ガス処理装置
【課題】始動時の触媒を予熱するのに必要な時間の短縮を図り、運転中のエネルギー使用量低減による運転コストの削減を可能にする。
【解決手段】被処理ガス10と空気11とを混合させた被処理混合ガス12を通流して酸化させることにより酸化分解ガス13を生成する触媒層5と、触媒層5の上流側に設けられ、被処理混合ガス12が触媒層5の活性温度以上になるように、空気11を加熱する予熱ヒータ4と、触媒層5により生成される酸化分解ガス13を予熱ヒータ4の上流側へ還流するための還流手段である給気ダンパー7と還流路6とを備え、予熱時には被処理ガス10を含む被処理混合ガス12を触媒層5に供給せずに、空気11のみを触媒層5に流すとともに、給気ダンパー7と還流路6との働きにより、触媒層5を通過した空気11を外部に排気させずに全量還流させる。このようにして、繰り返し加熱しながら空気11を循環させて予熱を行う。
【解決手段】被処理ガス10と空気11とを混合させた被処理混合ガス12を通流して酸化させることにより酸化分解ガス13を生成する触媒層5と、触媒層5の上流側に設けられ、被処理混合ガス12が触媒層5の活性温度以上になるように、空気11を加熱する予熱ヒータ4と、触媒層5により生成される酸化分解ガス13を予熱ヒータ4の上流側へ還流するための還流手段である給気ダンパー7と還流路6とを備え、予熱時には被処理ガス10を含む被処理混合ガス12を触媒層5に供給せずに、空気11のみを触媒層5に流すとともに、給気ダンパー7と還流路6との働きにより、触媒層5を通過した空気11を外部に排気させずに全量還流させる。このようにして、繰り返し加熱しながら空気11を循環させて予熱を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はガス処理装置に関し、特に、従来の冷蔵庫などに使用されてきたフロンに替わって用いられる、代替冷媒の炭化水素系ガス等の可燃性ガス等の処理に用いるためのガス処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫やショーケースなどの低温機器が具備する冷凍回路の内部に封入される冷媒として、従来、不燃性ガスのフロン類が用いられていた。これらフロン類は、大気への拡散に伴うオゾン層破壊や地球温暖化への影響があるために、冷媒回路に起因する故障や不具合による保修や使用済み機器の適正処理を行う場合、封入されている冷媒を機器から回収しなければならない。不燃性ガスであるフロンを冷媒に用いた低温機器の場合、家電リサイクル施設ではフロン回収法に則して処理が行われてきた。すなわち圧縮機の近傍にある配管の一部に中空の針を挿入し、この針から吸引することによって回収する。回収後は、回収した冷媒を再度圧縮しながらボンベに移送し、液化状態で保管した後、分解処理をすることによって無害化している。
【0003】
これに対して、フロン類に替わる冷媒として環境への悪影響がほとんど無いイソブタン等の可燃性冷媒が代替フロン冷媒として用いられるようになってきた。フロンの回収設備しか備えていない現在の家電リサイクル設備においては、現状では、代替フロン冷媒を用いた冷蔵庫などが使用済として回収される量が多くないため、その影響は少ないので、代替フロン冷媒を燃焼の下限濃度以下に空気で希釈するなどして大気へ放出することによって対処されている例も多い。しかしながら今後代替フロン冷蔵庫、すなわちイソブタンを使用した冷蔵庫が主流になった場合、家電リサイクル設備でもその処理方法の確立が必要になる。
【0004】
可燃性を呈する炭化水素などの一般的にVOC(Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物)と呼ばれるガスを処理する方法は、酸化分解法、化学吸収法、物理吸収法、吸着法、生物処理法に大別される。その中で触媒を用いた酸化分解法は広く適用されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
従来の触媒酸化分解法は、非特許文献1(621頁、右段22行〜622頁、左段10行(図4))にも示されるように、酸化分解触媒と補助バーナから構成されている。この補助バーナは始動時に使用される。すなわち始動時は補助バーナによって酸化触媒を触媒活性温度まで予熱する。予熱後に被処理ガスと空気とを混合した被処理混合ガスを供給して酸化分解処理の定常運転に移行する。この酸化分解法では、非特許文献1(152頁、左段5行〜18行)に示されるように、始動時に酸化触媒が活性温度に達するまでの温度上昇速度が著しく遅いことが知られている。
【0006】
さらに、被処理混合ガスを加熱するために電気ヒータを使用する場合もあり、この場合も始動時に酸化触媒が活性温度に達するまでの温度上昇速度が同様に遅いものである(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。
【0007】
また、酸化触媒を使用する間は活性温度に保つために被処理混合ガスを加熱する必要があり、補助バーナの運転や電気ヒータの加熱が常時必要となり、多大な燃料や電気代すなわち運転費用が必要となる。上記の補助バーナや電気ヒータを使用する例では、被処理ガスの加熱に熱交換器を利用する例も示されているが、熱交換器の性能を上げる場合には装置が大型化し、小型の熱交換器では加熱性能が十分でなく、補助バーナや電気ヒータの併用が必要となる。
【0008】
【非特許文献1】「環境触媒ハンドブック」、株式会社エヌ・ティー・エス発行、2001年11月20日、619頁、右段20〜36行)
【特許文献1】特開2005−98599号公報
【特許文献2】特開2005−152701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のような従来の可燃性冷媒の処理装置ないしは処理方法は、始動時に酸化触媒が活性温度に達するまでの温度上昇が著しく遅いため、予熱時間が極めて長くなるという問題点があった。
【0010】
また、予熱時間が長くなるためにエネルギー使用量が増加して運転コストが増大するという問題点があった。
【0011】
さらに、運転中も被処理混合ガスを触媒酸化に必要な温度に加熱する必要があり、エネルギー使用量の増加や熱交換器などの装置が大型化するなどの問題点があった。
【0012】
この発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、始動時の触媒を予熱するのに必要な時間の短縮を図り、また運転中のエネルギー使用量低減による運転コストの削減を可能にするガス処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は、可燃性の被処理ガスと空気とを混合させた被処理混合ガスを通流して酸化させることにより酸化分解ガスを生成する酸化手段と、前記酸化手段の上流側に設けられ、前記酸化手段に導入するガスを加熱する加熱手段と、前記酸化手段を通過したガスを前記加熱手段の上流側へ還流する還流手段とを備え、前記空気および前記被処理混合ガスのいずれか一方を前記酸化手段に導入し、前記酸化手段を通過したガスを前記環流手段により全量環流させることにより前記酸化手段を予備加熱することを特徴とするガス処理装置である。
【発明の効果】
【0014】
この発明は、可燃性の被処理ガスと空気とを混合させた被処理混合ガスを通流して酸化させることにより酸化分解ガスを生成する酸化手段と、前記酸化手段の上流側に設けられ、前記酸化手段に導入するガスを加熱する加熱手段と、前記酸化手段を通過したガスを前記加熱手段の上流側へ還流する還流手段とを備え、前記空気および前記被処理混合ガスのいずれか一方を前記酸化手段に導入し、前記酸化手段を通過したガスを前記環流手段により全量環流させることにより前記酸化手段を予備加熱することを特徴とするガス処理装置であるので、始動時の触媒を予熱するのに必要な時間の短縮を図り、また運転中のエネルギー使用量低減による運転コストの削減を可能にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
実施の形態1.
