説明

ガイダンス制御システム、端末、SIPサーバ、これらの動作方法及びプログラム

【課題】ガイダンス接続の設定を端末側から決定し、ガイダンス制御装置とSIPサーバ間の余分な負荷を軽減でき、ガイダンス接続までの時間を短縮することができるガイダンス接続システムを提供する。
【解決手段】ガイダンス制御システムは、端末、SIPサーバ、及びガイダンス制御装置を有する。端末は、SIP信号にガイダンス設定を制御するためのヘッダ部を付加し、そのヘッダ部を付加したSIP信号をサーバに向けて送信する。SIPサーバは、端末からのヘッダ部が付加されたSIP信号に従いガイダンス指示情報を作成し、作成したガイダンス指示情報を付加したSIP信号をガイダンス制御装置に送信する。ガイダンス制御装置は、サーバからのガイダンス指示情報が付加されたSIP信号に従い音声データを構築し、構築した音声データをSIPサーバ経由で端末に返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガイダンス制御システム、端末、SIPサーバ、これらの動作方法及びプログラムに係り、特に端末から設定可能なガイダンス接続方式に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、第3世代携帯電話や無線LAN等を用いた移動通信サービスが普及し、これらをすべてIP(Internet Protocol)技術で統合してマルチメディアサービスを実現させる通信方式として、IMS(Internet Protocol Multimedia Subsystem)が知られている。IMSは、IPに基づくマルチメディアサービスを第3世代携帯電話や無線LAN等へアクセス網に依存せずに提供するシステムである。IMSを採用したネットワーク(IMS網)では、制御プロトコルとして、IP電話で使われるSIP(Session Initiation Protocol)が用いられている。SIPは、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)を土台にしたリクエスト/レスポンス型のプロトコルであり、基本的には、クライアントがリクエストを送信し、それに対してサーバがレスポンスを応答するものである。
【0003】
SIPを用いたIP電話等の電話サービスでは、電話機の発信時に、例えば着信先の電話機側で電話番号の変更等の事象が発生した場合、発信元の電話機にその事実を知らせるための音声ガイダンスを提供するガイダンス装置がある。ガイダンス装置は、通常、IMS網等の回線網に存在し、断片的な音声データを保持し、これらの音声データを意味のあるガイダンスとなるように適切な順序で再生させるガイダンス制御を行う。ガイダンス制御を単一の装置に行わせると、ガイダンス制御による負荷の集中を回避することができない。その対策として、SIPを用いたIP電話システムに対して利用可能な、ガイダンス制御による負荷を分散させるガイダンス制御システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1では、IP端末からの呼を受信して呼制御を行うとともに、所定の音声ガイダンスを指定するガイダンス情報を生成し、受信したガイダンス情報を、1つ以上の音声データに対応付けられた識別子から構成される識別子情報へと変換し、受信した識別子情報を構成する識別子に対応付けられた1つ以上の音声データを順次再生することによって、IP端末に対し所定の音声ガイダンスを提供するガイダンス制御システムが開示されている。
【0005】
これに関連して、自由度の高いガイダンスを再生可能にするガイダンス制御システムも提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2では、端末からの発呼信号を受信したときにガイダンスが必要か否かを判定し、必要な場合にガイダンス項目を指定し、指定したガイダンス項目に対応する情報として予め記憶されたテキストデータが存在するか否かを判定し、存在する場合に発呼信号にテキストデータを付加するサーバと、サーバからの発呼信号を受信したときに発呼信号にテキストデータが付加されているか否かを判定し、付加されている場合にテキストデータを音声データに変換し、変換した音声データを直接又は間接的に端末に送信するガイダンス制御装置とを備えたガイダンス制御システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−311206号公報
