説明

ガスハイドレートを含む地層において使用するためのセメント

水、セメント系材料、及びガスハイドレート阻害剤を含む、セメント組成物を調製すること、及び坑井ボア中に該セメント組成物を配置することを含む、地下の地層中の坑井ボアを保全する方法。水、セメント系材料、及びガスハイドレート阻害剤を含むセメント組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、坑井ボア(wellbore)を保全することに関する。より具体的には、ガスハイドレート阻害剤を有するセメント組成物を用いて坑井ボアを保全すること、及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
地下の地層、又は地下圏に存在するガス、石油、及び水などの天然資源は、通常、坑井ボアに掘削流体を循環させながら、坑井ボアを地下の地層まで掘削することによって回収される。掘削流体の循環を終了させた後、例えばケーシングなどのパイプストリングが坑井ボア内に通される。その後通常、そのパイプの内側を通して下方に、パイプの外側と坑井ボアの壁との間に位置する環状空間を通して上方に、掘削流体を循環させる。次に、一般的に1次セメンチングを行い、それによってセメントスラリーを環状空間内に配置し、かつ硬質マス(すなわち鞘部)へと硬化させ、その結果、パイプストリングを坑井ボアの壁に接着させ、かつ環状空間を封止する。それに続く2次セメンチング作業もまた行うことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
永久凍土層などの壊れやすい地理的領域における地下坑井ボアの完成には、特有の難題が伴う。永久凍土層は、2年より長く凍結状態にある土壌として定義される。永久凍土層圏の地下の地層において使用するためのセメント組成物は、凍結する前に硬化し、かつ低い水和熱を有するように設計されなければならない。高い水和熱は、地層を不安定にすることに加えて、永久凍土層に多量に存在し得る水和物(例えばメタンハイドレート)からのガスの放出を促進する。例えばメタンハイドレートなどのガスハイドレートは、準安定性であり、かつ容易に解離し得る。従って、ガスハイドレートの解離を阻害し、かつ/又は低い水和熱を有するセメント組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(好ましい実施態様の概要)
水、セメント系材料、及びガスハイドレート阻害剤を含むセメント組成物を調製すること、ならびに坑井ボア内にそのセメント組成物を配置することを含む、地下の地層中の坑井ボアを保全する方法が本明細書に開示されている。水、セメント系材料、及びガスハイドレート阻害剤を含むセメント組成物もまた開示されている。
【0005】
ここまでは、後述の本発明の詳細な説明がより良く理解されるように、本発明の特徴及び技術的利点を幾分おおまかに概説した。本発明のクレームの題材を構成する本発明のさらなる特徴及び利点は、以下に説明される。開示される概念及び特定の実施態様が、本発明と同一の目的を実行するための他の構造を改変又は設計するための基礎として、容易に利用され得ることは、当業者によって十分に理解されるべきである。そのような均等物が、添付のクレームに説明される本発明の趣旨及び範囲から逸脱しないこともまた、当業者によって十分に理解されるべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
(好ましい実施態様の詳細な説明)
水、セメント系材料、及び少なくとも1つのガスハイドレート阻害剤を含むセメント組成物が本明細書に開示される。さらに、そのような組成物の調製方法及び使用方法が開示される。本明細書に開示されるセメント組成物は、坑井ボアの保全に使用することができ、かつガスハイドレートを含む壊れやすい地理的領域中でガスハイドレートの解離を有利に阻害し得る。
【0007】
1つの実施態様において、セメント組成物はガスハイドレート阻害剤を含む。ガスハイドレート阻害剤は、地層中のガスハイドレートの解離を低減するよう機能し、その結果ガスの生成を防ぎ得る。そのようなガスが生成すると、セメントスラリーを通って移動し、それによりセメントを貫通する通路を作り、爆発性ガス(例えばメタン)の放出などの安全性に関する懸案事項をもたらし得る。1つの実施態様において、ガスハイドレート阻害剤は、ガスハイドレートの解離を阻害することができ、かつ組成物中の他の成分と相溶性である任意の化合物である。1つの実施態様において、ガスハイドレート阻害剤は、レシチンとしても知られるホスフォチジルコリン(phosphotidylcholine)である。レシチンは、混合水の重量に対して(bww)約0.1%〜約5%bww、あるいは約0.3%bww〜約2%bww、あるいは約0.4%bww〜約1.0%の量でセメント組成物中に存在し得る。レシチンは広く市販されており、セメント組成物中にレシチンを含める方法は当業者にとって公知である。
【0008】
