説明

ガスセンサ

【課題】ガス検出素子に熱を好適に伝導させ、ガス検出素子を良好に加熱し、結露を防止可能なガスセンサを提供する。
【解決手段】水素が取り込まれるガス検出室25を有する素子収容部と、素子収容部の内壁面に取り付けられると共に、ガスを検出するガス検出素子31と、素子収容部の内外へガスを通流させる撥水フィルタ41及び防爆フィルタ42を有するガス通流部と、ヒータ51と、を備える水素センサ1であって、ヒータ51は、素子収容部の内壁面に沿って設けられると共に、素子収容部を介して熱を伝導させガス検出素子31を加熱する周壁部52(ガス検出素子加熱部)と、周壁部52と一体であって、素子収容部の内壁面に沿って設けられると共に、ガス通流部の周縁に配置され、ガス通流部を周縁から加熱する底壁部53(ガス通流部周縁加熱部)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、固体高分子型の燃料電池は、固体高分子膜の両側をアノード(燃料極)とカソード(酸素極)で挟み込んでMEA(Membrane Electrode Assembly:膜電極接合体)を形成し、この膜電極接合体を一対のセパレータで挟んでなる単セルを複数積層して一つの燃料電池スタックを構成している。そして、アノードには水素(燃料ガス)が供給され、カソードには空気(酸化剤ガス)が供給され、アノード及びカソードで電極反応が起こり、燃料電池が発電する。
【0003】
このような燃料電池からは未反応の水素が排出されるので、燃料電池から排出されたオフガスの流路に水素センサを設けて、この水素センサにより、オフガス中の水素濃度の監視がされている。なお、オフガスには電極反応によって生成した水蒸気(水分)が含まれるので、水素センサ内にヒータを設け、このヒータによって水素センサ内のガスを暖め、結露を防止する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−155973号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、ヒータによってガス検出室のガスを加熱することはできるが、本来、結露を防止するべきガス検出素子は、ガスを介しての熱伝導、つまり、輻射熱によって加熱されるため、ガス検出素子に熱が伝導せず、ガス検出素子が十分に加熱されない虞があった。すなわち、ガス検出素子において結露する虞があった。
【0005】
そこで、本発明は、ガス検出素子に熱を好適に伝導させ、ガス検出素子を良好に加熱し、結露を防止可能なガスセンサを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、ガスを検出するガス検出素子と、ガスが取り込まれるガス検出室を有すると共に、その内壁面に取り付けられた前記ガス検出素子を収容する素子収容部と、前記素子収容部の内外へガスを通流させるフィルタを有するガス通流部と、ヒータと、を備えるガスセンサであって、前記ヒータは、前記素子収容部の内壁面に沿って設けられると共に、前記素子収容部を介して熱を伝導させ前記ガス検出素子を加熱するガス検出素子加熱部と、前記ガス検出素子加熱部と一体であって、前記素子収容部の内壁面に沿って設けられると共に、前記ガス通流部の周縁に配置され、当該ガス通流部を周縁から加熱するガス通流部周縁加熱部と、を備えることを特徴とするガスセンサである。
【0007】
このようなガスセンサによれば、素子収容部の内壁面に沿って設けられたガス検出素子加熱部の熱は、素子収容部を介してガス検出素子に伝導し、ガス検出素子が加熱され、ガス検出素子における結露が防止される。
また、素子収容部の内壁面に沿って設けられると共に、ガス通流部の周縁に配置されたガス通流部周縁加熱部の熱は、ガス通流部の周縁に伝導し、ガス通流部のフィルタが周縁から加熱され、フィルタ(ガス通流部)における結露が防止される。すなわち、フィルタが撥水フィルタや防爆フィルタ等から構成される場合、撥水フィルタによって、素子収容部内への液状の水分の侵入を防止することはもちろん、撥水フィルタを通過して素子収容部内で結露した結露水や、撥水フィルタから滲み出した水分や、防爆フィルタに付着した水分を加熱して気化(水蒸気化)させることでき、そして、気化することで生成した水蒸気を素子収容部外に積極的に排出することができる。その結果、素子収容部内の湿度が低下し、ガス検出素子における結露を防止できる。
さらに、ガス検出素子加熱部とガス通流部周縁加熱部とは、例えばセラミックスによって一体に形成されているので、これらを別々に制御せずに、一体に制御することができる。
【0008】
