説明

ガイダンスフロー編集ツール

【課題】ガイダンスフローが適切か否かを検証し適切な形に修正するとともに、プログラム上は問題とならない運用面から見たガイダンスフローの妥当性についても検証し修正を行なう。
【解決手段】操作対象となる前記システムを構成するプログラムデータを保持するプログラムデータ保持部と、編集中のガイダンスフロー通りにシステムを操作した場合にエラーなしに処理を行えるか否かを判別し、また編集中のガイダンスフローと既に登録されている他のガイダンスフローとが整合しているか否かを判別する検証部を備え、編集中のガイダンスフロー通りに操作を行った際にエラーを生じる場合あるいは編集中のガイダンスフローと既に登録されている他のガイダンスフローとが整合していない場合に、エラーメッセージを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガイダンスフロー編集ツールに係り、特にシステムの操作手順をフロー形式で表示するガイダンスフローを検証し、編集するガイダンスフロー編集ツールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、銀行の窓口あるいは事務業務など、多くの場面で様々なシステムが使用されており、それらの多くが、オペレータがどのような操作を行なえばよいかを提示するヘルプ機能あるいはガイダンス機能を備えている。
【0003】
これらの機能では、ある操作を行なうための標準的な手順、注意事項等をオペレータに提示することで、操作に不慣れなオペレータでも熟練したオペレータと同様に適切な操作を行なうことができる。ここで、オペレータはヘルプ機能あるいはガイダンス機能によって提示される情報を参照して操作を行なうため、前記提示される情報には正確性が求められる。
【0004】
オペレータがヘルプ機能あるいはガイダンス機能を利用するためには、システム管理者は、事前に操作の手順あるいは注意事項を表示する画面を含む処理フローを作成する必要がある。通常、前記画面あるいは処理フローの設計はシステム管理者が行ない、システム管理者は設計した画面あるいは処理フローの妥当性について検証を行なう必要がある。
【0005】
画面や処理フローの設計・検証、及び前記検証の結果を受けての修正には多くの工数がかかる。そのうえ、手作業による検証では検証漏れや検証ミスが発生する可能性がある。
【0006】
操作手順を示す画面および処理フローを設計・修正する手法として、操作ログをもとにガイダンスフローを設計・修正するという手法が提案されている(特許文献1参照)。
【0007】
この手法によれば、ある業務に関して、熟練者が操作を行ない、その操作のログからガイダンスフローを作成・登録し、これを標準的な操作手順としてオペレータに提示することができる。また、前記熟練者の操作ログに対応する一般操作者の操作ログを一定期間にわたって抽出し、抽出した一般操作者の操作ログと前記登録されたガイダンスフローとの間に相違があればシステム管理者に通知を行い、システム管理者は必要に応じてガイダンスフローを修正することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−116673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記従来例によれば、登録されたガイダンスフローと一般操作者のログを比較することで、ガイダンスフローの修正を行ない、適切なガイダンスフローを提示することができる。 しかし、この手法によると、ガイダンスフローが登録されてから一般操作者のログが蓄積されるまでの一定期間には前記比較を行なうことができない。このため、登録されたガイダンスフローに誤りがある場合、ログが蓄積されるまでの間は適切でないガイダンスフローが提示され続けることになる。さらに、操作ログには表れない作業、すなわちプログラム上は行なわれなくても問題がないが、運用上の観点等からは行なうことが求められる作業をガイダンスする部分については、例えば、ガイダンスする位置は妥当か、必要な作業が脱落していないか、などの検証ができないという問題が残る。
【0010】
さらに、取引を完了する前にシステムに入力した内容を確認したり、客から必要な書類を預かったり、客から預かった書類をコピーしたり、コピーした書類を所定の棚に収納し客に預かった書類を返却したり、というような作業を行なったかどうかは、操作ログには残らない。このため、従来例によれば、ガイダンスフローにそれらの作業を行なうことを示す情報が脱落していたとしても、それを見つけて修正することは不可能である。このため、オペレータは前記作業が脱落したままのガイダンスフローを参照しながら操作することになり、運用上問題のある手順で操作や取引が行なわれることになりかねない。
