説明

ガスハイドレートペレット成形装置

【課題】 ガスハイドレート生成プラントにおける脱水工程とGHペレットの成形工程とを単一の装置で行うことにより、GHペレットの形成の効率化を図るガスハイドレートペレット成形装置を提供する。
【解決手段】 圧搾室21の内筒21aに圧搾プランジャ21eを配し、該圧搾プランジャ21eの前進により内筒21aに供給されたGHスラリーから搾水し、排水は内筒21aの一部に設けたスクリーン部21cから行う。搾水後にゲート弁22を開放し、さらに圧搾プランジャ21eを前進させて、ゲート弁22を通過させてGHペレットPを冷却室23に押し出して移動させる。ゲート弁22を閉鎖して冷却室23を冷却すると共に、圧搾プランジャ21eを後退させて次のGHスラリーを供給する。冷却室23での冷却後、弁体24aを回動させて保持室24cに受容されたGHペレットPを脱圧工程へ供給する供給路25に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、海底下等に存在している天然ガスハイドレートを輸送や貯蔵等に適した状態に生成する天然ガスハイドレート生成プラントに設置されているペレット成形装置であって、スラリー状となったガスハイドレートから水分を除去する脱水処理後に輸送等にとって取り扱いが簡便なペレット状に成形するガスハイドレートペレット成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シベリアやカナダ、アラスカ等の凍土地帯や大陸周辺部における水深500m以下の海底下には、主成分がメタンである天然ガスハイドレート(NGH)が存在している。このNGHは、メタン等のガス分子と水分子とから構成される低温高圧下で安定した水状固体物質あるいは包接水和物であり、二酸化炭素や大気汚染物質の排出量が少ないクリーンエネルギとして着目されている。
【0003】
天然ガスは液化された後、貯蔵されてエネルギとして利用されているが、その製造や貯蔵は−162℃の極低温において行われている。これに対して天然ガスハイドレートは、−20℃で分解せずに安定した性質を示し、固体として扱うことができる等の利点を備えている。このような性質から、世界中に存在している採算面等の理由から未開発の中小ガス田におけるガス資源を有効に利用することができる手段として、あるいは大ガス田からの近距離、小口輸送の場合等に天然ガスハイドレート方式(NGH方式)を活用できる。
【0004】
NGH方式では、中小ガス田等のNGH出荷基地において、輸送や貯蔵に適したNGHを生成し、輸送船や車両等によって所望のNGH受入基地まで輸送され、NGH受入基地では輸送されたNGHを貯蔵し、必要に応じてNGHガス化装置によってエネルギ源として利用することになる。図7は、前記NGH出荷基地に利用されるガスハイドレートの生成プラントの構成の一例を説明する概略のブロック図である。採掘された原料ガスは高圧反応容器である生成器1において水と十分に混合され、ハイドレート化されて低濃度のガスハイドレート(GH)スラリーが生成される。生成されたGHスラリーは供給ポンプ2によって脱水器3に供給されて、脱水された高濃度のGHスラリーを生成する。このとき、脱水器3へは該脱水器3の最下部に供給される。供給されたGHスラリーは脱水器3を徐々に上昇しながら脱水されて、脱水器3の上端部から取り出される。取り出されたガスハイドレートは、脱水されてパウダー状となったGHパウダーとして取り出される。このGHパウダーがペレット成形器4に供給されて造粒され、輸送や貯蔵等にとって適宜な大きさのGHペレットが形成される。次いで、常圧下においても分解しない温度まで冷却機5により冷却された後、脱圧装置6に供給される。すなわち、前記生成器1から冷却機5に至るまでは、常温高圧下において処理がなされ、冷却機5と脱圧装置6とにより、常圧下でも分解しない温度に処理される。その後、生成されたGHペレットは貯蔵槽に給送されて貯蔵される。
【0005】
