説明

ガイダンス制御システム及び方法

【課題】自由度の高いガイダンスを再生できるようにすること。
【解決手段】SIPサーバ21は、IMS端末10からの発呼信号を受信することによりガイダンスが必要か否かを判定し、ガイダンスが必要な場合にガイダンス項目を指定し、指定されたガイダンス項目に対応する情報として予め記憶されたテキストデータが存在するか否かを判定し、テキストデータが存在する場合に前記発呼信号にテキストデータを付加する。ガイダンス制御装置22は、SIPサーバ21からの発呼信号を受信することにより前記発呼信号にテキストデータが付加されているか否かを判定し、テキストデータが付加されている場合に前記テキストデータを音声データに変換し、変換した音声データをSIPサーバ21を介してIMS端末10に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発信先の端末に音声ガイダンスを提供するガイダンス制御システム及び方法に関し、特に、自由度の高い音声ガイダンスの再生が可能なガイダンス制御システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、移動通信サービスである携帯電話の普及が著しく、第3世代携帯電話(3GPP:3rd Generation Partnership Project)サービス、無線LAN(WLAN:Wireless Local Area Network)サービス等が普及している。これらの回路スイッチやパケットスイッチが異なっていた公衆通信サービスを、すべてIP(Internet Protocol)技術で統合する動きがある。このような統合によりマルチメディアサービスを実現させる通信方式として、IMS(Internet Protocol Multimedia Subsystem)がある。
【0003】
IMSは、IPベースのマルチメディアサービスを第3世代携帯電話や無線LANへアクセス網に依存せずに提供するシステムであり、IPベースのサービスの提供だけでなく公衆電話交換回線網(PSTN:Public Switched Telephone Network)やインターネットと接続し、サービスを提供することを可能としている。IMSを採用したIMS網では、制御プロトコルとして、インターネット電話で使われるSIP(Session Initiation Protocol)が用いられている。
【0004】
SIPは、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)を土台にしたテキストベースのリクエスト/レスポンス型のプロトコルであり、基本的には、クライアントがリクエストを送信し、それに対してサーバがレスポンスを応答する。
【0005】
ところで、発信先のユーザの電話機が発呼した際、例えば、着信先のユーザの電話機の電話番号の変更等の事象が発生した場合、発信先のユーザの電話機にその事実を知らせるための音声ガイダンスを提供するガイダンス装置がある。ガイダンス装置は、通常、IMS網等の回線網に存在し、断片的な音声データを保持し、これらの音声データを意味のあるガイダンスとなるように適切な順序で再生させるガイダンス制御を行う。ガイダンス制御を単一の装置に行わせると、ガイダンス制御による負荷の集中を回避することができないことから、SIPを用いたIP電話システムに対して利用可能な、ガイダンス制御による負荷を分散させるガイダンス制御システムが提案されている。
【0006】
そのようなガイダンス制御システムとして、IP端末からの呼を受信して呼制御を行うとともに、所定の音声ガイダンスを指定するガイダンス情報を生成する呼制御手段と、呼制御手段より受信したガイダンス情報を、1つ以上の音声データに対応付けられた識別子から構成される識別子情報へと変換するガイダンス制御手段と、ガイダンス制御手段より受信した識別子情報を構成する識別子に対応付けられた1つ以上の音声データを順次再生することによって、IP端末に対し所定の音声ガイダンスを提供するガイダンス手段とを備えるものが開示されている(特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2006−311206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のガイダンス制御システムは、ガイダンス制御による負荷が分散されるといえども、指定されたガイダンスコードに従い、保持している断片的な音声データを意味のあるガイダンスとなるように適切な順序で構築し、再生させる処理を行っているにすぎない。すなわち、指定されたガイダンスコードによって指示された、ガイダンス制御手段上に用意された音声データのみしか再生することができず、自由度の高い音声ガイダンスを再生することができない。
【0009】