【0011】
本発明は、これらの問題点に鑑みてなされたもので、ガイダンスフローが端末システムを構成するシステムプログラムに対して適切であるか否かを即時に検証し適切な形に修正するとともに、前記プログラム上は問題とならないが運用面から見て問題となる点についても検証し修正を行なうことのできるガイダンスフロー編集ツールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記課題を解決するため、次のような手段を採用した。
【0013】
システムの操作手順をフロー形式で表示するガイダンスフローを検証し編集を行うためのガイダンスフロー編集ツールであって、
前記ガイダンスフロー編集ツールは、
操作対象となる前記システムを構成するプログラムデータを保持するプログラムデータ保持部と、
編集中のガイダンスフロー通りにシステムを操作した場合にエラーなしに処理を行えるか否かを判別する検証部と、
編集中のガイダンスフローと既に登録されている他のガイダンスフローとが整合しているか否かを判別する検証部と、
ガイダンスフロー通りに操作を行った際にエラーを生じる場合あるいは編集中のガイダンスフローと既に登録されている他のガイダンスフローとが整合していない場合に、前記検証部の検証結果であるエラーメッセージおよび複数のエラーの修正方法を選択可能に表示する表示部と、
前記表示した複数のエラーの修正方法のうち選択された修正方法に従ってガイダンスフローを修正するガイダンスフロー修正部とを備えた。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、以上の構成を備えるため、ガイダンスフローが適切か否かを即時に検証し適切な形に修正するとともに、プログラム上は問題とならないが運用面から見て問題となる点についても検証し修正を行なうことのできるガイダンスフロー編集ツールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】銀行窓口端末のシステム構成を説明する図である。
【図2】ガイダンスフロー編集ツールの構成を示す図である。
【図3】ガイダンスフローの例を示す図である。
【図4】プログラム参照による検証機能実行時の処理を説明する図である。
【図5】図3のガイダンスフロー通りに操作を行った場合、必要となるチェック項目を示す図である。
【図6】プログラム参照による検証結果の表示画面を示す図である。
【図7】図6に示す修正案にしたがって図3を修正して得られるガイダンスフローを示す図である。
【図8】エラーがなかった場合の結果表示画面を示す図である。
【図9】ガイダンスフロー群の法則参照による検証機能が実行された際の処理を説明する図である。
【図10】検証結果表示画面を示す図である。
【図11】修正されたガイダンスフローを示す図である。
【図12】検証結果表示画面を示す図である。
【図13】法則抽出機能実行時の処理を説明する図である。
【図14】法則登録画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図1ないし図14を参照して、本発明の実施形態を説明する。本実施形態は、銀行窓口において行われる取引をガイダンスするガイダンスフローの編集に関する。本実施形態において、操作対象である銀行窓口端末システムを構成するシステムプログラムは、コンポーネントおよびフロー形式で作成されているものとする。
【0017】
図1は、銀行窓口端末のシステム構成を説明する図であり、システムは複数のオペレータ端末(300a、300b、300c、・・・、以下、単にオペレータ端末300と称する)を備える。各オペレータ端末300は、LAN350を介して業務システム400およびガイダンスシステム200に接続される。
【0018】
業務システム400は、オペレータ端末300からの指示に従い、入金や出金などの銀行業務を実行するシステムである。ガイダンスシステム100は、オペレータ端末300からの指示に従ってオペレータ端末300の画面上にガイダンス情報を出力する。また、ガイダンスシステム100は、ガイダンスフロー作成端末200に接続されており、ガイダンスフロー作成端末はガイダンスフローの作成およびメンテナンスを行なう端末である。 各オペレータ端末300には、通帳プリンタ310aや入金機320aなどの周辺デバイスが接続されており、接続された各デバイスおよび業務システムとデータの送受信を行ない、銀行業務が行なわれる。
