説明

ガスエンジン型管理機

【課題】
ガスエンジン型管理機のガス供給ボンベの予備ボンベを予め収納しておくことで、耕耘作業中の燃料切れに対応することでガス供給ボンベの交換作業を能率よく行えるようにする。
【解決手段】
機体前部に搭載され、ガスを燃料として動作するガスエンジンと、ガスエンジンにガスを供給するガス供給ボンベと、ガスエンジンから出力される動力で回転駆動される車軸と、車軸に設けられる複数の耕耘爪と、機体後部から後ろ上方に延出するハンドルフレームと、機体後部から後ろ下方に延出する抵抗棒を支持するヒッチ部を備えるガスエンジン型管理機であって、該ヒッチの後部に、ガス供給ボンベを収納する容器を取り付けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスエンジンを搭載したガスエンジン型の管理機に係り、詳しくは、そのガス供給ボンベの一時的な収納器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ガス供給ボンベの燃料ガスを燃料とするガスエンジンを搭載した管理機において、ガス供給ボンベをボンベ取付部に着脱可能に支持するボンベケースを、ガスエンジンの前部上方側に設けると共に、該ガス供給ボンベを横方向に支持するように構成し、該ボンベケースの側方に設けられた接続部を介して燃料供給管に燃料ガスを供給するものが知られている。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−107477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1のガスエンジン型管理機においては、一般のガソリン燃料とする管理機に比較して排気ガスがクリーンである反面、ガス供給ボンベの一本当たりの連続稼働時間が短い(通常30分〜40程度)ために、耕耘作業途中でガス供給ボンベのガスが無くなった場合には、別途、ガス供給ボンベを取り換えなければならなく、圃場での耕耘作業の途中にガス供給ボンベをわざわざ離れた家や車、納屋等に取りに行かなければならず煩わしかった。
【0005】
そこで本発明は、ガスエンジン型管理機に使用するガス供給ボンベの予備を予め機体にセットするガス供給ボンベの一時収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、機体にガスを燃料として動作するガスエンジンと、ガスエンジンにガスを供給するガス供給ボンベとを搭載し、該ガスエンジンから出力される動力で回転駆動される車軸と、車軸に設けられる複数の耕耘爪と、機体後部から後ろ上方に延出するハンドルフレームと、機体後部から後ろ下方に延出する抵抗棒を支持するヒッチ部を備えたガスエンジン型管理機であって、該ヒッチの後部に、ガス供給ボンベを一時的に収納する容器を取り付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る本発明によると、機体にガスを燃料として動作するガスエンジンと、ガスエンジンにガスを供給するガス供給ボンベとを搭載し、該ガスエンジンから出力される動力で回転駆動される車軸と、車軸に設けられる複数の耕耘爪と、機体後部から後ろ上方に延出するハンドルフレームと、機体後部から後ろ下方に延出する抵抗棒を支持するヒッチ部を備えたガスエンジン型管理機であって、該ヒッチの後部に、ガス供給ボンベを一時的に収納する容器を取り付けたので、圃場での耕耘作業中にガスが無くなっても予備のガス供給ボンベをヒッチ部の後部に設けられた収納容器から取り出してガスが無くなったガス供給ボンベと交換作業を行うことで継続して耕耘作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本願発明の実施形態に係るガスエンジン型管理機の側面図である。
【図2】本願発明の実施形態に係るガスエンジン型管理機の平面図である。
【図3】本願発明の実施形態に係るガスエンジン型管理機のカバー部材を外した状態を示す平面図である。
【図4】本願発明の実施形態に係るガスエンジン型管理機のカバー部材を外した状態を示す右側面図である。
【図5】本願発明の実施形態に係るガスエンジン型管理機の要部左断面図である。
【図6】本願発明の実施形態に係るガスエンジン型管理機の要部正面図である。
【図7】本願発明の実施形態に係るガスエンジン型管理機の要部平面図である。
【図8】本願発明の実施形態に係るガスエンジン型管理機の要部左側面図である。
【図9】本願発明の実施形態に係るガスエンジン型管理機の要部右側面図である。