セメント組成物は、例えば水硬性セメントなどのセメント系材料を含んでよい。水硬性セメントとは、水で硬化させたときに接着特性及び圧縮強さを発揮する粉末状材料を示す。1つの実施態様において、セメント組成物は、カルシウム、アルミニウム、ケイ素、酸素、及び/又は硫黄を含むセメントなどの水硬性セメントを含み、水との反応によって硬化(set)及び硬化(harden)する。そのようなセメントの例としては、ポルトランドセメント(例えばクラスA、C、G、及びHポルトランドセメント)、ポゾランセメント、石こうセメント、リン酸塩セメント、高アルミナ含量セメント、シリカセメント、高アルカリ度セメント、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。もう1つの実施態様において、セメント系材料は、高炉スラグ(blast furnace slag)、ガラス質頁岩、硫酸カルシウム半水和物、又はそれらの組み合わせを含んでよく、そのような材料は、上述の水硬性セメントに加えて、又はその代わりに存在してよい。
【0009】
本明細書中、式(CaSO4・1/2(H2O))によっても表される市販の硫酸カルシウム半水和物は、粉末状及び熱処理された石こうの混合物であり、水と混合されると、焼き石こうを滑らかな固体へと硬化させる。該固体は、全ての水が蒸発し得る前に硬化するので、体積を縮ませる又は失うことがない。硫酸カルシウム半水和物は、U.S. Gypsum社及びGeorgia Pacific社などのサプライヤーから広く市販されている。BFSは高炉から放出される溶融鉄の上部表層として出現する。該スラグは鉄から分離され、鉄及び鋼の製造の共生成物とみなされる。BFSは、本質的にカルシウムのケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、及び高炉中の鉄と同時に融解状態で生み出される他の化合物からなる非金属製品である。BFSは広く市販されている。頁岩は、きめの細かい堆積岩であり、その元の構成物質は粘土又は泥であった。頁岩は、不規則な曲がった断口で砕ける、多くの場合割れやすい、かつしばしば見分けが付かない層理面に平行な薄層構造を特徴とする。そして該頁岩は、ガラス化工程、それに続く、所望の粒子径まで砕かれる又は粉砕される工程に供されてよい。ここでガラス化とは、頁岩が結晶構造のないガラス様不定形固体へと変換されることを促進する温度まで、該材料を加熱することを示す。
【0010】
BFS、硫酸カルシウム半水和物、ガラス質頁岩、又はそれらの組み合わせを添加することは、該化合物を欠くことを除いて同一であるセメント組成物と比較して、セメント組成物が水性流体と接触して水又は水和物を吸収し始める際に放出される熱(すなわち水和熱)を低減するよう機能し得る。このことは、同時に出願され、発明の名称が「低水和熱セメント組成物及びその使用方法(Low Heat of Hydration Cement Compositions and Methods of Using Same)」である、米国特許出願第11/385,426号(代理人整理番号HES 2005-IP-018739U1)にさらに詳細に記載されており、該出願は、その全体が本明細書中に参照によって組み込まれている。
【0011】
1つの実施態様において、BFSは約20%〜約80%の量でセメント組成物中に存在する。1つの実施態様において、硫酸カルシウム半水和物は約20%〜約80%の量でセメント組成物中に存在する。さらにもう1つの実施態様において、ガラス質頁岩は約35%〜約65%の量でセメント組成物中に存在する。
1つの実施態様において、セメント組成物は、ポンプ送り可能な(pumpable)スラリーを形成するのに十分な量の水を含む。水は淡水又は塩水であってよく、例を挙げると、ブライン又は海水などの、不飽和水性塩溶液又は飽和水性塩溶液などである。水は、セメントの重量に対して約20〜約180%、あるいは、セメントの重量に対して約28〜約60%の量で存在してよい。
【0012】
いくつかの実施態様において、添加剤は、セメント組成物中に、その性質を改良する又は変えるために含まれてよい。そのような添加剤の例としては、塩、反応促進剤、界面活性剤、硬化遅延剤、消泡剤、沈殿防止剤、増量材、分散剤、構造調整剤(formation-conditioning agents)又はそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。他の機械的性質改変添加剤は、例えば、カーボンファイバー、グラスファイバー、金属繊維、鉱物繊維などであり、添加してさらに機械的性質を改変することができる。これらの添加剤は、単独で又は組み合わせて含まれてよい。これらの添加剤の導入方法、及びそれらの有効量は、当業者にとって公知である。
【0013】
