説明

ガスメータ

【課題】結露の発生を抑えて表示器の視認性を維持することが可能なガスメータの提供を目的とする。
【解決手段】本発明のガスメータ10では、機器カバー50に設けられた第1の窓部55及び第2の窓部56が二重窓構造をなしている。即ち、外側透光板70と内側透光板80とが、カウンタ表示器30及び液晶ディスプレイ23の前側で隙間を空けて対向配置されており、外側透光板70と内側透光板80との間に形成された中空層S1,S2が断熱効果を発揮する。これにより、機器カバー50における第1及び第2の窓部55,56の内面、つまり、内側透光板80の内面における結露の発生を抑えることができ、カウンタ表示器30及び液晶ディスプレイ23の視認性を維持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓部を有したカバー体で表示器を覆ったガスメータに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来のガスメータとしては、カバー体の一部に窓部としての透光部材を備えたものが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−2235号公報(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上述した従来のガスメータでは、透光部材の内面に結露が発生して表示器の視認性が悪くなるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、結露の発生を抑えて表示器の視認性を維持することが可能なガスメータの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係るガスメータは、表示器をカバー体で覆い、カバー体に備えた窓部を通して外部から表示器を視認可能としたガスメータにおいて、窓部は、1対の板状透光部材を隙間を空けて対向させかつ表示器の前側に配置してなる二重窓構造であるところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のガスメータにおいて、1対の板状透光部材のうち内側の板状透光部材における表示器との対向領域の板厚を、その対向領域の外側の板厚よりも厚くしたところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のガスメータにおいて、1対の板状透光部材のうち外側の板状透光部材における表示器との対向領域の板厚を、その対向領域の外側の板厚よりも厚くしたところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載のガスメータにおいて、1対の板状透光部材のうち内側の板状透光部材の一部を文字盤に兼用したところに特徴を有する。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れか1の請求項に記載のガスメータにおいて、カバー体の下端部を上下方向に貫通し、カバー体の内部の水を外部に排出可能な水抜孔を備えたところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0011】
[請求項1の発明]
請求項1のガスメータの構成によれば、窓部は、1対の板状透光部材を隙間を空けて対向させかつ表示器の前側に配置した二重窓構造となっており、1対の板状透光部材の間の隙間が断熱効果を発揮するので、1対の板状透光部材のうち、内側の板状透光部材の内面における結露の発生を抑えることができる。即ち、本発明によれば、結露の発生を抑えて表示器の視認性を維持することが可能になる。
【0012】
[請求項2の発明]
請求項2のガスメータによれば、1対の板状透光部材のうち、内側の板状透光部材における表示器との対向領域の板厚を、その対向領域の外側の板厚よりも厚くしたことで、対向領域の外側は、対向領域に比べて熱が伝わり易くなる。即ち、板状透光部材における対向領域の外側を、対向領域に比べて結露が発生し易い構成にしておくことで、対向領域における結露の発生を抑えることができる。
【0013】
[請求項3の発明]
請求項3のガスメータによれば、1対の板状透光部材のうち、外側の板状透光部材における表示器との対向領域の板厚を、その対向領域の外側の板厚よりも厚くした外側透光板のうち、表示器との対向領域の板厚を、対向領域の外側領域の板厚よりも厚くしたことで、対向領域の外側は、対向領域に比べて熱が伝わり易くなる。即ち、板状透光部材における対向領域の外側を対向領域に比べて結露が発生し易い構成にしておくことで、対向領域における結露の発生を抑えることができる。
