ガスメタルアーク溶接(GMAW)短絡回路高溶着アーク溶接の方法及び装置
前進する電極とワークピースとの間における電流によってパルス溶接法を実施するための電気アーク溶接装置であり、その溶接機は、その前進する電極とワークピースとの間に短絡が生じると短絡信号を生成するための短絡検出回路、及びその短絡が、その溶接機がピーク・パルス電流(2010)を出力していないときの期間の間にクリアされた後にプラズマ・ブースト・パルスを生成するためのブースト回路を含む。そのピーク・パルス電流(2010)とバックグラウンド電流との比は高く、そのピーク・パルスの持続期間は短い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年10月17日に提出された米国特許出願第11/873,794号の一部継続出願であり、該出願は、現在は米国特許第7,304,269号である米国特許出願第10/861,958号の分割出願である。
【0002】
本発明は、新規電気アーク溶接機に関し、より詳しくは、新規パルス溶接法を実施するための電気アーク溶接機及び新規アーク溶接機を使用して高溶着アーク溶接の方法を提供するパルス溶接の方法に関する。
【背景技術】
【0003】
電気アーク溶接において、最も普及している溶接法の1つは、外側シールドガスを持つ単線を主に使用するパルス溶接である。MIG溶接は、前進するワイヤの端を最初に溶かし、次に、そのワイヤの端からの溶融金属をそのアークを通してワークピースへと前進させる間隔の空いたパルス群を使用する。理想的な状況下では、溶融金属の球塊は、そのパルス溶接法の各パルスの間に溶けて転送される。その溶融金属が、前進するワイヤから解放される前にワークピースに接触するとき、パルス溶接法の通常の操作の中断が生じる。その結果として、25ボルトを超える高圧パルス溶接が、電極の端とワイヤとの間のギャップが比較的大きいように、通常使用される。これは、短絡の発生及びその結果生じるスパッター及びパドル外乱(puddle disturbance)を制限する。小さいギャップ又は約0.20‐0.30インチよりも小さいアーク長を有することが有利である。しかし、パルス溶接は、通常、溶融金属の適切な転送を保証し、短絡を減少させるために実質的により高い電圧を必要とする。それにもかかわらず、そのパルス溶接法は、適切なパルス溶接に関連する一貫性を素早く得るために取り除かなければいけない短絡状況を常に含む。短絡を除去するために、その短絡の検出において、即時にアーク電流を増やすことがよく知られている。その高いアーク電流は、その溶融金属を前進する電極から即時に分離し、再びアークを設立するように、電気ネッキング作用を起こす。このよく知られた概念の考察は、本文献によって参考として取り入れられるIhdeの特許文献4において含まれている。このよく知られている短絡クリアランス法を用いても、高圧がいまだに単線に対して必要であり、そのワイヤの移動速度は、かなり低くなければいけない。パルス溶接に有心ワイヤ(cored wire)の使用を試みる場合、そのアーク電圧は、パルス溶接法において望ましくない短絡状況を避けるために、25ボルトをはるかに超えて、かなり高く維持されなければいけない。まとめると、短絡は、溶接の質を低下させ、溶接操作の移動速度を減らし、その欠点のため高圧を必要とする。これらの短絡は、金属有心電極の冶金学的利点を使用することを試みるときに、より厄介である。
【0004】
パルス溶接法における短絡は、特に、平均アーク長が約0.20‐0.30インチ未満である場所においてより低い電圧でアーク安定性に影響を与える。それらは、また、その短絡の断線の間に、スパッターを起こす。その結果として、パルス溶接は、不慮のランダム短絡のクリアリング(clearing)のための手順を必要とする。これは、その短絡がクリアされるまでアーク電流を単に増加させることによって実行された。従って、そのパルス溶接法は、不慮の短絡を最小限にするために25ボルトを越える高圧を必要とする。これは、より低い移動速度で操作する必要性をもたらした。さらに、スパッター及び不均等な溶接ビーズが、高圧及び通常の短絡クリアリングが利用された時に生じた。
【0005】
パルスMIG溶接は、主に、単線電極、金属有心ワイヤ又は外側シールドガスで通常シールドされているフラックス有心ワイヤを使用する。その電源は、時々「ピーク」として呼ばれる高出力と「バックグラウンド」として呼ばれるより低い出力との間で交互に変わる特別なパルス化された出力を生成する。そのピーク出力は、金属の一滴を形成し、前進している電極からワークピースまでそれを移送するのに十分に長い期間の間、溶接電極の噴霧遷移電流よりも大きい。パルス間において、より低いバックグラウンド出力は、その電極がそのワークピースへ向けて前進し、次のピークが次の液滴を堆積させるために再び位置付けられることを可能にする。理想的な状況下で、そのパルス化された出力は、1つの液滴が、短絡を起こしているギャップを埋めることを可能にせずに、各ピークに対して電極からワークピースまで移動するように、維持される。この状況は、十分に長いアーク長が維持され、比較的高い平均アーク電圧を生成する場合に達成することができる。例えば、90%アルゴン、10%CO2で作動するスチール電極を持つパルス溶接は、約26ボルトよりも大きい平均電圧で実施される。
【0006】
実際には、より短いアーク長でのパルス溶接などの溶接法を操作するとき、多くの利点がある。これらの利点は、より高い移動速度でのより低い熱入力及びより良いパドルの制御を含む。縮小されたアーク長では、部分的に移動した液滴は、電極と短絡を起こしているワークとの間のギャップを埋めるのにより適している。そのアーク長が減少すると、転落イベントは、より頻繁になり、クリアするのがより難しくなる。Lincoln ElectricによるPOWERWAVEなどのモデム・パルス溶接電源は、転落をクリアする技術を含む。短絡が検出されるとき、その機械の出力は、その短絡が「ピンチオフ」され、その短絡がクリアされるまで、制御された方式で増やされる。このよく知られた概念の考察は、本文献において参考として取り入れられるKawaiによる特許文献5及びIhdeによる特許文献6に含まれる。このよく知られた技術を使用し、その溶接法は、時折短絡が生じる間でさえも、安定したままである。この方法は、ユーザーが、アーク長を減らし、なおかつより低い入熱レベルで安定した動作を維持することを可能にする。これは、より高い移動速度での速いフォロー特性(follow characteristics)を改善する。以前引用した例に関して、安定した運転点は、約23ボルトよりも高い電圧に低減される。アーク長がこの点よりも下に低減されると、短絡イベントがかなり頻繁に生じ、短絡をブレークするためにピンチ電流におけるかなりの増加を必要とする可能性がある。その短絡が高い電流でブレークするとき、スパッターが通常起こり、その高い電流が振動を起こしているパドルを押し下げることから、付属する不安定性が続いて起こる。この問題は、時々、繰り返す短絡によって生じる。短絡がクリアされると、他の短絡が、即時に形成し、それは、クリアするのが難しい。
【0007】
有心ワイヤは、金属パワー及び/又はスラグを生成する合成物(FCAW-G)及び/又はシールドガスを生成する合成物(FCAW-S)のコアを含む金属シースである。これらのワイヤは、溶接勤続の望ましい冶金を生成し、汚染から保護するのに非常に有利である。これらの有心ワイヤの多くは、単線に似た方式において、パルス溶接法において使用することができる。しかし、単線の使用において、これらの有心ワイヤは、アーク長が減少することから短絡の頻度における増加及び重度を示す。実に、有心ワイヤに対して必要とされる最小限のアーク長は、単線に対する最小アーク長又は電圧よりも高い。なぜならば、有心ワイヤのパルス化は、露出されたそのコアを出るシースを溶かし、それがパドルの中につかることを可能にするからである。従って、有心電極(cored electrode)に関連する利点は、完全には利用することは出来ない。繰り返される短絡の問題無しで、又はそのような短絡がそれらの不利な効果を取り除くように効率的にクリアされる場合に減少した電圧で有心電極を使用することができるパルス溶接機が必要とされる。さらに、溶接法の間に、その溶接の中への入熱を増やさずに、材料溶着の速度を増やす必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願第11/873,794号明細書
【特許文献2】米国特許出願第10/861,958号明細書
【特許文献3】米国特許第7,304,269号明細書
【特許文献4】米国特許第6,617,549号明細書
【特許文献5】米国特許第4,889,969号明細書
【特許文献6】米国特許第6,617,549号明細書
【特許文献7】米国特許第4,866,247号明細書
【特許文献8】米国特許第5,278,390号明細書
【特許文献9】米国特許第6,498,321号明細書
【特許文献10】米国特許第6,071,810号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、電気アーク溶接及び短いアーク長(0.10インチ未満)又は17‐22ボルトの低電圧が、パドルを制御し、そのパドルの前にアークがスキップすることを防止するために使用され得るパルス溶接手順を実施する該電気アーク溶接を使用する方法に関する。さらに、その移動速度は、より低いアーク長及び、従って以前記載されたように短絡を促さずにより低い電圧を使用して、増やされる。本発明の使用は、短絡が低いバックグラウンド電流で起こることを確実にする。これは、高電流に関連するスパッターを、短絡を出るときに短絡の高電流に入るときに避ける。本発明は、小さいアーク長を用いてもワイヤの端及びパドル表面の信頼性のある分離を確実にする。これは、高電流パルス及び低いバックグラウンド電流サイクルにおけるリズム及び安定性を拡大する。本発明は、移動速度が増加され得るように低電圧、短いアーク長が取得可能である場所でロボットによって実施されるタイプの高速自動溶接に対して設計されている。本発明は、高速での低電圧溶接を改善する。それは、本発明は、短くなったアーク長を安定化し、従ってスパッターを減らすからである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によると、パルス溶接法において短絡が検出され、標準の技術に従ってクリアされる;しかし、その短絡がクリアされた後に、プラズマ・ブースト・パルス(plasma boost pulse)が生成される。このブースト・パルスは、調整されるパワーの5‐20KW、望ましくは10‐20KWの範囲におけるパワーを持つ高電流パルスである。本発明を鉄金属溶接に使用する場合、そのプラズマ・ブースト・パルスのパワーは、一般的に5KWを超える;しかし、アルミニウムを溶接する場合、そのプラズマ増加パルスは、1.0‐2.0KWに減少する。従って、実際的な範囲は、1.0KWから約20KWである。この高電流プラズマ・ブースト・パルスは、短絡の分離での出力アーク電流を増加させる。このブースト・パルスは、他の短絡が同じサイクルの間に生じないように、アーク力を増やし、パドルを電極から押しのける。そのプラズマ・ブースト・パルスは、その電極の端を加熱し、その端をおよそワイヤ直径のサイズに丸め、アーク力における増加は、その電極が即時に再び短絡しないようにそのワイヤとパドルとの間に間隔を生成する。その短絡がクリアされ、プラズマ・ブーストが、一般的に0.2‐5.0msの短期間の間、そのアーク力を増やした後に、その溶接法は継続する。そのパルス溶接法の低バックグラウンド電流は、液滴が、次のパルスが形成された液滴をパドルの中へと移動させる前に、そのパドルのより近くへ押されることを可能にする。本発明は、短絡状態が多くの溶接機において使用される標準の短絡クリア手順を使用してクリアされた後に電流、電圧又はパワーパルスを供給することを含む。これは、その溶接パドルを安定化し、高電圧及び低速がその手順に必要でないように、通常のパルス溶接法の再開を即時に可能にする。電気アーク溶接機及びその方法は、基本的に、高い移動速度及び低電圧を用いる自動化された応用に対して設計されているものの、本発明は、浸透が低減され、有心ワイヤに対して有利でなければいけなく、高い移動速度が必要とされる半自動化された応用においても使用される。それは、また、フラックス有心ワイヤを使用するパルス溶接にも適用されている。プラズマ・ブースト・パルスは、電極の端において液滴を生成し、パドルをその電極から追い出す点において、STTピーク電流パルスに似ている。そのSTT溶接法は、Lincoln Electric Companyによって開拓され、本文献に背景情報として参考に取り入れられるParksによる米国特許第4,866,247号などのいくつかの特許において開示されている。STT法は、短絡を意図的に生成する波形を有する。プラズマ・ブースト・パルスを短絡のクリアの直後に使用することによって、実際のパルス溶接法を構成する波形の生成された部分は構成されない。短絡は、その短絡がクリアされて、次の短絡がそのプロセスの後に生じる場合にパドルを制御するように本発明を使用する場合、有害でないランダムなイベントである。プラズマ・ブーストは、通常のパルス溶接法における中断の間に生成され、そのパドルを安定化し、スパッターを低減し、溶接速度を増やす一方で、固体金属電極及び有心電極の両方に対して低電圧動作を可能にする。本発明を使用することによって、大幅に低減された電圧(すなわちアーク長)によって生じる短絡は、プロセス破壊的ではない。実際は、その溶接機は、オハイオ州クリーブランドのThe Lincoln Electric Companyによって開拓された波形技術を使用した1つである。それらのパルス及びバックグラウンド電流部分は、波形生成器によって制御されるプロファイルを持つ18kHzを超える速度で生成される小さいパルスとして、高スイッチング速度電源によって形成される。
【0011】
本発明のさらなる態様によると、プラズマ・ブースト・パルスは、STT法に似た新規の短絡クリア・プロセスが先行する。短絡が検出されるとき、アーク電流は低減され、次に、第1急傾斜、次にさらに緩やかな傾斜を持つピンチ・パルス・プロファイルに沿って増加することが可能にされる。短絡が「ネック」又はブレークする用意ができたとき、通常はdv/dt検出器である予測回路(premonition circuit)が駆動される。次に、アーク電流がスパッターを低減するように低いレベルに減少させられる。これは、その短絡を終了させ、滑らかな表面張力移送を供給することから、短絡は、実に、金属をワークピースへ移動させるための優れた手順である。アーク又はプラズマ状態が存在するとき、本発明のプラズマ・ブースト・パルスは、その溶接機によって出力される。これは、パルス溶接法において短絡をクリアするための実際の手順であり、本発明の他の進歩と組み合わせた場合、新規である。
【0012】
本発明に従って、前進する電極とワークピースとの間の電圧駆動電流によってパルス溶接法を実施するための電気アーク溶接機が提供される。その電流は、電圧又は電流調整によって制御され得る。その溶接機は、前進する電極とワークピースとの間における短絡の発生において短絡信号を生成する短絡検出回路及び短絡の検出後にプラズマ・ブースト・パルスを生成するブースト回路を含む。本発明の望ましい実施形態において、短絡信号の後でありプラズマ・ブースト・パルスの前にアーク電流を増やす標準の短絡クリア回路がある。これは、そのプラズマ・ブースト・パルスの前に短絡を除去する。そのプラズマ・ブースト・パルスは、一般的な1.0‐20KWの範囲、さらに詳しくは10‐15KWの範囲において調節されるパワーを有する。そのプラズマ・ブースト・パルスは、一般的な0.2‐5.0msの範囲にある持続時間を有する。本発明は、金属有心又はフラックス有心電極などの有心ワイヤ電極で溶接を行う場合に非常に役立つ。
【0013】
本発明の他の態様によると、プラズマ・ブースト・パルスは、パルス溶接法を構成する波形を生成する通常の波形生成器における中断の間に起こる。
【0014】
本発明のさらに他の態様によると、そのパルス溶接法のプラズマ・ブースト・パルスを生成するブースト回路は、また、そのプラズマ・ブースト・パルスに続く制御されたバックグラウンド電流の生成も含む。このバックグラウンド電流は、通常、そのパルス波形のバックグラウンド電流とは異なり、そのパルス溶接法において次に生成されるパルスまで継続する。その生成されるバックグラウンド部分の端は、標準のパルス波法を開始するためにタイマーをリセットする。そのバックグラウンド部分は、いくつかの場合において、その溶接法の出力アーク電圧からの電圧フィードバックによって調節可能である。特定のプラズマ・ブースト・パルスの間に生成されるアーク電圧は、その特定のプラズマ・ブースト・パルスの後に続くバックグラウンド部分を制御する。
【0015】
本発明の他の態様によると、前進する電極とワークピースとの間における一連のパルスによってパルス溶接を行う方法が提供される。当該方法は、その電極とワークピースとの間において短絡を検出し、次にその短絡の後にプラズマ・ブースト・パルスを生成するステップを含む。望ましい実施形態によると、そのプラズマ・ブースト・パルスは、その短絡が、標準の技術に従ってクリアされた後に起こる。
【0016】
本発明のさらに他の態様によると、定義された形状又はプロファイル(高電流パルス及びバックグラウンド部分を持つ)を有するプラズマ・ブースト・パルスは、望まれる計上のプラズマ・ブースト・パルスが、そのパルス溶接法の標準のパルス間で生成されるように、実際の溶接法の部分として取り入れられる。この方法において、プラズマ・ブースト・パルスは、電極の端を事前に加熱し、液滴をパドルへと移動させる次のパルスに対する液滴を生成する。これは、ニッケル合金又はチタン合金などの非鉄金属を使用するGMAWパルス溶接法において使用することができる。FCAW-G及びFCAW-Sワイヤなどの金属有心ワイヤを含む有心ワイヤは、この溶接法で使用することができる。その溶接法において高電流パルスの各々の間でプラズマ・ブースト・パルスを使用することによって、ワークピースへ向かって前進する電極の端の溶融の間にパドルを押し出す高いアーク力が生じる。これは、そのプロセスにおいて次のパルスが生成されるまで、そのワークピースへ溶融金属を移動させることなくその電極の溶融を可能にするための躊躇時間を与える。本発明のこの態様は、そのパルスの感知された電圧が、挿入された波形のバックグラウンド部分を適応的に調整するために使用されるように修正することができる。
【0017】
本発明は、電気アーク溶接及びそれを使用する方法に関し、本発明は、入熱を低減し、増加した移動速度で速いフォロー特性を改善するように短いアーク長(約23‐25ボルト未満)が望ましいパルス溶接手順を実施する。本発明を従来型のパルスMIG技術に取り入れて使用することによって、短いアーク長及び低電圧で作動するときの安定性が促進される。それは、また、短絡がクリアされた後に溶接電極及びパドル表面の、信頼できる一貫した分離も保証する。この手順は、操作手順の幅広い範囲を通してリズム及び安定性を拡大する。本発明は、増加した移動速度で溶接パフォーマンスを改善するために低電圧及び、従って、短いアーク長が望まれる、ロボットによって実施されるタイプの高速自動溶接に対して開発された。しかし、本発明は、低減された入熱が望ましい半自動化された応用に対して使用される。本発明を使用するパルス波形は、より長いアーク長に対して調節することができ、従来型のパルス技術と同様に実施される。しかし、本来の利点は、短絡がより多い場所に低電圧を使用することによって得られる。
【0018】
本発明は、低電圧で安定性を改善することによって、高い移動速度での溶接を改善する。本発明によると、短絡は、標準の技術に従って検出されクリアされる;しかし、その短絡がクリアされた後に、プラズマ・ブースト・パルスが生成される。プラズマ・ブースト・パルスは、定められた期間において、定められた振幅に出力をパルス化することとして記載することができる。プラズマ・ブースト・パルスは、出力電流電圧、パワー又はボルト/アンペア傾斜レベルの出力として定義することができ、望ましい実装ではパワーレベルを使用する。このプラズマ・ブーストは、0.2‐5msの間継続する1.0KW‐20KWのパワーレベルとして定義される。実際には、そのプラズマ・ブースト・パルスは、0.2‐0.5msの間で、10‐15KWに対して設定される。プラズマ・ブースト・パルスの概念は、一定時間の間維持されるパワーレベルに基づくエネルギーである。このパルスを得る方法は、変化し得る。この高電流プラズマは、短絡の分離の直後にアーク力を増やすように働く。そのブースト・パルスによって生成されるアーク力における増加は、パドルを電極から押し出し、それによって、他の短絡は、同じサイクルの間に起こらない。そのプラズマ・ブースト・パルスは、その電極の端を加熱し、そのパルス溶接法の次のパルスによって転送される次の液滴となる溶融金属液滴を生成する。その短絡がクリアされ、プラズマ・ブーストがアーク力を増やし、電極の端を加熱した後に、通常のパルス溶接法が継続する。そのパルス溶接法の残っている低バックグラウンド電流は、その液滴が、次のパルスがその形成された液滴をパドルの中へと移動させる前に、そのパドルにより近く押されることを可能にする。本発明は、短絡状態が標準の短絡クリア手順を使用してクリアされた後に、電流、電圧又はパワープラズマ・ブースト・パルスに対して備えることを含む。これは、溶接パドルを安定化し、安定した作動が低電圧でも可能であるように、通常のパルス溶接法の即時の再開を可能にする。
【0019】
本発明は、また、浸透が低減されなければいけない半自動化された応用においても使用され、高い移動速度が必要とされる金属有心ワイヤに対して実質的に有利である。それは、また、フラックス有心ワイヤを使用したパルス溶接にも適用されている。金属有心ワイヤが使用される場合、コアにおいて効果的な量の硫黄が、特に、金属有心ワイヤを使用した場合に本発明の動作を改善することが決定されている。実際には、硫黄は、そのワイヤの重量の0.010‐0.030パーセントの範囲にあり、望ましくは、そのワイヤの重量の0.012‐0.023パーセントの範囲にある。
【0020】
本発明の利点は、パルス溶接法のパラメータが、実際に短絡イベントを促進するように設定することが出来ることである。そのようなプロセスにおいて、ピークへの遷移は、液滴の形成を素早く開始するために速い。そのパルス・ピーク時間は、その液滴が、ピーク電流の間に電極から完全に離れないように、低減される。アーク電流のバックグラウンドへの転移は、それが上昇し、液滴へ向かって進むことを可能にするようにパドルにおいてアーク力を素早く減少させるために速い。出力電流は、その液滴が、電極とワークピースとの間で橋渡しをすることをさらに促すように実際のバックグラウンド・レベルの下に下げられる。その周波数は、その液滴サイズを小さく保つように高く保たれる。液滴が、その電極からパドルへと橋渡しするとき、その短絡応答は、その短絡をクリアし、プラズマ・ブーストは、ワイヤの端において次の液滴を生成し、パドルを電極から追い出す。
【0021】
