説明

ガスサンプリング装置

【課題】下水道の水位の変動に応じて、ガスをサンプリングするガス採取部を常に水面近傍に移動させることができるガスサンプリング装置を簡略な機構で構成する。
【解決手段】錘1を懸架したフロート2の上部近傍にはガス採取部5が設置され、フロート2とガス採取部5は支柱4の上部のフック5を介してワイヤ8によって吊り下げられている。ワイヤ8は、錘1の重力とワイヤ巻取機構9の巻取り力とがバランスして適正なテンションが加えられている。また、ガス採取部5からガス採取チューブ6が導き出され、チューブ巻取機構11によって適正なテンションが加えられている。ガス採取チューブ6を通過したガスはガス計測器12へ送出されてガス濃度が計測される。このような構成により、下水道Gの水面Gaが変動しても、ガス採取部5は常に水面Gaの表面のガスを採取する。また、ワイヤ8とガス採取チューブ6は水面Gaに弛むおそれはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水質監視システム等に用いられるガスサンプリング装置に関するものであり、特に、劣悪な環境下にある下水道施設などに流入した可燃性液体などから発生するガスをサンプリングするガスサンプリング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、下水道機能を確保するために、下水処理に有害な物質を自動検知する水質監視モニタの設置が広く行われている。例えば、タンクローリなどの大量の可燃性液体(ガソリンや灯油など)を搭載した車両の事故に伴って、それらの可燃性液体が道路から下水道へ流れ込んで下水処理場へ流入した場合は、当該下水処理場の処理機能が低下してしまう。そこで、このような不具合を回避するために、マンホールなどのアクセスポイントに水質監視モニタを設置し、可燃性液体が下水道施設に流入した場合には、可燃性液体の流入を検知して迅速且つ適正な対応がなされるような水質監視システムの構築が検討されている。具体的には、下水道に流入した可燃性液体(例えば、ガソリンや灯油など)から発生したガスをガスサンプリング装置によって常時サンプリングし、当該ガス中の可燃性ガス成分をガスセンサによって検知してモニタリングを行う。
【0003】
また、関連技術として、ボイラの煙突から排出される排ガスの一部をサンプリングガスとして採取し、このサンプリングガスを高純度な状態でガス分析計へ供給するガスサンプリング装置の技術も開示されている(例えば、特許文献1参照)。この技術によれば、プローブ管によって煙突内から採取したサンプルガスから、フィルタによってダストを除去すると共にスクラバによって測定を妨害する干渉成分を除去し、さらに、排ガスによる凝縮液が下流側(測定器側)へ流れ込まないようにして、高純度なサンプルガスをガス分析計へ送り込むことができるので、煙突内の排ガスの測定を高精度に行うことが可能となる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−114426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、下水道に流れ込んだ可燃性液体は水面上に広がり、その可燃性液体から発生したガスの比重は一般に空気より大きいので、当該ガスは下水道の水面付近に滞留した状態となっている。従って、下水道の水面付近のガスをリアルタイムでサンプリングするためには、ガスサンプリング装置のガス採取部(ガスサンプル口)を下水道の水面付近に設置する必要がある。ところが、下水道の水位は雨量によって大きく(例えば、数m程度)変動するので、ガス採取部を固定して設置すると、雨季などで下水道の水位が上昇したときには該ガス採取部が水没してしまって水面付近のガスをサンプリングすることができない。
【0006】
また、晴天が続いたときなどで下水道の水面の水位が低下したときには、ガス採取部と下水道の水面との相対位置が大きく離れるため、ガス採取部から希薄なガスしかサンプリングすることができない。即ち、下水道の水位の変動によってガス採取部と下水道の水面との相対位置が変化してしまうため、ガスサンプリング装置は下水道の水面上のガスを適正にサンプリングすることができなくなる。その結果、ガス採集部を固定したシステムでは、下水道の水位の変動によって適正に水質監視を行うことができないことがある。
【0007】
更に、下水道には大小且つ諸種の物体が流れているので、下水道の水位が上昇してガスサンプリング装置のガス採取部が水没したときには、ガス採取部及びサンプルガスの導入路となるガス採取チューブに髪の毛や紙切れなどの汚物(以下、『固形物』という)が絡まってしまい、ガスサンプリング装置が誤動作したり故障したりするおそれがある。あるいは、下水道に大きな物体(例えば、畳や木材など)が流れてきた場合には、水没したガス採取部及びガス採取チューブの一部が切れて流されてしまい、ガスサンプリング装置及びガスセンサの機能が喪失してしまうこともある。
【0008】