【0014】
[請求項4の発明]
請求項4のガスメータによれば、内側の板状透光部材の一部が文字盤に兼用されるから、文字盤を備えている従来のガスメータから部品点数を増やすことなく、結露の発生を抑えることができる。
【0015】
[請求項5の発明]
請求項5の発明によれば、カバー体の内部で結露が発生した場合でも結露水は自然に排出される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係るガスメータの側断面図
【図2】ガスメータの上端部における側断面図
【図3】ガスメータの正断面図
【図4】ガスメータの平断面図
【図5】機器カバーの斜視図
【図6】機器カバーの正面図
【図7】本体カバーのカバー筐体及び端子カバーの正面図
【図8】機器カバーの背面図
【図9】機器カバーの側断面図
【図10】外側透光板及び内側透光板の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図10に基づいて説明する。本実施形態のガスメータ10は、例えば、家庭用プロパンガスの使用量を計測するための膜式ガスメータであって、図1に示すように、金属製のメータボディ11の外側に、樹脂製の機器カバー50(本発明の「カバー体」に相当する)を組み付けて備えている。
【0018】
メータボディ11は、計量ハウジング12の上面に上部ハウジング13を固定して備えている。計量ハウジング12の内側の計量室12Rには、ダイヤフラムを主要部とした計量ユニット14が収容されている。
【0019】
上部ハウジング13の内側には、リンク機構等で構成された伝達機構15が収容されている。伝達機構15は、ダイヤフラムの往復運動を回転運動に変換してカウンタ表示器30(本発明の「表示器」に相当する)に伝達する。
【0020】
図4に示すように、カウンタ表示器30は、複数(例えば、8桁分)の数字車を同軸上に横並びに備えた機械式の表示器であって、メータボディ11の外面のうち上部ハウジング13の前面壁13Wに固定されている(図1参照)。各数字車は互いにギヤ連結されており、最小桁(右端)の数字車には、伝達機構15の末端部に備えた出力軸15S(図1参照)がギヤ連結されている。なお、出力軸15Sは、上部ハウジング13の前面壁13Wを気密状態で貫通している。
【0021】
図3に示すように、上部ハウジング13の上面の左右両端位置からは、ガス入口管16とガス出口管17とが上方に向かって突出している。これらガス入口管16及びガス出口管17の内側の流路は、上部ハウジング13の内部に設けた1対の内部管状壁16P,17P(図4参照)の内側を通って、計量室12R内に連通している。これにより、ガス入口管16に流れ込んだガスは、上部ハウジング13内に漏れることなく計量室12Rへと全て流れ込んだ後、計量室12Rからガス出口管17を通ってガスメータ10の外部へと流出する。その際、計量室12Rを通過するガスの流量に応じて計量ユニット14(ダイヤフラム)及び伝達機構15が作動して、カウンタ表示器30にガスの流量(積算流量)が表示される。なお、本実施形態では、出力軸15Sの先端に円盤形のマグネットホルダ18が備えられ、そのマグネットホルダ18に固定された複数の磁石18M,18Mとリードスイッチ24とが磁気的に連結している。そして、リードスイッチ24が出力する信号を図示しない制御回路で処理することが可能となっている。
【0022】
ガス入口管16に対応した内部管状壁16Pには、遮断弁19が取り付けられており、遮断弁19によってガス入口管16の流路が開閉されるようになっている。また、ガス入口管16に対応した内部管状壁16Pには、大気圧を基準にしてガス圧を検出する圧力センサ20が備えられており、その圧力センサ20により、ガス圧の異常を検出可能となっている。
【0023】
メータボディ11の外面のうち計量ハウジング12の前面壁12Wには、樹脂製のブラケット21が固定されている。ブラケット21は、扁平筺形をなし、扁平方向の一面が開放している。そして、その開放口を計量ハウジング12の前面壁12Wに宛がって、前面壁12Wのほぼ全体を覆った状態で計量ハウジング12に螺子止めされている。
【0024】