また、本発明は、ガスを検出するガス検出素子と、ガスが取り込まれるガス検出室を有すると共に、その内壁面に取り付けられた前記ガス検出素子を収容する素子収容部と、前記素子収容部の内外へガスを通流させるフィルタを有するガス通流部と、ヒータと、を備えるガスセンサであって、前記ヒータは、前記素子収容部の内壁面のうち前記ガス検出素子が取り付けられた取付面に沿って設けられると共に、前記ガス検出素子を加熱するガス検出素子加熱部と、前記ガス検出素子加熱部と一体であると共に、前記素子収容部の内壁面に沿って設けられ、前記ガス検出室に取り込まれたガスを加熱するガス加熱部と、を備えることを特徴とするガスセンサである。
【0009】
このようなガスセンサによれば、ガス検出素子が取り付けられた取付面に沿って設けられたガス検出素子加熱部の熱は、ガス検出素子に伝導し、ガス検出素子が加熱され、ガス検出素子における結露が防止される。
また、素子収容部の内壁面に沿って設けられたガス加熱部の熱は、ガス検出室に取り込まれたガスに伝導し、ガスが加熱され、結露しにくくなる。
さらに、ガス検出素子加熱部とガス加熱部とは、例えばセラミックスによって一体に形成されているので、これらを別々に制御せずに、一体に制御することができる。
【0010】
また、前記フィルタに接触するように設けられ、当該フィルタを加熱するフィルタ加熱ヒータを備えるガスセンサであることが好ましい。
【0011】
このようなガスセンサによれば、フィルタ加熱ヒータによってフィルタが加熱されるので、フィルタにおける結露を防止できる。これにより、結露水に遮られずに、ガスを素子収容部内外に通流させることができる。
【0012】
また、前記ヒータと前記素子収容部との間に介在された弾性部を備えるガスセンサであることが好ましい。
【0013】
このようなガスセンサによれば、弾性部によって、ヒータを形成する材料の熱膨張率と、素子収容部を形成する材料の熱膨張率との差に基づく、熱膨張によるガスセンサの変形、つまり、ヒータから素子収容部への応力伝達を低減することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ガス検出素子に熱を好適に伝導させ、ガス検出素子を良好に加熱し、結露を防止可能なガスセンサを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について、図1から図5を参照して説明する。
【0016】
≪水素センサの構成≫
図1から図5に示すように、本実施形態に係る水素センサ1(ガスセンサ)は、ケース10と、ケース10の下面に形成されたハウジング20と、ハウジング20に収容されたガス検出素子31、31と、ハウジング20の後記する開口部24に設けられた積層体40Aと、ハウジング20内に配置されたヒータ51と、を主に備えている。
このような水素センサは、例えば、燃料電池システムにおいて燃料電池から排出されたオフガスが流れるオフガス配管105(図5参照)中の水素濃度を検出する場合や、その他、燃料電池システムを搭載した燃料電池自動車の車内の水素濃度を検出する場合に使用される。
【0017】
<ケース>
ケース10は、その外形が直方体形状であって、例えばポリフェニレンサルファイド製の容器であり、制御基板11を収容している。ケース10の長手方向の両端にはフランジ部12、12が形成されており、各フランジ部12にはカラー13が取り付けられている。そして、図2に示すように、各カラー13に挿入されたボルト14が、オフガスの流れるオフガス配管105に形成された取付座105Aに締結されることで、水素センサ1がオフガス配管105に固定されるようになっている。
制御基板11は、ガス検出素子31、31からの信号に基づいて、水素濃度を算出する機能と、後記する温度湿度センサ34が検出したガス検出室25の温度及び湿度に基づいて、ガス検出室25内が結露しないようにヒータ51の出力を制御する機能と、を備えている。
【0018】
<ハウジング>
ハウジング20は、略有底円筒体であって(図3参照)、オフガス配管105に嵌合している(図2参照)。そして、ハウジング20とオフガス配管105との間には、Oリング21が介設され気密性が高められており、オフガスが漏れないようになっている。
【0019】
このようなハウジング20は、図3、図4に示すように、筒状の周壁部22と底壁部23とを有している。そして、底壁部23の中央には円形の貫通孔が形成されており、この貫通孔がオフガスの出入口となる開口部24となっている。また、ハウジング20内がオフガスの取り込まれるガス検出室25となっている。
【0020】
さらに、ハウジング20は、熱伝導性を有する材料、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、エポキシ等の樹脂や、金属から形成されている。これにより、ヒータ51の熱が、ハウジング20を介して、ガス検出素子31、撥水フィルタ41、防爆フィルタ42に伝導するようになっている。