【図10】本願発明の実施形態に係るガスエンジン型管理機のボンネットを示す斜視図である。
【図11】本願発明の実施形態に係るガスエンジン型管理機の予備のガス供給ボンベを収納する収納容器の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態に係るガスエンジン型管理機について説明する。
【0010】
[ガスエンジン型管理機の概略]
まず、ガスエンジン型管理機の全体構成について説明する。図1及び図2に示すように、ガスエンジン型管理機1は、上下方向に傾斜して配置されると共に、耕耘爪3b等の回転体3を回転駆動可能に支持する回転軸3aを左右に軸支するミッションケース5と、該ミッションケース5に固定され、後方側(図中右方側)となるにつれて上方に延びる二股状のハンドル6と、該ミッションケース5に固定された機台フレーム7に搭載されたガスエンジン9とを備えており、作業者がハンドル6を持って、上記ミッションケース5及びガスエンジン9などから機体2を操作するように構成されている。
【0011】
また、ミッションケース5後方側には、本願発明の要旨で後述するガス供給ボンベBの予備を予め収納出来る収納ケースKを抵抗棒12を支持するヒッチ部Hの後部に取り付けられている。即ち、ヒッチ部Hの後部にL字状の板部材Lが溶着され、該板部材Lに上方から嵌入出来るように、収納ケースKの一側面に上部が塞がれ、下部が開口する係止具K1にL字状の板部材Lで掛り止めすることによって、収納ケースKを所定の位置に支持することが出来る。該収納ケースKは、上方に持ち手となる取っ手K2を有しており、通常3本のガス供給ボンベBを収納出来るように、予め、収納ケースK内にスリットSによって仕切られている。また、この抵抗棒12を耕耘作業時に地中に没することで機体2の作業姿勢が安定させると共に、非作業時には立姿勢を保持するスタンドとして使用することができるように構成されている。
【0012】
上記ハンドル6は、図2に示すように、左右両端部に把持部6a、6bを備えている。
機体左方の把持部4bの前方には、後述する主クラッチを操作する主クラッチレバー11が配置されており、操作者が把持部6aを把持する際に一緒に把持することで主クラッチの入り操作となるように構成されている。さらに、右側の把持部6bの前方にはスロットルレバー10が配置されており、操作者は、該スロットルレバー10を操作することによって、スロットルワイヤ10aを介して、ガスエンジン9の回転を操作できるように構成されている。
【0013】
一方、上記ガスエンジン9(図1参照)は、ベルトカバー13内にベルト伝動機構(不図示)を備えており、該ベルト伝動機構によってエンジン出力軸の回転駆動力が、ミッションケース5内の入力軸に伝達される。該ベルト伝動機構には、ガスエンジン9の回転駆動力の伝達を入切するベルトテンションクラッチ(不図示)が備えられており、上述したハンドル6に配置された主クラッチレバー11の操作によってガスエンジン9の回転駆動力の伝達を入切できるように構成されている。
【0014】
ついで、図3乃至図5に基づいて、上記ガスエンジン9への燃料ガスの供給構造について説明をする。ガスエンジン9は、ボンベ取付部20に着脱可能に支持されるカセット型のガス供給ボンベB(図3参照)から供給されるプロパンガス(燃料ガス)を燃焼して駆動し得るように構成されており、上記ボンベ取付部20は、ガスエンジン9の前部上方にて、ガスボンベBを該ガスエンジン9の幅方向(機体左右方向)に沿って横方向に載置して取付けるように構成されている。
尚、ガス供給ボンベBを装着時に外気が低温の環境下ではガスエンジン9の始動が困難になるために、ガス供給ボンベBを後述するボンベケース21の内面に市販のサーモラベルSBを取り付けることで、気温によるガスエンジン9始動の可否を視覚的に確認できるので、低温環境下での無駄な始動操作を回避することが可能となっている。
【0015】
そして、ボンベ取付部20は、機体左右方向に沿って横置きにガス供給ボンベBを収納するボンベケース21と、該ボンベケース21の右端でガス供給ボンベBと接続する接続部22とによって構成されており、該接続部22は、ガス供給ボンベBのプロパンガスをガスエンジン9に供給する燃料配管25と継ぎ手ナット24を介して連結していると共に、該燃料配管25へのプロパンガスの供給を入切する燃料コック23を有している。
【0016】