【特許文献2】特開2008−258766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1、2のように、関連技術のガイダンス制御システムは、ガイダンス設定はSIPサーバに依存し、SIPにおいてガイダンスの設定項目に対して負荷軽減を考慮し考えて設けたシステムではなかった。このため、次のような課題があった。
【0008】
(1)ガイダンス接続の様々な設定、例えば、音声ガイダンスであれば男の声か女の声か選択できる設定など、テキストガイダンスであればファイル形式や言語設定などの設定を端末側から決定することができない。
【0009】
(2)ガイダンス制御装置とSIPサーバ間の余分な負荷を軽減できず、ガイダンス接続までの時間短縮が期待できない。
【0010】
本発明の目的は、上記課題を解決し、ガイダンス接続の設定を端末側から決定し、ガイダンス制御装置とSIPサーバ間の余分な負荷を軽減でき、ガイダンス接続までの時間を短縮することができるガイダンス接続システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係るガイダンス接続システムは、端末と、前記端末に接続されるSIPサーバと、前記SIPサーバに接続されるガイダンス制御装置とを有し、前記端末は、SIP信号にガイダンス設定を制御するためのヘッダ部を付加し、そのヘッダ部を付加したSIP信号を前記SIPサーバに向けて送信し、前記SIPサーバは、前記端末からの前記ヘッダ部が付加されたSIP信号に従いガイダンス指示情報を作成し、作成したガイダンス指示情報を付加したSIP信号を前記ガイダンス制御装置に送信し、前記ガイダンス制御装置は、前記SIPサーバからの前記ガイダンス指示情報が付加されたSIP信号に従い音声データを構築し、構築した音声データを前記SIPサーバ経由で前記端末に返すことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る端末は、SIP信号にガイダンス設定を制御するためのヘッダ部を付加し、そのヘッダ部を付加したガイダンス設定制御用ヘッダをSIPサーバに向けて送信することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係るSIPサーバは、端末から送られてくる、ガイダンス設定を制御するためのヘッダ部が付加されたSIP信号を受信し、受信したSIP信号に従いガイダンス指示情報を作成し、作成したガイダンス指示情報を付加したSIP信号をガイダンス制御装置に送信することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るガイダンス制御システムの動作方法は、端末が、SIP信号にガイダンス設定を制御するためのヘッダ部を付加し、そのヘッダ部を付加したSIP信号をSIPサーバに向けて送信し、前記SIPサーバが、前記端末からの前記ヘッダ部が付加されたSIP信号に従いガイダンス指示情報を作成し、作成したガイダンス指示情報を付加したSIP信号をガイダンス制御装置に送信し、前記ガイダンス制御装置が、前記SIPサーバからの前記ガイダンス指示情報が付加されたSIP信号に従い音声データを構築し、構築した音声データを前記SIPサーバ経由で前記端末に返すことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る端末の動作方法は、SIP信号にガイダンス設定を制御するためのヘッダ部を付加し、そのヘッダ部を付加したガイダンス設定制御用ヘッダをSIPサーバに向けて送信することを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係るSIPサーバの動作方法は、端末から送られてくる、ガイダンス設定を制御するためのヘッダ部が付加されたSIP信号を受信し、受信したSIP信号に従いガイダンス指示情報を作成し、作成したガイダンス指示情報を付加したSIP信号をガイダンス制御装置に送信することを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る端末の動作プログラムは、コンピュータに、SIP信号にガイダンス設定を制御するためのヘッダ部を付加するステップと、そのヘッダ部をSIPサーバに向けて送信するステップとを実行させることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係るSIPサーバの動作プログラムは、コンピュータに、端末から送られてくる、ガイダンス設定を制御するためのヘッダ部が付加されたSIP信号を受信するステップと、受信したSIP信号に従いガイダンス指示情報を作成するステップと、作成したガイダンス指示情報を付加したSIP信号をガイダンス制御装置に送信するステップとを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明においては、以下に記載するような効果を奏する。