図1は、この発明を実施するための実施の形態1によるガス処理装置およびガス処理方法を説明するための図である。図1は、本実施の形態に係るガス処理装置の構成を示した構成図である。図1に示すように、ボンベ1には、フロン代替冷媒などとして用いられるイソブタンなどの被処理ガスが冷蔵庫等から予め回収されて収容されている。被処理ガスは空気と混合させて処理を行うため、ボンベ1から送出される被処理ガス10と混合させるための空気11を供給するためのブロア2が設けられている。また、ブロア2から送出される空気11を加熱するための予熱ヒータ4(加熱手段)が設けられており、加熱された空気11が混合部3において被処理ガス10と混合される。また、当該混合により生成される被処理混合ガス12を酸化分解して酸化分解ガス13に変換するための触媒層5(酸化手段)が混合部3の下流に設けられている。空気11を予熱ヒータ4で加熱する理由は、当該加熱により、触媒層5を触媒活性温度に加熱するためである。また、触媒層5の下流には、酸化分解ガス13を排気14として処理するための排気流路15と、ブロア2の上流に酸化分解ガス13を環流させるための還流路6とが設けられている。また、ブロア2の上流で、還流路6が設けられている地点よりもさらに上流の位置に、空気11を取り込むための給気流路8と給気ダンパー7とが設けられている。給気ダンパー7が開の時は、給気流路8から空気が取り込まれ、給気ダンパー7が閉の時は、還流路6からブロア2に向かって触媒層5を通過した酸化分解ガス13が流れるしくみになっている。なお、給気ダンパー7には、給気ダンパー7の開閉を行うための駆動装置(図示せず)が設けられている。
【0016】
次に上記のように構成された実施の形態1の動作について説明する。なお、上述のように、家電リサイクル設備などで回収されたイソブタン等の被処理ガス10は回収用のボンベ1に予め回収されているものとする。まずはじめに、給気ダンパー7を開にした状態で、被処理ガス10は出さずに、ブロア2で酸化分解用の空気11のみをガス処理装置内に送給する。一定量を送給すると、給気ダンパー7を閉にして、ブロア2から送給される空気11を予熱ヒータ4で加熱し、その熱で触媒層5を触媒活性温度まで予熱する。その際、給気ダンパー7と還流路6との働きにより、触媒層5を通過した空気11をブロア2の上流に還流する。すなわち、給気ダンパー7を閉にすると、ブロア2が吸い込む空気11は還流路6から流れてくるため、触媒層5を通過した空気11は排気14として外部に流出することなく、全量が還流されて循環することになる。この場合、ブロア2に吸い込まれる空気11は既に予熱ヒータ4で加熱されたものであるため、その温度は高く、それを更に予熱ヒータ4で加熱するために、触媒層5の昇温速度は速くなる。触媒層5が目標の温度に達すると、ボンベ1から被処理ガス10を供給して、触媒層5にて酸化分解を開始する。酸化分解により、酸化分解ガス13が生成されるので、このガスを吸気ダンパー7を開にすることで排気14として外部に排気する。
【0017】
上記のように、この実施の形態1では予熱時に空気だけを流してその全量を還流するので、外部へ熱を捨てることがないので無駄が無く、予熱に必要な予熱ヒータ4のエネルギー使用量を低減でき、予熱時間の短縮を図ることができる。また、予熱時には可燃性の被処理ガス10を供給しないため安全な予熱が実施できる。
【0018】
ここで、図1に示すガス処理装置を用いてイソブタン回収用のボンベ1に回収された液体状態で1.5Lのイソブタンからなる被処理ガス10を1時間で処理する可燃性冷媒のガス処理の昇温方法について具体的に説明する。ここでの標準条件としては、通常運転中の被処理混合ガス12の濃度は労働安全衛生規則による乾燥機の溶剤濃度の基準(燃焼下限濃度の30%)以下にするために、イソブタンの燃焼下限濃度1.8%から、被処理混合ガス12のイソブタン濃度を2200ppmとした。このとき定常運転時の被処理混合ガス12の定格処理量は150m3/hとなる。酸化分解用の触媒層5のSV値(空間速度)は通常この種の触媒で使用される60000h−1と設定した。触媒層5の総容積は3.4Lと算出され、150mm×150mm×長さ150mmのものを使用した。触媒層5にはパラジウム系ハニカム触媒を使用した。予熱ヒータ4は一般的な電気ヒータを用いた。この条件では供給する空気11の流量は149.7m3/hとなり、8kWの予熱ヒータ4を使用して、給気ダンパー7を閉にして還流路6により全量還流すると約1.5時間で触媒層5を目標の300℃の温度に予熱できた。一方、給気ダンパー7を開にして、空気の全量還流をさせない場合には、4時間を経過した時点でも目標温度に達しなかった。このように、本実施の形態においては、効率のよい加熱を行うことができる。
【0019】
以上のように、本実施の形態においては、可燃性の被処理ガス10と空気11とを混合した被処理混合ガス12を通流して酸化させるための触媒層5と、触媒層5に供給する被処理混合ガス12を触媒活性温度以上に加熱するための予熱ヒータ4と、触媒層5を通過して酸化分解された酸化分解ガス13を予熱ヒータ4の上流側へ還流する還流路6とを備え、始動させる予熱時には被処理ガス10を供給せず、空気11のみを流して、それを外部に排気することなく、予熱が完了するまで、繰り返し加熱しながら全量還流させるようにしたので、加熱したエネルギーを外部へ捨てることなく、安全に早期に活性温度まで触媒層5を昇温することできる。これにより、始動時の触媒層5を予熱するのに必要な時間の短縮を図り、また、運転中のエネルギー使用量低減による運転コストの削減を可能にすることができる。
【0020】
さらに、還流手段を、還流路6と給気流路8に設けた給気ダンパー7とで構成するようにしたので、ダンパーが一つだけの簡易な構造で空気11を還流することができ、装置の製造コストを低く抑えることができる。
【0021】
なお、上記の説明においては、加熱手段である予熱ヒータ4が空気11のみを加熱する例について説明したが、その場合に限らず、触媒層5を流通する被処理混合ガス12の加熱を目的としているため、被処理混合ガス12を加熱する構成にしてもよい。
【0022】
実施の形態2.
