ガイド灯
【課題】弱視の歩行者が開口部の存在を視認する。
【解決手段】ガイド灯1は、前面に開口窓100が形成された器体10と、器体10に収納され開口窓100に向かって光を放射するLEDユニット11と、器体10の開口窓100を覆う透光部材13とを備えている。ガイド灯1は、建築物の通路2における壁面20に面した開口部3の開口縁4に、長手方向が開口縁4の一辺と平行するように取り付けられる。開口縁4に取り付けられたガイド灯1では、LEDユニット11から透光部材13に向かって光が放射される。透光部材13に放射された光は、透光部材13を透過してガイド灯1の外部を照射する。このとき、LEDユニット11の各LEDパッケージ110のパッケージ本体113や器体10の背面部101、側面部102によって、LEDチップ112からの光が通路2の壁面20を照射するのを防止している。
【解決手段】ガイド灯1は、前面に開口窓100が形成された器体10と、器体10に収納され開口窓100に向かって光を放射するLEDユニット11と、器体10の開口窓100を覆う透光部材13とを備えている。ガイド灯1は、建築物の通路2における壁面20に面した開口部3の開口縁4に、長手方向が開口縁4の一辺と平行するように取り付けられる。開口縁4に取り付けられたガイド灯1では、LEDユニット11から透光部材13に向かって光が放射される。透光部材13に放射された光は、透光部材13を透過してガイド灯1の外部を照射する。このとき、LEDユニット11の各LEDパッケージ110のパッケージ本体113や器体10の背面部101、側面部102によって、LEDチップ112からの光が通路2の壁面20を照射するのを防止している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面にある開口部の存在を明確にするためのガイド灯に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通路などの壁面には、例えばある通路から分岐する別の通路の入口やエレベータの乗降口、自動扉又は非常扉の出入口など、多数の開口部が存在する。そして、エレベータの扉の周囲、自動扉や非常扉の上方には、案内表示灯や誘導灯などが設置されていることが多い。
【0003】
ところが、弱視の歩行者は上記案内表示灯や誘導灯の文字やマークを判読することが難しく、また、上記案内表示灯や誘導灯は表示スペースの点から縦横ともに幅を持っているため、弱視の歩行者にとって、案内表示灯や誘導灯からの光を他の照明器具からの光と誤認しやすく、壁面にある開口部の存在を認識するのが困難であるという問題があった。
【0004】
上記問題を解決するために、図11に示すように、扉60の周囲に沿ってガイド灯6を取り付けるという手段が考えられる。なお、特許文献1にも、通路奥にある扉の周囲に設けられた照明器具が開示されている。
【特許文献1】特開2005−342222号公報(段落0018及び図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のガイド灯6は、図11に示すように、通路2の壁面20ではなく、通路2から奥まった位置にある扉60の周囲に沿って取り付けられているため、通路2にいる弱視の歩行者5にとってガイド灯6からの光が見えにくいという問題があった。
【0006】
また、図12に示すように、従来のガイド灯6は、光源61から前方に光を放射するだけでなく、光源61から壁面20にも光を照射してしまうため、光源61からの光が線状ではなく幅の広い光となってしまう。また、弱視の歩行者5にとっては、従来のガイド灯6の周囲の壁面20が明るすぎるため、ハレーションを起こしたように見えたり、白濁して見えたりもする。その結果、弱視の歩行者5にとって、ガイド灯6からの光を他の照明器具からの光と区別することが難しかった。
【0007】
上記より、従来のガイド灯6を扉60の周囲に取り付けても、弱視の歩行者5にとって、依然として開口部の存在を認識するのが困難であるという問題があった。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みて為されたものであり、その目的は、弱視の歩行者が開口部の存在を視認することができるガイド灯を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、一の方向を長手方向とし照射光を外部に放射する灯具を備え、前記灯具は、前記一の方向が壁面に面する開口部の開口縁の一辺と平行するように当該開口縁の一辺に沿って取り付けられ、前記照射光による自己が取り付けられた壁面への照射を防止する第1の配光制御手段を有することを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記灯具は、前記壁面に取り付けられたときに当該壁面と対向する背面部と前記背面部の左右側縁から前方に突出して設けられた1対の側面部とを有し前面に開口窓が形成された器体と、前記器体に収納され前記開口窓に向かって光を放射する発光部と、前記一の方向と直交する面において前記発光部と前記開口窓の両縁とを結ぶ2つの直線でなす角度より前記開口窓から外部に前記照射光として放射される光の広がり角を広げる第2の配光制御手段とを有することを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記灯具は、前記一の方向に離隔して設けられ前記照射光を放射する複数の点光源を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、灯具からの照射光が壁面に照射するのを防止することができるので、上記照射光が壁面の開口部の開口縁に沿った線状の光となり、上記開口部の輪郭を明確にすることができ、その結果、弱視の歩行者は上記開口部の存在を視認することができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、発光部からの照射光を広範囲に照射することができるので、弱視の歩行者は開口部の存在を広範囲から視認することができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、点光源の前面では明るく、点光源間の前面では点光源の前面より暗くなり、照射光の明暗を一の方向に沿って繰り返すことができるので、例えば照明負荷など他の光源と容易に区別して認識することができ、弱視の歩行者の視認性をさらに向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(実施形態1)