【0021】
<ガス検出素子>
ガス検出素子31、31は、ガス検出室25に取り込まれたオフガス中の水素濃度を検出する素子であり、ガス検出室25内に配置されている。詳細には、ガス検出素子31は金属製のステー32、32を介してベース33(端子台)に固定されており、ガス検出素子31が取り付けられたベース33がケース10の下面に固定されている。また、ガス検出素子31は制御基板11と接続されており(図2参照)、制御基板11は水素濃度を検知するようになっている。
なお、ベース33は、ハウジング20と同様に、熱伝導性を有する材料から形成されている。
【0022】
ガス検出素子31の種類及び数並びに配置は、水素濃度の検出方式に応じて決定される。
例えば、水素の検出方式がガス接触燃焼式である場合、ガス検出素子31は検出素子と温度補償素子との対により構成される。そして、水素が各素子に接触し、燃焼した際に発生する熱を利用し、検出素子と温度補償素子と間の電気抵抗差に基づいて水素濃度が検出される。
また、水素の検出方式が半導体方式である場合、ガス検出素子31は、検出素子と検知素子との対により構成され、水素が各素子表面の酸素と接触・離脱した際に発生する抵抗値に基づいて、水素濃度が検出される。
【0023】
ここで、本実施形態において、ガス検出素子31、31を収容する素子収容部は、ハウジング20と、ベース33とを備えて構成されている。そして、素子収容部の内壁面は、ハウジング20の内壁面とベース33の下面33a(表面)とを含んで構成され、ハウジング20の内壁面は周壁部22の内周面22aと底壁部23の底面23aとから構成されている。また、ベース33の下面33aはガス検出素子31が取り付けられた取付面に相当する。
【0024】
また、ガス検出室25の温度及び湿度を検出する温度湿度センサ34が、ベース33に取り付けられている。そして、温度湿度センサ34は制御基板11に接続されており、制御基板11はガス検出室25の温度及び湿度に基づいて、ヒータ51及びヒータ43の出力を制御するようになっている。
【0025】
<積層体>
積層体40Aは、撥水フィルタ41と防爆フィルタ42とヒータ43(フィルタ加熱ヒータ)とを備え、ガス検出素子31から遠ざかるオフガス配管105に向かって、防爆フィルタ42、ヒータ43、撥水フィルタ41の順で積層されることで一体に構成された、3層構造を有する薄型の円盤体である。すなわち、ヒータ43は、撥水フィルタ41と防爆フィルタ42とで挟まれており、これらは相互に接触している。
そして、積層体40Aは、開口部24に蓋をするようにハウジング20に設けられている。
【0026】
撥水フィルタ41は、ガスを透過しつつ、ガスに含まれる液体を透過しないフィルタであり、例えば、テトラフルオロエチレン膜から構成される。これにより、気体状のオフガスをガス検出室25に取り込みつつ、オフガス中に含まれる液体の水分が撥水フィルタ41ではじかれ、ガス検出室25に侵入しないようになっている。
防爆フィルタ42は、防爆性を確保するためのフィルタであり、例えば、液体状の水を通すことが可能な程度の金属製のメッシュや多孔質体から構成される。
【0027】
ヒータ43は、撥水フィルタ41及び防爆フィルタ42を直接的に加熱する電気ヒータであり、後記するヒータ51と同様に、例えば、PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータや、セラミックスヒータや、ニクロム線により構成される。ヒータ43に電力を供給するための配線は(図示しない)、例えば、ハウジング20内を通って制御基板11と接続されており、制御基板11がヒータ43の出力を制御するようになっている。そして、ヒータ43が発熱すれば、撥水フィルタ41及び防爆フィルタ42が直接的に加熱されるようになっている。
【0028】
すなわち、撥水フィルタ41によって、液体の水分がガス検出室25に侵入することを防止しつつ、ヒータ43によって、例えば、撥水フィルタ41上の結露水(液体)やこれから滲み出た水、さらに、防爆フィルタ42に付着した水を加熱・気化させて水蒸気とし、この水蒸気をハウジング20外に積極的に排出可能となっている。その結果、結露水等の水分に遮られることなく、オフガスが、撥水フィルタ41及び防爆フィルタ42を通過して、ガス検出室25に出入りするようになっている。
なお、ヒータ43には、オフガスを通流させるための複数の貫通孔43aが形成されている(図3、図4参照)。
【0029】
