表面積=138m/g、DBP吸収=0.61ml/g)、ブラックパールズ(登録商標)570(B.E.T.表面積=110m/g、DBP吸収=1.14ml/g)、ブラックパールズ(登録商標)170(B.E.T.表面積=35m/g、DBP吸収=1.22ml/g)、バルカン(登録商標)XC72(B.E.T.表面積=254m/g、DBP吸収=1.76ml/g)、バルカン(登録商標)XC72R(バルカン(登録商標)XC72の綿毛状形態)、バルカン(登録商標)XC605、バルカン(登録商標)XC305、リーガル(登録商標)660(B.E.T.表面積=112m/g、DBP吸収=0.59ml/g)、リーガル(登録商標)400(B.E.T.表面積=96m/g、DBP吸収=0.69ml/g)、リーガル(登録商標)330(B.E.T.表面積=94m/g、DBP吸収=0.71ml/g)、モナーク(登録商標)880(B.E.T.表面積=220m/g、DBP吸収=1.05ml/g、一次粒子直径=16nm)、およびモナーク(登録商標)1000(B.E.T.表面積=343m/g、DBP吸収=1.05ml/g、一次粒子直径=16nm)、エボニック・デグッサ(Evonik−Degussa)から入手可能なチャネル(Channel)カーボンブラック類、スペシャルブラック(Special Black)4(B.E.T.表面積=180m/g、DBP吸収=1.8ml/g、一次粒子直径=25nm)、スペシャルブラック5(B.E.T.表面積=240m/g、DBP吸収=1.41ml/g、一次粒子直径=20nm)、カラーブラック(Color Black)FW1(B.E.T.表面積=320m/g、DBP吸収=2.89ml/g、一次粒子直径=13nm)、カラーブラックFW2(B.E.T.表面積=460m/g、DBP吸収=4.82ml/g、一次粒子直径=13nm)、およびカラーブラックFW200(B.E.T.表面積=460m/g、DBP吸収=4.6ml/g、一次粒子直径=13nm)である。
【0028】
カーボンブラックは、均一分散物中に存在してもよく、均一分散物を形成してもよく、この分散物はその後、ガラス板上にドローバーコーティング法を用いてコートされる。得られた個々の膜は高温、例えば、約100℃から約400℃で、適当な期間、約20から約180分の間、別個のガラス板上に存在したまま、乾燥させることができる。乾燥させ、室温、約23℃から約25℃まで冷却した後、ガラス板上の膜を水中に一晩中、約18から23時間浸漬することができ、その後、50から150μmの厚さの膜をガラスから離型させることができ、機能性中間転写部材が形成される。
【0029】
支持基材と、その上の最上カーボンナノチューブ層との間に通常配置される接着層成分は、例えば、エポキシ、ウレタン、シリコーン、ポリエステルなどの多くの樹脂類またはポリマ類である。一般に、接着層は無溶媒層、すなわち、室温(約25℃)で液体であり、架橋して弾性または剛性膜となり、少なくとも2つの材料を共に接着させる材料である。特定の接着層成分としては、ペンシルベニア州エリー所在のロード社(Lord Corporation)から入手可能なポリウレタン接着剤、例えば、タイセル(TYCEL)(登録商標)7924(約1,400から約2,000cpsの粘度)、タイセル(登録商標)7975(約1,200から約1,600cpsの粘度)およびタイセル(登録商標)7276を含む100%固体接着剤が挙げられる。接着剤の粘度範囲は、例えば、約1,200から約2,000cpsである。無溶媒接着剤は、熱、室温硬化、湿気硬化、紫外線照射、赤外線照射、電子ビーム硬化、または任意の他の公知の技術のいずれかを用いて活性化することができる。接着層の厚さは通常約100nm未満であり、より特定的には、以下で説明する通りである。
【0030】
中間転写部材の各層の厚さは変動する可能性があり、通常、いずれの特定の値に限定されない。特定の実施形態では、基材層または第1の層の厚さは、例えば、約20から約300μm、約30から約200μm、約75から約150μm、および約50から約100μmであり、最上カーボンナノチューブ層の厚さは、例えば、約1から約150μm、約10から約100μm、約20から約70μm、および約30から約50μmである。接着層の厚さは、例えば、約1から約100nm、約5から約75nm、または約50から約100nmである。
【0031】
カーボンナノチューブ層は必要に応じて、実施形態では、エポキシアクリレート、および光開始剤、例えばアシルホスフィン、アクリレートモノマ、またはビニルモノマ、またはそれらの混合物を含む。
【0032】