図2は、この発明を実施するための実施の形態2による可燃性冷媒などのガス処理装置の構成に示す構成図である。図2に示すように、本実施の形態2では、上記実施の形態1の構成に、さらに、被処理ガス濃度センサ21(濃度測定手段)と被処理ガス流量調節器22(ガス濃度調整手段)とを追加した点が異なる。また、本実施の形態においては、給気ダンパー7に設けられている駆動装置(図示せず)が開閉のみを駆動するものではなく、給気ダンパー7の開度の調整も可能なものであるとする。他の構成については、実施の形態1と同様であるため、同一の構成については同一符号を付して示し、ここではその説明を省略する。
【0023】
上記の実施の形態1では予熱時に空気11のみを循環させていたが、本実施の形態2では被処理ガス10を所定濃度になるまで加えて循環させる。その濃度は前述したイソブタンの燃焼下限濃度1.8%以下として安全性を保ちながら循環させる。その場合の濃度は被処理ガス濃度センサ21でモニターし、所定濃度より低い場合は被処理ガス流量調節器22により被処理ガス10を添加する。一方、所定濃度より高い場合は給気ダンパー7を開にするとともに、その開度を調節して、給気流路8から外部の空気11を一定時間取り込んで濃度を下げる。
【0024】
このように、可燃性の被処理ガス10を混入して被処理混合ガス12として循環させると、触媒層5が活性温度に達したときに、被処理ガス10の酸化による発熱が生じるために、当該発熱が加わって、触媒層5がより早期に昇温することになる。例えば、イソブタン濃度を2200ppmとして触媒温度とイソブタンの浄化率を測定した結果が図3である。触媒が約300℃になるとイソブタンの一部が反応し始め、約450℃でその全量が浄化される。したがって、300℃以上の温度では予熱ヒータ4の加熱にイソブタンの酸化熱が加わるため、温度が上がる時間が非常に短くなる。
【0025】
以上のように、本実施の形態においては、可燃性の被処理ガス10と空気11とを混合した被処理混合ガス12を通流して酸化させるための触媒層5と、触媒層5に供給する被処理混合ガス12を触媒活性温度以上に加熱するための予熱ヒータ4と、触媒層5を通過して酸化分解された酸化分解ガス13を予熱ヒータ4の上流側へ還流する還流路6とを備え、始動させる予熱時には被処理ガス10を供給せず、空気11のみを流して、それを外部に排気することなく、予熱が完了するまで、繰り返し加熱しながら全量還流させるようにしたので、加熱したエネルギーを外部へ捨てることなく、安全に早期に活性温度まで触媒層5を昇温することできる。これにより、始動時の触媒層5を予熱するのに必要な時間の短縮を図り、また、運転中のエネルギー使用量低減による運転コストの削減を可能にすることができる。
【0026】
さらに、還流手段を、還流路6と給気流路8に設けた給気ダンパー7とで構成するようにしたので、ダンパーが一つだけの簡易な構造で空気11を還流することができ、装置の製造コストを低く抑えることができる。
【0027】
さらに、始動させる予熱時には被処理混合ガス12の濃度を被処理ガス10の燃焼範囲下限値を下回る濃度にして全量還流させるようにしたので、被処理ガス10の酸化熱により更なる早期に活性温度まで触媒層5を昇温することができ、さらに、予熱時間の短縮を図ることができる。
【0028】
なお、本実施の形態においては、予熱時に被処理ガス濃度センサ21で被処理混合ガスの濃度をモニターし、所定の濃度になるように空気11と被処理ガス10を調節して循環させていたが、イソブタンの燃焼下限濃度以下になるように予熱時の空気および被処理ガスの供給量、すなわち被処理ガス流量調節器22と給気ダンパー7の設定をあらかじめ決めておき、予熱時には触媒層5を通過した被処理混合ガスを、すべて還流路6を経由させて予熱ヒータ4の上流側へ還流させてもよい。このように構成すると、被処理ガス濃度センサ21は不要となる。
【0029】
実施の形態3.
この発明のガス処理装置では、被処理ガス10を定常的に供給して被処理混合ガス12を触媒層5で酸化分解する場合、給気ダンパー7を閉じてガスの全量を循環させると、酸化分解で生じた炭酸ガス(CO2)と水蒸気(H2O)が蓄積されてこれらのガス濃度が上がるとともに、酸化分解で空気中の酸素(O2)が消費されるために酸素濃度が低下し、浄化率が悪化して、最終的には酸化分解ができなくなる。したがって定常運転では連続的に全量循環をさせることはできずに、酸化分解ガス13の一部を還流させ、一部は排気14として排出させて、排出した分の代わりに給気流路8から新鮮な空気11を取り込む必要がある。その還流割合は酸化分解ガス13の中の酸素濃度が低下しない割合にする必要がある。
【0030】
また、還流割合によって触媒層5に流入するガスの温度が異なり、還流量が多いとガス温度は高温に、少ないと低温になるため、適切な還流割合に設定する必要がある。触媒層5に流入する被処理混合ガス12の温度が高いと酸化分解反応は進むものの、触媒層5の温度が高くなりその耐熱温度を上回る場合もある。一方、被処理混合ガス12の温度が低いと、特に、前述した300℃以下の温度になると酸化分解反応が生じなくなる。したがって、これらの間の温度になるように還流割合を調節することが必要である。
【0031】
図4は、この発明を実施するための実施の形態3による可燃性冷媒などのガス処理装置の構成を示す構成図である。図4に示すように、本実施の形態3は、上記の実施の形態1の構成に、被処理混合ガス温度センサ31(温度測定手段)を追加している。また、本実施の形態においては、給気ダンパー7に設けられている駆動装置(図示せず)が開閉のみを駆動するものではなく、給気ダンパー7の開度の調整も可能なものであるとする。他の構成については、実施の形態1と同じであるため、同一の構成については同一符号を付して示し、ここではそれらの説明を省略する。なお、被処理混合ガス温度センサ31は、混合部3と触媒層5との間に設けられ、被処理混合ガス12の温度をモニターする。本実施の形態においては、給気ダンパー7の駆動手段が、被処理混合ガス温度センサ31の測定結果に応じて、酸化分解ガス13を還流させる割合を決める還流割合決定手段を構成している。
【0032】
本発明のガス処理装置では、触媒層5の温度が触媒活性化温度に達したら、被処理ガス10の定常的供給を開始して被処理混合ガス12を触媒層5で酸化分解するようになる。この際、被処理混合ガス12の温度を被処理混合ガス温度センサ31でモニターし、目的の温度範囲(例えば300〜350℃)になるように、駆動装置により給気ダンパー7の開度を調節する。前述した被処理混合ガス12のイソブタン濃度を2200ppm、定常運転時の被処理混合ガス12の定格処理量150m3/h、酸化分解用の触媒層5のSV値(空間速度)60000h−1の条件で、150mm×150mm×長さ150mmの大きさのパラジウム系ハニカム触媒を使用した場合、還流割合30%で被処理混合ガス12の温度を350℃、触媒温度を480℃にすると浄化率100%に保つことができた。
【0033】
以上のように、本実施の形態においては、可燃性の被処理ガス10と空気11とを混合した被処理混合ガス12を通流して酸化させるための触媒層5と、触媒層5に供給する被処理混合ガス12を触媒活性温度以上に加熱するための予熱ヒータ4と、触媒層5を通過して酸化分解された酸化分解ガス13を予熱ヒータ4の上流側へ還流する還流路6とを備え、始動させる予熱時には被処理ガス10を供給せず、空気11のみを流して、それを外部に排気することなく、予熱が完了するまで、繰り返し加熱しながら全量還流させるようにしたので、加熱したエネルギーを外部へ捨てることなく、安全に早期に活性温度まで触媒層5を昇温することできる。これにより、始動時の触媒層5を予熱するのに必要な時間の短縮を図り、また、運転中のエネルギー使用量低減による運転コストの削減を可能にすることができる。
【0034】
さらに、還流手段を、還流路6と給気流路8に設けた給気ダンパー7とで構成するようにしたので、ダンパーが一つだけの簡易な構造で空気11を還流することができ、装置の製造コストを低く抑えることができる。
【0035】
さらに、可燃性の被処理ガス10と空気11とを混合した被処理混合ガス12を通流して酸化する触媒層5と、被処理混合ガス12を触媒活性温度以上に加熱する予熱ヒータ4と、触媒層5を通過して酸化された酸化分解ガス13を予熱ヒータ4の上流側へ還流する還流路6とを備え、通常運転時には酸化分解ガス13の一部のみを還流路6から還流させるようにして、還流せずに排気した分の代わりに新鮮な空気11を取り入れるようにしたので、全量還流による被処理混合ガス12の酸素濃度低下を防止して高い浄化率を確保することができる。
【0036】
また、本実施の形態においては、通常運転時には被処理混合ガス12の温度に応じて酸化分解ガス13を還流させる割合を決めるようにしたので、還流割合により触媒層5に流入するガス温度を適正値(反応温度以上、触媒耐熱条件以下)に調節することができる。また、通常運転中に、酸素濃度が低下すると浄化率が悪化するので、酸化分解ガス中の被処理ガス濃度が増加した場合にも、還流割合を調整して減少させ、濃度の上昇を抑えるようにしたので、安全性を確保することができる。
【0037】
実施の形態4.