ブラケット21の前面には回路基板22が固定されている。回路基板22は、その板厚方向が前後方向を向くように配置され、その前面に、液晶ディスプレイ23(本発明の「表示器」に相当する)を含む複数の部品が実装されている。液晶ディスプレイ23は、回路基板22の上端寄り位置に、回路基板22の前面から浮かした状態で固定されている。液晶ディスプレイ23には、ガス漏れやガス圧異常等の保安情報が記号(例えば、円で囲まれたアルファベット「A」、「B」、「C」)で表示される。また、液晶ディスプレイ23の周りには、コネクタ、震感器(以上、図示せず)、リードスイッチ24、LED25、バッテリー26、復帰ボタン27等が配置され、回路基板22の下端寄り位置には端子台28が配置されている。また、回路基板22のコネクタと遮断弁19及び圧力センサ20との間がハーネス29(図2参照)によって接続されている。
【0025】
さて、メータボディ11の前面には、上記したカウンタ表示器30と回路基板22の前面及び周囲を覆うように、機器カバー50が取り付けられている。
【0026】
図5に示すように、機器カバー50は縦長の筺形状をなしている。また、機器カバー50は、ガスメータ10の前後方向で扁平となっており、その扁平方向の一面が開放している。
【0027】
機器カバー50の開口端にはインロー部53が形成されており、そのインロー部53がメータボディ11の前面側外縁部の外側に嵌合している(図1参照)。そして、インロー部53を貫通した複数の固定ネジ(図示せず)によって、機器カバー50がメータボディ11の前面に着脱可能に固定されている。図7に示すように、機器カバー50の開口端面には環状のシール部材54(例えば、スポンジパッキン)が装着されており、そのシール部材54によって機器カバー50との合体面がシールされている(図1参照)。これにより、機器カバー50とメータボディ11との合体面からの雨水の浸入を防止することができる。
【0028】
図5及び図6に示すように、機器カバー50のうち、メータボディ11の前面と対向したカバー主板壁51には、上下に2つの窓部55,56(以下、「第1の窓部55」及び「第2の窓部56」という)が設けられている。第1の窓部55は、カバー主板壁51の上端部に設けられており、第2の窓部56は、カバー主板壁51の上下方向の中央部に設けられている。第1及び第2の窓部55,56は、共に上下方向に対して左右方向が長い横長形状となっている。そして、第1の窓部55は、カウンタ表示器30の前側に対向配置されており、第2の窓部56は液晶ディスプレイ23の前側に対向配置されている(図1参照)。即ち、第1の窓部55を通して、機器カバー50の内部に配置されたカウンタ表示器30を外部から視認可能となっている。また、第2の窓部56を通して、機器カバー50の内部に配置された液晶ディスプレイ23を外部から視認可能となっている。
【0029】
機器カバー50のうち、第2の窓部56の左下角部には、回路基板22に備えた復帰ボタン27に対向させて、円形ドーム形のボタン押圧部材57が取り付けられている。ボタン押圧部材57はゴムで構成されており、その中心部分からは、図示しない押圧軸部が突出形成されている。押圧軸部は機器カバー50のカバー主板壁51を貫通してその先端部が、復帰ボタン27に突き合わされている。
【0030】
機器カバー50のうち、回路基板22等を包囲したカバー囲壁52には、水抜孔58が形成されている。水抜孔58はスリット状をなしており、図1に示すように、カバー囲壁52の下端部を上下方向に貫通している。万が一、機器カバー50の内部に水が浸入したり、機器カバー50の内部で結露が発生した場合でも、それらの水は、水抜孔58から自然に排出されるようになっている。また、水抜孔58は、カバー囲壁52の下端部に設けられているから、水抜孔58からの雨水の侵入を防止することができ、スリット状をなしているから、水抜孔58からの虫の侵入を防止することができる。
【0031】
機器カバー50は、メータボディ11の前面に取り付けられた各種機器のうち、端子台28を覆った端子台カバー61と、端子台28以外の機器を覆った表示器カバー60とに分解可能となっている(図9参照)。表示器カバー60は、上記した第1及び第2の窓部55,56を備えており、第2の窓部56より下側に、横長の端子露出口62を備えている。この端子露出口62から端子台28が露出するようになっている。
【0032】
端子台カバー61は、表示器カバー60に対して上下方向にスライドさせることで着脱可能となっている。また、表示器カバー60の下端部と端子台カバー61の下端部には、それぞれネジ孔60N,61N(図9参照)が形成されており、それらネジ孔60N,61Nに螺合した固定ネジ63によって、端子台カバー61が表示器カバー60に固定されている。この合体状態において、端子台カバー61の外面と表示器カバー60の外面は面一となる。
【0033】
