説明

ガスセンサの被水防止装置

【課題】上下方向に配置された吸気管に設けられたガスセンサが、吸気管の上方から流下する凝縮水によって被水するのを防止する。
【解決手段】ディーゼルエンジン10の吸気配管18は上下方向に設けられ、吸気配管18と吸気マニホールド17との間に介設されたサージタンク62に、空燃比センサ58を設けている。空燃比センサ58はサージタンク62の垂直壁62aに設けられ、その上方に遮蔽体64が設けられている。遮蔽体64は底壁64aと堰64bとで構成され、捕水用凹部64cを形成している。捕水樋64の上方壁面に発生し流下する凝縮水wを遮蔽体64で捕集することで、空燃比センサ58の検出部58aに凝縮水wが付着するのを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の吸気管に設けられたガスセンサの被水防止装置に関し、詳しくは、吸気下流側が上方に位置する吸気管の内部で生成した凝縮水が流下して検出部に付着し、該検出部を損傷させるのを防止する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンやガソリンエンジン等の内燃機関に吸気管や排気管には、吸気中の特定ガス成分を検出するセンサが設けられている。このようなセンサとして、例えば、ジルコニアなどの固体電解質からなるガス検出素子を用い、O濃度を検出する空燃比センサや、排気中のNO濃度を検出するNOセンサ等がある。これらのセンサのガス検出素子を内蔵する検出部は、吸気又は排気の流路に突出して配置され、ガス検出素子が吸気又は排気に曝されることで、特定ガス成分を検出する。
【0003】
吸気又は排気には水蒸気が含まれているため、エンジンの停止後など、吸気又は排気の温度が低下した時、凝縮水が生成する。前記センサのガス検出素子は、熱衝撃に弱いセラミックで形成されているため、低温の凝縮水がガス検出素子に付着すると、センサが急冷され、熱衝撃によりガス検出素子にクラックや割れが発生するおそれがある。特に、インタークーラが設けられた吸気管では、インタークーラで吸気が冷却されるため、インタークーラの下流側で凝縮水が生成しやすい。また、燃料の燃焼により水蒸気が生成されるため、吸気より排気のほうが水蒸気分圧が高い。そのため、排気を再循環するEGR装置を備えた内燃機関では、インタークーラの下流側吸気管で、特に凝縮水が生成しやすい。
【0004】
上下方向に配置された吸気管では、ガスセンサの上方で凝縮した凝縮水が吸気管の内壁面を伝って流下し、検出部に到達し、検出部に内蔵されたガス検出素子に接触し、ガス検出素子が熱衝撃で破損するおそれがある。
【0005】
特許文献1には、水平方向に配置された排気管に設けられたガスセンサに対する被水防止手段が開示されている。この被水防止手段は、排気流路に突出された検出部の全域をコップ形状の保護カバーで覆い、検出部に凝縮水が付着するのを防止するものである。さらに、該保護カバーに多数のガス導入用孔を穿設し、ガス成分のみ保護カバー内に導入するようにして、ガスセンサの検出精度を維持するようにしている。
【0006】
特許文献2にも、同様に水平方向に配置された排気管に設けられたガスセンサに対する被水防止手段が開示されている。この被水防止手段は、ガスセンサの上流側排気流路に、排気をガスセンサの検出部から離れる方向へ偏向させて、凝縮水が検出部に付着する確率を低減させる整流板を設けたものである。
【0007】
特許文献3には、吸気管に設けられたサージタンクにガスセンサを配置する場合の被水防止手段が開示されている。この被水防止手段は、サージタンクの内部空間に検出部が露出するように取り付けられたガスセンサに対し、検出部を取り巻くように環状凸部を形成し、この環状凸部によってサージタンクの壁面を伝って流れてくる凝縮水やオイルを堰き止めるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−191096号公報
【特許文献2】特開2007−321593号公報
