説明

ガスケット材及びガスケット材の製造方法

【課題】圧縮性材料の層をコーティングしたガスケット材の特性を活かし、更に、シール性・耐熱性等を向上させるようにしたガスケット材とその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】金属板1と、石綿以外の圧縮性無機繊維及び圧縮性有機繊維からなる基材繊維、ゴム材、ゴム薬品、無機充填材を含有し、上記金属板の表面に耐熱性接着剤2を介して貼着一体とされたゴムコンパウンド層3と、該ゴムコンパウンド層の表面に被着形成された発泡グラファイト層4とよりなるガスケット材Aであって、上記発泡グラファイト層4は、グラファイト粒子と、該グラファイト粒子を層内に固定させる為のバインダーとよりなり、該バインダーは多数の独立気泡を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種ガスケットの基材として用いられるガスケット材に係り、特に金属板の表面に圧縮性材料の層をコーティングしたガスケット材とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような金属板の表面に圧縮性材料の層をコーティングしたガスケット材としては、特許文献1或いは特許文献2に開示されたガスケット材が挙げられる。特許文献1には、圧縮性基材繊維とゴム材とを主成分とするゴムコンパウンドの層を金属板の表面にコーティングしてなるガスケット材が開示され、また、特許文献2には、金属板の表面に有機繊維或いは無機繊維を含むゴム発泡層を形成したガスケット材が開示されている。これらはいずれも金属板を基材としているから、強度が大であり、金型等による打抜き加工の際の寸法精度やシール部への組付け作業性に優れ、また、圧縮性材料の層を備えているから、エンボス加工等も容易であり、更には、基材繊維の担持性によりゴム材の横流れもなく、シール性、耐熱性に優れ、各種ガスケット基材として広く用いられるようになった。特許文献1のガスケット材は、更に、ゴムコンパウンドの層の表面にグラファイト層を形成して、被シール面間の摺動性を確保し、シール部の締付時の被シール面同士の歪を吸収するようにし、圧縮性材料の層による効果との相乗効果によりシール性がより高められるようになされている。
【特許文献1】特公平6−84785号公報
【特許文献2】特許第2614772号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように、特許文献1、2に開示されたガスケット材は、その優れた特性から、各種シール部に広く用いられているが、被シール面に微小な凹凸がある場合には、これを完全に吸収し得ない為にシール性が十分に得られず、高度なシール性が要求される部位へ適用するにはまだ不十分さがあることは否めなかった。また、特許文献1のガスケット材は、圧縮性材料の層の表面に更にグラファイト層が形成されているので、耐熱性に優れ、被シール面との滑り特性が良くシール性が良好であるが、上記同様被シール面に微小な凹凸がある場合の追随性が十分でなく、上記同様の問題点が指摘されていた。
【0004】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、圧縮性材料の層をコーティングしたガスケット材の特性を活かし、更に、シール性・耐熱性等を向上させるようにしたガスケット材とその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明に係るガスケット材は、金属板と、石綿以外の圧縮性無機繊維及び圧縮性有機繊維からなる基材繊維、ゴム材、ゴム薬品、無機充填材を含有し、上記金属板の表面に耐熱性接着剤を介して貼着一体とされたゴムコンパウンド層と、該ゴムコンパウンド層の表面に被着形成された発泡グラファイト層とよりなり、上記発泡グラファイト層は、グラファイト粒子と、該グラファイト粒子を層内に固定させる為のバインダーとよりなり、該バインダーは多数の独立気泡を含むことを特徴とする。