ところで、本願出願人は、貯蔵性に優れたペレットを低コストで製造できるガスハイドレートペレットの製造方法及び製造装置を提案している(特許文献1参照)。このガスハイドレートペレットの製造方法は、ガスハイドレートをその生成条件下において圧縮成形手段により脱水するとともに、前記ガスハイドレートの粒子間におけるガスハイドレート原料ガスと水とをガスハイドレートに形成させ、ペレットに成形するようにしたものである。また、前記圧縮成形手段として、外周面に複数のペレットの成形型を有し、互いに逆方向に回転する一対のロールからなるブリケッティングロールとしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−270029
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の工程では、脱水器3とペレット成形器4とのそれぞれの装置を必要としており、ガスハイドレート生成プラントを大型化させてしまうと共に、生成工程を煩雑にするおそれがある。
【0008】
一方、特許文献1に記載されたガスハイドレートペレットの製造装置では、脱水とペレット成形とを圧縮成形手段により行うようにしたため、脱水器とペレット成形器とを各別に配設する必要がなく、ガスハイドレート生成プラントの規模の小型化にとって有利である。しかし、圧縮成形手段にブリケッティングロールが用いられる場合、この圧縮成形手段に供給されるガスハイドレートは、比較的十分に脱水処理されたものであることが好ましい。脱水が不十分であると分離された水がペレットと共に冷却工程に搬送されてしまい、ペレットの脱圧工程や貯蔵に支障が生じるおそれがある。このため、ブリケッティングロール式ペレット成形器に供給されるガスハイドレートを予め脱水処理することが好ましく、したがって、場合によっては脱水器を設ける必要が生じるおそれがある。また、特許文献1には、往復動式のペレット製造装置が開示されている。この往復動式のものでは圧縮と脱水とを効率よく行うことができるが、同文献に記載されている装置では、いわゆるバッチ処理となってしまって、ガスハイドレート生成プラントの連続運転が損なわれてしまうと共に、当該プラントにおける製造量を増加することの支障となるおそれがある。
【0009】
そこで、この発明は、脱水器とペレット成形器とを単独の装置により行うことができ、しかも、ガスハイドレート生成プラントの連続処理を損なうことがないガスハイドレートペレット成形装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するための技術的手段として、この発明に係るガスハイドレートペレット成形装置は、原料ガスと水とを生成器に供給して高圧下で反応させてガスハイドレートスラリーを生成し、ガスハイドレートスラリーから水分を除去した後、所望の大きさのペレットに成形して冷却した後、常圧まで減圧するガスハイドレート生成プラントにおいて、前記生成器で生成したガスハイドレートスラリーを充填して圧搾する圧搾室と、前記圧搾室に連通し、該圧搾室で圧搾されたガスハイドレートペレットを受け入れて冷却する冷却室と、前記冷却室に連通し、冷却されたガスハイドレートペレットを脱圧する脱圧工程に連通する供給路と、前記圧搾室に設けた圧搾手段と、前記圧搾室と前記冷却室との間を開閉する弁手段と、前記冷却室と前記供給路との間を移動すると共に、ガスハイドレートペレットを受容する保持室を備えたペレット保持手段とからなり、前記圧搾手段でガスハイドレートを圧搾後、前記弁手段を開放し、該圧搾手段の圧搾動作を継続してガスハイドレートペレットを前記冷却室に供給することにより、ガスハイドレートペレットを順次冷却室から前記ペレット保持手段の保持室に給送し、該ペレット保持手段の移動動作によって、前記冷却室を遮断した状態でガスハイドレートペレットを前記供給路へ供給することを特徴としている。
【0011】