すなわち、ガスサンプリング装置のガス採取部を下水道の所定位置に固定した場合には、劣悪な環境下にある下水道施設においてガスサンプリング装置としての耐久性を維持することができない。言い換えると、下水道の水面付近のガスを迅速且つリアルタイムで検出するためにはガス採取部を水面近傍の位置に設置しなければならないが、ガス採取部が所定の水面近傍に固定的に設置されていると下水道の水位の変動によってガス採取部に様々な障害が発生するというトレイドオフの関係を解決することができない。尚、光学式あるいは超音波式の水位センサにより水面位置を計測し下水の水位の変動に連動してガス採取部の位置を可動式にする方法も検討されているが、水位センサとガス採取チューブの巻取機構を連動させなければならないために、構造上の観点からガスサンプリング装置が高価なものになってしまう。
【0009】
また、前記特許文献1で開示された技術は、ボイラの煙突から排出される排ガスの一部をサンプリングするものであるので、プローブ管(ガス採取部)は煙突内の何れの位置にあってもよい。言い換えると、プローブ管は煙突内で固定して設置すればよいことになる。従って、下水道のように水位の変動に応じてガス採取部の位置を常に水面近傍に移動させる技術に応用することはできない。
【0010】
そこで、下水道の水位の変動に応じて、ガスをサンプリングするガス採取部を常に水面近傍に移動させることができるガスサンプリング装置を簡単な機構で構成するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、水面上に滞留するガスをサンプリングするガスサンプリング装置であって、下部に錘を有し、該錘の重力と水の浮力とのバランスで水面に浮かぶフロートと、該フロートの上部近傍に設置されて、前記水面上に滞留するガスを採取するガス採取部と、支柱を介在させて前記フロートと前記ガス採取部とを懸架するワイヤと、前記水面の水位の変動に対応して前記ワイヤの巻取り/巻戻しを行い、前記錘の重力に抗して該ワイヤにテンションを加えるワイヤ巻取装置と、前記ガス採取部で採取されたサンプリングガスを外部へ導くガス採取チューブと、前記水面の水位の変動に対応して前記ガス採取チューブの巻取り/巻戻しを行い、該ガス採取チューブにテンションを加えるチューブ巻取機構とから成るように構成したことを特徴とするガスサンプリング装置を提供する。
【0012】
この構成によれば、ワイヤで吊り下げられたフロートの上部近傍(例えば、フロートの上部から20cmの位置)に、水面上に滞留したガスをサンプリングするガス採取部を設け、該サンプリングガスをガス採取チューブによって外部へ導き出している。このとき、フロートを吊り下げるワイヤは、フロートに懸架された錘の重力とワイヤを巻き取るワイヤ巻取装置の巻取り力とのバランスによって適正なテンションが加えられている。また、ガス採取チューブもチューブ巻取機構によって適正なテンションが加えられる。これによって、ガスサンプリング装置は、下水道の水位の変動に関わらず常に水面近傍のガスをサンプリングすることができる。しかも、ワイヤ及びガス採取チューブは水位の変動に関わらず弛みが生じないので、下水道を流れる前記固形物がワイヤやガス採取チューブに絡むおそれもなくなるので、長期間に亘ってガスサンプリング装置の耐久性を維持することができる。
【0013】
請求項2記載の発明は、水面上に滞留するガスをサンプリングするガスサンプリング装置であって、下部に錘を有し、該錘の重力と水の浮力とのバランスで水面に浮かぶフロートと、前記フロートの上部近傍に設置されて、前記水面上に滞留するガスを採取するガス採取部と、支柱を介在させて前記フロートと前記ガス採取部とを懸架するワイヤと、前記水面の水位の変動に対応して前記ワイヤの巻取り/巻戻しを行い、前記錘の重力に抗して該ワイヤにテンションを加えるワイヤ巻取装置と、少なくとも一部がスパイラル状に形成され、前記ガス採取部で採取されたサンプリングガスを外部へ導くガス採取チューブとから成ることを特徴とするガスサンプリング装置を提供する。
【0014】
この構成によれば、ワイヤで吊り下げられたフロートの上部近傍に、水面上に滞留したガスをサンプリングするガス採取部を設け、該サンプリングガスをガス採取チューブによって外部へ導き出している。このとき、フロートを吊り下げるワイヤは、フロートに懸架された錘の重力とワイヤを巻き取るワイヤ巻取装置の巻取り力とのバランスによって適正なテンションが加えられている。また、ガス採取チューブは一部がスパイラル状に形成されているので、該ガス採取チューブにも所望のテンションが加えられている。これによって、ガスサンプリング装置は、下水道の水位の変動に関わらず常に水面近傍のガスをサンプリングすることができる。しかも、ワイヤ及びガス採取チューブは水位の変動に関わらず弛みが生じないので、下水道を流れる前記固形物がワイヤやガス採取チューブに絡むおそれもなくなるので、長期間に亘ってガスサンプリング装置の耐久性を維持することができる。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、上記錘は上記フロートの下部に懸架され、該錘と該フロートとは分離可能に構成されていることを特徴とするガスサンプリング装置を提供する。
【0016】