【0006】
本発明における前記発泡グラファイト層は、請求項2の発明のように、バインダーとしての未架橋の樹脂又はゴム材に、グラファイト粒子とミクロ状発泡粒子とを混合し、前記ゴムコンパウンド層の表面に塗布した後、加熱して上記バインダーを架橋させることによって形成されたもの、或いは、請求項3の発明のように、バインダーとしての未架橋の樹脂又はゴム材に、グラファイト粒子と予め定められた直径に熱膨張させた樹脂製マイクロバルーンとを混合し、前記ゴムコンパウンド層の表面に塗布した後、マイクロバルーン樹脂の溶融温度未満の温度で加熱して上記バインダーを架橋させることによって形成されたものとすることができる。
【0007】
請求項2の発明におけるミクロ状発泡粒子としては、特許文献2に記載のように、発泡性マイクロカプセル或いはマイクロバルーンと呼ばれる発泡粒子が好ましく採用される。前者の発泡性マイクロカプセルはバインダーに混合した後、バインダーの加熱架橋時に発泡(カプセル化)させるものであり、後者のマイクロバルーンは、事前に発泡させてバルーン化したものを未架橋のバインダーに混合させて用いるものである。また、請求項3の発明におけるマイクロバルーンは、請求項2の発明のミクロ状発泡粒子を構成するマイクロバルーンと実質的に同じであるが、バインダーを架橋させる際の温度が、マイクロバルーンを構成する外殻樹脂の溶融温度未満であることが望ましく、溶融温度以上である場合には、外殻樹脂が膨張或いは破裂し、所望の大きさの独立気泡が形成されなくなる。
【0008】
請求項4の発明に係るガスケット材は、金属板と、石綿以外の圧縮性無機繊維及び圧縮性有機繊維からなる基材繊維、ゴム材、ゴム薬品、無機充填材を含有し、上記金属板の表面に耐熱性接着剤を介して貼着一体とされたゴムコンパウンド層と、該ゴムコンパウンド層の表面に被着形成された膨張黒鉛層とよりなり、上記膨張黒鉛層は、膨張黒鉛粒子と、該膨張黒鉛粒子を層内に固定させる為のバインダーとよりなることを特徴とする。
【0009】
請求項5及び請求項6の発明は、夫々、請求項2及び請求項3の発明に係るガスケットの製造方法であって、前者の発明は、予め耐熱性接着剤が塗布された金属板の表面に、石綿以外の圧縮性無機繊維及び圧縮性有機繊維からなる基材繊維、ゴム材、ゴム薬品、無機充填材を含有するゴムコンパウンドをコーティングしてゴムコンパウンド層を形成し、このゴムコンパウンド層の表面に、グラファイト粒子とミクロ状発泡粒子とを混合したバインダーとしての未架橋の樹脂又はゴム材を塗布した後、加熱して上記バインダーを架橋させることによって発泡グラファイト層を形成することを特徴とし、後者の発明は、上記同様のゴムコンパウンド層の表面に、グラファイト粒子と予め定められた直径に熱膨張させた樹脂製マイクロバルーンとを混合したバインダーとしての未架橋の樹脂又はゴム材を塗布した後、マイクロバルーン樹脂の溶融温度未満の温度で加熱して上記バインダーを架橋させることによって発泡グラファイト層を形成することを特徴とする。
【0010】
請求項7の発明は、請求項4の発明に係るガスケットの製造方法であって、上記同様のゴムコンパウンド層の表面に、膨張黒鉛粒子を混合したバインダーとしての未架橋の樹脂又はゴム材を塗布した後、加熱して上記バインダーを架橋させることによって膨張黒鉛層を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1或いは請求項4の発明に係るガスケット材においては、石綿以外の圧縮性無機繊維及び圧縮性有機繊維からなる基材繊維とゴム材とのコンパウンドが金属板にコーティングされているから耐熱性に優れ、また、ゴムコンパウンド層の横流れ、剥離が生じにくく、トルク保持性にも優れる。そして、被シール面の微小な凹凸は、発泡グラファイト層或いは膨張黒鉛層の特有の弾性によって吸収されるから、グラファイト層或いは膨張黒鉛層の保有する摺動性に加えてシール性が向上し、この両特性と圧縮性材料の層をコーティングしたガスケット材の特性とが相乗して、自動車エンジンのシリンダボア周りのように強い締結力が付加される部分でのシール適性が飛躍的に増大する。更に、請求項4の発明に係るガスケット材の場合、膨張黒鉛層によって耐熱温度がより高くなり、その適用範囲が広くなる。