まず、実施形態1のガイド灯1の構成について図1,2を用いて説明する。このガイド灯1は、図1に示すように、前面に開口窓100が形成された器体10と、器体10に収納され開口窓100に向かって照射光を放射するLEDユニット11と、LEDユニット11に電源を供給する電源ユニット12と、器体10の開口窓100を覆う透光部材13とを備えている。
【0016】
器体10は、前面に開口窓100が形成された細長い箱状のものであり(図2参照)、長方形状の背面部101と、背面部101の長手方向(図1の手前から奥方向)に沿った両側縁(左右側縁)のそれぞれから前方に延設された長方形状の側面部102,102と、背面部101の短手方向に沿った両側縁(上下側縁)から背面部101の前方に延設された長方形状の側面部103,103(図2参照)とを一体に備えている。
【0017】
LEDユニット11は、複数個のLEDパッケージ110と、これらのLEDパッケージ110が一の方向(図1の手前から奥方向)に並んで実装される実装基板111とから構成される。各LEDパッケージ110は、LEDチップ112と、LEDチップ112の底面及び側面を覆うパッケージ本体113とから構成される。
【0018】
各LEDチップ112から放射された光の集合は細長い光となり、前方(透光部材13の方向)を照射する。一方、パッケージ本体113によって左右方向から背面方向の範囲には光が放射されない。また、各LEDチップ112からの光は、弱視の歩行者5が認識しやすいように点滅ではなく連続的に発光される。さらに、各LEDチップ112からの光は信号性や意味性を排除し、わかりやすくするために、発光色が白色又は電球色である。なお、単色であれば、色弱の歩行者5も視認しやすい緑色であってもよい。
【0019】
電源ユニット12は、LEDユニット11と電気的に接続し、LEDユニット11とともに器体10に収納されている。なお、電源ユニット12は、器体10の薄型化のために器体10に収納されるのではなく、器体10とは別に設けられる構成であってもよい。
【0020】
透光部材13は、板状に形成されたカバーであり、空気よりも屈折率が大きく、器体10にLEDユニット11及び電源ユニット12が収納された状態で開口窓100を覆うように取り付けられている。
【0021】
次に、本実施形態のガイド灯1の使用方法について図3,4を用いて説明する。まず、図3に示すように、建築物の通路2における壁面20に面した開口部3の開口縁4(開口部3の稜線近傍)に、ガイド灯1が、長手方向が壁面20に面する開口部3の開口縁4の一辺と平行するように上記開口縁4の一辺に沿って取り付けられる。本実施形態では、開口縁4の左縁、右縁及び上縁にそれぞれガイド灯1が取り付けられる。ここで、開口部3とは、例えば通路2から分岐された新たな通路21の入口やエレベータの乗降口、自動扉又は非常扉の出入口などをいう。開口縁4に取り付けられたガイド灯1では、LEDユニット11(図1参照)から透光部材13(図1参照)に向かって光が放射される。透光部材13に放射された光は、透光部材13を透過してガイド灯1の外部を照射する。このとき、図1に示す各LEDパッケージ110のパッケージ本体113や器体10の背面部101、側面部102,103によって、LEDチップ112からの光が通路2の壁面20を照射するのを防止している。つまり、本実施形態では、パッケージ本体113や器体10の背面部101、側面部102,103が第1の配光制御手段となり、LEDチップ112からの光がガイド灯1の取付面である壁面20に配光しない構造である。
【0022】
上記のように、開口縁4にガイド灯1が取り付けられると、図4に示すように、歩行者5が通路2のどの方向から来ても、ガイド灯1からの光が放射されているのを視認することによって、視認した光の位置に開口部3があることを認識することができる。また、通路21から来た歩行者5も、ガイド灯1のある方向に通路2が展開していると判断することができる。
【0023】
以上、本実施形態によれば、図1に示すように、LEDユニット11のLEDチップ112からの照射光が壁面20に照射することを防止するため、上記照射光が壁面20の開口部3の開口縁4に沿った線状の光となり、上記開口部3の輪郭を明確にすることができるので、通路2にいる弱視の歩行者5(図4参照)は他の照明器具からの光と誤認することなく上記開口部3の存在を視認することができる。
【0024】
また、病院などでは通路2の床のうち壁面20との境界付近に線状のマーカー線が加えられることによって、上記境界付近と他の場所とでコントラストを変えて弱視の歩行者5のガイドとしているが、上記マーカー線に交差する形で開口縁4を光で強調することによって、空間として認識しやすくなる。
【0025】
(実施形態2)
実施形態2のガイド灯1aは、図5に示すように、LEDユニット11に代えて蛍光灯(例えば直管型)14を備えている点で、実施形態1のガイド灯1(図1参照)と相違している。蛍光灯14からは全方向に光が放射されるが、器体10の背面部101及び側面部102によって、蛍光灯14からの光が壁面20を照射するのを防止することができる。つまり、器体10の背面部101及び側面部102が第1の配光制御手段となる。
【0026】
以上、本実施形態によれば、蛍光灯14を用いた場合であっても、実施形態1と同様に、壁面20の開口部3の輪郭を明確にすることができるので、通路2にいる弱視の歩行者5(図4参照)は開口部3の存在を視認することができる。
【0027】
(実施形態3)
実施形態3のガイド灯1bは、図6に示すように、LEDユニット11が壁面20に直接取り付けられている点で、実施形態1のガイド灯1(図1参照)と相違している。なお、実施形態1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0028】
