説明

ガスクロマトグラフィーおよび液体クロマトグラフィー分析用マイクロ波システム発生器/制御器、およびその製造方法並びに使用方法

【課題】
【解決手段】放射エネルギー加熱式オーブン内の放射エネルギーキャビティー内の被加熱体を加熱する固体放射エネルギーパワー発生/制御システムを開示する。このシステムは、デジタル処理ユニット(DPU)、DPUインターフェース、素子制御器、周波数調整器、電圧制御振動子、パワー調整器、増幅器、および逆方向/順方向パワー検出手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射エネルギー加熱式オーブンおよび放射エネルギーパワー発生器/制御システムからなり、ガスクロマトグラフィー分析機器や液体クロマトグラフィー分析機器などに使用するのが好適な装置、およびその製造方法/使用法に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、放射エネルギー加熱式オーブンおよび放射エネルギーパワー発生器/制御システムからなり、この発生器/制御システムが、デジタル式処理ユニット(DPU)、DPUインターフェース、素子制御器、周波数調整器、パワー調整器、増幅器、反射/順方向パワー検出手段、および温度を検出する2つの熱電対をもつ放射エネルギーキャビティーを有し、そしてこのシステムによって順方向パワー(即ち、供給パワー)、逆方向パワー即ち反射パワーを検出して操作をモニターし、また反射パワーまたは逆方向パワーに耐えることができるようにし、そして分析温度プロフィルに従って静的加熱時、動的加熱時のオーブン性能を最適化する装置である。本発明は、この装置の製造方法および使用方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
気液クロマトグラフィーは、化学化合物を分離、同定および定量する物理的方法である。これら方法は、応用範囲が広く、例示すれば、分析化学における物質純度の測定、環境汚染の測定、自然界に存在する物質の特性化や薬剤の開発がある。
【0004】
化学的成分を分離するためにガスクロマトグラフィーまたは液体クロマトグラフィーに利用される基本的方法は、ほぼ同じである。流動している中性キャリヤ流れにサンプル混合物を注入し、次に、注入合体したものを管即ちクロマトグラフィーカラムに流す。このカラムの内表面は、固定相と呼ばれる材料でコーティングまたは充填する。サンプル混合物およびキャリヤ流れがカラムに流れると、混合物内の成分が、ガスクロマトグラフィーの場合は個々の成分の相対的揮発性に応じて、そして液体クロマトグラフィーの場合は個々の成分の相対的溶解度に応じて、かつ固定相に対するそれぞれのアフィニティーに応じて程度の差はあるが、固定相によって保持される。個々の混合物成分が、固定相によってキャリヤ流れに放出された場合には、これらはカラムの出口の方に掃引され、検出器によって検出測定される。異なる化学的成分は、固定相によって異なる時間保持される。保持時間を測定することによって、混合物内にある特定の化合物を同定できる。各化合物について検出器によって測定されたピーク振幅を比較することによって化合物の相対濃度を決定する。ガスクロマトグラフィーと液体クロマトグラフィーの第1の違いは、分離モードである。ガスクロマトグラフィーの場合、サンプルを揮発させ、流動しているガスの流れによって分析カラム内に流下させる。液体クロマトグラフィーの場合は、サンプルを溶解し、流動している液体流れによって分析カラムを流下させる。ガスクロマトグラフィーと液体クロマトグラフィーの第2の違いは、液体クロマトグラフィーに使用されるカラムは、一般に、固定相で充填されているが、ガスクロマトグラフィーに利用されるカラムは、その内壁に固定相が被覆または接着されていることである。
【0005】
クロマトグラフィーカラムに熱を加えてその温度を変化させると、GC測定およびLC測定が簡単になる。ガスクロマトグラフィーシステムに加熱式カラムオーブンを利用すると、分析できる化合物の数が増え、またより高分子量の化合物の揮発性を高めることによって各分析に必要な時間を短縮できる。LCカラムを加熱すると、2つの相状態にある混合物の成分の相対的溶解性に影響するため、分離度を高くできるだけでなく、成分である化学物質の溶離時間の繰り返し精度を改善できる。
【0006】
クロマトグラフィーカラムを加熱するために多くの方法が発表されている。最も簡単で、最も普通に利用されている方法は、抵抗加熱素子を利用して、空気を加熱し、次に加熱された空気を、カラムが配置されている絶縁オーブンに流す方法である。例えば、Philyaw et al.を発明者とするUSP3,527,567には、抵抗素子で加熱されるGCオーブンが記載されている。
【0007】
この抵抗素子加熱方法には、いくつかの制限がある。カラムを均等に加熱するために、クロマトグラフィーカラムの周囲に大容量の空気を急速循環させる。カラムを加熱することに加えて、空気がオーブンそれ自体を加熱する。オーブンの熱質量は、カラムよりもはるか大きいため、カラムの加熱度はこれに応じて低くなる。関連する問題は、冷却時間である。分析時にオーブンをより高い温度に加熱した後、オーブンに加えてカラムをこれらの初期温度に冷却して、次のサンプルを分析できるようにするためには、カラムのみを冷却する場合よりもかなり長い冷却時間が必要である。これら制限があるため、クロマトグラフィー分析機器の処理量が少なくなる。
【0008】
カラムそれ自体に抵抗加熱素子を配設して“オーブン”の周辺加熱を抑制またはなくす試みは、Green et al.を発明者とするUSP3,169,389、Burow et al.を発明者とするUSP3,232,093、およびHoltzclaw et al.を発明者とするUSP5,005,399に記載されている。これら各公報には、クロマトグラフィーカラムを抵抗加熱素子で直接包み込むか、被覆する方法が開示されている。得られた金属クラッドカラムを冷却源に隣接配置して冷却時間を短縮する方法も開示されている。この加熱方法は、実際に行うことが難しい。というのは、カラムを取り囲む抵抗加熱素子に高温や低温のスポットが発生するため、カラムの加熱が不均等になるからである。カラムが不均等に加熱されると、分析精度が劣化する。
【0009】
すべての抵抗加熱式クロマトグラフィー装置のさらに別な制限は、操作が不適切な場合には、温度が所定のカラムの最大許容範囲より高い温度になり、結果的にカラムが損傷するか、あるいは破壊することである。
【0010】
クロマトグラフィーカラムを加熱する別な方法は、Jordanを発明者とするUSP4,204,423に開示されているように、マイクロ波加熱である。マイクロ波加熱の潜在的な作用効果は、効率と選択性である。マイクロ波オーブンの場合、この内部に置かれた適当な物体が加熱されることになるが、オーブンそれ自体の温度は不変である。マイクロ波加熱は、材料中で起こり、マイクロ波エネルギーを吸収し、これを熱に転換する。現在普及しているクロマトグラフィーカラムは、一般的にいって、適正な吸収度でマイクロ波エネルギーを吸収しない材料で構成されている。例えば、大半のGCキャピラリーカラムはポリイミドおよび溶融シリカから構成されている。このため、マイクロ波オーブン内に置かれたときに、適正な加熱度でカラムの加熱を行わない。Jordanの装置は、これらのカラムでは実際的ではない。
【0011】
発明者のJordanは、マイクロ波オーブン内で(電場の短絡によって)電磁エネルギーを反射し、これを使用不能にする金属などの導電性材料を除く、いかなるカラム材料もマイクロ波オーブン内に配置できるとしている。実際、このような非金属材料は、マイクロ波オーブンに配置できるが、必ずしもオーブンによって加熱されるものではない。
