説明

ガス充填装置及びガス充填方法

【課題】燃料被供給体のガス貯留装置に燃料ガスを充填するにあたり、ガス貯留装置内におけるガス温度の上昇を抑制するとともに、設備費用の低減を図る。
【解決手段】高圧水素タンク10と、高圧水素タンク10にガス通路2を介して接続されるとともに燃料電池車両100(燃料被供給体)の燃料タンク110(ガス貯留装置)に接続され、高圧水素タンク10から供給された水素ガスを燃料タンク110に充填する充填ノズル20と、を備えた燃料ステーション1(ガス充填装置)であって、高圧水素タンク10から供給された水素ガスを、この供給された水素ガスより低温のガスと高温のガスとに分離するとともに、分離した低温のガスを燃料タンク110側に送るボルテックスチューブ30を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス充填装置及びガス充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、圧縮天然ガスを燃料とする天然ガス自動車や水素ガスを燃料とする水素自動車・燃料電池自動車に、燃料ガスとしての天然ガスや水素ガスを供給するための燃料ステーションが設置されている。このような燃料ステーションに高圧ガスタンクから自動車の燃料タンクに高圧ガスを充填すると、燃料タンク内のガス温度が上昇して、燃料タンクの劣化・損傷や充填効率の低下等の種々の問題が発生し得る。
【0003】
このため、近年においては、燃料ステーションに熱交換器やクーラ等のガス冷却設備を設置し、このガス冷却設備を用いて燃料タンクに充填されるガスを冷却することにより、自動車の燃料タンク内におけるガス温度の上昇を抑制する技術が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2004−116619号公報
【特許文献2】特開2004−125087号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1及び特許文献2に記載されているような技術を採用すると、ガス冷却設備を設置するための費用が嵩むとともに、広い設置スペースが必要となる等の新たな問題が発生する。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、燃料被供給体(例えば燃料電池自動車)のガス貯留装置(例えば燃料タンク)に燃料ガスを充填するにあたり、ガス貯留装置内におけるガス温度の上昇を抑制するとともに、設備費用の低減を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明に係るガス充填装置は、燃料ガス供給源と、この燃料ガス供給源にガス通路を介して接続されるとともに燃料被供給体のガス貯留装置に接続され、燃料ガス供給源から供給された燃料ガスをガス貯留装置に充填する充填手段と、を備えたガス充填装置であって、燃料ガス供給源から供給された燃料ガスを、この燃料ガスよりも低温のガスと高温のガスとに分離するとともに、分離した低温のガスをガス貯留装置側に送るガス分離手段を備えるものである。
【0007】
かかる構成によれば、ガス分離手段を用いて、燃料ガス供給源から供給された燃料ガスを、この燃料ガスよりも低温のガスと高温のガスとに分離するため、燃料ガスの冷却が不要となるので、熱交換器やクーラ等の従来のガス冷却設備を用いる必要がない。従って、設備費用の低減が可能となる。また、分離した低温のガスをガス貯留装置側に送るため、燃料被供給体(例えば燃料電池自動車)のガス貯留装置内におけるガス温度の上昇を抑制することができる。従って、ガス貯留装置(例えば燃料タンク)の劣化・損傷を抑制することができる。
【0008】
前記ガス充填装置において、ガス分離手段を燃料ガス供給源と充填手段の間に設けることもできる。また、前記ガス充填装置において、ガス分離手段を充填手段とガス貯留装置の間に設けてもよい。
【0009】
また、前記ガス充填装置において、ガス分離手段としてボルテックスチューブを採用することができる。ボルテックスチューブは、電源や冷媒等を不要とし、圧縮ガスのみを使用して高温ガスと低温ガスとの分離を実現させるものであり、比較的安価であるため、設備費用を大幅に低減することが可能となる。また、ボルテックスチューブは小型・軽量であるため、設置スペースを低減することもできる。
【0010】