【特許文献3】特開2003−65171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
吸気管が上下方向に配置されている場合、ガスセンサの設置位置より上方の内壁に生成した凝縮水が吸気管内壁を伝って流下し、検出部に付着するという問題がある。特許文献1及び2に開示された被水防止手段は、水平方向には位置された排気管を対象とし、上下方向に配置された吸気管で発生する凝縮水による被水問題を解決するものではない。
【0010】
また、特許文献1の被水防止手段を上下方向に配置された吸気管に適用した場合、上方の吸気管内壁から流下した水滴が、ガス導入用孔から保護カバーの内部に浸入するおそれがある。また、検出部の全域を保護カバーで覆ってしまうので、どうしても検出精度の低下は避けることができない。また、特許文献2の被水防止手段は、排気を検出部から離れる方向へ偏向させるだけなので、上方の吸気管内壁から流下した水滴が検出部に付着するのを防止できない。特許文献3の被水防止手段では、検出部を取り巻く環状凸部の突出寸法が小さく、大量の凝縮水を堰き止めることができない。また、吸気中の水蒸気がガス検出素子に接触するのを防止できない。
【0011】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、上下方向に配置された吸気管に設けられたガスセンサの検出部が、上方の吸気管内壁から流下する凝縮水によって被水し、ガス検出素子が熱衝撃によって破損するのを、簡易かつ低コストな手段で防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる目的を達成するため、本発明のガスセンサの被水防止装置は、内燃機関のシリンダヘッドに接続され下流側が上方に位置する吸気管に、検出部が吸気管の内部に突出するよう配置されたガスセンサの被水防止装置において、ガスセンサの上方で吸気管の内壁に、吸気流れ方向の下流側から視て少なくとも検出部の根元部全域を覆う遮蔽部材を設け、該遮蔽部材によって凝縮水が検出部に付着するのを防止するようにしたものである。
【0013】
本発明装置は、ガスセンサの下流側上方位置の吸気管内壁に、ガスセンサから遠すぎない位置で、前記構成の遮蔽部材を設けたものである。これによって、検出部の上方位置にある吸気管内で生成し、吸気管内壁を伝って流下する凝縮水を遮蔽部材で遮ることで、凝縮水が検出部に付着するのを防止できる。なお、本明細書において、「下流側が上方に位置する吸気管」とは、例えば、鉛直方向に配置された吸気管、又は上下方向に傾斜して配置された吸気管で、上流側より下流側が上方に位置する吸気管を指す。
【0014】
これによって、吸気管内壁から突出した検出部に凝縮水が付着するのを防止できる。そのため、検出部に内蔵されたガス検出素子の熱衝撃を防止し、ガス検出素子にクラックや割れが発生するのを防止できる。また、検出部の全周を覆う形状ではないため、ガス成分が検出部に余裕をもって接触でき、そのため、ガス成分の検出精度を低下させない。
【0015】
本発明装置において、遮蔽部材は、端部全周に堰が形成され、該堰によって捕水用凹部が形成されているとよい。これによって、遮蔽部材で受け止められた凝縮水は捕水用凹部に捕集されるので、凝縮水が検出部に落下しない。内燃機関の停止中に冷却された吸気管で凝縮水が生成し、この凝縮水が捕水部に貯留した場合でも、内燃機関が始動すれば、吸気が暖められるので、捕水部に貯留した水滴は徐々に気化する。そのため、捕水部に貯留された貯留水が捕水部から溢れるのを防止できる。
【0016】
前記構成に加えて、遮蔽部材は吸気流れ方向の下流側から視て検出部の全域を覆うように形成されているとよい。これによって、万一、捕水用凹部から凝縮水が溢れた場合でも、落下した凝縮水が検出部に接触しないため、検出部の破損を防止できる。
【0017】
本発明装置において、遮蔽部材の上面は、中央部位が上方に凸面となる円弧面に形成されていると共に、吸気管内壁に対向するように配置された該遮蔽部材の先端辺に堰が形成され、該遮蔽部材の上面に流下した凝縮水を少なくとも一方側の下端から流下させるように構成するとよい。これによって、より簡易かつ低コストな構成で、吸気管内壁を流下する凝縮水を検出部に接触させることなく、流下できる。