【0019】
図2は、ガイダンスフロー作成端末200にインストールされているガイダンスフロー編集ツール210の構成を示す図である。ガイダンスフロー編集ツール210は、ガイダンスフローを編集するためのツールであり、ユーザインタフェース部220、データ制御部230、データ保持部240を備え、これらにはそれぞれの機能を実現するための制御部が備わっている。
【0020】
前記銀行窓口端末システムを使用する際に、ガイダンス情報として表示するガイダンスフローの編集方法について説明する。
【0021】
ガイダンスフローの編集者は、ガイダンスフローの編集ツール210を用いてガイダンスフローを編集する。編集ツール210はユーザインタフェース部220として入力部222と出力部224を有しており、編集者は入力部222を操作してガイダンスフローに追加したい操作を選択し、選択した複数の操作を、例えば矢印によってつなぎ合わせることによりガイダンスフローを編集することができる。なお、編集対象となるガイダンスは出力部224に表示される。
【0022】
ガイダンスフローに付加される各操作には、その操作を行なった際に行われるオペレータ端末および周辺機器の動作が対応付けられており、編集者が入力操作を選択すると、編集ツールはデータ編集部230の入力操作に対応付けられた動作を、動作抽出部237を介してデータ保持部240の操作/動作対応データ保持部246を参照して抽出し、抽出した動作を前記入力操作により行われるオペレータ端末および周辺デバイスの動作の後に出力する。
【0023】
例えば、編集者が「通帳を挿入」という操作を選択すると、それに対応付けられている「通帳読取り」および「口座番号確定」という動作が入力される。
【0024】
図3は、ガイダンスフローの例を示す図である。ガイダンスフローの編集者が、ガイダンスフローの編集ツールを用いて作業を行ない、図3のようなガイダンスフローを作成したとする。
【0025】
図3のガイダンスフローにおいて、矩形はオペレータの操作を表し、円はその操作の結果行われるオペレータ端末あるいは周辺デバイスの動作を示す。編集者は、出金を行なうための操作として、「Aお客様から通帳を受け取り」→「B取引索引キー押下」→「C取引番号フィールドに取引番号を入力」→「Dエンタキー押下(取引索引画面)」→「E出金額入力」→「F完了キー押下」→・・・(以降省略)の順の処理を想定してガイダンスフローを作成している。
【0026】
次に、編集者は、作成した図3のガイダンスフローに対してプログラムを参照した検証を行なうため、編集ツール上でプログラム参照による検証機能を実行する。プログラム参照による検証機能が実行されると、編集ツールは検証部234により検証を行なう。
【0027】
図4は、プログラム参照による検証機能実行時の処理シーケンスである。プログラム参照による検証機能が実行されると、編集ツールはデータ保持部240内の端末プログラムデータ保持部250を参照し、図3のガイダンスフローに示されている操作(取引索引キーの押下、取引番号フィールドへの取引番号入力等)を実行するに際して、前記端末プログラムにおいてどのようなチェックが行われているかを洗い出す。
【0028】
ここで、端末プログラムデータ保持部250には、オペレータ端末にインストールされている銀行端末システムを構成するシステムプログラムが保持されている。
【0029】
まず、プログラムデータ保持部250に保持されているシステムプログラムを参照して、ガイダンスフローにおいて使用されている操作について、その操作を実行した場合に行なわれるチェック機能を抽出する(S101)。
【0030】
抽出の方法としては、メインフローおよびサブフローを検索し、使用されているコンポーネントの名称にgetあるいはcheckが用いられているコンポーネントをチェック機能とみなす。チェック後の分岐処理において、エラー表示あるいはキー無効処理に流れる場合には、前記チェック機能においてどのようなステータスが引き継がれているかを判別する。このとき、引き継がれた前記ステータスについて、コンポーネント内で参照を行なっている変数を抽出し、抽出した変数について、書き込みを行なっているコンポーネントを検索し、セット機能とみなす(S104)。
【0031】