また、前記ガス充填装置において、ガス分離手段で分離した高温のガスを回収するガス回収手段を備えることもできる。このようにすることにより、回収した高温のガスを種々の目的に再利用することができる。
【0011】
例えば、ガス回収手段として、ガス分離手段で分離した高温のガスを蓄積するタンクを採用することができる。タンクは、蓄積した高温のガスを冷却する冷却機能を有することが好ましい。また、タンク内に蓄積されたガスを燃料ガス供給源に供給するような構成を採用してもよい。かかる構成を採用すると、回収したガスを燃料ガスとして再び燃料被供給体側へと供給することが可能となる。また、ガス分離手段からタンクへと流れる高温のガスの流量を調整する流量調整手段を備えてもよい。かかる構成を採用すると、ガス分離手段から燃料被供給体側へと供給される低温のガスの流量を間接的に調整することが可能となる。
【0012】
また、ガス回収手段として、ガス分離手段で分離した高温のガスを利用してエネルギを発生させるエネルギ発生手段(例えば燃料電池や燃焼器)を採用することもできる。このようにすることにより、回収した高温のガスで種々のエネルギ(電気エネルギや熱エネルギ)を発生させることができ、この発生させたエネルギを用いて各種機器を駆動することが可能となる。
【0013】
また、本発明に係るガス充填方法は、燃料ガス供給源から供給された燃料ガスを燃料被供給体のガス貯留装置に充填するガス充填方法であって、燃料ガス供給源から燃料被供給体側へと供給された燃料ガスを、この燃料ガスよりも低温のガスと高温のガスとに分離する第1の工程と、第1の工程で分離した低温のガスをガス貯留装置に充填する第2の工程と、を含むものである。
【0014】
かかる方法によれば、燃料ガス供給源から供給された燃料ガスを、この燃料ガスよりも低温のガスと高温のガスとに分離するため、燃料ガスの冷却が不要となるので、熱交換器やクーラ等の従来のガス冷却設備を用いる必要がない。従って、設備費用の低減が可能となる。また、分離した低温ガスをガス貯留装置側に送るため、燃料被供給体(例えば燃料電池自動車)のガス貯留装置内におけるガス温度の上昇を抑制することができる。従って、ガス貯留装置(例えば燃料タンク)の劣化・損傷を抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、燃料被供給体のガス貯留装置内におけるガス温度の上昇を抑制することができるとともに、設備費用の低減が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るガス充填装置について説明する。以下の各実施形態においては、燃料電池車両(燃料被供給体)の燃料タンク(ガス貯留装置)に燃料ガスを充填する燃料ステーション(ガス充填装置)に本発明を適用した例について説明することとする。
【0017】
<第1実施形態>
まず、図1を用いて、本発明の第1実施形態に係る燃料ステーション1(ガス充填装置)の構成について説明する。
【0018】
燃料ステーション1は、図1に示すように、燃料ガスとしての水素ガスを燃料電池車両100側に供給するための高圧水素タンク10、高圧水素タンク10から供給された水素ガスを燃料タンク110に充填する充填ノズル20、高圧水素タンク10から供給された水素ガスを、この供給された水素ガスよりも低温の水素ガス(以下、「低温ガス」という)と、供給された水素ガスよりも高温の水素ガス(以下、「高温ガス」という)とに分離させ、低温ガスを燃料タンク110側に送るボルテックスチューブ30、ボルテックスチューブ30で分離させた高温ガスを回収するバッファタンク40等を備えて構成されている。
【0019】
高圧水素タンク10は、本発明における燃料ガス供給源の一実施形態であり、その内部に高圧(例えば350気圧〜700気圧)の水素ガスが充填され、燃料電池車両100側に水素ガスを供給する。
【0020】
充填ノズル20は、本発明における充填手段の一実施形態であり、図1に示すように、ガス通路2及びボルテックスチューブ30を介して高圧水素タンク10に接続されるとともに、燃料電池車両100に設けられた燃料供給口120及びガス通路130を介して燃料タンク110に接続されている。本実施形態における充填ノズル20は、トリガ21を操作することにより、高圧水素タンク10から供給された水素ガスを燃料タンク110に充填することができるようになっている。なお、燃料電池車両100のガス通路130には、燃料タンク110に充填された水素ガスが燃料ステーション1側に逆流することを阻止する逆止弁140が設けられている。