【0012】
Brashearを発明者とするUSP3,023,835には、充填クロマトグラフィーカラムに無線周波数(RF)放射線を暴露することによってこれを加熱する装置が記載されている。発明者のBrashearは、誘電加熱または誘導加熱(即ち磁気加熱)によってクロマトグラフィーカラムを加熱するとしている。誘電加熱の場合、Brashearは、カラムおよび充填フィラーは、電気絶縁材料で構成するとしている。クロマトグラフィーカラムを構成するために使用されている材料を始めとする多くの材料は、Brashearによって開示されている誘導加熱を実際的レベルにするのに十分高い吸収度で電磁エネルギーを吸収するものではない。誘導加熱の場合、Brashearは、具体的に、(1)カラムは、誘導加熱を起こすためにある種の磁性成分を含有する金属で構成する;(2)フィラーは、カラムからフィラーへの伝熱を促進する金属粉を含有する;そして(3)金属粉も、局所的な誘導加熱を促進するために磁性を帯びているとしている。実際には、金属カラムの内部ではフィラーの誘導加熱は発生しない。というのは、フィラーは、フィラーが充填されている金属カラムによって電磁場から遮断されることになるからである。さらに、カラム内部の金属が充填されている充填材料は、一般的に、良いスキームとはいえない。カラムを流下しているサンプル材料は、金属に暴露される。金属が化学的に不活性でない限り、サンプルの一部の成分が、金属と反応し、得られるクロマトグラムに歪みを発生させることになる。
【0013】
Brashearが開示している充填カラムの場合、いずれも、カラム全体がキャビティー内部に置かれ、高強度の電磁放射線に曝される、Jordanが開示しているマイクロ波加熱装置に実際に使用できるとは考えられない。また、低損失の絶縁カラムも実際に利用できる程度に急速加熱を行えるものとは考えられない。そして、金属カラムの場合には、電場を短絡するもので、マイクロ波オーブンが適正に機能せず、カラムは、少なくとも加熱された場合にも、均等に加熱されることはない。
【0014】
さらに、背景情報として、USP6,514,316、USP6,316,759、USP6,182,504、USP6,093,921、USP6,029,498、USP5,939,614を挙げておく。いずれも、本明細書で援用するものである。
【0015】
多くの場合、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィーやその他の分析には、短い分析サイクル時間−一つの分析と次の分析との間の時間−が必要である。サイクル時間は、一般に、制御式加熱と冷却とに関係する。また時には、サイクル時間は、物質のクロマトグラフィー分析を行っている間に、物質を加熱し、これを冷却する時間を指すこともある。LC、GCの場合、サンプル成分が加熱されたクロマトグラフィーカラムに流れている間に、加熱によりサンプル成分を分離する。即ち、サイクル時間とは、サンプルを注入し、カラムを加熱し、加熱されたカラムにサンプルを流し、サンプルがカラムから出た後に加熱されたカラムを冷却するために必要な時間を指すものである。
【0016】
このような分析機器の場合、クロマトグラフィー結果の繰り返し精度を良好なものにするために、きわめて精度の高い温度調整および温度制御が必要である。このため、加熱速度を上げるために、分析機器に関連する熱発生システムからの温度調整および温度制御を改善する必要がある。以前は、カラムの熱発生システムは伝統的なオーブンであったが、最近になって、カラムの熱発生システムとして、マイクロ波/電波オーブンが使用されるようになってきている。
【0017】
マイクロ波または電波熱発生システムなどの放射エネルギー熱発生システムをもつクロマトグラフィー分析機器が開示されているが、依然として、サイクル時間を短縮でき、サンプル処理量を改善でき、オーブン性能を最適化でき、反射放射を抑制でき、放射エネルギーの周波数同調を高めることができ、かつ分析機器の繰り返し精度を改善できる、上記の放射エネルギー熱発生システムの制御装置に対する需要は高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】USP3,527,567
【特許文献2】USP3,169,389
【特許文献3】USP3,232,093
【特許文献4】USP5,005,399
【特許文献5】USP4,204,423
【特許文献6】USP3,023,835
【特許文献7】USP6,514,316
【特許文献8】USP6,316,759
【特許文献9】USP6,182,504
【特許文献10】USP6,093,921
【特許文献11】USP6,029,498
【特許文献12】USP5,939,614
【特許文献13】米国特許出願第11/834495号
【特許文献14】米国特許出願第11/834509号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
[制御/性能最適化システムを備えたオーブン]
本発明は、放射エネルギー加熱式オーブン装置の放射エネルギーパワー発生/制御システムであって、放射エネルギーとしてマイクロ波放射エネルギー、電波放射エネルギーやその他の放射エネルギーを利用して、オーブンの加熱ゾーンまたは加熱ゾーンの被加熱体を加熱し、放射エネルギーを吸収できるように構成した放射エネルギーパワー発生/制御システムを提供するものである。オーブンシステムは、クロマトグラフィーカラムなどの被加熱体を受け取るキャビティーを有する。上記放射エネルギーパワー発生/制御システムは、デジタル処理ユニット(DPU)を有し、かつデジタル処理ユニットと制御ユニットとの間にインターフェースを有する。制御ユニットは素子制御器、周波数調整器、電圧制御振動子、パワー調整器、増幅器、および逆/順方向パワー検出手段を有する。本システムは、放射エネルギーをキャビティーに供給し、反射パワーを検出して操作をモニターするとともに、周波数同調を行い、そして温度分布に従って静的加熱時および/または動的加熱時にオーブン性能を最適化するものである。放射エネルギー加熱式オーブン装置は、温度を検出する2つの熱電対を有する。パワー調整器またはパワー検出手段は、オーブンのキャビティー内に配置された被加熱体の放射エネルギー加熱を制御するために、即ち被加熱体を加熱するためにキャビティーに供給されている放射エネルギーの振幅、周波数および位相を制御するために使用される熱電対とアナログ的に連絡する。マイクロ波の場合、本発明の放射エネルギーパワー発生装置の動作領域は、ISM周波数領域である。
【0020】
また、本発明は、ハウジング、内部に配置され、かつ加熱される被加熱体を受け取る放射エネルギーキャビティーおよび本発明の放射エネルギーパワー発生/制御システムを有する放射エネルギーオーブン装置を提供するものである。このオーブン装置は、また、2007年8月6日に出願され、本開示に援用される米国特許出願第11/834495号明細書に記載されているように、オーブンを冷却して、サイクル速度の改善および/または周囲温度以下の開始温度および/または周囲温度以下の保持および/または負の温度プロフィルを実現できるように設計したオーブン冷却システム、2007年8月6日に出願され、本開示に援用される米国特許出願第11/834509号明細書に記載されているように、サンプルを気相状態に維持するのに十分高い温度に移送ラインを維持できるように設計された加熱式移送ラインを有する。
【0021】