【0020】
第1の効果は、INVITE信号にガイダンス設定を付与しているので、従来サーバ側で決定されているようなガイダンス接続の様々な設定を端末側から決定することができることである。
【0021】
第2の効果は、INVITE信号にガイダンス設定を付与しているので、余分な信号を使わない分、ガイダンス制御装置とSIPサーバ間の余分な負荷を軽減できることである。
【0022】
第3の効果は、ガイダンス制御装置とSIPサーバ間の余分な負荷を軽減しているので、ガイダンス接続までの時間短縮が期待できることである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係るガイダンス制御システムの全体構成を示す概略ブロック図である。
【図2】図1に示すIMS端末によるガイダンス設定によりINVITE信号に付加されるガイダンス設定制御用ヘッダを構成するRequest−URIの指示文字列と、これに対応する音声ガイダンスの内容とを示す図である。
【図3】図1に示すSIPサーバの動作を説明するフローチャートである。
【図4】図1に示すIMS端末、SIPサーバ、及びガイダンス制御装置の処理シーケンスを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明に係るガイダンス制御システム、端末、SIPサーバ、これらの動作方法及びプログラムの実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施形態に係るガイダンス制御システムの全体構成を示す。同図に示すガイダンス制御システム1は、IMS端末10と、VoIP(Voice over Internet Protocol)等のIPベースのマルチメディアサービスを、第3世代携帯電話や無線LANへそのアクセス網に依存せずに提供するIMS網20とを有する。IMS網20は、IMS端末10に通信可能に接続されるSIPサーバ21と、SIPサーバ21に通信可能に接続されるガイダンス制御装置22とを有する。図1に示すガイダンス制御システムは、IMS網20を介して発信元のIMS端末10に音声ガイダンスを提供するものである。
【0026】
IMS端末10は、IMS網20に接続可能な端末、例えば、無線LANや第3世代携帯電話等の通信端末で構成される。IMS端末10は、制御/処理部(例えば、CPU等のマイクロコンピュータ等)、記憶部(メモリ等)、通信部(例えば、送受信回路、ベースバンド処理回路等)、表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)、操作部(操作用の各種キー、ボタン、スイッチ類等)、音声入出力部(マイクロフォン、スピーカ等)等の各部を有し、制御/処理部による制御のもとで、所定の情報を記憶部に記憶し、音声入出力部により音声を入出力し、操作部からの操作信号を制御/処理部に出力し、通信部を介して他のIMS端末との間で通話やメール送受信を行い、インターネット上のウェブサイト(ウェブサーバ)にアクセスしたりする既知の機能を実現している。
【0027】
IMS端末10は、本実施形態では、セッション開始時に、SIPのINVITE(招待)信号にガイダンス設定を制御するためのヘッダ部(以下、ガイダンス設定制御用ヘッダ)を付与し、そのガイダンス設定制御用ヘッダを付与したINVITE信号をSIPサーバ21に向けて送信する。この機能は、例えば制御/処理部のコンピュータが記憶部に予め格納された動作プログラムの命令を実行することにより実現される。
【0028】
INVITE信号は、セッション開始を表し、SIPのほとんどの場合において最初の信号として送信される。SIP信号(SIPメッセージ)は、ヘッダ部と本体部とを有する。ヘッダ部の最初の行は、リクエストラインとも呼ばれ、リクエストの種別を表すSIPメソッド(INVITE等)に続き、Request−URI(sip:aaaa@bbb.cc.dd等)、プロトコルバージョン(sip/2.0等)の順で構成される。
