説明

ガス供給装置

【課題】 複数のタンクを備えるガス供給装置において対象タンク内のガスを充分に利用した後に、対象タンクを変更することができる技術を提供する。
【解決手段】 ガス供給装置は、複数のタンクと、複数のタンクに接続されて対象装置に供給されるガスが流通するガス通路であって、各タンクから送出されたガスが共通して流通する共通通路を含むガス通路と、複数のタンクの中から共通通路へガスを送出するタンクを対象タンクとして選択する選択部と、を備える。対象タンク内のガスの残量が所定量未満であると判断され、かつ、対象タンクから対象装置に供給されるガスの流量が不足していると判断された場合に、選択部は、対象タンクを第1のタンクから第2のタンクに変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のタンクを備えるガス供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムは、燃料電池スタックと、燃料電池スタックに燃料ガスを供給する燃料ガス供給系と、燃料電池スタックに酸化ガスを供給する酸化ガス供給系と、を備えている。燃料ガス供給系は、例えば、燃料ガスを高圧で貯蔵する2つのタンクと、該2つのタンクと燃料電池スタックとを接続する燃料ガス通路と、を備えている。そして、2つのタンクのうちの一方の対象タンクからの燃料ガスが、燃料ガス通路を介して燃料電池スタックに供給される。
【0003】
従来では、第1のタンク内の燃料ガスが所定の残量に達したと判断される場合に、第1のタンクが空であると判断され、対象タンクが第1のタンクから第2のタンクに変更されていた。
【0004】
【特許文献1】特開平10−332092号公報
【特許文献2】特開2003−346856号公報
【特許文献3】特開平10−139401号公報
【特許文献4】特開2003−344919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の所定の残量は、最悪のケースでも燃料電池スタックに供給される燃料ガスが不足しないように設定されるため、対象タンクが第1のタンクから第2のタンクに変更されたときには、第1のタンクには、比較的多くの燃料ガスが残っている。すなわち、従来では、第1のタンク内の燃料ガスが充分に残っているにも拘わらず、対象タンクが第1のタンクから第2のタンクに変更されてしまうという問題があった。
【0006】
なお、上記の問題は、燃料電池システムの燃料ガス供給装置に限らず、種々のガス供給装置に共通する。
【0007】
この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、複数のタンクを備えるガス供給装置において対象タンク内のガスを充分に利用した後に、対象タンクを変更することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の装置は、対象装置にガスを供給するためのガス供給装置であって、
ガスを貯蔵するための複数のタンクと、
前記複数のタンクに接続されて前記対象装置に供給されるガスが流通するガス通路であって、前記各タンクから送出されたガスが共通して流通する共通通路を含む前記ガス通路と、
前記複数のタンクの中から前記共通通路へガスを送出するタンクを対象タンクとして選択する選択部と、
前記対象タンク内のガスの残量に関連する物理量を検出する第1の検出部と、
前記対象タンクから前記対象装置に供給されるガスの流量に関連する物理量を検出する第2の検出部と、
前記第1の検出部の検出結果に基づいて、前記対象タンク内のガスの残量が所定量未満であると判断され、かつ、前記第2の検出部の検出結果に基づいて、前記対象タンクから前記対象装置に供給されるガスの流量が不足していると判断された場合に、前記選択部を制御して、前記対象タンクを第1のタンクから第2のタンクに変更する制御部と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
この装置では、対象タンク内のガスの残量が所定量未満であると判断される場合にも、対象タンクから対象装置に供給されるガスの流量が不足していないと判断される場合には、対象タンクは変更されないため、対象タンク内のガスを充分に利用した後に、対象タンクを変更することができる。
【0010】
上記の装置において、
前記第1の検出部は、
前記対象タンク内の圧力を検出する第1種の圧力センサを含み、
前記制御部は、
前記第1種の圧力センサの検出結果が所定値未満の値を示す場合に、前記対象タンク内のガスの残量が所定量未満であると判断するようにしてもよい。
【0011】
このように、第1種の圧力センサを利用すれば、対象タンク内のガスの残量が所定量未満であるか否かを判断することができる。
【0012】
上記の装置において、
前記第2の検出部は、
前記対象タンクから前記対象装置に供給されるガスの流量を検出する流量計を含み、
前記制御部は、
前記流量計の検出結果が前記対象装置に供給されるべきガスの流量未満の値を示す場合に、前記対象タンクから前記対象装置に供給されるガスの流量が不足していると判断するようにしてもよい。
【0013】
このように、流量計を利用すれば、対象タンクから対象装置に供給されるガスの流量が不足しているか否かを判断することができる。
【0014】
あるいは、上記の装置において、
前記第2の検出部は、
前記共通通路内の圧力を検出する第2種の圧力センサを含み、
前記制御部は、