本実施形態のLEDユニット11も、実施形態1と同様に、LEDチップ112からの光は前方に照射される。つまり、パッケージ本体113によって左右方向から背面方向の範囲には光が放射されない。
【0029】
以上、本実施形態によれば、LEDユニット11が壁面20に直接取り付けられた場合であっても、実施形態1と同様に、壁面20の開口部3の輪郭を明確にすることができるので、通路2にいる弱視の歩行者5(図4参照)は開口部3の存在を視認することができる。
【0030】
(実施形態4)
ところで、図4に示すように、通路2に開口部3があった場合、あらゆる方向から歩行者5が近づいてくるため、壁面20と平行する方向にもなるべく多くの光が放射されるほうがよい。
【0031】
そこで、実施形態4のガイド灯1は、図1に示す実施形態1のガイド灯1と同様の外観であるが、透光部材13を乳白拡散パネルとしている。なお、実施形態1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0032】
本実施形態のガイド灯1では、LEDチップ112からの光が乳白拡散パネルによって拡散して外部の広範囲に放射される。また、透光部材13aを乳白拡散パネルとしているため、歩行者5からは透光部材13aが擬似的に光源のように見える。
【0033】
以上、本実施形態によれば、透光部材13として乳白拡散パネルを用いることによって、発光部であるLEDチップ112からの照射光を広範囲に照射することができるので、通路2にいる弱視の歩行者5(図4参照)は開口部3の存在を広範囲から視認することができる。
【0034】
(実施形態5)
実施形態5のガイド灯1cは、図7に示すように、器体10内部の前面側(透光部材13側)に透光性充填剤15がLEDユニット11を覆うように充填されている点で、実施形態1のガイド灯1(図1参照)と相違している。なお、実施形態1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0035】
透光性充填剤15は、例えばシリコーン樹脂などであり、透光部材13よりも屈折率が大きいものである。また、透光性充填剤15は、空気よりも比重が重い。
【0036】
次に、本実施形態のガイド灯1cからの照射光の光路について図7を用いて説明する。LEDチップ112から前方真っ直ぐに放射された光a1は、器体10内部に充填された透光性充填剤15内を進み、透光部材13に入射するときも、透光部材13から外部に出射するときも入射角が小さいので、大きく屈折することがなく、そのまま透光部材13から前方真っ直ぐに出射される。
【0037】
一方、LEDチップ112から斜め前方に放射された光a2は、透光性充填剤15内を進み、透光部材13に入射する。このとき、透光部材13の入射面において、透光性充填剤15の屈折率が透光部材13の屈折率より大きいため、光a2の出射角は入射角よりも大きくなる。そして、透光部材13の出射面において、透光部材13の屈折率が空気の屈折率より大きいため、光a2の出射角は入射角よりも大きくなる。上記より、透光性充填剤15によって、開口窓100(透光部材13)から外部に照射光として放射される光の広がり角は、LEDチップ112と開口窓100の両縁とを結ぶ2つの直線でなす角度より広げることができる。
【0038】
以上、本実施形態によれば、LEDユニット11と透光部材13の間が透光性充填剤15で充填されることによって、発光部であるLEDチップ112からの光を広範囲に照射することができるので、通路2にいる弱視の歩行者5(図4参照)は開口部3の存在を広範囲から視認することができる。
【0039】
(実施形態6)
実施形態6のガイド灯1dは、図8に示すように、透光部材13に代えてプリズム16を備えている点で、実施形態1のガイド灯1(図1参照)と相違している。なお、実施形態1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
プリズム16は、入射面160が平面である一方、出射面161は、中央部162が平面であり、中央部162の両側にそれぞれ複数の凸部163が形成されている。各凸部163は、入射面160と直交する方向に沿う面164と、端縁側にいくほど入射面160側に傾斜する傾斜面165とから構成されている。
【0041】
次に、本実施形態のガイド灯1dからの照射光の光路について図8を用いて説明する。まず、LEDチップ112から前方真っ直ぐに放射された光b1は、入射面160に直交して入射されるので、入射面160で大きく屈折することなく、また、出射面161も平面であるため、出射面161でも大きく屈折することがない。したがって、光b1は、出射面161と直交する方向に放射される。
【0042】
一方、LEDチップ112から斜め前方に放射された光b2は、プリズム16に入射し、出射面161の傾斜面165において、透光部材13(図1参照)の場合(出射面が平面である場合)よりさらに広がり角が広がるように屈折して外部に放射される。したがって、プリズム16によって、開口窓100(プリズム16)から外部に照射光として放射される光の広がり角は、LEDチップ112と開口窓100の両縁とを結ぶ2つの直線でなす角度より広げることができる。
【0043】
以上、本実施形態によれば、透光部材13に代えてプリズム16を用いることによって、発光部であるLEDチップ112からの光を広範囲に照射することができるので、通路2にいる弱視の歩行者5(図4参照)は開口部3の存在を広範囲から視認することができる。
【0044】
(実施形態7)
実施形態7のガイド灯1eは、図9に示すように、透光部材13に代えて前方(外側)に凸状の透光部材13aを備える点で、実施形態1のガイド灯1(図1参照)と相違している。なお、実施形態1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0045】
LEDチップ112から斜め前方に放射された光は、実施形態6と同様に、凸状の透光部材13aで屈折し、透光部材13(図1参照)の場合よりも広がり角を広げて外部に放射される。
【0046】