この構成によれば、フロートの下部に錘が着脱可能に懸架されているので、ワイヤ巻取装置によるワイヤのテンションとフロートの浮き具合が水位変動の幅や水の流速等を勘案して最適な状態になるように、適正な錘の交換又は追加を行うことができる。例えば、軽量の錘を複数用意しておき、ワイヤのテンションとフロートの浮き具合が最適な状態になるように、フロートに懸架する錘の個数を変えることができる。
【0017】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、上記錘は上部がテーパ状に形成されていることを特徴とするガスサンプリング装置を提供することができる。
【0018】
この構成によれば、錘の上部にテーパ部を形成して角をなくすことにより、下水道に流れる前記固形物が錘に付着するのを防止することができる。これによって、固形物による水の抵抗の増加を低減するとこが出来、下水道の流速によって錘が流されることがなくなるので、錘及びフロートを常に重力に対して垂直状態に維持することができる。
【0019】
請求項5記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、上記錘は粒状物体であって、該粒状物体は上記フロートの内部に容量可変に充填されていることを特徴とするガスサンプリング装置を提供することができる。
【0020】
この構成によれば、フロートは、例えばプラスチックの筒状のフロートなどの内部に砂等の粒状物体を所定量だけ充填し、そのフロートの上部に所定容積の空洞を設けて蓋を被せることによって実現することができる。このとき、砂等の充填量によって錘部分の重さを調節することができる。これによって、浮き部分と錘部分とが一体化されたシンプルなフロートを構成することができるので、フロート部分のコストダウンを図ることが可能となる。
【0021】
請求項6記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、上記ガス採取部は、逆漏斗状に形成され、下部開口部からガスを採取できるように構成されていることを特徴とするガスサンプリング装置を提供することができる。
【0022】
この構成によれは、逆漏斗状に形成されたガス採取部は、下部開口部からガスをサンプリングすることができるように構成されている。これにより、ガス採取部のガスをサンプリングする部分が下水の汚水飛沫を受けても、ガス採取部に近い位置のガス採取チューブが汚水飛沫によって目詰まりを起こすおそれはなくなる。
【0023】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明において、上記ガス採取チューブは上記ガス採取部の逆漏斗状に形成された側部の任意の位置から導き出され、該ガス採取部は上記支柱に対して回転自在に構成されていることを特徴とするガスサンプリング装置を提供することができる。
【0024】
この構成によれば、ガス採取部は、ワイヤに吊り下げられた支柱に対して自在に回転できるように構成されている。これにより、下水の流速によってフロートに回転動作などが発生しても、ガス採取チューブがワイヤに絡むおそれはなくなる。従って、ガス採取チューブが部分的に閉塞することはない。
【0025】
請求項8記載の発明は、請求項3又は4記載の発明において、上記フロートは、上記錘の姿勢を自動的に重力方向へ変化させる自在継手を介して該錘を懸架していることを特徴とするガスサンプリング装置を提供することができる。
【0026】
この構成によれば、フロートと錘は接続姿勢を可変できるジョイント継手によって接続されているので、下水の流速によってフロートが流されても、フロートと錘を接続する自在継手の作用によって、フロートと錘を重力の方向へ垂直状態に維持することができる。
【発明の効果】
【0027】
請求項1記載の発明は、フロートの上部近傍にガス採取部を設け、ガス採取部がサンプリングしたガスをガス採取チューブによって外部へ導き出しているので、下水道の水位の変動に関わらず常に水面の近傍のガスをサンプリングすることができる。また、フロートを吊り下げるワイヤは、錘の重力とワイヤ巻取装置の巻取り力とのバランスによって適正なテンションが加えられ、ガス採取チューブはチューブ巻取機構によって適正なテンションが加えられているので、下水道の水位の変動に関わらずワイヤ及びガス採取チューブは弛むおそれはない。従って、下水道を流れる固形物がワイヤやガス採取チューブに絡むおそれもなくなるので、長期間に亘ってガスサンプリング装置の耐久性を維持することができる。
【0028】
請求項2記載の発明は、フロートの上部近傍にガス採取部を設け、該ガス採取部がサンプリングしたガスをガス採取チューブによって外部へ導き出しているので、下水道の水位の変動に関わらず常に水面近傍のガスをサンプリングすることができる。また、フロートを吊り下げるワイヤは、錘の重力とワイヤ巻取装置の巻取り力とのバランスによって適正なテンションが加えられ、且つ、上記ガス採取チューブはスパイラル部によって適正なテンションが加えられているので、下水道の水位の変動に関わらずワイヤ及びガス採取チューブは弛むおそれはない。従って、下水道を流れる固形物が前記ワイヤや前記ガス採取チューブに絡むおそれもなくなり、斯くして、長期間に亘ってガスサンプリング装置の耐久性を維持することが可能となる。
