説明

ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ

【課題】本発明は、脚長10.5mm以上の大脚長及びのど厚7.5mm以上の大のど厚を要求する溶接において、下部ビードの垂れ及び上部ビードのアンダーカットを解決して溶接能率性を向上させることにより、下向き及び水平すみ肉姿勢において、溶接施工を高能率で行なえるようにするガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤを提供することをその目的とする。
【解決手段】本発明の目的は、軟鋼または合金鋼製の外皮にフラックスを充填するガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおいて、ワイヤの全体重量に対してTiO2(換算値):2.00〜6.00重量%、Al2O3(換算値):0.20〜1.50重量%、MgO (換算値):0.50〜2.00重量%、SiO2(換算値):1.50〜3.50重量%、ZrO2(換算値):0.30〜2.00重量%、MnO(換算値):2.00〜4.50重量%、K2O(換算値):0.03〜0.25重量%、F(換算値):0.05〜0.30重量%を含み、残部はFe及びその他の成分から構成されたことを特徴とするガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤを提供することにより達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤに関し、より詳しくは、軟鋼及び高張力鋼を主に使用する鉄骨、橋梁及び造船業界の溶接に適用することができ、特に、下向き溶接及び水平すみ肉専用の溶接で、脚長10.5mm以上とのど厚(理論のど厚)7.5mm以上が得られる溶接に適した、ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
現代の産業社会で溶接は、大型鉄構造物の製作増加に伴い、溶接の際に脚長及びのど厚の大きいものを要求する、溶接施工の高能率化に対する要求がだんだん高くなっている。このような要求条件を満たすために、特に下向き溶接及び水平すみ肉溶接などにおいて、溶接設備においてはロボット溶接及び半自動化などを導入する勢いであり、溶接材料においては大脚長及び大のど厚を要求するフラックス入りワイヤの開発が必要になった。下向き及び水平すみ肉溶接専用の溶接材料が開発され使用されているが、大型構造物の要求条件を満たすためには、大脚長はもちろんのこと大のど厚のビードが作れる溶接材料の技術開発が必須的な環境になった。
【0003】
一方、従来の溶接材料では下向き溶接及び水平すみ肉溶接の際に、8mm以上の大脚長ビードを満たす溶接材料は開発されて現場で使用されているが、10.5mm以上の脚長と7.5mm以上ののど厚を要求する構造物においては、下部ビードの垂れ現象及び上部ビードのアンダーカット発生により疲労強度に脆弱であり、この疲労強度の脆弱点を補完するために2パス(Pass)乃至は3パス(Pass)溶接で、垂れ現象及びアンダーカットを解決したが、作業能率性が下がるという問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような問題点を解決するために本発明は、脚長10.5mm以上の大脚長及びのど厚7.5mm以上の大のど厚を要求する溶接において、下部ビードの垂れ及び上部ビードのアンダーカットを解決して溶接能率性を向上させることにより、下向き及び水平すみ肉姿勢において、溶接施工を高能率で行なえるようにするガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤを提供することをその目的とする。
