説明

ガスケット

【課題】ガスケット本体に対して突出するアーチ部にバリが発生することを抑制することができるガスケットを提供する。
【解決手段】ガスケット1は、平面状の型合わせ面50に平行に環状に延び且つ延び方向に互いに対向する少なくとも一対の端部21を有するガスケット本体2と、ガスケット本体2の一対の端部21の間に介設され型合わせ面50に対してアーチ状に突出するアーチ部3とを有する。ガスケット本体2の一対の端部21とアーチ部3の延び方向の端部32とを互いに突き合わせ、且つアーチ部3を型合わせ面50に対して突出させて、二部材の間に配置される。ガスケット本体2の一対の端部21のうち少なくとも一方の端部と、端部21と突き合わせられるアーチ部3の端部32との間には、アーチ部3を型合わせ面50に対して突出する方向から型合わせ面50に対して平行な方向に回動可能にさせるヒンジ部4が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合わせ型を用いて成形されるガスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のエンジンのシリンダヘッドとシリンダヘッドカバーとの間には、環状のガスケットが介装されている。ガスケットは、合わせ型の上型と下型との間の成形用空間に、弾性材料を注入することで成形される。
【0003】
ところで、図12に示すように、ガスケットには、開口を囲む四角形状のガスケット本体92に対して、上側にアーチ状に突出するアーチ部93を形成したものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−248002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなアーチ部を有するガスケットを成形するに当たっては、例えば、図13に示すように、上型95と下型96との対向面に形成される型合わせ面97を、ガスケット本体92の周面及びアーチ部93の周面に位置させることが考えられる。
【0006】
しかしながら、このような成形法では、上型95の下型96への型締め力は、ガスケット本体92の延び方向と平行な型合わせ面97に対しては加わる。しかし、型合わせ面97におけるアーチ部93の頂点と底部との中間の直立部分93aに位置する型合わせ面97は、上型95から下型96へ加わる型締め力の向きと垂直でないため、型締め力が加わりにくい。このため、アーチ部93の直立部分93aに位置する型合わせ面97は型締め圧が弱い。したがって、図12に示すように、アーチ部93の直立部分93aに位置する型合わせ面97の間からバリが発生する。また、ガスケットのアーチ部93の直立部分93aの断面高さが高くなり、シリンダヘッドとシリンダヘッドカバーとの間におけるガスケットのアーチ部分のシール性に影響を与える。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、ガスケット本体に対して突出するアーチ部にバリが発生することを抑制することができるガスケットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明のガスケットは、ガスケット成形用の合わせ型に弾性材料を充填して成形され、二部材の間に配置される環状のガスケットであって、前記合わせ型の平面状の型合わせ面に平行に環状に延び且つ該延び方向に互いに対向する少なくとも一対の端部を有するガスケット本体と、該ガスケット本体の前記一対の端部の間に介設され前記型合わせ面に対してアーチ状に突出するアーチ部とを有し、前記ガスケット本体の前記一対の端部と前記アーチ部の両方の端部とを互いに突き合わせ、且つ前記アーチ部を前記型合わせ面に対して突出させて、前記二部材の間に配置され、前記ガスケット本体の前記一対の端部のうち少なくとも一方の端部と、該端部と突き合わせられる前記アーチ部の端部との間には、前記アーチ部を前記型合わせ面に対して突出する方向から前記型合わせ面に対して平行な方向に回動可能にするヒンジ部が形成されていることを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、ガスケット本体の一対の端部の間に、型合わせ面に対してアーチ状に突出するアーチ部が介設されている。ガスケットを成形するときには、ガスケット本体の延び方向が、合わせ型の平面状の型合わせ面と平行になるようにガスケット本体を成形する。また、アーチ部のアーチ状の突出方向が、平面状の型合わせ面と平行に倒した状態でアーチ部を成形する。このため、アーチ部がガスケット本体の型合わせ面と平行に倒した状態で成形され、合わせ型を型締めしたときに、型合わせ面に対して同じ方向から均一に型締め圧が加わる。したがって、ガスケット本体やアーチ部の型合わせ面と接する部分から、弾性材料が型合わせ面間の隙間に流入しにくく、バリが発生することを抑制できる。また、ガスケット本体だけでなくアーチ部においても型合わせラインが目立たない。また、ガスケットのアーチ部の断面高さが均一になり、二部材間におけるガスケットのアーチ部分のシール性を確保できる。
