説明

ガス検知材料の感度、速度または安定性を回復する方法

【課題】材料の感度を増大させること、化学/電気活性材料の電気応答特性の安定性を増大させること、または、化学/電気活性材料の電気応答特性の変化を検出する速度を増大させることにより、化学/電気活性材料を改良する。
【解決手段】化学/電気活性材料の温度を、化学/電気活性材料の感度が、第1の感度より大きい第2の感度まで増大する第2の温度まで上げるステップを含んでなり、化学/電気活性材料の感度が、ΔR/ΔCにより与えられる比であり、ΔRが、選択された温度で、多成分混合ガス中の成分ガスまたはガスのサブグループの濃度の変化の結果として、化学/電気活性材料が受ける、抵抗の変化、または、抵抗に比例する信号サイズの変化であり、ΔCが、成分ガスまたはガスのサブグループの濃度の変化である、方法。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2002年4月15日出願の米国仮出願第60/372,875号の利益を請求する。この仮出願は全体として、すべての目的のために本明細書の一部として援用される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、化学センサおよび化学センサアレイを使用する多成分ガスシステムにおいて、NO、炭化水素、一酸化炭素および酸素を含めて、各種ガスを検出し、かつ分析する装置に関する。センサおよびセンサアレイは、多成分ガスシステム内の個々のガスの、存在を検出する、および/または、濃度を算出する、化学/電気活性材料を使用する。
【背景技術】
【0003】
ある種のガスを検出するために化学的検知デバイスを使用することが知られている。特定のガスに対する選択性および感度を有する材料を見出すために、多くの試みがなされてきた。例えば、特許文献1は、酸素を測定するための抵抗センサを開示している。さらに、非特許文献1を参照されたい。検出すべきそれぞれのガスに対し、異なる材料を使用しなければならないことは明らかである。しかし、ガスが多成分システムの一部である場合、混合物の各種成分ガスに対する材料の交差感受性のため、特定のガスを検出するために1個の材料を使用することは、難しい。
【0004】
多成分ガス系の一例が燃焼ガス放出物であり、それは、酸素、一酸化炭素、窒素酸化物、炭化水素、CO、HS、二酸化硫黄、水素、水蒸気、ハロゲンおよびアンモニアを含むことがありえる。非特許文献2を参照されたい。多くの燃焼プロセスでは、ガス放出物が、連邦および州の大気品質規制により確立された要件を満たすかどうか決定する必要がある。この要求に対処するために、いくつかのタイプのガスセンサが開発されてきた。例えば、電気化学的酸素センサを開示している特許文献2、酸素および窒素の酸化物を検出するためのセンサを開示している特許文献3、および、酸素を測定するための抵抗センサを開示している特許文献1を参照されたい。混合物中のどのガスをも分離する必要なしに、センサへのガスの直接接触により生成されたデータだけによって、例えば濃度を算出するために、燃焼ガス放出物などの混合物の2種以上の成分を同時に分析できることが有利だろう。先行技術の方法は、現在この要求を満たしていない。
【0005】
食品から放出されるガスを検出するために、および、比較的低温度を必要とする他の応用に使用するために、やはり多数のセンサが開示されてきた。非特許文献3を参照されたい。さらに、最高450℃の各種の燃焼ガスを検出する際に使用するために、いくつかの無ドープおよびドープされた酸化スズセンサのアレイが開示されてきた(非特許文献4、および、非特許文献5を参照されたい)。そして、酸化スズベースのセンサアレイの応答に関する動作温度の影響が、450℃まで検討された。非特許文献6を参照されたい。しかし、燃焼ガスをモニタするために化学センサが使用される、より高温度および高度に腐食性の環境が、低温の応用分野用に開発されたセンサアレイの性能を、変化させる、または損なうことがありえる。したがって、高温環境は、当業界で以前から公知の材料以外の材料を要求し、それは、かかる厳しい条件の中で、化学的および熱的に安定であり、対象となるガスに対し測定可能な応答を維持するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,535,316号明細書