エポキシアクリレート類の例は、脂肪族エポキシアクリレート類、例えばラロマー(Laromer)(登録商標)LR8765(約2の官能性および約330g/molのモル質量)、芳香族エポキシアクリレート類、例えばラロマー(登録商標)LR8986(約2.4の官能性および約510g/molのモル質量)、LR9019(約2.4の官能性および約580g/molのモル質量)、LR9023(約2.4の官能性および約480g/molのモル質量)(全て、BASFから入手可能)である。エポキシアクリレート類は、低表面エネルギー材料、およびコグニス社(Cognis Inc.)からフォトマー(PHOTOMER)(登録商標)3082(アクリレートエポキシ亜麻仁油)として入手可能な領域、およびコグニス社から入手可能な3072(脂肪酸修飾エポキシアクリレート)であると考えられる。
【0033】
エポキシアクリレートは、主にカーボンナノチューブ層の完全性を提供し、UV硬化性であり、例えば、UV硬化カーボンナノチューブ層成分の約5から約80重量%、または約10から約40重量%の量で存在する。
【0034】
カーボンナノチューブ層は、実施形態では、アクリレートモノマ類またはビニルモノマ類、例えば、ラロマー(登録商標)TMPTA(トリメチロールプロパントリアクリレート)、BDDA(ブタンジオールジアクリレート)、HDDA(ヘキサンジオールジアクリレート)、TPGDA(トリプロピレングリコールジアクリレート)、DPGDA(ジプロピレングリコールジアクリレート)、POEA(フェノキシエチルアクリレート)、L8887(トリメチロールプロパンホルマールモノアクリレート)、TBCH(4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレート)、LA(ラウリルアクリレート12/14)、EDGA(エチルジグリコールアクリレート)、BDMA(ブタンジオールモノアクリレート)、DCPA(ジヒドロジシクロペンタジエニルアクリレート)、DVE−3(トリエチレングリコールジビニルエーテル)、ビニルカプロラクタム、n−ビニルホルムアミド(全てBASFから入手可能)およびペンシルベニア州ウォーリントン所在のサートマー社(Sartomer Co.)から入手可能なCN4000(フッ素化アクリレートオリゴマー)を添加させることができる。
【0035】
アクリレートモノマ類またはビニルモノマ類は、例えば、コーティング分散物の粘度を減少させるための希釈剤、および光開始剤のための溶媒として機能し、UV照射によりエポキシアクリレート類と架橋し、さらに、カーボンナノチューブ層の完全性および強度を提供する。これらのモノマ類はカーボンナノチューブ層中に存在する成分の約10から約80重量%、または約30から60重量%の量で存在する。
【0036】
カーボンナノチューブ層のために選択される光開始剤の例としては、アシルホスフィン類、α−ヒドロキシケトン類、ベンジルケタール類、α−アミノケトン類およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されず、これらの光開始剤は、様々な適した量、例えば、本明細書で示されている量、例えば、約0.1から約20、約1から約10、約3から約7、および1から約5部で選択される。
【0037】
アシルフォスフィン光開始剤の例としては、モノアシルホスフィンオキシド(MAPO)、例えば、ダロクール(DAROCUR)(登録商標)TPO、およびビスアシルホスフィンオキシド(BAPO)、例えば、イルガキュア(登録商標)819(どちらもチバスペシャルティケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)から入手可能)が挙げられる。アシルホスフィン光開始剤の特定の例は、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(ダロクール(登録商標)TPO)、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(エサキュア(ESACURE)(登録商標)TPO、イタリアのガララーテ所在のランベルティケミカルスペシャルティーズ(LAMBERTI Chemical Specialties))、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド)(ルイジアナ州バトンルージュ所在のアルベマール社(Albemarle Corporation)から入手可能なファーストキュア(FIRSTCURE)(登録商標)HMPP)、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(ドイツのルートウィヒスハーフェン所在のBASFから入手可能なルシリン(LUCIRIN)(登録商標)TPO)、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィナート(ルシリン(LUCIRIN)(登録商標)TPO−L)およびフェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(チバスペシャルティケミカルズから入手可能なイルガキュア(登録商標)819)である。