生成器で生成されたGHスラリーを前記圧搾室に供給して、該圧搾室内にGHスラリーを充填させる。前記圧搾手段を作動させて充填されたGHスラリーから搾水する。このとき、前記弁手段は閉鎖した状態とする。例えば、約10重量%のGHスラリーを充填した場合に、約90重量%まで搾水されて、GHペレットが生成されるように圧搾手段の動作を調整する。前記弁手段を開放して、さらに圧搾手段の動作を継続すると、GHペレットは、弁手段が開放されているため、前記冷却室に給送される。GHペレットが冷却室に給送されたならば、弁手段を閉鎖し、圧搾手段を圧搾動作前の状態に復帰させて、生成器からGHスラリーを圧搾室に供給する。
【0012】
冷却室では、給送されたGHペレットを、常圧下でも分解しない温度まで冷却する。
【0013】
前述した圧搾処理と冷却室への給送により、該冷却室内にGHペレットが充満している場合に、前記ペレット保持手段の保持室が冷却室に連通した状態にあると、GHペレットが冷却室から保持室へ押動されることになる。すなわち、前述した圧搾処理後に、圧搾室からGHペレットが冷却室に給送されると、給送されたGHペレットに相当する量のGHペレットが保持室に押し出されることになる。保持室を前記冷却室に連通した状態から移動させて供給路に連通させると、該保持室に収容されたGHペレットが供給路に供給され、該供給路から後続する脱圧工程へ給送される。
【0014】
また、請求項2の発明に係るガスハイドレートペレット成形装置は、前記圧搾手段は、前記圧搾室を筒状に形成して、該圧搾室の軸方向に進退可能な圧搾プランジャからなり、前進時に圧搾動作を行わせ、前記圧搾プランジャの前進側の端部で、前記圧搾室と前記冷却室とが前記弁手段を介して連通していることを特徴としている。
【0015】
圧搾手段を、圧搾プランジャにより構成したものである。圧搾室ではGHスラリーを圧搾し、引き続いて圧搾されて形成されたGHペレットを冷却室に給送するため、この一連の動作を行わせるには、圧搾プランジャが適している。また、圧搾室はこの圧搾プランジャの往復運動を案内するシリンダにより構成することが好ましい。
【0016】
また、請求項3の発明に係るガスハイドレートペレット成形装置は、前記ペレット保持手段を、球面を備えた弁体と 該弁体を収容して前記球面を案内して弁体の回動を許容する弁箱とで構成し、前記弁体の一部に開口した前記保持室を形成し、前記弁体の回動により、該保持室を前記冷却室と脱圧工程への供給路とのいずれかに連通させると共に、弁体の回動方向を、回動中には冷却室と脱圧室への供給路とが連通しない状態に維持する方向とすることを特徴としている。
【0017】
GHペレットの成形は高圧下で行われるため、前記冷却室は高圧の状態にある。他方、前記供給路は脱圧工程に連なっているため、常圧の状態にある。このため、冷却室と供給路とが連通すると、冷却室の圧力が低下してしまい不都合が生じる。そこで、前記ペレット保持手段により、GHペレットを供給路に供給する際には、冷却室と供給路とが連通することがないようにして行うようにしたものである。
【発明の効果】
【0018】
この発明に係るガスハイドレートペレット成形装置によれば、GHスラリーからの搾水とペレットの成形とを連続して行う装置とすることができるから、従来の脱水器とペレット成形器とを各別の装置による場合に比べてガスハイドレート生成プラントの占有スペースを小さくすることができる。しかも、低濃度のGHスラリーから搾水して圧潰することによりGHペレットを成形することができるから、成形圧を低減することができると共に、密度が高く、空隙率の小さいGHペレットを生成することができる。したがって、輸送や貯蔵等の効率を向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明に係るガスハイドレートペレット成形装置を用いたガスハイドレート生成プラントの概略の構成を説明するブロック図である。
【図2】この発明に係るガスハイドレートペレット成形装置の動作を説明するタイムチャートである。
【図3】この発明に係るガスハイドレートペレット成形装置が、圧搾工程にある状態の動作を説明する図である。
【図4】この発明に係るガスハイドレートペレット成形装置が、押出工程にある状態の動作を説明する図である。