1つの実施態様において、セメント組成物は密度低下添加剤(density-reducing additive)を含む。軽量セメントスラリーを作り出すために、ガラスビーズ又は発泡体、及び例えば発泡性界面活性剤ガス(foaming surfactants gas)、懸濁補助剤、消泡剤などの膨張添加剤(expanding additives)などの密度低下添加剤が、セメント組成物中に含まれてよい。いくつかの実施態様において、密度低下添加剤の選択は、セメント組成物の粘度によって決まり得る。このような密度低下添加剤の量、及びそれらを含有させる方法は、当業者にとって公知である。1つの実施態様において、セメント組成物は発泡セメントである。当業者には理解されるように、本開示のセメント組成物中に発泡体などの密度低下添加剤を含めることは、単位体積当たりの質量低下による水和熱低下を示し得る。様々な実施態様において、セメント組成物は、約10 lb/ガロン以上の密度を含み得る。1つの実施態様において、15.2 lb/ガロンの密度で混合されたセメントスラリーは、0.5016 BTU/hr-ft-F°の熱伝導度値を有するが、10.85 lb/ガロンに発泡された同一のスラリーは、0.3609 BTU/hr-ft-F°の低減された熱伝導度値を有する。
【0014】
いくつかの実施態様において、セメント組成物は遅延剤を含んでよい。本明細書において、遅延剤は、セメント組成物の増粘時間(thickening time)を増大させるのに使用される化学添加剤を示す。増粘時間は、セメント組成物が70 Bearden単位のコンシステンシー(Bearden units of Consistency)(Bc)を達成するのに要する時間を示す。約70 Bcで、スラリーは、ポンプ送り可能な流体状態からポンプ送り不可能なペーストへと変換される。増粘時間の測定方法は、API規格10(API specification 10)に概説されている。硬化遅延剤は、ユーザーによって、当業者にとって公知の方法及び量で含められてよい。あるいは、そのような遅延剤は、開示されているセメント組成物の他の成分の市販の配合物の一部であってよい。硬化遅延剤の例としてはクエン酸ナトリウムが挙げられるが、これに限定されない。
【0015】
セメント組成物の成分は、ユーザーが所望する任意の順序で混合して、坑井ボア中に配置され得るスラリーを形成してもよい。セメント組成物の成分は、該組成物に適合する任意の混合装置を使用して混合されてよく、その例としてはバルクミキサーが挙げられる。1つの実施態様において、セメント組成物の成分は、坑井ボアの現場で混合される。あるいは、セメント組成物の成分は、現場以外で混合され、その後、坑井ボアの現場で使用される。そのようなスラリーの調製方法は、当業者にとって公知である。
【0016】
本明細書中に開示されているセメント組成物は、任意の目的で使用できる。1つの実施態様において、該セメント組成物は、地下の地層を貫通する坑井ボアを保全するのに使用される。用語「地下の地層」が、露出した地面より下の領域、及び海洋又は淡水などの水によって覆われた地面より下の領域の両方を包含することが理解されるべきである。1つの実施態様において、LHCCは、例えば永久凍土層中の坑井ボア、及び/又はガスハイドレートを有する地層中の坑井ボアなどの、壊れやすい地理的領域を貫通する坑井ボアを保全するのに使用される。
【0017】
坑井ボアを保全することは、本明細書に開示されているセメント組成物を坑井ボア中に配置して、地下の地層を坑井ボアの一部から隔離すること;坑井ボア中の導管を支持すること;及び、坑井ボアと拡張可能なパイプ又はパイプストリングとの間の環状空間を封止することを含むが、これらに限定されない。本明細書に開示されているセメント組成物は、例えば掘削流体又はセメントスラリーの静水圧などの相当の圧力に、押しのけられる又は押し出されることなく耐え得る。組成物を坑井ボア中に導入して地下領域を封止する方法は、米国特許番号第5,913,364号、6,167,967号、及び6,258,757号に記載されており、これらの特許の各々が、全体として、本明細書中に参照として組み込まれている。
【0018】
1つの実施態様において、本明細書に開示されているセメント組成物は、1次セメンチング作業などの坑井完成作業において使用され得る。該組成物は坑井ボアの環状空間内に配置されて硬化し、坑井ボアの別の部分から地下の地層を隔離し得る。こうして該セメント組成物は、その地下の地層中の流体が他の地下の地層へと移動するのを防ぐ防壁を形成する。該環状空間内で、該流体は、坑井ボア中の例えばケーシングなどの導管を支持する働きもする。
【0019】
他の実施態様において、添加剤も、セメント組成物とともに坑井ボア内にポンプ送りされる。例えば、流体吸収材料、粒子状材料、有機物親和性粘土、樹脂、水性超吸収材、粘性調節剤(viscosifying agents)、懸濁剤、分散剤、流体損失剤(fluid loss agents)、例えば繊維、エラストマーなどの機械的性質改変剤、又はそれらの組み合わせが、開示されている組成物とともに前記流れ中にポンプ送りされ得る。
【実施例】
【0020】