【特許文献2】米国特許第5,630,920号明細書
【特許文献3】米国特許第4,770,760号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】H.マイクスナー(Meixner)ら「センサおよびアクチュエータ(Sensors and Actuators)」、B33(1996)198〜202。
【非特許文献2】H.マイクスナーら、フレゼニアス(Fresenius’)の「ジャーナルオブアナリィティカルケミストリ(J.Anal.Chem.)」、348(1994)536〜541。
【非特許文献3】K.アルバート(Albert)ら「ケミカルレビュー(Chem.Rev.)」、200(2000)2595〜2626。
【非特許文献4】C.ジ・ナターレ(C.Di Natale)ら「センサおよびアクチュエータ(Sensors and Actuators)」、B20(1994)217〜224。
【非特許文献5】J.ゲチーノ(Getino)ら「センサおよびアクチュエータ(Sensors and Actuators)」、B33(1996)128〜133。
【非特許文献6】C.ジ・ナターレ「センサおよびアクチュエータ(Sensors and Actuators)」B23(1995)187〜191。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この要求に対処することが、自動車排ガスなどの、燃焼放出物を測定するために、化学センサの使用を可能にし、かつ、それらの放出物が、実用的および要求された要件を満たすかどうかを決定するだろう。更に、驚くべきことに、自動車の放出物などの、高温ガスを分析するのに有用である本発明の装置が、低温ガスを分析する際に、同等の有効性をもって使用できることが判明した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態は、多成分混合ガスに対し電気応答特性を示す化学/電気活性材料において、第1の温度で第1の感度を有する化学/電気活性材料の感度を、化学/電気活性材料の温度を第2の温度まで上げることにより増大させる方法であり、第2の温度では化学/電気活性材料の感度が、第1の感度より大きい第2の感度に増大する。この場合、化学/電気活性材料の感度が、ΔR/ΔCにより与えられる比であり、ここで、ΔRは、選択された温度で、多成分混合ガス中の、成分ガスまたはガスのサブグループの濃度の変化の結果として、化学/電気活性材料が受ける、抵抗の変化、または、抵抗に比例する信号サイズの変化であり、ΔCは、成分ガスまたはガスのサブグループの濃度変化である。
【0010】
本発明の別の実施形態は、多成分混合ガスに対し電気応答特性を示す化学/電気活性材料において、第1の温度で第1の安定性を有する化学/電気活性材料の電気応答特性の安定性を、化学/電気活性材料の温度を第2の温度まで上げることにより増大させる方法であり、第2の温度では化学/電気活性材料の安定性が、第1の安定性より大きい第2の安定性に増大する。この場合、化学/電気活性材料の電気応答特性の安定性が、ΔE/Tにより与えられる比であり、ここで、ΔEは、電気応答特性の定量化された値の、または、電気応答特性に比例する信号サイズの変化であり、この変化は、選択された時間にわたる多成分混合ガスへの曝露の結果として生じるものであり、Tは、選択された時間である。
【0011】
本発明の別の実施形態は、多成分混合ガスに対し電気応答特性を示す化学/電気活性材料において、電気応答特性の変化を検出する速度を、この場合、電気応答特性の変化は第1の温度で第1の速度で検出されるが、化学/電気活性材料の温度を第2の温度まで上げ