【図5】この発明に係るガスハイドレートペレット成形装置が、スラリーを供給される準備工程にある状態を説明する図である。
【図6】この発明に係るガスハイドレートペレット成形装置が、ペレットを脱圧工程へ供給される状態の動作を説明する図である。
【図7】天然ガスハイドレートの出荷基地に利用される、従来のガスハイドレートの生成プラントの構成の一例を説明する概略のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図示した好ましい実施の形態に基づいて、この発明に係るガスハイドレートペレット成形装置を具体的に説明する。
【0021】
前記生成器1には、原料ガスGと水Wとが、それぞれ原料供給管11と冷媒供給管12とから供給されている。生成器1でこれら原料ガスGと水Wとが反応して生成されたGHスラリーは、スラリー供給管13によりペレット成形装置20の圧搾室21に給送されている。また、生成器1からは冷媒再循環ポンプ1aを介して返戻管1bから未反応冷媒が回収されている。この冷媒再循環ポンプ1aの吐出側は前記冷媒供給管12に接続されている。また、冷媒供給管12には調整弁12aが設けられており、生成器1の内圧を測定している圧力計11cの測定値に基づいて該調整弁12aの開度が調整されている。
【0022】
前記圧搾室21は筒状の内筒21aとこの内筒21aを収容した外筒21bとにより構成されており、内筒21aには該内筒21aの軸Oの方向に摺動して進退可能な圧搾プランジャ21eが収容されている。なお、この圧搾プランジャ21eは、図示しない駆動源の作動により進退動作を行うようにしてあり、駆動源としては油圧によるものや電動機の出力をラック・ピニオン機構により直線運動に変換して行うもの等を用いることができる。内筒21aの一部には適宜な大きさの透孔が形成されたスクリーン部21cが設けられている。
【0023】
前記圧搾室21の前記圧搾プランジャ21eの前進端側には、弁手段としてのゲート弁22を介して冷却室23が連通させてある。このゲート弁22を開放することにより、圧搾室21と冷却室23とが連通した状態となる。この冷却室23は圧搾室21の内筒21aの内径以上の大きさの内径を備えた筒状に形成されている。
【0024】
前記冷却室23の前記圧搾室21とは反対側には、ペレット保持手段としてのペレット移送弁24が配設されている。このペレット移送弁24は、いわゆるボール弁のように、球形の弁体24aを内部に収容した弁箱24bにより構成されており、弁体24aには保持室24cが形成されている。この保持室24cは、前記冷却室23の内径以上の大きさの内径で、後述するようにペレットを収容するのに十分な奥行きを備えた寸法に形成されており、この保持室24cの一部が開口されて開口部24dが形成されている。そして、弁体24aを弁箱24bに対して回動させることにより、この開口部24dが、図1と図3、図4に示すように冷却室23に臨む受入位置と、図6に示すように、この開口部24dが脱水工程へペレットを供給する供給路25を臨む排出位置とに位置するようにしてある。また、前記供給路25が後続する脱圧工程に連通している場合には、内圧がペレットを分解させない圧力となって常圧の状態にあり、このため、弁体24aが回動動作中に冷却室23と供給路25とが連通することがないようにしてある。例えば、弁体24aは、図1に示す受入位置から時計回り方向に回動して排出位置に位置させ、排出位置からは反時計回り方向に回動して受入位置に位置するようにしてある。
【0025】
前記圧搾室21の下部には、スラリー循環ポンプ11aの吸込側に接続されたスラリー回収管21dが接続されており、このスラリー循環ポンプ11aの吐出側に前記原料供給管11が接続さている。また、スラリー循環ポンプ11aの吸込側には原料供給ポンプ11bの吐出側が接続されている。すなわち、後述するように圧搾室21でGHスラリーが生成される際に発生する搾水は、原料供給ポンプ11bから供給される原料と合流して、スラリー循環ポンプ11aにより生成器1に返戻されている。また、前記スラリー供給管13の途中と前記スラリー回収管21dとが戻し管13aにより接続されており、この戻し管13aの途中に戻し弁13bが設けられている。前記圧搾プランジャ21eを挟んで圧搾室21と反対側の背圧室21gにはガス・水バッファ21hが背圧管21iを介して接続されている。このガス・水バッファ21hは、前記スラリー回収管21dに調整弁21jを介して接続されている。