【0018】
本発明装置において、ガスセンサが吸気マニホールドの合流部に設けられたサージタンクに設けられる場合、遮蔽部材をガスセンサ上方のサージタンク内壁に設けるとよい。吸気マニホールドが合流するサージタンクには、吸気マニホールドで発生した凝縮水が集まり、大量の凝縮水が合流する。そのため、サージタンクに設けたガスセンサに、遮蔽部材を設けることで、ガス検出素子の破損を効果的に防止できる。
【0019】
ガスセンサが吸気マニホールドに設けられる場合、本発明の遮蔽部材をガスセンサ上方の吸気マニホールド内壁に設けられているとよい。遮蔽部材は、簡易な構成であるため、吸気マニホールドの各分岐管に容易に取り付けることができる。これによって、ガスセンサが吸気マニホールドに取り付けられた場合でも、ガス検出素子の破損を防止できる。この場合、吸気マニホールドの分岐管と同数の遮蔽部材を取り付ける必要があるが、遮蔽部材は簡易な構成でよいので、取付けに要する手間もあまりかからず、低コストで済む。
【0020】
なお、ガスセンサの上流側の吸気に含まれる水蒸気に対する被水防止手段が必要な場合、公知の手段、例えば特許文献2に開示されたような被水防止手段を採用すればよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、内燃機関のシリンダヘッドに接続され下流側が上方に位置する吸気管に、検出部が吸気管の内部に突出するよう配置されたガスセンサの被水防止装置において、ガスセンサの上方で吸気管の内壁に、吸気流れ方向の下流側から視て少なくとも検出部の根元部全域を覆う遮蔽部材を設け、該遮蔽部材によって凝縮水が検出部に付着するのを防止するようにしたので、検出部に内蔵されたガス検出素子に、吸気管内壁を伝って上方から流下した凝縮水が付着するのを防止できる。
【0022】
そのため、ガス検出素子の熱衝撃を防止し、ガス検出素子にクラックや割れが発生するのを防止できると共に、遮蔽部材が検出部の全周を覆う形状ではないため、ガス成分の検出精度を低下させない。また、簡易な構成であるため、吸気マニホールドにも設置可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明装置の第1実施形態に係るディーゼルエンジンの全体構成図である。
【図2】図1の一部拡大断面図である。
【図3】図2中のA―A線に沿う断面図である。
【図4】本発明装置の第2実施形態に係る一部拡大断面図である。
【図5】図4中のB―B線に沿う断面図である。
【図6】本発明装置の第3実施形態に係る一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0025】
(実施形態1)
本発明をディーゼルエンジンに適用した第1実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。図1は、本発明装置を適用したディーゼルエンジンの全体を示すブロック線図である。図1において、本実施形態のディーゼルエンジン10は、複数のシリンダブロック12が設けられ、各シリンダブロック12の上部にシリンダヘッド14が設けられている。各シリンダヘッド14の中央に燃料噴射装置16が設けられ、シリンダヘッド14の燃料噴射装置16の両側に、吸気導入部及び排気排出部が設けられている。該吸気導入部は、吸気マニホールド17を介して吸気配管18に接続され、該排気排出部は、排気マニホールド19を介して排気管20に接続されている。
【0026】
吸気管18及び排気管20の途中に、吸気配管18に設けられたコンプレッサ及び排気管20に設けられた排気タービンからなる可変翼型過給機22が設けられている。過給機22より下流側の排気管20には、ディーゼル・パーティキュレート・フィルタを備えた排ガス浄化装置24が設けられている。過給機22の上流側排気管20と過給機22の下流側の吸気配管18とを接続する高圧EGR管26と、高圧EGR管26に介設され、EGRガスを浄化する排ガス浄化装置28と、高圧EGR管26の出口部に設けられ、高圧EGR管26を流れるEGRガスの流量を調節可能な高圧EGRバルブ30とからなる高圧EGR装置32が設けられている。