パルス溶接法の各パルス間のプラズマ・ブースト・パルスによって、中間プラズマ・ブースト・パルスと共に滑らかなパルスを促進するように移動している溶接パルスを有するリズムが設立される。これは、増加した電圧がより低いスパッターをもたらす従来のパルス溶接法において得られるよりも低いスパッターを可能にする。本発明の使用による電圧とスパッターとの関係は、従来の関係又は電圧/スパッターの動作曲線から下向きにシフトされる。如何なる電圧でも、本発明を使用すると、スパッターはより低い。
【0022】
プラズマ・ブーストの安定性が原因で、そのプロセスは、全ての液滴が短絡を通して移動させられるレベルで実行することができ、それによって、その溶接法の入熱はかなり減少する。金属を、短絡を交差して移動させる機能は、電極、すなわち単線、金属有心ワイヤ又はフラックス有心ワイヤが、短絡移動モードにおいて安定していることを示す。多くのスチール、ステンレス、アルミニウム単線などの場合において、本発明は、より短いアーク長での溶接パフォーマンスを改善することが出来る。Lincoln ElectricのMS-6及びMC-706ワイヤなどの安定した短いアーク・パフォーマンスを持つ金属有心ワイヤは、本発明から利益を得ることができる。本発明を使用して、これらのワイヤは、質の悪い備え付け状態及びより速い移動速度を扱い改善した機能を有する。これらのワイヤは、そのワイヤを金属の短絡移動の間に均等に動作させるために効果的な量の硫黄を含む。
【0023】
本発明は、特に標準のパルス波形よりも早い速度を可能にするように設計された改善したパルス溶接法である。それは、短くされたアーク長でその法を安定化することから、高速での低電圧溶接を改善する。従来の波形では、そのアーク長は、スパッターを避けるようにより長く保持されることから、移動速度を制限する。本発明において、そのアーク長は短くきつく保持され、スパッターは、その短絡サイクルの制御で避けられる。従って、より短いアークは、リズムを持つ短絡サイクルで安定化される。その短絡の処理は、スタビング(stubbing)及びスパッターを低減する。
【0024】
本発明の主な目的は、電気アーク溶接機を備えることであり、その溶接機は、短絡がクリアされた後、及び溶融金属を溶かし溶接パドルへ移動させるための次の隣のパルスの前に、プラズマ・ブースト・パルスを使用する。
【0025】
本発明の他の目的は、上記に定義されたような電気アーク溶接機を備えることであり、その溶接機は、短いアーク長及び/又はフラックス有心ワイヤの金属コアで高速で動作することが出来る。金属有心電極を使用する場合、そのコアは、高い移動速度で溶接ビードの形状を改善するために効果的な量の硫黄を有する。
【0026】
本発明のさらなる目的は、上記に定義されたような電気アーク溶接機を備えることであり、その溶接機は、高い移動速度、低電圧及び低いスパッターによって、ロボット及び他の機械化された溶接機構における自動溶接に対して主に役立つ。
【0027】
本発明のさらに他の目的は、不慮の短絡がクリアされて、次に、約0.1‐5.0ms、望ましくは1.0ms未満の短い時間の間、約1‐5KWから20KWなどの高パワーを有するプラズマ・ブースト・パルスが続くパルス溶接の方法を備えることである。
【0028】
本発明のさらなる目的は、パルス溶接に対する電気アーク溶接機及び前記溶接機を操作する方法を備えることであり、その溶接機及び方法は、より速い移動速度、より短いサイクル時間、時間単位でのより高い生産量、及び特にロボットによる自動パルス溶接に対する増加した生産性を提供する。
【0029】
本発明のさらなる目的は、上記に定義されたように、溶接機及び方法の提供であり、その溶接機及び方法は、厚さが1.5‐4.0mmの範囲にあるプレートなどのスチールにおける速い溶接を、溶接スキップ、アンダーカット又は高いスパッター・レベル無しで実施する。その溶接機及び方法は、減少したスパッターおよび色あせたビード・プロファイルで、より低いアーク電圧(より短いアーク長)で優れたアーク安定性を提供し、それによって、移動速度を増加させる。
【0030】
本発明のさらなる模範的な実施形態において、溶接機及び溶接の方法が提供され、それらは、溶接の中への入熱を維持すると同時に溶接の溶着速度においてさらなる増加を与える。その溶接機及び方法の様々な模範的な実施形態は、その溶接法の移動速度を増加させるステップ、コンタクトチップ・ワークピース間距離(contact‐tip‐to‐work‐distance(CTWD))を増加させる一方、目に見える電極の突出を維持するステップ、上記に記載されたような溶接波形を採用するステップ、及び増加した溶着速度に対して適切な構成を有する電極を採用するステップを含む。
【0031】
これら及び他の目的及び利点並びに特徴及び実施形態は、以下の記載、付属の図表及び/又は請求項から明らかになるであろう。
【0032】
本発明の上記及び/他の態様は、付属の図表を参照して本発明の模範的な実施形態を詳しく記載することによってより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】従来技術に従って、パルス溶接法を実施するための電気アーク溶接機を示すブロック図と配線図とを組み合わせた図である。
【図2】従来技術のパルス溶接法の電圧曲線及び電流曲線を示したグラフである。
【図3】図1に示された電気アーク溶接機における様々な位置の信号を示したグラフである。
【図4】本発明において使用されるコア及び外側のシールドガスを持つ電極の拡大された部分的な断面図である。
【図5】図4と同様に、自己シールドコアを持つ、本発明において使用可能なフラックス・有心電極を示した図である。
【図6】図4及び図5と同様に、図1の従来技術の電気アーク溶接機において通常使用されるような外側のシールドガスを持つ単線電極を示した図である。
【図7】本発明の望ましい実施形態に従ってパルス溶接法を示す電圧曲線及び電流曲線のグラフであり、その溶接法における様々な段階での電極及びワークピースの図的記述を含んだグラフである。
【図8】図7に示されたパルス溶接法を実施するための電気アーク溶接機を示すブロック図と配線図とを組み合わせた図である。
【図9】図8に示された電気アーク溶接機における様々な位置での信号を示すグラフである。
【図10】本発明の望ましい実施形態に対する追加を含み、この追加によって実施される様々な段階の図的記述を含む、パルス溶接法の電圧曲線及び電流曲線を含むグラフである。
【図11】図10に示されたパルス溶接法を実施するための電気アーク溶接機のブロック図と配線図とを組み合わせた図である。
【図12】図11に示された電気アーク溶接機における様々な位置で信号を示すグラフである。
【図13】バックグランドが適応的に調整された図10‐12に示されたパルス溶接法における守勢の電圧曲線及び電流曲線を持つグラフである。
【図14】図13に示された適応的な手順を実施する電気アーク溶接機のブロック図と配線図とを組み合わせた図である。
【図15】図13と同様に、溶接法の適応的特徴を示すグラフである。
【図16】パルス溶接法の各パルス間のプラズマ・ブースト及びバックグラウンド部分を取り入れているパルス溶接法の電圧曲線及び電流曲線を含むグラフである。
【図17】図16に示されたパルス溶接法を実施するための電気アーク溶接機を示すブロック図と配線図とを組み合わせた図である。
【図18】図17の電気アーク溶接機における様々な位置での信号を示すグラフである。
【図19】図20及び21において説明されたパルス溶接法を実施する電気アーク溶接機のブロック図と配線図とを組み合わせた図である。
【図20】図19に示された溶接機における様々な位置での信号を示すグラフである。
【図21】図19に示された溶接機及び図20に示された信号を使用した波形の図解である。
【図22】短絡を保証するようにパルス溶接法の制御を用いて本発明を使用することによって得られる波形の図解である。
【図23】図16‐18に示されたような溶接機を試用した場合の実際の波形を示す電流曲線である。
【図24】contact‐to‐work‐distance及び突出(stickout)を示す溶接動作の図解である。
【図25】本発明の実施形態による溶接パルスの他の模範的な図解である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図をここで参照する。それらの提示は、本発明の模範的な実施形態を示す目的だけのものであり、それらを限定することを目的としない。図1‐3は、図2に示されるようなパルス溶接法を実施する従来技術の電気アーク溶接機Aを示す。その従来技術は、本発明を実施するのに使用される構成要素は、電気アーク溶接機における標準の構成要素と根本的に同じであることから示されている。他の溶接機構造も使用され得るが、模範的な構造は、オハイオ州クリーブランドのThe Lincoln Electric Companyによって開発されたような波形技術によって制御される溶接機である。波形技術に関連する多くの特許のうち2つは、本文献に背景情報として取り入れられるBlankenshipの米国特許第5,278,390号及びFulmerの米国特許第6,498,321号である。このタイプの溶接機において波形生成器は、パルス溶接法において使用される波形のプロファイルを生成する。電源は、複数の電流パルスを使用することによって、及び18kHzを超える高周波数で、その波形生成器から決定される形状に従ってパルスを生成する。このタイプの技術は、正確なパルス形状を如何なる望ましい溶接法に対しても生成する。本発明は、溶接機を使用した波形技術の使用に関して記載されるが、本発明は、より幅広く、SCRで制御される溶接機及びチョッパーに基づく溶接機などの他の溶接機において使用してもよい。
【0035】
図1に示される電気アーク溶接機Aは、図1における様々な位置で示される複数の動作信号で図2における曲線によって及び図3における対応する数字によって示される標準のパルス溶接法を実施するために使用される。本発明の模範的な実施形態に取り組む前に、図1‐3に示される従来技術に関するような本発明の背景が考慮される。電気アーク溶接機Aは、電極EとワークピースWとの間でパルス溶接法を生成するために出力リード12、14を持つ高速スイッチングインバータの形において電源10を有する。電源10は、3段階入力として示される、適切なパワー供給装置16によって駆動される。そのパルスのプロファイル及びそのパルス溶接法を構成する分離するバックグラウンド電流は、標準の技術に従って、波形入力18における信号によって決定される。電流シャント22は、その溶接法のアーク電流をライン24によって、フィードバック制御ループに対して使用されるアナログ出力部28を有する電流センサー26へと繋ぐ。同様の方法で、リード30、32は、そのアーク電圧を、検出出力部36及びレベル又は振幅出力部38を有する電圧センサー34へと繋ぐ。その検出出力部は、電圧のレベルが電極EとワークピースWとの間の短絡の間に降下する場合に表示する。レベル出力部38は、その電極及びワークピースを交差するアーク電圧を表わす信号を有する。電圧検出出力部36は、図3に示されるように、信号3を出力する出力部42を有する短絡応答回路40へと方向付けられる。短絡がある場合、標準の技術に従ってライン42において検出信号がある。波形生成器50は、その溶接法を実施するように特定の波形でロードされる。この波形は、図3に示される、信号2として表示される。タイマー52は、ライン54によるタイミング信号を、その溶接法を構成する個別のパルスを開始することを目的として、波形生成器へと方向付ける。生成器50は、また、ライン28、38からのフィードバック信号も有し、その波形生成器の設定プロファイル及びその電極とワークピースとの間に存在するプロファイルに従って電圧及び電流を制御する。電源10によって出力されるべき波形は、ライン56における信号2である。この信号は、信号4に対して出力部62を有する加算接点(summing junction)の入力部又は加算器60に接続される。この信号は、従来技術の溶接機Aにおいて、電源10の入力部18に方向付けられる実際の信号である。溶接機Aによって実施される溶接法は、図2に示されており、電流曲線100がバックグラウンド電流部分104によって分離された間隔が空いた一連の電流パルス102を有する。電圧曲線120は、ライン30、32の間の電圧であり、曲線100のアーク電流と相関性があるアーク電圧を構成する。ピーク電圧は、ピーク電流102を適用した結果である。曲線120の低い平均電圧は、短絡しているか又は約6.0ボルトより下の高い瞬間アーク電圧平均が原因である。短絡があるとき、アーク電圧120は、ポイント122によって表示されるように急落する。この電圧急落は、電極とワークピースとの間の溶融金属の短絡を表示する。それが起こる場合、クリア手順が、ライン56における波形形状を無効にする。ポイント122での短絡の検出において、高電流が、その電極とワークピースとの間に、図2に示される斜面106に沿って印加される。実際には、この斜面は急であり、部分108によって表示されるように緩やかになる。その短絡が、増加した電流によってクリアされるとき、標準の技術に従って、曲線120の電圧は、即時にプラズマ又はアーク状態に再び切り替わる。これは、ライン110に沿って電流の導出又はリカバリーを起こす。ひき続き、短絡がある場合、アーク電流は、増加した電圧によって表示されるように斜面106及び斜面108に沿ってその短絡がクリアされるまで増加する。この短絡の除去は、短絡応答回路40の出力を停止する。溶接機Aの操作は、図3に示されるように信号2、3、4、7、及び9によって開示される。信号7は、ライン36において感知された電圧である。通常の状況下で、電圧120は、波形生成器50によって決定される形状及びタイマー52によって決定される間隔を有する複数の間隔が空けられたパルス130を含む。ポイント122で短絡がある場合、その電圧は、ライン132に沿って急落する。これは、ライン142における出力を生するパルス140を起こし、その出力は、信号2に加えられる電流曲線100に対する斜面106に一般的に一致する信号142の形にある。波形生成器50の出力は、図3に示される波形信号150を構成する信号2である。ライン62における加算接点60の出力は、ライン62における信号4として示される信号2及び3の加算である。斜面142が、電極EとワークピースWとの間の出力が、インバータ・タイプ電源10を制御するライン18における信号であるように、波形150に加えられる。これは、電極の素早い動作を減らされたアーク長及びスパッターで与えるために、本発明によって改良された標準の従来技術の溶接機を表わす。
【実施例】
【0036】
本発明を使用することによって、パルス溶接法は、26‐27ボルトよりも高い範囲にあるアーク電圧を持つ高電圧法から、アーク電圧が25ボルト未満、具体的に17‐22ボルトの一般的な範囲にある低電圧法へと切り替えることができる。本発明を使用することによって可能になったこの低電圧のために、アークは、約0.20‐0.20の下の非常に短いアーク長で安定している。約22ボルト及び200アンペアでは、そのアーク長は、約0.15インチの90%アルゴン及び10%CO2のスチール・ワイヤである。これは、より速い移動速度を可能にする一方で、いまだに適切なビード・プロファイルを維持する。アルミニウム又はステンレススチールなどの他のワイヤを使用してもよい。本発明に使用される3つの異なる電極は、図4‐6に示されている。図4において、有心電極200は、その矢印の方向に進められ、外側のスチールシース202及び溶接ビードにおいて望まれる溶接金属を供給するために必要な合金物質又は他の合成物から形成される内側のコア204を含む。アーク又はプラズマACが、電極とワークピースWとの間に生成されると、シールドガス206が、そのアークを大気汚染物から保護するためにそのアークの周りに方向付けられる。アーク長xは、0.30インチ未満の長さであり、17‐22ボルトの一般的な範囲にある電圧によって生成される。このタイプの電極は、本発明における使用に非常に適している。他の有心電極は、電極210が外側シース212及び内側のコア214を有する図5に示されている。この電極は、コア214の構成物が、フラックス剤及び他の構成物を、溶融金属がそのアークを通ってワークピースWへと移動させられる際にそのアークを保護するように供給する自己シールド電極である。この場合もまた、この有心電極は、過去の有心電極がパルス溶接に対して上手く利用されてきていない本発明を実施する際に役立つ。図6は、シールドガス222を持つ単線電極220を示す。このタイプの電極は、通常はMIG溶接、特にパルス溶接に使用される電極である。本発明を使用することによって、電極200、210及び220が、ここでパルス溶接に使用することができる。従って、本発明は、パルス溶接において有心電極の冶金学的及び物理的特性をうまく利用する。STT溶接に対する有心電極の利点は、本文献において背景情報として取り入れられるStavaの特許文献10において考察される。本発明は、有心電極による溶接法に対する電圧範囲が拡張されるように低電圧を供給することから、有心電極を使用することができる。図6に示されるような単線を使用する場合、本発明の低電圧は、ワイヤがより速く移動することを可能にする。本発明を使用することによって、図4‐6に示される全ての電極は、溶接法の受容に従って使用することができる。過去において、高アーク電圧は、全タイプの電極の効果的な使用を防止した。本発明は、非常に低いアーク電圧を可能にすることから、そのアーク長は小さく、溶融金属は、しばしば、ワークピースを短絡によって移動させる。このプロセスは、有心電極、特にパルス溶接に非常に適切な金属有心電極を使用する。実に、約0.010から0.030の硫黄をそのコアに持つ金属有心電極は、本発明のプラズマ・ブースト・パルス概念の一般的な利点を得る場合に極度に効果的であることが証明されている。ワイヤ電極、オハイオ州クリーブランドのThe Lincoln Electric Companyによって販売されている金属シールドMC6及びMC7は、バランスCO2ガスを持つ75‐95%アルゴンがシールドガスであるプラズマ・ブースト・パルスを使用する方法を用いた使用に対して有利であることが証明されている。これらのワイヤは、E70C-6M指定に適合する。他の金属有心電極及び自己シールド有心電極は、本発明に従って実施される法において得られる低電圧、低アーク長を上手く利用している。
【0037】
本発明の模範的な実施形態は、図7において最も良く示されるパルス溶接法を生成する図7‐9において説明される。電流曲線300は、波形生成器50の出力によって決定されるバックグラウンド部分304によって分離された間隔が空いたパルスを含み、それらのパルスはタイマー52の出力によって間隔が空けられる。当然のことながら、タイミングは、その波形生成器のプログラムに内蔵することができる。バックグラウンド電流304は、溶融金属Mが形成され、その溶融金属溶接パドルにおけるワークピースに溶着された後にそのアークを輝いたままに保つために使用するためにパルス302の間に供給される。電圧曲線310は、短絡検出ポイント312及び短絡クリアポイント314を含む。曲線300は、図2に示される従来技術の部分106及び108にそれぞれ対応する部分306及び308を生成するための通常の高電流クリア・ルーティンを示す。本発明は、ブースト・パルスがアーク状態又はプラズマ状態の間に生じるように、望ましくは短絡クリアポイント314の後にプラズマ・ブースト・パルス320を供給することを含む。実際には、このプラズマ・パルスは、波形生成器50からの出力の中断の間に生成され、電源10の入力18で生成器の出力に代入される。プラズマ・ブースト・パルス320は、5‐20KW、他の模範的な実施形態では約10‐15KW未満の一般的な範囲における調整されたパワーである。アルミニウムに対して、そのパワーは、1.0KWほども低くてもよい。このパルスは、一般的に5.0ms未満、及び他の実施形態では0.2‐0.5msの範囲にある時間距離yを有する。本発明の実施では、その時間は、0.3msである。パルス320は、ピーク部分322の端で終了し、アーク電流がバックグラウンド電流レベル304に下がる電流減少部分へ入る。模範的な実施形態において、この電流における減少は、プラズマ・ブースト・パルスが5.0msの前に終了するように長い立ち下がりエッジ324(trailing edge)及び一般的に緩やかな導出部分326である。そのプラズマ・ブーストの動作は、図7の上部の図的記述I‐VIにおいて描かれている。電極Eは、溶融金属Mが位置Iで示されるように形成している間に、ワークピースWへ向けて前進する。その電極とワークピースとの間の電流は、次にパルス302のピークに増やされ、電極Eの端がさらに溶けて溶融金属球302を生成するようにする。ピーク302の動作は、位置IIにある。ワークピースWは、電極EとワークピースWとの間のアーク力によって捕獲される溶融金属パドルPを含む。位置IIの後に、通常のパルス溶接において、その電極Eの端の溶融金属Mは、そのプロセスのバックグランド部分304の間にアークを通ってパドルPへと移動させられる。次に、そのプロセスは、位置VIに示されるように繰り返される。電極Eと溶融金属MによるパドルPとの間の短絡は、通常のパルス溶接動作の一部として形成されない。短絡が位置IIIで示されるように起こる場合、そのアーク電圧は、ポイント312で急落する。その短絡は、次に、高電流クリア・ルーティン又は部分306、308によって表わされるシーケンスを開始し、位置IVに示されるように溶融金属Mを電極Eからネックオフ(neck off)し分離する。次に、本発明の実施形態が実施される。ポイント314における電圧の急上昇によって表わされる短絡のクリアにおいて、プラズマ・ブースト・パルスが出力される。そのプラズマ・ブースト・パルスは、位置Vに示されるように、パドルPを電極Eから押し出す。この高いアーク力は、溶融金属Mと溶融パドルPとの間の分離を保証するためにパドルPを大幅に空洞化する。これは、次にパルス302の後まで初期の短絡がないことを保証する。位置Vに示されるようにパルス320の後に、低いバックグラウンド電流部分304が波形生成器50によって実施される。これは、ワークピースWのパドルPが、そのキャビテーション(cavitation)が位置VIで示されるような方法で減らされるように、休止することを可能にする。位置Vに示されるように本発明を使用することによって、実質的により大きな間隔又はギャップGが、電極Eの端とワークピースWのパドルPとの間で供給される。この大きいギャップは、そのネッキング及び短絡の破裂に続くプラズマ・ブースト・パルスの結果である。本発明は、より低い電圧、より速い動作及び低いスパッターで均等な溶接ビードを可能にする。アーク力によるギャップの生成は、短絡がクリアされていることから、その電極の直下でパドルにおける溶融金属の形状を制御する。位置Vは、パルス溶接動作における短絡に続くプラズマ・ブースト・パルスを使用することによって得られる利点を表わす。短絡をクリアし、且つ位置Vに示される大きなアーク力キャビテーションの中へそのパドルを押し込むために、プラズマ・ブースト・パルスだけを使用することが可能である。しかし、これは、スパッターを増やすことがある。従って、短絡のクリアが好ましい。短絡がクリアされ、高パワープラズマ・ブースト・パルスが続くことから、その短絡イベントは、そのパルス溶接法においてもはや破壊的ではない。後に示されるように、定期的な短絡の存在は、有益であってよく、確実にそれほど有害ではないとされている。