ここで、本実施形態において、ハウジング20とベース33とを備えて構成される素子収容部の内外へオフガスを通流させるガス通流部は、ハウジング20の開口部24と、撥水フィルタ41と、防爆フィルタ42とを備えて構成されている。そして、ガス通流部を構成する撥水フィルタ41及び防爆フィルタ42は、両フィルタ間のヒータ43(フィルタ加熱ヒータ)によって、直接的に加熱されるように構成されている。
【0030】
<ヒータ>
ヒータ51は、素子収容部の内壁面に沿って配置された略有底円筒状(おわん型)の電気ヒータである。詳細には、ヒータ51は、ガス検出素子加熱部として機能する筒状の周壁部52と、その中心に開口部53aが形成されたリング状を呈し、ガス通流部周縁加熱部として機能する底壁部53と、を備えている。このようなヒータ51は、例えばPTCヒータやセラミックスヒータから構成され、周壁部52と底壁部53とは一体に構成され、一体で発熱するようになっている。
【0031】
周壁部52(ガス検出素子加熱部)は、ハウジング20の周壁部22の内周面22aに沿って設けられている。一方、底壁部53(ガス通流部周縁加熱部)は、ハウジング20の底壁部23の底面23aに沿うと共に、ガス通流部(撥水フィルタ41、防爆フィルタ)を囲むように、ガス通流部の周縁に設けられている。
【0032】
そして、ヒータ51は、配線54A及び配線54B(電極、端子)を介して、制御基板11と接続されており、制御基板11によって、その出力が制御されるようになっている。ここで、配線54Aとヒータ51との接続部分A(図5参照)と、配線54Bとヒータ51との接続部分Bとは、ヒータ51の全体に通電するように、最も離れて配置されている。これにより、温度分布が発生せずに、ヒータ51が発熱するようになっている。
【0033】
このようにヒータ51が発熱すれば、その周壁部52の熱が、ハウジング20の周壁部22、ベース33を介して、ガス検出素子31に伝導し、ガス検出素子31が加熱されるようになっている。これにより、ガス検出素子31における結露が防止され、水素が好適に検出されるようになっている。
また、周壁部52の熱は、ガス検出室25内のオフガスにも伝導し、オフガス中の水分の結露が防止されるようになっている。
【0034】
さらに、このようにヒータ51が発熱すれば、底壁部53の熱が、ハウジング20の底壁部23を介して、ガス通流部を構成する撥水フィルタ41及び防爆フィルタ42に伝導し、撥水フィルタ41及び防爆フィルタ42が、その周縁から加熱されるようになっている。これにより、ヒータ43と同様に、例えば、撥水フィルタ41上の結露水が気化し、オフガスが結露水に遮られずに、ガス検出室25に取り込まれるようになっている。
【0035】
≪水素センサの効果≫
このような水素センサ1によれば、主に以下の効果を得ることができる。
(1)ヒータ51の周壁部52の熱が、ハウジング20の周壁部22、ベース33を介して、ガス検出素子31に伝導し、ガス検出素子31を加熱することができる。これにより、ガス検出素子31の温度を適切に制御することができ、ガス検出素子31における結露を防止し、水素濃度を好適に検出することができる。
(2)ヒータ51の底壁部53と、ヒータ43とによって、撥水フィルタ41及び防爆フィルタ42を加熱することができ、結露水等を積極的に排出すると共に、結露水等によって遮断されることなく、ガス検出室25の内外にオフガスを通流させることができる。
(3)ヒータ51は、周壁部52と底壁部53とが一体に構成されているので、制御基板11は、周壁部52と底壁部53とを一体で制御することができる。
【0036】
以上、本発明の好適な一実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、例えば次のように変更することができる。
【0037】
図6に示すように、ヒータ51と、素子収容部を構成するハウジング20及びベース33との間に、弾性部材55A〜55Cを介在させる構成としてもよい。詳細には、弾性部材55Aはハウジング20の底壁部23とヒータ51の底壁部53との間に、弾性部材55Bはハウジング20の周壁部22とヒータ51の周壁部52との間に、弾性部材55Cはベース33とヒータ51の周壁部52との間に、それぞれ介設されている。このような弾性部材55A〜55Cは、例えば、Oリング、皿バネ、ウェーブワッシャ、高弾性な樹脂によって構成される。
このような弾性部材55A〜55Cを介在させる構成によれば、通電時にヒータ51が径方向及び/又は軸方向(高さ方向)に膨張しても、ヒータ51からハウジング20及び/又はベース33への応力伝達を低減させることができる。すなわち、ヒータ51を形成する材料の熱膨張率と、ハウジング20(素子収容部)を形成する材料の熱膨張率との差に基づく、熱膨張による水素センサ1の変形を防止することができる。
【0038】
