説明

ガスリファイニングシステム

【課題】循環再生装置が設けられていても、安全性を従来よりも大幅に向上させたガスリファイニングシステムを得る。
【解決手段】ガスリファイニングシステム100は、熱処理を行う炉200内の雰囲気ガスを吸引し再生した後、炉200内に戻すものであり、制御装置10、ガスリファイニング装置20、第1の配管30、第2の配管40、第3の配管50、第4の配管60を備えている。第1の配管30、第2の配管40、第3の配管50及び第4の配管60の途中には、それぞれ、第1の自動弁31、弟2の自動弁41、第3の自動弁51及び第4の自動弁61が設けられている。制御装置10は、これら自動弁31,41,51,61のうち少なくともいずれか一の自動についての開閉の調節を、炉200の運転状況に基づいて制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炉内の雰囲気ガスを再生することが可能なガスリファイニング装置を有したガスリファイニングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、下記特許文献1に開示されているように、循環再生装置(ガスリファイニング装置)を設置し、雰囲気ガスの再生を行うシステムが公知となっている。この特許文献1に開示されているシステムによれば、循環再生装置の上下流にあるバルブを閉めることにより、炉を運転している最中でも、循環再生装置のメンテナンスを行うことが可能である。
【0003】
上記炉の運転には、炉内の雰囲気ガスとして、水素ガスと窒素ガスとを適切な比率で混合して得た混合ガスが用いられる場合が多い。ここで、上記炉の停止中は炉が開放されているため、炉の運転開始前には、炉内に混入している酸素等を除去(パージ)する必要がある。また、炉の運転を停止したときには、可燃性である水素ガスが炉内に残留しているので、その後炉を開放する際には、炉内に残留している水素ガスを除去する必要がある。このように、酸素及び水素等のガスの除去には、窒素ガスなどの不活性ガスを用いることが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−114091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記炉の運転には、安全性の面において細心の注意を払う必要がある。上記特許文献1のシステムのように、循環再生装置の上下流にバルブを設けることによって、循環再生装置のメンテナンスを行うことが可能になったとはいえ、このような新たな装置が増えることによって安全性の面ではかえってリスクが高くなってしまうおそれがある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、安全性を従来よりも大幅に向上させたガスリファイニングシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 上述した課題を解決すべく提供される本発明のガスリファイニングシステムは、熱処理を行う炉の内部に接続され、途中に第1の弁が設けられている第1の配管と、前記炉の内部に接続され、途中に第2の弁が設けられている第2の配管と、前記炉から第1の配管を介して炉内ガスを吸引し、該吸引した炉内ガスを再生して前記第2の配管を介して前記炉の内部に循環させるガスリファイニング装置と、一端が前記第1の弁よりも前記炉内ガスの流れ方向上流側の前記第1の配管に接続され、他端から不活性ガスが供給されるとともに、途中に第3の弁が設けられている第3の配管と、一端が、前記第1の弁よりも前記炉内ガスの流れ方向下流側であって且つ前記ガスリファイニング装置よりも前記炉内ガスの流れ方向上流側の前記第1の配管に接続され、他端から不活性ガスが供給されるとともに、途中に第4の弁が設けられている第4の配管と、前記第1の弁、前記第2の弁、前記第3の弁及び前記第4の弁のうち少なくともいずれか一つの弁についての開閉の調節を、前記炉の運転状況に基づいて制御可能な制御装置とを備えている。
【0008】
上記(1)の構成によれば、炉の運転状況に基づいて第1の弁、第2の弁、第3の弁及び第4の弁のいずれかの弁についての開閉の調節を行う必要が生じたとしても、かかる弁の開閉の調節を、制御装置によって行うことが可能となる。したがって、例えば操作ミスの回避による安全性の向上または/および作業者の身の安全性の向上を図ることが可能となる。