図1、図2、図4などのように、還流手段を還流路6と給気ダンパー7とで構成した場合、条件によっては還流割合が0〜100%の全範囲で調節できない場合がある。例えば、給気ダンパー7を閉とした場合には、給気流路8からの流入は完全になくなるため全量が還流路6からとなり、還流割合100%が達成できる。給気ダンパー7を開とした場合には、給気流路8と還流路6の両方の経路からの取り込みが可能となり、還流路6の通気抵抗が大きな場合には、ほぼ全量が給気流路8からの取り込みとなり、還流割合0%が実現できる。しかし、給気流路8にゴミ用のフィルタ(図示せず)などを取り付けて通気抵抗を大きくしたりした場合には、一部が還流路6からも流れるために還流割合は0%まで下がらないこともある。
【0038】
この対策のために、本実施の形態は、図5のように還流路6に循環ダンパー9を追加する。図5は、この発明を実施するための本実施の形態4による可燃性冷媒などのガス処理装置の構成を示す構成図である。図5に示すように、この実施の形態4では、上記の実施の形態1の構成に循環ダンパー9を追加した他は、実施の形態1と同様に構成されており、同一の構成には同一符号を付して示し、ここではそれらの説明を省略する。
【0039】
給気ダンパー7が開で、循環ダンパー9が閉の場合にはブロア2が吸い込む空気は全量が給気流路8からであり、還流割合は0%である。
給気ダンパー7を開のまま、循環ダンパー9を開にすると両方が開の状態になり、両方の流路の通気抵抗などによって決まるある還流割合になる。
循環ダンパー9を開のまま、給気ダンパー7を閉にすると、ブロア2が吸い込む空気は全量が還流路6からであり、還流割合は100%となる。
このように、両方のダンパーを開にした場合の還流割合は、各流路の通気抵抗などによって決まるが、このようにダンパーを2つ設置することで還流割合0〜100%が確実に実現できるようになる。
【0040】
以上のように、本実施の形態によれば、可燃性の被処理ガス10と空気11とを混合した被処理混合ガス12を通流して酸化させるための触媒層5と、触媒層5に供給する被処理混合ガス12を触媒活性温度以上に加熱するための予熱ヒータ4と、触媒層5を通過して酸化分解された酸化分解ガス13を予熱ヒータ4の上流側へ還流する還流路6とを備え、始動させる予熱時には被処理ガス10を供給せず、空気11のみを流して、それを外部に排気することなく、予熱が完了するまで、繰り返し加熱しながら全量還流させるようにしたので、加熱したエネルギーを外部へ捨てることなく、安全に早期に活性温度まで触媒層5を昇温することできる。これにより、始動時の触媒層5を予熱するのに必要な時間の短縮を図り、また、運転中のエネルギー使用量低減による運転コストの削減を可能にすることができる。
【0041】
さらに、本実施の形態においては、還流手段が還流路6と給気流路8に設けた給気ダンパー7と還流路6に設けた循環ダンパー9とで構成するようにしたので、ダンパーを二つにすることで、還流割合0〜100%の範囲を確実に実現することができる。
【0042】
なお、上記の実施の形態1〜4の説明ではこの発明をフロン代替冷媒として用いられた可燃性のイソブタンガス処理に用いる場合を例に説明したが、必ずしも冷媒として用いられるガスに限定されるものではなく、またイソブタンに限定されるものでもない。空気によって酸化分解される同様のガスの処理に広く用いることができるほか、例えば発熱を伴う互いに異なる複数のガスの反応処理などについても同様の効果を期待することができる。その点で、用いる触媒も上記実施の形態で例示した酸化分解触媒に限定されないことは勿論である。
【0043】
また、上記の実施の形態2〜4は、それらの特徴を実施の形態1の構成に適用する例について説明したが、その場合に限らず、実施の形態2〜4を適宜組み合わせてもよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明の実施の形態1に係るガス処理装置の構成を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態2に係るガス処理装置の構成を示す構成図である。
【図3】この発明の実施の形態2に係るガス処理装置における触媒温度とイソブタン浄化率との特性を示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態3に係るガス処理装置の構成を示す構成図である。
【図5】この発明の実施の形態4に係るガス処理装置の構成を示す構成図である。
【符号の説明】
【0045】
1 ボンベ、2 ブロア、3 混合部、4 予熱ヒータ、5 触媒層、6 還流路、7 給気ダンパー、8 給気流路、9 循環ダンパー、10 被処理ガス、11 空気、12 被処理混合ガス、13 酸化分解ガス、14 排気、15 排気流路、21 被処理ガス濃度センサ、22 被処理ガス流量調節器、31 被処理混合ガス温度センサ。
【技術分野】
【0001】
この発明はガス処理装置に関し、特に、従来の冷蔵庫などに使用されてきたフロンに替わって用いられる、代替冷媒の炭化水素系ガス等の可燃性ガス等の処理に用いるためのガス処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫やショーケースなどの低温機器が具備する冷凍回路の内部に封入される冷媒として、従来、不燃性ガスのフロン類が用いられていた。これらフロン類は、大気への拡散に伴うオゾン層破壊や地球温暖化への影響があるために、冷媒回路に起因する故障や不具合による保修や使用済み機器の適正処理を行う場合、封入されている冷媒を機器から回収しなければならない。不燃性ガスであるフロンを冷媒に用いた低温機器の場合、家電リサイクル施設ではフロン回収法に則して処理が行われてきた。すなわち圧縮機の近傍にある配管の一部に中空の針を挿入し、この針から吸引することによって回収する。回収後は、回収した冷媒を再度圧縮しながらボンベに移送し、液化状態で保管した後、分解処理をすることによって無害化している。
【0003】
これに対して、フロン類に替わる冷媒として環境への悪影響がほとんど無いイソブタン等の可燃性冷媒が代替フロン冷媒として用いられるようになってきた。フロンの回収設備しか備えていない現在の家電リサイクル設備においては、現状では、代替フロン冷媒を用いた冷蔵庫などが使用済として回収される量が多くないため、その影響は少ないので、代替フロン冷媒を燃焼の下限濃度以下に空気で希釈するなどして大気へ放出することによって対処されている例も多い。しかしながら今後代替フロン冷蔵庫、すなわちイソブタンを使用した冷蔵庫が主流になった場合、家電リサイクル設備でもその処理方法の確立が必要になる。
【0004】
可燃性を呈する炭化水素などの一般的にVOC(Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物)と呼ばれるガスを処理する方法は、酸化分解法、化学吸収法、物理吸収法、吸着法、生物処理法に大別される。その中で触媒を用いた酸化分解法は広く適用されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
従来の触媒酸化分解法は、非特許文献1(621頁、右段22行〜622頁、左段10行(図4))にも示されるように、酸化分解触媒と補助バーナから構成されている。この補助バーナは始動時に使用される。すなわち始動時は補助バーナによって酸化触媒を触媒活性温度まで予熱する。予熱後に被処理ガスと空気とを混合した被処理混合ガスを供給して酸化分解処理の定常運転に移行する。この酸化分解法では、非特許文献1(152頁、左段5行〜18行)に示されるように、始動時に酸化触媒が活性温度に達するまでの温度上昇速度が著しく遅いことが知られている。
【0006】
さらに、被処理混合ガスを加熱するために電気ヒータを使用する場合もあり、この場合も始動時に酸化触媒が活性温度に達するまでの温度上昇速度が同様に遅いものである(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。
【0007】
また、酸化触媒を使用する間は活性温度に保つために被処理混合ガスを加熱する必要があり、補助バーナの運転や電気ヒータの加熱が常時必要となり、多大な燃料や電気代すなわち運転費用が必要となる。上記の補助バーナや電気ヒータを使用する例では、被処理ガスの加熱に熱交換器を利用する例も示されているが、熱交換器の性能を上げる場合には装置が大型化し、小型の熱交換器では加熱性能が十分でなく、補助バーナや電気ヒータの併用が必要となる。
【0008】
【非特許文献1】「環境触媒ハンドブック」、株式会社エヌ・ティー・エス発行、2001年11月20日、619頁、右段20〜36行)