【0010】
また、従来では、アーチ部をガスケット本体の型合わせ面に対して直立させた状態でアーチ部のアーチ形状及びガスケット本体の延び方向に沿って型合わせ面を立体的に形成していた。これに対して、本発明においては、アーチ部をガスケット本体の型合わせ面と平行に倒した状態で成形する。このため、型合わせ面を平面とすることができ、型設計及び型加工が容易となる。
【0011】
また、ガスケット本体の一対の端部のうち少なくとも一方の端部とアーチ部の端部とは、ヒンジ部で連結されている。このため、ガスケットを二部材の間に配置するときには、ヒンジ部を回動中心としてアーチ部を回動させて、アーチ部をガスケット本体の型合わせ面から突出させる。また、このとき、ガスケット本体の一対の端部とアーチ部の端部とを互いに突き合わせる。この状態で、ガスケットを二部材の間に配置することにより、二部材の間を確実にシールすることができる。
【0012】
また、ガスケット本体とアーチ部とは、ヒンジ部によって連結された一体品である。このため、ガスケット本体とアーチ部とが別部材に切り離されている場合と異なって、取り扱いが容易である。また、二部材の対向面の間に配置するときにも、ガスケット本体の一対の端部とアーチ部の両端部とを、正確に突き合わせることができる。
(2)前記ガスケット本体の前記一対の端部のうち少なくとも一方の端部は、前記ガスケット本体の延び方向の端面と、該端面から前記ガスケット本体の延び方向に突出する突出端とを有し、前記アーチ部の前記端部は、前記アーチ部の端面と、該端面の近傍に設けられ前記ガスケット本体の前記突出端に当接する対向面とをもち、前記アーチ部の前記端面は、前記ガスケット本体の前記端面と突き合わされ、前記ヒンジ部は、前記ガスケット本体の前記突出端の内周面及び外周面のいずれか一方と、前記アーチ部の前記端部の内周面及び外周面のいずれか一方との間に形成されていることが好ましい。
【0013】
この場合には、ガスケット本体を二部材の間に配置するときには、ガスケット本体の端面が、アーチ部の端面と突き合わされ、かつガスケット本体の突出端が、アーチ部の端部の対向面に当接される。このため、ガスケット本体とアーチ部とが隙間無く一連の環状体を形成することができる。ゆえに、ガスケットのシール性が向上する。
(3)前記ガスケット本体の前記一対の端部と、前記一対の端部とそれぞれ突き合わされる前記アーチ部の両方の端部との間には、前記ヒンジ部が形成されていることが好ましい。この場合には、アーチ部が、その両方の端部でガスケット本体に連結されるため、ガスケットが取り扱いやすくなる。
(4)前記ヒンジ部は、前記ガスケット本体の前記突出端の内周面と前記アーチ部の前記端部の内周面との間に形成されていることが好ましい。
【0014】
この場合には、アーチ部は、環状のガスケット本体の径方向内側に倒伏させた状態で、成形される。ゆえに、合わせ型のアーチ部を成形する部分が、ガスケット本体を成形する部分よりも径方向内側に配置され、アーチ部をガスケット本体の径方向外側に倒伏させた状態で成形する場合に比べて、合わせ型を小さくすることができる。
(5)前記ガスケット本体の前記端面は、前記端面の周縁から前記突出端に向かって前記突出端の先端に近接する方向に傾斜する傾斜面をもち、前記アーチ部の前記端面は、前記ガスケット本体の前記傾斜面に沿った傾斜面をもつことが好ましい。この場合には、2部材間でガスケットを挟持したとき、傾斜面同士が密接され端面でのシール性が向上する。
【発明の効果】
【0015】
本発明のガスケットによれば、ガスケット本体の一対の端部のうち少なくとも一方の端部と、端部と突き合わせられるアーチ部の端部との間には、ヒンジ部が形成されている。このため、アーチ部を倒伏させて、ガスケット本体の型合わせ面と平行にした状態で成形して、アーチ部に確実に型締め力を加えることができ、アーチ部にバリの発生することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態のガスケットを、シリンダヘッドとシリンダヘッドカバーとの間に介装させた状態を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態のガスケットの斜視図である。