【0021】
ボルテックスチューブ30は、本発明におけるガス分離手段の一実施形態であり、高圧水素タンク10から燃料電池車両100側に供給された水素ガスを低温ガスと高温ガスとに分離させ、低温ガスを燃料タンク110側に送るように機能するものである。ボルテックスチューブ30は、ガス供給口31と、高温ガス吐出口32と、低温ガス吐出口33と、を有し、内部に旋回ガス流を発生させる中空管である。高圧水素タンク10からボルテックスチューブ30の内部へとガス供給口31を介して高圧の水素ガスを送り込むと、ボルテックスチューブ30内で旋回ガス流が生成され、かかる旋回ガス流の中で中央から端へと熱の流動が起こることにより、水素ガスが低温ガスと高温ガスとに分離することとなる。
【0022】
ボルテックスチューブ30の内部で分離した低温ガスは、低温ガス吐出口33及びガス通路2を介して燃料タンク110側に供給される。一方、ボルテックスチューブ30の内部で分離した高温ガスは、高温ガス吐出口32及びガス通路2を介してバッファタンク40側に供給される。ボルテックスチューブ30は、電源や冷媒等を不要とするため比較的安価であるとともに、可動部を有しないため取扱いが容易である。また、ボルテックスチューブ30は小型・軽量であるため、設置スペースの低減が可能となる。なお、本実施形態においては、図1に示すように、ボルテックスチューブ30を高圧水素タンク10と充填ノズル20との間に設けている。
【0023】
バッファタンク40は、本発明におけるガス回収手段の一実施形態であり、図1に示すようにガス通路2を介してボルテックスチューブ30に接続され、ボルテックスチューブ30で分離させた高温ガスを回収して一時的に蓄積する。本実施形態においては、バッファタンク40の容積を燃料電池車両100の燃料タンク110の容積よりも大きく設定しており、高温ガスが流入しても燃料タンク110と比較してその内部におけるガス温度が上昇し難くなっている。バッファタンク40に流入した高温ガスの温度は、タンク外部への放熱により経時的に低下することとなる。また、本実施形態においては、図1に示すように、バッファタンク40とボルテックスチューブ30とを接続するガス通路2に絞り機構50(流量調整手段)を設けて、ボルテックスチューブ30からバッファタンク40へと流れる高温ガスの流量を調整することとしている。
【0024】
また、本実施形態においては、図1に示すように、バッファタンク40と高圧水素タンク10とがガス通路2で接続されており、バッファタンク40内のガスが高圧水素タンク10に供給されるようになっている。バッファタンク40と高圧水素タンク10を接続するガス通路2には、図1に示すように、バルブ60、減圧弁70及び昇圧器80が設けられており、バッファタンク40から供給されるガスの流量や圧力を調整することができるようになっている。また、ガス通路2には、高圧水素タンク10からバッファタンク40へのガスの逆流を阻止する逆止弁90が設けられている。
【0025】
次に、本実施形態に係る燃料ステーション1から燃料電池車両100へのガス充填方法について説明する。
【0026】
まず、高圧水素タンク10から燃料電池車両100側へと供給された水素ガスを、ガス通路2及びガス供給口31を介してボルテックスチューブ30の内部に送り込むことにより、水素ガスを低温ガスと高温ガスとに分離する(第1の工程)。そして、ボルテックスチューブ30の内部で分離した低温ガスを、低温ガス吐出口33及びガス通路2を介して燃料電池車両100側へ供給し、充填ノズル20のトリガ21を操作することにより、低温ガスを燃料電池車両100の燃料タンク110に充填する(第2の工程)。
【0027】
以上説明した実施形態に係る燃料ステーション1(ガス充填装置)においては、ボルテックスチューブ30を用いて、高圧水素タンク10から供給された水素ガスを低温ガスと高温ガスとに分離するため、水素ガスの冷却が不要となるので、熱交換器やクーラ等の従来のガス冷却設備を用いる必要がない。従って、設備費用の低減が可能となる。特に、ガス分離手段として、比較的安価でかつ小型・軽量のボルテックスチューブ30を採用しているため、設備費用の大幅な低減と、設置スペースの低減と、の双方を実現させることができる。また、分離した低温ガスを燃料電池車両100の燃料タンク110側に送るため、燃料タンク110内におけるガス温度の上昇を抑制することができる。従って、燃料タンク110の劣化・損傷を抑制することができる。