また、透光部材13aが開口窓100から前方に突出して設けられていることから、長手方向(図9の手前から奥方向)と直交する面において、図9に示すように透光部材13aの右面130から前方側に延びた延長線A1より左側の通路2にいる歩行者5から見ることができる透光部材13aの面積(歩行者5の視点からの水平見込角ω1)は、板状の透光部材13(図1参照)を用いた場合の面積(水平見込角ω2)に比べて大きくなる。その結果、歩行者5の視認性をさらに高めることができる。同様に、透光部材13aの左面131の延長線A2より右側の通路2にいる歩行者から見ることができる透光部材13aの面積も大きくなり、その結果、歩行者5の視認性をさらに高めることができる。
【0047】
以上、本実施形態によれば、凸状の透光部材13aを備えることによって、発光部であるLEDチップ112からの光を広範囲に照射することができるので、通路2にいる弱視の歩行者5(図4参照)は開口部3の存在を広範囲から視認することができる。
【0048】
なお、実施形態7の変形例として、透光部材13aを乳白色としてもよい。このようにすると、LEDチップ112からの光が透光部材13aで拡散するため、歩行者5からは透光部材13aが擬似的に光源のように見える。そして、透光部材13aが開口窓100よりも前方に突出して設けられているので、上記のように擬似的に光源と見える面積も大きくなり、歩行者5は遠方からでも視認することができる。
【0049】
(実施形態8)
実施形態8のガイド灯1fは、図10に示すように、LEDユニット11aとして、複数のLEDパッケージ110が離隔して実装基板111に実装されたものを備える点で、実施形態1のガイド灯1(図1参照)と相違している。つまり、LEDユニット11aには、LEDパッケージ110が規則的に直線状に配列されている。上方からの断面図は実施形態1のガイド灯1(図1参照)と同様である。なお、実施形態1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0050】
本実施形態のように、複数のLEDパッケージ110の配列に規則性を持たせることによって、歩行者5に対して、他の光源と誤認させることなく、開口部3の存在を把握させるための光と認識させることができる。
【0051】
以上、本実施形態によれば、点光源である各LEDパッケージ110の前面では明るく、隣接する2つのLEDパッケージ110,110間の前面ではLEDパッケージ110の前面より暗くなり、照射光の明暗を一の方向(開口縁4の一辺)に沿って繰り返すことができるので、例えば照明負荷など他の光源と容易に区別して認識することができ、弱視の歩行者5(図4参照)の視認性をさらに向上させることができる。
【0052】
また、点光源である各LEDパッケージ110を線状(一の方向)に並べることにより、少ない光量で線状のガイド用の光を形成することができる。
【0053】
なお、透光部材13として半乳白拡散パネルやプリズムを使用し、LEDユニット11aからの光の輝度を完全に分散しない程度に拡散させる(屈折させる)ことによって、歩行者5にとって眩しくならないように輝度を調節することができる。
【0054】
また、実施形態8の変形例として、実施形態3〜7のようなガイド灯1b〜1eに実施形態8のLEDユニット11aを用いたものであってもよい。このような構成のガイド灯であっても、実施形態8と同様の効果を奏する。
【0055】
なお、実施形態1〜8のガイド灯1,1a〜1fは、発光面が露出するように壁面20に埋め込まれた状態で用いても構わない。このように取り付けられると、ガイド灯1,1a〜1fが壁面20から突出しないので、歩行者5にとって邪魔にならないようにすることができる。
【0056】
実施形態1の変形例として、LEDチップ112から器体10の側面部102,102方向に放射された光を反射させ、その光を開口窓100(透光部材13)を介して外部に放射させるような反射板を器体10に収納してもよい。このような構成にすると、LEDチップ112から側面部102,102方向に放射された光も照射光として開口窓100(透光部材13)から外部に放射させることができるとともに、上記外部に放射される光の広がり角を、LEDチップ112と開口窓100の両縁とを結ぶ2つの直線でなす角度より広げることができる。その結果、発光部であるLEDチップ112からの光を広範囲に照射することができるので、通路2にいる弱視の歩行者5は開口部3の存在を広範囲から視認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施形態1のガイド灯の断面図である。
【図2】同上のガイド灯の外観図である。
【図3】同上のガイド灯の使用状態を示す図である。
【図4】同上のガイド灯の使用状態を示す図である。
【図5】実施形態2のガイド灯の断面図である。
【図6】実施形態3のガイド灯の断面図である。
【図7】実施形態5のガイド灯の断面図である。
【図8】実施形態6のガイド灯の断面図である。
【図9】実施形態7のガイド灯の断面図である。
【図10】実施形態8のガイド灯のLEDユニットを示す図である。
【図11】従来例のガイド灯の使用状態を示す図である。
【図12】同上のガイド灯の断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1,1a〜1f ガイド灯
10 器体
100 開口窓
101 背面部
102,103 側面部
11,11a LEDユニット
110 LEDパッケージ
112 LEDチップ
113 パッケージ本体
12 電源ユニット
13,13a 透光部材
15 透光性充填剤
16 プリズム
2 通路
20 壁面
3 開口部
4 開口縁
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面にある開口部の存在を明確にするためのガイド灯に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通路などの壁面には、例えばある通路から分岐する別の通路の入口やエレベータの乗降口、自動扉又は非常扉の出入口など、多数の開口部が存在する。そして、エレベータの扉の周囲、自動扉や非常扉の上方には、案内表示灯や誘導灯などが設置されていることが多い。