【図3】第1実施形態のガスケットの要部拡大斜視図である。
【図4】第1実施形態のガスケットの成形時の要部拡大斜視図である。
【図5】第1実施形態のガスケットの型合わせ面の位置を示した要部拡大斜視図である。
【図6】第1実施形態のガスケットを成形する合わせ型の、図4に示すA視方向から視た正面図である。
【図7】第2実施形態のガスケットの要部拡大斜視図(a)及び、成形時の要部拡大斜視図(b)である。
【図8】第3実施形態のガスケットの要部拡大側面図である。
【図9】第4実施形態のガスケットの要部拡大側面図(a)、その第1の変形例の要部拡大側面図(b)、及びその第2の変形例の要部拡大側面図(c)である。
【図10】他の実施形態における、型合わせ面がアーチ部の周面の中間に位置する場合の合わせ型の要部拡大斜視図である。
【図11】他の実施形態における、型合わせ面がガスケット本体の突出端の底面に位置する場合の合わせ型の要部拡大斜視図である。
【図12】ガスケットの部分斜視図である。
【図13】ガスケット成形用の合わせ型の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態は、図1に示すように、自動車用エンジンのシリンダヘッド91のフランジ面91aと、シリンダヘッドカバー92のフランジ面92aとの間に介在される弾性を有する環状のガスケット1である。シリンダヘッド91のフランジ面91aとシリンダヘッドカバー92のフランジ面92aの長手方向の一端部には、開口91b、92bが形成されている。シリンダヘッド91のフランジ面91aの開口91bには、ガスケット1に形成されたアーチ部3が密接する。シリンダヘッドカバー92のフランジ面92aの開口92bには、図略の液状ガスケットが設けられる。そして、ガスケット1のアーチ部3と、シリンダヘッドカバー92のフランジ面92aの開口92bに設けられた液状ガスケットとの間に、図略のカムシャフトを挿通させたキャップ97が気密に嵌合される。
【0018】
図2に示すように、ガスケット1は、環状のガスケット本体2と、ガスケット本体2の延び方向に対して上側に向けてアーチ状に突出するアーチ部3とを有する。
【0019】
図2に示すように、ガスケット本体2は、略四角形の開口20を囲む環状体である。図3,図4、図5に示すように、ガスケット本体2は、延び方向に一対の端部21,21をもつ。ガスケット本体2の一対の端部21、21は、互いに対向する端面22、22と、端面22、22の下部から延び方向に突出する突出端23、23とを有する。端面22は、いずれもガスケット本体1の延び方向に対して垂直に向いている。
【0020】
アーチ部3は、円弧を描いて上側に突出する円弧部31と、円弧部31の両方の底部からガスケット本体2の延び方向と平行に延びる端部32とを有する。アーチ部3の端部32は、ガスケット本体2の端部21の端面22と突き合わされる端面33と、ガスケット本体2の端部21の突出端23の上面に当接する対向面としての底面34とを有する。そして、アーチ部3の端部32の外周面35の下縁部と、ガスケット本体2の端部21の突出端23の外周面25の上縁部との間は、ヒンジ部4により連結されている。ヒンジ部4は、可撓可能な程度に厚みが薄く、アーチ部3の端部32の基端から先端までの間と、ガスケット本体2の突出端23の基端から先端までの間に形成されている。ヒンジ部4の撓みにより、アーチ部3は、開口20の広がり方向に垂直な方向から開口20の広がり方向と平行な方向に回動される。
【0021】
ガスケット1を成形するに当たっては、ガスケット製造用の合わせ型を用いる。図6に示すように、合わせ型5は、上型51と、下型52と、型合わせ面50と、ガスケット成形部53とを有する。型合わせ面50は、上型51と下型52とが互いに対面し当接することで形成される面である。型合わせ面50は、上型51と下型52との間に平面状に形成される。ガスケット成形部53は、ガスケット本体2を成形する本体成形部53aと、アーチ部3を成形するアーチ成形部53bと、ヒンジ部4を成形するヒンジ成形部53cとからなる。アーチ成形部53bは、ガスケット本体2が囲む開口20の広がり方向(径方向断面)と平行になるように倒伏した状態でアーチ部3を成形する。
【0022】