【0026】
前記冷却室23には冷媒供給管23aを介して高圧の冷却媒体が供給されており、供給された冷却媒体は回収ポンプ23bにより冷媒回収管23cを介して回収されている。なお、冷媒回収管23bには冷媒バッファ23dが設けられており、回収される冷媒を一時的に滞留させて、回収ポンプ23cの動作を安定させている。回収ポンプ23cの吐出側に接続された吐出管23eが、前記冷媒供給管23aが接続されている図示しない冷却器等の冷媒源に接続されて、該冷媒源から冷却室23に供給された一時冷却媒体が回収されている。
【0027】
以上により構成されたこの発明に係るガスハイドレートペレット成形装置の作用を、図2に示すタイムチャートを参照して以下に説明する。
【0028】
図2におけるt0において、前記圧搾プランジャ21eは図3上想像線で示すように、最後部まで後退した位置にあり、すなわち前記冷却室23から最も離隔した位置にあり、前記ゲート弁22は閉鎖、ペレット移送弁24は弁体24aが受入位置にある。なお、このとき時点では、圧搾室21の内筒21aにはGHスラリーが供給され所定量が充填されている。
【0029】
例えば、内筒21aに供給されるGHスラリーが10重量%であるとすると、図2上t0からt1に至ると、図3上実線で示す位置までプランジャ21eが前進し、圧搾室21内のGHスラリーが圧潰されて搾水される。圧搾プランジャ21eがt1の時点まで前進した位置において、例えば、GHスラリーが90重量%まで搾水されてGHペレットPが成形されるものとする。また、このときの搾水は、スクリーン部21cを通過して外筒21bに流出し、前記スラリー循環ポンプ11aによりスラリー回収管21dから回収されて生成器1に戻される。
【0030】
1では、前記ゲート弁22が開放される。これにより、圧搾室21と冷却室23とが連通した状態となる。なお、前記供給路25は前記ペレット移送弁24が受入位置にあるため、圧搾室21と冷却室23、保持室24cとは等しい内圧となる。前記圧搾プランジャ21eはゲート弁22の位置まで、すなわちt2まで前進を続けており、このため、搾水されて90重量%となったGHペレットが圧搾室21から冷却室23へ押し出されて給送されることになる。なお、このとき、冷却室23が先に成形されたGHペレットで満たされている場合には、圧搾プランジャ21eがt1からt2まで前進して前進端となるまでに冷却室23に給送されるGHペレットPと等しい量のGHペレットPが、図4に示すように、該冷却室23から保持室24cに押し出される。t2まで圧搾プランジャ21eが前進して圧搾室21内のGHペレットが押し出されたならば、前記ゲート弁22が閉鎖される。
【0031】
ゲート弁22の閉鎖により前記圧搾プランジャ21eは後退を開始すると共に、内筒21aにGHスラリーが供給される。ゲート弁22が閉鎖されると、前記冷却室23は気密状態となるから、前記冷媒供給管23aから冷媒を供給して、該冷却室23内にあるGHペレットを、常圧下でも安定した状態を維持する温度まで冷却する。
【0032】
また、圧搾プランジャ21eを最後部まで後退させる際には、前記弁体24aを受入位置から排出位置まで回動させる。このとき、弁体24aは、図5に示すように、時計回り方向に回動させることによって、冷却室23の端部が弁体24aにより閉塞された状態に維持される。弁体24aが排出位置に位置した状態で、GHペレットPは脱圧された状態となり、図6に示すように、保持室24cに受け入れられたGHペレットPが供給路25に落下することになる。次いで、弁体24aを排出位置から図6上反時計回り方向回動させて、受入位置に位置させる。この状態で、図3に示す状態となり、このペレット成形装置20による1工程が完了する。