【0038】
プラズマ・ブースト・パルスを用いるパルス溶接法は、図8に示される電気アーク溶接機Bによって実施される。図1に示される溶接機Aにおいて使用されるような同じ機能的要素が、同じ数字及び同じ信号で溶接機Bにおいて使用される。本発明を実施するために、溶接機Bは、ライン352において開始中断信号を有するプラズマ・ブースト・プロファイル回路350を備え、その短絡は、図7におけるポイント314においてクリアされる。ポイント314に達したとき、ライン352における信号は、ライン362によってタイマー360に伝えられる。これは、タイマーが中断時間を生成するのを開始させる。ライン362におけるこの中断信号は、タイマーがそれの設定時間まで進むまで続く。ライン362におけるタイマー360からの信号は、プラズマ・ブースト・プロファイル回路350が動作する間の中断の期間を設定する。出力部354は、ライン364における中断信号が、ライン364における中断信号が通常の接触部372及び中断接触部374からスイッチ370をシフトするときの中断の間にブースト・パルス・プロファイルを処理する。タイマー360が、5接触部473で中断位置においてスイッチ370を保持するとき、プラズマ・ブースト回路350は、ライン354におけるプロファイル信号を、タイマー360がライン364における信号を与える限り、出力する。このプロファイルは、図7に示されるプラズマ・ブースト・パルス320である。当然のことながら、スイッチ370は、加算接点60の出力部62から中断位置へ、回路350が信号5として示されるプロファイルを処理する間にシフトするデジタルソフトウェアスイッチである。この信号は、電源10の入力部18へ方向付けられる。様々な信号が、図9において図3における信号に対応する数字で示されている。新しい信号5、6、10、及び11は、図9の下部に示され、時間の軸で他の以前記載された信号とともに示されている。短絡がクリアされるとき、短絡応答回路40は、ライン352においてパルス380である信号10を生成する。このパルスは、タイムアウト位置384を有する斜面信号382であるタイミング信号11を開始する。タイマー360が時間を計っている限り、中断信号390は、ライン354におけるプラズマ・ブースト・プロファイルが電源10によって処理される間に維持される。パルス390によって表示される中断及び信号出力の間に、入力ライン18における制御電圧は、信号6として示されるパルス392に形にある。実際に、それは、生成される如何なるスパッターも最小限にする低電流で短絡が形成されるとき(図7におけるポイント312)に、有益である。その短絡の断面は最小であることから、短絡斜面による電流における最小の増加だけが、その短絡をクリアするのに必要である。その短絡は、比較的低い電流でクリアし、その結果、その短絡の解放によって最小限のスパッターが生成される。
【0039】
図7‐9に示されるように本発明を使用することによって、プラズマ・ブーストは、通常の短絡クリア・ルーティンが、標準の実施に従って短絡応答回路40によって実施された後に供給される。本発明の幅広い態様によると、そのプラズマ・ブースト・パルスは、短絡クリア・ルーティンを置き換えることができる。しかし、これは、本発明の1つの模範的な実施であるのみである。波形生成器50からの標準のパルス・プログラムは、短絡イベントを改善し、そのイベントが破壊的でないようにその短絡に対する応答を改善するように修正することができる。これらの修正は、パルス302のリードする端において低いバックグラウンド電流から高いピーク電流への速い転移を含む。これは、その出力を、電極の端における液滴の溶融を開始するように、遷移電流の上のレベルに迅速に増やす。次に、パルス302の高いピーク電流から低いバックグラウンド電流304までの迅速な転移が供給され得る。これは、液滴とパドルとの間のアーク力を迅速に減らす。このアーク力が除去されると、そのパドル及び液滴は、簡単に短絡し得る。そのピーク電流からバックグラウンド電流302までの遷移は、初期の遷移が、バックグラウンド電流をわずかに超える場合、より頻繁に且つポジティブに短絡する。従って、パルス302の立ち下がりエッジは、バックグラウンド電流304のわずかに下の電流に遷移する。本発明のこの態様は、後に図22を考察するときに、より詳しく開示される。図7に示されるように、短絡応答は、始まる短絡を分離するための短絡に対する初期応答を最小化し、次に、よりハードな短絡イベントをクリアするために電流応答を増やすマルチ斜面応答である。この方法は、標準のCVプログラムを処理するときにThe Lincoln Electric Companyによって製造されたPower Wave 455において何年もの間使用されてきている。
【0040】
プラズマ・ブースト・パルス又は方法が溶融金属の一貫した分離を促すように修正されている図10‐12に示されるように、本発明の模範的な実施形態に追加がされてもよい。そのプラズマ・ブーストは、次のパルス・サイクルの間に移動させられる電極の端における溶融液滴を生成する。一度、そのプラズマ・ブースト・パルスが完了すると、標準のパルス波形が再び開始する。しかし、短絡は、パルス溶接法の各パルスに対して同時には起こらない。さらに、短絡をクリアするのに必要な時間は、1つの短絡から次までは一貫していない。その結果として、タイマー52によって決定される、次のパルスに関連して短絡がクリアする時間は、一貫していない。プラズマ・ブースト・パルスが完了する後に残っている時間は、本発明の模範的な実施形態を使用する場合、異なる。バックグラウンド電流304は、電極が、溶融金属が移動する前にパドルのより近くに移動することを可能にするように波形生成器50によって生成される波形において十分な時間を有すると推定される。この時間は、述べた理由によって1つの短絡と次の短絡とでは一貫していない。その結果として、電極の端のパドルに関する位置は、一貫していない。この一貫性を改善する方法は、電極の端が次のパルスの前に一定した距離を移動することを可能にする。本発明の基本的な方法における改善は、プラズマ・ブースト自体が処理された後に、専用のバックグラウンド時間及び振幅方法を使用する。そのプラズマ・ブースト・パルスを生成する波形は、そのパルスの後にそれ自身のバックグラウンド電流部分を含むように修正される。その結果、タイマー360は、そのプラズマ・ブースト・パルスの持続時間及びバックグラウンド電流時間及びマグニチュードを制御するのに使用される。そのプラズマ・ブースト・パルスは、図10の上部の図的記述に示されるように、パドルから一貫した距離において電極の端における一貫した液滴を形成する働きをする。次のパルスの前のこの一貫した動作を維持するために、バックグラウンド区分又は部分に対して一貫した時間及び振幅が、模範的な実施形態の改良形において使用される。この改良形は、図10‐12に示される。プラズマ・ブースト・パルスは、専用のバックグラウンド振幅及び時間を含むように拡張される。タイマー360が、ライン352において現れる短絡クリア信号で開始する時間を設定するために使用される。本発明のこの改良形によると、図11に示される電気アーク溶接機Cは、ライン354が入力部18を制御する間の中断の終わりでタイマー52をリセットするように修正される。そのリセット信号は、ライン400の信号である。その中断の間に、プラズマ・ブースト回路350は、プラズマ・ブースト・パルス部分412及び時間416で終了するバックグラウンド電流部分414を有する波形410を生成するように信号5を生成する。タイマー360がそれのタイミング・シーケンスを開始するとき、図12におけるパルス420として示される中断がある。これは、以前記載されたものと同じ中断である。タイマー52は、図12に示されるようにライン422に沿って時間を計る。位置424において、タイマー52がリセットし、生成器50の信号2において次のパルス150を開始するようにライン54において時間426で信号を出す。本発明のこの実施形態によると、溶接機Cは、タイマー360がプラズマ・ブースト波形410で導出部分414の端でその設定時間に到達するとき、ライン400においてリセット信号を生成する。このリセット信号は、図12に示される時間430である。リセット信号1は、波形410のプラズマ・ブースト部分の端における信号2のパルス150を終わらせ、図12に示される部分パルス150aを生成する。これは、次に、図12に示される信号4の次のパルス150bを開始する。中断420の間に、波形410は、ライン354における回路350によって生成される。この中断の間の波形は、プラズマ・ブースト・パルス412及びバックグラウンド電流部分又は区分414の正確なプロファイルを有する。そのバックグラウンド電流部分が電源10によって実施された直後、次のパルス150bが進められる。その結果として、短絡があるとき、正確なパルス及び導出又はバックグラウンド電流振幅及び時間がある。これは、図10に示される。スイッチ370の中断位置によるライン18における信号は、パルス部分412及びバックグラウンド電流部分414を持つ波形410である。ライン400における信号は、時間416で起こる。これは、中断の所定の波形が完了したときである。その結果、要素412、414及び416が各短絡で一貫している。その後、新しいパルス302がタイマー52によって開始される。図12に示される信号6は、電極EとワークピースWとの間の電流又はパワーのプロファイルを制御するために印加される。新しいプロファイルは、図12におけるプロファイル440である。その結果、波形生成器50の出力は、短絡の終わりで中断され、所定のパルス及びバックグラウンド電流区分が処理される。この波形の結果は、図10の位置I‐IIIにおいて示される。部分412の生成において、そのアーク力は、パドルPを押し、そうすることによって、それが電極Eの端から離れる。これは、位置Iで示される。その後に、そのバックグラウンド電流部分は、パドルPが、均等な方法で改善することを可能にする。これは、位置IIで示される。プロファイルの波形410の端で、溶融金属Mは、位置IIIで示されるように、ワークピースWへ移動する用意が出来ている。これは、各短絡の後の一貫した動作を生成する。模範的な実施形態のそのような改良形は、溶接の質を改善する一方で、短絡の終わりのプラズマ・ブースト・パルスを使用することの利点をいまだに維持する。その結果、そのプラズマ・ブースト信号は、図10におけるレベル414とは異なるレベルにある、選択された振幅及び持続期間を持つ専用のバックグラウンド部分304を含む。中断信号は、プラズマ・ブースト・パルス412を含む波形410及び専用のバックグラウンド部分又は区分414を通して維持される。タイマー52は、専用のバックグラウンド時間の終わりでリセットされる。その専用のバックグラウンド部分の間に、その波形生成器は、その中断が入力部18の制御をプラズマ・ブースト制御回路350の出力部へと切り替えていることから、無視される。
【0041】
図10‐12に示される実施形態のわずかな改良形は、図13‐15において開示されている。プラズマ・ブースト・パルスの後に電極の端に形成される溶融金属Mは、そのプラズマ・ブースト・パルスの間における一定の状態に従って変化する。その結果、そのプラズマ・ブースト・パルスの間のアーク電圧を感知するフィードバック・ループが、その専用のバックグラウンド区分414を調整するために使用することができる。そのプラズマ・ブースト・パルスの間のアーク電圧は、そのパルスの間のアーク長を表示する。このアーク長は、バックグラウンド電流部分振幅及び/又は持続期間を計算するために使用される。そのプラズマ・ブーストは、パワーの関数として定義されることから、その電圧フィードバックは、相対的アーク長を計算し、バックグラウンド振幅及び/又は持続期間を修正するために使用される。そのバックグラウンド振幅及び持続期間を適合することは、短絡の後のパドルに関する電極配置のさらなる一貫性が促される。独立した適応できる制御は、図14に示される溶接機Dに使用される。この適応可能なループは、波形410のパルス部分412の間に生じる感知されたアーク電圧に従ってバックグラウンド部分414を修正する。この第2の適応可能な制御ループのゲインは、短絡プラズマ・ブーストが次のバックグラウンド電流区分に直接影響を与えるように、設定されなければいけない。その結果、処理されている中断のバックグラウンド電流振幅及び持続期間だけが適応される。従って、電気アーク溶接機Dは、プラズマ・ブーストがアーク電圧フィードバック・ループによって制御されることを可能にする。この目的を達成するために、バックグラウンド部分414の振幅及び持続期間の調節は、電圧センサー34からのアーク電圧を表わす入力部502を有する回路500によってなし遂げられる。出力部504は、スイッチ370が中断位置374にある時間によって決定される中断の間にバックグラウンド部分を調節するために、そのプラズマ・ブースト回路とつながる。この新規な概念は、図13及び図15の比較によって最も良く説明される。図13において、そのバックグラウンド部分414(通常は電流)は、以前記載されたように、固定されたプロファイルである。図14におけるライン502からの電圧は、波形410の新しいバックグラウンド部分414aが新しいポイント416aで終了する図15の破線形態に部分414を調節する。部分414aは、パルス部分412の間にアーク電圧によって調節され、その電圧は、波形410のプラズマ・ブースト・パルス部分の間のアーク長に基本的に対応する。そうでない場合は、図14に示される電気アーク溶接機Dは、以前記載されたように、溶接機A、B及びCと同じである。
【0042】
プラズマ・ブースト・パルスの他の使用は、図16‐18に記載されている。ブースト・パルス部分602及びバックグラウンド部分604を持つプラズマ・ブースト・パルスは、図16に示されるように、曲線100、120の各パルス302間に挿入される。この方法において、プラズマ・ブースト・パルスは、電極の端を予熱し、溶融金属パドルPへ次のパルス302を移動させるために液滴を生成する。そのプラズマ・ブースト・パルスの第1区分は、その電極の端を予熱し、液滴を生成するパルスである。この予熱は、ニッケル合金及びチタンなどの非鉄金属を使用してGMAWパルス溶接において有利に使用されている。各標準パルス間のブースト・パルスのこの法において、金属有心ワイヤ及びフラックス有心ワイヤは、図4及び5に示されるように、FCAW-G及びFCAW-S溶接法を供給するために使用されている。そのプロセスは、図11に示される溶接機Cとは異なる電気アーク溶接機Fによって、その短絡応答回路40を除去し、2方向リセット・ライン608を供給することによって、実施される。プラズマ・ブースト・プロファイル回路350の出力は、スイッチ370がライン364におけるロジックによって中断位置374にシフトされるとき、入力部18へ方向付けられた固定された波形410である。このラインは、タイマー360がポイント612での設定カウントに到達するまで部分610に沿って時間を計る図18において示される信号11である。中断パルス620は、スイッチ370が中断位置374に保持されるとき、存在する。その中断は、タイマー360が開始するときの時間612で開始する。そのタイマーが時間612で開始するとき、ライン354における出力は、図18に示されるプロファイル600aを持つ波形である。タイマー52は、時間424で次のパルス150を開始し、このときに中断620を終了する。従って、中断620の間に、波形600aは、ライン354を通って入力部18へ方向付けられる。従って、信号6は、波形生成器50からの信号2とライン354における波形410に対応する固定されたパルス・プロファイル形状600bとの間で交互に切り替わる。タイマー・リセットの間の期間、その中断は、回路350からの入力部18によって電源を駆動するように処理される。従って、プラズマ・ブースト・パルス600は、電源10によって通常のパルス302の間で定期的に実施される。パワー・ブースト・パルスのこの使用の動作は、溶融金属Mが位置IとIIとの間のワークピースWに移動させられるように、電極Eが溶ける図16の上部分に最も良く示されている。そうしてみると、標準のパルス溶接技術によると、溶融金属Mは、位置IIIに示されるようにワークピースWのパドルPに移動させられる。位置IVにおいて、高パワー・プラズマ・ブーストを含む波形600は、電極EとワークピースWとの間で実施される。この波形は、位置IVに示されるパドルPのアクションを起こす。プラズマ・ブースト・パルス波形600aの固定されたバックグラウンド部分604がそのアークを通して適用されるとき、パドルPは、溶融金属Mに向けて後退し、次の移動パルス302を待機する。これは、位置Vにおいて示されている。波形600aのパルス部分は、電極の端を加熱し、次のパルスの間に移動させられる溶融液滴を生成する。この方法は、それだけで、又は図18に示されるタイミング・シーケンスと組み合わせて使用することができる。他の配置が、波形生成器50からの標準の電流パルス302の間にプラズマ・ブースト・パルスを挿入するのに使用されてもよい。溶接機Fは、図14にオプションとして示されるように溶接機Dのバックグラウンド調節特徴を有し得る。波形600aの導出は、固定されているのが望ましい。電圧又はアーク長からの適応的フィードバックは、選択的である。
【0043】
図23は、プラズマ・ブースト・パルスが標準のパルス溶接法の各パルス間で生成される新規の法の実際の実施の電流曲線である。ポイント901での短絡は、各パルス900の後に起こる。この短絡は、パルス900のピークではないが、減衰部分902の後である。その短絡は、電流ハンプ(hump)904を生成するようにパドルのリズム運動によって自然にクリアされる。これまでに説明された限り、その短絡クリア・ルーティンが電流を増やす前に減衰が存在する。その短絡が、その減衰が終了する前に自然にクリアする場合、クリア電流の増加はない。従って、その短絡は、しばしば、短絡クリア電流のラッシュ(rush)がある前にポイント912でクリアされる。このポイント912における第2信号は、図9に示されるように信号9におけるパルス140の立ち下がりエッジである。その第2信号が電圧感知装置34から生成されるとき、その短絡はクリアされ、プラズマ・ブースト・パルス930が生成される。その回路における固有の時間遅延が原因で、そのポイント912の第2信号とパルス930の開始との間にわずかな時間遅延がある。その後、バックグラウンド電流932が次のパルスへと続く。クリア電流の前のわずかな遅延は、図9におけるパルス142の生成の前であるが、その短絡の間にその遅延は、その短絡を自然にクリアするための時間よりも長くてよい。その短絡が、その遅延が終了する前にクリアされる場合、その溶接機は、それの固有の遅延920と共に直接プラズマ・ブーストの中へと行く。パルス900の間に、形成されるアーク・エネルギーを増加させ、電極の端から伸びる溶融液滴を押しつぶすように、電流が突然増加する。時間Rの間、そのパルスは、その溶融パドルを押圧するプラズマ力を緩めるように減らされる。これは、そのパドルがその液滴へ向けて上昇することを可能にする。ポイント910で短絡があるとき、その液滴は、そのパドルに接触している。ポイント912で短絡が終了するとすぐに、なだらかなプラズマ・ブースト・パルスが、そのパドルを押し離し、電極端部を調整する。これは、その端部及びパドルからの金属の信頼できる分離を確実にし、そのサイクルの安定したリズムをもたらす。クリア電流の前の遅延は、短絡がクリア電流ではなくそのリズムによってクリアすることを可能にする。それが遅延の間にクリアしない場合、標準の電流クリア・ルーティンが実施される・ポイント912における第2信号は、その短絡が、自然に又はクリア電流のどちらによってもクリアされていることをコントローラに報告する。次に、プラズマ・ブースト・パルスが出力される。これは、図16‐18における溶接機の実際の動作である。
【0044】
異なる短絡クリア・ルーティンを持つプラズマ・ブースト・パルスを含む波形を使用することは、本発明の他の態様であり、図19‐21に示されている。溶接機Hは、図11において、入力部702及び出力部704を持つ標準の予測回路700の追加と共に開示されている溶接機Cに似ている。その出力におけるロジックは、センサー34からのアーク電圧のdv/dtが短絡のクリア・ルーティンの間、遅れている短絡を表示する所定のレベルを超える場合に表示する。dv/dt回路は標準であり、その短絡がブレークしそうであるという信号を送る基準値に等しいか又はそれよりも大きい傾斜を検出する。この回路は、ライン352における信号が、図21に示される波形710のアーク部分712を終了し、プラズマ・ブースト・プロファイル回路350の出力部354におけるプラズマ部分714を開始するように、短絡応答回路40を停止する。予測回路700の出力704は、溶接機Hの多数の信号の1つは図20に示されている、信号12におけるパルス720として示される。図20における様々な番号が付けられた信号は、図19に使用された番号に対応する。溶接機Hは、図20に示される信号を生成し、それらの信号は、溶接機Cに対して図11に示された同様の番号がつけられた信号と根本的に同じである。溶接機Hと溶接機Cとの間の基本的な相違は、波形710の短絡クリア部分712に関連する。その短絡が、図20に示されるポイント132で起こるとき、波形710の波形部分712は、短絡応答回路40によって実施される。その波形のこの部分は異なっており、部分730によって表わされる短絡の時間における電流における即時の減少を含む。回路40は、事前に設定された時間732に対して低い電流を保ち、その後にその短絡に対するクリア・ルーティンが実施される。このルーティンは、傾斜部分734に沿って電流における迅速な増加で開始し、いくらかより緩やかな第2傾斜部分736がそれに続く。この電流の増加が、その短絡を通して行われると、その短絡は、ネック(neck)を開始し、dv/dtにおける増加をもたらす。この導関数が特定のレベルに達すると、パルス720が生成される。このパルスは、即時に、減少ポイント730でのレベルに似た低いレベルへと電流を急落させる。予測関係は、dv/dt、di/dt、dp/dt又は時間の導関数であってよい。パルス720による電流の減少は、また、図21に示される一般的な波形710の波形部分713を開始する。他の実施形態において、波形710は、短絡におけるブレークによって開始させられる。波形部分714は、導出部分742を有するプラズマ・ブースト・パルス740を含む。この導出部分は図19においてよりはっきりとしているが、様々な構成を有する。溶接機Hは、溶接機Cに使用される電圧検出器とは反対に、クリア・ルーティンの終了が、短絡の遅れた破裂によって決定される固有の短絡クリア手順を使用する。そうでない場合、そのクリア手順は、一般的に同じである。例外は、時間732の間に減少した電流部分である。金属移動ライン又は電流744は、ピーク電流よりも小さいが、プラズマ・ブースト・パルスの最大電流よりも大きい。短絡があるとき、その短絡がクリアされ、プラズマ・ブースト・パルスが、溶融金属パドルを前進する電極から押し離すように開始され、その間、その前進する電極は、次の移動のための溶融金属球を形成する。図21に示される波形710を使用することによって、短絡による金属の移動は、破壊的ではなく、有利でさえある。実に、パルス溶接法の各パルス150の後に短絡法によって移動する本発明の使用は、いくつかの利点を有することが分かっている。その結果として、本発明の改良形が開発されており、それは、パルス溶接法における短絡による金属の移動に頼る。この改良形は、本発明の新規なプラズマ・ブースト・パルスを使用し、図22に記載されている。