次に、前記セット機能であるとみなしたコンポーネントが使用されているフローを洗い出し、その中で先ほど判別した分岐処理にてエラー表示やキー無効処理に流れる場合の変数ではない変数を書込んでいる機能を探し、その機能をエラーを回避するための機能とみなす。また、前記エラー表示やキー処理無効処理に流れる機能をエラーを引き起こす機能とみなす。また、前記変数は、初期値のままであればチェックにおいてエラーとならない場合もあるため、変数の初期設定を行なっている機能を参照して、変数の初期値も抽出して記憶しておく(S105)。
【0032】
続いて、前記エラーを回避するための機能(操作)がガイダンスフローにおいて行われる操作により実行されているかを検索して調べる。検索した結果に対して、変数の初期値も含めて演算を行い、エラーが起こるかどうかの検証を行なう(S106)。例えば、初期値のままだとエラーが起こらない変数であっても、エラーを引き起こす機能(操作)→エラーを回避する機能(操作)→エラーを引き起こす機能(操作)となっていればエラーが発生すると判断し、また、エラーを引き起こす機能(操作)およびエラーを回避する機能(操作)のどちらも実行されていなければ、エラーが発生すると判断し、エラー情報を登録する(S107のYesおよびS109)。検証の結果、エラーが発生しないと判断された場合は、そのチェック項目については無処理とする(S107のNo)。以上の処理をすべてのチェック項目分行い、エラーが発生するかどうかの検証を行なう。
【0033】
なお、図3のガイダンスフロー内において「お客様から通帳を受け取り」という操作が使用されているが、この操作はシステムに対して働きかける操作ではなく、オペレータがお客様との間で行なう操作であり、この類の操作についてはプログラム内を探しても情報を得ることはできないため、チェックなしと判断する。
【0034】
図5は、図3のガイダンスフロー通りに操作を行った場合、必要となるチェック項目である。図5のチェック項目から、完了キー押下時には口座番号の入力が行われている必要があることがわかる。しかし、図3のガイダンスフローには、口座番号を入力し、確定する動作が記載されていない。これは、図3のガイダンスフローでは口座番号を入力する操作が必要なのに記載されていないということを意味する。
【0035】
編集ツールは、この問題を前述の方式により自動的に抽出し、この問題を解決するための解決策を提示する。例えば、前述のエラーを回避する機能(操作)について、どのような操作を行った場合に呼び出される機能(操作)であるかを検索し、ヒットした操作を解決策として出力する(S110)。このとき、抽出される操作は複数ある可能性がある。例えば、口座番号を確定するには、口座番号を直接入力する、通帳を挿入するという二つの方式がある。編集ツールはこの二つの操作を解決策として、エラー情報と共に検証結果表示画面に表示する(S111)。
【0036】
図6は、プログラム参照による検証の結果を示す表示画面260aを示す図である。検証結果を表す表示画面260aには、エラー内容および「修正方法を選択してください。」とのメッセージに加え、複数の修正案及びこれらを選択する選択釦ボタン261a、261bを表示する。編集者は、二つの修正案の中から所望の修正案を選択し、ボタン261aもしくは261bをマウスでクリックする。編集ツールは選択されたボタンに対応付けられている修正案に基づいてフロー修正部235によりガイダンスフローを修正する(S112)。
【0037】
図7は、図6に示す修正案にしたがって図3を修正して得られるガイダンスフローである。図7では、修正によって変更された部分に下線を引いている。図3と図7のガイダンスフローを比較すると、完了キー押下の前に操作「G通帳挿入」と動作「G−1通帳読込み」および「G−2口座番号確定」が追加されていることがわかる。
【0038】
なお、検証においてすべてのチェック機能について、エラーが発生しないと判断された場合は、図8に示すエラーがない場合の結果表示画面を表示する(S113)。編集者は、この結果表示画面を得るまで前記検証を繰り返し行なうことで、プログラム上、正しいガイダンスフローを得ることができる。
【0039】
なお、図7のガイダンスフローに対して再度プログラム参照による検証機能を実行すると、脱落したチェック項目はなくなっているので、図8の検証結果表示画面が表示される。編集者はボタン261cをクリックして検証結果表示画面を閉じる。
【0040】
続いて、編集者は図7のガイダンスフローに対してガイダンスフロー群の法則を参照した検証を行なう。このため、編集ツール上でガイダンスフロー群の法則参照による検証機能を実行する。ガイダンスフロー群の法則参照による検証機能が実行されると、編集ツールは検証部234により検証を実行する。
【0041】