【0009】
(2) 上記(1)のガスリファイニングシステムにおいては、前記第2の弁と前記ガスリファイニング装置との間における前記第2の配管の途中に、該配管の内部圧力を検出可能な圧力検出器をさらに備え、前記制御装置は、前記ガスリファイニング装置の停止後において、前記圧力検出器によって検出された圧力の情報を基に、前記第4の弁の開閉を調節する制御を行うとともに、前記第4の弁の開回数情報を基に、不活性ガスの供給回数が所定回数(例えば、30回など)を超えているかどうか判断することが可能とされていることが好ましい。
【0010】
例えば、炉の運転中又は停止の際にガスリファイニング装置を停止させ、第1の弁から第4の弁までを閉じ、ガスリファイニングシステムを放置しておくと、ガスリファイニング装置及び各配管の内部温度は、ガスリファイニング装置の停止直後から徐々に低下していく。この場合、配管内のガスの体積が減少することから配管内圧力は低下するが、該配管内圧力が所定値(予め設定した値(例えば6kPaなど))以下とならないように、制御装置によって第4の弁を開閉し、供給される不活性ガスの量を調節する。このとき、上記(2)の構成における制御装置によれば、不活性ガスの供給回数が所定回数(例えば、30回など)を超えている(ガスの供給回数が異常である)かどうかを判断することができる。ここで、上記(2)の構成における制御装置によって、不活性ガスの供給回数が所定回数を超えている(不活性ガスの供給回数が異常である)と判断された場合には、(i)第2の配管のうち第2の弁とガスリファイニング装置との間、(ii)第2の弁、(iii)ガスリファイニング装置、のいずれか1つ以上の箇所においてリークが発生していると判断することが可能となる。これにより、リークの自動検出が可能なガスリファイニングシステムを提供することができ、従来よりも大幅に安全性を向上させることができる。とくに、炉は、運転と停止とを繰り返すことによって炉内温度が著しく変動するため、上記配管には大きな負荷を与えることとなるので、その効果は顕著である。
【0011】
(3) 別の観点として、上記(1)のガスリファイニングシステムにおいては、前記第2の弁と前記ガスリファイニング装置との間における前記第2の配管の途中に、該配管の内部圧力を検出可能な圧力検出器をさらに備え、前記制御装置は、前記ガスリファイニング装置の停止後において、前記圧力検出器によって検出された圧力の情報を基に、前記第4の弁の開閉を調節する制御を行うとともに、前記圧力検出器で検出される圧力が所定圧力(例えば6kPaなど)に上昇するまでの時間について所定時間を超えているかどうか判断することが可能とされているものであってよい。
【0012】
例えば、炉の運転中又は停止の際にガスリファイニング装置を停止させ、第1の弁から第4の弁までを閉じ、ガスリファイニングシステムを放置しておくと、ガスリファイニング装置及び各配管の内部温度は、ガスリファイニング装置の停止直後から徐々に低下していく。この場合、配管内のガスの体積が減少することから配管内圧力は低下するが、該配管内圧力が所定値(予め設定した値(例えば6kPaなど))以下とならないように、制御装置によって第4の弁を開閉し、供給される不活性ガスの量を調節する。このとき、上記(3)の構成における制御装置によれば、圧力検出器で検出される圧力が所定圧力に上昇するまでの時間について所定時間(例えば10分など)を超えている(第2の配管内の圧力上昇に時間がかかり過ぎている)かどうか、を判断することができる。ここで、上記(3)の構成における制御装置によって、圧力検出器で検出される圧力が所定圧力に上昇するまでの時間について所定時間を超えている(第2の配管内の圧力上昇に時間がかかり過ぎている)と判断された場合には、(i)第2の配管のうち第2の弁とガスリファイニング装置との間、(ii)第2の弁、(iii)ガスリファイニング装置、のいずれか1つ以上の箇所においてリークが発生していると判断することが可能となる。したがって、上記(3)の構成によれば、上記(2)のガスリファイニングシステムと同様に、リークの自動検出が可能なガスリファイニングシステムを提供することができ、従来よりも大幅に安全性を向上させることができる。
【0013】