【特許文献1】特開2005−98599号公報
【特許文献2】特開2005−152701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のような従来の可燃性冷媒の処理装置ないしは処理方法は、始動時に酸化触媒が活性温度に達するまでの温度上昇が著しく遅いため、予熱時間が極めて長くなるという問題点があった。
【0010】
また、予熱時間が長くなるためにエネルギー使用量が増加して運転コストが増大するという問題点があった。
【0011】
さらに、運転中も被処理混合ガスを触媒酸化に必要な温度に加熱する必要があり、エネルギー使用量の増加や熱交換器などの装置が大型化するなどの問題点があった。
【0012】
この発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、始動時の触媒を予熱するのに必要な時間の短縮を図り、また運転中のエネルギー使用量低減による運転コストの削減を可能にするガス処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は、可燃性の被処理ガスと空気とを混合させた被処理混合ガスを通流して酸化させることにより酸化分解ガスを生成する酸化手段と、前記酸化手段の上流側に設けられ、前記酸化手段に導入するガスを加熱する加熱手段と、前記酸化手段を通過したガスを前記加熱手段の上流側へ還流する還流手段とを備え、前記空気および前記被処理混合ガスのいずれか一方を前記酸化手段に導入し、前記酸化手段を通過したガスを前記環流手段により全量環流させることにより前記酸化手段を予備加熱することを特徴とするガス処理装置である。
【発明の効果】
【0014】
この発明は、可燃性の被処理ガスと空気とを混合させた被処理混合ガスを通流して酸化させることにより酸化分解ガスを生成する酸化手段と、前記酸化手段の上流側に設けられ、前記酸化手段に導入するガスを加熱する加熱手段と、前記酸化手段を通過したガスを前記加熱手段の上流側へ還流する還流手段とを備え、前記空気および前記被処理混合ガスのいずれか一方を前記酸化手段に導入し、前記酸化手段を通過したガスを前記環流手段により全量環流させることにより前記酸化手段を予備加熱することを特徴とするガス処理装置であるので、始動時の触媒を予熱するのに必要な時間の短縮を図り、また運転中のエネルギー使用量低減による運転コストの削減を可能にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
実施の形態1.
図1は、この発明を実施するための実施の形態1によるガス処理装置およびガス処理方法を説明するための図である。図1は、本実施の形態に係るガス処理装置の構成を示した構成図である。図1に示すように、ボンベ1には、フロン代替冷媒などとして用いられるイソブタンなどの被処理ガスが冷蔵庫等から予め回収されて収容されている。被処理ガスは空気と混合させて処理を行うため、ボンベ1から送出される被処理ガス10と混合させるための空気11を供給するためのブロア2が設けられている。また、ブロア2から送出される空気11を加熱するための予熱ヒータ4(加熱手段)が設けられており、加熱された空気11が混合部3において被処理ガス10と混合される。また、当該混合により生成される被処理混合ガス12を酸化分解して酸化分解ガス13に変換するための触媒層5(酸化手段)が混合部3の下流に設けられている。空気11を予熱ヒータ4で加熱する理由は、当該加熱により、触媒層5を触媒活性温度に加熱するためである。また、触媒層5の下流には、酸化分解ガス13を排気14として処理するための排気流路15と、ブロア2の上流に酸化分解ガス13を環流させるための還流路6とが設けられている。また、ブロア2の上流で、還流路6が設けられている地点よりもさらに上流の位置に、空気11を取り込むための給気流路8と給気ダンパー7とが設けられている。給気ダンパー7が開の時は、給気流路8から空気が取り込まれ、給気ダンパー7が閉の時は、還流路6からブロア2に向かって触媒層5を通過した酸化分解ガス13が流れるしくみになっている。なお、給気ダンパー7には、給気ダンパー7の開閉を行うための駆動装置(図示せず)が設けられている。
【0016】
次に上記のように構成された実施の形態1の動作について説明する。なお、上述のように、家電リサイクル設備などで回収されたイソブタン等の被処理ガス10は回収用のボンベ1に予め回収されているものとする。まずはじめに、給気ダンパー7を開にした状態で、被処理ガス10は出さずに、ブロア2で酸化分解用の空気11のみをガス処理装置内に送給する。一定量を送給すると、給気ダンパー7を閉にして、ブロア2から送給される空気11を予熱ヒータ4で加熱し、その熱で触媒層5を触媒活性温度まで予熱する。その際、給気ダンパー7と還流路6との働きにより、触媒層5を通過した空気11をブロア2の上流に還流する。すなわち、給気ダンパー7を閉にすると、ブロア2が吸い込む空気11は還流路6から流れてくるため、触媒層5を通過した空気11は排気14として外部に流出することなく、全量が還流されて循環することになる。この場合、ブロア2に吸い込まれる空気11は既に予熱ヒータ4で加熱されたものであるため、その温度は高く、それを更に予熱ヒータ4で加熱するために、触媒層5の昇温速度は速くなる。触媒層5が目標の温度に達すると、ボンベ1から被処理ガス10を供給して、触媒層5にて酸化分解を開始する。酸化分解により、酸化分解ガス13が生成されるので、このガスを吸気ダンパー7を開にすることで排気14として外部に排気する。
【0017】
上記のように、この実施の形態1では予熱時に空気だけを流してその全量を還流するので、外部へ熱を捨てることがないので無駄が無く、予熱に必要な予熱ヒータ4のエネルギー使用量を低減でき、予熱時間の短縮を図ることができる。また、予熱時には可燃性の被処理ガス10を供給しないため安全な予熱が実施できる。
【0018】
ここで、図1に示すガス処理装置を用いてイソブタン回収用のボンベ1に回収された液体状態で1.5Lのイソブタンからなる被処理ガス10を1時間で処理する可燃性冷媒のガス処理の昇温方法について具体的に説明する。ここでの標準条件としては、通常運転中の被処理混合ガス12の濃度は労働安全衛生規則による乾燥機の溶剤濃度の基準(燃焼下限濃度の30%)以下にするために、イソブタンの燃焼下限濃度1.8%から、被処理混合ガス12のイソブタン濃度を2200ppmとした。このとき定常運転時の被処理混合ガス12の定格処理量は150m3/hとなる。酸化分解用の触媒層5のSV値(空間速度)は通常この種の触媒で使用される60000h−1と設定した。触媒層5の総容積は3.4Lと算出され、150mm×150mm×長さ150mmのものを使用した。触媒層5にはパラジウム系ハニカム触媒を使用した。予熱ヒータ4は一般的な電気ヒータを用いた。この条件では供給する空気11の流量は149.7m3/hとなり、8kWの予熱ヒータ4を使用して、給気ダンパー7を閉にして還流路6により全量還流すると約1.5時間で触媒層5を目標の300℃の温度に予熱できた。一方、給気ダンパー7を開にして、空気の全量還流をさせない場合には、4時間を経過した時点でも目標温度に達しなかった。このように、本実施の形態においては、効率のよい加熱を行うことができる。
【0019】
以上のように、本実施の形態においては、可燃性の被処理ガス10と空気11とを混合した被処理混合ガス12を通流して酸化させるための触媒層5と、触媒層5に供給する被処理混合ガス12を触媒活性温度以上に加熱するための予熱ヒータ4と、触媒層5を通過して酸化分解された酸化分解ガス13を予熱ヒータ4の上流側へ還流する還流路6とを備え、始動させる予熱時には被処理ガス10を供給せず、空気11のみを流して、それを外部に排気することなく、予熱が完了するまで、繰り返し加熱しながら全量還流させるようにしたので、加熱したエネルギーを外部へ捨てることなく、安全に早期に活性温度まで触媒層5を昇温することできる。これにより、始動時の触媒層5を予熱するのに必要な時間の短縮を図り、また、運転中のエネルギー使用量低減による運転コストの削減を可能にすることができる。
【0020】
さらに、還流手段を、還流路6と給気流路8に設けた給気ダンパー7とで構成するようにしたので、ダンパーが一つだけの簡易な構造で空気11を還流することができ、装置の製造コストを低く抑えることができる。
【0021】
なお、上記の説明においては、加熱手段である予熱ヒータ4が空気11のみを加熱する例について説明したが、その場合に限らず、触媒層5を流通する被処理混合ガス12の加熱を目的としているため、被処理混合ガス12を加熱する構成にしてもよい。
【0022】
実施の形態2.