【0029】
請求項3記載の発明は、フロートの下部に着脱可能なように錘が懸架されているので、請求項1又は2記載の発明の効果に加えて、錘の重さを適宜に変更して、ワイヤのテンションとフロートの浮き具合を水位変動の幅や水の流速等を勘案して最適な状態にすることができる。
【0030】
請求項4記載の発明は、錘の上部にテーパ部が形成されて角部が除去されているので、請求項3記載の発明の効果に加えて、下水道に流れる前記固形物が錘に付着するのを防止することができる。これにより、下水道の流速によって錘が流されることがなくなるので、錘及びフロートを常に重力に対して垂直状態に維持することができる。
【0031】
請求項5記載の発明は、フロートが、空洞の容器の内部に砂等の粒状物体を所定量だけ充填して構成されているので、請求項1又は2記載の発明の効果に加えて、浮き部分と錘部分とが一体化されたシンプルなフロートを構成することができる。これによって、フロート部分のコストダウンを図ることが可能となる。
【0032】
請求項6記載の発明は、ガス採取部は逆漏斗状に形状になっているので、請求項1又は2記載の発明の効果に加えて、ガス採取部のガスをサンプリングする部分が下水の汚水飛沫を受けても、ガス採取部の近傍位置に存在するガス採取チューブが汚水飛沫によって目詰まりを起こすおそれはなくなる。
【0033】
請求項7記載の発明は、ガス採取部がワイヤに吊り下げられた支柱に対して回転自在に構成されているので、請求項6記載の発明の効果に加えて、下水の流速によってフロートに回転動作などが発生しても、ガス採取チューブがワイヤに絡むおそれはなくなり、ガス採取チューブが閉塞することはなくなる。
【0034】
請求項8記載の発明は、フロートと錘は自在継手によって接続されているので、請求項3又は4記載の発明の効果に加えて、下水の流速によってフロートが流されても、自在継手の動作よってフロートと錘を重力の方向へ垂直状態に維持することが可能となり、斯くして、フロートと錘は常に適正な姿勢を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施例1に係るガスサンプリング装置を示す解説縦断面図。
【図2】図1に示すガス採取部5の近傍の拡大図。
【図3】図1に示す錘1の変形例を示す図。
【図4】実施例1に係るガスサンプリング装置において、水位が変動してもワイヤ8及びガス採取チューブ6が直線状態を維持している状態を示す解説図。
【図5】実施例1に係るガスサンプリング装置において、下水の流速によってフロート2が流されてもワイヤ8及びガス採取チューブ6が水面に触れない状態を示す解説図。
【図6】本発明のガスサンプリング装置に用いられるフロートの一例を示す図。
【図7】本発明のガスサンプリング装置に用いられるフロートの他の例を示す図。
【図8】ガス採取部が回転型で構成されたガスサンプリング装置の第1の構成例を示す図。
【図9】ガス採取部が固定型で構成されたガスサンプリング装置の第2の構成例を示す図。
【図10】ガス採取部が回転型であって錘とフロートが一体型で構成されたガスサンプリング装置の第3の構成例を示す図。
【図11】本発明の実施例2に係るガスサンプリング装置の概念的な構成図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は、下水道の水位の変動に応じて、ガスをサンプリングするガス採取部を常に水面近傍に移動させることができるガスサンプリング装置を簡略な機構で構成するという目的を達成するために、水面上に滞留するガスをサンプリングするガスサンプリング装置であって、下部に錘を有し、該錘の重力と水の浮力とのバランスで水面に浮かぶフロートと、前記フロートの上部近傍に設置されて、前記水面上に滞留するガスを採取するガス採取部と、支柱を介在させて前記フロートと前記ガス採取部とを懸架するワイヤと、前記水面の水位の変動に対応して前記ワイヤの巻取り/巻戻しを行い、前記錘の重力に抗して該ワイヤにテンションを加えるワイヤ巻取装置と、前記ガス採取部で採取されたサンプリングガスを外部へ導くガス採取チューブと、前記水面の水位の変動に対応して前記ガス採取チューブの巻取り/巻戻しを行い、該ガス採取チューブにテンションを加えるチューブ巻取機構とから成るように構成したことによって実現した。
【0037】
以下、本発明の好適な実施例を図1乃至図11に従って詳細に説明する。尚、以下に説明する各実施例に用いる図面については同一の構成要素は原則として同一の符合を付し、且つ重複する説明は省略する。
【実施例1】
【0038】
本発明の実施例1に係るガスサンプリング装置は、釣りなどに用いられる『浮き』の原理を応用して、その浮き(フロート)の上部近傍にガスをサンプリングするためのガス採取部を設置する。そして、該浮きを引っ張る釣り糸とリールに相当する巻取部分をSUS又はナイロン(登録商標)のワイヤとワイヤ巻取機構で構成する。一方、ガス採取部から下流のガス計測器側へ、ガス採取チューブを延在させてガスの導入路とし、該ガス採取チューブをチューブ巻取機構で巻き取るように構成する。