表示器カバー60のうち端子台カバー61で覆われた外面と端子台カバー61の内面には、それぞれ係合突条60K,61Kが形成されており、表示器カバー60と端子台カバー61とが合体した状態で、それら係合突条60K,61K同士がカバー主板壁51の板厚方向で係合するようになっている(図1参照)。
【0034】
表示器カバー60に備えた係合突条60Kは、図9に示すように、端子露出口62を上方及び側方から囲んだ門形をなしており、その内側面には係合溝60Mが形成されると共に、係合溝60Mを形成することで相対的に内側に突出した係合爪60Tとが形成されている(図5及び図8参照)。
【0035】
一方、端子台カバー61に備えた係合突条61Kも、表示器カバー60に備えた係合突条60Kと同様な門形をなしており、その外側面には係合溝61Mが形成されると共に、係合溝61Mを形成することで相対的に外側に突出した係合爪61Tとが形成されている(図1参照)。
【0036】
そして、図1に示すように、表示器カバー60と端子台カバー61とが合体した状態では、各係合突条60K,61Kの係合溝60M,61Mと係合爪60T,61Tとが互いに凹凸係合する。また、係合突条60K,61Kのうち、端子露出口62の左右両側で上下方向に延びた部分が、表示器カバー60に対する端子台カバー61の上下方向へのスライドをガイドする。
【0037】
さて、第1及び第2の窓部55,56を備えた表示器カバー60は、図9に示した非透光性のカバー筐体64と、図10に示した1対の透光板70,80(本発明の「1対の板状透光部材」に相当する)とから構成されている。即ち、カバー筐体64には、第1の窓部55を構成する横長の第1の表示窓枠65と、第2の窓部56を構成する横長の第2の表示窓枠66とが貫通形成されている。そして、第1及び第2の表示窓枠65,66が、カバー主板壁51の板厚方向で対向配置された1対の透光板70,80によって内外両面側から塞がれている(図8参照)。
【0038】
1対の透光板70,80は、共に無色透明な樹脂(例えば、アクリル樹脂)で構成され、その板厚は、例えば、1〜4[mm]となっている。以下、カバー筐体64の外面に宛がわれた透光板70を、「外側透光板70」といい、カバー筐体64の内面に宛がわれた透光板80を「内側透光板80」という。
【0039】
図10に示すように、外側透光板70は、第1の表示窓枠65に対向した第1の横長板部71と、第2の表示窓枠66に対向した第2の横長板部72と、これら第1と第2の横長板部71,72を、その長手方向の両端部と中間部とで連結した3つの梁部73,73,73とから構成されている。
【0040】
第1の横長板部71は第1の表示窓枠65を一回り大きくした長方形をなしている。また、第2の横長板部72は、第2の表示窓枠66を一回り大きくして左下角部をボタン押圧部材57側に張り出させた形状をなしている。第2の横長板部72の左下角部には、ボタン押圧部材57を前面側に露出させるための操作用貫通孔74が貫通形成されている。なお、操作用貫通孔74はボタン押圧部材57の外径より小径となっており、その内周縁でボタン押圧部材57を抜け止めしている。
【0041】
カバー筐体64の外面には、外側透光板70と同一形状の嵌込凹部68が陥没形成されており、その嵌込凹部68に、外側透光板70が嵌め込まれている。第1及び第2の表示窓枠65,66と、ボタン押圧部材57の押圧軸部を支持した軸支持孔67とが嵌込凹部68に貫通形成されており、嵌込凹部68の深さは、ここに嵌め込まれる外側透光板70の板厚とほぼ同じとなっている。そして、外側透光板70は、嵌込凹部68のうち、第1及び第2の表示窓枠65,66の外周縁に沿って周回した環状の段差面と、軸支持孔67の周囲の段差面とに宛がわれて、例えば、レーザー溶着によって固定されている。これにより、第1及び第2の表示窓枠65,66と軸支持孔67からの水の侵入を防止することができる。
【0042】
内側透光板80は、その外縁部が第1及び第2の表示窓枠65,66の外縁部に沿った形状をなしている。詳細には、図7に示すように、内側透光板80の上辺は第1の表示窓枠65の上辺に沿って延びており、内側透光板80の下辺は第2の表示窓枠66の下辺に沿って延びており、内側透光板80の左右の両側辺は、第1及び第2の表示窓枠65,66の左右の両側辺に沿って延びている。内側透光板80の上辺側部分81は、第1の表示窓枠65と対向しており、内側透光板80の下辺側部分82は、第2の表示窓枠66と対向している。また、内側透光板80の上下方向の中間部分は、カバー筐体64のうち、第1の表示窓枠65と第2の表示窓枠66との間で左右方向に延びた中間壁部64Wの内面に宛がわれている(図7参照)。
