説明

ガスケット

【課題】 シール性が高くかつ成形性にすぐれたガスケットを提供すること。
【解決手段】 本発明のガスケット1は、対向配置される二部材の対向面のいずれか一方にガスケットを取付ける取り付け溝が形成され、取り付け溝に挿入して取付けられて二部材間のすき間を密閉するガスケットにおいて、取り付け溝の側壁と対向する側面2a,2bの少なくとも一方に突出したリブ30,31をもち、リブ30,31がガスケット1の高さ方向に振幅をもって、長さ方向に連続的に形成された波状を有することを特徴とする。本発明のガスケットは、側面にリブをもったことで取り付け溝に挿入したときにガスケットの倒れが防止でき、所望のシール面圧を確保できるとともに、アンダーカットとなる部分が存在しなくなることで簡単に成形することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二部材間の対向面をシールするガスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
対向配置される二部材の対向面を密封するために、二部材の対向面間にガスケットが挟まれて装着される。ガスケットは、二部材の対向面のいずれか一方に形成した取り付け溝に挿入され、この二部材の対向面を密着させ、ガスケットを弾性変形を生じさせることでシールしている。
【0003】
取り付け溝に挿入して使用されるガスケットは、たとえば、特許文献1〜4に記載されている。これらのガスケットは、脱落や倒れを防止するために側面の一部に突出部がもうけられている。
【0004】
特許文献1〜3には、ガスケットの側面に間隔を隔てて突出部がもうけられている。このようなガスケットは、突出部がもうけられている部分においては脱落や倒れを防止することができるが、突出部がない部分においてはこれらの効果がなく不安定になっていた。
【0005】
これに対し、特許文献4のガスケットは、突出部が連続してリブを形成している。しかしながら、このガスケットは、一方の側面に2本のリブが形成されており、それぞれのリブの間がアンダーカットとなることから成形性が悪いという問題があった。
【特許文献1】実開昭63−11971号公報
【特許文献2】実開平5−52437号公報
【特許文献3】実開平7−18068号公報
【特許文献4】特開2004−204941号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、シール性が高くかつ成形性にすぐれたガスケットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明者はガスケットについて検討を重ねた結果本発明をなすに至った。
【0008】
本発明のガスケットは、対向配置される二部材の対向面のいずれか一方にガスケットを取付ける取り付け溝が形成され、取り付け溝に挿入して取付けられて二部材間のすき間を密閉するガスケットにおいて、取り付け溝の側壁と対向する側面の少なくとも一方に突出したリブをもち、リブがガスケットの高さ方向に振幅をもって、長さ方向に連続的に形成された波状を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のガスケットは、側面にリブをもったことで取り付け溝に挿入したときにガスケットの倒れが防止でき、所望のシール面圧を確保できる。また、リブが波状をなしたことで、一本のリブ以外に側面から突出しなくなっており、リブの上下に側面から突出してアンダーカットとなる部分が存在しなくなっている。この結果、簡単に成形することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のガスケットは、対向配置される二部材の対向面のいずれか一方にガスケットを取付ける取り付け溝が形成され、取り付け溝に挿入して取付けられて二部材間のすき間を密閉する。
【0011】
そして、ガスケットは、取り付け溝の側壁と対向する側面の少なくとも一方に突出したリブをもち、リブがガスケットの高さ方向に振幅をもって、長さ方向に連続的に形成された波状を有する。このリブにより部分的にガスケットの幅が拡張され、ガスケットの倒れが防止される。リブが、ガスケットの少なくとも一方の側面にもうけられることで、ガスケットの倒れを防止する効果を発揮できる。
【0012】
また、本発明のガスケットのリブは、二部材間のすき間を密閉する力が加えられていない状態において、ねじれ等のガスケットの変形を規制する。つまり、取り付け溝に挿入した状態での形状変化が抑えられ、ガスケットに設計通りの力が加わることとなり、シールライン上で均一に圧縮させることができる。この結果、高いシール性を得られる。
【0013】
本発明のガスケットにおいてリブは、取り付け溝の側壁と対向する側面の少なくとも一方に形成されていればよいが、背向する両側面にもうけられるほうが好ましい。両側面にリブがもうけられることで、リブの形成の効果がより発揮される。
【0014】