上型51と下型52とは、平面状の型合わせ面50で対面している。型合わせ面50は、本体成形部53aの開口20の広がり方向と、アーチ成形部53bのアーチ状の突出方向と平行に広がっている。図5に示すように、型合わせ面50は、アーチ成形部53bの下面、ヒンジ成形部53c、及び本体成形部53aにおけるガスケット本体2の突出端23を形成する突出端成形部53dの上面を通るように配置される。即ち、型合わせ面50は、ガスケット本体2の延び方向と、倒伏されたアーチ部3の突出方向と平行に配置される。
【0023】
このような合わせ型5に、下方向に加重を加えて型締めを行い、弾性材料を射出成形する。弾性材料は、弾性を有する材料であればよく、例えば、ゴム材料、シリコーン材料などを用いる。弾性材料を冷却した後に、型割りをして、合わせ型5の中からガスケット1を取り出す。
【0024】
図4,図5に示すように、成形されたガスケット1では、アーチ部3が、開口20の広がり方向に対して平行に倒伏された状態でヒンジ部4によって連結されている。アーチ部3をヒンジ部4を中心に回動させて、開口20の広がり方向に対して直立させることで、アーチ部3をガスケット本体2から上側に突出させる。この状態で、シリンダヘッド91のフランジ面91aとシリンダヘッドカバー92のフランジ面92aとの間に介装させ挟圧する。
【0025】
本実施形態においては、ガスケット本体2の一対の端部21の間に、ガスケット本体2の延び方向からシリンダヘッドカバー92に向けて突出するアーチ部3が介設されている。ガスケット1を成形するときには、ガスケット本体2の延び方向が、合わせ型5の平面状の型合わせ面50と平行になるようにガスケット本体2を成形する。また、アーチ部3の延び方向が、平面状の型合わせ面50と平行になるように倒した状態でアーチ部3を成形する。このため、アーチ部3がガスケット本体2の型合わせ面50と平行に倒した状態で成形され、合わせ型5を型締めしたときに、型合わせ面50に対して同じ方向から均一に型締め圧が加わる。したがって、ガスケット本体2やアーチ部3の型合わせ面50と接する部分から、弾性材料が型合わせ面50間の隙間に流入しにくく、バリが発生することを抑制できる。また、ガスケット本体2だけでなくアーチ部3においても型合わせラインが目立たない。
【0026】
また、アーチ部3をガスケット本体2の型合わせ面50と平行に倒した状態で成形する。このため、合わせ型5の型合わせ面50を平面とすることができ、金型設計が容易となる。
【0027】
また、ガスケット本体2の一対の端部21とアーチ部3の端部32とは、ヒンジ部4で連結されている。このため、ガスケット1をシリンダヘッド91とシリンダヘッドカバー92との間に配置するときには、ヒンジ部4を回動中心としてアーチ部3を回動させて、アーチ部3をガスケット本体2の型合わせ面50から突出させる。また、このとき、ガスケット本体2の一対の端部21とアーチ部3の両端部32とを互いに突き合わせる。この状態で、ガスケット1をシリンダヘッド91とシリンダヘッドカバー92との間に配置することにより、シリンダヘッド91とシリンダヘッドカバー92とを確実にシールすることができる。
【0028】
また、アーチ部3の両端部がヒンジ部4を介してガスケット本体2と連結されているため、ガスケット1の取り扱いや組み付け作業性が容易となる。また、ガスケット1をシリンダヘッド91とシリンダヘッドカバー92との間に配置するときにも、ガスケット本体2の一対の端部21とアーチ部3の両端部32とを、正確に突き合わせることができる。更に、ガスケット本体2とアーチ部3とを1つの合わせ型で成形することができるため、型コストを抑えることができる。
【0029】
アーチ部3の端部32は、アーチ部3の延び方向の端面33と、端面33の近傍に形成された底面34とをもつ。ガスケット本体2の端部21は、ガスケット本体2の延び方向の端面22と、端面22よりも突出した突出端23とを有する。シリンダヘッド91とシリンダヘッドカバー92との間にガスケット1を配置するときには、アーチ部3の端面33は、ガスケット本体2の端面22と突き合わせられ、さらに、アーチ部3の底面34は、ガスケット本体2の突出端34の上面に突き合わされる。ゆえに、ガスケット1は、ガスケット本体2とアーチ部3との繋ぎ部分で隙間が生じず、高いシール性を発揮することができる。
【0030】
ガスケット本体2の端部21の端面22と、アーチ部3の端部32の端面33には、突き当て時に摩擦が生じると、ガスケット本体2の端部21の突出端23にアーチ部3の端部32の底面34が十分に当接しないで、ガスケット本体2の突出端23とアーチ部3の底面34との間の隙間が生じるおそれがある。そこで、ガスケット本体2の端部21の端面22と、アーチ部3の端部32の端面33には、シリコーンなどの潤滑剤を塗布するとよい。この場合には、アーチ部3の端面33がガスケット本体2の端面22と擦れ合うことなく、アーチ部3の端部32がガスケット本体2の端部21の突出端23の上面に十分に密着する。このため、アーチ部3とガスケット本体2との間に隙間が生じることがなく、十分なシール性を発揮することができる。