【0003】
ところが、弱視の歩行者は上記案内表示灯や誘導灯の文字やマークを判読することが難しく、また、上記案内表示灯や誘導灯は表示スペースの点から縦横ともに幅を持っているため、弱視の歩行者にとって、案内表示灯や誘導灯からの光を他の照明器具からの光と誤認しやすく、壁面にある開口部の存在を認識するのが困難であるという問題があった。
【0004】
上記問題を解決するために、図11に示すように、扉60の周囲に沿ってガイド灯6を取り付けるという手段が考えられる。なお、特許文献1にも、通路奥にある扉の周囲に設けられた照明器具が開示されている。
【特許文献1】特開2005−342222号公報(段落0018及び図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のガイド灯6は、図11に示すように、通路2の壁面20ではなく、通路2から奥まった位置にある扉60の周囲に沿って取り付けられているため、通路2にいる弱視の歩行者5にとってガイド灯6からの光が見えにくいという問題があった。
【0006】
また、図12に示すように、従来のガイド灯6は、光源61から前方に光を放射するだけでなく、光源61から壁面20にも光を照射してしまうため、光源61からの光が線状ではなく幅の広い光となってしまう。また、弱視の歩行者5にとっては、従来のガイド灯6の周囲の壁面20が明るすぎるため、ハレーションを起こしたように見えたり、白濁して見えたりもする。その結果、弱視の歩行者5にとって、ガイド灯6からの光を他の照明器具からの光と区別することが難しかった。
【0007】
上記より、従来のガイド灯6を扉60の周囲に取り付けても、弱視の歩行者5にとって、依然として開口部の存在を認識するのが困難であるという問題があった。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みて為されたものであり、その目的は、弱視の歩行者が開口部の存在を視認することができるガイド灯を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、一の方向を長手方向とし照射光を外部に放射する灯具を備え、前記灯具は、前記一の方向が壁面に面する開口部の開口縁の一辺と平行するように当該開口縁の一辺に沿って取り付けられ、前記照射光による自己が取り付けられた壁面への照射を防止する第1の配光制御手段を有することを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記灯具は、前記壁面に取り付けられたときに当該壁面と対向する背面部と前記背面部の左右側縁から前方に突出して設けられた1対の側面部とを有し前面に開口窓が形成された器体と、前記器体に収納され前記開口窓に向かって光を放射する発光部と、前記一の方向と直交する面において前記発光部と前記開口窓の両縁とを結ぶ2つの直線でなす角度より前記開口窓から外部に前記照射光として放射される光の広がり角を広げる第2の配光制御手段とを有することを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記灯具は、前記一の方向に離隔して設けられ前記照射光を放射する複数の点光源を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、灯具からの照射光が壁面に照射するのを防止することができるので、上記照射光が壁面の開口部の開口縁に沿った線状の光となり、上記開口部の輪郭を明確にすることができ、その結果、弱視の歩行者は上記開口部の存在を視認することができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、発光部からの照射光を広範囲に照射することができるので、弱視の歩行者は開口部の存在を広範囲から視認することができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、点光源の前面では明るく、点光源間の前面では点光源の前面より暗くなり、照射光の明暗を一の方向に沿って繰り返すことができるので、例えば照明負荷など他の光源と容易に区別して認識することができ、弱視の歩行者の視認性をさらに向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(実施形態1)
まず、実施形態1のガイド灯1の構成について図1,2を用いて説明する。このガイド灯1は、図1に示すように、前面に開口窓100が形成された器体10と、器体10に収納され開口窓100に向かって照射光を放射するLEDユニット11と、LEDユニット11に電源を供給する電源ユニット12と、器体10の開口窓100を覆う透光部材13とを備えている。
【0016】
器体10は、前面に開口窓100が形成された細長い箱状のものであり(図2参照)、長方形状の背面部101と、背面部101の長手方向(図1の手前から奥方向)に沿った両側縁(左右側縁)のそれぞれから前方に延設された長方形状の側面部102,102と、背面部101の短手方向に沿った両側縁(上下側縁)から背面部101の前方に延設された長方形状の側面部103,103(図2参照)とを一体に備えている。
【0017】
LEDユニット11は、複数個のLEDパッケージ110と、これらのLEDパッケージ110が一の方向(図1の手前から奥方向)に並んで実装される実装基板111とから構成される。各LEDパッケージ110は、LEDチップ112と、LEDチップ112の底面及び側面を覆うパッケージ本体113とから構成される。
【0018】
各LEDチップ112から放射された光の集合は細長い光となり、前方(透光部材13の方向)を照射する。一方、パッケージ本体113によって左右方向から背面方向の範囲には光が放射されない。また、各LEDチップ112からの光は、弱視の歩行者5が認識しやすいように点滅ではなく連続的に発光される。さらに、各LEDチップ112からの光は信号性や意味性を排除し、わかりやすくするために、発光色が白色又は電球色である。なお、単色であれば、色弱の歩行者5も視認しやすい緑色であってもよい。