本発明のガスケットにおいてリブが形成する波状とは、ガスケットの側面から突出したリブの先端部の位相が高さ方向に振幅をもって、長さ方向に連続的に形成された形状である。リブが形成する波状は、リブの先端部が周期的に変化する形状であることが好ましい。また、リブが形成する波形は、特に限定されるものではなく、正弦波、三角波、矩形波等の波形とすることができる。
【0015】
本発明のガスケットにおいて、リブが両側面に形成されたときに、それぞれの側面に形成されたリブは、同じ波形であっても異なる波形であってもどちらでもよい。好ましくは同じ波形である。そして、同じ波形のリブが両側面に形成されたときに、ガスケットの長さ方向において、リブの位相が同じであっても異なっていてもいずれでもよい。
【0016】
波状のリブの振幅(ガスケットの高さ方向における一つの山の頂点から隣接した谷の頂点までの長さ)は、ガスケットの高さの10〜90%であることが好ましい。また、波状のリブの周期(ガスケットの長さ方向における一つの頂点から隣接した頂点までの長さ)は、ガスケットの高さの50〜500%であることが好ましい。ここで、ガスケットの高さとは、ガスケットが挿入される取り付け溝の深さ方向における長さを示す。
【0017】
本発明のガスケットは、側面に波状のリブが形成された以外は、従来のガスケットと同様な構成とすることができる。
【0018】
ガスケットの長さ方向に垂直な断面における断面形状は、特に限定されるものではない。リブの上方および下方においてその幅が徐々に短くなる形状であることが好ましい。たとえば、角形状、円形状、略楕円形状などをあげることができる。また、ガスケットの側面に突出するリブの形状についても、ガスケットの側面から突出した形状であれば特に限定されるものではない。
【0019】
ガスケットの形状についても、特に限定されるものではなく、ガスケットの側面に周方向に連続的にリブを形成できるように環状をなしていても、また、いなくてもどちらでもよい。
【0020】
また、ガスケットを構成する材質についても限定されるものではなく、弾性をもつ従来公知の材質により製造することができる。たとえば、ゴム、アクリルゴム等のエラストマを用いることができる。
【0021】
本発明のガスケットは、その製造方法が特に限定されるものではないが、ガスケットの高さ方向に分割可能な型を用いて成形することが好ましい。このとき、リブの先端部にパーテーションラインが位置することが好ましい。リブの先端部とは、ガスケットの側面から最も遠くに位置する端部である。リブの先端部にパーテーションラインが位置するとアンダーカットがなくなることから、金型加工が容易となり、また、金型を用いて成形した場合に離型の際の不良を低減することができる。このとき、ガスケットは、アンダーカットが生じない形状であるリブの上方および下方においてその幅が徐々に短くなる形状であることが好ましい。
【実施例】
【0022】
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。
【0023】
(実施例1)
本実施例のガスケット1は、環状をなす断面が略小判状の本体部2と、本体部2の周方向に沿って配置された二つの側面2a,2b(内表面2aおよび外表面2b)のそれぞれに突出して形成されたリブ30,31と、から構成されている。また、リブ30,31は、本体部2の断面の幅方向へ略半円状に突出して形成されている。本実施例のガスケット1の内表面2aの一部を図1に、図1のI−I線における断面を図2に示した。
【0024】
本実施例のガスケット1のリブ30およびリブ31の波形は、周期的に振幅が繰り返される正弦波形状に形成されている。そして、リブ30およびリブ31は、本体部2の長さ方向において、波の位相(ガスケットの高さ方向におけるリブ30,31の先端部の位置)が同じである。つまり、本体部2の断面の中心に対して対称な位置にリブ30およびリブ31がもうけられている。
【0025】
本実施例のガスケット1は、リブ30,31のみが本体部2から幅方向に突出している。また、本実施例のガスケット1は、リブ30,31の上方および下方において本体部2の幅が拡幅した部分がない。
【0026】
本実施例のガスケット1は、このガスケット1に対応したキャビティ5をもつ成形型4を用いて溶融したエラストマを成形することで製造できる。成形型4の断面を図3および4に示した。図3は図1のI−I線に対応した位置での、図4はII−II線に対応した位置での断面図である。成形型4は、図に示したように、上型40と下型41とからなり、上型40と下型41との境界(パーテーションライン)がリブ30,31の先端部(略半円状の頂点部)に位置している。上型40はガスケット1のリブ30,31の上方を成形し、下型41はガスケット1のリブ30,31の下方を成形する。また、上型40とした型41との合わせ面40a,41aは、リブ30,31の波形に沿った波状となっている。
【0027】
上型40のリブ30,31の上方および下型41のリブ30,31の下方には本体部2の表面から突出した部分(あるいは拡幅した部分)が存在していない。
【0028】