【0033】
上述した動作を繰り返すことにより、連続したGHペレットの形成を行うことができる。
【0034】
以上に説明した実施形態では、弁体24aの回動の軸を図面と直交する方向を軸として行う場合について説明したため、成形されたGHペレットPは供給路25に落下するとした。この回動軸の方向を変更することにより、GHペレットPの排出方向を所望の方向とすることが可能となる。なお、供給路25は水平方向から下方に傾斜する方向とすることで、GHペレット25は供給路25内を滑落させて排出させるようにする。
【産業上の利用可能性】
【0035】
この発明に係るガスハイドレートペレット成形装置によれば、従来のGH生成プラントにおける脱水処理工程とペレットの成形工程とを単一の装置により連続して行うことができるから、プラントの小型化を促進でき、製造コストと共にランニングコストを減じることができ、経済性を向上させて、従来において採算面で不利なガス田の有効利用の促進化に寄与する。
【符号の説明】
【0036】
1 生成器
20 ペレット成形装置
21 圧搾室
21a 内筒
21b 外筒
21c スクリーン部
21d スラリー回収管
21e 圧搾プランジャ
22 ゲート弁(弁手段)
23 冷却室
24 ペレット移送弁(ペレット保持手段)
25 供給路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料ガスと水とを生成器に供給して高圧下で反応させてガスハイドレートスラリーを生成し、ガスハイドレートスラリーから水分を除去した後、所望の大きさのペレットに成形して冷却した後、常圧まで減圧するガスハイドレート生成プラントにおいて、
前記生成器で生成したガスハイドレートスラリーを充填して圧搾する圧搾室と、
前記圧搾室に連通し、該圧搾室で圧搾されたガスハイドレートペレットを受け入れて冷却する冷却室と、
前記冷却室に連通し、冷却されたガスハイドレートペレットを脱圧する脱圧工程に連通する供給路と、
前記圧搾室に設けた圧搾手段と、
前記圧搾室と前記冷却室との間を開閉する弁手段と、
前記冷却室と前記供給路との間を移動すると共に、ガスハイドレートペレットを受容する保持室を備えたペレット保持手段とからなり、
前記圧搾手段でガスハイドレートを圧搾後、前記弁手段を開放し、該圧搾手段の圧搾動作を継続してガスハイドレートペレットを前記冷却室に供給することにより、ガスハイドレートペレットを順次冷却室から前記ペレット保持手段の保持室に給送し、該ペレット保持手段の移動動作によって、前記冷却室を遮断した状態でガスハイドレートペレットを前記供給路へ供給することを特徴とするガスハイドレートペレット成形装置。
【請求項2】
前記圧搾手段は、前記圧搾室を筒状に形成して、該圧搾室の軸方向に進退可能な圧搾プランジャからなり、前進時に圧搾動作を行わせ、
前記圧搾プランジャの前進側の端部で、前記圧搾室と前記冷却室とが前記弁手段を介して連通していることを特徴とする請求項1に記載のガスハイドレートペレット成形装置。
【請求項3】
前記ペレット保持手段を、球面を備えた弁体と 該弁体を収容して前記球面を案内して弁体の回動を許容する弁箱とで構成し、
前記弁体の一部に開口した前記保持室を形成し、前記弁体の回動により、該保持室を前記冷却室と脱圧工程への供給路とのいずれかに連通させると共に、弁体の回動方向を、回動中には冷却室と脱圧室への供給路とが連通しない状態に維持する方向とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガスハイドレートペレット成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−235868(P2010−235868A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−87565(P2009−87565)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【Fターム(参考)】