【0029】
図2は、IMS端末10によるガイダンス設定によりSIP信号であるINVITE信号に付加されるガイダンス設定制御用ヘッダを構成するRequest−URIの指示文字列と、これに対応する音声ガイダンスの内容の一例を示す。
【0030】
図2の例では、Request−URIの指示文字列が「male」のとき、音声ガイダンスを男性の声で再生し、指示文字列が「female」のとき、音声ガイダンスを女性の声で再生し、指示文字列が「english」のとき、音声ガイダンスを英語で再生することを表している。例えば、IMS端末10側で音声ガイダンスを男性の声で再生するガイダンス設定を行う場合は、「INVITE sip:...male@bbb.cc.dd sip/2.0」等のようにINVITE信号のヘッダ部におけるRequest−URIの所定部分に「male」を付与する。
【0031】
IMS端末10による上記ガイダンス設定は、例えば自動及び手動のいずれの動作モードでも設定可能とすることが望ましい。この場合、IMS端末10の表示画面上でキー操作等のユーザ操作により自動又は手動のいずれかを選択可能としてもよい。その結果、自動の場合は、予め設定された音声ガイダンスの内容(男性の声、女性の声、英語等)に応じた指示文字列(例えば、female)をRequest−URIに付与するようにしてもよい。一方、手動の場合は、さらに表示画面上でキー操作等のユーザ操作により音声ガイダンスの内容(男性の声、女性の声、英語等)を選択可能とし、選択された音声ガイダンスの種別に応じた指示文字列をRequest−URIに付与するようにしてもよい。また、初期設定では、自動設定としてもよい。自動設定の場合、ユーザの登録情報(性別、年齢、住所、国籍等)に応じて音声ガイダンスの内容を自動で可変設定するようにしてもよい。
【0032】
SIPサーバ21は、HTTPを土台にしたテキストベースのリクエスト/レスポンス型のSIPに従い動作するサーバであり、その内部にコンピュータアーキテクチャに基づくハードウェア構成(例えば、コンピュータの中核を担うCPU、プログラムやデータを格納するメモリ、入出力部(入力装置、表示装置、通信装置、外部記憶装置等の入出力ポート))を有する。SIPサーバ21は、CPUがメモリ内のプログラムの命令に従い動作することにより、所定の情報をメモリ等の記憶装置に記憶し、通信装置を介してIMS端末10との間で通信を行うと共にガイダンス制御装置22との間でSIPに従い情報のやり取りを行い、後述するサービス判定、ガイダンス接続判定、ガイダンス指示情報付加等の処理を行う。
【0033】
図3は、SIPサーバ21の動作を示すフローチャートである。このフローチャートで示される処理は、例えばSIPサーバ21のCPUが予め設定された動作プログラムを実行することにより行われる。ここで用いる動作プログラムは、メモリ内に固定して組み込まれるものでも、ハードディスク駆動装置(HDD)等の外部記憶装置からメモリに読み込まれるものでも、いずれでも適用可能である。
【0034】
図3において、SIPサーバ21は、IMS端末10からヘッダ部のRequest−URIにガイダンス設定制御用の指示文字列が付与されたINVITE信号を受信する(ステップB1)。すると、SIPサーバ21は、受信したINVITE信号に記載されているサービスが実施可能か、例えばサービスがSIPのIP電話であれば、電話を繋ぐことが可能かどうかを判定し(ステップB2)、サービスが実施できず(例えば、電話を繋ぐことができず)、ガイダンス接続が必要であれば(ステップB3)、ガイダンス制御装置22に送るINVITE信号に対して、要求されたガイダンス設定に対応するガイダンス指示情報を付加する(ステップB4)。
【0035】
SIPサーバ21は、そのINVITE信号をガイダンス制御装置22に送信し(ステップB5)、そのACK応答であるTRYING信号の返信を確認し(ステップB6)、ガイダンス制御装置22から送信された、ガイダンス指示情報に基づくガイダンスの音声データをIMS端末10に送信する(ステップB7)。
【0036】
ガイダンス制御装置22は、音声ガイダンスを提供するためのガイダンス制御を行う装置である。ガイダンス制御装置22は、予め設定された動作プログラムに従い動作するコンピュータ(CPU)を搭載し、IMS網20に接続された通信装置(非図示)を介してSIPサーバ21との間でSIPに従い情報のやり取りが可能となっている。