前記第2種の圧力センサの検出結果が所定値未満の値を示す場合に、前記対象タンクから前記対象装置に供給されるガスの流量が不足していると判断するようにしてもよい。
【0015】
このように、第2種の圧力センサを利用すれば、対象タンクから対象装置に供給されるガスの流量が不足しているか否かを判断することができる。
【0016】
上記の装置において、
前記制御部は、前記判断に基づいて前記対象タンクを前記第1のタンクから前記第2のタンクに変更する際には、前記第1のタンクと前記第2のタンクとの双方から前記共通通路内にガスが送出されるように、前記選択部を制御することが好ましい。
【0017】
こうすれば、対象タンクを変更する際に、第1のタンクと第2のタンクの双方からのガスが共通通路内に供給されるため、対象タンクを変更する期間における共通通路内のガスの流量の不足を緩和することができる。
【0018】
上記の装置において、
前記選択部は、
前記複数のタンクに対応して設けられた複数の遮断弁を備え、
前記制御部は、
前記判断に基づいて前記対象タンクを前記第1のタンクから前記第2のタンクに変更する際には、前記第2のタンクに対応する第2の遮断弁が最も開いた状態に設定された後に、前記第1のタンクに対応する第1の遮断弁が最も閉じた状態に設定されるように、前記第1の遮断弁と前記第2の遮断弁とを制御することが好ましい。
【0019】
こうすれば、第2のタンクに対応する第2の遮断弁が最も開いた状態に設定されたときに、第1のタンクに対応する第1の遮断弁は未だ開いているため、対象タンクを変更する期間における共通通路内のガスの流量の不足をより緩和することができる。
【0020】
本発明は、方法の態様でも実現可能である。例えば、本発明の方法は、対象装置にガスを供給するためのガス供給装置におけるガス供給方法であって、
前記ガス供給装置は、
ガスを貯蔵するための複数のタンクと、
前記複数のタンクに接続されて前記対象装置に供給されるガスが流通するガス通路であって、前記各タンクから送出されたガスが共通して流通する共通通路を含む前記ガス通路と、
前記複数のタンクの中から前記共通通路へガスを送出するタンクを対象タンクとして選択する選択部と、
を備えており、
前記方法は、
(a)前記対象タンク内のガスの残量に関連する物理量を検出する工程と、
(b)前記対象タンクから前記対象装置に供給されるガスの流量に関連する物理量を検出する工程と、
(c)前記第1の検出部の検出結果に基づいて、前記対象タンク内のガスの残量が所定量未満であると判断され、かつ、前記第2の検出部の検出結果に基づいて、前記対象タンクから前記対象装置に供給されるガスの流量が不足していると判断された場合に、前記選択部を制御して、前記対象タンクを第1のタンクから第2のタンクに変更する工程と、
を備えることを特徴とするガス供給方法。
【0021】
なお、この発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、ガス供給装置、該ガス供給装置を備えるシステム、該システムを搭載した移動体などの装置、およびこれらの装置におけるガス供給方法、これらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の種々の態様で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づき以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
A−1.燃料電池システムの全体構成:
A−2.比較例におけるタンクの切替処理:
A−3.実施例におけるタンクの切替処理:
A−4.変形例:
B.第2実施例:
【0023】
A.第1実施例:
A−1.燃料電池システムの全体構成:
図1は、第1実施例における燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。なお、この燃料電池システムは、車両に搭載されている。図示するように、燃料電池システムは、燃料電池スタック100と、燃料ガス供給系200と、酸化ガス供給系300と、を備えている。
【0024】
燃料電池スタック100は、燃料ガス供給系200から供給された燃料ガス(水素ガス)と、酸化ガス供給系300から供給された酸化ガス(空気)と、を使用して、発電する。そして、燃料電池スタック100に接続された負荷Rに電力が供給される。本実施例では、燃料電池スタック100と負荷Rとの間には、燃料電池スタック100から負荷Rに流れる電流を測定するための電流計102が設けられている。
【0025】
燃料ガス供給系200は、燃料ガス(水素ガス)を高圧で貯蔵する2つのタンク210a,bを備えており、2つのタンク210a,bは、燃料ガス通路121を介して燃料電池スタック100に接続されている。燃料ガス通路121は、第1のタンク210aに接続された第1の部分通路121aと、第2のタンク210bに接続された第2の部分通路121bと、2つの部分通路121a,bと燃料電池スタック100とに接続された第3の部分通路121cと、を含んでいる。
【0026】
第1のタンク210aには、第1の遮断弁212aが設けられており、第1の遮断弁212aが開状態に設定されると、第1の部分通路121a内に燃料ガスが送出される。なお、第1の遮断弁212aは、燃料電池システムの運転期間中には、開状態に設定されている。第1の部分通路121aには、第1の減圧弁214aと第2の遮断弁216aとがこの順に設けられている。第1の減圧弁214aは、ダイアフラムを備え、その下流側の圧力に応じて開度が機械的に調整される弁である。第1の減圧弁214aは、その下流側の第1の部分通路121a内の圧力が比較的高い所定の目標圧力に等しくなるように、減圧する。第2の遮断弁216aが開状態に設定されると、第1のタンク210aから送出された燃料ガスは、第3の部分通路121cを介して燃料電池スタック100内に供給される。また、第1の遮断弁212aと第1の減圧弁214aとの間には、第1のタンク210a内の圧力を検出する第1の圧力センサ232aが設けられている。