本発明の主な課題は、自由度の高いガイダンスを再生できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の視点においては、発信先の端末に音声ガイダンスを提供するガイダンス制御システムにおいて、前記端末からの発呼信号を受信することによりガイダンスが必要か否かを判定するとともに、ガイダンスが必要な場合にガイダンス項目を指定し、指定されたガイダンス項目に対応する情報として予め記憶されたテキストデータが存在するか否かを判定し、テキストデータが存在する場合に前記発呼信号にテキストデータを付加するサーバと、前記サーバからの前記発呼信号を受信することにより前記発呼信号にテキストデータが付加されているか否かを判定するとともに、テキストデータが付加されている場合に前記テキストデータを音声データに変換し、変換した音声データを直接又は間接的に前記端末に送信するガイダンス制御装置と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の前記ガイダンス制御システムにおいて、前記サーバは、前記ガイダンス項目に対応する情報として予め記憶されたテキストデータが存在しない場合に該当するガイダンスコードを前記発呼信号に付加し、前記ガイダンス制御装置は、前記発呼信号にテキストデータが付加されていない場合に、前記発呼信号に付加されたガイダンスコードに応じて、予め保持している断片的な音声データに基づいて、意味のあるガイダンスとなるように適切な順序で音声データを構築し、構築した音声データを直接又は間接的に前記端末に送信することが好ましい。
【0012】
本発明の前記ガイダンス制御システムにおいて、前記サーバは、前記発呼信号にテキストデータを付加する際、自動的に付加することが好ましい。
【0013】
本発明の前記ガイダンス制御システムにおいて、前記サーバは、前記発呼信号にテキストデータを付加する際、前記サーバの保守者によって指定されたテキストデータを前記発呼信号に付加することが好ましい。
【0014】
本発明の第2の視点においては、発信先の端末に音声ガイダンスを提供するガイダンス制御方法において、サーバにて前記端末からの発呼信号を受信することによりガイダンスが必要か否かを判定するステップと、ガイダンスが必要な場合に前記サーバにてガイダンス項目を指定し、指定されたガイダンス項目に対応する情報として予め記憶されたテキストデータが存在するか否かを判定するステップと、テキストデータが存在する場合に前記サーバにて前記発呼信号にテキストデータを付加するステップと、ガイダンス制御装置にて前記サーバからの前記発呼信号を受信することにより前記発呼信号にテキストデータが付加されているか否かを判定するステップと、テキストデータが付加されている場合に前記ガイダンス制御装置にて前記テキストデータを音声データに変換するステップと、変換した音声データを前記ガイダンス制御装置にて直接又は間接的に前記端末に送信するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、サーバにてガイダンス判定を実施し、必要に応じてテキストデータをガイダンス制御装置に送信することで、ガイダンス制御装置にて、従来のように指定されたガイダンスコードに従い断片的な音声データを意味のある音声データに構築したガイダンスの再生に加え、テキストデータで指定されたより自由度の高い音声データよりなるガイダンスを再生することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(実施形態1)
本発明の実施形態1に係るガイダンス制御システムについて図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施形態1に係るガイダンス制御システムの構成を模式的に示したブロック図である。
【0017】
ガイダンス制御システム1は、発信先のIMS端末10に音声ガイダンスを提供するシステムである。ガイダンス制御システム1は、IMS端末10と、IMS網20と、を有する。
【0018】
IMS端末10は、IMS網20に接続可能な端末である。IMS端末10は、無線リンクによるネットワーク接続だけでなく、様々な種類のデバイスやアクセス手段をサポートする。なお、IMS端末10は、例えば、無線LANや第3世代携帯電話のように、アクセスネットワーク経由でIMS網20に接続する端末であってもよい。IMS端末10は、所定の操作に応じてプログラムに基づいて動作するコンピュータ機能を有する。IMS端末10は、IMS網20と通信可能にする機能を有し、所定の情報を記憶する機能を有し、音声を入出力する機能を有し、キー操作による押下信号を出力する機能を有し、諸機能を制御する機能を有する。
【0019】
IMS網20は、VoIP(Voice over Internet Protocol)等のIPベースのマルチメディアサービスを、第3世代携帯電話や無線LANへアクセス網に依存せずに提供するネットワークである。IMS網20は、IPベースのマルチメディアサービスの提供だけでなく、PSTNやインターネットと接続するサービスを提供することが可能なものである。IMS網20は、SIPサーバ21と、ガイダンス制御装置22と、を有する。
【0020】