(4) 他の観点として、上記(1)のガスリファイニングシステムにおいては、前記第2の弁と前記ガスリファイニング装置との間における前記第2の配管の途中に、該配管の内部圧力を検出可能な圧力検出器をさらに備え、前記制御装置は、前記ガスリファイニング装置の停止後から前記第2の配管の内部温度が低下し安定した際、前記圧力検出器によって検出された前記第2の配管の内部圧力が、所定値(例えば6kPaなど)以上になっているかどうかを判断することが可能とされているものであってもよい。
【0014】
例えば、炉の停止の際に第1の弁から第4の弁までを閉じ、十分に時間が経過して、ガスリファイニング装置と第2の弁との間の配管の内部温度が安定した場合には、炉を開放したりリークがない限り、ガスリファイニング装置と第2の弁との間の配管の圧力は外部圧力(大気圧)よりも高くなっている。しかし、圧力検出器によって検出された配管の内部圧力が、制御装置によって所定値(予め設定した値(例えば6kPaなど))以下と判断された場合には、(i)第2の配管のうち第2の弁とガスリファイニング装置との間、(ii)第2の弁、(iii)ガスリファイニング装置、のいずれか1つ以上の箇所においてリークが発生していると判断することが可能となる。したがって、上記(4)の構成によれば、上記(2)または上記(3)のガスリファイニングシステムと同様に、リークの自動検出が可能なガスリファイニングシステムを提供することができ、従来よりも大幅に安全性を向上させることができる。
【0015】
(5) 上記(2)〜(4)のガスリファイニングシステムにおいては、前記制御装置により、不活性ガスの供給回数が所定回数を超えていると判断されたとき、前記圧力検出器で検出される圧力が所定圧力に上昇するまでの時間について所定時間を超えていると判断されたとき、又は、前記炉の停止後から前記第2の配管の内部温度が低下し安定した際の前記第2の配管の内部圧力が所定値以下になっていると判断された際に、前記制御装置からの命令によって該判断を報知する報知器を、さらに備えていることが好ましい。
【0016】
上記(5)の構成によれば、制御装置によってガスがリークしていると判断できる場合に、報知器によって作業者等に報知されるので、作業者等が迅速に該リークに対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るガスリファイニングシステムの概略構成と、ガスリファイニングシステムに接続されている炉及び炉制御装置とを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態に係るガスリファイニングシステム100について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1に示すように、ガスリファイニングシステム100は、熱処理などを行う炉200内の炉内ガス(以下、「雰囲気ガス」と称する。)を吸引し再生(ダスト及び水分等を除去)した後、炉200内に戻すものであって、制御装置10と、ガスリファイニング装置20と、第1の配管30と、第2の配管40と、第3の配管50と、第4の配管60と、圧力検出器70と、報知器80と、を備えている。
【0019】
ガスリファイニング装置20は、炉200から第1の配管30を介して炉200内の雰囲気ガスを吸引し、この吸引した雰囲気ガスからダスト及び水分等を除去して再生するものである。そして、ガスリファイニング装置20で再生された雰囲気ガスは、第2の配管40を介して炉200内部に戻される。このようにして、炉200内部の雰囲気ガスは循環再生される。
【0020】
第1の配管30は、雰囲気ガスの流れ方向上流側の一端が炉200内の入側に接続されており、雰囲気ガスの流れ方向下流側の他端がガスリファイニング装置20に接続されている。そして、この第1の配管の途中(炉200からリファイニング装置20までの間)には、第1の自動弁31が設けられている。
【0021】
第2の配管40は、雰囲気ガスの流れ方向上流側の一端がガスリファイニング装置20に接続されており、雰囲気ガスの流れ方向下流側の他端が炉200内の出側に接続されている。そして、この第2の配管の途中(ガスリファイニング装置20から炉200までの間)には、第2の自動弁41が設けられている。さらに、この第2の配管の途中であって、ガスリファイニング装置20と第2の自動弁41との間には、配管内の圧力を検出することが可能な圧力検出器70が接続されている。