【0037】
次に、本実施形態に係るガイダンス接続システムを構成する各装置の処理シーケンスについて、図4を参照して説明する。ここで、図4に示すSIPサーバ21によるステップB1〜B7の各処理は、前述した図3に対応し、本実施形態では、SIPサーバ21のコンピュータが動作プログラムの命令を実行することにより行われる。また、図4に示すIMS端末10のステップA1〜A3の各処理は、本実施形態では、制御部のコンピュータが記憶部に予め設定された動作プログラムの命令を実行することにより行われる。さらに、図4に示すガイダンス制御装置22のステップC1〜C3の各処理は、本実施形態では、ガイダンス制御装置22のコンピュータがメモリ内の動作プログラムの命令を実行することにより行われる。
【0038】
最初に、IMS端末10は、着信先のIMS端末(非図示)との間のセッション開始に際し、前述したようにSIPのINVITE信号のRequest−URIにガイダンス設定制御用の指示文字列(male、female、english等)を付与し、指示文字列を付与したRequest−URIヘッダを持つINVITE信号をSIPサーバ21に送信する(ステップA1)。
【0039】
これに応答して、SIPサーバ21は、そのINVITE信号のACK応答としてTRYING信号をIMS端末10に返信する(ステップB1)。IMS端末10は、そのTRYING信号を受信することでSIPサーバ21にINVITE信号が到着したことを認識する(ステップA2)。
【0040】
次に、SIPサーバ21は、受信したINVITE信号に従ってサービスが利用可能かの判定(ステップB2)と、ガイダンス接続するかどうかの判定(ステップB3)を順次実行する。この判定処理については、前述した関連技術(特許文献2等)に開示されているものが適用可能であるため、その詳細については省略する。
【0041】
その結果、サービスが利用可能であり、ガイダンス接続しない場合は、電話等の通常のサービスが実行される。また、ガイダンス接続する場合は、SIPサーバ21は、受信したINVITE信号のRequest−URIに付与された指示文字列に従ってどのようなガイダンス設定にするかを判定する。例えば、Request−URIの指示文字列が「male」の場合は音声ガイダンスを男性の声で再生し、「female」の場合は音声ガイダンスを女性の声で再生し、「english」の場合は音声ガイダンスを英語で再生するようにガイダンス設定を行う。SIPサーバ21は、そのガイダンス設定に応じたガイダンス指示情報をINVITE信号のRequest−URIヘッダに付加する(ステップB4)。
【0042】
そして、SIPサーバ21は、ガイダンス指示情報を付加したINVITE信号をガイダンス制御装置22に送信する(ステップB5)。これに応答して、ガイダンス制御装置22は、TRYING信号をSIPサーバ21に返信する(ステップC1)。SIPサーバ21は、TRYING信号を受信することでガイダンス制御装置22にINVITE信号が到着したことを認識する(ステップB6)。
【0043】
そして、ガイダンス制御装置22は、INVITE信号のRequest−URIに付与されたガイダンス指示情報に従ってガイダンスの音声データを構築し(ステップC2)、構築したガイダンスの音声データをSIPサーバ21へ送信する(ステップC3)。なお、SIPサーバ21からのガイダンス指示情報に基づいてガイダンス制御装置22がガイダンスの音声データを構築する処理については、前述した関連技術(特許文献2等)に開示されているものが適用可能であるため、その詳細については省略する。
【0044】
これに応答して、SIPサーバ21は、ガイダンスの音声データをIMS端末10へ送信する(ステップB7)。IMS端末10は、ガイダンスの音声データを受信して再生する(ステップA3)。
【0045】
以上のように本実施形態では、IMS端末10は、ガイダンス設定制御用ヘッダ(Request−URIヘッダ)を付与したSIPのINVITE信号をSIPサーバ21に向けて送信する(ステップA1)。SIPサーバ21は、そのガイダンス設定制御用ヘッダが付与されたINVITE信号を判別あるいは加工等の処理を行い、INVITE信号にそのヘッダに応じたガイダンス指示情報を付加してガイダンス制御装置22に送信する(ステップB2〜B5)。ガイダンス制御装置22は、ガイダンス指示情報が付加されたINVITE信号に従ってガイダンスの音声を構築し、SIPサーバ21を介してIMS端末10に返す(ステップC2、C3)。