図9は、ガイダンスフロー群の法則参照による検証機能が実行された際の処理シーケンスである。ガイダンスフロー群の法則参照による検証機能が実行されると、編集ツールはフロー群法則保持部244から法則を抽出し、図7のガイダンスフローにおいて前記法則が満たされているかの確認を行なう。
【0042】
まず、フロー群法則保持部244に登録されている法則について、該法則とガイダンスフローを比較して、法則に関係する操作がガイダンスフローにおいて使用されているかを調べる(S204)。調べた結果、関係がある操作が使用されている場合、ガイダンスフローがその法則を満たしているかどうかの検証を行なう(S207)。検証の結果、法則が満たされていない場合は、エラー情報をセットする(S208)。なお、S204にて関係がある操作がなかった場合およびS207において法則が満たされていると判定した場合は、無処理とする(S205のNoおよびS207のYes)。この処理を法則の数だけ行なう。
【0043】
ここで、フロー群法則保持部に登録されている法則の中で、図7のガイダンスフローに関係するものとして、以下の法則があるとする。
【0044】
(1)通帳を使用する場合は、最初にお客様から通帳を受け取る。
【0045】
(2)通帳挿入と出金額の入力を行なう場合は、通帳挿入→出金額入力の順で行なう。
【0046】
(3)完了キーを押下する前に、入力内容の確認を行なう。
【0047】
(4)出金取引時には通帳を受け取った後、本人確認書類を受け取り、本人であることを確認する。
【0048】
(5)出金取引時には本人確認書類を受け取った後に本人確認書類をコピーする。
【0049】
(6)出金取引時には本人確認書類をコピーした後に本人確認書類のコピーを書類棚に収納する。
【0050】
(7)出金取引時には本人確認書類のコピーを書類棚に収納した後に本人確認書類をお客様にお返しする。
【0051】
図7のガイダンスフローにおいては、(1)の法則は操作「Aお客様から通帳を受け取り」によって満たされていることがわかる。(2)の法則については、図7のガイダンスフローでは「G通帳挿入」の前に「E出金額入力」となっているため、法則を満たしていないことがわかる。この法則は、プログラム上は順序が入れ替わっていても問題ないが、慣例上、または運用ルールから順序が決まっており、その順序通りに操作を並べることで他のガイダンスフローとの整合性の取れたガイダンスフローを作成することができる。(3)の法則についても、「F完了キー押下」の前には入力内容を確認する操作がないため、法則を満たしていないことがわかる。この法則は、プログラム上は満たしていなくても問題がないが、運用上は行なわなくてはならない操作であり、この法則を満たしていないと、運用ルール上問題があり、またこの法則を満たしていないままガイダンスフローを登録すると、オペレータに運用ルールに則さない操作手順を提示してしまうことになる。 また、(4)ないし(7)の法則については、本人確認書類を受け取り、受け取った本人確認書類のコピーをとり、とったコピーを書類棚に収納し、前記本人確認書類をお客様にお返しするという本人確認書類に関する一連の流れについての法則であるが、図7のガイダンスフローはこれらの法則を満たしていないことがわかる。これらの法則は、プログラム上は行なわなくても問題とならない操作についてであるが、運用ルール上は満たしていなくてはならない。
【0052】
以上より、図7のガイダンスフローは、(2)ないし(7)の法則を満たしていないということがわかる。編集ツールは図7のガイダンスフローが満たしていない法則を抽出し、その情報を検証結果表示画面に表示する。
【0053】
本実施形態では、図10の264aおよび264bおよび264cで示す検証結果表示画面を表示する(S211)。法則(4)ないし(7)に関しては、同じ本人確認書類に関する法則であるので、まとめて264cで示す検証結果表示画面情報を表示している。
【0054】
編集者は、図10の検証結果表示画面が表示された場合、画面に出力されている情報から、ガイダンスフローの修正を行なうかどうかを判断し、修正が必要なら265a、必要ないなら265bのボタンをマウスでクリックする。本実施形態では、編集者は264a、264bおよび264cの検証結果表示画面表示された全てのエラーについて修正が必要だと判断して、265aボタンをクリックしたとする。
【0055】
編集ツールのフロー修正部235は、編集者の修正要求を受けて、図7のガイダンスフローが満たしていない法則が満たされるように、図7に示すガイダンスフローを修正する(S212)。