図2は、この発明を実施するための実施の形態2による可燃性冷媒などのガス処理装置の構成に示す構成図である。図2に示すように、本実施の形態2では、上記実施の形態1の構成に、さらに、被処理ガス濃度センサ21(濃度測定手段)と被処理ガス流量調節器22(ガス濃度調整手段)とを追加した点が異なる。また、本実施の形態においては、給気ダンパー7に設けられている駆動装置(図示せず)が開閉のみを駆動するものではなく、給気ダンパー7の開度の調整も可能なものであるとする。他の構成については、実施の形態1と同様であるため、同一の構成については同一符号を付して示し、ここではその説明を省略する。
【0023】
上記の実施の形態1では予熱時に空気11のみを循環させていたが、本実施の形態2では被処理ガス10を所定濃度になるまで加えて循環させる。その濃度は前述したイソブタンの燃焼下限濃度1.8%以下として安全性を保ちながら循環させる。その場合の濃度は被処理ガス濃度センサ21でモニターし、所定濃度より低い場合は被処理ガス流量調節器22により被処理ガス10を添加する。一方、所定濃度より高い場合は給気ダンパー7を開にするとともに、その開度を調節して、給気流路8から外部の空気11を一定時間取り込んで濃度を下げる。
【0024】
このように、可燃性の被処理ガス10を混入して被処理混合ガス12として循環させると、触媒層5が活性温度に達したときに、被処理ガス10の酸化による発熱が生じるために、当該発熱が加わって、触媒層5がより早期に昇温することになる。例えば、イソブタン濃度を2200ppmとして触媒温度とイソブタンの浄化率を測定した結果が図3である。触媒が約300℃になるとイソブタンの一部が反応し始め、約450℃でその全量が浄化される。したがって、300℃以上の温度では予熱ヒータ4の加熱にイソブタンの酸化熱が加わるため、温度が上がる時間が非常に短くなる。
【0025】
以上のように、本実施の形態においては、可燃性の被処理ガス10と空気11とを混合した被処理混合ガス12を通流して酸化させるための触媒層5と、触媒層5に供給する被処理混合ガス12を触媒活性温度以上に加熱するための予熱ヒータ4と、触媒層5を通過して酸化分解された酸化分解ガス13を予熱ヒータ4の上流側へ還流する還流路6とを備え、始動させる予熱時には被処理ガス10を供給せず、空気11のみを流して、それを外部に排気することなく、予熱が完了するまで、繰り返し加熱しながら全量還流させるようにしたので、加熱したエネルギーを外部へ捨てることなく、安全に早期に活性温度まで触媒層5を昇温することできる。これにより、始動時の触媒層5を予熱するのに必要な時間の短縮を図り、また、運転中のエネルギー使用量低減による運転コストの削減を可能にすることができる。
【0026】
さらに、還流手段を、還流路6と給気流路8に設けた給気ダンパー7とで構成するようにしたので、ダンパーが一つだけの簡易な構造で空気11を還流することができ、装置の製造コストを低く抑えることができる。
【0027】
さらに、始動させる予熱時には被処理混合ガス12の濃度を被処理ガス10の燃焼範囲下限値を下回る濃度にして全量還流させるようにしたので、被処理ガス10の酸化熱により更なる早期に活性温度まで触媒層5を昇温することができ、さらに、予熱時間の短縮を図ることができる。
【0028】
なお、本実施の形態においては、予熱時に被処理ガス濃度センサ21で被処理混合ガスの濃度をモニターし、所定の濃度になるように空気11と被処理ガス10を調節して循環させていたが、イソブタンの燃焼下限濃度以下になるように予熱時の空気および被処理ガスの供給量、すなわち被処理ガス流量調節器22と給気ダンパー7の設定をあらかじめ決めておき、予熱時には触媒層5を通過した被処理混合ガスを、すべて還流路6を経由させて予熱ヒータ4の上流側へ還流させてもよい。このように構成すると、被処理ガス濃度センサ21は不要となる。
【0029】
実施の形態3.