また、ヒータ51に代えて、図7に示すヒータ56を使用してもよい。ヒータ56は、通電により発熱するヒータ本体57と、熱伝導率の高い材料(銅、アルミニウム、鉄等の金属)から形成され、ヒータ本体57の熱を良好に伝導させる熱伝導部58と、を主に備えている。ヒータ本体57は、筒状を呈しており、例えばPTCヒータから構成される。そして、ヒータ本体57は、配線54A、配線54Bを介して、制御基板11(図2参照)と接続されている。熱伝導部58は、筒状のヒータ本体57に外嵌した周壁部59と、その中央に開口部60aが形成された底壁部60とを備えている。周壁部59及び底壁部60は、ハウジング20の周壁部22及び底壁部23に沿うように形成されている。
【0039】
このようなヒータ56によれば、ヒータ本体57の形状は大きく変えずに、熱伝導部58をハウジング20に対応して形成することで、容易に構成することができる。
なお、図7では、ヒータ本体57が熱伝導部58の内周面に沿って配置された構成を示しているが、その他に、ヒータ本体57が熱伝導部58の外周面に沿って配置された構成であってもよい。ただし、ガス検出室25を好適に加熱するべく、図7に示すように、ヒータ本体57は熱伝導部58の径方向内側に配置されることが好ましい。
【0040】
また、図8に示すように、ヒータ51が樹脂61でコーティングされ、モールド成形されたヒータ62であってもよい。このようなヒータ62によれば、樹脂61によって、ヒータ51が防水されるので、その耐久性を高めることができる。
さらに、図9に示すように、ヒータ51の一部、詳細には、底壁部53に代えて、熱伝導性の高い金属等から形成された熱伝導部63を備えるヒータ64としてもよい。このような構成にすれば、PTCヒータ等から形成される発熱部分の形状を簡易にすることができる。
【0041】
また、図10に示すように、ベース33の下面33aにヒータ26(ガス検出素子加熱部)をさらに設け、ヒータ26でガス検出素子31、31を加熱する構成としてもよい。そして、このようにヒータ26を設ける場合、ヒータ26を樹脂27でコーティングし、防水することが好ましい。
【0042】
また、図11に示すように、外部の温度及び湿度を検出する温度湿度センサ15が、ケース10に設けられた構成としてもよい。温度湿度センサ15は制御基板11と接続されており、制御基板11は、温度湿度センサ15が検出する外部の温度、湿度と、温度湿度センサ34(図4参照)が検出するガス検出室25の温度、湿度と、に基づいて、ヒータ51の出力を制御するようになっている。
【0043】
また、積層体40A(図4参照)に代えて、図12(a)〜(c)に示す積層体40B〜40Dを使用してもよい。
図12(a)に示す積層体40Bは、ガス検出素子31から遠ざかる方向に向かって(図4参照)、ヒータ43、防爆フィルタ42、撥水フィルタ41が順に積層することで構成されている。このような積層体40Bによれば、ヒータ43と撥水フィルタ41との間に、防爆フィルタ42が介在しており、ヒータ43が撥水フィルタ41に直接接触していないので、撥水フィルタ41の耐熱温度を下げることができる。
【0044】
図12(b)に示す積層体40Cは、ガス検出素子31から遠ざかる方向に向かって(図4参照)、ヒータ43、撥水フィルタ41、防爆フィルタ42が順に積層することで構成されている。このような積層体40Cによれば、撥水フィルタ41が、剛性の高いヒータ43と防爆フィルタ42とで挟まれるので、撥水フィルタ41を薄くすることができる。
【0045】
図12(c)に示す積層体40Dは、ヒータ43を備えておらず、ガス検出素子31から遠ざかる方向に向かって(図4参照)、防爆フィルタ42、撥水フィルタ41が順に積層することで構成されている。このようなヒータ43を備えない積層体40Dは、水素センサ1が、常に高湿で結露水が生成しやすい環境下に設置されない場合、例えば、水素センサ1が外気中に設置される場合に使用することができる。
【0046】
また、図13に示すように、ヒータ51(図4参照)に代えて、ヒータ71を備える構成としてもよい。ヒータ71は、その鉛直上方が閉じた筒体(逆おわん型)を呈し、筒状の周壁部72(ガス加熱部)と、天壁部73(ガス検出素子加熱部)とを備えている。周壁部72はハウジング20の周壁部22の内周面22aに沿って配置されており、天壁部73はガス検出素子31の取付面であるベース33の下面33aに沿って配置されている。
そして、制御基板11の指令に従ってヒータ71が発熱すると、周壁部72の熱はガス検出室25内のオフガスに伝導し、オフガスが加熱されるようになっている。天壁部73の熱はステー32を介してガス検出素子31に伝導し、ガス検出素子31が加熱されるようになっている。