【0027】
同様に、第2のタンク210bには、第3の遮断弁212bが設けられており、第2の部分通路121bには、第2の減圧弁214bと第4の遮断弁216bとが設けられている。また、第3の遮断弁212bと第2の減圧弁214bとの間には、第2のタンク210b内の圧力を検出する第2の圧力センサ232bが設けられている。
【0028】
なお、本実施例では、第2および第4の遮断弁216a,bを制御することによって第1および第2のタンク210a,bのうちのいずれかが選択され、選択されたタンク(対象タンク)内の燃料ガスが燃料電池スタック100に供給される。
【0029】
第3の部分通路121cには、第3の減圧弁222が設けられており、第3の減圧弁222の上流側には流量計234が設けられている。流量計234は、燃料電池スタック100に向けて供給される燃料ガスの実際の流量を測定する。なお、本実施例では、流量計234として水素ガス用の質量流量計が利用されている。第3の減圧弁222は、第1および第2の減圧弁214a,bと同様に、ダイアフラムを備え、その下流側の圧力に応じて開度が機械的に調整される弁である。第3の減圧弁222は、その下流側の第3の部分通路121c内の圧力が比較的低い所定の目標圧力に等しくなるように、減圧する。
【0030】
酸化ガス供給系300は、酸化ガス(空気)を送出するブロワ310を備えており、酸化ガスは、酸化ガス通路131を介して燃料電池スタック100に供給される。
【0031】
燃料電池スタック100から排出された使用済みの燃料オフガスは、燃料オフガス通路129を通る。燃料オフガス通路129には、第5の遮断弁260が設けられている。第5の遮断弁260は、間欠的に開状態に設定され、これにより、燃料オフガスが燃料電池スタック100から排出される。また、燃料電池スタック100から排出された使用済みの酸化オフガスは、酸化オフガス通路139を通る。燃料オフガス通路129と酸化オフガス通路139とは、下流側で合流しており、燃料オフガスと酸化オフガスとは合流通路141内で混合されて大気へ放出される。
【0032】
燃料電池システムは、さらに、システム全体の動作を制御する制御回路600と、ユーザへの通知を行う通知部610と、を備えている。特に、本実施例の制御回路600は、使用中の一方のタンク210a(または210b)に対応して設けられた一方の圧力センサ232a(または232b)からの検出結果と、流量計234および電流計102からの検出結果と、に基づいて、一方のタンク210a(または210b)から他方のタンク210b(または210a)の切り替えを行う。具体的には、制御回路600は、2つのタンク210a,bに対応する2つの遮断弁216a,bの開閉状態を制御することによって、使用する対象タンクを切り替える。また、制御回路600は、燃料電池スタック100の発電が制限される恐れがある場合等に、通知部610を制御して、ユーザへの通知を行う。なお、通知部610は、スピーカを用いて音声による通知を行ってもよいし、これに代えて、あるいは、これと共に、ランプを用いて表示による通知を行ってもよい。
【0033】
本実施例における第2および第4の遮断弁216a,bが本発明における選択部に相当する。また、本実施例における燃料ガス通路121が本発明におけるガス通路に相当し、第3の部分通路121cが本発明における共通通路に相当する。さらに、本実施例における第1および第2の圧力センサ232a,bが本発明における第1種の圧力センサに相当する。
【0034】
なお、本実施例では、第1および第3の遮断弁212a,bと第3の減圧弁222とが設けられているが、これらの弁は省略可能である。
【0035】
A−2.比較例におけるタンクの切替処理:
本実施例におけるタンクの切替処理の説明に先行して、比較例におけるタンクの切替処理について説明する。なお、比較例の燃料電池システムとしては、図1とほぼ同様のシステムを採用可能であるが、流量計234および電流計102は省略される。
【0036】
比較例では、例えば、第1のタンク210aに対応して設けられた第1の圧力センサ232aの検出値が第1の減圧弁214aの設計保証値未満となったときに、第1のタンク210aが空であると判断され、第1のタンク210aから第2のタンク210bに切り替えられる。ここで、減圧弁の設計保証値は、燃料ガスが動作保証温度範囲内の最高温度である場合に、減圧弁の下流側に燃料ガスが所定の最大流量(体積流量)で供給されることを保証する減圧弁の上流側の圧力値である。例えば、減圧弁の目標圧力が3MPaである場合には、減圧弁の設計保証値は該目標圧力よりも高い4MPaに設定される。
【0037】
しかしながら、燃料ガスが上記の最高温度であり、かつ、燃料ガスが上記の最大流量で流通することが要求される希な場合を除けば、燃料電池システムは、第1の圧力センサ232aの検出値が設計保証値未満であっても、第1のタンク210a内の燃料ガスを利用して運転を継続可能である。また、設計保証値には、通常、マージンが設定されるため、燃料電池システムは、上記の希な場合においても、第1のタンク210a内の燃料ガスを利用して運転を継続可能である。例えば、車両がほぼ一定の低い速度で走行する場合には、第1の圧力センサ232aの検出値が設計保証値未満であっても、燃料電池システムは第1のタンク210a内の燃料ガスを利用して運転を継続可能である。