SIPサーバ21は、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)を土台にしたテキストベースのリクエスト/レスポンス型のSIP(Session Initiation Protocol)を用いて動作するサーバである。SIPサーバ21は、IMS網20内の装置である。SIPサーバ21は、所定の操作に応じてプログラムに基づいて動作するコンピュータ機能を有する。SIPサーバ21は、IMS端末10及びガイダンス制御装置22と通信可能にする機能を有し、所定の情報を記憶する機能を有し、諸機能を制御する機能を有する。SIPサーバ21は、サービス判定およびガイダンス接続判定を行い、ガイダンス用のテキストデータを保持する。SIPサーバ21は、ガイダンス制御装置22とSIPを用いたSIP信号で情報のやり取りが可能である。
【0021】
ガイダンス制御装置22は、音声ガイダンスを提供するための制御を行う装置である。ガイダンス制御装置22は、IMS網20内の装置である。ガイダンス制御装置22は、所定の操作に応じてプログラムに基づいて動作するコンピュータ機能を有する。ガイダンス制御装置22は、SIPサーバ21と通信可能にする機能を有し、所定の情報を記憶する機能を有し、諸機能を制御する機能を有する。ガイダンス制御装置22は、メディアに関する機能を有する。ガイダンス制御装置22は、SIPサーバ21とSIPを用いたSIP信号で情報のやり取りが可能である。
【0022】
次に、本発明の実施形態1に係るガイダンス制御システムの動作について図面を用いて説明する。図2は、本発明の実施形態1に係るガイダンス制御システムの動作を模式的に示したシーケンス図である。図3は、本発明の実施形態1に係るガイダンス制御システムにおけるSIPサーバの動作を模式的に示したフローチャートである。図4は、本発明の実施形態1に係るガイダンス制御システムにおけるガイダンス制御装置の動作を模式的に示したフローチャートである。なお、図2では、図1の構成と同一の符番が付されており、図3、図4のフローチャートのステップの符号が付されている。
【0023】
まず、IMS端末10は、着信先のユーザの端末(図示せず)を電話(発呼)すべく、ユーザの操作によりINVITE信号をSIPサーバ21に送信する(図2のステップA1)。ここで、INVITE信号は、SIP信号の一種であり、着信先のユーザの端末を発呼するためのテキストテータ(例えば、電話番号)を含む信号(発呼信号)である。INVITE信号は、大きく分けて、ガイダンスを実施する事象を含む場合と含まない場合がある。
【0024】
次に、SIPサーバ21は、IMS端末10からのINVITE信号を受信することにより、TRYING信号をIMS端末10に送信する(図2、図3のステップB1)。ここで、TRYING信号は、SIP信号の一種であり、INVITE信号に対する暫定応答のための信号である。
【0025】
次に、IMS端末10は、SIPサーバ21からのTRYING信号を受信することにより、INVITE信号がSIPサーバ21に送達されたことを認識する(図2のステップA2)。
【0026】
ステップB1でTRYING信号を送信した後、SIPサーバ21は、IMS端末10からのINVITE信号に基づいてサービス判定を行う(図2、図3のステップB2)。サービス判定では、INVITE信号に含まれるテキストデータに基づいてサービス(例えば、電話サービス、ファックスサービス等)の種類が判定される。
【0027】
ステップB2の後、SIPサーバ21は、INVITE信号に基づいてガイダンス接続判定を行う(図2、図3のステップB3)。ガイダンス接続判定では、INVITE信号に含まれるテキストデータに基づいてガイダンス接続するか否かについて判定(言い換えるとガイダンスが必要か否かの判定、呼接続可能か否かの判定)を行う。例えば、着信先のユーザの電話機の電話番号の変更等の事象が発生した場合や、INVITE信号に含まれる電話番号に対応する電話機が存在しない場合等のように呼接続が不可能でガイダンス接続の必要性がある場合には、SIPサーバ21は、ガイダンス接続すると判定し(ステップB3のYES)、ステップB4に進む。一方、着信先のユーザの電話機に呼接続が可能でガイダンス接続の必要性がない場合は、SIPサーバ21は、ガイダンス接続しないと判定し(ステップB3のNO)、IMS端末10と着信先のユーザの電話機(図示せず)との間で通信可能にするための後処理を実行し(図3のステップB3a)、その後、終了する。
【0028】