【0019】
電源ユニット12は、LEDユニット11と電気的に接続し、LEDユニット11とともに器体10に収納されている。なお、電源ユニット12は、器体10の薄型化のために器体10に収納されるのではなく、器体10とは別に設けられる構成であってもよい。
【0020】
透光部材13は、板状に形成されたカバーであり、空気よりも屈折率が大きく、器体10にLEDユニット11及び電源ユニット12が収納された状態で開口窓100を覆うように取り付けられている。
【0021】
次に、本実施形態のガイド灯1の使用方法について図3,4を用いて説明する。まず、図3に示すように、建築物の通路2における壁面20に面した開口部3の開口縁4(開口部3の稜線近傍)に、ガイド灯1が、長手方向が壁面20に面する開口部3の開口縁4の一辺と平行するように上記開口縁4の一辺に沿って取り付けられる。本実施形態では、開口縁4の左縁、右縁及び上縁にそれぞれガイド灯1が取り付けられる。ここで、開口部3とは、例えば通路2から分岐された新たな通路21の入口やエレベータの乗降口、自動扉又は非常扉の出入口などをいう。開口縁4に取り付けられたガイド灯1では、LEDユニット11(図1参照)から透光部材13(図1参照)に向かって光が放射される。透光部材13に放射された光は、透光部材13を透過してガイド灯1の外部を照射する。このとき、図1に示す各LEDパッケージ110のパッケージ本体113や器体10の背面部101、側面部102,103によって、LEDチップ112からの光が通路2の壁面20を照射するのを防止している。つまり、本実施形態では、パッケージ本体113や器体10の背面部101、側面部102,103が第1の配光制御手段となり、LEDチップ112からの光がガイド灯1の取付面である壁面20に配光しない構造である。
【0022】
上記のように、開口縁4にガイド灯1が取り付けられると、図4に示すように、歩行者5が通路2のどの方向から来ても、ガイド灯1からの光が放射されているのを視認することによって、視認した光の位置に開口部3があることを認識することができる。また、通路21から来た歩行者5も、ガイド灯1のある方向に通路2が展開していると判断することができる。
【0023】
以上、本実施形態によれば、図1に示すように、LEDユニット11のLEDチップ112からの照射光が壁面20に照射することを防止するため、上記照射光が壁面20の開口部3の開口縁4に沿った線状の光となり、上記開口部3の輪郭を明確にすることができるので、通路2にいる弱視の歩行者5(図4参照)は他の照明器具からの光と誤認することなく上記開口部3の存在を視認することができる。
【0024】
また、病院などでは通路2の床のうち壁面20との境界付近に線状のマーカー線が加えられることによって、上記境界付近と他の場所とでコントラストを変えて弱視の歩行者5のガイドとしているが、上記マーカー線に交差する形で開口縁4を光で強調することによって、空間として認識しやすくなる。
【0025】
(実施形態2)
実施形態2のガイド灯1aは、図5に示すように、LEDユニット11に代えて蛍光灯(例えば直管型)14を備えている点で、実施形態1のガイド灯1(図1参照)と相違している。蛍光灯14からは全方向に光が放射されるが、器体10の背面部101及び側面部102によって、蛍光灯14からの光が壁面20を照射するのを防止することができる。つまり、器体10の背面部101及び側面部102が第1の配光制御手段となる。
【0026】
以上、本実施形態によれば、蛍光灯14を用いた場合であっても、実施形態1と同様に、壁面20の開口部3の輪郭を明確にすることができるので、通路2にいる弱視の歩行者5(図4参照)は開口部3の存在を視認することができる。
【0027】
(実施形態3)
実施形態3のガイド灯1bは、図6に示すように、LEDユニット11が壁面20に直接取り付けられている点で、実施形態1のガイド灯1(図1参照)と相違している。なお、実施形態1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0028】
本実施形態のLEDユニット11も、実施形態1と同様に、LEDチップ112からの光は前方に照射される。つまり、パッケージ本体113によって左右方向から背面方向の範囲には光が放射されない。
【0029】
以上、本実施形態によれば、LEDユニット11が壁面20に直接取り付けられた場合であっても、実施形態1と同様に、壁面20の開口部3の輪郭を明確にすることができるので、通路2にいる弱視の歩行者5(図4参照)は開口部3の存在を視認することができる。
【0030】
(実施形態4)
ところで、図4に示すように、通路2に開口部3があった場合、あらゆる方向から歩行者5が近づいてくるため、壁面20と平行する方向にもなるべく多くの光が放射されるほうがよい。
【0031】
そこで、実施形態4のガイド灯1は、図1に示す実施形態1のガイド灯1と同様の外観であるが、透光部材13を乳白拡散パネルとしている。なお、実施形態1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0032】
本実施形態のガイド灯1では、LEDチップ112からの光が乳白拡散パネルによって拡散して外部の広範囲に放射される。また、透光部材13aを乳白拡散パネルとしているため、歩行者5からは透光部材13aが擬似的に光源のように見える。
【0033】
以上、本実施形態によれば、透光部材13として乳白拡散パネルを用いることによって、発光部であるLEDチップ112からの照射光を広範囲に照射することができるので、通路2にいる弱視の歩行者5(図4参照)は開口部3の存在を広範囲から視認することができる。
【0034】
(実施形態5)
実施形態5のガイド灯1cは、図7に示すように、器体10内部の前面側(透光部材13側)に透光性充填剤15がLEDユニット11を覆うように充填されている点で、実施形態1のガイド灯1(図1参照)と相違している。なお、実施形態1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0035】