【0012】
そして、請求項2或いは請求項5の発明のように、発泡グラファイト層の形成にミクロ発泡粒子を用いるようにすれば、極めて微細な独立気泡を含む発泡グラファイト層を得ることができ、ゴムコンパウンド層の表面の微小な凹凸の吸収作用が頗る好適になされる。また、請求項3或いは請求項6の発明のように、発泡グラファイト層の形成に予め定められた直径に熱膨張させた樹脂製マイクロバルーンを用い、マイクロバルーン樹脂の溶融温度未満の温度で加熱してバインダーを架橋させるようにすれば、所定の直径の独立気泡を含む発泡グラファイト層が確実に得られ、使用部位に応じた設計自由度が向上する。更に、請求項7の発明のような方法で膨張黒鉛層を形成することは極めて容易であり、上記のように優れた特性を有するガスケット材が簡易に得られ、その実用価値は大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の最良の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1は本発明のガスケット材の一実施形態を示す断面図、図2〜図4は他の実施形態を示す同様図である。
【0014】
図1のガスケット材Aは、SPCC鋼板等の金属板1の両面全面に、耐熱性接着剤層2、2を介し、ゴムコンパウンド層3、3及び発泡グラファイト層又は膨張黒鉛層(以下、総称してグラファイト層と言う)4、4を積層一体としたものである。図2のガスケット材Bは、上記同様の金属板1の片面全面に、耐熱性接着剤層2を介し、ゴムコンパウンド層3及びグラファイト層4を積層一体とし、また、図3のガスケット材Cは、金属板1の片面全面に、耐熱性接着剤層2を介してゴムコンパウンド層3を積層し、該ゴムコンパウンド層3の表面の一部分にグラファイト層4を積層一体とし、更に、図4のガスケット材Dは、金属板1の片面の一部分に、耐熱性接着剤層2を介してゴムコンパウンド層3を積層し、その表面にグラファイト層4を積層一体としたものである。これらの形態は、使用部位の条件に応じて適宜選択採用されるものであり、特に、図3及び図4のガスケット材C及びガスケット材Dは、例えば、エンジンのシリンダヘッドガスケットに使用され、グラファイト層4の形成部位がシリンダボア周りに位置するよう設計される。
【実施例1】
【0015】
以下の組成で、ゴムコンパウンド及びグラファイト層組成物を調製した。
(1)ゴムコンパウンドの調製;
ガラス繊維(圧縮性無機繊維)30重量部、フィブリル化した芳香族ポリアミド繊維(圧縮性有機繊維、商品名ケプラーパルプ、デュポン社製)10重量部、未加硫のニトリルゴム(NBR)16重量部、ゴム薬品4重量部及び無機充填材40重量部を混練してゴムコンパウンドを調製した。
(2)グラファイト層組成物の調製;
バインダーとしての未架橋のシリコーンゴム(商品名KE1031、信越化学工業社製)100重量部に、グラファイト粒子(商品名F#1、日本黒鉛工業社製)300重量部及び発泡性マイクロカプセル(商品名エクスパンセル461、ケマノーベル社製)15重量部を混練しグラファイト層組成物を調製した。
【0016】
上記組成のゴムコンパウンドを、予め耐熱性接着剤が塗布された厚さ0.3mmのSPCC鋼板(金属板)の両面にコーティングし、この表面に上記組成のグラファイト層組成物を塗布した後、140〜160℃の温度で30〜40分間加熱処理して図1に示すようなガスケット材Aを得た。ここでの加熱温度は、ゴムコンパウンド中のゴム材が加硫される温度、及びグラファイト層組成物中のバインダー樹脂が架橋する温度である。この加熱処理によって、ゴムコンパウンド層3においては、加硫ゴム層内において上記圧縮性繊維が絡み合うように且つ圧縮性繊維に加硫ゴムが担持一体とされ、またグラファイト組成物は、発泡性マイクロカプセルの内包ガスが膨張してカプセル化し、バインダー樹脂の架橋と共にグラファイト粒子が層内に固定化され且つ多数の独立気泡を含んだグラファイト層4となる。本ガスケット材Aにおいては、夫々のゴムコンパウンド層3の厚さは100〜200μ、グラファイト層4の厚さは2〜3μとされる。