【0045】
短絡移動によって金属を実際に移動させることが目的で、パルス溶接法における新規なプラズマ・ブースト・パルスを通常の噴霧移動の代わりに使用することは、図22において説明されている。本発明のこの態様は、これまでに詳しく記載されている様々な電気アーク溶接機からの要素を使用する。通常のパルス溶接波形は、バックグラウンド電流部分804によって分離され、周期nを生成するように間隔が空けられたパルス802を有する曲線800として示される。各ピーク電流段階806は、通常のように噴霧移動の目的で、前進する電極を溶かすための長さ又は処理時間を有する。このアークを通して移動は、ピーク電流段階の終わりで起こり、ポイント810として示される。パルス802は、溶けるのに十分なエネルギーを有し、ワークピースへ向けて溶融金属の液滴を前進させることを目的としている。このアクションが起こらない場合、その前進するワイヤの端の溶融金属球がそのパドルの溶融金属に接触するときに、短絡が生成される。この接触は、ポイント812で表示される短絡を生成し、短絡が金属クリア・ルーティンを生成し、次に、新規のプラズマ・ブースト・パルスを、制御された第2のバックグラウンド電流と共に又はそれ無しで供給するこれまでに記載された方法を実施し、作動させる。通常のパルス溶接法と図22に示される本発明の態様との間の相違を説明することを目的として、曲線800を使用した代表的な通常のパルス溶接法のパラメータが役立つ。
【0046】
ピーク電流806は、550アンペアの値及び約2.0msの時間の長さを有する。バックグラウンド電流804は、周期nが約8.3msである一方、90アンペアのレベルを有する。これらのパラメータは、以前記載されたように、本発明が追加されるパルス溶接法を表わす。図22において、本発明は、溶融金属を移動させるために短絡状態を使用する法において使用される。この法は、本発明を使用する結果としてもたらされる静かなパドル・ダイナミクスのせいで使用することが出来る。図22の新しいパルス溶接法は、電流パルス830が、曲線800に使用された周波数の2倍に増やされた周波数で供給される曲線820によって示される。この高周波数で、パルス830間の周期mは、通常のパルス溶接法に比較するとき、約4.3msに低減することが出来る。曲線820として描かれるプロセスに対するテンプレートは、また、通常のパルス溶接曲線800からの他の改良形を有する。例えば、そのピーク電流は、475アンペアなどのレベルに低減され、1.5msの短縮された時間を有する。これらは、代表的なパラメータであるが、パルス830は、実際に溶融金属を電極から分離し、それをパルス802によって実行されるようにワークピースへ向けて前進させることを目的としていないことを示す。その結果として、ワイヤ電極がワークピースへ向けて前進すると、パルス830は、そのワイヤの端に溶融金属球を形成するのみである。図22に示される本発明の例示的な実施形態によると、ピーク段階832の後の電流の減少は、バックグラウンド電流レベル834の下からより低い電流ポイント840までである。これは、前進する溶融金属球と溶融金属パドルとの間のアーク力の量を減らす。そのパドルは、従って、その金属球が溶融金属パドルへ向けて動いていることから、その金属球へ向けて上昇する。これは、ポイント842で短絡を起こす。この短絡は、以前記載されたように検出される。本発明は、次に、波形850を生成する。この波形は、パルス部分852及び導出部分854を含む。この波形は、次のパルス830の予備となるワイヤ前進するワイヤの溶融を開始するためのアークが存在するとき、そのプラズマ部分の間に生じる。以前記載されたように、クリア回路がポイント842で始動し、2つの傾斜部分862、864を有するクリア・ルーティンを供給する。図22に開示されている本発明を使用することによって、曲線820は、より高い周波数及びパルスにおけるより低いエネルギーでそれらのパルスを供給する。パルスの終わりで始動する回路は、短絡を確実にするようにアーク電流を急落させる。従って、短絡金属移動が達成される。実際の短絡の終了に続いて新規なプラズマ・ブース波形を使用すること利点は、この新規のパルス溶接法の使用を可能にする。
【0047】
本発明の他の模範的な実施形態において、その溶接溶着速度は、以前記載された実施形態によって成し遂げることができる既に改善した溶接溶着速度よりもかなり増加させることができる。そのような模範的な実施形態が以下に記載される。
【0048】
幅広く知られているように、ほぼ全ての溶接動作において、溶接溶着速度は、溶接動作の商業的成功における重要な因子である。ほとんどの場合のように、より速いものがより良い。溶接において、増加した溶着速度を取得するための多数の方法が存在し、それらは、ワイヤ・フィード速度、及び又は溶接電極の直径を増やすことを特に含む。しかし、溶接動作においてこれらの変化のいずれを実施するためにも、電流における増加が、溶着速度の増加を促すために必要であることが知られている。この電流における増加は、いくつかの重要な欠点をもたらし、それらは、溶接するときにより高い電流を使用することにおける限定因子である。これらの欠点のいくつかは、溶接プールにおけるさらなる熱の生成及び、その溶接エリアにおいて、その溶接プールをさらに流体にすること、及び溶接貫通における増加をとりわけ含む。これらの欠点の各々は、結果としてもたらされる溶接の質の重要な劣化に至り得る。そのようにして、溶着速度を増やすことを試みる場合、溶接機は、望ましい溶着速度をその溶接の質とバランスを取らなければいけない。多くの応用は、質の高い溶接を必要とすることから、電極のサイズ及びタイプなどの溶接パラメータに基づいて、達成できる溶着速度に固有の限度がある。
【0049】
本発明の模範的な実施形態は、生産性における全体的なかなりの増加が達成できるように、溶接の質を維持する一方で溶接溶着速度におけるかなりの増加を可能にする。本発明の模範的な実施形態は、例えば、より大きい直径の電極の使用を通して、入熱における増加無しで、増加した溶着速度を可能にする一方、他の実施形態(以下においてより詳しく考察されるように)は、溶接溶着の増加した速度が達成されてもなおかつ溶接の中への入熱の全体的な減少を可能にする。
【0050】
以下の考察を目的として、当然のことながら、上記で考察された様々な溶接電力供給実施形態は、以下の模範的な実施形態と共に使用されてもよい。
【0051】
上記において手短に考察されたように、増加した直径の溶接電極を使用することによって、溶着速度における増加が可能になる。しかし、周知の溶接実施を使用することにおいて、直径における増加は、溶接電流における増加を必要とし、従って、その溶接の中への入熱を必要とする。
【0052】
例えば、以前考察された実施形態のいくつかの模範的な応用において、0.045”の直径を持つ電極を使用する場合、300アンペアの電流が、許容可能な溶接の質を約450インチ毎分(ipm)のワイヤ・フィード速度で可能にするためには必要である。これは、約12.2 lbs/hourの溶着速度と同じである。もし、そのワイヤ・フィード速度を維持する一方で溶着速度を増やすことを望んだ場合、0.052”の直径などを有するより大きい電極を使用することができる。しかし、電極直径を増やすことによって、溶接電流を300から約350アンペアに増やす必要がある。この溶接アンペア数における増加は、その溶接の中への入熱のかなりの増加をもたらし、上記で考察されたように有害であり得る。
【0053】
しかし、本発明の模範的な実施形態において、より大きい電極が、溶接電流を増やす必要なく利用され得る。従って、本発明の実施形態は、溶接エリアの中への入熱の増加による不利な効果をもたらさずに、溶着速度における増加を可能にする。
【0054】
本発明の実施形態において、増加したコンタクトチップ・ワークピース間距離(CTWD)は、周知の溶接方法よりも増加する。CTWDを増やすことによって、電極を溶かすために必要な電流は減少する。従って、より大きい電極サイズを溶かすためにより高い電流を必要とすることに対し、前進する電極を溶かすために必要な全体の溶接電流を低下させる増加したCTWDの使用が反作用する。本発明のこの態様の模範的な実施形態は、図24に示されている。
【0055】
図24において、溶接ガン装置1000の溶接端部分が示されている。当然のことながら、その溶接装置1000は、MIGタイプの溶接ガン又は類似物であり、溶接電極Eがその中を通って溶接Wへと行く。本発明は、装置1000の全体的構造及び機能に限定されない・示されるように、装置1000は、溶接電極Eが溶接Wへと通過する溶接接触先端部1030を含む。さらに、その溶接電流及び電圧である溶接波形は、その接触先端部1030を通って電極Eへと通過し、溶接動作を実施する。その接触先端部1030は、シールドガスを溶接エリアへと方向付けるように使用され、溶接ガスを抽出するように構成されていてもよいガス拡散器1050に結合されている。そのガス拡散器1050の構成及び使用は、当業者によく知られており、本文献では詳しく考察されない。
【0056】
接触先端部1030及びガス拡散器1050の周囲には、ガス・コーン(gas cone)1010がある。そのガス・コーンは、シールドガスをその溶接のエリアの周囲に方向付け集中させ及び/又は溶接ガスを抽出するために使用される。ガス拡散器1050のように、そのガス・コーン1010は、当業者によく知られている。
【0057】
本発明の模範的な実施形態において、CTWD(数字2で示される)は、通常使用されるものよりも大きい。特に、示される実施形態において、その接触先端部1030は、通常使用されるものよりも短い長さを有する。従って、CTWD(2)は、通常使用されるものよりも長い。上記において考察されたように、より長いCTWD(2)を使用することによって、溶接に対して必要とされるアンペア数は下がることから、より小さいサイズの電極の同じアンペア数でより大きい直径の電極の溶接が可能になる。本発明の示される実施形態において、接触先端部1030は、標準の接触先端部よりも短く、ガス・コーン1010は、典型的なサイズ及び構成である。これは、目に見える突出(1)が、通常知られているものと一貫していることを保証する。目に見える突出(1)を一定の距離に維持することによって、シールドガスの動作および使用は変える必要がない。さらに、溶接機は、異なる突出の長さで溶接動作を再びラーン(learn)する必要はない。
【0058】
本発明の他の模範的な実施形態において、その接触先端部1030の長さは、周知である当該技術に使用されるものと一貫しており、ガス・コーン1010の長さは、拡張される。そのような実施形態(非表示)において、同じ効果が達成される。それは、CTWD(2)が通常よりも長い一方、眼に見える突出(1)は同じままであることである。
【0059】
本発明の模範的な実施形態において、そのCTWDは、少なくとも1/2”の分、標準のCTWDよりも拡張される。例えば、3/4”のCTWD距離及び5/8”の目に見える突出が0.045”の直径を持つ電極に対して使用された場合、本発明の実施形態は、0.052”が直径の電極を使用するとき、1 1/4”のCTWD及び5/8”の目に見える突出を使用する。本発明のこの実施形態を使用することによって、溶着速度における増加が、溶接の質に不利な影響を与えずに又は溶接の中への入熱を増やさずに達成することができる。さらに、実施形態の使用は、以前必要とされていたように、同じ入熱で溶着速度の増加を可能にし、そのワークピースの中への入熱の全体的な減少をもたらす。
【0060】
本発明の模範的な実施形態において、CTWD又はその電極の突出は、1から2インチまでの範囲にある。さらに模範的な実施形態において、その突出は、1.25から1.75インチの範囲にある。
【0061】
本発明のさらなる模範的な実施形態において、修正された溶接波形が、その溶接法の間に溶接アーク・プラズマを集中させるために使用される。より長いCTWDが使用される本発明の実施形態において、その溶接アーク・プラズマを集中させる溶接パルスの間に、電流ピーク特徴を有する波形を使用することが必要であってよい。この集中は、より長いCTWDにおいて溶接アークを安定化するのに役立つ。図25は、本発明の実施形態に従って、波形における電流パルスの模範的なプロファイルを描く。
【0062】
図25に示されるように、本発明の模範的な実施形態において、波形における電流パルスは、バックグラウンド電流に比べて比較的高いピーク振幅および短いピーク幅を使用する。これらの波形特徴を有することによって、溶融液滴の移動力が増え、それは、アーク・プラズマの集中をもたらす。この波形プロファイルは、また、溶接の中心線貫通プロファイルを改善し得る。
【0063】
本発明の模範的な実施形態において、その溶接波形のピーク振幅は、ピーク‐バックグラウンド電流比が少なくとも6であるという条件を満たす振幅を持つ。本発明の他の模範的な実施形態において、そのピーク‐バックグラウンド電流比は、6から9までの範囲にある。他の模範的な実施形態においてその比は、6から8までの範囲にある。
【0064】
図25に示される比限定的な例において、模範的なパルス波形2000が、約580のピーク振幅2010及び約90アンペアのバックグラウンド電流2020を有して示されている。従って、そのピーク‐バックグラウンド比は、約6.4である。当然のことながら、本発明は、この示されている実施形態に限定されない。また、注目すべきは、本出願において以前考察されたようなプラズマ・ブースト・パルスは、簡潔さ及び明確性を目的として、この波形において示されていないことである。しかし、本発明の様々な実施形態は、上記に記載されたプラズマ・ブースト及び本発明の他の態様を、図25に示され、ここで考察されたような波形プロファイルで使用することを検討する。
【0065】
図25にまた示されるように、ピーク振幅2010の持続期間は、比較的短い。上記で考察されたように、これは、集中したアーク・プラズマを供給することにおいて役立つ。図25において示される非限定的な実施形態において、ピーク時間は約1.4msである。本出願の目的では、そのピーク時間は、パルスの開始からそのパルスのピークの終わりまでの時間の期間を呼ぶ。さらに、本出願の目的では、バックグラウンド持続時間又は時間は、そのパルスのピークの終わりで開始し、次のパルスの開始で終了する。しかし、他の模範的な実施形態において、そのピーク時間は、その溶接電力供給装置によっては、0.5msほども低くなり得る。本発明の模範的な実施形態において、そのピーク時間は、0.5から3msまでの範囲における持続時間を有する。本発明のさらなる模範的な実施形態において、そのピーク時間は、0.5から2msまでの範囲にある持続時間を有する一方、さらに他の模範的な実施形態では、そのピーク持続時間は、0.5から1.5msまでの範囲にある持続時間を有する。しかし、本発明の実施形態に対して、そのピーク時間の持続時間は、ワイヤ・サイズ及び/又は使用される溶接電力供給装置のサイズの関数であり得ることが分かっている。つまり、より大きい電極及びより大きい電力供給装置は、より高い電流ピークを達成することができることから、液滴を溶接プールの中へ移動させるためにより長いピーク時間を必要としなくてよい。本発明の様々な実施形態において、そのピーク時間の持続時間は、可能な限り短いように最小化される。これは、本発明のパフォーマンスを最適化するのに役立つ。
【0066】
本発明のさらなる模範的な実施形態において、固体又は金属有心溶接電極Wが使用され、それは、その電極において重量で0.010から0.030%の硫黄を有する。他の実施形態において、その電極は、硫黄を重量で0.012から0.023%含む。この硫黄含有量を持つ溶接電極を使用することによって、溶接プール流動性が改善され得る。
【0067】
上記において考察されたように、本発明の様々な実施形態を実施することによって、溶接操作は、高い溶着速度に通常関連する如何なる難点も抱えずに、溶接溶着速度におけるかなりの増加を達成することができる。特に、溶接溶着速度は、他の実施形態又は溶接の応用に対して33%までも高く改善できる。これは、本発明が、減少した電圧レベルでより大きい直径の電極の使用を許容するからのみではなく、その溶接動作の移動速度における増加も許容するからである。さらに、本発明の様々な実施形態は、溶接スパッター及び溶接における全体の入熱を、高い溶着速度を維持する一方で低減することができる。
【0068】
いくつかのパルス溶接機及び溶接方法が記載されてきている。様々な溶接機及び方法の特徴は、製造元及び/又はユーザーの希望に従って組み合わせるか又は除外することが出来る。1つの実施形態からのある一定の改良形は、技術的な矛盾を示さない他の実施形態において使用されることが予想されている。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年10月17日に提出された米国特許出願第11/873,794号の一部継続出願であり、該出願は、現在は米国特許第7,304,269号である米国特許出願第10/861,958号の分割出願である。
【0002】
本発明は、新規電気アーク溶接機に関し、より詳しくは、新規パルス溶接法を実施するための電気アーク溶接機及び新規アーク溶接機を使用して高溶着アーク溶接の方法を提供するパルス溶接の方法に関する。
【背景技術】
【0003】
電気アーク溶接において、最も普及している溶接法の1つは、外側シールドガスを持つ単線を主に使用するパルス溶接である。MIG溶接は、前進するワイヤの端を最初に溶かし、次に、そのワイヤの端からの溶融金属をそのアークを通してワークピースへと前進させる間隔の空いたパルス群を使用する。理想的な状況下では、溶融金属の球塊は、そのパルス溶接法の各パルスの間に溶けて転送される。その溶融金属が、前進するワイヤから解放される前にワークピースに接触するとき、パルス溶接法の通常の操作の中断が生じる。その結果として、25ボルトを超える高圧パルス溶接が、電極の端とワイヤとの間のギャップが比較的大きいように、通常使用される。これは、短絡の発生及びその結果生じるスパッター及びパドル外乱(puddle disturbance)を制限する。小さいギャップ又は約0.20‐0.30インチよりも小さいアーク長を有することが有利である。しかし、パルス溶接は、通常、溶融金属の適切な転送を保証し、短絡を減少させるために実質的により高い電圧を必要とする。それにもかかわらず、そのパルス溶接法は、適切なパルス溶接に関連する一貫性を素早く得るために取り除かなければいけない短絡状況を常に含む。短絡を除去するために、その短絡の検出において、即時にアーク電流を増やすことがよく知られている。その高いアーク電流は、その溶融金属を前進する電極から即時に分離し、再びアークを設立するように、電気ネッキング作用を起こす。このよく知られた概念の考察は、本文献によって参考として取り入れられるIhdeの特許文献4において含まれている。このよく知られている短絡クリアランス法を用いても、高圧がいまだに単線に対して必要であり、そのワイヤの移動速度は、かなり低くなければいけない。パルス溶接に有心ワイヤ(cored wire)の使用を試みる場合、そのアーク電圧は、パルス溶接法において望ましくない短絡状況を避けるために、25ボルトをはるかに超えて、かなり高く維持されなければいけない。まとめると、短絡は、溶接の質を低下させ、溶接操作の移動速度を減らし、その欠点のため高圧を必要とする。これらの短絡は、金属有心電極の冶金学的利点を使用することを試みるときに、より厄介である。
【0004】
パルス溶接法における短絡は、特に、平均アーク長が約0.20‐0.30インチ未満である場所においてより低い電圧でアーク安定性に影響を与える。それらは、また、その短絡の断線の間に、スパッターを起こす。その結果として、パルス溶接は、不慮のランダム短絡のクリアリング(clearing)のための手順を必要とする。これは、その短絡がクリアされるまでアーク電流を単に増加させることによって実行された。従って、そのパルス溶接法は、不慮の短絡を最小限にするために25ボルトを越える高圧を必要とする。これは、より低い移動速度で操作する必要性をもたらした。さらに、スパッター及び不均等な溶接ビーズが、高圧及び通常の短絡クリアリングが利用された時に生じた。
【0005】
パルスMIG溶接は、主に、単線電極、金属有心ワイヤ又は外側シールドガスで通常シールドされているフラックス有心ワイヤを使用する。その電源は、時々「ピーク」として呼ばれる高出力と「バックグラウンド」として呼ばれるより低い出力との間で交互に変わる特別なパルス化された出力を生成する。そのピーク出力は、金属の一滴を形成し、前進している電極からワークピースまでそれを移送するのに十分に長い期間の間、溶接電極の噴霧遷移電流よりも大きい。パルス間において、より低いバックグラウンド出力は、その電極がそのワークピースへ向けて前進し、次のピークが次の液滴を堆積させるために再び位置付けられることを可能にする。理想的な状況下で、そのパルス化された出力は、1つの液滴が、短絡を起こしているギャップを埋めることを可能にせずに、各ピークに対して電極からワークピースまで移動するように、維持される。この状況は、十分に長いアーク長が維持され、比較的高い平均アーク電圧を生成する場合に達成することができる。例えば、90%アルゴン、10%CO2で作動するスチール電極を持つパルス溶接は、約26ボルトよりも大きい平均電圧で実施される。
【0006】
実際には、より短いアーク長でのパルス溶接などの溶接法を操作するとき、多くの利点がある。これらの利点は、より高い移動速度でのより低い熱入力及びより良いパドルの制御を含む。縮小されたアーク長では、部分的に移動した液滴は、電極と短絡を起こしているワークとの間のギャップを埋めるのにより適している。そのアーク長が減少すると、転落イベントは、より頻繁になり、クリアするのがより難しくなる。Lincoln ElectricによるPOWERWAVEなどのモデム・パルス溶接電源は、転落をクリアする技術を含む。短絡が検出されるとき、その機械の出力は、その短絡が「ピンチオフ」され、その短絡がクリアされるまで、制御された方式で増やされる。このよく知られた概念の考察は、本文献において参考として取り入れられるKawaiによる特許文献5及びIhdeによる特許文献6に含まれる。このよく知られた技術を使用し、その溶接法は、時折短絡が生じる間でさえも、安定したままである。この方法は、ユーザーが、アーク長を減らし、なおかつより低い入熱レベルで安定した動作を維持することを可能にする。これは、より高い移動速度での速いフォロー特性(follow characteristics)を改善する。以前引用した例に関して、安定した運転点は、約23ボルトよりも高い電圧に低減される。アーク長がこの点よりも下に低減されると、短絡イベントがかなり頻繁に生じ、短絡をブレークするためにピンチ電流におけるかなりの増加を必要とする可能性がある。その短絡が高い電流でブレークするとき、スパッターが通常起こり、その高い電流が振動を起こしているパドルを押し下げることから、付属する不安定性が続いて起こる。この問題は、時々、繰り返す短絡によって生じる。短絡がクリアされると、他の短絡が、即時に形成し、それは、クリアするのが難しい。