透光性充填剤15は、例えばシリコーン樹脂などであり、透光部材13よりも屈折率が大きいものである。また、透光性充填剤15は、空気よりも比重が重い。
【0036】
次に、本実施形態のガイド灯1cからの照射光の光路について図7を用いて説明する。LEDチップ112から前方真っ直ぐに放射された光a1は、器体10内部に充填された透光性充填剤15内を進み、透光部材13に入射するときも、透光部材13から外部に出射するときも入射角が小さいので、大きく屈折することがなく、そのまま透光部材13から前方真っ直ぐに出射される。
【0037】
一方、LEDチップ112から斜め前方に放射された光a2は、透光性充填剤15内を進み、透光部材13に入射する。このとき、透光部材13の入射面において、透光性充填剤15の屈折率が透光部材13の屈折率より大きいため、光a2の出射角は入射角よりも大きくなる。そして、透光部材13の出射面において、透光部材13の屈折率が空気の屈折率より大きいため、光a2の出射角は入射角よりも大きくなる。上記より、透光性充填剤15によって、開口窓100(透光部材13)から外部に照射光として放射される光の広がり角は、LEDチップ112と開口窓100の両縁とを結ぶ2つの直線でなす角度より広げることができる。
【0038】
以上、本実施形態によれば、LEDユニット11と透光部材13の間が透光性充填剤15で充填されることによって、発光部であるLEDチップ112からの光を広範囲に照射することができるので、通路2にいる弱視の歩行者5(図4参照)は開口部3の存在を広範囲から視認することができる。
【0039】
(実施形態6)
実施形態6のガイド灯1dは、図8に示すように、透光部材13に代えてプリズム16を備えている点で、実施形態1のガイド灯1(図1参照)と相違している。なお、実施形態1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
プリズム16は、入射面160が平面である一方、出射面161は、中央部162が平面であり、中央部162の両側にそれぞれ複数の凸部163が形成されている。各凸部163は、入射面160と直交する方向に沿う面164と、端縁側にいくほど入射面160側に傾斜する傾斜面165とから構成されている。
【0041】
次に、本実施形態のガイド灯1dからの照射光の光路について図8を用いて説明する。まず、LEDチップ112から前方真っ直ぐに放射された光b1は、入射面160に直交して入射されるので、入射面160で大きく屈折することなく、また、出射面161も平面であるため、出射面161でも大きく屈折することがない。したがって、光b1は、出射面161と直交する方向に放射される。
【0042】
一方、LEDチップ112から斜め前方に放射された光b2は、プリズム16に入射し、出射面161の傾斜面165において、透光部材13(図1参照)の場合(出射面が平面である場合)よりさらに広がり角が広がるように屈折して外部に放射される。したがって、プリズム16によって、開口窓100(プリズム16)から外部に照射光として放射される光の広がり角は、LEDチップ112と開口窓100の両縁とを結ぶ2つの直線でなす角度より広げることができる。
【0043】
以上、本実施形態によれば、透光部材13に代えてプリズム16を用いることによって、発光部であるLEDチップ112からの光を広範囲に照射することができるので、通路2にいる弱視の歩行者5(図4参照)は開口部3の存在を広範囲から視認することができる。
【0044】
(実施形態7)
実施形態7のガイド灯1eは、図9に示すように、透光部材13に代えて前方(外側)に凸状の透光部材13aを備える点で、実施形態1のガイド灯1(図1参照)と相違している。なお、実施形態1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0045】
LEDチップ112から斜め前方に放射された光は、実施形態6と同様に、凸状の透光部材13aで屈折し、透光部材13(図1参照)の場合よりも広がり角を広げて外部に放射される。
【0046】
また、透光部材13aが開口窓100から前方に突出して設けられていることから、長手方向(図9の手前から奥方向)と直交する面において、図9に示すように透光部材13aの右面130から前方側に延びた延長線A1より左側の通路2にいる歩行者5から見ることができる透光部材13aの面積(歩行者5の視点からの水平見込角ω1)は、板状の透光部材13(図1参照)を用いた場合の面積(水平見込角ω2)に比べて大きくなる。その結果、歩行者5の視認性をさらに高めることができる。同様に、透光部材13aの左面131の延長線A2より右側の通路2にいる歩行者から見ることができる透光部材13aの面積も大きくなり、その結果、歩行者5の視認性をさらに高めることができる。
【0047】
以上、本実施形態によれば、凸状の透光部材13aを備えることによって、発光部であるLEDチップ112からの光を広範囲に照射することができるので、通路2にいる弱視の歩行者5(図4参照)は開口部3の存在を広範囲から視認することができる。
【0048】
なお、実施形態7の変形例として、透光部材13aを乳白色としてもよい。このようにすると、LEDチップ112からの光が透光部材13aで拡散するため、歩行者5からは透光部材13aが擬似的に光源のように見える。そして、透光部材13aが開口窓100よりも前方に突出して設けられているので、上記のように擬似的に光源と見える面積も大きくなり、歩行者5は遠方からでも視認することができる。
【0049】
(実施形態8)
実施形態8のガイド灯1fは、図10に示すように、LEDユニット11aとして、複数のLEDパッケージ110が離隔して実装基板111に実装されたものを備える点で、実施形態1のガイド灯1(図1参照)と相違している。つまり、LEDユニット11aには、LEDパッケージ110が規則的に直線状に配列されている。上方からの断面図は実施形態1のガイド灯1(図1参照)と同様である。なお、実施形態1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0050】
本実施形態のように、複数のLEDパッケージ110の配列に規則性を持たせることによって、歩行者5に対して、他の光源と誤認させることなく、開口部3の存在を把握させるための光と認識させることができる。