この発明のガス処理装置では、被処理ガス10を定常的に供給して被処理混合ガス12を触媒層5で酸化分解する場合、給気ダンパー7を閉じてガスの全量を循環させると、酸化分解で生じた炭酸ガス(CO2)と水蒸気(H2O)が蓄積されてこれらのガス濃度が上がるとともに、酸化分解で空気中の酸素(O2)が消費されるために酸素濃度が低下し、浄化率が悪化して、最終的には酸化分解ができなくなる。したがって定常運転では連続的に全量循環をさせることはできずに、酸化分解ガス13の一部を還流させ、一部は排気14として排出させて、排出した分の代わりに給気流路8から新鮮な空気11を取り込む必要がある。その還流割合は酸化分解ガス13の中の酸素濃度が低下しない割合にする必要がある。
【0030】
また、還流割合によって触媒層5に流入するガスの温度が異なり、還流量が多いとガス温度は高温に、少ないと低温になるため、適切な還流割合に設定する必要がある。触媒層5に流入する被処理混合ガス12の温度が高いと酸化分解反応は進むものの、触媒層5の温度が高くなりその耐熱温度を上回る場合もある。一方、被処理混合ガス12の温度が低いと、特に、前述した300℃以下の温度になると酸化分解反応が生じなくなる。したがって、これらの間の温度になるように還流割合を調節することが必要である。
【0031】
図4は、この発明を実施するための実施の形態3による可燃性冷媒などのガス処理装置の構成を示す構成図である。図4に示すように、本実施の形態3は、上記の実施の形態1の構成に、被処理混合ガス温度センサ31(温度測定手段)を追加している。また、本実施の形態においては、給気ダンパー7に設けられている駆動装置(図示せず)が開閉のみを駆動するものではなく、給気ダンパー7の開度の調整も可能なものであるとする。他の構成については、実施の形態1と同じであるため、同一の構成については同一符号を付して示し、ここではそれらの説明を省略する。なお、被処理混合ガス温度センサ31は、混合部3と触媒層5との間に設けられ、被処理混合ガス12の温度をモニターする。本実施の形態においては、給気ダンパー7の駆動手段が、被処理混合ガス温度センサ31の測定結果に応じて、酸化分解ガス13を還流させる割合を決める還流割合決定手段を構成している。
【0032】
本発明のガス処理装置では、触媒層5の温度が触媒活性化温度に達したら、被処理ガス10の定常的供給を開始して被処理混合ガス12を触媒層5で酸化分解するようになる。この際、被処理混合ガス12の温度を被処理混合ガス温度センサ31でモニターし、目的の温度範囲(例えば300〜350℃)になるように、駆動装置により給気ダンパー7の開度を調節する。前述した被処理混合ガス12のイソブタン濃度を2200ppm、定常運転時の被処理混合ガス12の定格処理量150m3/h、酸化分解用の触媒層5のSV値(空間速度)60000h−1の条件で、150mm×150mm×長さ150mmの大きさのパラジウム系ハニカム触媒を使用した場合、還流割合30%で被処理混合ガス12の温度を350℃、触媒温度を480℃にすると浄化率100%に保つことができた。
【0033】
以上のように、本実施の形態においては、可燃性の被処理ガス10と空気11とを混合した被処理混合ガス12を通流して酸化させるための触媒層5と、触媒層5に供給する被処理混合ガス12を触媒活性温度以上に加熱するための予熱ヒータ4と、触媒層5を通過して酸化分解された酸化分解ガス13を予熱ヒータ4の上流側へ還流する還流路6とを備え、始動させる予熱時には被処理ガス10を供給せず、空気11のみを流して、それを外部に排気することなく、予熱が完了するまで、繰り返し加熱しながら全量還流させるようにしたので、加熱したエネルギーを外部へ捨てることなく、安全に早期に活性温度まで触媒層5を昇温することできる。これにより、始動時の触媒層5を予熱するのに必要な時間の短縮を図り、また、運転中のエネルギー使用量低減による運転コストの削減を可能にすることができる。
【0034】
さらに、還流手段を、還流路6と給気流路8に設けた給気ダンパー7とで構成するようにしたので、ダンパーが一つだけの簡易な構造で空気11を還流することができ、装置の製造コストを低く抑えることができる。
【0035】
さらに、可燃性の被処理ガス10と空気11とを混合した被処理混合ガス12を通流して酸化する触媒層5と、被処理混合ガス12を触媒活性温度以上に加熱する予熱ヒータ4と、触媒層5を通過して酸化された酸化分解ガス13を予熱ヒータ4の上流側へ還流する還流路6とを備え、通常運転時には酸化分解ガス13の一部のみを還流路6から還流させるようにして、還流せずに排気した分の代わりに新鮮な空気11を取り入れるようにしたので、全量還流による被処理混合ガス12の酸素濃度低下を防止して高い浄化率を確保することができる。
【0036】
また、本実施の形態においては、通常運転時には被処理混合ガス12の温度に応じて酸化分解ガス13を還流させる割合を決めるようにしたので、還流割合により触媒層5に流入するガス温度を適正値(反応温度以上、触媒耐熱条件以下)に調節することができる。また、通常運転中に、酸素濃度が低下すると浄化率が悪化するので、酸化分解ガス中の被処理ガス濃度が増加した場合にも、還流割合を調整して減少させ、濃度の上昇を抑えるようにしたので、安全性を確保することができる。
【0037】
実施の形態4.
図1、図2、図4などのように、還流手段を還流路6と給気ダンパー7とで構成した場合、条件によっては還流割合が0〜100%の全範囲で調節できない場合がある。例えば、給気ダンパー7を閉とした場合には、給気流路8からの流入は完全になくなるため全量が還流路6からとなり、還流割合100%が達成できる。給気ダンパー7を開とした場合には、給気流路8と還流路6の両方の経路からの取り込みが可能となり、還流路6の通気抵抗が大きな場合には、ほぼ全量が給気流路8からの取り込みとなり、還流割合0%が実現できる。しかし、給気流路8にゴミ用のフィルタ(図示せず)などを取り付けて通気抵抗を大きくしたりした場合には、一部が還流路6からも流れるために還流割合は0%まで下がらないこともある。
【0038】
この対策のために、本実施の形態は、図5のように還流路6に循環ダンパー9を追加する。図5は、この発明を実施するための本実施の形態4による可燃性冷媒などのガス処理装置の構成を示す構成図である。図5に示すように、この実施の形態4では、上記の実施の形態1の構成に循環ダンパー9を追加した他は、実施の形態1と同様に構成されており、同一の構成には同一符号を付して示し、ここではそれらの説明を省略する。
【0039】
給気ダンパー7が開で、循環ダンパー9が閉の場合にはブロア2が吸い込む空気は全量が給気流路8からであり、還流割合は0%である。
給気ダンパー7を開のまま、循環ダンパー9を開にすると両方が開の状態になり、両方の流路の通気抵抗などによって決まるある還流割合になる。
循環ダンパー9を開のまま、給気ダンパー7を閉にすると、ブロア2が吸い込む空気は全量が還流路6からであり、還流割合は100%となる。
このように、両方のダンパーを開にした場合の還流割合は、各流路の通気抵抗などによって決まるが、このようにダンパーを2つ設置することで還流割合0〜100%が確実に実現できるようになる。
【0040】
以上のように、本実施の形態によれば、可燃性の被処理ガス10と空気11とを混合した被処理混合ガス12を通流して酸化させるための触媒層5と、触媒層5に供給する被処理混合ガス12を触媒活性温度以上に加熱するための予熱ヒータ4と、触媒層5を通過して酸化分解された酸化分解ガス13を予熱ヒータ4の上流側へ還流する還流路6とを備え、始動させる予熱時には被処理ガス10を供給せず、空気11のみを流して、それを外部に排気することなく、予熱が完了するまで、繰り返し加熱しながら全量還流させるようにしたので、加熱したエネルギーを外部へ捨てることなく、安全に早期に活性温度まで触媒層5を昇温することできる。これにより、始動時の触媒層5を予熱するのに必要な時間の短縮を図り、また、運転中のエネルギー使用量低減による運転コストの削減を可能にすることができる。
【0041】
さらに、本実施の形態においては、還流手段が還流路6と給気流路8に設けた給気ダンパー7と還流路6に設けた循環ダンパー9とで構成するようにしたので、ダンパーを二つにすることで、還流割合0〜100%の範囲を確実に実現することができる。
【0042】