【0039】
このようにして、チューブ巻取機構を介在させて、ガス採取チューブをガス採取部からガス計測器へ導いて下水道の水面上のガスを採取し、ガス計測器によって下水道の水面上のガス濃度を計測している。尚、本実施例は、下水道の水面上のガスを採取する機構の構成のみに限定し、当該ガスの濃度を計測(又はモニタリング)する構成については本実施例の適用範囲外とする。
【0040】
ガスサンプリング装置を上記のように構成することにより、下水道の水位の変動に関わらず、フロートの上部のガス採取部は常に下水道の水面の上部近傍の位置に配置されるので、ガスサンプリング装置は、ガス採取部から常に下水道の水面付近のガスを確実に採取することができる。しかも、フロートを引っ張るワイヤはワイヤ巻取機構で適正なテンションがかかり、且つ、ガス採取部からサンプリングガスをガス計測器へ導くガス採取チューブもチューブ巻取機構で適正なテンションがかかるので、ワイヤ及びガス採取チューブは下水道の水位が上昇しても水没するおそれはなくなる。これによって、下水道を流れる固形物がワイヤやガス採取チューブに絡まったり破損したりするおそれもなくなる。
【0041】
図1は、下水道のマンホール内に設置されたガスサンプリング装置を示す。同図において、ガスサンプリング装置のアクセスポイントとなるマンホールMの内部において、錘1を吊り下げたフロート2が下水道Gの水面Gaに浮上しており、該フロート2の他端からストッパ3を介して支柱4が突出している。そして、該フロート2の上端部のストッパ3から15〜30cm上部の支柱4の位置に、ガスサンプリング口となるガス採取部5が設置されている。そして、該ガス採取部5の上部付近からサンプリングガスの導入路となるガス採取チューブ6が延在している。
【0042】
尚、同図において、フロート2の上部から突出した支柱4はガス採取部5の中央部を貫通して、その上部にフック7が形成されている。該フック7はSUS又はナイロン(登録商標)のワイヤ8によって懸架されている。そして、マンホールM上に設置された架台9に懸架されたワイヤ巻取機構10が、前記ワイヤ8の他端を巻き取るようにして該ワイヤ8に適正なテンションを加えている。
【0043】
すなわち、下水道Gの水面(水位)Gaの上昇によって該ワイヤ8が弛んだり、水面Gaの低下によって該ワイヤ8に過剰なテンションがかからないように、ワイヤ巻取機構10が自動的にワイヤ8の巻取り調整を行って該ワイヤ8に適正なテンションを加えている。尚、ワイヤ巻取機構10が水面Gaに浮上しているフロート2やガス採取部5を巻き取らない程度にワイヤ8に適当なテンションが加わるように、フロート2に懸架された錘1の重さを適宜調整する必要がある。すなわち、錘1の重さとワイヤ巻取機構10の巻取り力とのバランスによって、下水道Gの水面Gaが変動してもワイヤ8には常に適正なテンションがかかるようになっている。
【0044】
また、ガス採取部5から延在したガス採取チューブ6は、マンホールM上に設置された架台9に懸架されたチューブ巻取機構11によって巻き取られるようにして適正なテンションが加えられている。すなわち、下水道Gの水面Gaが変動してフロート2の位置が変化したときに、ワイヤ8と共にガス採取チューブ6が弛まないように、チューブ巻取機構11はガス採取チューブ6に適正なテンションを加えている。そして、チューブ巻取機構11から延在したガス採取チューブ6は、ガス計測器12へ導かれている。
【0045】
このような構成のガスサンプリング装置により、下水道Gの水面Gaが変動しても、フロート2の上部近傍に設置したガス採取部5によって水面Ga近傍のガスを常時サンプリングすることができる。そして、ガス採取部5によってサンプリングされたガスはガス採取チューブ6を経由してガス計測器12に導かれ、サンプリングされたガスの濃度はガスセンサによって計測することができる。
【0046】
また、図1に示すように、フロート2と錘1は、接続姿勢を自在に変えることができる自在継手13によって接続されている。従って、下水の流速によってフロート2が図の破線の方向へ流されても、フロート2と錘1を接続する自在継手13の作用よって、フロート2と錘1を重力の方向へ垂直状態にするバランス作用が働くので、フロート2と錘1は実線で示したように適切な姿勢を維持することができる。言い換えると、下水の流速によってフロート2が垂直状態からずれても、錘1の姿勢を自在に変化させることができる自在継手13の作用によって、フロート2をワイヤ8と垂直状態に維持することができる。
【0047】
以上を要約すると、錘1を懸架したフロート2の上部近傍にはガス採取部5が設置され、フロート2とガス採取部5は支柱4の上部のフック5を介してワイヤ8によって吊り下げられている。また、ワイヤ8は、錘1の重力とワイヤ巻取機構9の巻取り力とがバランスして適正なテンションが加えられている。更に、ガス採取部5からガス採取チューブ6が導き出され、ガス採取チューブ6はチューブ巻取機構11によって適正なテンションが加えられている。一方、ガス採取チューブ6を通過したガスはガス計測器12へ送出されて水面Ga上のガスの濃度が計測される。このような構成により、下水道Gの水面Gaが変動しても、ガス採取部5は常に水面Gaの表面のガスを採取する。また、ワイヤ8とガス採取チューブ6は水面Gaに弛むおそれはないので、下水道Gを流れる汚物がワイヤ8やガス採取チューブ6に絡まるおそれはない。このようにして、下水道の水位の変動に応じて、ガスをサンプリングするガス採取部を常に水面近傍に移動させることが可能なガスサンプリング装置を簡略な機構で実現することができる。