【0051】
以上、本実施形態によれば、点光源である各LEDパッケージ110の前面では明るく、隣接する2つのLEDパッケージ110,110間の前面ではLEDパッケージ110の前面より暗くなり、照射光の明暗を一の方向(開口縁4の一辺)に沿って繰り返すことができるので、例えば照明負荷など他の光源と容易に区別して認識することができ、弱視の歩行者5(図4参照)の視認性をさらに向上させることができる。
【0052】
また、点光源である各LEDパッケージ110を線状(一の方向)に並べることにより、少ない光量で線状のガイド用の光を形成することができる。
【0053】
なお、透光部材13として半乳白拡散パネルやプリズムを使用し、LEDユニット11aからの光の輝度を完全に分散しない程度に拡散させる(屈折させる)ことによって、歩行者5にとって眩しくならないように輝度を調節することができる。
【0054】
また、実施形態8の変形例として、実施形態3〜7のようなガイド灯1b〜1eに実施形態8のLEDユニット11aを用いたものであってもよい。このような構成のガイド灯であっても、実施形態8と同様の効果を奏する。
【0055】
なお、実施形態1〜8のガイド灯1,1a〜1fは、発光面が露出するように壁面20に埋め込まれた状態で用いても構わない。このように取り付けられると、ガイド灯1,1a〜1fが壁面20から突出しないので、歩行者5にとって邪魔にならないようにすることができる。
【0056】
実施形態1の変形例として、LEDチップ112から器体10の側面部102,102方向に放射された光を反射させ、その光を開口窓100(透光部材13)を介して外部に放射させるような反射板を器体10に収納してもよい。このような構成にすると、LEDチップ112から側面部102,102方向に放射された光も照射光として開口窓100(透光部材13)から外部に放射させることができるとともに、上記外部に放射される光の広がり角を、LEDチップ112と開口窓100の両縁とを結ぶ2つの直線でなす角度より広げることができる。その結果、発光部であるLEDチップ112からの光を広範囲に照射することができるので、通路2にいる弱視の歩行者5は開口部3の存在を広範囲から視認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施形態1のガイド灯の断面図である。
【図2】同上のガイド灯の外観図である。
【図3】同上のガイド灯の使用状態を示す図である。
【図4】同上のガイド灯の使用状態を示す図である。
【図5】実施形態2のガイド灯の断面図である。
【図6】実施形態3のガイド灯の断面図である。
【図7】実施形態5のガイド灯の断面図である。
【図8】実施形態6のガイド灯の断面図である。
【図9】実施形態7のガイド灯の断面図である。
【図10】実施形態8のガイド灯のLEDユニットを示す図である。
【図11】従来例のガイド灯の使用状態を示す図である。
【図12】同上のガイド灯の断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1,1a〜1f ガイド灯
10 器体
100 開口窓
101 背面部
102,103 側面部
11,11a LEDユニット
110 LEDパッケージ
112 LEDチップ
113 パッケージ本体
12 電源ユニット
13,13a 透光部材
15 透光性充填剤
16 プリズム
2 通路
20 壁面
3 開口部
4 開口縁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の方向を長手方向とし照射光を外部に放射する灯具を備え、
前記灯具は、前記一の方向が壁面に面する開口部の開口縁の一辺と平行するように当該開口縁の一辺に沿って取り付けられ、前記照射光による自己が取り付けられた壁面への照射を防止する第1の配光制御手段を有する
ことを特徴とするガイド灯。
【請求項2】
前記灯具は、
前記壁面に取り付けられたときに当該壁面と対向する背面部と前記背面部の左右側縁から前方に突出して設けられた1対の側面部とを有し前面に開口窓が形成された器体と、
前記器体に収納され前記開口窓に向かって光を放射する発光部と、
前記一の方向と直交する面において前記発光部と前記開口窓の両縁とを結ぶ2つの直線でなす角度より前記開口窓から外部に前記照射光として放射される光の広がり角を広げる第2の配光制御手段と
を有することを特徴とする請求項1記載のガイド灯。
【請求項3】
前記灯具は、前記一の方向に離隔して設けられ前記照射光を放射する複数の点光源を有することを特徴とする請求項1又は2記載のガイド灯。
【請求項1】
一の方向を長手方向とし照射光を外部に放射する灯具を備え、
前記灯具は、前記一の方向が壁面に面する開口部の開口縁の一辺と平行するように当該開口縁の一辺に沿って取り付けられ、前記照射光による自己が取り付けられた壁面への照射を防止する第1の配光制御手段を有する
ことを特徴とするガイド灯。
【請求項2】
前記灯具は、
前記壁面に取り付けられたときに当該壁面と対向する背面部と前記背面部の左右側縁から前方に突出して設けられた1対の側面部とを有し前面に開口窓が形成された器体と、
前記器体に収納され前記開口窓に向かって光を放射する発光部と、
前記一の方向と直交する面において前記発光部と前記開口窓の両縁とを結ぶ2つの直線でなす角度より前記開口窓から外部に前記照射光として放射される光の広がり角を広げる第2の配光制御手段と
を有することを特徴とする請求項1記載のガイド灯。
【請求項3】
前記灯具は、前記一の方向に離隔して設けられ前記照射光を放射する複数の点光源を有することを特徴とする請求項1又は2記載のガイド灯。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−42670(P2009−42670A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−210056(P2007−210056)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]