【0056】
先ず、(2)の法則を満たすことができるように修正を加える。(2)の法則は「G通帳挿入」の後に「E出金額入力」を行なうという法則であり、図7に示すガイダンスフローではその順番が逆になっているので、図7に示すガイダンスフローにおいて「E出金額入力」の操作と「G通帳挿入」の操作の順序を入れ替える。続いて、(3)の法則は、完了キーを押下する操作の前に入力内容の確認を行なうという法則であるので、図7に示すガイダンスフローにおいて「F完了キー押下」の操作の前に入力内容の確認操作を挿入する。最後に、(4)ないし(7)の法則は、通帳を受け取った後に、本人確認書類に関する一連の作業を行なうという法則なので、図7のガイダンスフローにおいて、「Aお客様から通帳を受け取り」の後に、本人確認書類に関する一連の作業を挿入する。
【0057】
以上のように図7に示すガイダンスフローを修正することにより、図11に示すガイダンスフローが得られる。
【0058】
図11では、修正によって変更された部分に下線が引いてある。図11に示すガイダンスフローは図7に示すガイダンスフローと比較して、「G通帳挿入」およびそれに対応する動作が「E出金額入力」の前に移動されており、「F完了キー押下」の前に「H入力内容の確認」が挿入されている。また、「Aお客様から通帳を受け取り」の後に「Iお客様から本人確認書類を受け取り、本人確認をする」、「J本人確認書類をコピーする」、「K本人確認資料のコピーを書類棚に収納する」、「Lお客様に本人確認書類をお返しする」が挿入されている。
【0059】
なお、以上の検証及び編集においてガイダンスフローが全ての法則を満たしており、何も問題がない場合は、図12に示す検証結果表示画面を表示する(S213)。編集者は、265cのボタンをクリックして、検証結果表示画面を閉じる。
【0060】
なお、ガイダンスフロー群の法則は、ガイダンスフローの登録時に法則抽出機能制御部238により行われる。
【0061】
図13は、法則抽出機能実行時の処理シーケンスである。フロー群保持部242に保持されているガイダンスフローの中から、二つのフローを抽出し(S304)、比較して両フローに共通して出現している操作を抽出し(S305)、操作の組み合わせ、例えば「操作1の前に操作2を行なう」、「操作3がある場合にはその後のどこかで操作4を行う」などのルールを洗い出す(S307)。これを全てのフローの組み合わせ分行ない、ルールが所定数(本実施形態ではガイダンスフローの数の半分)以上のフローの組み合わせで成立している場合は法則とみなし(S313のYes)、フロー群法則保持部244にその法則を登録する(S314)。
【0062】
また、編集ツールは、編集者がガイダンスフロー群の法則を手動で登録する機能を有する。編集者が編集ツール上で法則登録機能を実行すると、編集ツールは、編集画面表示部255に図14に示す法則登録画面266を表示する。法則登録画面266のテキストボックス267aおよび267bには、追加したい法則に関する操作(操作AおよびB)を入力することができる。入力すべき操作は、操作/動作対応データ保持部246にて保持されている操作から選択して入力することができ、編集者は、登録したい法則に関する二つの操作をそれぞれのテキストボックスに選択して入力する。つぎにテキストボックス267に前記入力された二つの操作の関係を、ラジオボタン268を使って選択する。この関係には、「Aがある場合、Bを置く」「Aの前にBを置く」「Aの直前にBを置く」「Aの直後にBを置く」の4種類が用意されており、編集者は、その中から一つを選択して、テキストボックス267に入力された操作の関係を設定する。前記操作および操作の関係の選択入力を行なった後、編集者は登録ボタン269aをクリックして選択した条件で法則を登録する。
【0063】
キャンセルボタン269bをクリックした場合は、法則の登録操作を取り消す。編集者が登録ボタン269aをクリックして登録を行なうと、編集ツールは、その法則をフロー群法則保持部244に登録するとともに、フロー群保持部242を参照して、登録された法則を登録済みのガイダンスフローが満たしているかを検証する。検証の結果、法則を満たしていないガイダンスフローがあった場合には、ガイダンスフロー群の法則参照による検証と同様に、検証結果画面を出力し、編集者の選択に従ってガイダンスフローの修正を行なう。
【0064】