【0017】
本実施例のガスケット材Aは、ゴムコンパウンド層3内に上記圧縮性無機繊維及び圧縮性有機繊維からなる基材繊維とゴム材とが担持一体とされているから、耐熱温度に優れ、ゴムコンパウンド層3の厚さを200μ程度にしてもゴム材の横流れが生じず、剥離が生じにくくなり、また、トルク保持性も向上する。更に、グラファイト層4は多数の独立気泡を含むから、被シール面に微小な凹凸があってもこれを吸収し、グラファイト粒子の摺動特性とも相俟って、優れたシール性が得られる。図2〜図4の形態のガスケット材B〜Dにおいても同様の特性が得られる。
【実施例2】
【0018】
以下の組成で、ゴムコンパウンド及びグラファイト層組成物を調製した。
(1)ゴムコンパウンドの調製;実施例1と同様の配合でゴムコンパウンドを調製した。
(2)グラファイト層組成物の調製;
バインダーとしての未架橋のシリコーンゴム(商品名KE1031、信越化学工業社製)100重量部に、グラファイト粒子(商品名F#1、日本黒鉛工業社製)300重量部及びマイクロバルーン(発泡性マイクロカプセル(商品名エクスパンセル461、ケマノーベル社製)を予め発泡させたもの)15重量部を混練しグラファイト層組成物を調製した。
【0019】
上記組成のゴムコンパウンドを、予め耐熱性接着剤が塗布された厚さ0.3mmのSPCC鋼板(金属板)の両面にコーティングし、この表面に上記組成のグラファイト層組成物を塗布した後、140〜160℃の温度で30〜40分間加熱処理して図1に示すようなガスケット材Aを得た。ここでの加熱温度は、ゴムコンパウンド中のゴム材が加硫される温度、グラファイト層組成物中のバインダー樹脂が架橋する温度であり、且つマイクロバルーンの外殻を構成する樹脂の溶融温度未満の温度である。この加熱処理によって、ゴムコンパウンド層3においては、加硫ゴム層内に上記圧縮性繊維が絡み合うように且つ圧縮性繊維に加硫ゴムが担持一体とされ、またグラファイト組成物は、マイクロバルーンの中空殻体の形状が維持され、バインダー樹脂の架橋と共にグラファイト粒子が固定化され且つ多数の独立気泡を含むグラファイト層4となる。本ガスケット材Aにおいても、夫々のゴムコンパウンド層3の厚さ及びグラファイト層4の厚さは上記と同様とされ、上記と同様の優れた特性が得られる。また、図2〜図4の形態のガスケット材B〜Dにおいても同様の特性が得られる。
【実施例3】
【0020】
以下の組成で、ゴムコンパウンド及びグラファイト層組成物を調製した。
(1)ゴムコンパウンドの調製;実施例1と同様の配合でゴムコンパウンドを調製した。
(2)グラファイト層組成物の調製;
バインダーとしての未架橋のシリコーンゴム(商品名KE1031、信越化学工業社製)100重量部に、膨張黒鉛粒子(日立化成工業社製)300重量部を混練してグラファイト層組成物を調製した。
【0021】
上記組成のゴムコンパウンドを、予め耐熱性接着剤が塗布された厚さ0.3mmのSPCC鋼板(金属板)の両面にコーティングし、この表面に上記組成のグラファイト層組成物を塗布した後、140〜160℃の温度で30〜40分間加熱処理して図1に示すようなガスケット材Aを得た。ここでの加熱温度は、ゴムコンパウンド中のゴム材が加硫される温度、グラファイト層組成物中のバインダー樹脂が架橋する温度である。この加熱処理によって、ゴムコンパウンド層3においては、加硫ゴム層内に上記圧縮性繊維が絡み合うように且つ圧縮性繊維に加硫ゴムが担持一体とされ、またグラファイト組成物は、膨張黒鉛粒子がバインダー樹脂の架橋と共に層内に固定化されたグラファイト層4となる。本ガスケット材Aにおいては、グラファイト層4に含まれる膨張黒鉛粒子の性状に基づく弾性によって、被シール面に微小な凹凸があってもこれを吸収し、膨張黒鉛粒子の摺動特性とも相俟って、優れたシール性が得られる。また、膨張黒鉛粒子によって耐熱温度が高くなり、高温部での使用適性が増大する。