【0043】
図7に示すように、カバー筐体64の内面には、内側透光板80の輪郭に沿った嵌合囲壁69が形成されている。嵌合囲壁69は、第1及び第2の表示窓枠65,66を囲うように形成されており、その嵌合囲壁69の内側に内側透光板80が嵌め込まれている。そして、内側透光板80は、嵌合囲壁69の内側で第1及び第2の表示窓枠65,66に沿って周回した環状の段差面に宛がわれて、例えば、熱かしめによって固定されている。
【0044】
詳細には、内側透光板80の外縁部の複数箇所に予め凹部83,83が陥没形成されており、嵌合囲壁69の一部を熱変形させることでそれら凹部83,83と嵌合囲壁69とを係止させてある。また、カバー筐体64における中間壁部64Wの内面から起立したかしめピン64Pが、内側透光板80に形成されたピン孔(図示せず)を貫通しており、かしめピン64Pの先端を熱変形させてピン孔の周縁部と係止させてある。
【0045】
ここで、内側透光板80の内面のうち、前記した伝達機構15の出力軸15Sに備えたマグネットホルダ18(図1参照)と対向する位置には、磁性体金属板39が宛がわれており、内側透光板80と共に、かしめピン64Pの熱かしめによって固定されている。
【0046】
以上のように、カバー筐体64の外面及び内面に宛がって固定された外側透光板70と内側透光板80とによって、機器カバー50のカバー主板壁51の一部が構成されている。また、カバー主板壁51に設けられた第1の窓部55は、カウンタ表示器30との対向方向で隙間を空けて対向した外側透光板70(第1の横長板部71)と内側透光板80とで構成されると共に、それら外側透光板70と内側透光板80との間には、周囲が第1の表示窓枠65の内周面によって囲まれた中空層S1が形成されている。同様に、カバー主板壁51に設けられた第2の窓部56は、液晶ディスプレイ23との対向方向で隙間を空けて対向した外側透光板70(第2の横長板部72)と内側透光板80とで構成されると共に、それら外側透光板70と内側透光板80との間には、周囲が第2の表示窓枠66の内周面によって囲まれた中空層S2が形成されている。
【0047】
ここで、中空層S1,S2には空気が入っており、本実施形態における中空層S1,S2の厚さは、例えば、1〜4[mm]程度となっている。このように中空層S1,S2を比較的薄くしておくことで、中空層S1,S2が気密状態になっていなくても、空気の粘性により中空層S1,S2では空気の対流が起き難くなっている。そして、対流が起き難いことで、中空層S1,S2が断熱効果を発揮する。なお、中空層S1と中空層S2との間は、連通させてもよいし遮断してもよい。
【0048】
図6に示すように、外側透光板70のうち、カウンタ表示器30と対向した第1の対向領域71Xにおける板厚と、液晶ディスプレイ23と対向した第2の対向領域72Xにおける板厚は、それら第1及び第2の対向領域71X,72Xの外側の板厚に比べて厚くなっている。本実施形態では、図8に示すように、外側透光板70の内面(中空層S1,S2側の面)を0.5〜2[mm]程度、段差状に突出させることで、第1及び第2の対向領域71X,72Xの板厚を厚くしてある。
【0049】
また、図7に示すように、内側透光板80のうち、カウンタ表示器30と対向した第1の対向領域81Xの板厚と、液晶ディスプレイ23と対向した第2の対向領域82Xの板厚は、それら第1と第2の対向領域81X,82Xの外側の板厚に比べて厚くなっている。本実施形態では、図8に示すように、内側透光板80の外面(中空層S1,S2側の面)を0.5〜2[mm]程度、段差状に突出させることで、第1と第2の対向領域81X,82Xの板厚を厚くしてある。
【0050】
さらに、本実施形態では、外側透光板70における第1と第2の対向領域71X,72Xと、内側透光板80における第1と第2の対向領域81X,82Xを、それぞれ中空層S1,S2の側に突出させているが、その向かい合った第1の対向領域71X,81X同士及び、第2の対向領域72X,82X同士の間にも中空層S1,S2が存在するように構成されている。
【0051】
図6及び図10に示すように、内側透光板80の上辺側部分81のうち第1の対向領域81Xの外側及び、下辺側部分82のうち第2の対向領域82Xの外側は、それぞれ印字部81Y,82Yとなっている。
【0052】
例えば、第1の印字部81Yには、「型式」、「製造番号」、「型式承認番号」及びカウンタ表示器30で表示される数値の「単位」等が、白下地の上に黒字で印刷されており、第1の窓部55を構成する外側透光板70及び第1の表示窓枠65を通して、これらを視認することが可能となっている。