【0007】
有心ワイヤは、金属パワー及び/又はスラグを生成する合成物(FCAW-G)及び/又はシールドガスを生成する合成物(FCAW-S)のコアを含む金属シースである。これらのワイヤは、溶接勤続の望ましい冶金を生成し、汚染から保護するのに非常に有利である。これらの有心ワイヤの多くは、単線に似た方式において、パルス溶接法において使用することができる。しかし、単線の使用において、これらの有心ワイヤは、アーク長が減少することから短絡の頻度における増加及び重度を示す。実に、有心ワイヤに対して必要とされる最小限のアーク長は、単線に対する最小アーク長又は電圧よりも高い。なぜならば、有心ワイヤのパルス化は、露出されたそのコアを出るシースを溶かし、それがパドルの中につかることを可能にするからである。従って、有心電極(cored electrode)に関連する利点は、完全には利用することは出来ない。繰り返される短絡の問題無しで、又はそのような短絡がそれらの不利な効果を取り除くように効率的にクリアされる場合に減少した電圧で有心電極を使用することができるパルス溶接機が必要とされる。さらに、溶接法の間に、その溶接の中への入熱を増やさずに、材料溶着の速度を増やす必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願第11/873,794号明細書
【特許文献2】米国特許出願第10/861,958号明細書
【特許文献3】米国特許第7,304,269号明細書
【特許文献4】米国特許第6,617,549号明細書
【特許文献5】米国特許第4,889,969号明細書
【特許文献6】米国特許第6,617,549号明細書
【特許文献7】米国特許第4,866,247号明細書
【特許文献8】米国特許第5,278,390号明細書
【特許文献9】米国特許第6,498,321号明細書
【特許文献10】米国特許第6,071,810号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、電気アーク溶接及び短いアーク長(0.10インチ未満)又は17‐22ボルトの低電圧が、パドルを制御し、そのパドルの前にアークがスキップすることを防止するために使用され得るパルス溶接手順を実施する該電気アーク溶接を使用する方法に関する。さらに、その移動速度は、より低いアーク長及び、従って以前記載されたように短絡を促さずにより低い電圧を使用して、増やされる。本発明の使用は、短絡が低いバックグラウンド電流で起こることを確実にする。これは、高電流に関連するスパッターを、短絡を出るときに短絡の高電流に入るときに避ける。本発明は、小さいアーク長を用いてもワイヤの端及びパドル表面の信頼性のある分離を確実にする。これは、高電流パルス及び低いバックグラウンド電流サイクルにおけるリズム及び安定性を拡大する。本発明は、移動速度が増加され得るように低電圧、短いアーク長が取得可能である場所でロボットによって実施されるタイプの高速自動溶接に対して設計されている。本発明は、高速での低電圧溶接を改善する。それは、本発明は、短くなったアーク長を安定化し、従ってスパッターを減らすからである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によると、パルス溶接法において短絡が検出され、標準の技術に従ってクリアされる;しかし、その短絡がクリアされた後に、プラズマ・ブースト・パルス(plasma boost pulse)が生成される。このブースト・パルスは、調整されるパワーの5‐20KW、望ましくは10‐20KWの範囲におけるパワーを持つ高電流パルスである。本発明を鉄金属溶接に使用する場合、そのプラズマ・ブースト・パルスのパワーは、一般的に5KWを超える;しかし、アルミニウムを溶接する場合、そのプラズマ増加パルスは、1.0‐2.0KWに減少する。従って、実際的な範囲は、1.0KWから約20KWである。この高電流プラズマ・ブースト・パルスは、短絡の分離での出力アーク電流を増加させる。このブースト・パルスは、他の短絡が同じサイクルの間に生じないように、アーク力を増やし、パドルを電極から押しのける。そのプラズマ・ブースト・パルスは、その電極の端を加熱し、その端をおよそワイヤ直径のサイズに丸め、アーク力における増加は、その電極が即時に再び短絡しないようにそのワイヤとパドルとの間に間隔を生成する。その短絡がクリアされ、プラズマ・ブーストが、一般的に0.2‐5.0msの短期間の間、そのアーク力を増やした後に、その溶接法は継続する。そのパルス溶接法の低バックグラウンド電流は、液滴が、次のパルスが形成された液滴をパドルの中へと移動させる前に、そのパドルのより近くへ押されることを可能にする。本発明は、短絡状態が多くの溶接機において使用される標準の短絡クリア手順を使用してクリアされた後に電流、電圧又はパワーパルスを供給することを含む。これは、その溶接パドルを安定化し、高電圧及び低速がその手順に必要でないように、通常のパルス溶接法の再開を即時に可能にする。電気アーク溶接機及びその方法は、基本的に、高い移動速度及び低電圧を用いる自動化された応用に対して設計されているものの、本発明は、浸透が低減され、有心ワイヤに対して有利でなければいけなく、高い移動速度が必要とされる半自動化された応用においても使用される。それは、また、フラックス有心ワイヤを使用するパルス溶接にも適用されている。プラズマ・ブースト・パルスは、電極の端において液滴を生成し、パドルをその電極から追い出す点において、STTピーク電流パルスに似ている。そのSTT溶接法は、Lincoln Electric Companyによって開拓され、本文献に背景情報として参考に取り入れられるParksによる米国特許第4,866,247号などのいくつかの特許において開示されている。STT法は、短絡を意図的に生成する波形を有する。プラズマ・ブースト・パルスを短絡のクリアの直後に使用することによって、実際のパルス溶接法を構成する波形の生成された部分は構成されない。短絡は、その短絡がクリアされて、次の短絡がそのプロセスの後に生じる場合にパドルを制御するように本発明を使用する場合、有害でないランダムなイベントである。プラズマ・ブーストは、通常のパルス溶接法における中断の間に生成され、そのパドルを安定化し、スパッターを低減し、溶接速度を増やす一方で、固体金属電極及び有心電極の両方に対して低電圧動作を可能にする。本発明を使用することによって、大幅に低減された電圧(すなわちアーク長)によって生じる短絡は、プロセス破壊的ではない。実際は、その溶接機は、オハイオ州クリーブランドのThe Lincoln Electric Companyによって開拓された波形技術を使用した1つである。それらのパルス及びバックグラウンド電流部分は、波形生成器によって制御されるプロファイルを持つ18kHzを超える速度で生成される小さいパルスとして、高スイッチング速度電源によって形成される。
【0011】
本発明のさらなる態様によると、プラズマ・ブースト・パルスは、STT法に似た新規の短絡クリア・プロセスが先行する。短絡が検出されるとき、アーク電流は低減され、次に、第1急傾斜、次にさらに緩やかな傾斜を持つピンチ・パルス・プロファイルに沿って増加することが可能にされる。短絡が「ネック」又はブレークする用意ができたとき、通常はdv/dt検出器である予測回路(premonition circuit)が駆動される。次に、アーク電流がスパッターを低減するように低いレベルに減少させられる。これは、その短絡を終了させ、滑らかな表面張力移送を供給することから、短絡は、実に、金属をワークピースへ移動させるための優れた手順である。アーク又はプラズマ状態が存在するとき、本発明のプラズマ・ブースト・パルスは、その溶接機によって出力される。これは、パルス溶接法において短絡をクリアするための実際の手順であり、本発明の他の進歩と組み合わせた場合、新規である。
【0012】
本発明に従って、前進する電極とワークピースとの間の電圧駆動電流によってパルス溶接法を実施するための電気アーク溶接機が提供される。その電流は、電圧又は電流調整によって制御され得る。その溶接機は、前進する電極とワークピースとの間における短絡の発生において短絡信号を生成する短絡検出回路及び短絡の検出後にプラズマ・ブースト・パルスを生成するブースト回路を含む。本発明の望ましい実施形態において、短絡信号の後でありプラズマ・ブースト・パルスの前にアーク電流を増やす標準の短絡クリア回路がある。これは、そのプラズマ・ブースト・パルスの前に短絡を除去する。そのプラズマ・ブースト・パルスは、一般的な1.0‐20KWの範囲、さらに詳しくは10‐15KWの範囲において調節されるパワーを有する。そのプラズマ・ブースト・パルスは、一般的な0.2‐5.0msの範囲にある持続時間を有する。本発明は、金属有心又はフラックス有心電極などの有心ワイヤ電極で溶接を行う場合に非常に役立つ。
【0013】
本発明の他の態様によると、プラズマ・ブースト・パルスは、パルス溶接法を構成する波形を生成する通常の波形生成器における中断の間に起こる。
【0014】
本発明のさらに他の態様によると、そのパルス溶接法のプラズマ・ブースト・パルスを生成するブースト回路は、また、そのプラズマ・ブースト・パルスに続く制御されたバックグラウンド電流の生成も含む。このバックグラウンド電流は、通常、そのパルス波形のバックグラウンド電流とは異なり、そのパルス溶接法において次に生成されるパルスまで継続する。その生成されるバックグラウンド部分の端は、標準のパルス波法を開始するためにタイマーをリセットする。そのバックグラウンド部分は、いくつかの場合において、その溶接法の出力アーク電圧からの電圧フィードバックによって調節可能である。特定のプラズマ・ブースト・パルスの間に生成されるアーク電圧は、その特定のプラズマ・ブースト・パルスの後に続くバックグラウンド部分を制御する。
【0015】
本発明の他の態様によると、前進する電極とワークピースとの間における一連のパルスによってパルス溶接を行う方法が提供される。当該方法は、その電極とワークピースとの間において短絡を検出し、次にその短絡の後にプラズマ・ブースト・パルスを生成するステップを含む。望ましい実施形態によると、そのプラズマ・ブースト・パルスは、その短絡が、標準の技術に従ってクリアされた後に起こる。
【0016】
本発明のさらに他の態様によると、定義された形状又はプロファイル(高電流パルス及びバックグラウンド部分を持つ)を有するプラズマ・ブースト・パルスは、望まれる計上のプラズマ・ブースト・パルスが、そのパルス溶接法の標準のパルス間で生成されるように、実際の溶接法の部分として取り入れられる。この方法において、プラズマ・ブースト・パルスは、電極の端を事前に加熱し、液滴をパドルへと移動させる次のパルスに対する液滴を生成する。これは、ニッケル合金又はチタン合金などの非鉄金属を使用するGMAWパルス溶接法において使用することができる。FCAW-G及びFCAW-Sワイヤなどの金属有心ワイヤを含む有心ワイヤは、この溶接法で使用することができる。その溶接法において高電流パルスの各々の間でプラズマ・ブースト・パルスを使用することによって、ワークピースへ向かって前進する電極の端の溶融の間にパドルを押し出す高いアーク力が生じる。これは、そのプロセスにおいて次のパルスが生成されるまで、そのワークピースへ溶融金属を移動させることなくその電極の溶融を可能にするための躊躇時間を与える。本発明のこの態様は、そのパルスの感知された電圧が、挿入された波形のバックグラウンド部分を適応的に調整するために使用されるように修正することができる。
【0017】
本発明は、電気アーク溶接及びそれを使用する方法に関し、本発明は、入熱を低減し、増加した移動速度で速いフォロー特性を改善するように短いアーク長(約23‐25ボルト未満)が望ましいパルス溶接手順を実施する。本発明を従来型のパルスMIG技術に取り入れて使用することによって、短いアーク長及び低電圧で作動するときの安定性が促進される。それは、また、短絡がクリアされた後に溶接電極及びパドル表面の、信頼できる一貫した分離も保証する。この手順は、操作手順の幅広い範囲を通してリズム及び安定性を拡大する。本発明は、増加した移動速度で溶接パフォーマンスを改善するために低電圧及び、従って、短いアーク長が望まれる、ロボットによって実施されるタイプの高速自動溶接に対して開発された。しかし、本発明は、低減された入熱が望ましい半自動化された応用に対して使用される。本発明を使用するパルス波形は、より長いアーク長に対して調節することができ、従来型のパルス技術と同様に実施される。しかし、本来の利点は、短絡がより多い場所に低電圧を使用することによって得られる。
【0018】
本発明は、低電圧で安定性を改善することによって、高い移動速度での溶接を改善する。本発明によると、短絡は、標準の技術に従って検出されクリアされる;しかし、その短絡がクリアされた後に、プラズマ・ブースト・パルスが生成される。プラズマ・ブースト・パルスは、定められた期間において、定められた振幅に出力をパルス化することとして記載することができる。プラズマ・ブースト・パルスは、出力電流電圧、パワー又はボルト/アンペア傾斜レベルの出力として定義することができ、望ましい実装ではパワーレベルを使用する。このプラズマ・ブーストは、0.2‐5msの間継続する1.0KW‐20KWのパワーレベルとして定義される。実際には、そのプラズマ・ブースト・パルスは、0.2‐0.5msの間で、10‐15KWに対して設定される。プラズマ・ブースト・パルスの概念は、一定時間の間維持されるパワーレベルに基づくエネルギーである。このパルスを得る方法は、変化し得る。この高電流プラズマは、短絡の分離の直後にアーク力を増やすように働く。そのブースト・パルスによって生成されるアーク力における増加は、パドルを電極から押し出し、それによって、他の短絡は、同じサイクルの間に起こらない。そのプラズマ・ブースト・パルスは、その電極の端を加熱し、そのパルス溶接法の次のパルスによって転送される次の液滴となる溶融金属液滴を生成する。その短絡がクリアされ、プラズマ・ブーストがアーク力を増やし、電極の端を加熱した後に、通常のパルス溶接法が継続する。そのパルス溶接法の残っている低バックグラウンド電流は、その液滴が、次のパルスがその形成された液滴をパドルの中へと移動させる前に、そのパドルにより近く押されることを可能にする。本発明は、短絡状態が標準の短絡クリア手順を使用してクリアされた後に、電流、電圧又はパワープラズマ・ブースト・パルスに対して備えることを含む。これは、溶接パドルを安定化し、安定した作動が低電圧でも可能であるように、通常のパルス溶接法の即時の再開を可能にする。
【0019】
本発明は、また、浸透が低減されなければいけない半自動化された応用においても使用され、高い移動速度が必要とされる金属有心ワイヤに対して実質的に有利である。それは、また、フラックス有心ワイヤを使用したパルス溶接にも適用されている。金属有心ワイヤが使用される場合、コアにおいて効果的な量の硫黄が、特に、金属有心ワイヤを使用した場合に本発明の動作を改善することが決定されている。実際には、硫黄は、そのワイヤの重量の0.010‐0.030パーセントの範囲にあり、望ましくは、そのワイヤの重量の0.012‐0.023パーセントの範囲にある。
【0020】
本発明の利点は、パルス溶接法のパラメータが、実際に短絡イベントを促進するように設定することが出来ることである。そのようなプロセスにおいて、ピークへの遷移は、液滴の形成を素早く開始するために速い。そのパルス・ピーク時間は、その液滴が、ピーク電流の間に電極から完全に離れないように、低減される。アーク電流のバックグラウンドへの転移は、それが上昇し、液滴へ向かって進むことを可能にするようにパドルにおいてアーク力を素早く減少させるために速い。出力電流は、その液滴が、電極とワークピースとの間で橋渡しをすることをさらに促すように実際のバックグラウンド・レベルの下に下げられる。その周波数は、その液滴サイズを小さく保つように高く保たれる。液滴が、その電極からパドルへと橋渡しするとき、その短絡応答は、その短絡をクリアし、プラズマ・ブーストは、ワイヤの端において次の液滴を生成し、パドルを電極から追い出す。
【0021】
パルス溶接法の各パルス間のプラズマ・ブースト・パルスによって、中間プラズマ・ブースト・パルスと共に滑らかなパルスを促進するように移動している溶接パルスを有するリズムが設立される。これは、増加した電圧がより低いスパッターをもたらす従来のパルス溶接法において得られるよりも低いスパッターを可能にする。本発明の使用による電圧とスパッターとの関係は、従来の関係又は電圧/スパッターの動作曲線から下向きにシフトされる。如何なる電圧でも、本発明を使用すると、スパッターはより低い。
【0022】
プラズマ・ブーストの安定性が原因で、そのプロセスは、全ての液滴が短絡を通して移動させられるレベルで実行することができ、それによって、その溶接法の入熱はかなり減少する。金属を、短絡を交差して移動させる機能は、電極、すなわち単線、金属有心ワイヤ又はフラックス有心ワイヤが、短絡移動モードにおいて安定していることを示す。多くのスチール、ステンレス、アルミニウム単線などの場合において、本発明は、より短いアーク長での溶接パフォーマンスを改善することが出来る。Lincoln ElectricのMS-6及びMC-706ワイヤなどの安定した短いアーク・パフォーマンスを持つ金属有心ワイヤは、本発明から利益を得ることができる。本発明を使用して、これらのワイヤは、質の悪い備え付け状態及びより速い移動速度を扱い改善した機能を有する。これらのワイヤは、そのワイヤを金属の短絡移動の間に均等に動作させるために効果的な量の硫黄を含む。
【0023】
本発明は、特に標準のパルス波形よりも早い速度を可能にするように設計された改善したパルス溶接法である。それは、短くされたアーク長でその法を安定化することから、高速での低電圧溶接を改善する。従来の波形では、そのアーク長は、スパッターを避けるようにより長く保持されることから、移動速度を制限する。本発明において、そのアーク長は短くきつく保持され、スパッターは、その短絡サイクルの制御で避けられる。従って、より短いアークは、リズムを持つ短絡サイクルで安定化される。その短絡の処理は、スタビング(stubbing)及びスパッターを低減する。
【0024】
本発明の主な目的は、電気アーク溶接機を備えることであり、その溶接機は、短絡がクリアされた後、及び溶融金属を溶かし溶接パドルへ移動させるための次の隣のパルスの前に、プラズマ・ブースト・パルスを使用する。
【0025】
本発明の他の目的は、上記に定義されたような電気アーク溶接機を備えることであり、その溶接機は、短いアーク長及び/又はフラックス有心ワイヤの金属コアで高速で動作することが出来る。金属有心電極を使用する場合、そのコアは、高い移動速度で溶接ビードの形状を改善するために効果的な量の硫黄を有する。
【0026】
本発明のさらなる目的は、上記に定義されたような電気アーク溶接機を備えることであり、その溶接機は、高い移動速度、低電圧及び低いスパッターによって、ロボット及び他の機械化された溶接機構における自動溶接に対して主に役立つ。
【0027】
本発明のさらに他の目的は、不慮の短絡がクリアされて、次に、約0.1‐5.0ms、望ましくは1.0ms未満の短い時間の間、約1‐5KWから20KWなどの高パワーを有するプラズマ・ブースト・パルスが続くパルス溶接の方法を備えることである。
【0028】
本発明のさらなる目的は、パルス溶接に対する電気アーク溶接機及び前記溶接機を操作する方法を備えることであり、その溶接機及び方法は、より速い移動速度、より短いサイクル時間、時間単位でのより高い生産量、及び特にロボットによる自動パルス溶接に対する増加した生産性を提供する。
【0029】
本発明のさらなる目的は、上記に定義されたように、溶接機及び方法の提供であり、その溶接機及び方法は、厚さが1.5‐4.0mmの範囲にあるプレートなどのスチールにおける速い溶接を、溶接スキップ、アンダーカット又は高いスパッター・レベル無しで実施する。その溶接機及び方法は、減少したスパッターおよび色あせたビード・プロファイルで、より低いアーク電圧(より短いアーク長)で優れたアーク安定性を提供し、それによって、移動速度を増加させる。
【0030】
本発明のさらなる模範的な実施形態において、溶接機及び溶接の方法が提供され、それらは、溶接の中への入熱を維持すると同時に溶接の溶着速度においてさらなる増加を与える。その溶接機及び方法の様々な模範的な実施形態は、その溶接法の移動速度を増加させるステップ、コンタクトチップ・ワークピース間距離(contact‐tip‐to‐work‐distance(CTWD))を増加させる一方、目に見える電極の突出を維持するステップ、上記に記載されたような溶接波形を採用するステップ、及び増加した溶着速度に対して適切な構成を有する電極を採用するステップを含む。
【0031】
これら及び他の目的及び利点並びに特徴及び実施形態は、以下の記載、付属の図表及び/又は請求項から明らかになるであろう。
【0032】
本発明の上記及び/他の態様は、付属の図表を参照して本発明の模範的な実施形態を詳しく記載することによってより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】従来技術に従って、パルス溶接法を実施するための電気アーク溶接機を示すブロック図と配線図とを組み合わせた図である。
【図2】従来技術のパルス溶接法の電圧曲線及び電流曲線を示したグラフである。
【図3】図1に示された電気アーク溶接機における様々な位置の信号を示したグラフである。
【図4】本発明において使用されるコア及び外側のシールドガスを持つ電極の拡大された部分的な断面図である。
【図5】図4と同様に、自己シールドコアを持つ、本発明において使用可能なフラックス・有心電極を示した図である。
【図6】図4及び図5と同様に、図1の従来技術の電気アーク溶接機において通常使用されるような外側のシールドガスを持つ単線電極を示した図である。
【図7】本発明の望ましい実施形態に従ってパルス溶接法を示す電圧曲線及び電流曲線のグラフであり、その溶接法における様々な段階での電極及びワークピースの図的記述を含んだグラフである。
【図8】図7に示されたパルス溶接法を実施するための電気アーク溶接機を示すブロック図と配線図とを組み合わせた図である。
【図9】図8に示された電気アーク溶接機における様々な位置での信号を示すグラフである。
【図10】本発明の望ましい実施形態に対する追加を含み、この追加によって実施される様々な段階の図的記述を含む、パルス溶接法の電圧曲線及び電流曲線を含むグラフである。