【0027】
過給機22の下流側排気管20と過給機22の上流側の吸気配管18とを接続する低圧EGR管34と、低圧EGR管34に介設された低圧EGRクーラ36と、EGR管34の出口部に設けられ、低圧EGR管34を流れるEGRガスの流量を調節可能な低圧EGRバルブ37とからなる低圧EGR装置38が設けられている。
【0028】
過給機22の下流側の吸気配管18に、吸気を冷却するインタークーラ40が設けられている。吸気配管18の入口18aには、吸気フィルタ42と、吸気フィルタ42の下流側に、吸気流量を検出するエアフローセンサ44及び吸気温度センサ46が設けられている。また、これらセンサの下流側吸気管及びインタークーラ下流側の吸気管に、シリンダ内に吸引される吸気量を調節する吸気スロットル弁50及び52が設けられている。各吸気マニホールド17には、吸気温度センサ54、吸気圧力を検出するブーストセンサ56及び空燃比センサ58が設けられている。
【0029】
ディーゼルエンジン10の運転開始で、排気eによって過給機22の排気タービンが駆動され、過給機22のコンプレッサによって大気が吸気配管18に吸引される。また、前記各センサ類から検出信号がECU60に入力される。ECU60は、これらの検出信号に応じて、吸気スロットル弁50,52、EGRバルブ30、36、及び燃料噴射装置16等を制御する。
【0030】
なお、本実施形態のディーゼルエンジン10において、吸気管側のサージタンク62に空燃比センサ58を設けた理由は、空燃比センサ58で吸気aの実際の酸素濃度を検出し、該検出値に基づいて、燃料噴射装置16の燃料噴射量をコントロールすると共に、EGRガス量を調整して、排気中NO量を最小限に抑えるためである。
【0031】
図2及び図3に示すように、吸気配管18は上下方向に配置され、吸気配管18の上端にサージタンク62に接続されている。サージタンク62には、複数のシリンダと同数の分岐管を有する吸気マニホールド17が水平方向に接続されている。吸気マニホールド17の各分岐管の他端は、各シリンダのシリンダヘッド14の吸気導入部に接続されている。サージタンク62に、空燃比センサ58が取り付けられている。空燃比センサ58の検出部58aがサージタンク62の上下方向に配置された垂直壁62aから内部空間(吸気流路)に突設されている。検出部58aにはガス検出素子が内蔵され、検出部58aのケースに穿設されたガス導入孔(図示省略)からガス成分が流入し、ガス検出素子に接触することで、酸素濃度を検出する。吸気配管18の上流側にはインタークーラ40が設けられている。
【0032】
空燃比センサ58の上方の垂直壁62aに遮蔽体64が設けられている。遮蔽体64は、内部空間側に突出した底壁64aと、底壁64aの端部全周に設けられた堰64bと、堰64bの上端に形成された曲折部64dとからなる。底壁64aに堰64bを形成したことで、凝縮水を貯留する捕水用凹部64cを形成している。図2に示すように、遮蔽体64の吸気流路側突出寸法t1は、検出部58aの吸気流路側突出寸法t2より大きく構成されている。また、図3に示すように、遮蔽体64の水平方向幅寸法p1は、ガス検出素子58aの水平方向幅寸法p2より大きく構成されている。
【0033】
かかる構成において、インタークーラ40で冷却された吸気aは、凝縮水wを含んでおり、凝縮水wがサージタンク62の内壁に付着する。空燃比センサ58の上方の垂直壁62aに付着した凝縮水wは、水滴となって壁面を下降する。しかし、空燃比センサ58の上方に遮蔽体64があるため、凝縮水wは遮蔽体64に受け止められ、遮蔽体64の捕水用凹部64cに貯留される。水滴は相応の量であれば、捕水用凹部64cに貯留できる。
【0034】
水滴は、主にディーゼルエンジン10の始動時の低温時に大量に発生する傾向にあるが、ディーゼルエンジン10の暖気が完了すると、捕水部64cに貯留された凝縮水wは、徐々に気化し、貯留量が低減するので、捕水用凹部64cから溢れる可能性は少ない。