【0046】
このようにして、本実施形態では、IMS端末10からガイダンス設定制御用ヘッダを付与したSIPのINVITE信号を送信しているので、元来IMS網20内のSIPサーバ21側でのみ制御されるガイダンスに対して設定を指定することができる。
【0047】
すなわち、本実施形態は、IMS網20におけるSIPベースのガイダンス制御システムにおいて、SIPのほとんどの場合において最初の信号であるINVITE信号にガイダンス設定を付与することで、従来SIPサーバ21側で決定されているようなガイダンス接続の様々な設定(具体的には、音声ガイダンスであれば、男の声か女の声か選択できる設定など、テキストガイダンスであれば、ファイル形式や言語設定など)を端末側から決定することが可能になり、余分な信号を使わない分、ガイダンス制御装置22とSIPサーバ21間の余分な負荷を軽減し、ガイダンス接続までの時間を短縮することができる。
【0048】
つまり、図4のステップA1にてIMS端末10からSIPサーバ21に送信されるINVITE信号にガイダンス設定を付与することで、余分な信号を使わない分、SIPのシステムにおいてガイダンスの設定項目に対し負荷軽減を考えて設けたガイダンス制御システムを構築することができる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態においては、以下に記載するような効果を奏する。
【0050】
第1の効果は、INVITE信号にガイダンス設定を付与しているので、従来SIPサーバ21側で決定されているようなガイダンス接続の様々な設定をIMS端末10側から決定することができることである。
【0051】
第2の効果は、INVITE信号にガイダンス設定を付与しているので、余分な信号を使わない分、ガイダンス制御装置22とSIPサーバ21間の余分な負荷を軽減できることである。
【0052】
第3の効果は、ガイダンス制御装置22とSIPサーバ21間の余分な負荷を軽減しているので、ガイダンス接続までの時間短縮が期待できることである。
【0053】
これにより、前述した関連技術のガイダンス制御システムでは、ガイダンス設定はSIPサーバに依存するが、本実施形態では、IMS端末10からSIPサーバ21に送信されるINVITE信号にガイダンス設定を付与することでIMS端末10側からガイダンス設定を可能としたガイダンス制御システムを提供することができる。
【0054】
なお、上記実施形態に係るガイダンス制御システムを構成する各装置、すなわちIMS端末、SIPサーバ、及びガイダンス制御装置は、その内部のハードウェア及びソフトウェア構成は特に限定されるものではなく、上述した各部の機能(手段)を実現可能なものであれば、いずれのものでも適用可能である。例えば、機能毎に回路を独立させて構成したものでも、複数の機能を1つの回路にまとめて一体に構成したものでも、いずれのものであってもよい。或いは、全ての機能を主にソフトウェアの処理で実現するものでもあってもよい。
【0055】
また、上記のガイダンス制御システムを構成する各装置の少なくとも一部の機能を、動作プログラムを用いて実現する場合、かかる動作プログラム及びこれを記録する記録媒体は、本発明の範疇に含まれる。この場合、動作プログラムがオペレーティングシステム(OS)、ミドルウェア、アプリケーションソフトウェア等の他のプログラムと協働して上記各装置の機能が実現される場合は、それらのプログラムも含まれる。
【0056】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、IP電話のような音声通話システム等のガイダンス制御を必要とするSIPのシステムに適用可能である。また、本発明は、音声端末に限らず、動画配信サーバのガイダンス動画への設定を端末側で行うガイダンス制御システム及び方法にも適用可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 ガイダンス制御システム
10 IMS端末
20 IMS網
21 SIPサーバ
22 ガイダンス制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末と、
前記端末に接続されるSIPサーバと、
前記SIPサーバに接続されるガイダンス制御装置とを有し、