【0048】
図2は、図1に示すガス採取部5の近傍の拡大図である。すなわち、図2に示すように、ワイヤ(図示せず)に吊り下げられた支柱4に対してガス採取部5は自在に回転できるように構成されている。これにより、下水の流速によって生じるフロート2の回転動作や、下水道Gの空洞部分を流れる風速などによって、ガス採取チューブ6がワイヤ(図示せず)に絡まないようにしている。図1を参照しながら言い換えると、ガス採取チューブ6がワイヤ8に絡むと該ガス採取チューブ6が部分的に閉塞してしまい、サンプリングガスをガス計測器12へ導入することができなくなるので、支柱4に対してガス採取部5を回転自在に構成して、ガス採取チューブ6がワイヤ8に絡まないようにすることは極めて重要な構成要件である。
【0049】
図3は、図1に示す錘1の変形例を示す図である。すなわち、図3に示すように、錘1−1の上部にテーパ部14を形成して角をなくすことにより、下水道Gに流れる前記固形物が錘1−1に付着するのを防止することができる。これによって、下水道Gの流速によって錘1−1が流されることがなくなるので、錘1−1及びフロート2(図1参照)を常に重力に対して垂直状態に維持することができる。
【0050】
図4は、実施例1に係るガスサンプリング装置において、水位が変動してもワイヤ8及びガス採取チューブ6が直線状態を維持している状態を示す解説図である。同図に示すように、降雨等によって下水道の水位が水面Ga1から水面Ga2に大きく上昇すると、フロート2は水面Ga2の位置まで浮上するが、ワイヤ巻取機構(図示せず)の引っ張り力と錘1の重力とのバランスにより、ワイヤ8は、図の破線のように弛むことなく、適切なテンションで直線状態となる。また、チューブ巻取機構(図示せず)の引っ張り力によりガス採取チューブ6も適正なテンションで直線状態となる。これにより、下水に流れる固形物がワイヤ8やガス採取チューブ6に絡むおそれはなくなる。
【0051】
図5は、実施例1に係るガスサンプリング装置において、下水の流速によってフロート2が流されてもワイヤ8及びガス採取チューブ6が水面Gaに触れない状態を示す解説図である。同図に示すように、下水の流速によってフロート2が流されたとき、該フロート2に懸架された錘1は、重力に垂直な方向ヘの力が作用して図の矢印の方向への回復力Fが生じる。一方、ワイヤ8はワイヤ巻取機構(図示せず)による引っ張り力f1によって所望のテンションが加わる。これにより、ワイヤ8には図の破線の弛み状態から図の矢印方向への引っ張り力f2が働くので、ワイヤ8は、図の破線のように水面Gaに接触することなく、傾斜した状態を保持したままワイヤ巻取機構(図示せず)とフロート2との間で適正なテンションで直線状態を維持する。また、ガス採取チューブ6についても、水面Gaに触れることなく、傾斜状態を保持したままチューブ巻取機構(図示せず)とフロート2との間で適正なテンションで直線状態を維持する。これにより、下水に流れる前記固形物がワイヤ8やガス採取チューブ6に絡むおそれはなくなる。
【0052】
次に、フロートのバリエーションについて説明する。図6は、本発明のガスサンプリング装置に用いられるフロートの一例を示す図である。また、図7は、本発明のガスサンプリング装置に用いられるフロートの他の例を示す図である。フロートは、図1に示すように下部に錘1を懸架した分離型のものが一般的に用いられるが、それ以外にも、例えば、図6に示すように、浮き部分と錘部分が一体化された一体型のものを用いてもよい。
【0053】
図6に示すように、フロート20は、塩ビ等のプラスチック製の底付き円筒管21の内部に砂等の粒状物体22を所定量だけ充填し、底付き円筒管21の上部に所定容積の空洞23を設けた状態で、塩ビ等のプラスチック製の蓋24をネジ止めによって被着している。このとき、砂等の粒状物体22の充填量によって錘部分の重さを調節する。これによって、フロート20は、空洞23が浮きとして動作し粒状物体22が錘として動作するので、浮き部分と錘部分が一体化されたシンプルなフロート20として用いることができる。但し、このような一体型のフロート20は、構造が簡単で安価であるが、水面Gaより沈む部分(下水道の水中部分)が長くなるので、下水道を流れる固形物がフロート20に絡みやすい。
【0054】
また、図7に示すように浮き部分と錘部分とが分離された分離型のタイプは、図1で示した分離型のタイプと類似であるが、図7では、フロート2の下部の自在継手13に複数の錘1a,1bが懸架されている。すなわち、軽量の錘1a,1bを複数用意しておき、必要に応じて懸架する錘の数量を変えて重さの調節を行うことができる。尚、錘1a,1bを同じ重さにしてもよいが、錘1aと錘1bとの重さを変えてもよい。
【0055】