【0031】
(第2実施形態)
本実施形態においては、図7(a)、図7(b)に示すように、ヒンジ部4が、アーチ部3の端部32の内周面36と、ヒンジ部4をガスケット本体2の端部21の突出端22の内周面26との間に形成されている。ガスケット1を成形するときには、アーチ部3をガスケット本体2の径方向内側に倒伏させた状態でアーチ部3が成形される。ゆえに、合わせ型5のアーチ部3を成形するアーチ成形部53bが、ガスケット本体2を成形する本体成形部53aよりも径方向内側に配置され、合わせ型5を小さくすることができる。
【0032】
(第3実施形態)
本実施形態においては、図8に示すように、ガスケット本体2の端部21の端面22が、開口20の広がり方向に対して上側に傾斜する傾斜面をなしている。即ち、ガスケット本体2の端面22は、端面22の周縁22aから突出端23に向かって突出端23の先端23aに近接する方向に傾斜する。アーチ部3の端面32は、ガスケット本体2の傾斜した端面22に沿った傾斜面をなしている。ガスケット本体2の端部21の端面22は、アーチ部3の端部32の端面33に上下方向から挟圧されるため、端面22と端面33との間のシール性が向上する。
【0033】
(第4実施形態)
本実施形態においては、図9(a)に示すように、ガスケット本体2の端部21の端面22に、アーチ部3の端部32を位置決めする凸部27が形成されている。アーチ部3の端部32の端面33には、ガスケット本体2の凸部27と対応する位置に、凸部27に対応する凹部37が形成されている。アーチ部3の端面33の凹部37が、ガスケット本体2の端面22の凸部27に嵌合されることにより、ガスケット本体2に対して正確に位置決めされる。その他は、第1実施形態と同様である。
【0034】
本実施形態においては、ガスケット本体2の端部21の端面22に凸部27を形成し、アーチ部3の端部32の端面33に凹部37を形成しているが、図9(b)に示すように、ガスケット本体2の端部21の突出端23の上面29に凸部27を形成し、アーチ部3の端部32の底面34に凹部37を形成してもよい。
【0035】
また、実施形態において、ガスケット本体2の凸部27は、半球形状の突部であり、アーチ部3の凹部37は、半球形状の窪みである。しかし、ガスケット本体2の凸部27は、この形状に限らず、その他の形状として、例えば、図9(c)に示すように、三角形状であってもよい。アーチ部3の凹部37は、ガスケット本体2に嵌合される形状であればよい。
【0036】
また、本実施形態においては、ガスケット本体2の端面22に凸部27を形成し、アーチ部3の端面33に凹部37を形成しているが、ガスケット本体2の端面22に凹部又は凹凸部を形成し、アーチ部3の端面33に凸部又は凹凸部を形成してもよい。
【0037】
また、本実施形態においては、ガスケット本体2の端面22及びアーチ部3の端面33は、ガスケットの延び方向に対して直立しており、この直立した端面22,33に凸部27、凹部37を形成しているが、第2の実施形態のように傾斜した端面22,33に凸部及び凹部を形成してもよい。
【0038】
(その他の実施形態)
第1〜第4の実施形態においては、図6に示すように、合わせ型5の型合わせ面50を、アーチ成形部53bの下面及び突出端成形部53dの上面を通るように配置している。しかし、これに限らず、型合わせ面50は、上型51と下型52との間に過度なアンダーカット部分がなければどの位置に設定することもできる。例えば、図10に示すように、型合わせ面50を、アーチ成形部53bの周面の中間又は上縁に位置させてもよい。この場合には、突出端成形部53dと上型51との間に、上型51から突出させた突出部55を配置した状態で、上型51と下型52とを型締めし、ガスケット1を射出成形するとよい。これにより、上型51と下型52との合わせ面50をほぼ平面に形成することができる。
【0039】
また、図11に示すように、型合わせ面50を、アーチ成形部53bよりも下方に配置させてもよい。この場合には、アーチ成形部53bの下部と下型52との間に、下型52から突出する突出部56を配置した状態で、上型51と下型52とを型締めし、ガスケット1を射出成形するとよい。これにより、上型51と下型52との間の型合わせ面50をほぼ平面とすることができる。また、アーチ成形部53bの下部と下型52との間にアンダーカット部分がなくなり、ガスケットを無理抜きすることなく、スムーズに取り出すことができる。