さらに、本発明は、サンプル搬送装置を有するクロマトグラフィー分析機器を提供するものである。また、本発明の分析機器は、ハウジング、放射エネルギーキャビティー、および本発明の放射エネルギーパワー発生/制御システムを有する放射エネルギーオーブン装置を有する。このオーブン装置は、また、2007年8月6日に出願され、本開示に援用される米国特許出願第11/834495号明細書に記載されているように、オーブンを冷却して、サイクル速度の改善および/または周囲温度以下の開始温度および/または周囲温度以下の保持および/または負の温度プロフィルを実現できるように設計したオーブン冷却システム、2007年8月6日に出願され、本開示に援用される米国特許出願第11/834509号明細書に記載されているように、サンプルを気相状態に維持するのに十分高い温度に移送ラインを維持できるように設計された加熱式移送ラインを有する。本発明の分析機器は、また、検出/分析装置を有する。さらに、本発明の分析機器は、酸化装置および/または還元装置を有する。
【0022】
また、本発明は、放射エネルギーオーブン装置に供給される放射エネルギーパワーを調整する工程を有するGCクロマトグラフィー分析方法およびLCクロマトグラフィー分析方法を提供するものでもある。この放射エネルギーオーブン装置は、内部にクロマトグラフィーカラムを配置した放射エネルギーキャビティーを有する。さらに、放射エネルギーオーブン装置は、本発明の放射エネルギーパワー発生/制御システムを有し、オーブン性能を改善し、周波数同調を改善し、加熱/温度制御を改善し、そして機器の全体性能を改善する。
【0023】
さらに、本発明は、本発明の分析機器に適宜使用される冷却システムおよび/または加熱式移送ラインを設ける工程を有するクロマトグラフィー分析を実施する方法を提供するものでもある。この方法は、さらに、サンプル中の成分の所定の分離を行う条件下でオーブン装置の放射エネルギーキャビティー内部のカラムにサンプル搬送システムからサンプルを注入する工程を有し、本発明の放射エネルギーパワー発生/制御システムによってオーブン性能を制御する。成分分離後、サンプル成分を、酸化装置および/または還元装置を有する検出/分析装置に送る。サンプル成分を検出/分析システムに送った後、適宜冷却装置を使用して、あるいは使用せずに、カラムを冷却し、次のサンプル注入の準備を行う。
【0024】
[本開示で使用する定義]
本開示における“昇温加熱プロフィル”とは、サンプル各成分を所望に応じて分析分離するように設計されたクロマトグラフィー加熱プロフィルを意味する。いくつかの実施態様では、このプロフィルは、成分分離を最大化することを目的として設計する。一般的に、このプロフィルは、少なくとも一つの正または負の温度勾配(ramp)を有する。そして、このプロフィルは、一つか複数の温度保持部を有する。一部の実施態様では、温度プロフィルは、周囲温度以下の開始温度および/または周囲温度以下の保持温度をもつ。一部の実施態様では、温度プロフィルは、周囲温度開始温度および/または周囲温度保持温度をもつ。他の一部の実施態様では、温度プロフィルは、高温の開始温度および/または高温の温度保持部をもつ。即ち、温度プロフィルは、複数の開始温度、複数の温度保持部および正負の温度勾配の組み合わせをもつものである。
【0025】
本開示における“正の温度勾配”とは、温度が所望の速度で低温から高温に変化することを意味する。変化度は、一価でもよく、あるいは多価でもよく、温度が直線的に上昇することを、また温度が複数の直線に従って上昇することを、そして温度が非直線的に上昇することを意味する。なお、この変化度は、所定の成分分離を実現することを目的として設計する。
【0026】
本開示における“負の温度勾配”とは、温度が所望の速度で高温から低温に変化することを意味する。変化度は、一価でもよく、あるいは多価でもよく、温度が直線的に下がることを、また温度が複数の直線に従って下がることを、そして温度が非直線的に下がることを意味する。なお、この変化度は、所定の成分分離を実現することを目的として設計する。
【0027】
本開示における“保持”とは、カラムを所望の温度に加熱し、この温度に所望の時間保持することを意味する。保持時間は、任意でよい。なお、この保持時間は、所定の成分分離を実現することを目的として設計する。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明者によれば、マイクロ波エネルギーまたは電波エネルギーなどの放射エネルギーを発生し、機器分析の場合のクロマトグラフィーカラムなどの、内部に被加熱体を配置した放射エネルギー共振キャビティー(オーブン)にこれを供給できる固体パワーシステムを構成できることが見出された。電圧制御振動子(VCO)を組み込める周波数調整器を介して行う周波数調整とともに逆方向/反射パワーフィードバック、および順方向/供給パワーフィードバックを行えるため、被加熱体が配置されているキャビティーに加えられた放射エネルギーのパワーレベル即ち振幅および周波数を完全に制御できる。フィードバックループについては、パワー必要条件および特性(振幅、周波数など)を変更して、クロマトグラフィー分析で使用される温度プロフィルなどの温度プロフィルに従って被加熱体の温度を調整および/または維持できるように設計する。本発明者によれば、本発明の放射エネルギーパワー発生/制御システムは、マグネトロン系パワー供給システムと比較した場合、以下の作用効果をもつ。(1)周波数調整がより簡単になる。(2)連続的なパワー調整がより簡単になる。(3)出力周波数範囲がより狭くなる。(4)応答がより速くなる。(5)費用効率がより高くなる。
【0029】
本発明は、広く言えば、放射エネルギー加熱式オーブンを有する放射エネルギー加熱式装置に関する。このオーブンは、内部に被加熱体を配置するキャビティーを有する。この装置は、また、キャビティー内部に、あるいは被加熱体に対応して、温度検出器有するため、キャビティーまたは被加熱体温度をモニターできる。さらに、キャビティーを取り囲むハウジングに第2の温度検出器を設けてオーブン全体をモニターする。さらに、本装置は、放射エネルギーパワーを発生、制御または調整するシステムを有する。このパワーシステムは、素子制御器、周波数調整器、パワー調整器、増幅器および反射/順方向パワー検出手段を有する。本システムは、放射エネルギーをキャビティーに供給し、反射パワーを検出して操作をモニターするとともに、キャビティーに供給されるパワーの周波数および振幅を同調して、温度プロフィルに従って静的加熱時および/または動的加熱時にオーブン性能を最適化するものである。実施態様の多くでは、パワー供給システムは、インターフェースを介してデジタル処理ユニット(DPU)に接続する。インターフェースは、有線式でもよく、あるいは無線式でもよい。有線式インターフェースの場合、パワー発生装置と双方向連絡を確保するDPUとの間にRS−232インターフェース、RS−422インターフェース、RS−432インターフェース、RS−449インターフェース、RS−485インターフェース、MIL−STD−188インターフェース、EIA−530インターフェース、TIA−574かあるいはその他の適当なインターフェースを有する。無線インターフェースの場合は、パワー発生ユニットおよびDPUと両立する、IR、超音波や近IRなどの任意の無線インターフェースであればよい。
【0030】