すなわち、下水道の水位の変動幅、流速、及び汚れ具合などを考慮し、設置場所の状況に応じて、図6のような浮き部分と錘部分の一体型、又は図7のような浮き部分と錘部分の分離型を選択し、それぞれのタイプに応じて砂などの粒状物体22の充填量や錘1a,1bの数量を調節して使用することが望ましい。
【0056】
次に、実施例1におけるガスサンプリング装置のフロート及びガス採取部の周辺の具体的な構成例の幾つかについて説明する。図8は、ガス採取部が回転型で構成されたガスサンプリング装置の第1の構成例を示す図である。また、図9は、ガス採取部が固定型で構成されたガスサンプリング装置の第2の構成例を示す図である。更に、図10は、ガス採取部が回転型であって錘とフロートが一体型で構成されたガスサンプリング装置の第3の構成例を示す図である。
【0057】
図8に示すフロート2及びガス採取部5の周辺の構成は、図1に示した同部分の周辺の構成と基本的に同じであるので重複する説明は省略する。同図に示すように、ガス採取部5は支柱4に対して回転自在に構成されている。また、ガス採取部5の漏斗状の側部から導き出されたガス採取チューブ6は筒状のチューブ保護材15によって覆われている。
【0058】
図9に示すフロート2及びガス採取部5の周辺の構成は、図1に示した同部分の周辺の構成と基本的には同じであるが、ガス採取チューブ6は、漏斗状のガス採取部5の頂点部分(支柱4が突出する部分に沿った部分)から導き出され、筒状のチューブ保護材15によって覆われて支柱4に沿って取り出されている。このとき、ガス採取部5は支柱4に固定されて、ガス採取部5は非回転型に形成されている。
【0059】
図10は、図6に示した浮き部分と錘部分とを一体化した一体型のフロートとその周辺部分の具体的な構成例を示している。すなわち、同図に示すように、空洞のフロート31の底部に例えばステンレス鋼のキャップで形成された錘材32を被せる。これによって、原理的には図6で示したような浮き部分と錘部分との一体型のフロート31を実現することができる。尚、ガス採取チューブ6の取り出し方法については図8の構成と同じであるので、その作用・効果についての説明は省略する。
【0060】
以上述べたように、本実施例のガスサンプリング装置によれば、下水道Gの水位の変動が大きい水面Gaの近傍において、水位の変動に関わらず、常時、適正にガスのサンプリングを行うことができる。このとき、下水道Gには大小様々な浮遊物が流れているので、ガス採取部の位置が固定されていると、水面Gaの水位変動によって浮遊物がガス採取部に絡まったり、ガス採取部が水面Gaから離れすぎたりしてしまうため、長期に亘ってガスサンプリング装置の機能を維持することができない。ところが、図1に示した本実施例のガスサンプリング装置のように、水面Gaの水位変動に対応して、フロート2の浮力によってガス採取部5が常に水面Ga上の所定位置になるようにすれば、水面Gaの水位変動に関わらず、長期に亘ってガスサンプリング装置の機能を維持することができる。
【0061】
また、本実施例のガスサンプリング装置によれば、ワイヤ巻取機構10及びチューブ巻取機構11によって、水面Gaの水位変動に関わらずワイヤ8及びガス採取チューブ6に適正なテンションが加わるので、該ワイヤ8及び該ガス採取チューブ6を常に直線状態に維持することができる。従って、該ワイヤ8や該ガス採取チューブ6が弛んで下水道Gを流れる固形物が絡まるおそれもなくなる。
【実施例2】
【0062】
本発明の実施例2に係るガスサンプリング装置は、ガス採取チューブ6にテンションを加えるためのチューブ巻取機構を削除し、ガス採取チューブ6の一部又は全てをスパイラルチューブにしたことを特徴としている。これによって、下水道の水位が変動したときにスパイラルチューブが伸縮するので、水位の上昇時にガス採取チューブ6が弛むことはなくなるので、ガス採取チューブ6の一部が水没して下水道を流れる固形物が該ガス採取チューブ6に絡むおそれはなくなる。
【0063】
図11は、本発明の実施例2に係るガスサンプリング装置を示す。同図の構成が図1に示す構成と異なる点は、ガス採取チューブ6の一部にスパイラル部6aを設けてチューブ巻取機構を取り除いた点、及びフロート20が浮き部分と錘部分の一体型になっている点のみである。尚、フロート20の構成が一体型であっても、図1に示すようにフロート2と錘1の分離型であっても本実施例の作用効果には関係ないので、その部分の説明は省略し、実施例2が実施例1と本質的に異なる部分についてのみ説明する。
【0064】
図11において、下水道Gの水面Gaの水位は、例えば雨天時と晴天時とで4m程度変動することがある。そこで、マンホールMのアクセスポイントに設置したガスサンプリング装置は、水位が最も低下したとき、14m程度ワイヤ8を垂らした位置でガス採取部5を経由して水面Gaにフロート20を落とし込む。そして、ワイヤ8の他端はワイヤ巻取機構10によって巻き取るようにしてワイヤ8に適正なテンションを加える。
【0065】
一方、ガス計測器12からマンホールM内を垂下したガス採取チューブ6は、10mの位置まで直線で垂れ下がり、その下4m程度はスパイラル部6aが形成されたガス採取チューブ6でガス採取部5へ直結する。