【0038】
上記の説明から分かるように、比較例では、使用中の対象タンク内の燃料ガスが充分に残っているにも拘わらず、対象タンクが切り替えられている。そこで、本実施例では、使用中の対象タンク内の燃料ガスを充分に利用(消費)した後に対象タンクが切り替えられるように工夫している。
【0039】
A−3.実施例におけるタンクの切替処理:
図2は、第1実施例におけるタンクの切替処理の手順を示すフローチャートである。以下では、比較例と同様に、対象タンクが第1のタンク210aから第2のタンク210bへ切り替えられる場合を想定して説明する。
【0040】
ステップS102では、制御回路600は、対象タンク内の燃料ガスの残量が所定量未満であるか否かを判断する。具体的には、制御回路600は、使用中の第1のタンク210aに対応する第1の圧力センサ232aによって検出された圧力P1を取得する。そして、圧力P1が第1の減圧弁214aの設計保証値未満である場合に、第1のタンク210a内の燃料ガスの残量が所定量未満であると判断する。第1のタンク210a内の燃料ガスの残量が所定量以上であると判断された場合には、ステップS102の処理が繰り返し行われる。一方、第1のタンク210a内の燃料ガスの残量が所定量未満であると判断された場合には、ステップS104に進む。
【0041】
なお、本実施例では、2つのタンク210a,b内に燃料ガスが充分に貯蔵されている場合には、各タンク内の圧力がほぼ等しくなるように、タンクの切替が行われる。具体的には、各タンク内の圧力が予め準備された複数の圧力値に達する毎に、タンクは順次切り替えられ、この結果、各タンク内の圧力はほぼ設計保証値と等しくなるまで低下する。タンクが順次切り替えられる期間には、図2のステップS102の処理(判断)が並行して実行される。このため、図2のステップS102で第1のタンク210a内の圧力P1が設計保証値未満であると判断される場合には、第2のタンク210b内の圧力P2は設計保証値以上の値、より具体的には、設計保証値と等しい値または設計保証値よりも僅かに大きな値となっている。
【0042】
ステップS104では、制御回路600は、通知部610を制御してユーザへの通知を行う。具体的には、対象タンク内の燃料ガスの残量が所定量未満であるため、燃料ガスが不足して、発電が制限されたり停止したりする恐れがあること、換言すれば、車両の出力が制限されたり車両が停止したりする恐れがあることをユーザに通知(警告)する。
【0043】
ステップS106では、制御回路600は、燃料電池スタック100に供給される燃料ガスの流量が不足しているか否かを判断する。具体的には、制御回路600は、流量計234によって検出された燃料ガスの実際の流量(質量流量)(以下「現行流量」と呼ぶ)と、燃料電池スタック100に供給されるべき燃料ガスの流量(質量流量)(以下「要求流量」と呼ぶ)と、を比較し、燃料ガスの現行流量が要求流量よりも小さい場合には、燃料ガスの流量が不足していると判断する。
【0044】
制御回路600は、電流計102の検出結果に基づいて、燃料ガスの要求流量を決定する。燃料電池スタック100から負荷Rに流れる電流量は、発電に利用されて消費された燃料ガス量を間接的に示している。すなわち、該電流量は、燃料電池スタック100に新たに供給されるべき燃料ガス量を間接的に示している。このため、本実施例では、電流計102の検出結果に基づいて、発電に利用された燃料ガスの流量(正味流量)を決定し、正味流量を、燃料電池スタック100に供給されるべき燃料ガスの流量(要求流量)として決定している。
【0045】
ただし、いわゆるクロスリークを無視できない場合には、要求流量は、クロスリークを考慮して補正されることが好ましい。ここで、クロスリークは、燃料電池スタック100内部の燃料ガスが、燃料電池スタック100内部の電解質膜を透過して酸化ガス側に漏れ出す現象である。電解質膜を介して漏れ出す燃料ガスは、発電に寄与しない。したがって、クロスリークが無視できない場合には、要求流量は、発電に利用される燃料ガスの流量(正味流量)に、電解質膜を介して漏れ出す燃料ガスの流量(第1の漏れ流量)が加算された流量に設定されることが好ましい。なお、第1の漏れ流量は、燃料電池スタック100内部の温度が高い程大きくなる。したがって、温度に応じた第1の漏れ流量を示すテーブルを実験等に基づいて準備し、燃料電池スタック100内部の温度(例えば冷却水の温度)に応じて第1の漏れ流量の現行値を決定すれば、より正確に要求流量を決定することができる。
【0046】
なお、燃料電池スタック100内部の燃料ガスが、燃料電池スタック100内部の電解質膜を透過して酸化ガス側に漏れ出す際には、実際には、燃料電池スタック100内部の酸化ガス(空気)中に含まれる窒素ガスも、燃料電池スタック100内部の電解質膜を透過して燃料ガス側に漏れ出している。窒素ガスが燃料ガス側に漏れ出すと、燃料電池スタック100内部の燃料ガスの通路の圧力が増大してしまう。このため、要求流量としては、発電に利用される燃料ガスの流量(正味流量)に、電解質膜を介して漏れ出す燃料ガスの流量(第1の漏れ流量)を加算し、電解質膜を介して漏れ出す窒素ガスの流量(第2の漏れ流量)を減算して得られる流量に設定されてもよい。なお、第2の漏れ流量も、燃料電池スタック100内部の温度が高い程大きくなる。したがって、温度に応じた第2の漏れ流量を示すテーブルを実験等に基づいて準備し、燃料電池スタック100内部の温度(例えば冷却水の温度)に応じて第2の漏れ流量の現行値を決定すれば、より正確に要求流量を決定することができる。