また、本発明は、高電流溶接でも溶融金属の垂れや上部母材のアンダーカット不良が発生しないガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、軟鋼または合金鋼製の外皮にフラックスを充填するガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおいて、ワイヤの全体重量に対してTiO2(換算値):2.00〜6.00重量%、Al2O3(換算値):0.20〜1.50重量%、MgO (換算値):0.50〜2.00重量%、SiO2(換算値):1.50〜3.50重量%、ZrO2(換算値):0.30〜2.00重量%、MnO(換算値):2.00〜4.50重量%、K2O(換算値):0.03〜0.25重量%、F(換算値):0.05〜0.30重量%を含み、残部はFe及びその他の成分から構成されたことを特徴とするガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤを提供することにより達成される。ここで、上記それぞれの酸化物成分は、ワイヤ中に含有された当該元素成分及びその当該元素の酸化物成分を、上記それぞれの酸化物に換算して合わせた値を表す。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると下向き及び水平すみ肉姿勢により溶接施工を高能率で行なうことが可能で、高電流下に溶接を行なっても溶融金属のビードの垂れ及び上部ビードのアンダーカット等、ビード形状の不良問題を解決し、且つ大脚長及び大のど厚が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下で、本発明の好適な実施態様について詳細に説明する。
溶融金属の流動度とスラグの凝固点、凝固速度及び粘性を調節するために溶融金属の凝固時にスラグの形成、スラグの凝固点及びビード形状に関係する低融点酸化物とスラグの凝固速度、スラグ粘性及びビード形状を調節する高融点酸化物の2つの側面について検討した結果は、次の通りである。
第一、スラグの形成、スラグの凝固点及びビード形状に関係する成分としては、Ti及びTi酸化物、Al及びAl酸化物、Si及びSi酸化物などが挙げられる。
上記のTi、Al、Siなどは溶接の際に脱酸作用を示し、Ti酸化物、Al酸化物、Si酸化物などはスラグ形成剤として添加され、最終的にTiO2、Al2O3、SiO2などの酸化物を形成する。これらのTiO2、Al2O3、SiO2などの酸化物は低融点酸化物であって、溶融金属の凝固時にスラグの形成、スラグの凝固点及びビード形状に関与する。
第二、スラグの凝固速度、スラグ粘性及びビード形状を調節する成分としては、Mg及びMg酸化物、Zr及びZr酸化物などが挙げられる。
上記のMg、Zrなどは溶接の際に脱酸作用を示し、Mg酸化物、Zr酸化物などはスラグ形成剤として添加され、最終的にMgO、ZrO2などの酸化物を形成する。これらのMgO、ZrO2酸化物は高融点酸化物であって、スラグの凝固速度、スラグ粘性及びビード形状を調節する主要因子として作用する。
【0008】
従って、本発明では、MgO、ZrO2などの高融点酸化物を用いて、スラグの凝固速度、粘性及びビード形状を調節し、上部ビードのアンダーカットと下部ビードの垂れが発生しないようにし、またTiO2、Al2O3、SiO2などの低融点酸化物を用いて、主要スラグの形成、スラグの凝固点及びビード形状を調節することにより、上部ビードのアンダーカットと下部ビードの垂れが発生しないようにすることができる。
以上のように、スラグの形成、スラグの凝固点及びビード形状に関係する低融点酸化物またはスラグの凝固速度、スラグ粘性及びビード形状を調節する高融点酸化物のどちらか一方だけでは、本発明の課題である高電流で上部ビードのアンダーカットと下部ビードの垂れのない大脚長、大のど厚の溶接金属を得ることができず、これらの2つの因子を共に適宜に組み合わせた場合に限って、本発明の課題が達成できる。
【0009】
また、K2O、Fなどのようなアーク安定剤及びアーク取付力を調整できる成分を調整することにより、上部ビードのアンダーカット発生を調整できる。特に、アーク安定性が確保でき、スパッタの発生量が少なく、溶接作業性も向上させることができる。
上述したように、本発明は高融点酸化物MgO、ZrO2と低融点酸化物TiO2、Al2O3、SiO2の組成比により、スラグが流れ落ちることが防止できる一方、ビードが垂れないようにすることが可能で、このために低融点酸化物と高融点酸化物の関係を表す下記式(1)の値が、1.80〜6.50の範囲内になるように調整することにより、本発明を完成する。
1.80≦(TiO2+Al2O3+SiO2)/(MgO+ZrO2)≦6.50 (1)
以下、本発明中の各成分の役割及び適正含量について説明する。
【0010】
TiO2:2.00〜6.00重量%