【0066】
このような構成にすることにより、水面Gaの水位が低下したときはガス採取チューブ6のスパイラル部6aが伸び、水位が上昇したときはガス採取チューブ6のスパイラル部6aが縮む。これによって水面Gaの水位が変動してもガス採取チューブ6に無理なテンションが加わることはなくなり、且つ水位の上昇時にガス採取チューブ6が水面に触れることもなくなるので、下水道Gを流れる固形物がガス採取チューブ6に絡むおそれもなくなる。
【0067】
また、実施例2のガスサンプリング装置のように、ガス採取チューブ6の一部にスパイラル部6aを設けることによってチューブ巻取機構が不要となるので、実施例1に比べてガスサンプリング装置を安価に構成することができる。
【0068】
なお、ここでは、ガスサンプリング装置について2つの実施例について説明したが、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明のガスサンプリング装置は、下水道に限らず、河川や海や上水道などあらゆる水面に滞留したガスをサンプリングするガスサンプリング装置として適用可能である。
【符号の説明】
【0070】
1、1−1、1a、1b 錘
2、20、31 フロート
3 ストッパ
4 支柱
5 ガス採取部
5a 開口部
6 ガス採取チューブ
7 フック
8 ワイヤ
9 架台
10 ワイヤ巻取機構
11 チューブ巻取機構
12 ガス計測器
13 ジョイント継手
14 テーパ部
15 チューブ保護材
21 底付き円筒管
22 粒状物体
23 空洞
32 錘材
M マンホール
G 下水道
Ga、Ga1、Ga2 水面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水面上に滞留するガスをサンプリングするガスサンプリング装置であって、
下部に錘を有し、該錘の重力と水の浮力とのバランスで水面に浮かぶフロートと、
前記フロートの上部近傍に設置されて、前記水面上に滞留するガスを採取するガス採取部と、
支柱を介在させて前記フロートと前記ガス採取部とを懸架するワイヤと、
前記水面の水位の変動に対応して前記ワイヤの巻取り/巻戻しを行い、前記錘の重力に抗して該ワイヤにテンションを加えるワイヤ巻取装置と、
前記ガス採取部で採取されたサンプリングガスを外部へ導くガス採取チューブと、
前記水面の水位の変動に対応して前記ガス採取チューブの巻取り/巻戻しを行い、該ガス採取チューブにテンションを加えるチューブ巻取機構と
から成ることを特徴とするガスサンプリング装置。
【請求項2】
水面上に滞留するガスをサンプリングするガスサンプリング装置であって、
下部に錘を有し、該錘の重力と水の浮力とのバランスで水面に浮かぶフロートと、
前記フロートの上部近傍に設置されて、前記水面上に滞留するガスを採取するガス採取部と、
支柱を介在させて前記フロートと前記ガス採取部とを懸架するワイヤと、
前記水面の水位の変動に対応して前記ワイヤの巻取り/巻戻しを行い、前記錘の重力に抗して該ワイヤにテンションを加えるワイヤ巻取装置と、
少なくとも一部がスパイラル状に形成され、前記ガス採取部で採取されたサンプリングガスを外部へ導くガス採取チューブと
から成ることを特徴とするガスサンプリング装置。
【請求項3】
上記錘は上記フロートの下部に懸架され、該錘と該フロートとは分離可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のガスサンプリング装置。
【請求項4】
上記錘は上部がテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項3記載のガスサンプリング装置。
【請求項5】
上記錘は粒状物体であって、該粒状物体は上記フロートの内部に容量可変に充填されていることを特徴とする請求項1又は2記載のガスサンプリング装置。
【請求項6】
上記ガス採取部は、逆漏斗状に形成され、下部開口部からガスを採取できるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のガスサンプリング装置。
【請求項7】
上記ガス採取チューブは上記ガス採取部の逆漏斗状に形成された側部の任意の位置から導き出され、該ガス採取部は上記支柱に対して回転自在に構成されていることを特徴とする請求項6記載のガスサンプリング装置。
【請求項8】
上記フロートは、上記錘の姿勢を自動的に重力方向へ変化させるジョイント継手を介して該錘を懸架していることを特徴とする請求項3又は4記載のガスサンプリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−33524(P2011−33524A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−181427(P2009−181427)
【出願日】平成21年8月4日(2009.8.4)
【出願人】(000220675)東京都下水道サービス株式会社 (98)
【出願人】(000220000)東京ガス・エンジニアリング株式会社 (15)
【出願人】(592120623)株式会社坂口技研 (9)
【Fターム(参考)】