このように、編集者は、プログラム参照による検証機能と、ガイダンスフロー参照による検証機能を利用することにより、作成したガイダンスフローの検証および編集(修正)を行なうことができる。また、編集者は作成された図11に示すガイダンスフローの登録機能を実行する。編集ツールは、登録機能が実行されると、フロー群保持部242およびガイダンスシステム100にガイダンスフローを登録し、前記法則抽出機能を自動的に実行する。また、ガイダンスシステム100に登録されたガイダンスフローは、オペレータ端末300からの指示に従ってオペレータ端末300の画面上に表示される。オペレータは、銀行窓口にて業務を行なう際、ガイダンスフローを見ることで適切な操作を行なうことができる。
【0065】
以上説明したように本実施形態によれば、ガイダンスフローの編集(修正)機能を有するガイダンスフロー編集ツールにおいて、ガイダンスフローの検証機能を設ける。ガイダンスフローの検証機能には、操作対象となるソフトウェアの内部プログラムを参照して検証を行なうプログラム参照による検証機能と、既にガイダンスフローとして登録されているガイダンスフロー群の法則を参照して検証を行なうガイダンスフロー群の法則参照による検証機能とを有する。
【0066】
ガイダンスフローの編集者は、ガイダンスフローの編集時にガイダンスフローの検証機能を実行することで、編集したガイダンスフローが正しく作成されているかを確認することができ、問題がある場合には適切な形に修正されたガイダンスフローを得ることができる。
【0067】
例えば、ガイダンスフロー編集者が編集ツール上でプログラム参照による検証機能を実行すると、編集ツールは、編集中のガイダンスフローについて、操作対象となるソフトウェアの内部プログラムを参照して、編集中のガイダンスフロー通りに操作を行った場合に、エラーあるいは障害が生じることなく処理を行なうことができるかの判別を行ない、ガイダンスフローの正確性の検証を行なう。
【0068】
この際、編集ツールは操作対象となるソフトウェアの内部プログラムを参照し、編集中のガイダンスフローにおいて行われている機能を実行するプログラムの中で行われている、ステータスや入力内容のチェックを洗い出す。その後、洗い出されたチェックを満たすための操作が、編集中のガイダンスフローの中で、当該チェック機能の前に行われているかどうかを判別する。判別の結果、チェックを満たすための操作が当該機能の前に行われていないチェック機能があった場合は、エラーメッセージを出力し、解決法の提案を行なう。
【0069】
解決法は複数提案される場合がある。編集者は、提案された解決法の中から所望の解決法を選択して入力する。編集ツールは、選択された解決法に従って、編集中のガイダンスフローを修正する。編集者は、修正されたガイダンスフローに対して、もう一度プログラムを参照した検証機能を実行する。この処理を、エラーが出なくなるまで繰り返すことにより検証機能が実現される。
【0070】
また、ガイダンスフロー編集者が編集ツール上でガイダンスフロー群の法則参照による検証機能を実行すると、編集ツールは、編集中のガイダンスフローについて、既に登録されているガイダンスフロー群の法則を参照して、編集中のガイダンスフローが他のガイダンスフローと整合性が取られているかの検証を行なう。編集ツールは、ガイダンスフロー群の法則参照による検証機能が実行されると、編集中のガイダンスフローが、ガイダンスフロー群の法則を満たしているかどうかを判別し、ガイダンスフローが他のガイダンスフローと整合性が取られているかどうかの検証を行ない、プログラム上は問題ないが、運用上のルールから行なうことが求められている操作、あるいは順序の一貫性といった問題に関して妥当なガイダンスフローとなっているかを検証する。ガイダンスフロー群の法則参照による検証の結果、満たされていない法則があった場合は、注意メッセージを出力し、解決策の提案を行なう。編集者は、提案された解決策を採用するか、もしくは今のままとするかを選択する。編集ツールは解決策が選択された場合は解決策に従って編集中のガイダンスフローを修正する。
【0071】
以上、二通りの検証機能を実行し、編集中のガイダンスフローの検証および修正を行ない、修正されたガイダンスフローはガイダンスフロー編集ツールによってシステムに登録する。
【0072】
また、編集ツールは、システムに登録されているガイダンスフロー群の中で「操作Aと操作BはA→Bの順序で行なわれる」、あるいは「操作Cが行われる直前には操作Dが行なわれる」などの法則を自動的に抽出する。この抽出はガイダンスフローの登録時やツールの終了時等に自動的に行なわれ、抽出された法則はツール内で管理する。また、ガイダンスフロー編集者自ら手動で法則を追加することも可能であり、法則が追加された場合には、既に登録されているガイダンスフローが追加された法則を満たしているかどうかを検証し、修正案を出して編集者の選択に従ってガイダンスフローの修正を行なう。