TiO2は、一般的にスラグ形成剤及びアーク安定剤として作用する。TiO2が2.00重量%未満では、スラグ被包性が不足し、ビードの外観形状及びアーク安定性が不良になる。また、6.00重量%を超えると、スラグの含量が多くなり溶接欠陥発生の原因になり、低融点スラグの含量も多くなるため、ビードの垂れの原因にもなる。従って、TiO2の含量は2.00〜6.00重量%の範囲内であることが好ましい。
一方、TiO2を供給する原料としては、これに限定されるものではないが、ルチル(Rutile, TiO2)及びイルメナイト(Ilmenite, FeTiO3)などが挙げられる。
【0011】
Al2O3:0.20〜1.50重量%
Al2O3は、スラグ被包性、剥離性及びスパッタの発生量を低減させる作用をする。0.20重量%未満では、スパッタの発生量が多くてその効果がなく、1.50重量%を超えると、ビード形状が不良でスラグ剥離性に劣る。従って、Al2O3の含量は、0.20〜1.50重量%の範囲内であることが好ましい。
一方、Al2O3を供給する原料としては、これに限定されるものではないが、酸化アルミニウム(Aluminum oxide, Al2O3)などが挙げられる。
【0012】
MgO:0.50〜2.00重量%
MgOは、高融点酸化物であって、スラグの凝固速度及び粘性に影響を及ぼし、アンダーカット及びビードの垂れに影響を与え、ビード形状を調整する。MgOが0.50重量%未満では、ビード形状が垂れてオーバーラップが発生し、2.00重量%を超えると、スラグ粘性が高くなりスラグ剥離性に劣り、上部脚長のアンダーカットが発生し、ビード形状が悪くなる。従って、MgOの含量は、0.50〜2.00重量%の範囲内であることが好ましい。
一方、MgOを供給する原料としては、これに限定されるものではないが、マグネシアクリンカー(Magnesia clinker, MgO)、マグネサイト(Magnesite, MgCO3)などが挙げられる。
【0013】
SiO2:1.50〜3.50重量%
SiO2は、スラグ形成剤及びアーク安定剤であって、スラグの凝固点が低く粘性が小さくて、ビード形状の調整に効果を持つ成分である。SiO2が1.50重量%未満では、アークが不安定で、スパッタの発生量が増加し、スラグ被包性が不均一でビード形状が不良になる。3.50重量%を超えると、低融点スラグが多く、下部脚長でオーバーラップが発生する。従って、SiO2の含量は、1.50〜3.50重量%の範囲内であることが好ましい。
一方、SiO2を供給する供給源としては、これに限定されるものではないが、珪石(Quartz, SiO2)、珪藻土(Diatomaceous earth, SiO2-Al2O3-Fe2O3)、正長石(Orthoclase, K2O-Al2O3-6SiO2)などが挙げられる。
【0014】
ZrO2:0.30〜2.00重量%
ZrO2は、MgOのようにスラグの凝固速度とスラグ粘性に影響を及ぼし、アンダーカット及びビードの垂れに影響を与え、ビード形状を調整する成分である。ZrO2が0.30重量%未満では、ビード形状の改善効果がなく、2.00重量%を超えると、スラグ粘性が高くなりスラグ剥離性に劣り、上部脚長のアンダーカットが発生し、ビード形状が悪い。従って、ZrO2の含量は、0.30〜2.00重量%の範囲内であることが好ましい。
一方、ZrO2を供給する原料としては、これに限定されるものではないが、ジルコンサンド(Zircon-Sand, ZrSiO4)、ジルコニア(Zirconia, ZrO2)などが挙げられる。
【0015】
MnO:2.00〜4.50重量%
MnOは、脱酸剤として作用すると共に、溶接金属において引張強度及び靭性を向上させる作用がある。MnOが2.00重量%未満では、脱酸不足のため溶接部にブローホールなどの溶接欠陥が発生し易く、引張強度及び靭性に劣る。MnOが4.50重量%を超えると、溶接金属の引張強度が大きく増加するため、高温亀裂が発生し易くなる。従って、MnOの含量は、2.00〜4.50重量%の範囲内であることが好ましい。
一方、MnOを供給する原料としては、これに限定されるものではないが、金属マンガンパウダー(Metal Manganese Powder)、フェロマンガン(Ferro-Manganese)、またはFe-Si-Mnなどが挙げられる。
【0016】
K2O:0.03〜0.25重量%