【0038】
カーボンナノチューブ層のために選択されるα−ヒドロキシケトン光開始剤の例としては、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア(登録商標)184)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン(ダロクール(登録商標)1173)、および2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノン(イルガキュア(登録商標)2959)(全て、チバスペシャルティケミカルズから入手可能)が挙げられる。
【0039】
カーボンナノチューブ表面層のために選択されるα−アミノケトン類光開始剤の例としては、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(イルガキュア(登録商標)369)および2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルホリニル)−1−プロパノン(イルガキュア(登録商標)907)(どちらもチバスペシャルティケミカルズから入手可能)が挙げられる。
【0040】
カーボンナノチューブ表面層のために選択されるベンジルケタール光開始剤の例としては、チバスペシャルティケミカルズから入手可能なα,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン(イルガキュア(登録商標)651)が挙げられる。
【0041】
光開始剤は、UV照射で重合を開始させるための触媒として作用し、この光開始剤は、例えば、UV硬化表面層成分の約0.5から約10重量%、または約3から約6重量%の量で存在する。
【0042】
開示した中間転写部材は、実施形態では、溶接可能であり、すなわち、ベルトのような部材の継ぎ目が溶接可能であり、より特定的には、継ぎ目を生成させるために超音波溶接することができる。開示した中間転写部材の表面抵抗率は、例えば、約10から約1013Ω/sq、または約10から約1012Ω/sqである。溶接可能な中間転写部材の面積抵抗率は、例えば、約10から約1013Ω/sq、または約10から約1012Ω/sqである。
【0043】
中間転写ベルトのような、本明細書で説明した中間転写部材は、電子写真印刷を含む多くの印刷、コピーシステムのために選択することができる。例えば、開示した中間転写部材は、転写される各画像が画像形成ステーションのイメージングまたは光導電性ドラム上で形成され、これらの画像の各々がその後、現像ステーションで現像され、中間転写部材に転写されるマルチイメージングシステムに組み入れることができる。画像は連続して、光導電体上で形成され、現像され、その後、中間転写部材に転写されてもよい。別の方法では、各画像は光導電体またはフォトレセプタドラム上で形成され、現像され、中間転写部材に位置合わせされて転写されてもよい。実施形態では、マルチイメージシステムは、コピーされる画像の各色がフォトレセプタドラム上で形成され、現像され、中間転写部材に転写されるカラーコピーシステムである。
【0044】
フォトレセプタドラムから中間転写部材にトナー潜像が転写された後、中間転写部材は熱および圧力下において、画像受理基質、例えば、紙と接触されてもよい。中間転写部材上のトナー像はその後、画像構成で紙などの基質に転写され、固定される。
【0045】
本明細書で示したイメージングシステム、ならびに他の公知のイメージングおよび印刷システム中に存在する中間転写部材は、シート、ウエブ、ベルト、例えば、エンドレスベルト、エンドレス継ぎ目フレキシブルベルト、ローラ、膜、箔、ストリップ、コイル、シリンダ、ドラム、エンドレスストリップ、および円形ディスク構造としてもよい。中間転写部材は、単一層から構成することができ、または、複数の層、例えば約2から5の層から構成することができる。実施形態では、中間転写部材は外側離型層をさらに含む。
【0046】