本発明は、広く言えば、放射エネルギーを発生し、被加熱体を配置したキャビティーにこれを供給する工程を有する、放射エネルギーキャビティーに供給される放射エネルギーを調整する方法に関する。また、この方法は、供給された放射エネルギーの振幅や周波数などの特性をモニターする工程を有する。さらに、キャビティー内の被加熱体の温度をモニターする工程を有し、また供給された放射エネルギーおよび反射された放射エネルギー即ちキャビティー内の何らかの欠陥によりオーブンから反射された放射エネルギーの特性、キャビティー内の被加熱体の変位、被加熱体の大きさ、形状および構成、および所定の周波数あるいは所定の周波数範囲内で共振キャビティーによって反射された放射エネルギーの量に影響する他の要因をモニターする工程を有する。さらに、供給された放射エネルギーの振幅および周波数を制御、調整または同調して、キャビティー内の被加熱体の加熱性能を最適化する工程も有する。さらに、発生された放射エネルギーの振幅および周波数範囲を連続的に変更して、被加熱体を所望の温度に維持するか、その温度を所望の温度プロフィルに従って変更することを確保する工程も有する。なお、この温度プロフィルについては、キャビティー内に配置され、供給された放射エネルギーに暴露されるカラム内を流れるサンプルのサンプル成分を所望に応じて分離することを目的として設計する。さらに、オーブンから排出がある場合(例えば、蓋が閉じていない場合)や被加熱体の取替えや変位(いずれもマイクロ波に対する負荷になる)がある場合、システム状態のリアルタイムな情報を得ることができることを示す、反射パワーの高くなったレベルをモニターする工程も有し得る。さらに反射パワー/供給パワーの比に基いて、キャビティーに供給する放射パワーを周波数同調する工程も有し得る。同調については、キャビティー内に配置され、加熱された物体が、エネルギーの大半を吸収し、そして順方向パワーが所望のレベルに設定されたときに、最小の逆方向(反射)パワーを示す最適な周波数または周波数範囲を求めることができるように設計する。もちろん、本方法は、加熱が所定の温度プロフィルに従って生じたときに、オーブン性能を改良する比に基いて供給パワーを連続的に周波数を同調する工程も有するものである。
【0031】
本発明の装置は、IMS周波数範囲などの所定の周波数範囲内で動作するように設計された任意のマイクロ波キャビティー(オーブン)に使用するのが理想的である。本発明のパワーを発生、制御および調整するシステムを備えたキャビティーは、LC、GCクロマトグラフィー分析機器に使用するが好適である。本システムは、機器性能、維持、繰り返し精度、信頼性などを直接改善するオーブン性能を改善するものである。
【0032】
[好適な構成成分]
制限するものではないが、好適な電圧制御振動子(VCO)としては、Synergy Microwave Corporation(USA)社のVCO、Spectrum Microwave社のVCO、Norden Millimeter社のVCO、Richardson Electronics社のVCOや、電磁スペクトルのマイクロ波領域の放射エネルギーを電圧制御下に発生できるその他のVCOがある。
【0033】
制限するものではないが、デジタル処理ユニット(DPU)としては、制御、操作および分析に関する指示を実行できる任意のデジタル処理ユニットが好適である。例示すれば、Advanced Analogic Technologies、Advanced Hardware Architectures、Advanced Linear Devices,Inc.、Advanced Micro Devices(AMD)、Advanced Power Technology、Advanced Semiconductor,Inc.、AKM Semiconductor,Inc.、Alcor Micro Corp.、Allegro MicroSystems,Inc.、Alliance Semiconductor Corp.、AMIC Technology Corporation、Anachip Corp.、Anadigics,Inc.、Analog Devices、Apex Microtechnology Corp.、Atmel Corporation、AUK Co.,Ltd.、Austria Mikro System Int.、Beyond Innovation Technology Co.、BI Technologies、Burr−Brown Corp.、California Micro Devices、Calogic,LLC、Cherry Semiconductor、Chino−Excel Technology Corp.、Chrontel,Inc.、Cirrus Logic,COMedia Ltd.、Consumer Microcircuits Limited、Continental Device India Ltd.、Cypress Semiconductor、Daewoo Semiconductor、Dallas Semiconductor、Davicom Semiconductor,Inc.、Diotec Elektronische、ELAN Microelectronics Corp.、Electro Sonic Inc.、Ericsson Microelectronics、Exar、Fairchild Semiconductor、Fuji Electric Co.、Fujitsu Microelectronics、General Semiconductor、Gennum Corporation、Harris Semiconductor、Hitachi Semiconductor、HOLT Integrated Circuits Inc.、Holtek Semiconductor Inc.、IC Plus Corp.、Infineon Technologies AG、Information Storage Devices、Integrated Device Technology、Intel、International Rectifier、Intersil Corp.、Isahaya Electronics Corporation、Korea Electronics Co., Ltd.、Lambda Advanced Analog Inc.、Lattice Semiconductor Corp.、Level One Communications、Linear Integrated System,Inc.、Linear Technology、M/A−COM、Marktech Optoelectronics、Maxim Integrated Products、Micro Linear Corp.、Microchip Technology, Inc.、Micronas Intermetall、Microsemi Corp.、Mitel Semiconductor、Mitsubishi Electric Corp.、Mosel Vitelic、Motorola、MX−COM.Inc.、National Semiconductor Inc.、NEC Electrnics Inc.、New Japan Radio Co., Ltd.、O2Micro、Inc.、ON Semiconductor、Panasonic(Matsushita)、Philips Semiconductors、Plessey Semiconductors、Power Innovations、Princeton Technology Corp.、Ramtron International Corp.、Retec−Korus JSC、RF Micro Devices、Ricoh Company, Ltd.、ROHM Co.、Samsung Electronic、Sanken Electric Co.、SanRex、SANYO Electric Co., Ltd.、Seiko Epson Corporation、Semelab Plc.、Semikron International、SemiWell Semiconductor Co.、Semtech Corp.