【0047】
なお、本実施例では、上記のように、電流計102の検出結果に基づいて燃料ガスの要求流量が決定されているが、これに代えて、燃料電池スタック100に接続された負荷Rの大きさ(例えばアクセル開度)に応じて要求される発電量(パワー)を算出し、該要求発電量に基づいて、燃料電池スタック100に供給されるべき燃料ガスの流量(要求流量)を決定してもよい。
【0048】
ステップS106において、燃料ガスの実際の流量が不足していると判断される場合には、ステップS108に進み、不足していないと判断される場合には、ステップS106の処理が繰り返し実行される。
【0049】
ステップS108では、制御回路600は、対象タンクすなわち第1のタンク210aが空であると判断する。
【0050】
ステップS110では、制御回路600は、対象タンクの切り替え処理を実行する。具体的には、制御回路600は、2つのタンク210a,bに対応する2つの遮断弁216a,bを制御して、対象タンクを第1のタンク210aから第2のタンク210bに変更する。より具体的には、第1のタンク210aに対応する第2の遮断弁216aが閉状態に設定されると共に、第2のタンク210bに対応する第4の遮断弁216bが開状態に設定される。この結果、第2のタンク210b内の燃料ガスが第3の部分通路121cを介して燃料電池スタック100に供給される。
【0051】
図3は、タンクの切替処理を模式的に示す説明図である。図3(a)は、制御回路600が第2の遮断弁216aを制御するための第1の制御信号CSa1,CSa2を示し、図3(b)は、第2の遮断弁216aの開度CVa1,CVa2を示す。図3(c)は、制御回路600が第4の遮断弁216bを制御するための第2の制御信号CSbを示し、図3(d)は、第4の遮断弁216bの開度CVbを示す。なお、横軸は、時間を示している。図3(a),(b)の実線は、第1の態様における切替動作を示しており、破線は、第2の態様における切替動作を示している。また、図3(c),(d)の実線は、第1および第2の態様における切替動作を示している。本実施例では、第1および第2の態様のいずれを採用することも可能である。
【0052】
図3では、時刻t1で燃料ガスの流量の不足が発生し、時刻t2で燃料ガスの流量が不足していると判断された場合を想定している。
【0053】
第1の態様では、制御回路600は、時刻t2において、第1の制御信号CSa1(図3(a))をHレベルからLレベルに変更する。このとき、第2の遮断弁216aに流れていた電流は遮断され、第2の遮断弁216aの開度CVa1(図3(b))は次第に小さくなり、時刻t3で第2の遮断弁216aは閉状態(最も閉じた状態)に設定される。また、制御回路600は、時刻t2において、第2の制御信号CSb(図3(c))をLレベルからHレベルに変更する。このとき、第4の遮断弁216bには電流が流れ、第4の遮断弁216bの開度CVb(図3(d))は次第に大きくなり、時刻t3で第4の遮断弁216bは開状態(最も開いた状態)に設定される。なお、上記のように、2つの遮断弁216a,bの開閉状態は、制御信号CSa1,CSbが与えられた直後には切り替わらず、応答期間t2〜t3を経て切り替わる。
【0054】
第2の態様では、第2の遮断弁216aの切替動作が第1の態様と異なる。第2の態様では、制御回路600は、時刻t2およびt3よりも後の時刻t4において、第1の制御信号CSa2(図3(a))をHレベルからLレベルに変更する。そして、第2の遮断弁216aの開度CVa2(図3(b))は次第に小さくなり、時刻t5で第2の遮断弁216aは閉状態(最も閉じた状態)に設定される。第1の態様と同様に、第2の遮断弁216aの開閉状態は、応答期間t4〜t5を経て切り替わる。
【0055】
ところで、上記のいずれの態様が採用される場合にも、対象タンクが空であると判断されるまでの判断期間t1〜t2と、第4の遮断弁216bが最も開いた状態に設定されるまでの期間t2〜t3のうちの一部の期間と、では、燃料電池スタック100に供給される燃料ガスの流量が不足している。
【0056】
しかしながら、上記のいずれの態様が採用される場合にも、期間t2〜t3では、第2の遮断弁216aは閉じられていないため、第1のタンク210aと第2のタンク210bとの双方から燃料ガスが燃料電池スタック100に供給される。このため、第2の遮断弁216aが閉じた後に、第4の遮断弁216bが開き始める場合と比較して、燃料ガスの流量の不足を緩和することができると共に、燃料ガスの流量の不足期間を短縮することができる。
【0057】
特に、第2の態様では、第4の遮断弁216bが時刻t3で開状態(最も開いた状態)に設定されたときには、第2の遮断弁216aは、未だ開状態(最も開いた状態)に設定されており、その後の時刻t4から第2の遮断弁216aが閉じ始める。このように、第2の態様を採用すれば、第1の態様を採用する場合と比較して、期間t2〜t3において第2の遮断弁216aを介して第1のタンク210aから燃料電池スタック100に供給される燃料ガスの量が増大するため、該期間t2〜t3における燃料ガスの流量の不足がより緩和されると共に、燃料ガスの流量の不足期間がより短縮される。
【0058】