ることにより、増大させる方法であり、第2の温度では化学/電気活性材料の電気応答特性が検出される速度が、第1の速度より大きい第2の速度に増大する。
【0012】
さらに、本発明の別の実施形態は、ガス状の成分を含む多成分混合ガスに対し電気応答特性を示す化学/電気活性材料において、ガス状の成分の第1の濃度で第1の感度を有する化学/電気活性材料の感度を、ガス状の成分の濃度を第2の濃度に低減することにより、増大させる方法であり、第2の濃度では化学/電気活性材料の感度が、第1の感度より大きい第2の感度に増大する。この場合、化学/電気活性材料の感度は、ΔR/ΔCにより与えられる比であり、ここで、ΔRは、選択された温度で、多成分混合ガス中の、成分ガスまたはガスのサブグループの濃度の変化の結果として、化学/電気活性材料が受ける、抵抗の変化、または、抵抗に比例する信号サイズの変化であり、ΔCは、成分ガスまたはガスのサブグループの濃度変化である。電気応答特性に関する安定性および/または速度もまた、この方法により増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】化学/電気活性物質のアレイを表す図である。
【図2】誘電体オーバーレイヤでかぶせられ、化学/電気活性物質のアレイの中に16個のブランクウェルが形成された、互いに嵌合された電極のパターンの概略図である。
【図3】化学/電気活性物質のアレイの中の電極パターン、誘電体パターンおよびセンサ材料パターンを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、変動する温度条件の下で、多成分ガスシステム中の1種もしくはそれ以上の検体ガスを直接に検出する方法と装置である。「直接に検出する」は、ガス検出材料のアレイが、流動ガスの流れ中などの、多成分ガスシステムを構成するガスの混合物に暴露されることを意味する。アレイを、混合ガス内に、より詳しくは、必要に応じて混合ガス源内に、位置させることができる。あるいは、混合ガスが、別の場所にあるその源から導入されるチャンバ内に、アレイがあってもよい。ガスが、アレイが配置されているチャンバに導入される場合、ガス混合物をチャンバに入れ、配管、管路、または他の任意の適切なガス送出装置により、チャンバから取り出すことができる。
【0015】
多成分混合ガスのガス検知材料への曝露の際、応答を得ることができ、応答は、混合ガス中の検体ガス自体の1個もしくはそれ以上の濃度の関数だろう。センサ材料を、各検体ガスに同時に(または実質的に同時に)暴露させ、混合物の、および/またはその1種もしくはそれ以上の検体成分の分析を実施することを可能にするために、検体ガスを、多成分混合ガスから物理的に分離する必要はない。本発明を使用して、例えば、自動車の放出物などの混合ガス中の変動する温度で、酸素、一酸化炭素、窒素酸化物、ブタンなどの炭化水素、CO、HS、二酸化硫黄、ハロゲン、水素、水蒸気、有機リンガスおよびアンモニアなどの燃焼ガスの応答を得ることができ、したがって燃焼ガスの濃度を検出および/または測定することができる。
【0016】
本発明は、システム中の1種もしくはそれ以上の個々の検体ガス成分の、例えば応答を得る、存在を検出する、および/または濃度を算出するために、検出材料のアレイを利用して、混合ガスおよび/またはその成分を分析する。「アレイ」は、例えば図1に示されているように、空間的に分離されている少なくとも2個の異なる材料を意味する。アレイは、例えば、3、4、5、6、8、10または12個の、あるいは、所望の他の多いまたは少ない数のガス検出材料を含むことができる。分析すべき混合物中の個々のガスまたはガスのサブグループそれぞれに対し、少なくとも1個のセンサ材料を備えることが好ましい。しかし、混合物中の、個々のガス成分に、および/またはガスの特定のサブグループに応答する、複数のセンサ材料を配置することが望ましいだろう。例えば、少なくとも2