、SGS−Thomson Microelectronics、Sharp、Shindengen Electric、Siemens、Silicon Integrated System Corp.、Silicon Laboratories、Silicon Storage Technology,Inc.、Sipex Corporation、Solid State Micro Technology、SONY Semiconductors、Standard Microsystems Corp.、System General(SG)、TDK Semiconductor、TelCom Semiconductor Inc.、Texas Instruments、THAT Coporation、Torex Semiconductor、Toshiba、TriQuint Semiconductor、United Microelectronics Corp.、Unitrode Semiconductor Products、Vishay Telefunken、VLSI Vision Ltd.、Watkins−Johnson(WJ)Company、Winbond Electronics、Wing Shing Electronic Co.、Xemics、Z−Communications,Inc.、Zetex Semiconductors、ZILOGやその他のチップメーカー製のものがある。
【0034】
インターフェースとしては、制限するものではないが、DPUと本発明の発生、制御および調整システムの他の構成成分との間を相互接続しかつ相互連絡するのに十分なインターフェースプロトコルが好適である。
【0035】
素子制御器としては、制限するものではないが、本発明の発生、制御および調整システムの各構成成分を制御できる任意の制御器が好適である。
【0036】
周波数調整器としては、制限するものではないが、キャビティーに供給された放射線エネルギーの周波数を調整できる任意の調整器が好適である。
【0037】
パワー調整器としては、制限するものではないが、キャビティーに供給された放射エネルギーのパワーを調整できる任意のパワー調整器が好適である。
【0038】
増幅器としては、制限するものではないが、キャビティーに供給された放射エネルギーのパワーを増幅できる任意のパワー増幅器が好適である。
【0039】
逆/順方向パワー検出手段としては、制限するものではないが、キャビティーに供給された放射エネルギーおよびキャビティーによって発生器の方に逆に反射される放射エネルギーを正確に検出できる任意の逆/順方向パワーセンサーが好適である。
【0040】
添付図面を参照して、以下の詳細な説明を読めば、本発明をより良く理解できるはずである。図面中、同じ符号は同じ素子を示す。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1A】マイクロ波加熱式クロマトグラフィーオーブン装置のマイクロ波発生、制御、調整、最適化システムの一つの実施態様を示す図である。
【図1B】マイクロ波加熱式クロマトグラフィーオーブン装置のマイクロ波発生、制御、調整、最適化システムの別な実施態様を示す図である。
【図2】図1のシステムを利用して分析を実施する方法を示すブロック図である。
【図3A】本発明の調整システムを有する分析機器の3つの実施態様を示すブロック図である。
【図3B】本発明の調整システムを有する分析機器の3つの実施態様を示すブロック図である。
【図3C】本発明の調整システムを有する分析機器の3つの実施態様を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
[発生/制御/調整システム]
図1Aについて説明すると、全体として参照符号100で示す本発明のマイクロ波オーブン装置の固体放射エネルギー発生/制御/調整システムの一実施態様は、図示のように、システムコンピュータ即ちデジタル処理ユニット(DPU)102を有する。DPU102は、RS232接続ケーブルなどの接続ケーブル104によって接続する。この接続ケーブル104は、DPU102をインターフェース106に接続する。インターフェース106は、インターフェース接続ケーブル108によって素子制御器110に接続する。素子制御器110は、制御器接続ケーブル112によって周波数調整器114に接続する。周波数調整器114は、調整器接続ケーブル116によって電圧制御振動子(VCO)118に接続する。VCO118は、VCO接続ケーブル120によってパワー調整器122に接続する。パワー調整器122は、パワー接続器接続ケーブル124によって増幅器126に、そして第2制御器接続ケーブル128によって素子制御器110に接続する。増幅器128は、増幅器接続ケーブル130によって逆/順方向パワー検出手段132に接続する。検出手段132は、第1接続ケーブル134によって制御器110に接続するとともに、双方向アナログ接続ケーブル136によって2つの熱電対(図示省略)を有するマイクロ波オーブン装置138に接続する。これら熱電対のうち一方は、オーブン装置132の加熱領域に、そして他方は、温度制御、周波数同調およびパワー制御を目的としてオーブン装置132の壁内に設ける。
【0043】
図1Bについて説明すると、全体として参照符号150で示す、本発明のマイクロ波オーブン装置の放射エネルギー発生/制御/調整システムの具体的な実施態様は、図示のように、マイクロ制御器152を有する。マイクロ制御器152は、RS232ケーブル154によってDPU156に、入力情報および出力情報を交換する双方向通信プロトコルで接続する。マイクロ制御器152は、入力フォーマットで熱電対増幅器158に接続し、この増幅器158は、マイクロ波キャビティー(オーブン)160内の熱電対に入力フォーマットで接続するとともに、第1アナログデジタル(A/D)コンバータ162に接続する。このコンバータ162は、熱電対増幅器158に入力フォーマットで接続する。さらに、マイクロ制御器152は、第2A/Dコンバータ164および第3A/Dコンバータ166に入力フォーマットで接続する。また、マイクロ制御器152は、位相ロックループ(PLL)168およびデジタルアナログ(D/A)コンバータ170にも出力フォーマットで接続する。PLL168は、電圧制御振動子(VCO)172に出力フォーマットで、そしてVCO出力172に入力フォーマットで接続する。VCO172は、第1低パワー増幅器174およびPLL168に出力フォーマットで接続する。この低パワー増幅器174は、ステップ減衰器176に出力フォーマットで接続する。ステップ減衰器176は、第2低パワー増幅器178に出力フォーマットで接続するとともに、マイクロ制御器152に入力フォーマットで接続し、ステップ減衰器176が、マイクロ制御器152および第1低パワー増幅器174の両者からの入力を受け取ることができるようにする。第2低パワー増幅器178は、アナログ減衰器180に出力フォーマットで接続する。アナログ減衰器180は、比較器182に入力フォーマットで接続するとともに、駆動増幅器184に出力フォーマットで接続する。比較器182は、D/Aコンバータ170に入力フォーマットで接続するとともに、アナログ減衰器180に出力フォーマットで接続する。駆動増幅器184は、最後の増幅器186に出力フォーマットで接続する。この最後の増幅器186は、フロントパワー検出器188に出力フォーマットで接続するとともに、第2A/Dコンバータ164および比較器182に入力フォーマットで接続する。フロントパワー検出器188は、分離器/反射パワー検出器190に出力フォーマットで接続する。分離器/反射パワー検出器190は、第3A/Dコンバータ166およびオーブン160に出力フォーマットで接続する。この場合、キャビティー160へ接続するため、供給された放射エネルギーがキャビティー160に伝達されるとともに、キャビティー160からの反射パワーが分離器/反射パワー検出器190に伝達される。