ガスケット1の成形は、まず、上型40および下型41を組み合わせて所定のキャビティを形成する。そして、このキャビティ内にエラストマを注入して成形する。その後、上型40および下型41から成形品を取り外すことで、本実施例のガスケット1が製造できる。なお、ガスケット1は本体部2の二つの側面2a,2bから突出した部分がリブ30,31以外に存在せず、上方および下型41のパーテーションラインがこのリブ30,31上にあることから、簡単に成形型4から取り外すことができる。
【0029】
本実施例のガスケットは、内表面2aおよび外表面2bのそれぞれにもうけられたリブ30,31が波状に形成されたことにより、使用時にガスケットの倒れが防止できる。また、リブ30,31が波状をなしたことで、同一側面に複数状のリブを形成する必要がなくなったため、アンダーカットとなる部分が存在しなくなり、簡単に成形することができる。
【0030】
(実施例2)
本実施例のガスケット1は、二つの側面2a,2bに形成された波状のリブ30,31が異なる以外は実施例1のガスケットと同様なガスケットである。本実施例のガスケットの二つのリブは、本体部2の長さ方向における位相がずれている。本実施例のガスケット1の断面を図5に示した。
【0031】
本実施例のガスケットは、リブの位相が異なる以外は実施例1のガスケットと同様な構成を有しており、実施例1のガスケットと同様な効果を発揮する。
【0032】
(実施例3)
本実施例のガスケット1は、二つの側面2a,2bに形成された波状のリブ30,31が異なる以外は実施例1のガスケットと同様なガスケットである。本実施例のガスケットの二つのリブは、その断面形状が略台形状を有し、かつ波形が三角波状に形成されている。本実施例のガスケット1の外表面2bを図6に、図6のIII−III線における断面を図7に示した。
【0033】
本実施例のガスケットは、リブの断面形状が異なる以外は実施例1のガスケットと同様な構成を有しており、実施例1のガスケットと同様な効果を発揮する。
【0034】
また、本実施例のガスケットは、実施例1のガスケットと同様に型成形で簡単に成形できる。
【0035】
(実施例4)
本実施例のガスケット1は、二つの側面2a,2bに形成された波状のリブ30,31が異なる以外は実施例1のガスケットと同様なガスケットである。本実施例のガスケットの二つのリブは、その断面形状が略台形状を有し、かつ波形が矩形波状に形成されている。本実施例のガスケット1の外表面2bを図8に示した。
【0036】
本実施例のガスケットは、リブのなす波の波形が異なる以外は実施例3のガスケットと同様な構成を有しており、実施例3のガスケットと同様な効果を発揮する。つまり、実施例1と同様な効果を発揮する。
【0037】
また、本実施例のガスケットは、実施例3のガスケットと同様に型成形で簡単に成形できる。
【0038】
上記各実施例のガスケットは、対向配置される二部材の対向面のいずれか一方にガスケットを取付ける取り付け溝が形成され、この取り付け溝に挿入して取付けられて二部材間のすき間を密閉してシールする。
【0039】
上記各実施例のガスケットは、使用時にガスケットの倒れが防止できる。ガスケットの倒れが防止できることで、実施例のガスケットを用いて二つの部材を封止したときに均一なシール面圧で密封できる。また、リブが波状をなしたことで、アンダーカットとなる部分が存在しなくなり、簡単に成形することができる。つまり、上記各実施例のガスケットは、簡単に製造できかつシール性にすぐれたガスケットとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施例1のガスケットの外表面を示した図である。
【図2】実施例1のガスケットの断面図である。
【図3】実施例1のガスケットの成形型を示した図である。
【図4】実施例1のガスケットの成形型を示した図である。
【図5】実施例2のガスケットの断面図である。
【図6】実施例3のガスケットの外表面を示した図である。
【図7】実施例3のガスケットの断面図である。
【図8】実施例4のガスケットの外表面を示した図である。
【符号の説明】
【0041】
1…ガスケット
2…本体部 2a…内側面
2b…外側面
30,31…リブ
4…成形型 40…上型
41…下型 40a,41a…合わせ面
5…キャビティ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置される二部材の対向面のいずれか一方にガスケットを取付ける取り付け溝が形成され、該取り付け溝に挿入して取付けられて該二部材間のすき間を密閉するガスケットにおいて、
該取り付け溝の側壁と対向する側面の少なくとも一方に突出したリブをもち、
該リブが該ガスケットの高さ方向に振幅をもって、長さ方向に連続的に形成された波状を有することを特徴とするガスケット。
【請求項2】
前記リブは、背向する両前記側面にもうけられた請求項1記載のガスケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−183819(P2006−183819A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−379606(P2004−379606)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】