前記端末は、SIP信号にガイダンス設定を制御するためのヘッダ部を付加し、そのヘッダ部を付加したSIP信号を前記SIPサーバに向けて送信し、
前記SIPサーバは、前記端末からの前記ヘッダ部が付加されたSIP信号に従いガイダンス指示情報を作成し、作成したガイダンス指示情報を付加したSIP信号を前記ガイダンス制御装置に送信し、
前記ガイダンス制御装置は、前記SIPサーバからの前記ガイダンス指示情報が付加されたSIP信号に従い音声データを構築し、構築した音声データを前記SIPサーバ経由で前記端末に返すことを特徴とするガイダンス制御システム。
【請求項2】
前記SIP信号は、INVITE信号であり、
前記ヘッダ部は、前記INVITE信号のRequest−URIに所定の指示文字列を付与したものであることを特徴とする請求項1に記載のガイダンス制御システム。
【請求項3】
前記端末は、IMS網に接続可能なIMS端末であり、
前記SIPサーバ及び前記ガイダンス制御装置は、前記IMS網に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載のガイダンス制御システム。
【請求項4】
SIP信号にガイダンス設定を制御するためのヘッダ部を付加し、そのヘッダ部を付加したガイダンス設定制御用ヘッダをSIPサーバに向けて送信することを特徴とする端末。
【請求項5】
端末から送られてくる、ガイダンス設定を制御するためのヘッダ部が付加されたSIP信号を受信し、受信したSIP信号に従いガイダンス指示情報を作成し、作成したガイダンス指示情報を付加したSIP信号をガイダンス制御装置に送信することを特徴とするSIPサーバ。
【請求項6】
端末は、SIP信号にガイダンス設定を制御するためのヘッダ部を付加し、そのヘッダ部を付加したSIP信号をSIPサーバに向けて送信し、
前記SIPサーバは、前記端末からの前記ヘッダ部が付加されたSIP信号に従いガイダンス指示情報を作成し、作成したガイダンス指示情報を付加したSIP信号をガイダンス制御装置に送信し、
前記ガイダンス制御装置は、前記SIPサーバからの前記ガイダンス指示情報が付加されたSIP信号に従い音声データを構築し、構築した音声データを前記SIPサーバ経由で前記端末に返すことを特徴とするガイダンス制御システムの動作方法。
【請求項7】
前記SIP信号は、INVITE信号であり、
前記ヘッダ部は、前記INVITE信号のRequest−URIに所定の指示文字列を付与したものであることを特徴とする請求項6に記載のガイダンス制御システムの動作方法。
【請求項8】
前記端末は、IMS網に接続可能なIMS端末であり、
前記SIPサーバ及び前記ガイダンス制御装置は、前記IMS網に配置されることを特徴とする請求項6又は7に記載のガイダンス制御システムの動作方法。
【請求項9】
SIP信号にガイダンス設定を制御するためのヘッダ部を付加し、
そのヘッダ部を付加したガイダンス設定制御用ヘッダをSIPサーバに向けて送信することを特徴とする端末の動作方法。
【請求項10】
端末から送られてくる、ガイダンス設定を制御するためのヘッダ部が付加されたSIP信号を受信し、
受信したSIP信号に従いガイダンス指示情報を作成し、
作成したガイダンス指示情報を付加したSIP信号をガイダンス制御装置に送信することを特徴とするSIPサーバの動作方法。
【請求項11】
コンピュータに、
SIP信号にガイダンス設定を制御するためのヘッダ部を付加するステップと、
そのヘッダ部を付加したガイダンス設定制御用ヘッダをSIPサーバに向けて送信するステップとを実行させることを特徴とする端末の動作プログラム。
【請求項12】
コンピュータに、
端末から送られてくる、ガイダンス設定を制御するためのヘッダ部が付加されたSIP信号を受信するステップと、
受信したSIP信号に従いガイダンス指示情報を作成するステップと、
作成したガイダンス指示情報を付加したSIP信号をガイダンス制御装置に送信するステップとを実行させることを特徴とするSIPサーバの動作プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−171778(P2010−171778A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12888(P2009−12888)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】