【0053】
また、第2の印字部82Yには、液晶ディスプレイ23にて表示される「保安情報の記号の意味」、「製造メーカー名」、その他、使用上の便宜のための案内情報が、黒下地の上に白字で印刷されており、第2の窓部56を構成する外側透光板70及び第2の表示窓枠66を通して、これらを視認することが可能となっている。
【0054】
つまり、内側透光板80は、カウンタ表示器30及び液晶ディスプレイ23を視認可能に覆っているだけではなく、その一部が「文字盤」に兼用されている。本実施形態では、上記した「型式」等が、例えば、内側透光板80の内面(カウンタ表示器30及び液晶ディスプレイ23側を向いた面)に印刷されている。
【0055】
以上が本実施形態のガスメータ10の構成である。以下、本実施形態の作用を説明する。ガスメータ10は、通常、屋外に設置されるため、機器カバー50内の温度は、外気温によって変動する。また、機器カバー50の内側に収容された圧力センサ20は、大気圧を基準にしてガス圧を検出するため、機器カバー50の内外を通気状態にしておく必要があり、機器カバー50の内部には湿った外気が侵入可能となっている。そして、例えば、機器カバー50の内部の湿った空気が、外気温の低下や雨水等で冷やされた機器カバー50の内面に触れると結露が発生し得る。
【0056】
これに対し、本実施形態のガスメータ10では、機器カバー50に設けられた第1の窓部55及び第2の窓部56が二重窓構造をなしている。即ち、外側透光板70と内側透光板80とが、カウンタ表示器30及び液晶ディスプレイ23の前側に隙間を空けて対向配置されており、外側透光板70と内側透光板80との間に形成された中空層S1,S2が断熱効果を発揮する。これにより、機器カバー50における第1及び第2の窓部55,56の内面、つまり、内側透光板80の内面における結露の発生を抑えることができ、カウンタ表示器30及び液晶ディスプレイ23の視認性を維持することができる。そして、ガスメータ10の検針や異常発生時の対処に支障を来すことを防ぐことができる。
【0057】
また、内側透光板80のうちカウンタ表示器30及び液晶ディスプレイ23との対向領域81X,82Xの板厚を、それら対向領域81X,82Xの外側の板厚よりも厚くしたことで、対向領域81X,82Xの外側は、対向領域81X,82Xに比べて熱が伝わり易くなる。即ち、内側透光板80の内面のうち、カウンタ表示器30及び液晶ディスプレイ23との対向領域81X,82Xの外側を、対向領域81X,82Xに比べて結露が発生し易い(対向領域81X,82Xより先に結露が発生する)構成にしておくことで、対向領域81X,82Xの内面における結露の発生を抑えることができる。
【0058】
また、外側透光板70のうちカウンタ表示器30及び液晶ディスプレイ23との対向領域71X,72Xの板厚を、それら対向領域71X,72Xの外側の領域の板厚よりも厚くしたことで、対向領域71X,72Xの外側は、対向領域71X,72Xに比べて熱が伝わり易くなる。即ち、外側透光板70の内面のうち、カウンタ表示器30及び液晶ディスプレイ23との対向領域71X,72Xの外側を、対向領域71X,72Xに比べて結露が発生し易い(対向領域71X,72Xより先に結露が発生する)構成にしておくことで、対向領域71X,72Xの内面における結露の発生を抑えることができる。
【0059】
つまり、外側透光板70及び内側透光板80のなかでも、特に、カウンタ表示器30及び液晶ディスプレイ23との対向領域71X,81X,72X,82Xにおける結露を抑えることができ、カウンタ表示器30及び液晶ディスプレイ23の視認性をより確実に維持することができる。
【0060】
そして、内側透光板80の一部が文字盤を兼ねているから、文字盤を備えている従来のガスメータから部品点数を増やすことなく、結露の発生を抑えることができる。
【0061】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0062】
(1)上記実施形態では、外側透光板70における第1及び第2の対向領域71X,72Xの板厚と、内側透光板80における第1及び第2の対向領域81X,82Xの板厚とを両方とも厚肉にしていたが、外側透光板70又は内側透光板80の何れか一方における第1及び第2の対向領域のみを厚肉にしてもよい。
【0063】
(2)上記実施形態では、外側透光板70における第1と第2の対向領域71X,72Xと、内側透光板80における第1と第2の対向領域81X,82Xを、それぞれ中空層S1,S2側に突出させていたが、それぞれ中空層S1,S2とは反対側に突出させてもよい。