なお、図3では、第2の遮断弁216aは、第4の遮断弁216bが最も開いた状態に設定された後の時刻t4から閉じ始めているが、これに代えて、第4の遮断弁216bが最も開いた状態に設定される前の時刻(すなわち期間t2〜t3の間の時刻)から閉じ始めてもよい。この場合にも、第4の遮断弁216bが最も開いた状態に設定されたときに、第2の遮断弁216aは未だ開いているため、期間t2〜t3における燃料ガスの流量の不足をより緩和することができる。一般には、第4の遮断弁216bが最も開いた状態に設定された後に、第2の遮断弁216aが最も閉じた状態に設定されればよい。
【0059】
第1のタンク210aから第2のタンク210bに切り替えられた後には、第2のタンク210bを対象タンクとして図2のステップS102,S106,S108と同様の処理が実行される。そして、第2のタンク210bが空であると判断されると、燃料電池システムの運転は停止する。
【0060】
以上説明したように、本実施例では、第1のタンク内の燃料ガスの残量が所定量未満であると判断された後でも、燃料電池スタックに供給される燃料ガスの流量が不足していないと判断される場合には、第1のタンクは継続して使用される。そして、燃料電池スタックに供給されるガスの流量が不足していると判断された場合に、第1のタンクから第2のタンクに切り替えられる。すなわち、本実施例では、第1のタンク内の燃料ガスを充分に利用した後に、第2のタンクに変更することができる。この結果、第1および第2のタンクを利用する場合の発電量を増大させることができる。
【0061】
また、本実施例では、ステップS104(図2)でユーザへの通知(警告)が行われている。このため、ユーザは、ステップS106において燃料ガスの流量が不足していると判断されないように、車両を運転することができる。例えば、ユーザは、ほぼ一定の比較的低い速度で車両を運転することができる。すなわち、ステップS104におけるユーザへの通知によって、対象タンク内の燃料ガスをより多く利用することが可能となる。
【0062】
A−4.変形例:
前述したように、第1実施例では、すべてのタンクが空であると判断されると、燃料電池スタックの運転は停止する。変形例では、このような場合にも、燃料電池スタックの運転を再開することができるように工夫している。
【0063】
すべてのタンクが空であると判断された場合にも、各タンクには、燃料ガスが残存している。例えば、第1のタンクが空であると判断されたときの燃料ガスの実際の流量よりも小さな流量であれば、第1のタンクは燃料ガスを燃料電池スタックに供給可能である。そこで、本実施例では、ユーザによって運転の再開が指示された場合には、燃料電池スタックの運転の再開を許容している。ただし、第1のタンクが利用される場合には、燃料電池スタック100に供給される燃料ガスの流量は、第1のタンクが空であると判断されたときの燃料ガスの実際の流量よりも小さな流量に制限される。同様に、第2のタンクが利用される場合には、燃料電池スタック100に供給される燃料ガスの流量は、第2のタンクが空であると判断されたときの燃料ガスの実際の流量よりも小さな流量に制限される。
【0064】
変形例を採用すれば、燃料電池スタックの出力は制限されるが、燃料電池スタックは比較的短い期間運転可能である。
【0065】
B.第2実施例:
図4は、第2実施例における燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。図4は、図1とほぼ同様であるが、燃料ガス供給系200Bが変更されている。具体的には、本実施例の燃料ガス供給系200Bは、図1の流量計234に代えて、第3の圧力センサ236を備えている。第3の圧力センサ236は、第3の減圧弁222の下流側に設けられており、燃料電池スタック100に供給される燃料ガスの圧力を検出する。また、本実施例では、図1の電流計102が省略されている。
【0066】
なお、本実施例における第3の圧力センサ236が本発明における第2種の圧力センサに相当する。
【0067】
このシステムを採用する場合にも、図2と同様の処理によって、タンクの切替処理が実行される。ただし、本実施例では、ステップS106の処理は、第3の圧力センサ236によって検出された圧力P3を利用して行われる。
【0068】
具体的には、ステップS106において、制御回路600は、第3の圧力センサ236によって検出される圧力P3が所定値以下の場合に、燃料ガスの流量が不足していると判断する。燃料ガスの流量が不足している場合には、燃料電池スタック100の上流側の圧力は低下する。このため、本実施例では、第3の減圧弁222の下流側の圧力、換言すれば、燃料電池スタック100の上流側の圧力に基づいて、燃料ガスの流量の不足の有無が判断されている。
【0069】
本実施例を採用する場合にも、第1実施例と同様に、対象タンク内の燃料ガスを充分に利用した後に、対象タンクを変更することができ、この結果、第1および第2のタンクを利用する場合の発電量を増大させることができる。また、本実施例では、第3の圧力センサ236の検出値のみを用いて燃料ガスの流量の不足の有無を判断するため、該判断を比較的容易に行うことができるという利点がある。
【0070】
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0071】