【0035】
本実施形態によれば、空燃比センサ58の上方の垂直壁62aに発生し、垂直壁62aを下降する凝縮水wは、遮蔽体64の捕水用凹部64cに捕集されるため、凝縮水wが検出部58aに付着しない。そのため、検出部58aに内蔵されたガス検出素子の熱衝撃を防止し、ガス検出素子58aにクラックや割れが発生するのを防止できる。また、遮蔽体64は、特許文献1のように、検出部58aの全周を覆う形状ではないため、空燃比センサ58のガス成分の検出精度を低下させることはない。
【0036】
また、遮蔽体64の突出寸法t1は、検出部58aの突出寸法t2より大きく、かつ遮蔽体64の幅寸法p1は検出部58aの幅寸法p2より大きいので、万一、捕水用凹部64cから凝縮水wが溢れた場合でも、落下した凝縮水wが検出部58aに接触しないため、検出部58aの破損を防止できる。さらに、吸気マニホールド17が合流するサージタンク62には、複数の分岐管で発生した凝縮水が合流する。そのため、サージタンク62に設けた1個の遮蔽体64で、吸気マニホールド17の全分岐管で発生する凝縮水wを捕集できる。
【0037】
なお、本実施形態において、堰64bに曲折部64dを設けない構造でもよい。また、上流側の吸気aに含まれる凝縮水に対する被水防止手段が必要な場合、例えば、特許文献2に開示されたような被水防止手段を採用すればよい。
【0038】
(実施形態2)
本発明装置の第2実施形態を図4及び図5に基づいて説明する。本実施形態は、第1実施形態と同様に、サージタンク62の垂直壁62aに空燃比センサ58が設けられ、遮蔽体70がその上方の垂直壁62aに設けられている例である。遮蔽体70は、上側に凸面をなす四角形で円弧形状に形成された板状体の底壁70aと、サージタンク62の内壁に対向した先端辺に一体に形成された堰70bとからなる。なお、堰70bの両端側に位置する底壁70aの下端辺70c及び70dに堰は形成されていない。
【0039】
遮蔽体70の吸気流路側突出寸法t1は、検出部58aの突出寸法t2より大きく構成され、遮蔽体70の水平方向幅寸法p1は検出部58aの水平方向幅寸法p2より大きく構成されている。
【0040】
かかる構成において、遮蔽体64の上方から垂直壁62aを伝って流下した凝縮水wは、一旦遮蔽体70の底壁70aで受け止められる。その後、底壁70aの円弧形状の上面を滑り、下端辺70c及び70dから落下する。遮蔽体70の水平方向幅寸法p1>検出部58aの水平方向幅寸法p2の関係にあり、下端辺70c及び70dは、吸気流れ方向から視て検出部58aの外側に位置しているので、下端辺70c、70dから落下した凝縮水wが検出部58aに接触することはない。
【0041】
本実施形態によれば、空燃比センサ58の上方のサージタンク内壁に発生した凝縮水wは、検出部58aに接触することなく落下するので、ガス検出素子の熱衝撃による破損を防止できる。
【0042】
(実施形態3)
次に、本発明装置の第3実施形態を図6により説明する。本実施形態は、サージタンク62の下流側に接続された吸気マニホールド17の夫々の分岐管が、上下方向に配置された吸気マニホールド垂直部17aと水平方向に配置された吸気マニホールド水平部17bとからなる。各分岐管の吸気マニホールド垂直部17aの上下方向に配置された内壁に、空燃比センサ58が設けられている。そして、空燃比センサ58の上方の垂直壁に、本発明の遮蔽体64が設けられている。この遮蔽体64は第1実施形態と同様の構成を有し、突出壁64aと、堤64b、曲折部64dとからなり、捕水用凹部64cを形成している。遮蔽体64は、吸気マニホールド17と一体成形してもよい。
【0043】