、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12個のセンサの群を使用して、混合物中の、1種もしくはそれ以上の個々の成分ガス、および/またはガスの1種もしくはそれ以上のサブグループの、存在を検出する、および/または、濃度を算出することができる。センサの群は、共通のメンバーを有しても、または、有さなくてもよく、これを使用して、混合物中の、個々のガス成分またはガスのサブグループである検体に対し、応答を得ることができる。サブグループとして検体である、ガスのサブグループは、それ自体もまた検体である個々のガスをメンバーとして、含んでも、または、含まなくてもよい。
【0017】
本発明は、ガス流れに存在すると予想されるガスを検出するのに有用である。例えば、燃焼プロセスでは、存在すると予想されるガスには、酸素、窒素酸化物(例えばNO、NO、NOまたはN)、一酸化炭素、炭化水素(例えばC2n+2、および、C2n+2が、飽和または不飽和であるもの、あるいは、ヘテロ原子によって場合により置換されているもの、並びに、その環状および芳香族類似体)、アンモニアもしくは硫化水素、二酸化硫黄、COまたはメタノールが含まれる。対象となる他のガスには、アルコール蒸気、溶媒蒸気、水素、水蒸気、並びに、飽和および不飽和の炭化水素から誘導されるもの、エーテル、ケトン、アルデヒド、カルボニル、生体分子および微生物を含むことができる。対象となる検体である多成分混合ガスの成分が、一酸化炭素などの個々のガスであってもよく、窒素酸化物(NO)または炭化水素などの、混合物に含まれるガスの全てではない一部のサブグループであってもよく、あるいは、1種もしくはそれ以上の個々のガスの、および、1種もしくはそれ以上のサブグループの組合せであってもよい。ガスのサブグループが検体である場合、化学/電気活性物質は、サブグループのメンバー一体の、多成分混合ガス内の総合濃度に応答するだろう。
【0018】
化学/電気活性物質が暴露されることになる混合物に含まれる検体ガスは、単一のガス、一体になったガスのサブグループ、あるいは、窒素などの不活性ガスと混合した、1種もしくはそれ以上のガスまたはサブグループの場合がある。対象となる特別のガスが、ドナーおよびアクセプタガスである。一酸化炭素、HSおよび炭化水素などの、半導体材料に電子を供与するガス、または、O、窒素酸化物(一般にNOとして表される)などの半導体材料から電子を受け入れるガス、並びに、ハロゲンガスがある。ドナーガスに暴露させる場合、n型半導体材料は、電気抵抗が減少し、電流が増大することになり、n型半導体材料は、したがってIR加熱のために、温度の上昇を示すことになる。アクセプタガスに暴露させる場合、n型半導体材料は、電気抵抗が増加し、電流が減少することになり、したがって、IR加熱による温度が、低下を示すことになる。p型半導体材料では、それぞれの場合に反対のことが起こる。
【0019】
ガス濃度の測定などの、これらのセンサ材料を使用して、混合ガスの構成物の含有量に関係付けられる情報を得ることは、1種もしくはそれ以上の検体ガスを含む混合物に材料を曝露させた際の、少なくとも1個の、しかし好ましくはそれぞれ全ての材料のACインピーダンスなどの、電気的特性の変化に基づくことができる。また、電気容量、電圧、電流、あるいはACまたはDC抵抗などの、センサ材料の他の電気的特性の変化の程度によって、混合ガスの分析を行うことができる。DC抵抗の変化は、例えば、一定の電圧で温度変化を測定することにより、決定することができる。センサ材料のこれらの例示的な特性のうちの1つにおける変化が、混合ガス内の検体ガスの分圧の関数であり、そのことがひいては、検体ガスの分子がセンサ材料の表面に吸着され、したがってその材料の電気的な応答特性に影響を及ぼすときの濃度を決定する。化学/電気活性物質のアレイを使用することにより、1種もしくはそれ以上の検体ガスを含む混合物に曝露した際に材料により示されるそれぞれの応答パターンを使用して、同時におよび直接に、多成分ガスシステムの中の少なくとも1種のガスの、存在を検出する、および/または濃度を測定することができる。本発明は、更にはガスシステムの組成を決定するのに使用することができる。コンセプトが図1に概略的に例示され、以下に例証される。