カーボンナノチューブ最上層上に、それと接触して配置され、例えば、約0.5から約20、約1から約10、約1から約5、および約0.01から約10μmの適した厚さを有する離型層(但し、離型層は必要に応じて用いられる)の例としては、適した材料、例えばテフロン(登録商標)(TEFLON)系材料、例えば、フッ素化エチレンプロピレンコポリマ(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフルオロアルコキシポリテトラフルオロエチレン(PFAテフロン(登録商標))および他のテフロン(登録商標)系材料、シリコーン材料、例えばフルオロシリコーン類およびシリコーンゴム類、例えば、バージニア州リッチモンド所在のサンプソンコーティングズ(Sampson Coatings)から入手可能なシリコーンラバー(Silicone Rubber)552(ポリジメチルシロキサン/ジブチルスズジアセテート、100gのポリジメチルシロキサンあたり0.45gのDBTDAのゴム混合物、例えば、分子量M=約3,500)、ならびにフルオロエラストマー類、例えば、ヴィトン(VITON)(登録商標)として入手可能なもの、例えば、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、およびテトラフルオロエチレンのコポリマ類およびターポリマ類(ヴィトン(登録商標)A、ヴィトン(登録商標)E、ヴィトン(登録商標)E60C、ヴィトン(登録商標)E45、ヴィトン(登録商標)E430、ヴィトン(登録商標)B910、ヴィトン(登録商標)GH、ヴィトン(登録商標)B50、ヴィトン(登録商標)E45、およびヴィトン(登録商標)GFのような様々な名称下、市場で公知である)が挙げられる。ヴィトン(登録商標)の名称はE.I.デュポン・ド・ヌムール社(DuPont de Nemours,Inc.)の商標である。2つの公知のフルオロエラストマー類は、(1)フッ化ビニリデン、およびヘキサフルオロプロピレンのコポリマ類のクラス、市場ではヴィトン(登録商標)として公知、(2)ヴィトン(登録商標)Bとして市場で公知の、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、およびテトラフルオロエチレンのターポリマ類のクラス、および(3)フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、およびキュアサイトモノマのテトラポリマ類のクラス、例えば、35モル%のフッ化ビニリデン、34モル%のヘキサフルオロプロピレン、29モル%のテトラフルオロエチレン、および2%のキュアサイトモノマを有するヴィトン(登録商標)GFから構成される。キュアサイトモノマは、E.I.デュポンから入手可能なもの、例えば、4−ブロモパーフルオロブテン−1、1,1−ジヒドロ−4−ブロモパーフルオロブテン−1、3−ブロモパーフルオロプロペン−1、1,1−ジヒドロ−3−ブロモパーフルオロプロペン−1、または任意の他の適した公知の市販のキュアサイトモノマとすることができる。
【0047】
1つまたは複数の層を公知のコーティングプロセスにより基材上に堆積させてもよい。基材上にカーボンナノチューブを形成するための公知の方法としては、浸漬、噴霧、例えば薄膜の多重噴霧塗布、鋳造、流し塗り、ウェブコーティング、ロールコーティング、押出成形、成形などが挙げられる。実施形態では、1つまたは複数の層は、噴霧、例えば、薄膜の多重噴霧塗布、鋳造、ウェブコーティング、流し塗り、より特定的には、積層により堆積または作製させることができる。
【0048】
中間転写部材の周囲は、とりわけ膜またはベルト構造に適用可能な場合、例えば、約250から約2,500mm、約1,500から約3,000mm、または約2,000から約2,200mmであり、対応する幅は、例えば、約100から約1,000mm、約200から約500mm、または約300から約400mmである。
【実施例】
【0049】
(比較例)
<単一ポリイミド転写部材の調製>
エボニック・デグッサから得られたカラーブラックFW1(320m/gのB.E.T.表面積、2.89ml/gのDBP吸収、13nmの一次粒子直径)1gを、リチャードブレインインターナショナル社(Richard Blaine International, Incorporated)から得られたポリアミド酸(ポリイミド前駆体)溶液、VTEC(商標)PI 1388(20重量%のN−メチルピロリドン溶液、T>320℃)26.25gと、混合した。この混合物を2mlのステンレスショットと共に、アトリタを用いて1時間ボールミル処理することにより、均一な分散物が得られた。得られた分散物をその後、ガラス板上に、ドローバーコーティング方法を用いてコートさせた。その後、得られた膜を100℃で20分間乾燥させ、その後、200℃でさらに60分間乾燥させ、その間ガラス板上に残存したままとした。
【0050】
上記で得られたガラス上の単一層膜をその後、水に一晩中、約23時間浸漬させ、独立膜をガラスから自動的に離型させると、75μmの厚さの、カーボンブラック14およびポリイミド86の重量%比を有するカーボンブラック/ポリイミド層を有する単一層中間転写部材が得られた。
【0051】
(実施例1)
<二重カーボンナノチューブ転写部材の調製>