ガイダンス接続すると判定された場合(ステップB3のYES)、SIPサーバ21は、INVITE信号に基づいてガイダンス情報判定を行う(図2、図3のステップB4)。ガイダンス情報判定では、INVITE信号に応じてガイダンス項目(着信先のユーザの電話機の電話番号の変更等の事象が発生した場合や、INVITE信号に含まれる電話番号に対応する電話機が存在しない場合等)を指定し、指定したガイダンス項目に対応する情報として予め記憶されたテキストデータが存在するか否かの判定を行う。テキストデータが存在する場合(ステップB4のYES)、SIPサーバ21は、自動的に、該当するテキストデータをINVITE信号に付加する(図3のステップB4a)。テキストデータが存在する場合として、例えば、電話番号に対応する電話機が存在しない場合の案内が考えられる。一方、テキストデータが存在しない場合(ステップB4のNO)、SIPサーバ21は、指定したガイダンス項目に対応する情報がガイダンスコードと判定し、該当するガイダンスコードをINVITE信号に付加する(図3のステップB4b)。テキストデータが存在しない場合として、例えば、変更された電話番号の案内が考えられる。ここで、SIPはテキストベースのプロトコルであるため、SIP信号の一種であるINVITE信号にテキストデータをそのまま付加することが可能である。また、INVITE信号にテキストデータとガイダンスコードの両方を付加するようにしてもよい。
【0029】
ステップB4a又はステップB4bの後、SIPサーバ21は、テキストデータ又はガイダンスコードが付加されたINVITE信号をガイダンス制御装置22に送信する(図2、図3のステップB5)。
【0030】
ステップB5の後、ガイダンス制御装置22は、SIPサーバ21からのINVITE信号(テキストデータ又はガイダンスコードが付加)を受信することにより、TRYING信号をSIPサーバ21に送信する(図2、図4のステップC1)。
【0031】
次に、SIPサーバ21は、ガイダンス制御装置22からのTRYING信号を受信することにより、INVITE信号がガイダンス制御装置22に送達されたことを認識する(図2のステップB6)。
【0032】
ステップC1でTRYING信号を送信した後、ガイダンス制御装置22は、SIPサーバ21からのINVITE信号(テキストデータ又はガイダンスコードが付加)に基づいてガイダンス判定を行う(図2、図4のステップC2)。ガイダンス判定では、INVITE信号に付加された情報がテキストデータであるか否かを判定する。テキストデータである場合(ステップC2のYES)、ガイダンス制御装置22は、予め保持している非断片的な音声データに基づいて、INVITE信号に付加されたテキストデータに対応する音声データに変換する(ステップC2a)。一方、テキストデータでない場合(ステップC2のNO)、ガイダンス制御装置22は、INVITE信号に付加されたガイダンスコードに従い、予め保持している断片的な音声データに基づいて、意味のあるガイダンスとなるように適切な順序で音声データを構築する(ステップC2b)。
【0033】
ステップC2a又はステップC2bの後、ガイダンス制御装置22は、変換又は構築された音声データをSIPサーバ21に送信する(図2、図4のステップC3)。
【0034】
ステップC3の後、SIPサーバ21は、ガイダンス制御装置22からの音声データをIMS端末10に送信する(図2、図3のステップB7)。
【0035】
ステップB7の後、IMS端末10は、SIPサーバ21からの音声データを受信することにより、当該音声データを再生することになる(図2のステップA3)。
【0036】
実施形態1によれば、SIPサーバ21にてガイダンス判定(サービス判定、ガイダンス接続判定、ガイダンス情報判定)を実施し、必要に応じてテキストデータをガイダンス制御装置22に送信することで、ガイダンス制御装置22にて、従来のように指定されたガイダンスコードに従い断片的な音声データを意味のある音声データに構築したガイダンスの再生に加え、テキストデータで指定されたより自由度の高い音声データよりなるガイダンスを再生することができるようになる。
【0037】
(実施形態2)
本発明の実施形態2に係るガイダンス制御システムについて図面を用いて説明する。図5は、本発明の実施形態2に係るガイダンス制御システムにおけるSIPサーバの動作を模式的に示したフローチャートである。
【0038】
実施形態1では、ガイダンス情報判定の際、SIPサーバ21が自動的にテキストデータを指定しているが、実施形態2では、例えば、SIPサーバ21で保守者が存在し、保守者がSIPサーバ21の操作によりテキストデータを指定する。実施形態2のSIPサーバ21は、所定の情報を表示する機能を有し、キー操作による押下信号を出力する機能を有する。その他の構成は、実施形態1と同様である。実施形態2の動作は以下の通りである。
【0039】
まず、IMS端末10は、着信先のユーザの端末(図示せず)を電話(発呼)すべく、ユーザの操作によりINVITE信号をSIPサーバ21に送信する(図2のステップA1)。
【0040】
次に、SIPサーバ21は、IMS端末10からのINVITE信号を受信することにより、TRYING信号をIMS端末10に送信する(図2、図5のステップB1)。
【0041】
次に、IMS端末10は、SIPサーバ21からのTRYING信号を受信することにより、INVITE信号がSIPサーバ21に送達されたことを認識する(図2のステップA2)。
【0042】
ステップB1でTRYING信号を送信した後、SIPサーバ21は、IMS端末10からのINVITE信号に基づいてサービス判定を行う(図2、図5のステップB2)。サービス判定では、INVITE信号に含まれるテキストデータに基づいてサービス(例えば、電話サービス、ファックスサービス等)の種類が判定される。