【図11】図10に示されたパルス溶接法を実施するための電気アーク溶接機のブロック図と配線図とを組み合わせた図である。
【図12】図11に示された電気アーク溶接機における様々な位置で信号を示すグラフである。
【図13】バックグランドが適応的に調整された図10‐12に示されたパルス溶接法における守勢の電圧曲線及び電流曲線を持つグラフである。
【図14】図13に示された適応的な手順を実施する電気アーク溶接機のブロック図と配線図とを組み合わせた図である。
【図15】図13と同様に、溶接法の適応的特徴を示すグラフである。
【図16】パルス溶接法の各パルス間のプラズマ・ブースト及びバックグラウンド部分を取り入れているパルス溶接法の電圧曲線及び電流曲線を含むグラフである。
【図17】図16に示されたパルス溶接法を実施するための電気アーク溶接機を示すブロック図と配線図とを組み合わせた図である。
【図18】図17の電気アーク溶接機における様々な位置での信号を示すグラフである。
【図19】図20及び21において説明されたパルス溶接法を実施する電気アーク溶接機のブロック図と配線図とを組み合わせた図である。
【図20】図19に示された溶接機における様々な位置での信号を示すグラフである。
【図21】図19に示された溶接機及び図20に示された信号を使用した波形の図解である。
【図22】短絡を保証するようにパルス溶接法の制御を用いて本発明を使用することによって得られる波形の図解である。
【図23】図16‐18に示されたような溶接機を試用した場合の実際の波形を示す電流曲線である。
【図24】contact‐to‐work‐distance及び突出(stickout)を示す溶接動作の図解である。
【図25】本発明の実施形態による溶接パルスの他の模範的な図解である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図をここで参照する。それらの提示は、本発明の模範的な実施形態を示す目的だけのものであり、それらを限定することを目的としない。図1‐3は、図2に示されるようなパルス溶接法を実施する従来技術の電気アーク溶接機Aを示す。その従来技術は、本発明を実施するのに使用される構成要素は、電気アーク溶接機における標準の構成要素と根本的に同じであることから示されている。他の溶接機構造も使用され得るが、模範的な構造は、オハイオ州クリーブランドのThe Lincoln Electric Companyによって開発されたような波形技術によって制御される溶接機である。波形技術に関連する多くの特許のうち2つは、本文献に背景情報として取り入れられるBlankenshipの米国特許第5,278,390号及びFulmerの米国特許第6,498,321号である。このタイプの溶接機において波形生成器は、パルス溶接法において使用される波形のプロファイルを生成する。電源は、複数の電流パルスを使用することによって、及び18kHzを超える高周波数で、その波形生成器から決定される形状に従ってパルスを生成する。このタイプの技術は、正確なパルス形状を如何なる望ましい溶接法に対しても生成する。本発明は、溶接機を使用した波形技術の使用に関して記載されるが、本発明は、より幅広く、SCRで制御される溶接機及びチョッパーに基づく溶接機などの他の溶接機において使用してもよい。
【0035】
図1に示される電気アーク溶接機Aは、図1における様々な位置で示される複数の動作信号で図2における曲線によって及び図3における対応する数字によって示される標準のパルス溶接法を実施するために使用される。本発明の模範的な実施形態に取り組む前に、図1‐3に示される従来技術に関するような本発明の背景が考慮される。電気アーク溶接機Aは、電極EとワークピースWとの間でパルス溶接法を生成するために出力リード12、14を持つ高速スイッチングインバータの形において電源10を有する。電源10は、3段階入力として示される、適切なパワー供給装置16によって駆動される。そのパルスのプロファイル及びそのパルス溶接法を構成する分離するバックグラウンド電流は、標準の技術に従って、波形入力18における信号によって決定される。電流シャント22は、その溶接法のアーク電流をライン24によって、フィードバック制御ループに対して使用されるアナログ出力部28を有する電流センサー26へと繋ぐ。同様の方法で、リード30、32は、そのアーク電圧を、検出出力部36及びレベル又は振幅出力部38を有する電圧センサー34へと繋ぐ。その検出出力部は、電圧のレベルが電極EとワークピースWとの間の短絡の間に降下する場合に表示する。レベル出力部38は、その電極及びワークピースを交差するアーク電圧を表わす信号を有する。電圧検出出力部36は、図3に示されるように、信号3を出力する出力部42を有する短絡応答回路40へと方向付けられる。短絡がある場合、標準の技術に従ってライン42において検出信号がある。波形生成器50は、その溶接法を実施するように特定の波形でロードされる。この波形は、図3に示される、信号2として表示される。タイマー52は、ライン54によるタイミング信号を、その溶接法を構成する個別のパルスを開始することを目的として、波形生成器へと方向付ける。生成器50は、また、ライン28、38からのフィードバック信号も有し、その波形生成器の設定プロファイル及びその電極とワークピースとの間に存在するプロファイルに従って電圧及び電流を制御する。電源10によって出力されるべき波形は、ライン56における信号2である。この信号は、信号4に対して出力部62を有する加算接点(summing junction)の入力部又は加算器60に接続される。この信号は、従来技術の溶接機Aにおいて、電源10の入力部18に方向付けられる実際の信号である。溶接機Aによって実施される溶接法は、図2に示されており、電流曲線100がバックグラウンド電流部分104によって分離された間隔が空いた一連の電流パルス102を有する。電圧曲線120は、ライン30、32の間の電圧であり、曲線100のアーク電流と相関性があるアーク電圧を構成する。ピーク電圧は、ピーク電流102を適用した結果である。曲線120の低い平均電圧は、短絡しているか又は約6.0ボルトより下の高い瞬間アーク電圧平均が原因である。短絡があるとき、アーク電圧120は、ポイント122によって表示されるように急落する。この電圧急落は、電極とワークピースとの間の溶融金属の短絡を表示する。それが起こる場合、クリア手順が、ライン56における波形形状を無効にする。ポイント122での短絡の検出において、高電流が、その電極とワークピースとの間に、図2に示される斜面106に沿って印加される。実際には、この斜面は急であり、部分108によって表示されるように緩やかになる。その短絡が、増加した電流によってクリアされるとき、標準の技術に従って、曲線120の電圧は、即時にプラズマ又はアーク状態に再び切り替わる。これは、ライン110に沿って電流の導出又はリカバリーを起こす。ひき続き、短絡がある場合、アーク電流は、増加した電圧によって表示されるように斜面106及び斜面108に沿ってその短絡がクリアされるまで増加する。この短絡の除去は、短絡応答回路40の出力を停止する。溶接機Aの操作は、図3に示されるように信号2、3、4、7、及び9によって開示される。信号7は、ライン36において感知された電圧である。通常の状況下で、電圧120は、波形生成器50によって決定される形状及びタイマー52によって決定される間隔を有する複数の間隔が空けられたパルス130を含む。ポイント122で短絡がある場合、その電圧は、ライン132に沿って急落する。これは、ライン142における出力を生するパルス140を起こし、その出力は、信号2に加えられる電流曲線100に対する斜面106に一般的に一致する信号142の形にある。波形生成器50の出力は、図3に示される波形信号150を構成する信号2である。ライン62における加算接点60の出力は、ライン62における信号4として示される信号2及び3の加算である。斜面142が、電極EとワークピースWとの間の出力が、インバータ・タイプ電源10を制御するライン18における信号であるように、波形150に加えられる。これは、電極の素早い動作を減らされたアーク長及びスパッターで与えるために、本発明によって改良された標準の従来技術の溶接機を表わす。
【実施例】
【0036】
本発明を使用することによって、パルス溶接法は、26‐27ボルトよりも高い範囲にあるアーク電圧を持つ高電圧法から、アーク電圧が25ボルト未満、具体的に17‐22ボルトの一般的な範囲にある低電圧法へと切り替えることができる。本発明を使用することによって可能になったこの低電圧のために、アークは、約0.20‐0.20の下の非常に短いアーク長で安定している。約22ボルト及び200アンペアでは、そのアーク長は、約0.15インチの90%アルゴン及び10%CO2のスチール・ワイヤである。これは、より速い移動速度を可能にする一方で、いまだに適切なビード・プロファイルを維持する。アルミニウム又はステンレススチールなどの他のワイヤを使用してもよい。本発明に使用される3つの異なる電極は、図4‐6に示されている。図4において、有心電極200は、その矢印の方向に進められ、外側のスチールシース202及び溶接ビードにおいて望まれる溶接金属を供給するために必要な合金物質又は他の合成物から形成される内側のコア204を含む。アーク又はプラズマACが、電極とワークピースWとの間に生成されると、シールドガス206が、そのアークを大気汚染物から保護するためにそのアークの周りに方向付けられる。アーク長xは、0.30インチ未満の長さであり、17‐22ボルトの一般的な範囲にある電圧によって生成される。このタイプの電極は、本発明における使用に非常に適している。他の有心電極は、電極210が外側シース212及び内側のコア214を有する図5に示されている。この電極は、コア214の構成物が、フラックス剤及び他の構成物を、溶融金属がそのアークを通ってワークピースWへと移動させられる際にそのアークを保護するように供給する自己シールド電極である。この場合もまた、この有心電極は、過去の有心電極がパルス溶接に対して上手く利用されてきていない本発明を実施する際に役立つ。図6は、シールドガス222を持つ単線電極220を示す。このタイプの電極は、通常はMIG溶接、特にパルス溶接に使用される電極である。本発明を使用することによって、電極200、210及び220が、ここでパルス溶接に使用することができる。従って、本発明は、パルス溶接において有心電極の冶金学的及び物理的特性をうまく利用する。STT溶接に対する有心電極の利点は、本文献において背景情報として取り入れられるStavaの特許文献10において考察される。本発明は、有心電極による溶接法に対する電圧範囲が拡張されるように低電圧を供給することから、有心電極を使用することができる。図6に示されるような単線を使用する場合、本発明の低電圧は、ワイヤがより速く移動することを可能にする。本発明を使用することによって、図4‐6に示される全ての電極は、溶接法の受容に従って使用することができる。過去において、高アーク電圧は、全タイプの電極の効果的な使用を防止した。本発明は、非常に低いアーク電圧を可能にすることから、そのアーク長は小さく、溶融金属は、しばしば、ワークピースを短絡によって移動させる。このプロセスは、有心電極、特にパルス溶接に非常に適切な金属有心電極を使用する。実に、約0.010から0.030の硫黄をそのコアに持つ金属有心電極は、本発明のプラズマ・ブースト・パルス概念の一般的な利点を得る場合に極度に効果的であることが証明されている。ワイヤ電極、オハイオ州クリーブランドのThe Lincoln Electric Companyによって販売されている金属シールドMC6及びMC7は、バランスCO2ガスを持つ75‐95%アルゴンがシールドガスであるプラズマ・ブースト・パルスを使用する方法を用いた使用に対して有利であることが証明されている。これらのワイヤは、E70C-6M指定に適合する。他の金属有心電極及び自己シールド有心電極は、本発明に従って実施される法において得られる低電圧、低アーク長を上手く利用している。
【0037】
本発明の模範的な実施形態は、図7において最も良く示されるパルス溶接法を生成する図7‐9において説明される。電流曲線300は、波形生成器50の出力によって決定されるバックグラウンド部分304によって分離された間隔が空いたパルスを含み、それらのパルスはタイマー52の出力によって間隔が空けられる。当然のことながら、タイミングは、その波形生成器のプログラムに内蔵することができる。バックグラウンド電流304は、溶融金属Mが形成され、その溶融金属溶接パドルにおけるワークピースに溶着された後にそのアークを輝いたままに保つために使用するためにパルス302の間に供給される。電圧曲線310は、短絡検出ポイント312及び短絡クリアポイント314を含む。曲線300は、図2に示される従来技術の部分106及び108にそれぞれ対応する部分306及び308を生成するための通常の高電流クリア・ルーティンを示す。本発明は、ブースト・パルスがアーク状態又はプラズマ状態の間に生じるように、望ましくは短絡クリアポイント314の後にプラズマ・ブースト・パルス320を供給することを含む。実際には、このプラズマ・パルスは、波形生成器50からの出力の中断の間に生成され、電源10の入力18で生成器の出力に代入される。プラズマ・ブースト・パルス320は、5‐20KW、他の模範的な実施形態では約10‐15KW未満の一般的な範囲における調整されたパワーである。アルミニウムに対して、そのパワーは、1.0KWほども低くてもよい。このパルスは、一般的に5.0ms未満、及び他の実施形態では0.2‐0.5msの範囲にある時間距離yを有する。本発明の実施では、その時間は、0.3msである。パルス320は、ピーク部分322の端で終了し、アーク電流がバックグラウンド電流レベル304に下がる電流減少部分へ入る。模範的な実施形態において、この電流における減少は、プラズマ・ブースト・パルスが5.0msの前に終了するように長い立ち下がりエッジ324(trailing edge)及び一般的に緩やかな導出部分326である。そのプラズマ・ブーストの動作は、図7の上部の図的記述I‐VIにおいて描かれている。電極Eは、溶融金属Mが位置Iで示されるように形成している間に、ワークピースWへ向けて前進する。その電極とワークピースとの間の電流は、次にパルス302のピークに増やされ、電極Eの端がさらに溶けて溶融金属球302を生成するようにする。ピーク302の動作は、位置IIにある。ワークピースWは、電極EとワークピースWとの間のアーク力によって捕獲される溶融金属パドルPを含む。位置IIの後に、通常のパルス溶接において、その電極Eの端の溶融金属Mは、そのプロセスのバックグランド部分304の間にアークを通ってパドルPへと移動させられる。次に、そのプロセスは、位置VIに示されるように繰り返される。電極Eと溶融金属MによるパドルPとの間の短絡は、通常のパルス溶接動作の一部として形成されない。短絡が位置IIIで示されるように起こる場合、そのアーク電圧は、ポイント312で急落する。その短絡は、次に、高電流クリア・ルーティン又は部分306、308によって表わされるシーケンスを開始し、位置IVに示されるように溶融金属Mを電極Eからネックオフ(neck off)し分離する。次に、本発明の実施形態が実施される。ポイント314における電圧の急上昇によって表わされる短絡のクリアにおいて、プラズマ・ブースト・パルスが出力される。そのプラズマ・ブースト・パルスは、位置Vに示されるように、パドルPを電極Eから押し出す。この高いアーク力は、溶融金属Mと溶融パドルPとの間の分離を保証するためにパドルPを大幅に空洞化する。これは、次にパルス302の後まで初期の短絡がないことを保証する。位置Vに示されるようにパルス320の後に、低いバックグラウンド電流部分304が波形生成器50によって実施される。これは、ワークピースWのパドルPが、そのキャビテーション(cavitation)が位置VIで示されるような方法で減らされるように、休止することを可能にする。位置Vに示されるように本発明を使用することによって、実質的により大きな間隔又はギャップGが、電極Eの端とワークピースWのパドルPとの間で供給される。この大きいギャップは、そのネッキング及び短絡の破裂に続くプラズマ・ブースト・パルスの結果である。本発明は、より低い電圧、より速い動作及び低いスパッターで均等な溶接ビードを可能にする。アーク力によるギャップの生成は、短絡がクリアされていることから、その電極の直下でパドルにおける溶融金属の形状を制御する。位置Vは、パルス溶接動作における短絡に続くプラズマ・ブースト・パルスを使用することによって得られる利点を表わす。短絡をクリアし、且つ位置Vに示される大きなアーク力キャビテーションの中へそのパドルを押し込むために、プラズマ・ブースト・パルスだけを使用することが可能である。しかし、これは、スパッターを増やすことがある。従って、短絡のクリアが好ましい。短絡がクリアされ、高パワープラズマ・ブースト・パルスが続くことから、その短絡イベントは、そのパルス溶接法においてもはや破壊的ではない。後に示されるように、定期的な短絡の存在は、有益であってよく、確実にそれほど有害ではないとされている。
【0038】
プラズマ・ブースト・パルスを用いるパルス溶接法は、図8に示される電気アーク溶接機Bによって実施される。図1に示される溶接機Aにおいて使用されるような同じ機能的要素が、同じ数字及び同じ信号で溶接機Bにおいて使用される。本発明を実施するために、溶接機Bは、ライン352において開始中断信号を有するプラズマ・ブースト・プロファイル回路350を備え、その短絡は、図7におけるポイント314においてクリアされる。ポイント314に達したとき、ライン352における信号は、ライン362によってタイマー360に伝えられる。これは、タイマーが中断時間を生成するのを開始させる。ライン362におけるこの中断信号は、タイマーがそれの設定時間まで進むまで続く。ライン362におけるタイマー360からの信号は、プラズマ・ブースト・プロファイル回路350が動作する間の中断の期間を設定する。出力部354は、ライン364における中断信号が、ライン364における中断信号が通常の接触部372及び中断接触部374からスイッチ370をシフトするときの中断の間にブースト・パルス・プロファイルを処理する。タイマー360が、5接触部473で中断位置においてスイッチ370を保持するとき、プラズマ・ブースト回路350は、ライン354におけるプロファイル信号を、タイマー360がライン364における信号を与える限り、出力する。このプロファイルは、図7に示されるプラズマ・ブースト・パルス320である。当然のことながら、スイッチ370は、加算接点60の出力部62から中断位置へ、回路350が信号5として示されるプロファイルを処理する間にシフトするデジタルソフトウェアスイッチである。この信号は、電源10の入力部18へ方向付けられる。様々な信号が、図9において図3における信号に対応する数字で示されている。新しい信号5、6、10、及び11は、図9の下部に示され、時間の軸で他の以前記載された信号とともに示されている。短絡がクリアされるとき、短絡応答回路40は、ライン352においてパルス380である信号10を生成する。このパルスは、タイムアウト位置384を有する斜面信号382であるタイミング信号11を開始する。タイマー360が時間を計っている限り、中断信号390は、ライン354におけるプラズマ・ブースト・プロファイルが電源10によって処理される間に維持される。パルス390によって表示される中断及び信号出力の間に、入力ライン18における制御電圧は、信号6として示されるパルス392に形にある。実際に、それは、生成される如何なるスパッターも最小限にする低電流で短絡が形成されるとき(図7におけるポイント312)に、有益である。その短絡の断面は最小であることから、短絡斜面による電流における最小の増加だけが、その短絡をクリアするのに必要である。その短絡は、比較的低い電流でクリアし、その結果、その短絡の解放によって最小限のスパッターが生成される。
【0039】
図7‐9に示されるように本発明を使用することによって、プラズマ・ブーストは、通常の短絡クリア・ルーティンが、標準の実施に従って短絡応答回路40によって実施された後に供給される。本発明の幅広い態様によると、そのプラズマ・ブースト・パルスは、短絡クリア・ルーティンを置き換えることができる。しかし、これは、本発明の1つの模範的な実施であるのみである。波形生成器50からの標準のパルス・プログラムは、短絡イベントを改善し、そのイベントが破壊的でないようにその短絡に対する応答を改善するように修正することができる。これらの修正は、パルス302のリードする端において低いバックグラウンド電流から高いピーク電流への速い転移を含む。これは、その出力を、電極の端における液滴の溶融を開始するように、遷移電流の上のレベルに迅速に増やす。次に、パルス302の高いピーク電流から低いバックグラウンド電流304までの迅速な転移が供給され得る。これは、液滴とパドルとの間のアーク力を迅速に減らす。このアーク力が除去されると、そのパドル及び液滴は、簡単に短絡し得る。そのピーク電流からバックグラウンド電流302までの遷移は、初期の遷移が、バックグラウンド電流をわずかに超える場合、より頻繁に且つポジティブに短絡する。従って、パルス302の立ち下がりエッジは、バックグラウンド電流304のわずかに下の電流に遷移する。本発明のこの態様は、後に図22を考察するときに、より詳しく開示される。図7に示されるように、短絡応答は、始まる短絡を分離するための短絡に対する初期応答を最小化し、次に、よりハードな短絡イベントをクリアするために電流応答を増やすマルチ斜面応答である。この方法は、標準のCVプログラムを処理するときにThe Lincoln Electric Companyによって製造されたPower Wave 455において何年もの間使用されてきている。
【0040】