ポリイミドベース層を下記のように調製した。エボニック・デグッサから得られたカラーブラックFW1(320m/gのB.E.T.表面積、2.89ml/gのDBP吸収、13nmの一次粒子直径)1gを、リチャードブレインインターナショナル社から得られたポリアミド酸(ポリイミド前駆体)溶液、VTEC(商標)PI 1388(20重量%のN−メチルピロリドン溶液、T>320℃)26.25gと、混合した。この混合物を2mlのステンレスショットと共に、アトリタを用いて1時間ボールミル処理することにより、均一な分散物が得られた。得られた分散物をその後、ガラス板上に、ドローバーコーティング方法を用いてコートさせた。その後、得られた膜を100℃で20分間乾燥させ、その後、200℃でさらに60分間乾燥させ、その間ガラス板上に残存したままとした。
【0052】
CNT UV硬化層を下記のように調製した。ゼイベックスパフォーマンスマテリアルズから得られた、多層ナノチューブ(MWNT)/分散剤/塩化メチレン分散物(塩化メチレン中83/17のMWNT/分散剤、約0.78重量%固体)100gをエポキシアクリレート、ラロマー(登録商標)LR8765(約2の官能性および約330g/molのモル質量、BASF製)15.6gと、アクリレートモノマ、ラロマー(登録商標)DPGDA(ジプロピレングリコールジアクリレート、BASF製)57.7gと、光開始剤、イルガキュア(登録商標)819(チバスペシャルティケミカルズから得られたフェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド)3.9gと混合した。この混合物を2mlのステンレスショットと共に、アトリタを用いて1時間ボールミル処理することにより、均一な分散物が得られた。得られた分散物をその後、上記ポリイミド底部、またはガラス板上に存在する第1の層上にドローバーコーティング方法を用いてコートさせた。その後、得られた二重層膜をハノビア(Hanovia)UV機器を用いて10秒間(325nmUV、125ワット)硬化させた。
【0053】
実施形態では、モル質量は、例えば、ウォーターズ(Waters)GPC装置を用いるなど多くの方法により決定することができる重量平均分子量を示す。
【0054】
ガラス上の二重層膜をその後、水中に一晩中、約23時間浸漬させ、独立膜をガラスから自動的に離型させると、75μmの厚さで、重量%比14のカーボンブラックと重量%比86のポリイミドであるカーボンブラック/ポリイミドベース層と、10μmの厚さで、ベース層上にコートされた、重量%比0.83のMWNT、重量%比0.17の分散剤、重量%比20のエポキシアクリレート、重量%比74のDPGDA、および重量%比5のイルガキュア(登録商標)819のMWNT UV硬化表面層を有する二重層中間転写部材が得られた。
【0055】
(実施例2)
<二重カーボンナノチューブ転写部材の調製>
二重層転写部材を、CNT UV硬化表面層を下記のように調製したことを除き、実施例1のプロセスを繰り返すことにより調製した。ゼイベックスパフォーマンスマテリアルズから得られた、多層ナノチューブ(MWNT)/分散剤/塩化メチレン分散物(MWNT/分散剤は塩化メチレン中で83/17である、約0.78重量%固体)50gをエポキシアクリレート、ラロマー(登録商標)LR8765(約2の官能性および約330g/molのモル質量、BASF製)15.6gと、アクリレートモノマ、ラロマー(登録商標)DPGDA(ジプロピレングリコールジアクリレート、BASF製)57.7gと、光開始剤、イルガキュア(登録商標)819(チバスペシャルティケミカルズから得られたフェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド)4.3gと混合した。この混合物を2mlのステンレスショットと共に、アトリタを用いて1時間ボールミル処理することにより、均一な分散物が得られた。得られた分散物をその後、上記ポリイミド底部、またはガラス板上に存在する第1の層上にドローバーコーティング方法を用いてコートさせた。その後、ハノビアUV機器を用いて、得られた二重層膜を10秒間(325nmUV、125ワット)硬化させた。
【0056】
その後、ガラス上の二重層膜を水中に一晩中、約23時間浸漬させ、独立膜をガラスから自動的に、すなわち、装置または個人の支援なしで、離型させると、75μmの厚さで、重量%比14のカーボンブラックと重量%比86のポリイミドであるカーボンブラック/ポリイミドベース層と、10μmの厚さで、重量%比0.42のMWNT、重量%比0.08の分散剤、重量%比20のエポキシアクリレート、重量%比74のDPGDA、および重量%比5.5のイルガキュア(登録商標)819のMWNT UV硬化表面層を有する二重層中間転写部材が得られた。
【0057】
(実施例3)
<二重カーボンナノチューブ転写部材の調製>