本発明は一般的に説明されてきたが、以下の実施例は、本発明の特定の実施態様として与えられ、その実施及び利点を示すものである。該実施例が例証の目的で与えられ、いかなる方法によってもクレームの明細を限定することを意図するものではないことが理解されるべきである。以下の実施例において、水和熱測定は、断熱され銀めっきされたホウケイ酸ガラス真空フラスコ内に温度記録熱電対を配置し、該フラスコをスラリー組成物で完全に満たすことによって記録された。増粘時間試験、圧縮強さ測定、及びレオロジー測定は、API規格10に概説されている手順に従って行われた。
【0021】
(実施例1)
表1に示されているように、レシチンの存在及び非存在下、スラグ/半水和物セメント組成物に対するスラリー粘度の影響を測定した。該セメント組成物は、CFR−3セメント分散剤も含んでよく、該分散剤はHalliburton Energy Services社から市販されている分散剤である。これらの組成物に使用されている硫酸カルシウム半水和物は、特に断りのない限りGeorgia Pacific社から入手した。
【表1】

本明細書において、ファン測定値(Fann readings)は、ファンビスコメーター(Fann viscometer)からの測定値を示し、ファンビスコメーターはセメントスラリーの粘度及びゲル強度を測定するのに使用される機器である。
【0022】
表2に示されているように、60:40のUSG硫酸カルシウム半水和物:スラグ、セメントの重量に対して(bwc)44%の水、表示されている量のレシチン及びZONESEAL 2000を含む発泡スラリーを調製し、水和熱について試験した。
【表2】

表2の最初の2つの試験は、レシチン単独での添加が、水和の極大に到達するまでの時間を認め得るほどに減らす又は遅らせるわけではないことを示している。しかしながら、セメント発泡作業で使用されるZONESEAL 2000化学添加剤(Halliburton Energy Services社から市販されている発泡剤である。)とともに使用した場合、放出される熱はより少なく、かつ最高温度に到達するまでの時間は有意に遅れている。このことは、Georgia Pacific社から入手した硫酸カルシウム半水和物を用いてスラリーを調製した場合には当てはまらなかった。
【0023】
(実施例2)
表3に示されているように、密度低下添加剤として中空球を含むセメント組成物を調製し、様々な組成物の増粘時間を測定した。基本セメント組成物は、60:40のGP半水和物:スラグ、28%のSPHERELITE(bwc)、0.2%のCFR−3(bwc)セメント分散剤、0.57%(bww(水の重量に対して))のレシチン、68.6%の水(bwc)、終密度12 lb/ガロンであった。いくつかのケースにおいて、スラリーはクエン酸ナトリウム硬化遅延剤を含み、他のケースにおいては、Halliburton Energy Services社から市販されているリグノスルホン酸塩硬化遅延剤であるHR−5が使用された。特に断りがない限り、全ての組成物においてGP半水和物が使用された。
【表3】

SPHERELITE添加剤は、Halliburton Energy Services社から市販されている中空無機球である。クエン酸ナトリウムは、永久凍土層セメントに使用されているので、遅延剤として選択された。しかしながら、スラグ/半水和物組成物に対して、0.1%bwcの添加水準は、60°Fにおいて15時間を超える増粘時間を有した。従って、HR−5を使用し、HR−5はこの温度でよりいっそう妥当な増粘時間を示した。
【0024】
本発明の好ましい実施態様が示され、説明されてきたが、本発明の趣旨及び教示から逸脱することなく、当業者によってその変形がなされ得る。本明細書に記載されている実施態様は、ただ例証的なものであり、限定を意図していない。本明細書に開示されている発明の多くの変化及び変形が可能であり、それらは本発明の範囲に含まれる。数値範囲又は限定が明確に記載されている場合、そのような明確な範囲又は限定は、該明確に記載されている範囲又は限定に含まれる同様な大きさの反復範囲又は限定を含むことが理解されるべきである(例えば、「約1〜約10」は2、3、4などを含む;「0.10より大きい」は0.11、0.12、0.13などを含む。)。クレームのいかなる要素についても、用語「任意に」の使用は、対象要素が必要とされる、あるいは必要とされないことを意味するよう意図されている。両方の選択肢がクレームの範囲内に含まれることが意図されている。例えば「含む(comprises)」、「含む(includes)」、「有する(having)」などの広範な用語の使用は、例えば「〜からなる」、「本質的に〜からなる」、「実質的に〜からなる」などの下位概念のサポートを提供すると理解されるべきである。
【0025】