【0064】
(3)上記実施形態における外側透光板70及び内側透光板80の板厚や、中空層S1,S2の厚さの寸法は、特に限定するものではなく、例えば、外側透光板70及び内側透光板80の材質等に応じて適宜決定すればよい。
【0065】
(4)上記実施形態では、本発明に係る「ガスメータ」の一例として、膜式ガスメータを例示したが、ガスメータの計測原理は特に限定するものではなく、例えば、「超音波式」、「タービン式」、「ルーツ式」、「熱線式」、「フルイディック式」及びその他公知な計測原理の各ガスメータに、本発明を適用してもよい
【0066】
(5)上記実施形態では、内側透光板80の内面(中空層S1,S2とは反対側の面)に印字部81Y,82Yを設けた構成であったが、内側透光板80の外面(中空層S1,S2側の面)又は、外側透光板70の内面(中空層S1,S2側の面)に印字部を設けてもよい。また、印字部は、内側透光板80への印刷によって構成されていたが、上記した「型式」等を印刷したシールを内側透光板80又は外側透光板70に貼り付けてもよい。
【0067】
(6)上記実施形態では、本発明に係る「表示器」としてカウンタ表示器30と液晶ディスプレイ23とを備えていたが、これらの何れか一方のみを備えた構成でもよい。
【0068】
(7)上記実施形態では、カウンタ表示器30と液晶ディスプレイ23とを共通の機器カバー50によって覆っていたが、カウンタ表示器30と液晶ディスプレイ23を、それぞれ別々のカバー体で覆って、各カバー体に設けた窓部に本発明を適用してもよい。
【0069】
(8)上記実施形態では、カウンタ表示器30を視認可能とした第1の窓部55と、液晶ディスプレイ23を視認可能とした第2の窓部56とを互いに独立して設けていたが、カウンタ表示器30と液晶ディスプレイ23との両方を共通の窓部から視認可能としてもよい。
【0070】
(9)上記実施形態では、中空層S1,S2に空気が入っていたが、結露が発生し易い環境で使用する場合には、水蒸気を除いた乾燥空気を中空層S1,S2に封入してもよいし、中空層S1,S2を真空状態にしてもよい。
【符号の説明】
【0071】
10 ガスメータ
23 液晶ディスプレイ(表示器)
30 カウンタ表示器(表示器)
50 機器カバー(カバー体)
55 第1の窓部(窓部)
56 第2の窓部(窓部)
58 水抜孔
70 外側透光板(外側の板状透光部材)
71X,72X 対向領域
80 内側透光板(内側の板状透光部材)
81X,82X 対向領域
S1,S2 中空層(隙間)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示器をカバー体で覆い、前記カバー体に備えた窓部を通して外部から前記表示器を視認可能としたガスメータにおいて、
前記窓部は、1対の板状透光部材を隙間を空けて対向させかつ前記表示器の前側に配置してなる二重窓構造であることを特徴とするガスメータ。
【請求項2】
前記1対の板状透光部材のうち内側の前記板状透光部材における前記表示器との対向領域の板厚を、その対向領域の外側の板厚よりも厚くしたことを特徴とする請求項1に記載のガスメータ。
【請求項3】
前記1対の板状透光部材のうち外側の前記板状透光部材における前記表示器との対向領域の板厚を、その対向領域の外側の板厚よりも厚くしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のガスメータ。
【請求項4】
前記1対の板状透光部材のうち内側の前記板状透光部材の一部を文字盤に兼用したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載のガスメータ。
【請求項5】
前記カバー体の下端部を上下方向に貫通し、前記カバー体の内部の水を外部に排出可能な水抜孔を備えたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1の請求項に記載のガスメータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−11505(P2013−11505A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144172(P2011−144172)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000116633)愛知時計電機株式会社 (126)
【Fターム(参考)】