【0022】
第3の配管50は、不活性ガス(本実施形態では窒素ガス)が送出される配管であり、第3の配管50に送出された窒素ガスは、第1の配管30を介して炉200内部に供給される。そしてこの第3の配管50は、窒素ガスの流れ方向下流側の一端が、第1の自動弁31よりも雰囲気ガスの流れ方向上流側の第1の配管30に接続されている。また、窒素ガスの流れ方向上流側の他端は、窒素ガス供給源の配管(図示せず)に接続されている。なお、この第3の配管50の途中には、第3の自動弁51が設けられている。
【0023】
第4の配管60は、第3の配管50と同じく窒素ガスが送出される配管であり、窒素ガスの流れ方向下流側の一端が、第1の自動弁31よりも雰囲気ガスの流れ方向下流側であって且つガスリファイニング装置20よりも雰囲気ガスの流れ方向上流側の第1の配管30に接続されている。また、この第4の配管60は、窒素ガスの流れ方向上流側の他端が、第3の自動弁51よりも窒素ガスの流れ方向上流側の第3の配管50に接続されている。すなわち、窒素ガス供給会社からは第3の配管50に窒素ガスが送出され、この第3の配管50を介して第4の配管60に窒素ガスが送出される。そして、この第4の配管60に送出された窒素ガスは、ガスリファイニング装置20及び第2の配管40を介して炉200内部に供給される。なお、この第4の配管60の途中には、第4の自動弁61が設けられている。
【0024】
本明細書において、雰囲気ガスの流れ方向及び窒素ガスの流れ方向は、図1に図示される方向である。
【0025】
制御装置10は、図示しないが、各処理を実行する中央演算処理装置(CPU)、並びに、各処理用のプログラム、データなどの格納及び読み取りが可能な記憶装置、などを備えたものであり、ガスリファイニングシステム100の各部を制御することができるものである。該制御の例としては、第1の自動弁31、第2の自動弁41、第3の自動弁51、及び、第4の自動弁61を調整し、ガス流量を制御すること、圧力検出器70で検出された圧力の情報を基に、第4の弁61におけるガス流量を制御すること、などが挙げられる。また、制御装置10の記憶装置に格納されているプログラムの例としては、(1)必要に応じて第1の自動弁31、第2の自動弁41、第3の自動弁51、及び、第4の自動弁61の開閉調整処理をするとともに、炉200の停止後、ガスリファイニング装置20に供給した窒素などの不活性ガスの供給回数が所定回数を超えているどうか判断するプログラム、(2)必要に応じて第1の自動弁31、第2の自動弁41、第3の自動弁51、及び、第4の自動弁61の開閉調節処理をするとともに、圧力検出器70で検出される圧力が所定圧力に上昇するまでの時間について所定時間を超えているかどうか判断するプログラム、(3)必要に応じて第1の自動弁31、第2の自動弁41、第3の自動弁51、及び、第4の自動弁61の開閉調節処理をするとともに、炉200の停止後から第2の配管40の内部温度が低下し安定した(定常状態となった)際に、圧力検出器70によって検出された第2の配管40の内部圧力が、所定値(例えば6kPaなど)以上になっているかどうか判断できるプログラム、などが挙げられる。
【0026】
報知器80は、ガスのリークがあった場合、制御装置10の命令によって、音源又は光源などを用いて上記リークがあったことをオペレーター等に報知するものである。
【0027】
炉200は、各処理を実行するCPU(図示せず)、並びに、各処理用のプログラム、データなどの格納及び読み取りが可能な記憶装置(図示せず)、などを備えた炉制御装置201によって運転が制御されている。炉制御装置201は、一対の通信機90,91を介して、制御装置10に命令し、がすりふぁいにんぐシステム100の運転、停止、パージ作業等を行わせることができるようになっている。ここで、通信機90,91は、有線通信及び無線通信のうちどちらの通信手段であってもよい。
【0028】
次に、ガスリファイニングシステム100の動作について説明する。
【0029】
(炉200運転中の動作)
制御装置10によって、第1の自動弁31及び第2の自動弁41が開き、第3の自動弁51及び第4の自動弁61が閉じられた状態とされる。このような状態でガスリファイニング装置20を稼働させて、炉200内の雰囲気ガスの循環再生が行われる。