プラズマ・ブースト・パルス又は方法が溶融金属の一貫した分離を促すように修正されている図10‐12に示されるように、本発明の模範的な実施形態に追加がされてもよい。そのプラズマ・ブーストは、次のパルス・サイクルの間に移動させられる電極の端における溶融液滴を生成する。一度、そのプラズマ・ブースト・パルスが完了すると、標準のパルス波形が再び開始する。しかし、短絡は、パルス溶接法の各パルスに対して同時には起こらない。さらに、短絡をクリアするのに必要な時間は、1つの短絡から次までは一貫していない。その結果として、タイマー52によって決定される、次のパルスに関連して短絡がクリアする時間は、一貫していない。プラズマ・ブースト・パルスが完了する後に残っている時間は、本発明の模範的な実施形態を使用する場合、異なる。バックグラウンド電流304は、電極が、溶融金属が移動する前にパドルのより近くに移動することを可能にするように波形生成器50によって生成される波形において十分な時間を有すると推定される。この時間は、述べた理由によって1つの短絡と次の短絡とでは一貫していない。その結果として、電極の端のパドルに関する位置は、一貫していない。この一貫性を改善する方法は、電極の端が次のパルスの前に一定した距離を移動することを可能にする。本発明の基本的な方法における改善は、プラズマ・ブースト自体が処理された後に、専用のバックグラウンド時間及び振幅方法を使用する。そのプラズマ・ブースト・パルスを生成する波形は、そのパルスの後にそれ自身のバックグラウンド電流部分を含むように修正される。その結果、タイマー360は、そのプラズマ・ブースト・パルスの持続時間及びバックグラウンド電流時間及びマグニチュードを制御するのに使用される。そのプラズマ・ブースト・パルスは、図10の上部の図的記述に示されるように、パドルから一貫した距離において電極の端における一貫した液滴を形成する働きをする。次のパルスの前のこの一貫した動作を維持するために、バックグラウンド区分又は部分に対して一貫した時間及び振幅が、模範的な実施形態の改良形において使用される。この改良形は、図10‐12に示される。プラズマ・ブースト・パルスは、専用のバックグラウンド振幅及び時間を含むように拡張される。タイマー360が、ライン352において現れる短絡クリア信号で開始する時間を設定するために使用される。本発明のこの改良形によると、図11に示される電気アーク溶接機Cは、ライン354が入力部18を制御する間の中断の終わりでタイマー52をリセットするように修正される。そのリセット信号は、ライン400の信号である。その中断の間に、プラズマ・ブースト回路350は、プラズマ・ブースト・パルス部分412及び時間416で終了するバックグラウンド電流部分414を有する波形410を生成するように信号5を生成する。タイマー360がそれのタイミング・シーケンスを開始するとき、図12におけるパルス420として示される中断がある。これは、以前記載されたものと同じ中断である。タイマー52は、図12に示されるようにライン422に沿って時間を計る。位置424において、タイマー52がリセットし、生成器50の信号2において次のパルス150を開始するようにライン54において時間426で信号を出す。本発明のこの実施形態によると、溶接機Cは、タイマー360がプラズマ・ブースト波形410で導出部分414の端でその設定時間に到達するとき、ライン400においてリセット信号を生成する。このリセット信号は、図12に示される時間430である。リセット信号1は、波形410のプラズマ・ブースト部分の端における信号2のパルス150を終わらせ、図12に示される部分パルス150aを生成する。これは、次に、図12に示される信号4の次のパルス150bを開始する。中断420の間に、波形410は、ライン354における回路350によって生成される。この中断の間の波形は、プラズマ・ブースト・パルス412及びバックグラウンド電流部分又は区分414の正確なプロファイルを有する。そのバックグラウンド電流部分が電源10によって実施された直後、次のパルス150bが進められる。その結果として、短絡があるとき、正確なパルス及び導出又はバックグラウンド電流振幅及び時間がある。これは、図10に示される。スイッチ370の中断位置によるライン18における信号は、パルス部分412及びバックグラウンド電流部分414を持つ波形410である。ライン400における信号は、時間416で起こる。これは、中断の所定の波形が完了したときである。その結果、要素412、414及び416が各短絡で一貫している。その後、新しいパルス302がタイマー52によって開始される。図12に示される信号6は、電極EとワークピースWとの間の電流又はパワーのプロファイルを制御するために印加される。新しいプロファイルは、図12におけるプロファイル440である。その結果、波形生成器50の出力は、短絡の終わりで中断され、所定のパルス及びバックグラウンド電流区分が処理される。この波形の結果は、図10の位置I‐IIIにおいて示される。部分412の生成において、そのアーク力は、パドルPを押し、そうすることによって、それが電極Eの端から離れる。これは、位置Iで示される。その後に、そのバックグラウンド電流部分は、パドルPが、均等な方法で改善することを可能にする。これは、位置IIで示される。プロファイルの波形410の端で、溶融金属Mは、位置IIIで示されるように、ワークピースWへ移動する用意が出来ている。これは、各短絡の後の一貫した動作を生成する。模範的な実施形態のそのような改良形は、溶接の質を改善する一方で、短絡の終わりのプラズマ・ブースト・パルスを使用することの利点をいまだに維持する。その結果、そのプラズマ・ブースト信号は、図10におけるレベル414とは異なるレベルにある、選択された振幅及び持続期間を持つ専用のバックグラウンド部分304を含む。中断信号は、プラズマ・ブースト・パルス412を含む波形410及び専用のバックグラウンド部分又は区分414を通して維持される。タイマー52は、専用のバックグラウンド時間の終わりでリセットされる。その専用のバックグラウンド部分の間に、その波形生成器は、その中断が入力部18の制御をプラズマ・ブースト制御回路350の出力部へと切り替えていることから、無視される。
【0041】
図10‐12に示される実施形態のわずかな改良形は、図13‐15において開示されている。プラズマ・ブースト・パルスの後に電極の端に形成される溶融金属Mは、そのプラズマ・ブースト・パルスの間における一定の状態に従って変化する。その結果、そのプラズマ・ブースト・パルスの間のアーク電圧を感知するフィードバック・ループが、その専用のバックグラウンド区分414を調整するために使用することができる。そのプラズマ・ブースト・パルスの間のアーク電圧は、そのパルスの間のアーク長を表示する。このアーク長は、バックグラウンド電流部分振幅及び/又は持続期間を計算するために使用される。そのプラズマ・ブーストは、パワーの関数として定義されることから、その電圧フィードバックは、相対的アーク長を計算し、バックグラウンド振幅及び/又は持続期間を修正するために使用される。そのバックグラウンド振幅及び持続期間を適合することは、短絡の後のパドルに関する電極配置のさらなる一貫性が促される。独立した適応できる制御は、図14に示される溶接機Dに使用される。この適応可能なループは、波形410のパルス部分412の間に生じる感知されたアーク電圧に従ってバックグラウンド部分414を修正する。この第2の適応可能な制御ループのゲインは、短絡プラズマ・ブーストが次のバックグラウンド電流区分に直接影響を与えるように、設定されなければいけない。その結果、処理されている中断のバックグラウンド電流振幅及び持続期間だけが適応される。従って、電気アーク溶接機Dは、プラズマ・ブーストがアーク電圧フィードバック・ループによって制御されることを可能にする。この目的を達成するために、バックグラウンド部分414の振幅及び持続期間の調節は、電圧センサー34からのアーク電圧を表わす入力部502を有する回路500によってなし遂げられる。出力部504は、スイッチ370が中断位置374にある時間によって決定される中断の間にバックグラウンド部分を調節するために、そのプラズマ・ブースト回路とつながる。この新規な概念は、図13及び図15の比較によって最も良く説明される。図13において、そのバックグラウンド部分414(通常は電流)は、以前記載されたように、固定されたプロファイルである。図14におけるライン502からの電圧は、波形410の新しいバックグラウンド部分414aが新しいポイント416aで終了する図15の破線形態に部分414を調節する。部分414aは、パルス部分412の間にアーク電圧によって調節され、その電圧は、波形410のプラズマ・ブースト・パルス部分の間のアーク長に基本的に対応する。そうでない場合は、図14に示される電気アーク溶接機Dは、以前記載されたように、溶接機A、B及びCと同じである。
【0042】
プラズマ・ブースト・パルスの他の使用は、図16‐18に記載されている。ブースト・パルス部分602及びバックグラウンド部分604を持つプラズマ・ブースト・パルスは、図16に示されるように、曲線100、120の各パルス302間に挿入される。この方法において、プラズマ・ブースト・パルスは、電極の端を予熱し、溶融金属パドルPへ次のパルス302を移動させるために液滴を生成する。そのプラズマ・ブースト・パルスの第1区分は、その電極の端を予熱し、液滴を生成するパルスである。この予熱は、ニッケル合金及びチタンなどの非鉄金属を使用してGMAWパルス溶接において有利に使用されている。各標準パルス間のブースト・パルスのこの法において、金属有心ワイヤ及びフラックス有心ワイヤは、図4及び5に示されるように、FCAW-G及びFCAW-S溶接法を供給するために使用されている。そのプロセスは、図11に示される溶接機Cとは異なる電気アーク溶接機Fによって、その短絡応答回路40を除去し、2方向リセット・ライン608を供給することによって、実施される。プラズマ・ブースト・プロファイル回路350の出力は、スイッチ370がライン364におけるロジックによって中断位置374にシフトされるとき、入力部18へ方向付けられた固定された波形410である。このラインは、タイマー360がポイント612での設定カウントに到達するまで部分610に沿って時間を計る図18において示される信号11である。中断パルス620は、スイッチ370が中断位置374に保持されるとき、存在する。その中断は、タイマー360が開始するときの時間612で開始する。そのタイマーが時間612で開始するとき、ライン354における出力は、図18に示されるプロファイル600aを持つ波形である。タイマー52は、時間424で次のパルス150を開始し、このときに中断620を終了する。従って、中断620の間に、波形600aは、ライン354を通って入力部18へ方向付けられる。従って、信号6は、波形生成器50からの信号2とライン354における波形410に対応する固定されたパルス・プロファイル形状600bとの間で交互に切り替わる。タイマー・リセットの間の期間、その中断は、回路350からの入力部18によって電源を駆動するように処理される。従って、プラズマ・ブースト・パルス600は、電源10によって通常のパルス302の間で定期的に実施される。パワー・ブースト・パルスのこの使用の動作は、溶融金属Mが位置IとIIとの間のワークピースWに移動させられるように、電極Eが溶ける図16の上部分に最も良く示されている。そうしてみると、標準のパルス溶接技術によると、溶融金属Mは、位置IIIに示されるようにワークピースWのパドルPに移動させられる。位置IVにおいて、高パワー・プラズマ・ブーストを含む波形600は、電極EとワークピースWとの間で実施される。この波形は、位置IVに示されるパドルPのアクションを起こす。プラズマ・ブースト・パルス波形600aの固定されたバックグラウンド部分604がそのアークを通して適用されるとき、パドルPは、溶融金属Mに向けて後退し、次の移動パルス302を待機する。これは、位置Vにおいて示されている。波形600aのパルス部分は、電極の端を加熱し、次のパルスの間に移動させられる溶融液滴を生成する。この方法は、それだけで、又は図18に示されるタイミング・シーケンスと組み合わせて使用することができる。他の配置が、波形生成器50からの標準の電流パルス302の間にプラズマ・ブースト・パルスを挿入するのに使用されてもよい。溶接機Fは、図14にオプションとして示されるように溶接機Dのバックグラウンド調節特徴を有し得る。波形600aの導出は、固定されているのが望ましい。電圧又はアーク長からの適応的フィードバックは、選択的である。
【0043】
図23は、プラズマ・ブースト・パルスが標準のパルス溶接法の各パルス間で生成される新規の法の実際の実施の電流曲線である。ポイント901での短絡は、各パルス900の後に起こる。この短絡は、パルス900のピークではないが、減衰部分902の後である。その短絡は、電流ハンプ(hump)904を生成するようにパドルのリズム運動によって自然にクリアされる。これまでに説明された限り、その短絡クリア・ルーティンが電流を増やす前に減衰が存在する。その短絡が、その減衰が終了する前に自然にクリアする場合、クリア電流の増加はない。従って、その短絡は、しばしば、短絡クリア電流のラッシュ(rush)がある前にポイント912でクリアされる。このポイント912における第2信号は、図9に示されるように信号9におけるパルス140の立ち下がりエッジである。その第2信号が電圧感知装置34から生成されるとき、その短絡はクリアされ、プラズマ・ブースト・パルス930が生成される。その回路における固有の時間遅延が原因で、そのポイント912の第2信号とパルス930の開始との間にわずかな時間遅延がある。その後、バックグラウンド電流932が次のパルスへと続く。クリア電流の前のわずかな遅延は、図9におけるパルス142の生成の前であるが、その短絡の間にその遅延は、その短絡を自然にクリアするための時間よりも長くてよい。その短絡が、その遅延が終了する前にクリアされる場合、その溶接機は、それの固有の遅延920と共に直接プラズマ・ブーストの中へと行く。パルス900の間に、形成されるアーク・エネルギーを増加させ、電極の端から伸びる溶融液滴を押しつぶすように、電流が突然増加する。時間Rの間、そのパルスは、その溶融パドルを押圧するプラズマ力を緩めるように減らされる。これは、そのパドルがその液滴へ向けて上昇することを可能にする。ポイント910で短絡があるとき、その液滴は、そのパドルに接触している。ポイント912で短絡が終了するとすぐに、なだらかなプラズマ・ブースト・パルスが、そのパドルを押し離し、電極端部を調整する。これは、その端部及びパドルからの金属の信頼できる分離を確実にし、そのサイクルの安定したリズムをもたらす。クリア電流の前の遅延は、短絡がクリア電流ではなくそのリズムによってクリアすることを可能にする。それが遅延の間にクリアしない場合、標準の電流クリア・ルーティンが実施される・ポイント912における第2信号は、その短絡が、自然に又はクリア電流のどちらによってもクリアされていることをコントローラに報告する。次に、プラズマ・ブースト・パルスが出力される。これは、図16‐18における溶接機の実際の動作である。
【0044】
異なる短絡クリア・ルーティンを持つプラズマ・ブースト・パルスを含む波形を使用することは、本発明の他の態様であり、図19‐21に示されている。溶接機Hは、図11において、入力部702及び出力部704を持つ標準の予測回路700の追加と共に開示されている溶接機Cに似ている。その出力におけるロジックは、センサー34からのアーク電圧のdv/dtが短絡のクリア・ルーティンの間、遅れている短絡を表示する所定のレベルを超える場合に表示する。dv/dt回路は標準であり、その短絡がブレークしそうであるという信号を送る基準値に等しいか又はそれよりも大きい傾斜を検出する。この回路は、ライン352における信号が、図21に示される波形710のアーク部分712を終了し、プラズマ・ブースト・プロファイル回路350の出力部354におけるプラズマ部分714を開始するように、短絡応答回路40を停止する。予測回路700の出力704は、溶接機Hの多数の信号の1つは図20に示されている、信号12におけるパルス720として示される。図20における様々な番号が付けられた信号は、図19に使用された番号に対応する。溶接機Hは、図20に示される信号を生成し、それらの信号は、溶接機Cに対して図11に示された同様の番号がつけられた信号と根本的に同じである。溶接機Hと溶接機Cとの間の基本的な相違は、波形710の短絡クリア部分712に関連する。その短絡が、図20に示されるポイント132で起こるとき、波形710の波形部分712は、短絡応答回路40によって実施される。その波形のこの部分は異なっており、部分730によって表わされる短絡の時間における電流における即時の減少を含む。回路40は、事前に設定された時間732に対して低い電流を保ち、その後にその短絡に対するクリア・ルーティンが実施される。このルーティンは、傾斜部分734に沿って電流における迅速な増加で開始し、いくらかより緩やかな第2傾斜部分736がそれに続く。この電流の増加が、その短絡を通して行われると、その短絡は、ネック(neck)を開始し、dv/dtにおける増加をもたらす。この導関数が特定のレベルに達すると、パルス720が生成される。このパルスは、即時に、減少ポイント730でのレベルに似た低いレベルへと電流を急落させる。予測関係は、dv/dt、di/dt、dp/dt又は時間の導関数であってよい。パルス720による電流の減少は、また、図21に示される一般的な波形710の波形部分713を開始する。他の実施形態において、波形710は、短絡におけるブレークによって開始させられる。波形部分714は、導出部分742を有するプラズマ・ブースト・パルス740を含む。この導出部分は図19においてよりはっきりとしているが、様々な構成を有する。溶接機Hは、溶接機Cに使用される電圧検出器とは反対に、クリア・ルーティンの終了が、短絡の遅れた破裂によって決定される固有の短絡クリア手順を使用する。そうでない場合、そのクリア手順は、一般的に同じである。例外は、時間732の間に減少した電流部分である。金属移動ライン又は電流744は、ピーク電流よりも小さいが、プラズマ・ブースト・パルスの最大電流よりも大きい。短絡があるとき、その短絡がクリアされ、プラズマ・ブースト・パルスが、溶融金属パドルを前進する電極から押し離すように開始され、その間、その前進する電極は、次の移動のための溶融金属球を形成する。図21に示される波形710を使用することによって、短絡による金属の移動は、破壊的ではなく、有利でさえある。実に、パルス溶接法の各パルス150の後に短絡法によって移動する本発明の使用は、いくつかの利点を有することが分かっている。その結果として、本発明の改良形が開発されており、それは、パルス溶接法における短絡による金属の移動に頼る。この改良形は、本発明の新規なプラズマ・ブースト・パルスを使用し、図22に記載されている。
【0045】
短絡移動によって金属を実際に移動させることが目的で、パルス溶接法における新規なプラズマ・ブースト・パルスを通常の噴霧移動の代わりに使用することは、図22において説明されている。本発明のこの態様は、これまでに詳しく記載されている様々な電気アーク溶接機からの要素を使用する。通常のパルス溶接波形は、バックグラウンド電流部分804によって分離され、周期nを生成するように間隔が空けられたパルス802を有する曲線800として示される。各ピーク電流段階806は、通常のように噴霧移動の目的で、前進する電極を溶かすための長さ又は処理時間を有する。このアークを通して移動は、ピーク電流段階の終わりで起こり、ポイント810として示される。パルス802は、溶けるのに十分なエネルギーを有し、ワークピースへ向けて溶融金属の液滴を前進させることを目的としている。このアクションが起こらない場合、その前進するワイヤの端の溶融金属球がそのパドルの溶融金属に接触するときに、短絡が生成される。この接触は、ポイント812で表示される短絡を生成し、短絡が金属クリア・ルーティンを生成し、次に、新規のプラズマ・ブースト・パルスを、制御された第2のバックグラウンド電流と共に又はそれ無しで供給するこれまでに記載された方法を実施し、作動させる。通常のパルス溶接法と図22に示される本発明の態様との間の相違を説明することを目的として、曲線800を使用した代表的な通常のパルス溶接法のパラメータが役立つ。
【0046】
ピーク電流806は、550アンペアの値及び約2.0msの時間の長さを有する。バックグラウンド電流804は、周期nが約8.3msである一方、90アンペアのレベルを有する。これらのパラメータは、以前記載されたように、本発明が追加されるパルス溶接法を表わす。図22において、本発明は、溶融金属を移動させるために短絡状態を使用する法において使用される。この法は、本発明を使用する結果としてもたらされる静かなパドル・ダイナミクスのせいで使用することが出来る。図22の新しいパルス溶接法は、電流パルス830が、曲線800に使用された周波数の2倍に増やされた周波数で供給される曲線820によって示される。この高周波数で、パルス830間の周期mは、通常のパルス溶接法に比較するとき、約4.3msに低減することが出来る。曲線820として描かれるプロセスに対するテンプレートは、また、通常のパルス溶接曲線800からの他の改良形を有する。例えば、そのピーク電流は、475アンペアなどのレベルに低減され、1.5msの短縮された時間を有する。これらは、代表的なパラメータであるが、パルス830は、実際に溶融金属を電極から分離し、それをパルス802によって実行されるようにワークピースへ向けて前進させることを目的としていないことを示す。その結果として、ワイヤ電極がワークピースへ向けて前進すると、パルス830は、そのワイヤの端に溶融金属球を形成するのみである。図22に示される本発明の例示的な実施形態によると、ピーク段階832の後の電流の減少は、バックグラウンド電流レベル834の下からより低い電流ポイント840までである。これは、前進する溶融金属球と溶融金属パドルとの間のアーク力の量を減らす。そのパドルは、従って、その金属球が溶融金属パドルへ向けて動いていることから、その金属球へ向けて上昇する。これは、ポイント842で短絡を起こす。この短絡は、以前記載されたように検出される。本発明は、次に、波形850を生成する。この波形は、パルス部分852及び導出部分854を含む。この波形は、次のパルス830の予備となるワイヤ前進するワイヤの溶融を開始するためのアークが存在するとき、そのプラズマ部分の間に生じる。以前記載されたように、クリア回路がポイント842で始動し、2つの傾斜部分862、864を有するクリア・ルーティンを供給する。図22に開示されている本発明を使用することによって、曲線820は、より高い周波数及びパルスにおけるより低いエネルギーでそれらのパルスを供給する。パルスの終わりで始動する回路は、短絡を確実にするようにアーク電流を急落させる。従って、短絡金属移動が達成される。実際の短絡の終了に続いて新規なプラズマ・ブース波形を使用すること利点は、この新規のパルス溶接法の使用を可能にする。
【0047】
本発明の他の模範的な実施形態において、その溶接溶着速度は、以前記載された実施形態によって成し遂げることができる既に改善した溶接溶着速度よりもかなり増加させることができる。そのような模範的な実施形態が以下に記載される。
【0048】
幅広く知られているように、ほぼ全ての溶接動作において、溶接溶着速度は、溶接動作の商業的成功における重要な因子である。ほとんどの場合のように、より速いものがより良い。溶接において、増加した溶着速度を取得するための多数の方法が存在し、それらは、ワイヤ・フィード速度、及び又は溶接電極の直径を増やすことを特に含む。しかし、溶接動作においてこれらの変化のいずれを実施するためにも、電流における増加が、溶着速度の増加を促すために必要であることが知られている。この電流における増加は、いくつかの重要な欠点をもたらし、それらは、溶接するときにより高い電流を使用することにおける限定因子である。これらの欠点のいくつかは、溶接プールにおけるさらなる熱の生成及び、その溶接エリアにおいて、その溶接プールをさらに流体にすること、及び溶接貫通における増加をとりわけ含む。これらの欠点の各々は、結果としてもたらされる溶接の質の重要な劣化に至り得る。そのようにして、溶着速度を増やすことを試みる場合、溶接機は、望ましい溶着速度をその溶接の質とバランスを取らなければいけない。多くの応用は、質の高い溶接を必要とすることから、電極のサイズ及びタイプなどの溶接パラメータに基づいて、達成できる溶着速度に固有の限度がある。