【0020】
例示のため、検体ガスを含む混合物へのセンサ材料の曝露について、理論上の例を以下に考察しよう。応答が得られた場合、イベントが正(+)として表され、応答が得られない場合、イベントが負(−)として表される。材料1は、ガス1およびガス2に応答する。しかし、ガス3には応答を示さない。材料2は、ガス1およびガス3に応答する。しかし、ガス2には応答を示さない。材料3は、ガス2およびガス3に応答する。しかし、ガス1には応答を示さない。
【0021】
【表1】

【0022】
したがって、材料1、2および3よりなるアレイが、未知のガスに対し次の応答を示す場合、その時、未知のガスは、ガス2として識別されるだろう。
【0023】
【表2】

【0024】
それぞれのセンサ材料の応答は、混合物内の分圧の、したがって、検体ガス濃度の、または、検体ガスのサブグループの総合濃度の、関数だろう。応答は、数値などの処理可能な値として、定量化または記録することができる。このような場合、1個もしくはそれ以上の応答の値を使用して、混合物内の、1種もしくはそれ以上の検体ガスの存在についての量的な情報を作り出すことができる。多成分ガスシステムでは、計量化学、ニューラルネットワークまたは他のパターン認識技術を使用して、システムの混合物中の1種もしくはそれ以上の検体ガスの濃度を算出することができる。
【0025】
使用される検出材料は、化学/電気活性物質である。「化学/電気活性物質」は、混合物中の少なくとも1種の個々のガスに電気的に応答する材料である。いくつかの金属酸化物半導体材料、その混合物、または、金属酸化物半導体と他の無機化合物との混合物が、化学/電気活性であり、本発明において特に有用である。ここで使用される様々な化学/電気活性材料それぞれが、混合物および/または検体ガスに曝露した際、他の化学/電気活性材料それぞれに比べて、異なる種類および/または程度の、電気的に検出可能な応答を呈するものが好ましい。その結果、適切に選択された化学/電気活性材料のアレイを使用して、例えば、検体ガスと相互作用させることにより、検体ガスを検出することにより、あるいは、混合物中の1種もしくはそれ以上の検体ガスまたはサブグループの存在および/または濃度を決定することにより、その中の重要でない干渉ガスの存在にもかかわらず、多成分混合ガスを分析することができる。それぞれのガス検出材料の主成分のモル百分率が、他のそれぞれのモル百分率と異なることが好ましい。
【0026】
化学/電気活性材料は、いかなるタイプでもよいが、特に有用なのは、SnO、TiO、WOおよびZnOなどの半導体金属酸化物である。これらの特定の材料は、それらの化学的および熱的安定性のために有利である。化学/電気活性材料は、2個以上の半
導体材料の混合物、または、半導体材料と無機材料との混合物、あるいは、それらの組合せであってもよい。対象となる半導体材料は、これには限定されないが、アルミナまたはシリカなどの絶縁体であり、多成分混合ガスの条件の下で安定である、適切な固形基材に堆積することができる。その時アレイは、基材に堆積されたセンサ材料という形をとる。他の適切なセンサ材料には、バルクもしくは薄膜タイプの単結晶もしくは多結晶半導体、非晶質の半導体材料および金属酸化物から構成されていない半導体材料が含まれる。
【0027】
複数の金属を含む化学/電気活性材料は、化合物または固溶体である必要はなく、離散的な金属および/または金属酸化物の多相物理的混合物でもよい。前駆体材料による固体拡散の程度が様々であるので、このことから化学/電気活性材料が形成されるが、最終の材料が組成こう配を呈することがあり、それらが、結晶性または非晶質性であってもよい。適切な金属酸化物は、次のものである。