二重層転写部材を、CNT UV硬化表面層を下記のように調製したことを除き、実施例1のプロセスを繰り返すことにより調製した。ゼイベックスパフォーマンスマテリアルズから得られた、多層ナノチューブ(MWNT)/分散剤/塩化メチレン分散物(MWNT/分散剤は塩化メチレン中で83/17である、約0.78重量%固体)100gをエポキシアクリレート、ラロマー(登録商標)LR8765(官能性が約2であり、モル質量が約330g/molである、BASF製)15.6gと、アクリレートモノマ、ラロマー(登録商標)TMPTA(トリメチロールプロパントリアクリレート、BASF製)57.7gと、光開始剤、イルガキュア(登録商標)651(チバスペシャルティケミカルズから入手可能なα,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン)3.9gと混合した。この混合物を2mlのステンレスショットと共に、アトリタを用いて1時間ボールミル処理することにより、均一な分散物が得られた。得られた分散物をその後、上記ポリイミド底部、またはガラス板上に存在する第1の層上にドローバーコーティング方法を用いてコートさせた。その後、ハノビアUV機器を用いて、得られた二重層膜を10秒間(325nmUV、125ワット)硬化させた。
【0058】
ガラス上の二重層膜をその後、水中に一晩中、約23時間浸漬させ、独立膜をガラスから自動的に離型させると、75μmの厚さで、重量%比14のカーボンブラックと重量%比86のポリイミドであるカーボンブラック/ポリイミドベース層と、10μmの厚さで、重量%比0.83のMWNT、重量%比0.17の分散剤、重量%比20のエポキシアクリレート、重量%比74のTMPTA、および重量%比5のイルガキュア(登録商標)651のMWNT UV硬化表面層を有する二重層中間転写部材が得られた。
【0059】
(実施例4)
<二重カーボンナノチューブ転写部材の調製>
二重層転写部材を、CNT UV硬化表面層を下記のように調製したことを除き、実施例1のプロセスを繰り返すことにより調製した。ゼイベックスパフォーマンスマテリアルズから得られた、多層ナノチューブ(MWNT)/分散剤/塩化メチレン分散物(MWNT/分散剤は塩化メチレン中で83/17である、約0.78重量%固体)100gをエポキシアクリレート、ラロマー(登録商標)LR8765(官能性が約2であり、モル質量が約330g/molである、BASF製)15.6gと、アクリレートモノマ、ラロマー(登録商標)TMPTA(トリメチロールプロパントリアクリレート、BASFから入手可能)49.9gと、フッ素化アクリレートオリゴマー、スタートマー社(Statomer Co.)からのCN4000 7.8gと、光開始剤、イルガキュア(登録商標)651(チバスペシャルティケミカルズから入手可能なα,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン)3.9gと混合した。この混合物を2mlのステンレスショットと共に、アトリタを用いて1時間ボールミル処理することにより、均一な分散物が得られた。得られた分散物をその後、上記ポリイミド底部、またはガラス板上に存在する第1の層上にドローバーコーティング方法を用いてコートさせた。その後、ハノビアUV機器を用いて、得られた二重層膜を10秒間(325nmUV、125ワット)硬化させた。
【0060】
ガラス上の二重層膜をその後、水中に一晩中、約23時間浸漬させ、独立膜をガラスから自動的に離型させると、75μmの厚さで、重量%比14のカーボンブラックと重量%比86のポリイミドであるカーボンブラック/ポリイミドベース層と、10μmの厚さで、重量%比0.83のMWNT、重量%比0.17の分散剤、重量%比20のエポキシアクリレート、重量%比64のTMPTA、重量%比10の上記フッ素化アクリレートオリゴマー、および重量%比5のイルガキュア(登録商標)651のMWNT UV硬化表面層を有する二重層中間転写部材が得られた。
【0061】
<表面抵抗率測定>
上記実施例1、2、3および4のITB部材または装置について、高抵抗率計測器(三菱化学(株)(Mitsubishi Chemical Corp.)由来のヒレスタアップ(Hiresta−Up)MCP−HT450)を用いて、表面抵抗率を測定した(72°F/65%室内湿度、様々なスポットでの4から6の測定値を平均した)。結果を表1に示す。
【0062】
【表1】

【0063】
ポリイミドベース層と、CNT UV硬化表面層とを備える機能性二重層ITB装置が得られた。実施例1と実施例2を比較した場合、差は、CNT量がそれぞれ、総表面層の約1重量%および0.5重量%であることであった。CNTの負荷量が少ないほど表面抵抗率が増加したが、どちらも、約10から約1013Ω/sqのITBに対する所望の機能抵抗率の範囲内にあった。
【0064】