【0040】
また、本発明においては、アーチ部3をガスケット本体2の延び方向と平行に倒した状態で成形しているため、上記のように上型51や下型52に突出部55,56を形成する場合にも、比較的小さい突出部で足る。
【0041】
また、第1〜第4の実施形態においては、アーチ部3の両方の端部33が、ヒンジ部4を介してガスケット本体2の端部21と連結されているが、アーチ部3の一方の端部33のみが、ヒンジ部4によってガスケット本体2の端部21に連結され、アーチ部3の他方の端部33はガスケット本体2の端部21と分断されていてもよい。この場合でも、分断されているアーチ部3の他方の端部33は、一方の端部33と同様に、ヒンジ部4を支点にアーチ部3を回動したときにガスケット本体2の端部21に対して突き合わせる形状となっていることが必要である。
【0042】
また、第1〜第4の実施形態のガスケット1は、シリンダヘッド91とシリンダヘッドカバー92との間に介装させたが、これにかぎらず、2部材の間をシールすることが要求される部分に介装させることができる。
【符号の説明】
【0043】
1:ガスケット、2:ガスケット本体、3:アーチ部、4:ヒンジ部、5:合わせ型、21:端部、22:端面、23:突出端、25:外周面、26:内周面、27:凸部、31:円弧部、32:端部、33:端面、34:底面(対向面)、35:外周面、36:内周面、37:凹部、50:型合わせ面、51:上型、52:下型、53:ガスケット成形部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスケット成形用の合わせ型に弾性材料を充填して成形され、二部材の間に配置される環状のガスケットであって、
前記合わせ型の平面状の型合わせ面に平行に環状に延び且つ該延び方向に互いに対向する少なくとも一対の端部を有するガスケット本体と、該ガスケット本体の前記一対の端部の間に介設され前記型合わせ面に対してアーチ状に突出するアーチ部とを有し、
前記ガスケット本体の前記一対の端部と前記アーチ部の両方の端部とを互いに突き合わせ、且つ前記アーチ部を前記型合わせ面に対して突出させて、前記二部材の間に配置され、
前記ガスケット本体の前記一対の端部のうち少なくとも一方の端部と、該端部と突き合わせられる前記アーチ部の端部との間には、前記アーチ部を前記型合わせ面に対して突出する方向から前記型合わせ面に対して平行な方向に回動可能にするヒンジ部が形成されていることを特徴とするガスケット。
【請求項2】
前記ガスケット本体の前記一対の端部のうち少なくとも一方の端部は、前記ガスケット本体の延び方向の端面と、該端面から前記ガスケット本体の延び方向に突出する突出端とを有し、
前記アーチ部の前記端部は、前記アーチ部の端面と、該端面の近傍に設けられ前記ガスケット本体の前記突出端に当接する対向面とをもち、前記アーチ部の前記端面は、前記ガスケット本体の前記端面と突き合わされ、
前記ヒンジ部は、前記ガスケット本体の前記突出端の内周面及び外周面のいずれか一方と、前記アーチ部の前記端部の内周面及び外周面のいずれか一方との間に形成されている請求項1記載のガスケット。
【請求項3】
前記ガスケット本体の前記一対の端部と、前記一対の端部とそれぞれ突き合わされる前記アーチ部の両方の端部との間には、前記ヒンジ部が形成されている請求項1又は請求項2に記載のガスケット。
【請求項4】
前記ヒンジ部は、前記ガスケット本体の前記突出端の内周面と前記アーチ部の前記端部の内周面との間に形成されている請求項2に記載のガスケット。
【請求項5】
前記ガスケット本体の前記端面は、前記端面の周縁から前記突出端に向かって前記突出端の先端に近接する方向に傾斜する傾斜面をもち、前記アーチ部の前記端面は、前記ガスケット本体の前記傾斜面に沿った傾斜面をもつ請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載のガスケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−7248(P2011−7248A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150674(P2009−150674)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】