なお、上記の実施の形態1〜4の説明ではこの発明をフロン代替冷媒として用いられた可燃性のイソブタンガス処理に用いる場合を例に説明したが、必ずしも冷媒として用いられるガスに限定されるものではなく、またイソブタンに限定されるものでもない。空気によって酸化分解される同様のガスの処理に広く用いることができるほか、例えば発熱を伴う互いに異なる複数のガスの反応処理などについても同様の効果を期待することができる。その点で、用いる触媒も上記実施の形態で例示した酸化分解触媒に限定されないことは勿論である。
【0043】
また、上記の実施の形態2〜4は、それらの特徴を実施の形態1の構成に適用する例について説明したが、その場合に限らず、実施の形態2〜4を適宜組み合わせてもよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明の実施の形態1に係るガス処理装置の構成を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態2に係るガス処理装置の構成を示す構成図である。
【図3】この発明の実施の形態2に係るガス処理装置における触媒温度とイソブタン浄化率との特性を示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態3に係るガス処理装置の構成を示す構成図である。
【図5】この発明の実施の形態4に係るガス処理装置の構成を示す構成図である。
【符号の説明】
【0045】
1 ボンベ、2 ブロア、3 混合部、4 予熱ヒータ、5 触媒層、6 還流路、7 給気ダンパー、8 給気流路、9 循環ダンパー、10 被処理ガス、11 空気、12 被処理混合ガス、13 酸化分解ガス、14 排気、15 排気流路、21 被処理ガス濃度センサ、22 被処理ガス流量調節器、31 被処理混合ガス温度センサ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可燃性の被処理ガスと空気とを混合させた被処理混合ガスを通流して酸化させることにより酸化分解ガスを生成する酸化手段と、
前記酸化手段の上流側に設けられ、前記酸化手段に導入するガスを加熱する加熱手段と、
前記酸化手段を通過したガスを前記加熱手段の上流側へ還流する還流手段と
を備え、
前記空気および前記被処理混合ガスのいずれか一方を前記酸化手段に導入し、前記酸化手段を通過したガスを前記環流手段により全量環流させることにより前記酸化手段を予備加熱する
ことを特徴とするガス処理装置。
【請求項2】
可燃性の被処理ガスと空気とを混合させた被処理混合ガスを通流して酸化させることにより酸化分解ガスを生成する酸化手段と、
前記酸化手段に通流させる前記被処理混合ガスの濃度を測定する濃度測定手段と、
前記濃度測定手段の測定結果に基づいて、前記被処理ガスと前記空気とを混合させるときの前記被処理ガスの濃度を調整するガス濃度調整手段と、
前記酸化手段の上流側に設けられ、前記酸化手段に導入するガスを加熱する加熱手段と、
前記酸化手段を通過したガスを前記加熱手段の上流側へ還流する還流手段と
を備え、
予熱時には、前記ガス濃度調整手段は、前記被処理混合ガスの濃度を前記被処理ガスの燃焼範囲下限値を下回る濃度に調整するとともに、前記還流手段により前記被処理混合ガスを全量還流させる
ことを特徴とするガス処理装置。
【請求項3】
可燃性の被処理ガスと空気とを混合させた被処理混合ガスを通流して酸化させることにより酸化分解ガスを生成する酸化手段と、
前記酸化手段の上流側に設けられ、前記酸化手段に導入するガスを加熱する加熱手段と、
前記酸化手段を通過したガスを前記加熱手段の上流側へ還流する還流手段と、
前記酸化手段を通過したガスを排気させる排気手段と、
前記還流手段により還流させるガスの量を調整する還流量調整手段と
を備え、
通常運転時には、前記還流量調整手段の調整により前記還流手段により前記ガスの一部のみを還流させて残りは前記排気手段により排気させる
ことを特徴とするガス処理装置。
【請求項4】
前記還流量調整手段は、
前記被処理混合ガスの温度を測定する温度測定手段と、
前記温度測定手段の測定結果に応じて、前記ガスを還流させる割合を決める還流割合決定手段と
を備えたことを特徴とする請求項3に記載のガス処理装置。
【請求項5】
前記還流手段は、
前記酸化手段の下流側と前記加熱手段の上流側とを接続している還流路と、
前記加熱手段の上流側に設けられて空気を供給するための給気流路に設けられた給気ダンパーと
を備えていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のガス処理装置。
【請求項6】
前記還流手段は、
前記酸化手段の下流側と前記加熱手段の上流側とを接続している還流路と、
前記加熱手段の上流側に設けられて空気を供給するための給気流路に設けられた給気ダンパーと、
前記還流路に設けられた循環ダンパーと
を備えていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のガス処理装置。
【請求項1】
可燃性の被処理ガスと空気とを混合させた被処理混合ガスを通流して酸化させることにより酸化分解ガスを生成する酸化手段と、
前記酸化手段の上流側に設けられ、前記酸化手段に導入するガスを加熱する加熱手段と、
前記酸化手段を通過したガスを前記加熱手段の上流側へ還流する還流手段と
を備え、
前記空気および前記被処理混合ガスのいずれか一方を前記酸化手段に導入し、前記酸化手段を通過したガスを前記環流手段により全量環流させることにより前記酸化手段を予備加熱する
ことを特徴とするガス処理装置。
【請求項2】
可燃性の被処理ガスと空気とを混合させた被処理混合ガスを通流して酸化させることにより酸化分解ガスを生成する酸化手段と、
前記酸化手段に通流させる前記被処理混合ガスの濃度を測定する濃度測定手段と、
前記濃度測定手段の測定結果に基づいて、前記被処理ガスと前記空気とを混合させるときの前記被処理ガスの濃度を調整するガス濃度調整手段と、
前記酸化手段の上流側に設けられ、前記酸化手段に導入するガスを加熱する加熱手段と、
前記酸化手段を通過したガスを前記加熱手段の上流側へ還流する還流手段と
を備え、
予熱時には、前記ガス濃度調整手段は、前記被処理混合ガスの濃度を前記被処理ガスの燃焼範囲下限値を下回る濃度に調整するとともに、前記還流手段により前記被処理混合ガスを全量還流させる
ことを特徴とするガス処理装置。
【請求項3】
可燃性の被処理ガスと空気とを混合させた被処理混合ガスを通流して酸化させることにより酸化分解ガスを生成する酸化手段と、
前記酸化手段の上流側に設けられ、前記酸化手段に導入するガスを加熱する加熱手段と、
前記酸化手段を通過したガスを前記加熱手段の上流側へ還流する還流手段と、
前記酸化手段を通過したガスを排気させる排気手段と、
前記還流手段により還流させるガスの量を調整する還流量調整手段と
を備え、
通常運転時には、前記還流量調整手段の調整により前記還流手段により前記ガスの一部のみを還流させて残りは前記排気手段により排気させる
ことを特徴とするガス処理装置。
【請求項4】
前記還流量調整手段は、
前記被処理混合ガスの温度を測定する温度測定手段と、
前記温度測定手段の測定結果に応じて、前記ガスを還流させる割合を決める還流割合決定手段と
を備えたことを特徴とする請求項3に記載のガス処理装置。
【請求項5】
前記還流手段は、
前記酸化手段の下流側と前記加熱手段の上流側とを接続している還流路と、
前記加熱手段の上流側に設けられて空気を供給するための給気流路に設けられた給気ダンパーと
を備えていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のガス処理装置。
【請求項6】
前記還流手段は、
前記酸化手段の下流側と前記加熱手段の上流側とを接続している還流路と、
前記加熱手段の上流側に設けられて空気を供給するための給気流路に設けられた給気ダンパーと、
前記還流路に設けられた循環ダンパーと
を備えていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のガス処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2007−178094(P2007−178094A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−378810(P2005−378810)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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