【0044】
なお、本発明の放射エネルギー発生/制御/調整システムは、電波オーブンを有する任意の放射エネルギーシステムに利用できるものである。このシステムは、機器分析以外の応用分野で使用される放射エネルギー場を制御/調整するためにも使用できる。即ち、本発明システムは、放射エネルギーの具体的な波長範囲のパワーおよび周波数を精密に制御することが必要な任意の放射エネルギー応用分野で使用される放射エネルギー場を制御/調整するために使用でき、かつ反射パワーを低減することによってオーブン性能を最適化し、そして放射エネルギーを受け取るキャビティーの周波数範囲を最適化するために使用できる。
【0045】
[マイクロ波オーブンへの放射エネルギーの発生/制御/調整方法]
次に図2について説明すると、この図は、全体として参照符号200で示すマイクロ波オーブン装置に供給されるマイクロ波エネルギーを発生/制御/調整する方法を示すブロック図である。この方法200は、最初の工程202を有する。開始後、まず、方法200では、チェック工程204で性能特性についてマイクロ波オーブンをチェックする。オーブンの扉が開いている場合には、オーブン性能工程204でチェックし、これを使用者に通知する。チェック工程204では、次の工程に移る前に、性能に関する他の問題についてもチェックし、これらを使用者に通知し、補正してもらう。次に、方法200では、最適化工程206において、供給パワー量、反射パワーの量および/または供給パワー/反射パワーの比に基いて、オーブンに供給されたマイクロ波エネルギーの周波数を同調することによって、オーブン性能を最適化する。最適化工程206では、パワーおよび/またはマイクロ波周波数を調整し、最適なオーブン性能を得る。次に、方法200では、プログラム工程208において使用者が、所望の温度プロフィルについてプログラムを作成する。なお、当業者ならば、プロフィルの実行を開始する次の工程の前の任意の時点で、この工程を実施できることを理解できるはずである。温度プロフィルは、使用者が作成してもよく、あるいはコンピュータによって作成してもよい。温度プロフィルは、開始温度、最終温度、およびオーブン温度を開始温度から最終温度即ち停止温度まで上げる少なくとも一つの温度勾配を有する。また、温度プロフィルは、複数の温度勾配(正負両者がある)および一つか複数の温度保持部分も有することができる。温度プロフィルは、サンプルに応じて、また所望の分離の形に応じてかなり簡単になることもあり、また非常に複雑になることもある。
【0046】
次に、方法200の温度調整工程210で、オーブン温度を所望の開始温度に調整する。オーブン内部のクロマトグラフィーカラムを開始温度に設定した後、注入工程212でサンプルをカラムに注入する。サンプル注入後、温度変更工程214で、温度プロフィルに従ってカラムの温度を変更する。この工程214では、オーブンに供給されるパワーの振幅も温度プロフィルに従って変更する。また、変更ステップ214では、供給される放射線の周波数を変更してカラムを最適化する。次に、分析終了工程216で、分析を終了し、オーブンを次のサンプルのために冷却する。最後に、方法200の停止工程218で、次の分析の開始を準備する。もちろん、インライン分析方法の場合には、あるいは多数のサンプルを同じ温度プロフィルを使用して分析する場合には、終了工程216後、次のサンプルの温度調整工程210に制御信号を送ることができる。この場合には、使用者が停止指令を出したときに、方法の実行を停止する。
【0047】
[発生/制御/調整システムを利用した機器]
次に、図3Aについて説明すると、全体として参照符号300で示す本発明の分析機器の一実施態様は、図示のように、サンプル供給装置302およびマイクロ波オーブン装置304を有する。この場合、サンプル供給装置302が、サンプル供給路306を介してオーブン装置304にサンプルを供給する。オーブン装置304は、加熱ゾーン308を有し、このゾーン308内にクロマトグラフィーカラム310を配置する。さらに、装置300は、固体オーブン制御器314と双方向(I/O)連絡するデジタル処理ユニット(DPU)312を有する。制御器314は、加熱ゾーン308内に設けられるか、あるいは加熱ゾーン308と直接熱接触した状態で設けられる第1オーブン熱電対316およびオーブン304の壁320内に設けられた第2オーブン熱電対318と連絡する。第1電対316については、制御器314にオーブン装置304の温度データを与えて、加熱ゾーン308内の温度を制御できるように設計する。また、第2熱電対318については、制御器314に、オーブンドアが正しく閉じているかどうか、あるいはカラムがオーブン304の加熱ゾーン内に正しく配置されているかどうかなどのオーブン特質やオーブン304の動作に悪影響する恐れのある他のオーブン特質に関するデータを与えるように構成する。制御器314については、また、オーブン304に接続して、オーブン304に放射エネルギーを供給するとともに、オーブン304からの反射放射エネルギーを受け取るように構成する。反射放射エネルギーの強度を制御器314が使用して、オーブン304に供給された放射エネルギーの振幅および周波数を調整し、オーブン性能を最適化する。また、DPU312については、使用者が作成した温度プロフィルを受け取り、このプロフィルを制御器に送り、オーブンおよびその内部のカラムが所望の温度プロフィルの作用を受けるように最適化された放射エネルギーを発生するように構成する。この制御器314が供給放射エネルギーの振幅および周波数を連続的に最適化するため、プロフィルを最適な精度で実行できる。
【0048】
また、システム300の検出/分析装置322は、オーブン出力経路324を介してオーブン装置304に接続する。サンプル供給装置302としては、ポートが一つの注入装置、自動化サンプル注入システム、サンプルループ、インラインサンプルループ、数多くのサンプルをカラムに送り込む自動化サンプルループ装置、あるいは、現在利用されているか将来利用されると考えられる分析機器に使用される他の任意のサンプル供給装置が利用できる。検出/分析装置322としては、現在利用されているか、将来開発されると考えられる酸化物検出/分析システムを利用できる。制限するものではないが、IR分光計、FTIR分光計、MS分光計、UV分光計、UV蛍光分光計、ICR分光計やその他の立体検出/分析システムなどがあり、これらを併用してもよい。
【0049】
図3Bについて説明すると、全体として参照符号300で示す本発明の分析機器の別な実施態様は、図示のように、サンプル供給装置302およびマイクロ波オーブン装置304を有する。この場合、サンプル供給装置302が、サンプル供給路306を介してオーブン装置304にサンプルを供給する。オーブン装置304は、加熱ゾーン308を有し、このゾーン308内にクロマトグラフィーカラム310を配置する。さらに、装置300は、固体オーブン制御器314と双方向(I/O)連絡するデジタル処理ユニット(DPU)312を有する。制御器314は、加熱ゾーン308内に設けられるか、あるいは加熱ゾーン308と直接熱接触した状態で設けられる第1オーブン熱電対316およびオーブン304の壁320内に設けられた第2オーブン熱電対318と連絡する。第1電対316については、制御器314にオーブン装置304の温度データを与えて、加熱ゾーン308内の温度を制御できるように設計する。また、第2熱電対318については、制御器314に、オーブンドアが正しく閉じているかどうか、あるいはカラムがオーブン304の加熱ゾーン内に正しく配置されているかどうかなどのオーブン特質やオーブン304の動作に悪影響する恐れのある他のオーブン特質に関するデータを与えるように構成する。制御器314については、また、オーブン304に接続して、オーブン304に放射エネルギーを供給するとともに、オーブン304からの反射放射エネルギーを受け取るように構成する。反射放射エネルギーの強度を制御器314が使用して、オーブン304に供給された放射エネルギーの振幅および周波数を調整し、オーブン性能を最適化する。また、DPU312については、使用者が作成した温度プロフィルを受け取り、このプロフィルを制御器に送り、オーブンおよびその内部のカラムが所望の温度プロフィルの作用を受けるように最適化された放射エネルギーを発生するように構成する。この制御器314が供給放射エネルギーの振幅および周波数を連続的に最適化するため、プロフィルを最適な精度で実行できる。