【0043】
ステップB2の後、SIPサーバ21は、INVITE信号に基づいてガイダンス接続判定を行う(図2、図5のステップB3)。ガイダンス接続判定では、INVITE信号に含まれるテキストデータに基づいてガイダンス接続するか否かについて判定(言い換えると呼接続可能か否かの判定)を行う。例えば、着信先のユーザの電話機の電話番号の変更等の事象が発生した場合や、INVITE信号に含まれる電話番号に対応する電話機が存在しない場合等のように呼接続が不可能でガイダンス接続の必要性がある場合には、SIPサーバ21は、ガイダンス接続すると判定し(ステップB3のYES)、ステップB4に進む。一方、着信先のユーザの電話機に呼接続が可能でガイダンス接続の必要性がない場合は、SIPサーバ21は、ガイダンス接続しないと判定し(ステップB3のNO)、IMS端末10と着信先のユーザの電話機(図示せず)との間で通信可能にするための後処理を実行し(図3のステップB3a)、その後、終了する。
【0044】
ガイダンス接続すると判定された場合(ステップB3のYES)、SIPサーバ21は、INVITE信号に基づいてガイダンス情報判定を行う(図2、図5のステップB4)。ガイダンス情報判定では、INVITE信号に応じてガイダンス項目(着信先のユーザの電話機の電話番号の変更等の事象が発生した場合や、INVITE信号に含まれる電話番号に対応する電話機が存在しない場合等)を指定し、指定したガイダンス項目に対応する情報として予め記憶されたテキストデータが存在するか否かの判定を行う。テキストデータが存在する場合(ステップB4のYES)、SIPサーバ21は、例えば、テキストデータに誤りがあるか否か判定し、テキストデータに誤りがある場合に、保守者によって指定されたテキストデータをINVITE信号に付加する(図5のステップB4a´)。一方、テキストデータが存在しない場合(ステップB4のNO)、SIPサーバ21は、指定したガイダンス項目に対応する情報がガイダンスコードと判定し、該当するガイダンスコードをINVITE信号に付加する(図5のステップB4b)。
【0045】
ステップB4a´又はステップB4bの後、SIPサーバ21は、テキストデータ又はガイダンスコードが付加されたINVITE信号をガイダンス制御装置22に送信する(図2、図5のステップB5)。
【0046】
ステップB5の後、ガイダンス制御装置22は、SIPサーバ21からのINVITE信号(テキストデータ又はガイダンスコードが付加)を受信することにより、TRYING信号をSIPサーバ21に送信する(図2、図4のステップC1)。
【0047】
次に、SIPサーバ21は、ガイダンス制御装置22からのTRYING信号を受信することにより、INVITE信号がガイダンス制御装置22に送達されたことを認識する(図2のステップB6)。
【0048】
ステップC1でTRYING信号を送信した後、ガイダンス制御装置22は、SIPサーバ21からのINVITE信号(テキストデータ又はガイダンスコードが付加)に基づいてガイダンス判定を行う(図2、図4のステップC2)。ガイダンス判定では、INVITE信号に付加された情報がテキストデータであるか否かを判定する。テキストデータである場合(ステップC2のYES)、ガイダンス制御装置22は、予め保持している非断片的な音声データに基づいて、INVITE信号に付加されたテキストデータに対応する音声データに変換する(ステップC2a)。一方、テキストデータでない場合(ステップC2のNO)、ガイダンス制御装置22は、INVITE信号に付加されたガイダンスコードに従い、予め保持している断片的な音声データに基づいて、意味のあるガイダンスとなるように適切な順序で音声データを構築する(ステップC2b)。
【0049】
ステップC2a又はステップC2bの後、ガイダンス制御装置22は、変換又は構築された音声データをSIPサーバ21に送信する(図2、図4のステップC3)。
【0050】
ステップC3の後、SIPサーバ21は、ガイダンス制御装置22からの音声データをIMS端末10に送信する(図2、図5のステップB7)。
【0051】
ステップB7の後、IMS端末10は、SIPサーバ21からの音声データを受信することにより、当該音声データを再生することになる(図2のステップA3)。
【0052】
実施形態2によれば、SIPサーバ21上の保守者が直接テキストデータを指定できることにより、より自由度が高く、柔軟性のあるガイダンスを再生することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態1に係るガイダンス制御システムの構成を模式的に示したブロック図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るガイダンス制御システムの動作を模式的に示したシーケンス図である。