【0073】
このように、本実施形態によれば、プログラムを参照することで正確なガイダンスフローを作成することができ、また、ガイダンスフロー群の法則を参照することでプログラム上からは検証することのできない運用面のルール等にも則したガイダンスフローを作成することができる。また、手動で法則を追加し、追加された法則について登録済みのガイダンスフローがその法則を満たすかどうかを検証することで、運用の変化に伴って新しいルールが追加された場合にも、即時に対応することができる。
【符号の説明】
【0074】
100 ガイダンスシステム
200 ガイダンスフロー作成端末
210 ガイダンスフロー編集ツール
220 ユーザインタフェース
222 入力部
224 出力部
225 編集画面表示部
226 メッセージ表示部
230 データ制御部
231 検証機能部
232 端末プログラム参照部
233 フロー群法則参照部
234 検証部
235 ガイダンスフロー修正部
236 編集機能部
237 動作抽出部
238 法則抽出機能部
240 データ保持部
242 フロー群保持部
244 フロー群法則保持部
246 操作/動作対応データ保持部
250 端末プログラムデータ保持部
260 プログラム参照による検証の結果表示画面
261 動作選択ボタン
264 ガイダンスフロー群の法則参照による検証の結果表示画面
265 動作選択ボタン
266 法則登録画面
267 操作選択用のテキストボックス
268 ラジオボタン
269 法則登録実行および取り消しボタン
300 オペレータ端末
310 通帳プリンタ
320 入金機
350 LAN
400 業務システム
500 銀行窓口端末システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムの操作手順をフロー形式で表示するガイダンスフローを検証し編集を行うためのガイダンスフロー編集ツールであって、
前記ガイダンスフロー編集ツールは、
操作対象となる前記システムを構成するプログラムデータを保持するプログラムデータ保持部と、
編集中のガイダンスフロー通りにシステムを操作した場合にエラーなしに処理を行えるか否かを判別する検証部と、
編集中のガイダンスフローと既に登録されている他のガイダンスフローとが整合しているか否かを判別する検証部と、
ガイダンスフロー通りに操作を行った際にエラーを生じる場合あるいは編集中のガイダンスフローと既に登録されている他のガイダンスフローとが整合していない場合に、前記検証部の検証結果であるエラーメッセージおよび複数のエラーの修正方法を選択可能に表示する表示部と、
前記表示した複数のエラーの修正方法のうち選択された修正方法に従ってガイダンスフローを修正するガイダンスフロー修正部とを備えたことを特徴とするガイダンスフロー編集ツール。
【請求項2】
請求項1記載のガイダンスフロー編集ツールにおいて、
前記検証部は、前記プログラムデータを参照して、ガイダンスフローに表されている機能を実施するプログラムの中で使用されているステータスあるいは入力内容を抽出し、
前記ステータスあるいは入力内容を満足させるための操作が、前記機能の実施以前に行われているか否かを判別し、前記機能の実施以前に行われていない場合には、エラーメッセージおよび複数のエラーの修正方法を選択可能に表示することを特徴とするガイダンスフロー編集ツール。
【請求項3】
請求項1記載のガイダンスフロー編集ツールにおいて、
前記検証部は、既に登録されているガイダンスフロー群が備える運用面での法則を参照して、編集中のガイダンスフローが前記法則を満足するか否かを判別し、前記法則を満足しない場合にはエラーメッセージおよび複数のエラーの修正方法を選択可能に表示することを特徴とするガイダンスフロー編集ツール。
【請求項4】
請求項1記載のガイダンスフロー編集ツールにおいて、
外部から入力される運用面での法則を受信して登録する機能を備え、編集中のガイダンスフローが前記法則を満足するか否かを判別し、前記法則を満足しない場合にはエラーメッセージおよび複数のエラーの修正方法を選択可能に表示することを特徴とするガイダンスフロー編集ツール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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