【0022】
上記実施例においては、金属板としてSPCC鋼板を用いているが、アルミニウム板やステンレス鋼板等も用いることができる。また、圧縮性無機繊維としては、上記ガラス繊維以外の無機繊維、例えば、セラミック繊維、岩綿、鉱滓綿、溶融石英繊維、化学処理高シリカ繊維、溶融硅酸アルミナ繊維、アルミナ連続繊維、安定化ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、チタン酸アルカリ繊維、ウィスカー、ボロン繊維、炭素繊維、金属繊維等を用いることもできる。一方、圧縮性有機繊維としては、上記芳香族ポリアミド繊維以外の有機繊維、例えばポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリ尿素系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリフルオロカーボン系繊維、フェノール繊維、セルロース系繊維等を用いることもできる。
【0023】
また、ゴムコンパウンドを構成するゴム材としては、NBR以外のゴム材、例えばスチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、フッ素ゴム(FPM)、シリコーンゴム(Si)、クロロスルフォン化ポリエチレン(CSM)、エチレン酢ビゴム(EVA)、塩化ポリエチレン(CPE)、塩化ブチルゴム(CIR)、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、ニトリルイソプレンゴム(NIR)、天然ゴム(NR)等を用いることもできる。また、これらのゴム材、例えばSBRにナフテン系のプロセス油が添加された油展ゴムもゴム材として用いることができる。
【0024】
ゴム薬品としては、硫黄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、過酸化物、ジニトロリベンゼン等の加硫剤、およびチアゾール系化合物、ポリアミン系化合物、スルフェンアミド系化合物、ジチオカルバメート系化合物、アルデヒドアミン系化合物、グアニジン系化合物、チオ尿素系化合物、キサンテート系化合物等の加硫促進剤を用いることができる。更に、無機充填材としては、クレー、タルク、硫酸バリウム、重炭酸ナトリウム、グラファイト、硫酸鉛、トリポリ石、ウォラストナイト等を用いることができる。
【0025】
また、グラファイト層組成物におけるバインダーとしては、上記シリコーンゴム及びゴムコンパウンドを構成するゴム材や、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の樹脂が採用可能である。更に、ミクロ状発泡粒子、マイクロバルーン等も、実施例のもの以外に、松本油脂製薬社製の熱可塑性又は熱架橋性「マイクロスフェアー」等及びこれを予め発泡させたもの等が採用可能である。
【0026】
尚、本発明のガスケット材の形態は、図1〜図4に例示したものに限らず、使用部位に応じて適宜形状に成形されて用いられることは言うまでもない。また、その適用範囲は、自動車エンジンのシリンダヘッドガスケットに限らず、内燃機関の各種ガスケット、その他の要シール部等に広く及ぶものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のガスケット材の一実施形態を示す断面図である。
【図2】他の実施形態を示す図1と同様図である。
【図3】他の実施形態を示す図1と同様図である。
【図4】他の実施形態を示す図1と同様図である。
【符号の説明】
【0028】
1 金属板
2 耐熱性接着剤
3 ゴムコンパウンド層
4 グラファイト層(発泡グラファイト層又は膨張黒鉛層)
A ガスケット材
B ガスケット材
C ガスケット材