i)約400℃以上の温度にある場合、約1〜約10ohm−cm、好ましくは約1〜約10ohm−cm、より好ましくは約10〜約10ohm−cmの固有抵抗を有する、
ii)対象となる少なくとも1種のガスに対し化学/電気応答を示す、
iii)安定であり、かつ機械的な整合性を有し、基材に固着することが可能であり、かつ動作温度で劣化しない。
金属酸化物はまた、前駆体材料に存在する水和物および元素をわずかにまたは微量に含んでもよい。
【0028】
センサ材料は、基材への固着性を強化するために、または、コンダクタンス、抵抗、またはセンサ材料の選択性を変えるために、1個もしくはそれ以上の添加剤を場合により含むことができる。コンダクタンス、抵抗またはセンサ材料の選択性を変えるための添加剤の例には、Ag、Au、またはPt、およびフリットが含まれる。固着性を強化するための添加剤の例には、加熱してガラスまたはエナメルに変化した、細かく研磨した無機鉱物、あるいは、ソリッドステートの中にその非晶質の品質を保持した急冷ガラスであるフリットが含まれる。フリット前駆体化合物は、高温で溶解され、かつ、通常溶融物を水などの流体の中に速やかに注ぐことにより、または、回転金属ローラーを介して注ぐことにより、急冷される。前駆体化合物は通常、酸化物、硝酸塩または炭酸塩などの固体物質の機械的混合物であり、あるいは溶液から共沈殿またはゲル化させることができる。フリット用の適切な前駆体材料には、アルカリおよびアルカリ土類アルミノケイ酸塩およびアルミノ−ホウ−珪酸塩、銅、鉛、リン、チタン、亜鉛およびジルコニウムが含まれる。添加剤としてのフリットは、センサが製作される化学/電気活性材料の全体体積の30体積パーセントまで、好ましくは10体積パーセントまでの量で使用することができる。
【0029】
必要に応じて、センサ材料はまた、例えば、対象となるガスの酸化を触媒する、または、特定の検体ガスの選択性を強化する添加剤を含むことができ、あるいは、n半導体をp半導体に、またはその逆に変換する、1種もしくはそれ以上のドーパントを含むことができる。これらの添加剤は、センサが製作される化学/電気活性材料の30重量パーセントまで、好ましくは10重量パーセントまでの量で使用することができる。
【0030】
使用されるいかなるフリットまたは他の添加剤は、製造時、センサ材料の全体にわたって一様にまたは均一に分布している必要はなく、その特定の表面上または近くに所望通りに局在化していてもよい。それぞれの化学/電気活性材料を、必要に応じて、多孔性の誘電体オーバーレイヤでカバーしてもよい。
【0031】
本発明でセンサ材料として使用される化学/電気活性材料は、例えば、式M、MまたはMの金属酸化物、あるいは、その混合物でよく、式中、
、MおよびMは、500℃超で酸素の存在下で焼成したとき、安定な酸化物を形成する金属であり、
は、周期表2〜15族およびランタニド族から選択され、
およびMは、それぞれ独立して周期表1〜15族およびランタニド族から選択され、
およびMは、Mにおいて同じでなく、M、MおよびMは、Mにおいて同じでなく、
a、bおよびcは、それぞれ独立して約0.0005〜1の範囲にあり、
xは、存在する酸素が、化学/電気活性物質に存在する他の元素の電荷を釣り合わせるのに十分な数である。
【0032】
ある種の好適な実施形態では、金属酸化物材料は、
が、Ce、Co、Cu、Fe、Ga、Nb、Ni、Pr、Ru、Sn、Ti、Tm、W、Yb、ZnおよびZrよりなる群から選択され、および/または、
およびMが、それぞれ独立して、Al、Ba、Bi、Ca、Cd、Ce、Co、Cr、Cu、Fe、Ga、Ge、In、K、La、Mg、Mn、Mo、Na、Nb、Ni、Pb、Pr、Rb、Ru、Sb、Sc、Si、Sn、Sr、Ta、Ti、Tm、V、W、Y、Yb、ZnおよびZrよりなる群から選択され、
しかし、MおよびMが、Mにおいて同じでなく、M、MおよびMは、Mにおいて同じでない、ものを含むことができる。