【図3】本発明の実施形態1に係るガイダンス制御システムにおけるSIPサーバの動作を模式的に示したフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態1に係るガイダンス制御システムにおけるガイダンス制御装置の動作を模式的に示したフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態2に係るガイダンス制御システムにおけるSIPサーバの動作を模式的に示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
1 ガイダンス制御システム
10 IMS端末
20 IMS網
21 SIPサーバ
22 ガイダンス制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発信先の端末に音声ガイダンスを提供するガイダンス制御システムにおいて、
前記端末からの発呼信号を受信することによりガイダンスが必要か否かを判定するとともに、ガイダンスが必要な場合にガイダンス項目を指定し、指定されたガイダンス項目に対応する情報として予め記憶されたテキストデータが存在するか否かを判定し、テキストデータが存在する場合に前記発呼信号にテキストデータを付加するサーバと、
前記サーバからの前記発呼信号を受信することにより前記発呼信号にテキストデータが付加されているか否かを判定するとともに、テキストデータが付加されている場合に前記テキストデータを音声データに変換し、変換した音声データを直接又は間接的に前記端末に送信するガイダンス制御装置と、
を備えることを特徴とするガイダンス制御システム。
【請求項2】
前記サーバは、前記ガイダンス項目に対応する情報として予め記憶されたテキストデータが存在しない場合に該当するガイダンスコードを前記発呼信号に付加し、
前記ガイダンス制御装置は、前記発呼信号にテキストデータが付加されていない場合に、前記発呼信号に付加されたガイダンスコードに応じて、予め保持している断片的な音声データに基づいて、意味のあるガイダンスとなるように適切な順序で音声データを構築し、構築した音声データを直接又は間接的に前記端末に送信することを特徴とする請求項1記載のガイダンス制御システム。
【請求項3】
前記サーバは、前記発呼信号にテキストデータを付加する際、自動的に付加することを特徴とする請求項1又は2記載のガイダンス制御システム。
【請求項4】
前記サーバは、前記発呼信号にテキストデータを付加する際、前記サーバの保守者によって指定されたテキストデータを前記発呼信号に付加することを特徴とする請求項1又は2記載のガイダンス制御システム。
【請求項5】
発信先の端末に音声ガイダンスを提供するガイダンス制御方法において、
サーバにて前記端末からの発呼信号を受信することによりガイダンスが必要か否かを判定するステップと、
ガイダンスが必要な場合に前記サーバにてガイダンス項目を指定し、指定されたガイダンス項目に対応する情報として予め記憶されたテキストデータが存在するか否かを判定するステップと、
テキストデータが存在する場合に前記サーバにて前記発呼信号にテキストデータを付加するステップと、
ガイダンス制御装置にて前記サーバからの前記発呼信号を受信することにより前記発呼信号にテキストデータが付加されているか否かを判定するステップと、
テキストデータが付加されている場合に前記ガイダンス制御装置にて前記テキストデータを音声データに変換するステップと、
変換した音声データを前記ガイダンス制御装置にて直接又は間接的に前記端末に送信するステップと、
を含むことを特徴とするガイダンス制御方法。
【請求項6】
前記ガイダンス項目に対応する情報として予め記憶されたテキストデータが存在しない場合に前記サーバにて該当するガイダンスコードを前記発呼信号に付加するステップと、
前記発呼信号にテキストデータが付加されていない場合に、前記ガイダンス制御装置にて、前記発呼信号に付加されたガイダンスコードに応じて、予め保持している断片的な音声データに基づいて、意味のあるガイダンスとなるように適切な順序で音声データを構築するステップと、
構築した音声データを前記ガイダンス制御装置にて直接又は間接的に前記端末に送信するステップと、
を含むことを特徴とする請求項5記載のガイダンス制御方法。
【請求項7】
前記発呼信号にテキストデータを付加する際、自動的に付加することを特徴とする請求項5又は6記載のガイダンス制御方法。
【請求項8】
前記発呼信号にテキストデータを付加する際、前記サーバの保守者によって指定されたテキストデータを前記発呼信号に付加することを特徴とする請求項5又は6記載のガイダンス制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−258766(P2008−258766A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−96557(P2007−96557)
【出願日】平成19年4月2日(2007.4.2)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】