【0028】
また、以上説明した実施形態に係る燃料ステーション1においては、ボルテックスチューブ30で分離した高温ガスを回収するバッファタンク40(ガス回収手段)を備えており、バッファタンク40内に蓄積されたガスを高圧水素タンク10に供給するような構成を採用しているため、回収したガスを燃料ガスとして再び燃料電池車両100側へと供給することが可能となる。
【0029】
また、以上説明した実施形態に係る燃料ステーション1においては、ボルテックスチューブ30からバッファタンク40へと流れる高温ガスの流量を調整する流量調整手段(絞り機構50)を備えているため、ボルテックスチューブ30から燃料電池車両100側へと供給される低温ガスの流量を間接的に調整することが可能となる。
【0030】
<第2実施形態>
次に、図2を用いて、本発明の第2実施形態に係る燃料ステーション1A(ガス充填装置)について説明する。本実施形態に係る燃料ステーション1Aは、第1実施形態に係る燃料ステーション1のガス回収手段の構成を変更したものであり、その他の構成については第1実施形態と実質的に同一である。このため、変更した構成を中心に説明することとし、第1実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0031】
燃料ステーション1Aは、図2に示すように、燃料ガスとしての水素ガスを燃料電池車両100側に供給するための高圧水素タンク10、高圧水素タンク10から供給された水素ガスを燃料タンク110に充填する充填ノズル20、高圧水素タンク10から供給された水素ガスを低温ガスと高温ガスとに分離させ、低温ガスを燃料タンク110側に送るボルテックスチューブ30、ボルテックスチューブ30で分離させた高温ガスを回収する定置型燃料電池40A等を備えて構成されている。
【0032】
すなわち、本実施形態においては、ボルテックスチューブ30で分離した高温ガスを回収するガス回収手段の一実施形態として、定置型燃料電池40Aを採用している。定置型燃料電池40Aは、回収した高温ガスを利用して電気エネルギを発生させるものであり、本発明におけるエネルギ発生手段の一実施形態である。定置型燃料電池40Aで発生させた電力(電気エネルギ)は、図2に示すように、燃料ステーション1Aの各種補器(昇圧器80等)を駆動するための駆動電力として使用されるとともに、店舗等の必要電力として使用される。
【0033】
以上説明した実施形態に係る燃料ステーション1A(ガス充填装置)においては、ボルテックスチューブ30を用いて、高圧水素タンク10から供給された水素ガスを低温ガスと高温ガスとに分離するため、水素ガスの冷却が不要となるので、熱交換器やクーラ等の従来のガス冷却設備を用いる必要がない。従って、設備費用の低減が可能となる。特に、ガス分離手段としてボルテックスチューブ30を採用しているため、設備費用の大幅な低減と、設置スペースの低減と、の双方を実現させることができる。また、分離した低温ガスを燃料電池車両100の燃料タンク110側に送るため、燃料タンク110内におけるガス温度の上昇を抑制することができる。従って、燃料タンク110の劣化・損傷を抑制することができる。
【0034】
また、以上説明した実施形態に係る燃料ステーション1Aにおいては、ボルテックスチューブ30で分離した高温ガスを回収する定置型燃料電池40A(ガス回収手段、エネルギ発生手段)を備えており、回収した高温ガスのエネルギを再利用することができる。すなわち、回収した高温ガスを用いて定置型燃料電池40Aで電気エネルギを発生させ、この発生させた電気エネルギを用いて各種補器等を駆動することが可能となる。
【0035】
<第3実施形態>
次に、図3を用いて、本発明の第3実施形態に係る燃料ステーション1B(ガス充填装置)について説明する。本実施形態に係る燃料ステーション1Bは、第1実施形態に係る燃料ステーション1のガス回収手段の構成を変更したものであり、その他の構成については第1実施形態と実質的に同一である。このため、変更した構成を中心に説明することとし、第1実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0036】