(1)タンク内部の圧力は、タンクの破損を防止するために、常に、所定の下限値以上であることが好ましい。なお、下限値はタンクメーカによって推奨される値であり、前述の設計保証値よりもかなり小さな値である。車両がアイドリングを長期間継続する場合などには、対象タンク内の圧力が下限値未満となり得る。このため、対象タンク内の圧力が下限値未満である場合には、直ちに対象タンクが空であると判断され、対象タンクが切り替えられるようにしてもよい。なお、この判断は、例えば、図2のステップS102〜S106の処理と並行して実行されればよい。
【0072】
(2)上記実施例では、2つのタンク210a,bが準備されているが、これに代えて、3つ以上のタンクが準備されてもよい。
【0073】
(3)上記実施例では、2つのタンク210a,bに対応して設けられた2つの遮断弁216a,bを制御することによって、第3の部分通路121cへ燃料ガスを送出するタンクが対象タンクとして選択されているが、これに代えて、第1の部分通路121aと第2の部分通路121bとの合流部分に1つの切替弁が準備されてもよい。
【0074】
一般には、複数のタンクの中から共通通路へ燃料ガスを送出するタンクを対象タンクとして選択する選択部が設けられていればよい。
【0075】
(4)上記実施例では、前述したように、2つのタンク210a,b内に燃料ガスが充分に貯蔵されている場合には、各タンクは所定の圧力値に達する毎に交互に切り替えられ、各タンク内の燃料ガスは交互に利用(消費)されている。しかしながら、これに代えて、一方のタンクが空であると判断されるまでタンクの切替を行わずに該タンク内の燃料ガスを継続して利用(消費)し、その後、燃料ガスが充分に貯蔵された他のタンクに切り替えられるようにしてもよい。
【0076】
ただし、上記実施例のように、各タンク内の燃料ガスが交互に利用される場合には、以下に説明するように、ステップS110で対象タンクを切り替える際における燃料ガスの不足期間を比較的短くすることができるという利点がある。遮断弁は、通常、ガスの圧力が大きい程、応答速度すなわち開閉動作が遅くなる。上記実施例では、ステップS110で対象タンクが第1のタンク210aから第2のタック210bに切り替えられる際には、第1のタンク210a内の圧力は設計保証値未満であり、第2のタンク210b内の圧力はほぼ設計保証値まで低下している。すなわち、ステップS110で2つの遮断弁216a,bの開閉動作が行われる際には、2つの遮断弁216a,b付近のガスの圧力は比較的低い。このため、ステップS110で対象タンクを切り替える際には、2つの遮断弁216a,bの応答速度すなわち開閉動作は比較的速く、この結果、対象タンクを切り替える際の燃料ガスの不足期間を比較的短くすることができる。
【0077】
(5)上記実施例のステップS102の判断では、減圧弁214a,bの設計保証値として、減圧弁自体の設計保証値が利用されているが、減圧弁214a,bの設計保証値としては、燃料ガス供給系全体を考慮した設計保証値が利用されてもよい。減圧弁214a,bの上流圧が減圧弁自体の設計保証値未満である場合にも、燃料電池スタック100には必要とされる所定の最大流量で燃料ガスを供給することが可能である。そこで、減圧弁214a,bの設計保証値としては、最下流側の燃料電池スタック100に燃料ガスが所定の最大流量で供給されることを保証する減圧弁の上流側の圧力値が利用されてもよい。すなわち、ステップS102の判断では、所定の圧力値が利用されればよい。
【0078】
また、上記実施例では、2つのタンク210a,bに対応して2つの圧力センサ232a,bと2つの上流側減圧弁216a,bとがこの順序で設けられており、ステップS102の判断は、対象タンクに対応する圧力センサの検出値に基づいて行われている。しかしながら、これに代えて、第3の部分通路121cに1つの圧力センサと1つの上流側減圧弁とをこの順序で設け、ステップS102の判断が、該圧力センサの検出値に基づいて行われるようにしてもよい。すなわち、一般には、対象タンク内の圧力を検出する少なくとも1つの第1種の圧力センサが設けられていればよい。
【0079】
さらに、上記実施例では、ステップS102の判断は、対象タンクに対応する圧力センサの検出値に基づいて行われているが、これに代えて、他の物理量の検出値に基づいて行われるようにしてもよい。例えば、複数のタンクに対応する複数の重量センサを設け、対象タンクに対応する重量センサの検出値に基づいてステップS102の判断が行われてもよい。
【0080】
一般には、対象タンク内の燃料ガスの残量に関連する物理量の検出結果に基づいて、対象タンク内の燃料ガスの残量が所定量未満であるか否かが判断されればよい。
【0081】
(6)第1実施例では、第3の部分通路121cに1つの流量計234が設けられており、ステップS104の判断は、流量計234の検出値に基づいて行われている。しかしながら、これに代えて、第1および第2の部分通路121a,bのそれぞれに流量計が設けられ、ステップS104の判断が、対象タンクに対応する流量計の検出値に基づいて行われるようにしてもよい。すなわち、一般には、対象タンクから燃料電池スタックに供給されるガスの流量を検出する少なくとも1つの流量計が設けられていればよい。
【0082】
また、第1実施例では、ステップS104の判断は、流量計234の検出値に基づいて行われており、第2実施例では、第3の圧力センサ236の検出値に基づいて行われているが、他の物理量の検出値に基づいて行われるようにしてもよい。
【0083】
一般には、対象タンクから燃料電池スタックに供給される燃料ガスの流量に関連する物理量の検出結果に基づいて、燃料ガスの流量が不足しているか否かが判断されればよい。
【0084】