K2Oは、アーク安定剤及びアーク取付力に影響を及ぼす成分である。K2Oが0.03重量%未満では、アークが不安定で、スパッタの発生量が多い。0.25重量%を超えると、アーク取付力が強くて上部ビードのアンダーカットが発生し、スパッタの発生量も多くなる。従って、K2Oの含量は、0.03〜0.25重量%の範囲内であることが好ましい。
一方、K2Oを供給する供給源としては、これに限定されるものではなく、正長石(Orthoclase, K2O-Al2O3-6SiO2)、チタン酸カリウム(Potassium titanate, K2TiO3)などが挙げられる。
【0017】
F:0.05〜0.30重量%
Fは、アルカリ性フッ化物であって、アーク安定性及びスパッタの発生を低減させ、溶接作業性を向上させる作用をする。フッ化物の量が0.05重量%未満では、アークが不安定でスパッタの発生が多く、0.30重量%を超えると、アークの集中性が相対的に大きすぎて上部ビードのアンダーカットを誘発し、スパッタの過多発生をもたらす。従って、Fの含量は0.05〜0.30重量%の範囲内であることが好ましい。
一方、Fを供給する供給源としては、これに限定されるものではないが、NaF、CaF2、MgF2、BaF3、AlF3、KF、LiFなどが挙げられる。
【0018】
上記成分のうち、高融点酸化物が増加すると、スラグの凝固速度及び粘性が増加して溶融金属が流れ落ちない反面、上部ビードのアンダーカットが発生し、低融点酸化物が増加すると、スラグの凝固速度が相対的に遅くなり、ビードの垂れをもたらしてオーバーラップを誘発させる点を勘案し、スラグの凝固速度、スラグ粘性及びビード形状を制御できる上記成分のうち、高融点酸化物のMgO、ZrO2と、低融点酸化物のTiO2、Al2O3、SiO2間の関係を導出して下記式(1)で表し、その値を1.80〜6.50の範囲内に制御した。
1.80≦(TiO2+Al2O3+SiO2)/(MgO+ZrO2)≦6.50 (1)
式(1)の値が1.80未満では、上部ビードのアンダーカットが発生し、6.50を超えると、等脚長のビード形状にならなく、ビードの垂れ現象によりオーバーラップが発生する。従って、式(1)の値が1.80〜6.50の範囲内であることが最も適当である。
【0019】
一方、Si、Mnなどの合金元素は、外皮またはフラックスで添加することが可能である。また、溶接部の耐食性、高温強度、耐衝撃性及び耐高温腐食性などを向上させるために、上記以外の合金成分(Cr, Cu, Ni, Ti, Mo, V, Nb等)を添加することもできる。
また、ワイヤ表面の状態及び断面によるフラックスの充填形状には何ら制限はない。ワイヤ表面に通電性を良くし、発錆防止のためにCuでメッキしたり、酸化皮膜を形成させてもよく、表面処理に対する制約はない。また、ワイヤの断面を円形にする方が良いが、これに限定されるものではない。
以下、本発明を下記の実施例に基づいてより詳細に説明する。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例】
【0020】
実施例1:ガスシールドアーク溶接用ワイヤの製造
冷間圧延鋼剤(KS D 3512)の外皮中にフラックスを充填し、ワイヤの全重量に対してフラックスの含量が12〜18重量%になるようにし、ワイヤの直径が1.6mmであるフラックス入りワイヤを製造した。上記ワイヤの構成成分を下記の表1に示した。
このように製造したフラックス入りワイヤを、下記の表2及び図1に示した溶接条件の範囲内で溶接し、脚長、のど厚、ビードオーバーラップ、アンダーカット、アーク安定性、スラグ剥離性、スラグ被包性、スパッタの発生量について評価した。その結果は、下記の表3にとりまとめた。
【0021】
【表1】

【0022】
【表2】

【0023】
【表3】

【0024】
上記の表1及び3から分かるように、比較例17は、TiO2の上限値から外れてオーバーラップが発生しており、スパッタの発生量もまた多かった。比較例18は、SiO2の上限値から外れてスラグの流れ落ちによりビードのオーバーラップが発生し、スラグ剥離性が不良であった。
比較例19は比較例17と同様に、TiO2の上限値から外れてオーバーラップが発生し、スパッタの発生量が多かった。比較例20は、MgOの上限値から外れているだけでなくFの下限値から外れており、上部脚長のアンダーカットが発生し、溶接ビード形状が不良で、スラグ剥離性及び溶接作業性においてアーク安定性が不良であった。