従って、保護の範囲は、以上に明確に書かれた記載によって限定されず、添付のクレームによってのみ限定され、その範囲はクレームの対象の全ての均等物を含んでいる。各々の及び全てのクレームが本発明の実施態様として本明細書中に組み込まれている。こうして、これらのクレームはさらなる記載であり、本発明の好ましい実施態様への追加である。本明細書における参考文献、特に本件出願の優先日後の公開日を有し得るいかなる参考文献の議論も、本発明に対する先行技術であることを容認するものではない。本明細書中で引用されている全ての特許、特許出願、及び公開の開示は、それらが本明細書中で説明されているものに対して補助的な、例証的、手順的、又はその他の詳細を提供する範囲まで、参照によってここに組み込まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下の地層中の坑井ボアを保全する方法であって、
(a)水、セメント系材料、及びガスハイドレート阻害剤を含むセメント組成物を調製すること;及び
(b)該坑井ボア中に該セメント組成物を配置すること、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記ガスハイドレート阻害剤がレシチンである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記セメント組成物が、約0.4%bww〜約1.0%bwwの量のレシチンを含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記セメント系材料が、ポルトランドセメント、ポゾランセメント、石こうセメント、リン酸塩セメント、高アルミナ含量セメント、シリカセメント、高アルカリ度セメント、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記セメント組成物が、約50%〜約80%の量のセメント系材料を含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記セメント系材料が、高炉スラグ、ガラス質頁岩、硫酸カルシウム半水和物、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記セメント系材料が、高炉スラグ及び硫酸カルシウム半水和物を、約1:4〜約4:1の比で含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記セメント系材料が、約20%〜約80%の量の高炉スラグを含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記セメント系材料が、約35%〜約65%の量のガラス質頁岩を含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記セメント系材料が、約20%〜約80%の量の硫酸カルシウム半水和物を含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記セメント組成物が、硬化遅延剤をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記硬化遅延剤がクエン酸ナトリウムを含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記セメント組成物を泡立てることをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記セメント組成物が、密度低下添加剤をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記密度低下添加剤が、ガラスビーズ、ガス、又はそれらの組み合わせを含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記地下の地層が、永久凍土層、ガスハイドレート、又はその両方を含む、請求項1記載の方法。
【請求項17】
水、セメント系材料、及びガスハイドレート阻害剤を含むセメント組成物。
【請求項18】
前記ガスハイドレート阻害剤がレシチンである、請求項17記載の組成物。
【請求項19】
約0.4%bww〜約1.0%bwwの量のレシチンを含む、請求項17記載の組成物。
【請求項20】
前記セメント系材料が、ポルトランドセメント、ポゾランセメント、石こうセメント、リン酸塩セメント、高アルミナ含量セメント、シリカセメント、高アルカリ度セメント、又はそれらの組み合わせを含む、請求項17記載の組成物。
【請求項21】
前記セメント系材料が、高炉スラグ、ガラス質頁岩、硫酸カルシウム半水和物、又はそれらの組み合わせを含む、請求項17記載の組成物。

【公表番号】特表2009−530468(P2009−530468A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500932(P2009−500932)
【出願日】平成19年3月21日(2007.3.21)
【国際出願番号】PCT/GB2007/001259
【国際公開番号】WO2007/107779
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(507251077)ハルリブルトン エネルギ セルビセス インコーポレーテッド (9)
【Fターム(参考)】