本実施形態によれば、吸気マニホールド垂直部17aの壁面に生成し下方へ流下する凝縮水wを遮蔽体64で捕集できるので、吸気マニホールド垂直部17aに設けられた空燃比センサ58のガス検出素子の破損を防止できる。また、本実施形態により、空燃比センサ58を吸気マニホールド垂直部17aに設けることが可能になるので、各分岐管毎に吸気aの空燃比を精度良く検出できる。本実施形態では、分岐管の数と同数の遮蔽体64が必要となるが、遮蔽体64は簡易な構成であるので、取付けに要する手間もあまりかからず、低コストで済む。また、遮蔽体64は、吸気マニホールド17と一体成形するようにすれば、遮蔽体64の取付けが容易になる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明によれば、上下方向に配置された吸気管に設けられたガスセンサを、下流側の上部内壁に伝って流下する凝縮水に対して、簡易かつ低コストな構成で保護できる。
【符号の説明】
【0045】
10 ディーゼルエンジン
12 シリンダブロック
14 シリンダヘッド
16 燃料噴射装置
17 吸気マニホールド
17a 吸気マニホールド垂直部
17b 吸気マニホールド水平部
18 吸気配管
18a 入口
19 排気マニホールド
20 排気管
22 過給機
24、28 排ガス浄化装置
26 高圧EGR管
30 高圧EGRバルブ
32 高圧EGR装置
34 低圧EGR管
36 低圧EGRクーラ
37 低圧EGRバルブ
38 低圧EGR装置
40 インタークーラ
42 吸気フィルタ
44 エアフローセンサ
46,54 吸気温度センサ
50,52 吸気スロットル弁
56 ブーストセンサ
58 空燃比センサ(ガスセンサ)
58a 検出部
60 ECU
62 サージタンク
62a 垂直壁
64,70 遮蔽体
64a、70a 底壁
64b、70b 堰
64c 捕水用凹部
64d 曲折部
70c、70d 下端辺
a 吸気
e 排気
w 凝縮水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のシリンダヘッドに接続され下流側が上方に位置する吸気管に、検出部が該吸気管の内部に突出するよう配置されたガスセンサの被水防止装置において、
前記ガスセンサの上方で前記吸気管の内壁に、吸気流れ方向の下流側から視て少なくとも前記検出部の根元部全域を覆う遮蔽部材を設け、該遮蔽部材によって該凝縮水が検出部に付着するのを防止するようにしたことを特徴とするガスセンサの被水防止装置。
【請求項2】
前記遮蔽部材は、端部全周に堰が形成され、該堰によって捕水用凹部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のガスセンサの被水防止装置。
【請求項3】
前記遮蔽部材は吸気流れ方向の下流側から視て前記検出部の全域を覆うように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスセンサの被水防止装置。
【請求項4】
前記遮蔽部材の上面は、中央部位が上方に凸面となる円弧面に形成されていると共に、吸気管内壁に対向するように配置された該遮蔽部材の先端辺に堰が形成され、該遮蔽部材の上面に流下した凝縮水を少なくとも一方側の下端から流下させるように構成したことを特徴とする請求項1に記載のガスセンサの被水防止装置。
【請求項5】
前記ガスセンサが吸気マニホールドの合流部に設けられたサージタンクに設けられ、前記遮蔽部材がガスセンサ上方のサージタンク内壁に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のガスセンサの被水防止装置。
【請求項6】
前記ガスセンサが吸気マニホールドに設けられ、前記遮蔽部材がガスセンサ上方の吸気マニホールド内壁に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のガスセンサの被水防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−47469(P2013−47469A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185613(P2011−185613)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】