【0050】
このシステム300は、また、オーブン出力経路324によってオーブン装置304に接続した酸化ユニット326を有する。この酸化ユニット326は、酸化剤供給装置328および酸化剤供給装置328を酸化ユニット326に接続する導管330を有する。さらに、本システム300は、酸化ユニット出力経路332を介して酸化ユニット326に接続した検出/分析装置322を有する。酸化ユニット326まで走るオーブン出力経路324は、酸化即ち燃焼ユニット326の直ぐ上流に混合ユニットまたは煙霧化ユニット(図示省略)を有し、これから、完全に混合されたサンプル/酸化剤混合物を燃焼ユニット326に供給するか、あるいは噴霧化サンプル/酸化剤混合物を燃焼ユニット326に供給する。サンプル供給装置302としては、ポートが一つの注入装置、自動化サンプル注入システム、サンプルループ、インラインサンプルループ、数多くのサンプルをカラムに送り込む自動化サンプルループ装置、あるいは、現在利用されているか将来利用されると考えられる分析機器に使用される他の任意のサンプル供給装置が利用できる。検出/分析装置322としては、現在利用されているか、将来開発されると考えられる酸化物検出/分析システムを利用できる。制限するものではないが、IR分光計、FTIR分光計、MS分光計、UV分光計、UV蛍光分光計、化学発光分光計、ICR分光計やその他の立体検出/分析システムなどがあり、これらを併用してもよい。検出システムが、化学発光検出器を有している場合には、検出器にオゾン源を配置するとともに、オゾン源と検出器との間に導管を設ける。
【0051】
図3Cについて説明すると、全体として参照符号300で示す本発明の分析機器の別な実施態様は、図示のように、サンプル供給装置302およびマイクロ波オーブン装置304を有する。この場合、サンプル供給装置302が、サンプル供給路306を介してオーブン装置304にサンプルを供給する。オーブン装置304は、加熱ゾーン308を有し、このゾーン308内にクロマトグラフィーカラム310を配置する。さらに、装置300は、固体オーブン制御器314と双方向(I/O)連絡するデジタル処理ユニット(DPU)312を有する。制御器314は、加熱ゾーン308内に設けられるか、あるいは加熱ゾーン域308と直接熱接触した状態で設けられる第1オーブン熱電対316およびオーブン304の壁320内に設けられた第2オーブン熱電対318と連絡する。第1電対316については、制御器314にオーブン装置304の温度データを与えて、加熱ゾーン308内の温度を制御できるように設計する。また、第2熱電対318については、制御器314に、オーブンドアが正しく閉じているかどうか、あるいはカラムがオーブン304の加熱ゾーン内に正しく配置されているかどうかなどのオーブン特質やオーブン304の動作に悪影響する恐れのある他のオーブン特質に関するデータを与えるように構成する。制御器314については、また、オーブン304に接続して、オーブン304に放射エネルギーを供給するとともに、オーブン304からの反射放射エネルギーを受け取るように構成する。反射放射エネルギーの強度を制御器314が使用して、オーブン304に供給された放射エネルギーの振幅および周波数を調整し、オーブン性能を最適化する。また、DPU312については、使用者が作成した温度プロフィルを受け取り、このプロフィルを制御器に送り、オーブンおよびその内部のカラムが所望の温度プロフィルの作用を受けるように最適化された放射エネルギーを発生するように構成する。この制御器314が供給放射エネルギーの振幅および周波数を連続的に最適化するため、プロフィルを最適な精度で実行できる。
【0052】
このシステム300は、また、オーブン出力経路324によってオーブン装置304に接続した酸化ユニット326を有する。この酸化ユニット326は、酸化剤供給装置328および酸化剤供給装置328を酸化ユニット326に接続する導管330を有する。本システムは、また、酸化ユニット出力経路332を介して酸化ユニット326に接続した還元ユニット334を有する。この還元ユニット334は、還元剤供給装置336および還元剤供給装置336を還元ユニット334に接続する導管338を有する。さらに、本システム300は、還元ユニット出力経路340を介して還元ユニット334に接続した検出/分析装置322を有する。オーブン出力経路324は、酸化即ち燃焼ユニット326の直ぐ上流に混合ユニットまたは煙霧化ユニット(図示省略)を有し、これから、完全に混合されたサンプル/酸化剤混合物を燃焼ユニット326に供給するか、あるいは噴霧化サンプル/酸化剤混合物を燃焼ユニット326に供給する。サンプル供給装置302としては、ポートが一つの注入装置、自動化サンプル注入システム、サンプルループ、インラインサンプルループ、数多くのサンプルをカラムに送り込む自動化サンプルループ装置、あるいは、現在利用されているか将来利用されると考えられる分析機器に使用される他の任意のサンプル供給装置が利用できる。検出/分析装置322としては、現在利用されているか、将来開発されると考えられる酸化物検出/分析システムを利用できる。制限するものではないが、IR分光計、FTIR分光計、MS分光計、UV分光計、UV蛍光分光計、化学発光分光計、ICR分光計やその他の立体検出/分析システムなどがあり、これらを併用してもよい。検出システムが、化学発光検出器を有している場合には、検出器にオゾン源を配置するとともに、オゾン源と検出器との間に導管を設ける。
【0053】
本開示において言及した従来例はいずれも本発明に援用するものである。なお、本発明を好適な実施態様について説明してきたが、当業者ならば、以上説明し、かつ特許請求の範囲に記載した発明の範囲および精神から逸脱しなくても各種の適正な変更などが可能であることを理解できるはずである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
双方向デジタル処理ユニット(DPU)インターフェースを有する制御器、
周波数調整器、
パワー調整器、
増幅器、
反射/順方向パワー検出手段、および
少なくとも一つの温度検出器のアナログ入力を有し、
最適化された放射エネルギー場を放射エネルギーキャビティーに供給し、このキャビティー内に配置された被加熱体を加熱プロフィルに従って加熱できるように構成したことを特徴とする放射エネルギーパワー発生装置。
【請求項2】
上記放射エネルギーが、マイクロ波エネルギー、電波エネルギー、あるいは被加熱領域を加熱できるその他の放射エネルギーである請求項1に記載の装置。
【請求項3】
上記放射エネルギーがマイクロ波エネルギーである請求項2に記載の装置。
【請求項4】
クロマトグラフィー分析機器であって、被加熱体がクロマトグラフィーカラムである請求項3に記載の装置。
【請求項5】
さらに、
サンプル搬送システム、および