D ガスケット材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板と、石綿以外の圧縮性無機繊維及び圧縮性有機繊維からなる基材繊維、ゴム材、ゴム薬品、無機充填材を含有し、上記金属板の表面に耐熱性接着剤を介して貼着一体とされたゴムコンパウンド層と、該ゴムコンパウンド層の表面に被着形成された発泡グラファイト層とよりなり、
上記発泡グラファイト層は、グラファイト粒子と、該グラファイト粒子を層内に固定させる為のバインダーとよりなり、該バインダーは多数の独立気泡を含むことを特徴とするガスケット材。
【請求項2】
請求項1に記載のガスケット材において、
前記発泡グラファイト層が、バインダーとしての未架橋の樹脂又はゴム材に、グラファイト粒子とミクロ状発泡粒子とを混合し、前記ゴムコンパウンド層の表面に塗布した後、加熱して上記バインダーを架橋させることによって形成されたものであることを特徴とするガスケット材。
【請求項3】
請求項1に記載のガスケット材において、
前記発泡グラファイト層が、バインダーとしての未架橋の樹脂又はゴム材に、グラファイト粒子と予め定められた直径に熱膨張させた樹脂製マイクロバルーンとを混合し、前記ゴムコンパウンド層の表面に塗布した後、マイクロバルーン樹脂の溶融温度未満の温度で加熱して上記バインダーを架橋させることによって形成されたものであることを特徴とするガスケット材。
【請求項4】
金属板と、石綿以外の圧縮性無機繊維及び圧縮性有機繊維からなる基材繊維、ゴム材、ゴム薬品、無機充填材を含有し、上記金属板の表面に耐熱性接着剤を介して貼着一体とされたゴムコンパウンド層と、該ゴムコンパウンド層の表面に被着形成された膨張黒鉛層とよりなり、
上記膨張黒鉛層は、膨張黒鉛粒子と、該膨張黒鉛粒子を層内に固定させる為のバインダーとよりなることを特徴とするガスケット材。
【請求項5】
予め耐熱性接着剤が塗布された金属板の表面に、石綿以外の圧縮性無機繊維及び圧縮性有機繊維からなる基材繊維、ゴム材、ゴム薬品、無機充填材を含有するゴムコンパウンドをコーティングしてゴムコンパウンド層を形成し、このゴムコンパウンド層の表面に、グラファイト粒子とミクロ状発泡粒子とを混合したバインダーとしての未架橋の樹脂又はゴム材を塗布した後、加熱して上記バインダーを架橋させることによって発泡グラファイト層を形成することを特徴とするガスケット材の製造方法。
【請求項6】
予め耐熱性接着剤が塗布された金属板の表面に、石綿以外の圧縮性無機繊維及び圧縮性有機繊維からなる基材繊維、ゴム材、ゴム薬品、無機充填材を含有するゴムコンパウンドをコーティングしてゴムコンパウンド層を形成し、このゴムコンパウンド層の表面に、グラファイト粒子と予め定められた直径に熱膨張させた樹脂製マイクロバルーンとを混合したバインダーとしての未架橋の樹脂又はゴム材を塗布した後、マイクロバルーン樹脂の溶融温度未満の温度で加熱して上記バインダーを架橋させることによって発泡グラファイト層を形成することを特徴とするガスケット材の製造方法。
【請求項7】
予め耐熱性接着剤が塗布された金属板の表面に、石綿以外の圧縮性無機繊維及び圧縮性有機繊維からなる基材繊維、ゴム材、ゴム薬品、無機充填材を含有するゴムコンパウンドをコーティングしてゴムコンパウンド層を形成し、このゴムコンパウンド層の表面に、膨張黒鉛粒子を混合したバインダーとしての未架橋の樹脂又はゴム材を塗布した後、加熱して上記バインダーを架橋させることによって膨張黒鉛層を形成することを特徴とするガスケット材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−16976(P2007−16976A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−202031(P2005−202031)
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【出願人】(000225359)内山工業株式会社 (204)
【Fターム(参考)】