【0030】
(炉200内をパージする際の動作)
制御装置10によって、第1の自動弁31が閉じられ、第2の自動弁41、第3の自動弁51及び第4の自動弁61が開かれて、第3の自動弁51及び第4の自動弁61を介して、窒素ガスなどの不活性ガスを不活性ガス供給源から炉200内に供給し、パージを行う。具体的には、第3の自動弁51を有する第3の配管50及び第1の配管30を介して、炉200内に不活性ガスを供給するとともに、第4の自動弁61を有する第4の配管60、ガスリファイニング装置20、及び、第2の弁41を有する第2の配管40を介して、炉200内に不活性ガスを供給し、パージを行う。
【0031】
(炉200停止中の動作)
制御装置10によって、第1の自動弁31、第2の自動弁41、第3の自動弁51、及び、第4の自動弁61は全て、閉じられる。このとき、ガスリファイニング装置20のメンテナンスが可能である。
【0032】
このように、第1の自動弁31,第2の自動弁41,第3の自動弁51,第4の自動弁は、炉200の運転状況に基づいて、人手を介すことなく制御装置によって自動で開閉の調節が行われる。したがって、例えば操作ミスの回避による安全性の向上や、例えばガスがリークしていることに気付かずに弁の操作を行ってしまうこと等の回避による作業者の身の安全性の向上を図ることが可能となる。
【0033】
(リーク検出動作1)
炉200の運転中又は停止後においてガスリファイニング装置20の運転を停止した際、制御装置10によって、第1の自動弁31、第2の自動弁41、第3の自動弁51、及び、第4の自動弁61は全て、閉じられる。その後、ガスリファイニングシステム100を放置しておくと、ガスリファイニング装置20及び第2の配管40など各配管の内部温度は、ガスリファイニング装置20の停止直後から徐々に低下していく。このとき、ガスリファイニング装置20停止後の数時間において、ガスリファイニング装置20を含む第1の自動弁31と第2の自動弁41との間の管内(以下、単に「第1の自動弁31と第2の自動弁41との間の管内」と称する)が所定値(予め設定した値(例えば6kPaなど))以下とならないように、制御装置10によって第4の弁61を開閉し、供給される不活性ガスの量が調節される。そして、最初に第1の自動弁31と第2の自動弁41との間の管内が所定値以下とならないようにした後も、制御装置10によって、圧力検出器70にて検出された圧力の情報を基に第4の弁61の開閉を調節する制御を行うとともに、第4の弁61の開回数情報を基に不活性ガスの供給回数が所定回数(例えば、30回など)を超えているかどうか判断する。ここで、所定回数とは、リークがない場合に、ガスリファイニング装置20の運転停止後から一定時間までにおいて、不活性ガスを供給した回数(予め、実験等を行い規定した回数)のことである。なお、制御装置10によって、不活性ガスの供給回数が所定回数を超えていると判断された場合には、(i)第2の配管40のうち第2の弁41とガスリファイニング装置20との間、(ii)第2の弁41、(iii)ガスリファイニング装置20、のいずれか1つ以上の箇所においてリークが発生していると判断されるので、該判断を報知器80によって作業者等に報知する。
【0034】
(リーク検出動作2)
炉200の運転中又は停止後においてガスリファイニング装置20の運転を停止した際、上述のリーク検出動作1で説明したように、ガスリファイニング装置20及び第2の配管40など各配管の内部温度は、ガスリファイニング装置20の停止直後から徐々に低下していく。このとき、ガスリファイニング装置20停止後の数時間において、第1の自動弁31と第2の自動弁41との間の管内の圧力が所定値(予め設定した値(例えば6kPaなど))以下とならないように、制御装置10によって第4の弁61を開閉し、供給される不活性ガスの量が調節される。そして、最初に第1の自動弁31と第2の自動弁41との間の管内の圧力が所定値以下とならないようにした後も、制御装置10によって、圧力検出器70にて検出された圧力の情報を基に第4の弁61の開閉を調節する制御を行うとともに、圧力検出器70で検出される圧力が所定圧力(予め設定した圧力)に上昇するまでの時間について、所定時間(例えば10分など)を超えているかどうか判断する。