(7)上記実施例では、水素ガスを高圧で貯蔵するタンクが利用されているが、これに代えて、水素ガスが吸蔵された水素吸蔵合金を備えるタンクや、液体水素を貯蔵するタンク、水素ガスが吸着したカーボンナノチューブなどの吸着材料を備えるタンクなどが利用されてもよい。
【0085】
(8)上記実施例では、本発明のガス供給装置を燃料電池システムに適用した場合について説明したが、他のシステムにも適用可能である。例えば、圧縮天然ガスを燃料として利用する内燃機関や、水素ガスを燃料として利用する内燃機関などにも適用可能である。また、上記実施例では、ガス供給装置は、燃料ガス(水素ガス)を供給しているが、これに代えて、他のガスを供給するようにしてもよい。一般には、ガス供給装置は、対象装置にガスを供給すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】第1実施例における燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。
【図2】第1実施例におけるタンクの切替処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】タンクの切替処理を模式的に示す説明図である。
【図4】第2実施例における燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0087】
100…燃料電池スタック
102…電流計
121…燃料ガス通路
121a〜c…部分通路
129…燃料オフガス通路
131…酸化ガス通路
139…酸化オフガス通路
141…合流通路
200,B…燃料ガス供給系
210a,b…タンク
212a,b…遮断弁
214a,b…減圧弁
216a,b…遮断弁
222…減圧弁
232a,b…圧力センサ
234…流量計
236…圧力センサ
260…遮断弁
300…酸化ガス供給系
310…ブロワ
600…制御回路
610…通知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象装置にガスを供給するためのガス供給装置であって、
ガスを貯蔵するための複数のタンクと、
前記複数のタンクに接続されて前記対象装置に供給されるガスが流通するガス通路であって、前記各タンクから送出されたガスが共通して流通する共通通路を含む前記ガス通路と、
前記複数のタンクの中から前記共通通路へガスを送出するタンクを対象タンクとして選択する選択部と、
前記対象タンク内のガスの残量に関連する物理量を検出する第1の検出部と、
前記対象タンクから前記対象装置に供給されるガスの流量に関連する物理量を検出する第2の検出部と、
前記第1の検出部の検出結果に基づいて、前記対象タンク内のガスの残量が所定量未満であると判断され、かつ、前記第2の検出部の検出結果に基づいて、前記対象タンクから前記対象装置に供給されるガスの流量が不足していると判断された場合に、前記選択部を制御して、前記対象タンクを第1のタンクから第2のタンクに変更する制御部と、
を備えることを特徴とするガス供給装置。
【請求項2】
請求項1記載のガス供給装置であって、
前記第1の検出部は、
前記対象タンク内の圧力を検出する第1種の圧力センサを含み、
前記制御部は、
前記第1種の圧力センサの検出結果が所定値未満の値を示す場合に、前記対象タンク内のガスの残量が所定量未満であると判断する、ガス供給装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のガス供給装置であって、
前記第2の検出部は、
前記対象タンクから前記対象装置に供給されるガスの流量を検出する流量計を含み、
前記制御部は、
前記流量計の検出結果が前記対象装置に供給されるべきガスの流量未満の値を示す場合に、前記対象タンクから前記対象装置に供給されるガスの流量が不足していると判断する、ガス供給装置。
【請求項4】
請求項1または2記載のガス供給装置であって、
前記第2の検出部は、
前記共通通路内の圧力を検出する第2種の圧力センサを含み、
前記制御部は、
前記第2種の圧力センサの検出結果が所定値未満の値を示す場合に、前記対象タンクから前記対象装置に供給されるガスの流量が不足していると判断する、ガス供給装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載のガス供給装置であって、
前記制御部は、
前記判断に基づいて前記対象タンクを前記第1のタンクから前記第2のタンクに変更する際には、前記第1のタンクと前記第2のタンクとの双方から前記共通通路内にガスが送出されるように、前記選択部を制御する、ガス供給装置。
【請求項6】
請求項5記載のガス供給装置であって、
前記選択部は、
前記複数のタンクに対応して設けられた複数の遮断弁を備え、
前記制御部は、
前記判断に基づいて前記対象タンクを前記第1のタンクから前記第2のタンクに変更する際には、前記第2のタンクに対応する第2の遮断弁が最も開いた状態に設定された後に、前記第1のタンクに対応する第1の遮断弁が最も閉じた状態に設定されるように、前記第1の遮断弁と前記第2の遮断弁とを制御する、ガス供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−51682(P2007−51682A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−237098(P2005−237098)
【出願日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】