また、上記接続部22(燃料コック23)が配設されている機体右側(ガスエンジン型管理機の一側方)には、図3及び図4に示すように、リコイルスタータ16が設けられていると共に、スロットルレバー10の燃料をガスエンジン9のガバナ(不図示)に伝達するスロットルワイヤ10aが、燃料配管25の下方側を通って配設されているとおり、接続部22の下方側にはスロットルワイヤ10aの他端側(スロットルレバーとは反対側)の取付部が設けられている。
【0017】
なお、上記ボンベケース21は、図5に示すように、ガス供給ボンベBを収納する収納ケース21aと、該収納ケース21aが取付けられる略U字状の支持部材21bと、から構成されており、該支持部材21bは、下方向きに突設されてガスエンジン9のクランクケース9aに対して固定された複数の支持脚21cを有している。そして、ボンベケース21が支持部材21bに支持されることによって、上記ボンベ取付部20はガスエンジン9に固定支持されている。
【0018】
また、ボンベ取付部20の後方側には、ガスエンジン9から排出される排気ガスを外部に放出するマフラ15が設けられており、該マフラ15は、その上面、左右側面、及び後面をマフラカバー15bによって覆われている。
【0019】
[ガスエンジン型管理機のカバー構成]
次に、ガスエンジン型管理機1のカバー構成について説明をする。図6乃至図9に示すように、ガスエンジン型管理機1は、ボンベケース21を後方側から前方上部に亘って覆うボンネット30と、該ボンネット30の下縁部30dとその上縁部31Uが接続すると共に、ボンベケース21の下方側を覆うアンダーカバー31と、機体右側方から上記燃料配管25、スロットルワイヤ10a及びボンベ取付部20の接続部22(燃料コック23)を一体に覆うサイドカバー(カバー部材)32とを有している。
【0020】
図7及び図10に示すように、上記ボンネット30は、ボンベケース21を略全幅において覆っており、該ボンベケース21を覆う前方側はボンベケース21に沿って滑らかに湾曲している。また、その後端部はマフラ15の上方まで延設し、作業者がマフラ15に触れないように構成されていると共に、溝状の開口部が設けられて、カバー内の雰囲気温度が必要以上に上昇することを防止している。
【0021】
また、ボンネット30の上部には、ガス供給ボンベBのキャップCを予め保管するホルダhが設けられていることで、ガス供給ボンベBから外したキャップCの紛失を防ぐことが出来、しかも、ガス供給ボンベBを管理機に装着していることが容易に確認出来、ガス供給ボンベBの抜き忘れを防ぐことが出来る。
【0022】
尚、ハンドルの把持部6a、6bには、静電容量スイッチ(図示せず)を設け、作業者がハンドルを握っている事を感知して、機械が動作するように制御することで作業者の安全を図るようになっている。即ち、機械式のクラッチを電気式にすることで、クラッチを保持する力がいらず、楽に耕耘作業を行うことが出来る。
【0023】
上述のように構成されたガスエンジン管理機のガス供給ボンベBにあっては、耕耘作業中に万が一、ガス燃料が切れてしまっても、予め予備のガス供給ボンベBを用意しておくことで作業能率を低下させることなく、作業を行うことが出来る。
また、空になったガス供給ボンベBを逆に収納ケースKに置くことで廃棄処理もスムーズに行うことも可能で、さらに、ヒッチ部Hからの収納ケースKの取外しも工具を使わなくても取っ手K2を上方へ持ち上げることで容易に収納ケースKを取り外して持ち運ぶことも可能であり、作業性を飛躍的に向上させることが出来た。
【符号の説明】
【0024】
1 ガスエンジン管理機
3a 車軸
3b 耕耘爪
6H ハンドルフレーム
9 ガスエンジン
12 抵抗棒
B ガス供給ボンベ
H ヒッチ
K 収納ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体にガスを燃料として動作するガスエンジンと、ガスエンジンにガスを供給するガス供給ボンベとを搭載し、該ガスエンジンから出力される動力で回転駆動される車軸と、車軸に設けられる複数の耕耘爪と、機体後部から後ろ上方に延出するハンドルフレームと、機体後部から後ろ下方に延出する抵抗棒を支持するヒッチ部を備えたガスエンジン型管理機であって、該ヒッチの後部に、ガス供給ボンベを一時的に収納する容器を取り付けたことを特徴とするガスエンジン型管理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−201317(P2012−201317A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69885(P2011−69885)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】