燃料ステーション1Bは、図3に示すように、燃料ガスとしての水素ガスを燃料電池車両100側に供給するための高圧水素タンク10、高圧水素タンク10から供給された水素ガスを燃料タンク110に充填する充填ノズル20、高圧水素タンク10から供給された水素ガスを低温ガスと高温ガスとに分離させ、低温ガスを燃料タンク110側に送るボルテックスチューブ30、ボルテックスチューブ30で分離させた高温ガスを回収する燃焼器40B等を備えて構成されている。
【0037】
すなわち、本実施形態においては、ボルテックスチューブ30で分離した高温ガスを回収するガス回収手段の一実施形態として、燃焼器40Bを採用している。燃焼器40Bは、回収した高温ガスを利用して熱エネルギを発生させるものであり、本発明におけるエネルギ発生手段の一実施形態である。燃焼器40Bで発生させた熱エネルギは、各種機器を駆動するためのエネルギとして使用される。
【0038】
以上説明した実施形態に係る燃料ステーション1B(ガス充填装置)においては、ボルテックスチューブ30を用いて、高圧水素タンク10から供給された水素ガスを低温ガスと高温ガスとに分離するため、水素ガスの冷却が不要となるので、熱交換器やクーラ等の従来のガス冷却設備を用いる必要がない。従って、設備費用の低減が可能となる。特に、ガス分離手段としてボルテックスチューブ30を採用しているため、設備費用の大幅な低減と、設置スペースの低減と、の双方を実現させることができる。また、分離した低温ガスを燃料電池車両100の燃料タンク110側に送るため、燃料タンク110内におけるガス温度の上昇を抑制することができる。従って、燃料タンク110の劣化・損傷を抑制することができる。
【0039】
また、以上説明した実施形態に係る燃料ステーション1Bにおいては、ボルテックスチューブ30で分離した高温ガスを回収する燃焼器40B(ガス回収手段、エネルギ発生手段)を備えており、回収した高温ガスのエネルギを再利用することができる。すなわち、回収した高温ガスを用いて燃焼器40Bで熱エネルギを発生させ、この発生させた熱エネルギを用いて各種機器を駆動することが可能となる。
【0040】
なお、以上の実施形態においては、燃料ガス供給源として高圧水素タンク10を採用した例を示したが、かかる高圧水素タンク10に代えて、燃料改質器や水素吸蔵合金等を燃料ガス供給源として採用することもできる。また、高圧水素タンク10に代えて、燃料改質器と、この燃料改質器によって得られる改質ガスを加圧して蓄圧する高圧ガスタンクと、を設けてもよい。
【0041】
また、以上の実施形態においては、燃料ガスとして水素ガスを採用した例を示したが、炭化水素系の燃料から水素へ改質された改質ガスを燃料ガスとして採用することもできる。また、燃料ガスとして圧縮天然ガスを採用してもよい。
【0042】
また、以上の各実施形態においては、充填手段として、トリガ21の操作により水素ガスを燃料電池車両100の燃料タンク110に充填する充填ノズル20を採用した例を示したが、充填手段の構成はこれに限られるものではない。すなわち、高圧水素タンク10等の燃料ガス供給源にガス通路2を介して接続されるとともに燃料電池車両100等の燃料被供給体のガス貯留装置に接続され、燃料ガス供給源から供給された燃料ガスをガス貯留装置に充填するように機能するものであれば、いかなる構成を採用してもよい。
【0043】
また、以上の各実施形態においては、ボルテックスチューブ30(ガス分離手段)を、高圧水素タンク10(燃料ガス供給源)と充填ノズル20(充填手段)との間に設けた例を示したが、ボルテックスチューブ30の位置はこれに限られるものではない。例えば、ボルテックスチューブ30を、充填ノズル20と燃料タンク110(ガス貯留装置)との間に設けることもできる。
【0044】
また、以上の各実施形態においては、ガス分離手段としてボルテックスチューブ30を採用した例を示したが、高圧水素タンク10等の燃料ガス供給源から供給された水素ガスを、この供給された水素ガスより低温の水素ガス(低温ガス)と、供給された水素ガスより高温の水素ガス(高温ガス)と、に分離し、かつ、分離した低温ガスを燃料タンク110等のガス貯留装置に送る機能を有するものであれば、いかなる構成を採用することもできる。
【0045】
また、以上の実施形態においては、バッファタンク40内に蓄積した高温ガスを放熱により経時冷却させた例を示したが、冷却器等を用いてバッファタンク40内に蓄積した高温ガスを強制的に冷却することもできる。
【0046】