【0049】
本発明の模範的な実施形態は、生産性における全体的なかなりの増加が達成できるように、溶接の質を維持する一方で溶接溶着速度におけるかなりの増加を可能にする。本発明の模範的な実施形態は、例えば、より大きい直径の電極の使用を通して、入熱における増加無しで、増加した溶着速度を可能にする一方、他の実施形態(以下においてより詳しく考察されるように)は、溶接溶着の増加した速度が達成されてもなおかつ溶接の中への入熱の全体的な減少を可能にする。
【0050】
以下の考察を目的として、当然のことながら、上記で考察された様々な溶接電力供給実施形態は、以下の模範的な実施形態と共に使用されてもよい。
【0051】
上記において手短に考察されたように、増加した直径の溶接電極を使用することによって、溶着速度における増加が可能になる。しかし、周知の溶接実施を使用することにおいて、直径における増加は、溶接電流における増加を必要とし、従って、その溶接の中への入熱を必要とする。
【0052】
例えば、以前考察された実施形態のいくつかの模範的な応用において、0.045”の直径を持つ電極を使用する場合、300アンペアの電流が、許容可能な溶接の質を約450インチ毎分(ipm)のワイヤ・フィード速度で可能にするためには必要である。これは、約12.2 lbs/hourの溶着速度と同じである。もし、そのワイヤ・フィード速度を維持する一方で溶着速度を増やすことを望んだ場合、0.052”の直径などを有するより大きい電極を使用することができる。しかし、電極直径を増やすことによって、溶接電流を300から約350アンペアに増やす必要がある。この溶接アンペア数における増加は、その溶接の中への入熱のかなりの増加をもたらし、上記で考察されたように有害であり得る。
【0053】
しかし、本発明の模範的な実施形態において、より大きい電極が、溶接電流を増やす必要なく利用され得る。従って、本発明の実施形態は、溶接エリアの中への入熱の増加による不利な効果をもたらさずに、溶着速度における増加を可能にする。
【0054】
本発明の実施形態において、増加したコンタクトチップ・ワークピース間距離(CTWD)は、周知の溶接方法よりも増加する。CTWDを増やすことによって、電極を溶かすために必要な電流は減少する。従って、より大きい電極サイズを溶かすためにより高い電流を必要とすることに対し、前進する電極を溶かすために必要な全体の溶接電流を低下させる増加したCTWDの使用が反作用する。本発明のこの態様の模範的な実施形態は、図24に示されている。
【0055】
図24において、溶接ガン装置1000の溶接端部分が示されている。当然のことながら、その溶接装置1000は、MIGタイプの溶接ガン又は類似物であり、溶接電極Eがその中を通って溶接Wへと行く。本発明は、装置1000の全体的構造及び機能に限定されない・示されるように、装置1000は、溶接電極Eが溶接Wへと通過する溶接接触先端部1030を含む。さらに、その溶接電流及び電圧である溶接波形は、その接触先端部1030を通って電極Eへと通過し、溶接動作を実施する。その接触先端部1030は、シールドガスを溶接エリアへと方向付けるように使用され、溶接ガスを抽出するように構成されていてもよいガス拡散器1050に結合されている。そのガス拡散器1050の構成及び使用は、当業者によく知られており、本文献では詳しく考察されない。
【0056】
接触先端部1030及びガス拡散器1050の周囲には、ガス・コーン(gas cone)1010がある。そのガス・コーンは、シールドガスをその溶接のエリアの周囲に方向付け集中させ及び/又は溶接ガスを抽出するために使用される。ガス拡散器1050のように、そのガス・コーン1010は、当業者によく知られている。
【0057】
本発明の模範的な実施形態において、CTWD(数字2で示される)は、通常使用されるものよりも大きい。特に、示される実施形態において、その接触先端部1030は、通常使用されるものよりも短い長さを有する。従って、CTWD(2)は、通常使用されるものよりも長い。上記において考察されたように、より長いCTWD(2)を使用することによって、溶接に対して必要とされるアンペア数は下がることから、より小さいサイズの電極の同じアンペア数でより大きい直径の電極の溶接が可能になる。本発明の示される実施形態において、接触先端部1030は、標準の接触先端部よりも短く、ガス・コーン1010は、典型的なサイズ及び構成である。これは、目に見える突出(1)が、通常知られているものと一貫していることを保証する。目に見える突出(1)を一定の距離に維持することによって、シールドガスの動作および使用は変える必要がない。さらに、溶接機は、異なる突出の長さで溶接動作を再びラーン(learn)する必要はない。
【0058】
本発明の他の模範的な実施形態において、その接触先端部1030の長さは、周知である当該技術に使用されるものと一貫しており、ガス・コーン1010の長さは、拡張される。そのような実施形態(非表示)において、同じ効果が達成される。それは、CTWD(2)が通常よりも長い一方、眼に見える突出(1)は同じままであることである。
【0059】
本発明の模範的な実施形態において、そのCTWDは、少なくとも1/2”の分、標準のCTWDよりも拡張される。例えば、3/4”のCTWD距離及び5/8”の目に見える突出が0.045”の直径を持つ電極に対して使用された場合、本発明の実施形態は、0.052”が直径の電極を使用するとき、1 1/4”のCTWD及び5/8”の目に見える突出を使用する。本発明のこの実施形態を使用することによって、溶着速度における増加が、溶接の質に不利な影響を与えずに又は溶接の中への入熱を増やさずに達成することができる。さらに、実施形態の使用は、以前必要とされていたように、同じ入熱で溶着速度の増加を可能にし、そのワークピースの中への入熱の全体的な減少をもたらす。
【0060】
本発明の模範的な実施形態において、CTWD又はその電極の突出は、1から2インチまでの範囲にある。さらに模範的な実施形態において、その突出は、1.25から1.75インチの範囲にある。
【0061】
本発明のさらなる模範的な実施形態において、修正された溶接波形が、その溶接法の間に溶接アーク・プラズマを集中させるために使用される。より長いCTWDが使用される本発明の実施形態において、その溶接アーク・プラズマを集中させる溶接パルスの間に、電流ピーク特徴を有する波形を使用することが必要であってよい。この集中は、より長いCTWDにおいて溶接アークを安定化するのに役立つ。図25は、本発明の実施形態に従って、波形における電流パルスの模範的なプロファイルを描く。
【0062】
図25に示されるように、本発明の模範的な実施形態において、波形における電流パルスは、バックグラウンド電流に比べて比較的高いピーク振幅および短いピーク幅を使用する。これらの波形特徴を有することによって、溶融液滴の移動力が増え、それは、アーク・プラズマの集中をもたらす。この波形プロファイルは、また、溶接の中心線貫通プロファイルを改善し得る。
【0063】
本発明の模範的な実施形態において、その溶接波形のピーク振幅は、ピーク‐バックグラウンド電流比が少なくとも6であるという条件を満たす振幅を持つ。本発明の他の模範的な実施形態において、そのピーク‐バックグラウンド電流比は、6から9までの範囲にある。他の模範的な実施形態においてその比は、6から8までの範囲にある。
【0064】
図25に示される比限定的な例において、模範的なパルス波形2000が、約580のピーク振幅2010及び約90アンペアのバックグラウンド電流2020を有して示されている。従って、そのピーク‐バックグラウンド比は、約6.4である。当然のことながら、本発明は、この示されている実施形態に限定されない。また、注目すべきは、本出願において以前考察されたようなプラズマ・ブースト・パルスは、簡潔さ及び明確性を目的として、この波形において示されていないことである。しかし、本発明の様々な実施形態は、上記に記載されたプラズマ・ブースト及び本発明の他の態様を、図25に示され、ここで考察されたような波形プロファイルで使用することを検討する。
【0065】
図25にまた示されるように、ピーク振幅2010の持続期間は、比較的短い。上記で考察されたように、これは、集中したアーク・プラズマを供給することにおいて役立つ。図25において示される非限定的な実施形態において、ピーク時間は約1.4msである。本出願の目的では、そのピーク時間は、パルスの開始からそのパルスのピークの終わりまでの時間の期間を呼ぶ。さらに、本出願の目的では、バックグラウンド持続時間又は時間は、そのパルスのピークの終わりで開始し、次のパルスの開始で終了する。しかし、他の模範的な実施形態において、そのピーク時間は、その溶接電力供給装置によっては、0.5msほども低くなり得る。本発明の模範的な実施形態において、そのピーク時間は、0.5から3msまでの範囲における持続時間を有する。本発明のさらなる模範的な実施形態において、そのピーク時間は、0.5から2msまでの範囲にある持続時間を有する一方、さらに他の模範的な実施形態では、そのピーク持続時間は、0.5から1.5msまでの範囲にある持続時間を有する。しかし、本発明の実施形態に対して、そのピーク時間の持続時間は、ワイヤ・サイズ及び/又は使用される溶接電力供給装置のサイズの関数であり得ることが分かっている。つまり、より大きい電極及びより大きい電力供給装置は、より高い電流ピークを達成することができることから、液滴を溶接プールの中へ移動させるためにより長いピーク時間を必要としなくてよい。本発明の様々な実施形態において、そのピーク時間の持続時間は、可能な限り短いように最小化される。これは、本発明のパフォーマンスを最適化するのに役立つ。
【0066】
本発明のさらなる模範的な実施形態において、固体又は金属有心溶接電極Wが使用され、それは、その電極において重量で0.010から0.030%の硫黄を有する。他の実施形態において、その電極は、硫黄を重量で0.012から0.023%含む。この硫黄含有量を持つ溶接電極を使用することによって、溶接プール流動性が改善され得る。
【0067】
上記において考察されたように、本発明の様々な実施形態を実施することによって、溶接操作は、高い溶着速度に通常関連する如何なる難点も抱えずに、溶接溶着速度におけるかなりの増加を達成することができる。特に、溶接溶着速度は、他の実施形態又は溶接の応用に対して33%までも高く改善できる。これは、本発明が、減少した電圧レベルでより大きい直径の電極の使用を許容するからのみではなく、その溶接動作の移動速度における増加も許容するからである。さらに、本発明の様々な実施形態は、溶接スパッター及び溶接における全体の入熱を、高い溶着速度を維持する一方で低減することができる。
【0068】
いくつかのパルス溶接機及び溶接方法が記載されてきている。様々な溶接機及び方法の特徴は、製造元及び/又はユーザーの希望に従って組み合わせるか又は除外することが出来る。1つの実施形態からのある一定の改良形は、技術的な矛盾を示さない他の実施形態において使用されることが予想されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス溶接の方法であり:
パルス溶接法を実施するために溶接電極をワークピースへ向けて前進させるステップ;
前記パルス溶接法に対するパルス溶接波形を生成するステップであり、該パルス溶接波形は、前記電極が前記ワークピースから分離するときに開始するピーク電流及びバックグラウンド電流によって定義されるパルスを有する一連の連続的な波形を含む、ステップ;
前記電極と前記ワークピースとの間に短絡が生じるときを検出するステップ;
前記短絡をクリアするステップ;及び
前記短絡がクリアされた後にプラズマ・ブースト・パルスを生成するステップ;
を含み、
前記ピーク電流と前記バックグラウンド電流との比は、少なくとも6である、方法。
【請求項2】
前記比は、6から9までの範囲又は6から8までの範囲にある、請求項1に記載のパルス溶接方法。
【請求項3】
コンタクトチップ・ワークピース間距離(CTWD)を1から2インチまでの範囲、又は1.25から1.85インチまでの範囲に維持するステップをさらに含む、請求項1又は2に記載のパルス溶接方法。
【請求項4】
前記ピーク電流の持続期間は、0.5から3msまでの範囲、0.5から2msまでの範囲、又は0.5から1.5msまでの範囲にある、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のパルス溶接方法。
【請求項5】
前記電極は、前記電極の重量で0.010から0.030%の範囲又は0.012から0.023%までの範囲における硫黄含有量を有する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記プラズマ・ブースト・パルスは、5から20KWの範囲において調節されるパワー及び0.2から5msまでの持続期間を有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載のパルス溶接方法。
【請求項7】
前記電極は、有心電極である、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のパルス溶接方法。
【請求項8】
前記プラズマ・ブースト・パルスに続いて制御されるバックグラウンド電流区分の生成をさらに含む、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のパルス溶接方法。
【請求項9】
前記プラズマ・ブースト・パルスは、調節されたアーク電流である、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のパルス溶接方法。
【請求項10】
前記電極と前記ワークピースとの間のアーク長を0.3インチ未満に維持するステップをさらに含む、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のパルス溶接方法。
【請求項11】
パルス溶接法を実施する電気アーク溶接機であり:
前記パルス溶接法を実施するためにパルス溶接波形を生成し、前進する電極、特に有心電極とワークピースとの間において電圧駆動電流を供給する波形回路であり、前記パルス溶接法は、各々が、前記電極が前記ワークピースから分離されるときに開始するピーク電流及びバックグラウンド電流によって定義されるパルスを有する一連の連続的な波形を含む、波形回路;
前記電極と前記ワークピースとの間における短絡の検出において短絡信号を生成する短絡検出回路;
前記短絡信号に応答して、前記短絡をクリアするためのクリア回路;及び
前記短絡がクリアされた後に、プラズマ・ブースト・パルスを生成するためのブースト回路;
を含み、前記波形回路は、少なくとも6である前記ピーク電流と前記バックグラウンド電流との間の比を供給する、電気アーク溶接機。
【請求項12】
請求項11に記載の電気アーク溶接機であり、前記波形回路は、6から9までの範囲、又は6から8までの範囲における前記ピーク電流と前記バックグラウンド電流との間の比を供給し;及び/又は、コンタクトチップ・ワークピース間距離(CTWD)は、1から2インチまでの範囲又は1.25から1.75インチまでの範囲にあり;及び/又は、前記ピーク電流の持続期間は、0.5から3ms、0.5から2ms又は0.5から1.5msまでの範囲にあり;及び/又は前記電極は、該電極の重量によって0.010から0.030%又は0.012から0.023%までの範囲における硫黄含有量を有する、電気アーク溶接機。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の電気アーク溶接機であり、ブースト回路は、5から20KWまでの範囲において調節されるパワー、及び0.2から5msの持続期間を有する前記プラズマ・ブースト・パルスを生成するように動作可能であり;及び/又は前記プラズマ・ブースト・パルスに続くバックグラウンド電流区分を生成するように動作可能である、電気アーク溶接機。
【請求項14】
前記短絡の後及び前記プラズマ・ブースト・パルスの前に前記電流を増加させるための回路をさらに含む、請求項11から13のいずれか1項に記載の電気アーク溶接機。
【請求項15】
前記プラズマ・ブースト・パルスの間にアーク電圧を感知するための回路、及び前記の感知されたアーク電圧に基づいて前記バックグラウンド電流区分を調整するための回路をさらに含む、請求項11乃至14のいずれか1項に記載の電気アーク溶接機。
【請求項1】
パルス溶接の方法であり:
パルス溶接法を実施するために溶接電極をワークピースへ向けて前進させるステップ;
前記パルス溶接法に対するパルス溶接波形を生成するステップであり、該パルス溶接波形は、前記電極が前記ワークピースから分離するときに開始するピーク電流及びバックグラウンド電流によって定義されるパルスを有する一連の連続的な波形を含む、ステップ;
前記電極と前記ワークピースとの間に短絡が生じるときを検出するステップ;
前記短絡をクリアするステップ;及び
前記短絡がクリアされた後にプラズマ・ブースト・パルスを生成するステップ;
を含み、
前記ピーク電流と前記バックグラウンド電流との比は、少なくとも6である、方法。
【請求項2】
前記比は、6から9までの範囲又は6から8までの範囲にある、請求項1に記載のパルス溶接方法。
【請求項3】
コンタクトチップ・ワークピース間距離(CTWD)を1から2インチまでの範囲、又は1.25から1.85インチまでの範囲に維持するステップをさらに含む、請求項1又は2に記載のパルス溶接方法。
【請求項4】
前記ピーク電流の持続期間は、0.5から3msまでの範囲、0.5から2msまでの範囲、又は0.5から1.5msまでの範囲にある、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のパルス溶接方法。
【請求項5】
前記電極は、前記電極の重量で0.010から0.030%の範囲又は0.012から0.023%までの範囲における硫黄含有量を有する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記プラズマ・ブースト・パルスは、5から20KWの範囲において調節されるパワー及び0.2から5msまでの持続期間を有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載のパルス溶接方法。
【請求項7】
前記電極は、有心電極である、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のパルス溶接方法。
【請求項8】
前記プラズマ・ブースト・パルスに続いて制御されるバックグラウンド電流区分の生成をさらに含む、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のパルス溶接方法。
【請求項9】
前記プラズマ・ブースト・パルスは、調節されたアーク電流である、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のパルス溶接方法。
【請求項10】
前記電極と前記ワークピースとの間のアーク長を0.3インチ未満に維持するステップをさらに含む、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のパルス溶接方法。
【請求項11】
パルス溶接法を実施する電気アーク溶接機であり:
前記パルス溶接法を実施するためにパルス溶接波形を生成し、前進する電極、特に有心電極とワークピースとの間において電圧駆動電流を供給する波形回路であり、前記パルス溶接法は、各々が、前記電極が前記ワークピースから分離されるときに開始するピーク電流及びバックグラウンド電流によって定義されるパルスを有する一連の連続的な波形を含む、波形回路;
前記電極と前記ワークピースとの間における短絡の検出において短絡信号を生成する短絡検出回路;
前記短絡信号に応答して、前記短絡をクリアするためのクリア回路;及び
前記短絡がクリアされた後に、プラズマ・ブースト・パルスを生成するためのブースト回路;
を含み、前記波形回路は、少なくとも6である前記ピーク電流と前記バックグラウンド電流との間の比を供給する、電気アーク溶接機。
【請求項12】
請求項11に記載の電気アーク溶接機であり、前記波形回路は、6から9までの範囲、又は6から8までの範囲における前記ピーク電流と前記バックグラウンド電流との間の比を供給し;及び/又は、コンタクトチップ・ワークピース間距離(CTWD)は、1から2インチまでの範囲又は1.25から1.75インチまでの範囲にあり;及び/又は、前記ピーク電流の持続期間は、0.5から3ms、0.5から2ms又は0.5から1.5msまでの範囲にあり;及び/又は前記電極は、該電極の重量によって0.010から0.030%又は0.012から0.023%までの範囲における硫黄含有量を有する、電気アーク溶接機。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の電気アーク溶接機であり、ブースト回路は、5から20KWまでの範囲において調節されるパワー、及び0.2から5msの持続期間を有する前記プラズマ・ブースト・パルスを生成するように動作可能であり;及び/又は前記プラズマ・ブースト・パルスに続くバックグラウンド電流区分を生成するように動作可能である、電気アーク溶接機。
【請求項14】
前記短絡の後及び前記プラズマ・ブースト・パルスの前に前記電流を増加させるための回路をさらに含む、請求項11から13のいずれか1項に記載の電気アーク溶接機。
【請求項15】
前記プラズマ・ブースト・パルスの間にアーク電圧を感知するための回路、及び前記の感知されたアーク電圧に基づいて前記バックグラウンド電流区分を調整するための回路をさらに含む、請求項11乃至14のいずれか1項に記載の電気アーク溶接機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公表番号】特表2013−501626(P2013−501626A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524298(P2012−524298)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【国際出願番号】PCT/IB2010/001978
【国際公開番号】WO2011/018693
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(510202156)リンカーン グローバル,インコーポレイテッド (14)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【国際出願番号】PCT/IB2010/001978
【国際公開番号】WO2011/018693
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(510202156)リンカーン グローバル,インコーポレイテッド (14)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]