検出/分析システムを有し、
上記サンプル搬送システムによって、オーブン内に配置された上記カラムにサンプルを搬送し、上記検出/分析システムによってサンプル成分がカラムから出る間にサンプル成分を検出する請求項4に記載の装置。
【請求項6】
さらに、上記検出/分析システム上流に設けられた酸化システムを有し、
上記酸化システムによって、上記成分の一部を対応する酸化物に転換し、上記検出/分析システムによって、カラムから出る間に、一種かそれ以上の酸化されたサンプル成分を検出する請求項5に記載の装置。
【請求項7】
さらに、上記検出/分析システムの上流であって、上記酸化システムの下流に設けられた還元システムを有し、
上記還元システムによって、酸化された成分の一部を対応する還元された種に転換し、上記検出/分析システムによって、上記還元システムを出る間に、一種かそれ以上の還元された種を検出する請求項6に記載の装置。
【請求項8】
放射エネルギーパワー発生/調整装置であって、
双方向デジタル処理ユニットインターフェースを有するマイクロ制御器、
放射エネルギーキャビティー内に配置された少なくとも一つの温度センサーに入力連絡するとともに、上記マイクロ制御器に出力連絡する温度センサー増幅器、
上記温度センサー増幅器と入力連絡するとともに、上記マイクロコンピュータに出力連絡し、アナログ温度センサー出力をデジタル温度センサー出力に変換する第1アナログ/デジタル(A/D)コンバータ、
上記マイクロ制御器に出力連絡し、上記発生/調整装置が発生する放射エネルギーの位相を制御する位相ロックループ、
上記位相ロックループに入力連絡するとともに、上記位相ロックループに出力連絡する電圧制御振動子、
上記電圧制御振動子に入力連絡する第1低パワー増幅器、
上記第1低パワー増幅器に出力連絡するステップ減衰器、
上記ステップ減衰器に出力連絡する第2低パワー増幅器、
上記第2低パワー増幅器に出力連絡するアナログ減衰器、
上記アナログ減衰器に出力連絡する駆動増幅器、
上記駆動増幅器に出力連絡する最後の増幅器、
上記最後の増幅器に出力連絡するフロントパワー検出器、
上記フロントパワー検出器に出力連絡するとともに、放射エネルギーキャビティーに放射エネルギー連絡する分離器/逆方向パワー検出器、
上記マイクロ制御器に出力連絡するデジタル/アナログコンバータ、
上記デジタル/アナログコンバータおよび上記フロントパワー検出器に出力連絡し、出力を上記アナログ減衰器に入力する比較器、
上記マイクロ制御器に出力連絡するとともに、上記フロントパワー検出器に入力連絡する第2A/Dコンバータ、および
上記マイクロ制御器に出力連絡するとともに、上記分離器に入力連絡する第3A/Dコンバータを有し、
上記放射エネルギーキャビティーに最適化された放射エネルギー場を供給し、上記キャビティー内に配置された被加熱体を加熱プロフィルに従って加熱できることを特徴とする放射エネルギーパワー発生/調整装置。
【請求項9】
上記放射エネルギーが、マイクロ波エネルギー、電波エネルギー、あるいは被加熱領域を加熱できるその他の放射エネルギーである請求項8に記載の装置。
【請求項10】
上記放射エネルギーがマイクロ波エネルギーである請求項9に記載の装置。
【請求項11】
クロマトグラフィー分析機器であって、被加熱体がクロマトグラフィーカラムである請求項10に記載の装置。
【請求項12】
さらに、
サンプル搬送システム、および
検出/分析システムを有し、
上記サンプル搬送システムによって、オーブン内に配置された上記カラムにサンプルを搬送し、上記検出/分析システムによってサンプル成分がカラムから出る間にサンプル成分を検出する請求項11に記載の装置。
【請求項13】
さらに、上記検出/分析システム上流に設けられた酸化システムを有し、
上記酸化システムによって、上記成分の一部を対応する酸化物に転換し、上記検出/分析システムによって、カラムから出る間に、一種かそれ以上の酸化されたサンプル成分を検出する請求項12に記載の装置。
【請求項14】
さらに、上記検出/分析システムの上流であって、上記酸化システムの下流に設けられた還元システムを有し、
上記還元システムによって、酸化された成分の一部を対応する還元された種に転換し、上記検出/分析システムによって、上記還元システムを出る間に、一種かそれ以上の還元された種を検出する請求項13に記載の装置。
【請求項15】
キャビティーが完全な状態にあるか、そしてキャビティー内の被加熱体の位置が適正であるかどうかについて放射エネルギー加熱式キャビティーをチェックする工程、
上記キャビティーまたはキャビティー内部の被加熱体の位置に関して何らかの問題が発生した場合にはこれを使用者に通知する工程、
所望のパワーレベルでかつ所望の放射エネルギー周波数範囲内において上記キャビティーに放射エネルギーを供給する工程、
供給されたパワーおよび反射されたパワーを測定する工程、
上記キャビティーに供給されたパワーおよび/または放射エネルギー周波数範囲を調整する工程、
使用者が作成した温度プロフィルまたは自動温度プロフィルに従って被加熱体を開始温度に調整する工程、
供給されたパワーまたはパワーおよび周波数を調整して、目的の温度に達するまで上記プロフィルに従って被加熱体の温度を変更する工程、および
上記キャビティーへのパワーの供給を中断して、被加熱体を冷却する工程を有することを特徴とする方法。
【請求項16】
上記放射エネルギーが、マイクロ波エネルギー、電波エネルギー、あるいは被加熱領域を加熱できるその他の放射エネルギーである請求項15に記載の方法。
【請求項17】
上記放射エネルギーがマイクロ波エネルギーである請求項16に記載の方法。
【請求項18】
上記キャビティーが、内部にクロマトグラフィーカラムを配置したマイクロ波オーブンからなる請求項17に記載の方法。
【請求項19】
さらに、上記プロフィルに従って加熱する前に、搬送システムからサンプルを上記カラムに搬送し、上記カラムおよび上記プロフィルによって、目的とするサンプル成分の分離を実現する工程、および
上記カラム内での分離後、上記成分を検出/分析システムへ送り、この検出/分析システムによって、上記カラムから出る間にサンプル成分を検出する工程を有する請求項18に記載の方法。
【請求項20】
さらに、上記のサンプルを送る工程に先立って、酸化システムで、上記カラムから出るサンプル成分を酸化してサンプル成分の一部を対応する酸化物に転換し、上記検出/分析システムによって、上記酸化システムを出る間に、一種かそれ以上のサンプル成分を検出する工程を有する請求項19に記載の方法。
【請求項21】
さらに、上記酸化工程後に、還元システムで上記酸化物の一部を還元された種に還元し、上記検出/分析システムによって、上記還元システムを出る間に、還元された種の一種かそれ以上を検出する工程を有する請求項20に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【公表番号】特表2010−536030(P2010−536030A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−519913(P2010−519913)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/009124
【国際公開番号】WO2009/020530
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(510030962)ピーエイシー,エルピー (2)
【氏名又は名称原語表記】PAC,LP
【住所又は居所原語表記】8824 Fallbrook Drive,Houston,Texas 77064 United States of America