また、以上の実施形態においては、水素ガスを燃料電池自動車に供給する燃料ステーションに本発明を適用した例を示したが、水素ガスを水素自動車に供給する燃料ステーションや、圧縮天然ガスを天然ガス自動車に供給する燃料ステーションに本発明を適用することもできる。また、本発明に係るガス充填装置を移動体に搭載することもできる。
【0047】
また、以上の実施形態においては、燃料電池自動車に水素ガスを供給する燃料ステーションに本発明を適用した例を示したが、自動車以外の燃料被供給体(ロボット、船舶、航空機等)に燃料ガス(水素ガス、圧縮天然ガス等)を供給するガス充填装置に本発明を適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1実施形態に係る燃料ステーション(ガス充填装置)の構成図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る燃料ステーション(ガス充填装置)の構成図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る燃料ステーション(ガス充填装置)の構成図である。
【符号の説明】
【0049】
1・1A・1B…燃料ステーション(ガス充填装置)、2…ガス通路、10…高圧水素タンク(燃料ガス供給源)、20…充填ノズル(充填手段)、30…ボルテックスチューブ(ガス分離手段)、40…バッファタンク(ガス回収手段)、40A…定置型燃料電池(エネルギ発生手段、ガス回収手段)、40B…燃焼器(エネルギ発生手段、ガス回収手段)、50…絞り機構(流量調整手段)、100…燃料電池車両(燃料被供給体)、110…燃料タンク(ガス貯留装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガス供給源と、この燃料ガス供給源にガス通路を介して接続されるとともに燃料被供給体のガス貯留装置に接続され、前記燃料ガス供給源から供給された燃料ガスを前記ガス貯留装置に充填する充填手段と、を備えたガス充填装置であって、
前記燃料ガス供給源から供給された燃料ガスを、この燃料ガスよりも低温のガスと高温のガスとに分離するとともに、分離した低温のガスを前記ガス貯留装置側に送るガス分離手段を備えるガス充填装置。
【請求項2】
前記ガス分離手段は、前記燃料ガス供給源と前記充填手段の間に設けられてなる請求項1に記載のガス充填装置。
【請求項3】
前記ガス分離手段は、前記充填手段と前記ガス貯留装置の間に設けられてなる請求項1に記載のガス充填装置。
【請求項4】
前記ガス分離手段は、ボルテックスチューブである請求項1から3の何れか一項に記載のガス充填装置。
【請求項5】
前記ガス分離手段で分離した高温のガスを回収するガス回収手段を備える請求項1から4の何れか一項に記載のガス充填装置。
【請求項6】
前記ガス回収手段は、前記ガス分離手段で分離した高温のガスを蓄積するタンクである請求項5に記載のガス充填装置。
【請求項7】
前記タンクは、蓄積した高温のガスを冷却する冷却機能を有する請求項6に記載のガス充填装置。
【請求項8】
前記タンク内のガスが前記燃料ガス供給源に供給されるように構成されてなる請求項6又は7に記載のガス充填装置。
【請求項9】
前記ガス分離手段から前記タンクへと流れる高温のガスの流量を調整する流量調整手段を備える請求項6から8の何れか一項に記載のガス充填装置。
【請求項10】
前記ガス回収手段は、前記ガス分離手段で分離した高温のガスを利用してエネルギを発生させるエネルギ発生手段である請求項5に記載のガス充填装置。
【請求項11】
前記エネルギ発生手段は、燃料電池又は燃焼器である請求項10に記載のガス充填装置。
【請求項12】
燃料ガス供給源から供給された燃料ガスを燃料被供給体のガス貯留装置に充填するガス充填方法であって、
前記燃料ガス供給源から前記燃料被供給体側へと供給された燃料ガスを、この燃料ガスよりも低温のガスと高温のガスとに分離する第1の工程と、
前記第1の工程で分離した低温のガスを前記ガス貯留装置に充填する第2の工程と、
を含むガス充填方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−127209(P2007−127209A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−321094(P2005−321094)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】