また、ヒータ71とハウジング20との間には、弾性部材74A、弾性部材74Bが介設されており、発熱時にヒータ71が熱膨張しても、ヒータ71からハウジング20に応力が伝導しないようになっている。
【0047】
前記した実施形態では、比重の小さい水素の濃度を検出する水素センサ1であるため、ガス検出素子31はオフガスが通過する積層体40Aよりも上方に配置される構成としたが、検出するガスの種類に対応して適宜逆に配置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本実施形態に係る水素センサの平面図である。
【図2】図1に示す水素センサのX1−X1線断面図である。
【図3】本実施形態に係る水素センサの下方からの斜視図である。
【図4】図2に示すX1−X1線断面図の要部を拡大したものである。
【図5】本実施形態に係るヒータの斜視図である。
【図6】変形例に係る水素センサの要部の断面図である。
【図7】変形例に係るヒータの断面図である。
【図8】変形例に係るヒータの断面図である。
【図9】変形例に係るヒータの断面図である。
【図10】変形例に係る水素センサの要部の断面図である。
【図11】変形例に係る水素センサの断面図である。
【図12】(a)〜(c)のいずれも変形例に係る水素センサの要部の断面図である。
【図13】変形例に係る水素センサの要部の断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 水素センサ(ガスセンサ)
11 制御基板
15 温度湿度センサ
20 ハウジング(素子収容部)
22 周壁部
22a 内周面(内壁面)
23 底壁部
23a 底面(内壁面)
25 ガス検出室
31 ガス検出素子
33 ベース(素子収容部)
33a 下面(内壁面)
34 温度湿度センサ
40A、40B、40C、40D 積層体
41 撥水フィルタ
42 防爆フィルタ
43 ヒータ(フィルタ加熱ヒータ)
51 ヒータ
52 周壁部(ガス検出素子加熱部)
53 底壁部(ガス通流部周縁加熱部)
55A、55B、55C 弾性部材
56 ヒータ
57 ヒータ本体
58 熱伝導部
59 周壁部(ガス検出素子加熱部)
60 底壁部(ガス通流部周縁加熱部)
63 熱伝導部
71 ヒータ
72 周壁部(ガス加熱部)
73 天壁部(ガス検出素子加熱部)
74A、74B 弾性部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを検出するガス検出素子と、
ガスが取り込まれるガス検出室を有すると共に、その内壁面に取り付けられた前記ガス検出素子を収容する素子収容部と、
前記素子収容部の内外へガスを通流させるフィルタを有するガス通流部と、
ヒータと、
を備えるガスセンサであって、
前記ヒータは、
前記素子収容部の内壁面に沿って設けられると共に、前記素子収容部を介して熱を伝導させ前記ガス検出素子を加熱するガス検出素子加熱部と、
前記ガス検出素子加熱部と一体であって、前記素子収容部の内壁面に沿って設けられると共に、前記ガス通流部の周縁に配置され、当該ガス通流部を周縁から加熱するガス通流部周縁加熱部と、
を備えることを特徴とするガスセンサ。
【請求項2】
ガスを検出するガス検出素子と、
ガスが取り込まれるガス検出室を有すると共に、その内壁面に取り付けられた前記ガス検出素子を収容する素子収容部と、
前記素子収容部の内外へガスを通流させるフィルタを有するガス通流部と、
ヒータと、
を備えるガスセンサであって、
前記ヒータは、
前記素子収容部の内壁面のうち前記ガス検出素子が取り付けられた取付面に沿って設けられると共に、前記ガス検出素子を加熱するガス検出素子加熱部と、
前記ガス検出素子加熱部と一体であると共に、前記素子収容部の内壁面に沿って設けられ、前記ガス検出室に取り込まれたガスを加熱するガス加熱部と、
を備えることを特徴とするガスセンサ。
【請求項3】
前記フィルタに接触するように設けられ、当該フィルタを加熱するフィルタ加熱ヒータを備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のガスセンサ。
【請求項4】
前記ヒータと前記素子収容部との間に介在された弾性部を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のガスセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−139165(P2008−139165A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−325880(P2006−325880)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】