実施例3と実施例4を比較した場合、差はアクリレートモノマのいくらかを、実施例4ではフッ素化アクリレートオリゴマと置換したことであった。接触角を測定しなかったが、実施例4のITBは実施例IIIのITBよりも、かつ比較例IのITBよりも高い接触角を有したと考えられる。
【0065】
実施例4のITBはフッ素化成分を含むので、ITBの表面エネルギーはより低く、このように実施例4の水耕(ハイドロポニック:hydroponic)二重層ITB装置は、比較例1とは対照的に、改善されたトナー転写を有し、改善されたITBクリーニングを可能にすると期待される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基材と、カーボンナノチューブ層と、を備える中間転写部材。
【請求項2】
前記支持基材は、ポリイミドであり、前記カーボンナノチューブ層は前記ポリイミドとその表面層として接触し、該表面層は紫外光により硬化される、請求項1記載の中間転写部材。
【請求項3】
ナノチューブは、前記カーボンナノチューブ層に、下式の少なくとも1つにより表される分散剤を添加することにより達成される剥離および脱結束に供せされる、請求項1記載の中間転写部材。
【化1】

および
【化2】

(式中、nは繰り返し部分の数を示し、Fはハロゲン化物である)
【請求項4】
前記カーボンナノチューブは、単層ナノチューブ、多層ナノチューブ、トーラスナノチューブまたはナノバッドナノチューブのうちの少なくとも1つのフラーレンの円柱状炭素同素体から構成され、
前記カーボンナノチューブは、約1から約50nmの直径、および約50から約10,000μmの長さを有し、または、
前記カーボンナノチューブは、それぞれ、約0.1から約10重量%の量で存在する単層ナノチューブ、もしくは多層ナノチューブであり、ならびに、必要に応じて、
前記カーボンナノチューブ層中に、それぞれ、総ナノチューブ層成分の約1から約80重量%の量で存在する、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエステル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン−コ−ポリテトラフルオロエチレン、およびそれらの混合物からなる群より選択されるポリマをさらに含む、請求項1記載の中間転写部材。
【請求項5】
前記カーボンナノチューブ層中に、エポキシアクリレート、光開始剤、アクリレートモノマ、必要に応じて用いられるビニルモノマの少なくとも1つをさらに含み、
前記エポキシアクリレートは、それぞれ、前記カーボンナノチューブ層成分の約5から約80重量%の量で存在する、脂肪族エポキシアクリレート、芳香族エポキシアクリレート、アクリル化エポキシ亜麻仁油、または脂肪酸修飾エポキシジアクリレート、およびそれらの混合物のうちの1つであり、
前記光開始剤は、それぞれ、総カーボンナノチューブ層成分の約2から約7重量%の量で存在する、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィナート、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルホリニル)−1−プロパノン、およびα,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、ならびに、それぞれ、総カーボンナノチューブ層成分の約0.5から約10重量%の量で存在する、それらの混合物からなる群より選択され、
前記アクリレートモノマは存在し、トリメチロールプロパントリアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、トリメチロールプロパンホルマールモノアクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、エチルジグリコールアクリレート、ブタンジオールモノアクリレート、ジヒドロジシクロペンタジエニルアクリレート、またはフッ素化アクリレートオリゴマー、およびそれらの混合物の少なくとも1つであり、前記必要に応じて用いられるモノマは、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ビニルカプロラクタム、n−ビニルホルムアミド、およびそれらの混合物であり、それぞれ、総カーボンナノチューブ層成分の約10から約80重量%の量で存在する、請求項1記載の中間転写部材。

【公開番号】特開2011−53681(P2011−53681A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190640(P2010−190640)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】