ここで、所定時間とは、リークがない場合において、ガスリファイニング装置20の運転停止後、圧力検出器70で検出される第1の自動弁31と第2の自動弁41との間の管内の圧力が所定値以下とならないようにするために、初めて第4の弁61が開かれてから所定圧力に到達するまでの時間(予め、実験等を行い規定した時間)のことである。なお、制御装置10によって、圧力検出器70で検出される圧力が所定圧力に上昇するまでの時間について所定時間を超えていると判断された場合には、(i)第2の配管40のうち第2の弁41とガスリファイニング装置20との間、(ii)第2の弁41、(iii)ガスリファイニング装置20、のいずれか1つ以上の箇所においてリークが発生していると判断されるので、該判断を報知器80によって作業者等に報知する。
【0035】
(リーク検出動作3)
炉200の運転中又は停止後においてガスリファイニング装置20の運転を停止してから、十分に時間が経過すると、第1の自動弁31と第2の自動弁41との間の内部温度は低下し安定する。ただし、このとき、リークがない場合には、圧力検出器70によって検出されるガスリファイニング装置20と第2の弁41との間の配管内の圧力は外部圧力よりも高くなっているはずである。そこで、リークがあるかどうかを検出するために、圧力検出器70によって、第2の配管40のうちガスリファイニング装置20と第2の弁41との間の配管内の圧力を検出し、制御装置10によって検出した圧力が所定値(例えば6kPaなど)以上であるかどうかを判断する。ここで、検出した圧力が所定値以下になっていると制御装置10に判断された場合には、(i)第2の配管40のうち第2の弁41とガスリファイニング装置20との間、(ii)第2の弁41、(iii)ガスリファイニング装置20、のいずれか1つ以上の箇所においてリークが発生していると判断されるので、該判断を報知器80によって作業者等に報知する。
【0036】
上述したように、本実施形態のガスリファイニングシステム100においては、ガスリファイニング装置20が設けられていても、第3の弁51を有した第3の配管50及び第1の配管30を介して、炉200内(例えば炉200の入側)に不活性ガスを供給できるとともに、第4の弁61を有した第4の配管60、ガスリファイニング装置20、及び、第2の弁41を有した第2の配管40を介して、炉200内(例えば炉200の出側)に不活性ガスを供給できる。
【0037】
また、ガスリファイニングシステム100においては、上述したリーク検出動作1〜3のうちいずれか1つ以上の動作を行うことによって、(i)第2の配管40のうち第2の弁41とガスリファイニング装置20との間、(ii)第2の弁41、(iii)ガスリファイニング装置20、のいずれか1つ以上の箇所において、ガスがリークしているかどうかを判断できる。したがって、ガスリファイニング装置20を設けることによって新たに配管30,40,50,60を設ける必要が生じたような場合であっても、従来のシステムよりも大幅に安全性を向上させることができる。とくに、炉200は、運転と停止とを繰り返すことによって雰囲気ガスの温度が著しく変動することになるため、上記配管30,40,50,60には大きな負荷を与えることとなるので、常にリークのリスクがつきまとうことになる。よって、制御装置10によって、第2の配管40のうち第2の弁41とガスリファイニング装置20との間、第2の弁41、ガスリファイニング装置20、のいずれか1つ以上の箇所において、ガスがリークしているかどうかを判断できるようにした効果は顕著なものとなる。
【0038】
また、ガスリファイニングシステム100においては、制御装置10によってガスがリークしていると判断された場合に、報知器80によって作業者等に報知されるので、作業者等が迅速に該リークに対応することが可能となる。
【0039】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。例えば、制御装置10によってガスがリークしていると判断された場合、炉制御装置201にも報知し、炉200の運転ができないように制御することとしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
10 制御装置
20 ガスリファイニング装置
30 第1の配管
31 第1の自動弁
40 第2の配管
41 第2の自動弁