比較例21は、式(1)の値が適正の上限値から外れていることにより、低融点酸化物が多くて高融点酸化物が少なく、ビード形状でオーバーラップが発生し、スラグ剥離性が不良であった。比較例22は、SiO2の下限値から外れてアーク安定性が不良で、スパッタの発生量が多かった。
比較例23は、Fの下限値から外れて式(1)もまた適正の下限値から外れており、アーク安定性が悪く、高融点酸化物が多くて低融点酸化物が少なく、上部脚長のアンダーカットが発生し、スラグ剥離性が不良であった。比較例24は、TiO2の下限値から外れると共にAl2O3の上限値から外れることにより、上部脚長のアンダーカットが発生し、スラグ剥離性も不良であった。また、全体的なスラグ形成剤が不足し、スラグ被包性も不良であった。
比較例25は、Al2O3の下限値から外れて溶接作業性においてスパッタの発生量が多かった。比較例26は、ZrO2の下限値から外れており、上部脚長にアンダーカットが発生し、溶接ビードが不良であった。比較例27は、MnO及びK2O共に下限値から外れており、溶接作業性においてアーク安定性が不良で、スパッタの発生量も多く、MnOの影響で引張強度が低下し、靭性が規格値を満たさなかった。
比較例28は、K2Oの上限値から外れて溶接作業性においてスパッタの発生量が多かった。比較例29は、MnO及びZrO2共に上限値から外れており、上部脚長にアンダーカットが発生することによりビード形状が不良であった。
比較例30は、MnOの上限値から外れると共にMgOの下限値から外れることにより、ビードのオーバーラップが発生し、ビード形状が不良であった。比較例31は、ZrO2及びF共に上限値から外れており、上部脚長にアンダーカットが発生し、スラグ剥離性も不良であり、溶接作業性においてスパッタの発生量も多かった。
これに反して、本発明の実施例1〜16は共に溶融金属及びスラグの垂れが発生しなかっただけでなく、スラグ剥離性にも優れており、ビード形状において脚長10.5mm以上、のど厚7.5mm以上を満たし、アーク安定性及びスパッタの発生量が少なく、溶接作業性も良好であることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例及び比較例で使用された、主に鉄骨、橋梁及び造船業界などの構造物に対するすみ肉溶接条件を概略的に示した図。
【図2】図1のすみ肉溶接の際、ビード名称を示すためのすみ肉溶接部の縦断面図。
【図3】図1のすみ肉溶接の際、主な欠陥の一種であるアンダーカット欠陥の縦断面図。
【図4】図1のすみ肉溶接の際、主な欠陥の一種であるオーバーラップ欠陥の縦断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟鋼または合金鋼製の外皮にフラックスを充填するガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおいて、
ワイヤの全重量に対してTiO2(換算値):2.00〜6.00重量%、Al2O3(換算値):0.20〜1.50重量%、MgO(換算値):0.50〜2.00重量%、SiO2(換算値):1.50〜3.50重量%、ZrO2(換算値):0.30〜2.00重量%、MnO(換算値):2.00〜4.50重量%、K2O(換算値):0.03〜0.25重量%、F(換算値):0.05〜0.30重量%を含み、残部はFe及びその他の成分から構成されたことを特徴とするガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
【請求項2】
TiO2、Al2O3、SiO2、MgO、ZrO2の含量が、下記式(1)を満たすことを特徴とする請求項1記載のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
1.80≦(TiO2+Al2O3+SiO2)/(MgO+ZrO2)≦6.50 (1)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−136548(P2007−136548A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−280491(P2006−280491)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【出願人】(506279458)キスウェル リミテッド (7)
【Fターム(参考)】