50 第3の配管
51 第3の自動弁
60 第4の配管
61 第4の自動弁
70 圧力検出器
80 報知器
90,91 通信機
100 ガスリファイニングシステム
200 炉
201 炉制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱処理を行う炉の内部に接続され、途中に第1の弁が設けられている第1の配管と、
前記炉の内部に接続され、途中に第2の弁が設けられている第2の配管と、
前記炉から第1の配管を介して炉内ガスを吸引し、該吸引した炉内ガスを再生して前記第2の配管を介して前記炉の内部に循環させるガスリファイニング装置と、
一端が前記第1の弁よりも前記炉内ガスの流れ方向上流側の前記第1の配管に接続され、他端から不活性ガスが供給されるとともに、途中に第3の弁が設けられている第3の配管と、
一端が、前記第1の弁よりも前記炉内ガスの流れ方向下流側であって且つ前記ガスリファイニング装置よりも前記炉内ガスの流れ方向上流側の前記第1の配管に接続され、他端から不活性ガスが供給されるとともに、途中に第4の弁が設けられている第4の配管と、
前記第1の弁、前記第2の弁、前記第3の弁及び前記第4の弁のうち少なくともいずれか一の弁についての開閉の調節を、前記炉の運転状況に基づいて制御可能な制御装置と
を備えることを特徴とするガスリファイニングシステム。
【請求項2】
前記第2の弁と前記ガスリファイニング装置との間における前記第2の配管の途中に、該配管の内部圧力を検出可能な圧力検出器をさらに備え、
前記制御装置は、
前記ガスリファイニング装置の停止後において、前記圧力検出器によって検出された圧力の情報を基に、前記第4の弁の開閉を調節する制御を行うとともに、前記第4の弁の開回数情報を基に、不活性ガスの供給回数が所定回数を超えているかどうか判断することが可能とされている
ことを特徴とする請求項1に記載のガスリファイニングシステム。
【請求項3】
前記第2の弁と前記ガスリファイニング装置との間における前記第2の配管の途中に、該配管の内部圧力を検出可能な圧力検出器をさらに備え、
前記制御装置は、
前記ガスリファイニング装置の停止後において、前記圧力検出器によって検出された圧力の情報を基に、前記第4の弁の開閉を調節する制御を行うとともに、前記圧力検出器で検出される圧力が所定圧力に上昇するまでの時間について所定時間を超えているかどうか判断することが可能とされている
ことを特徴とする請求項1に記載のガスリファイニングシステム。
【請求項4】
前記第2の弁と前記ガスリファイニング装置との間における前記第2の配管の途中に、該配管の内部圧力を検出可能な圧力検出器をさらに備え、
前記制御装置は、
前記ガスリファイニング装置の停止後から前記第2の配管の内部温度が低下し安定した際、前記圧力検出器によって検出された前記第2の配管の内部圧力が、所定値以上になっているかどうかを判断することが可能とされている
ことを特徴とする請求項1に記載のガスリファイニングシステム。
【請求項5】
前記制御装置により、不活性ガスの供給回数が所定回数を超えていると判断されたとき、前記圧力検出器で検出される圧力が所定圧力に上昇するまでの時間について所定時間を超えていると判断されたとき、又は、前記炉の停止後から前記第2の配管の内部温度が低下し安定した際の前記第2の配管の内部圧力が所定値以下になっていると判断された際に、前記制御装置からの命令によって該判断を報知する報知器を、さらに備える
請求項2〜4のいずれか1項に記載のガスリファイニングシステム。

【図1】
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【公開番号】特開2012−202587(P2012−202587A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66577(P2011−66577)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000004581)日新製鋼株式会社 (1,178)
【出願人】(000003713)大同特殊鋼株式会社 (916)
【出願人】(591114102)大同プラント工業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】