【0033】
ある種の他の好適な実施形態では、金属酸化物材料は、
が、CeO、CoO、CuO、FeO、GaO、NbO、NiO、PrO、RuO、SnO、TaO、TiO、TmO、WO、YbO、ZnO、ZrO、添加物Agを有するSnO、添加物Agを有するZnO、添加物Ptを有するTiO、添加物フリットを有するZnO、添加物フリットを有するNiO、添加物フリットを有するSnO、または、添加物フリットを有するWOであり、および/または、
が、AlCr、AlFe、AlMg、AlNi、AlTi、Al、BaCu、BaSn、BaZn、BiRu、BiSn、BiZn、CaSn、CaZn、CdSn、CdZn、CeFe、CeNb、CeTi、Ce、CoCu、CoGe、CoLa、CoMg、CoNb、CoPb、CoSn、Co、Co、CoZn、CrCu、CrLa、CrMn、CrNi、CrSi、CrTi、Cr、CrZn、CuFe、CuGa、CuLa、CuNa、CuNi、CuPb、CuSn、CuSr、CuTi、CuZn、CuZr、FeGa、FeLa、FeMo、FeNb、FeNi、FeSn、FeTi、Fe、FeZn、FeZr、GaLa、GaSn、GeNb、GeTi、InSn、KNb、MnNb、MnSn、MnTi、Mn、MnZn、MoPb、MoRb、MoSn、MoTi、MoZn、NbNi、NbNi、NbSr、NbTi、Nb、NbZr、NiSi、NiSn、Ni、NiZn、NiZr、PbSn、PbZn、Rb、RuSn、Ru、RuZn、SbSn、SbZn、ScZr、SiSn、SiTi、Si
SiZn、SnTa、SnTi、Sn、SnZn、SnZr、SrTi、TaTi、TaZn、TaZr、Ti、Ti、TiZn、TiZr、VZn、VZr、WZn、WZr、YZr、ZnZr、添加物フリットを有するAlNi、添加物フリットを有するCrTi、添加物フリットを有するFeLa、添加物フリットを有するFeNi、添加物フリットを有するFeTi、添加物フリットを有するNbTi、添加物フリットを有するNb、添加物フリットを有するNiZn、添加物フリットを有するNiZr、添加物フリットを有するSbSn、添加物フリットを有するTaTi、または、添加物フリットを有するTiZnであり、および/または、
が、AlMgZn、AlSi、BaCuTi、CaCeZr、CoNiTi、CoNiZr、CoPbSn、CoPbZn、CrSrTi、CuFeMn、CuLaSr、FeNbTi、FePbZn、FeSrTi、FeTaTi、FeZr、GaTiZn、LaMnNa、LaMnSr、MnSrTi、MoPbZn、NbSrTi、NbSr、NbTiZn、NiSrTi、SnZn、SrTi、SrTiZn、または、TiZrである、ものを含むことができる。
【0034】
ある種の他の好適な実施形態では、金属酸化物材料は、第1および第2の化学/電気活性材料のアレイにあるものを含むことができ、この場合、化学/電気活性材料は、
(i)第1の材料がMであり、第2の材料がMである、
(ii)第1の材料がMであり、第2の材料がMである、
(iii)第1の材料がMであり、第2の材料がMである、
(iv)第1の材料が第1のMであり、第2の材料が第2のMである、
(v)第1の材料が第1のMであり、第2の材料が第2のMである、および、
(vi)第1の材料が第1のMであり、第2の材料が第2のMである、よりなる群の対から選択され、式中、
は、Ce、Co、Cu、Fe、Ga、Nb、Ni、Pr、Ru、Sn、Ti、Tm、W、Yb、ZnおよびZrよりなる群から選択され、
およびMは、それぞれ独立してAl、Ba、Bi、Ca、Cd、Ce、Co、Cr、Cu、Fe、Ga、Ge、In、K、La、Mg、Mn、Mo、Na、Nb、Ni、Pb、Pr、Rb、Ru、Sb、Sc、Si、Sn、Sr、Ta、Ti、Tm、V、W、Y、Yb、ZnおよびZrよりなる群から選択され、
しかし、MおよびMは、Mにおいて同じでなく、M、MおよびMは、Mにおいて同じでなく、
a、bおよびcは、それぞれ独立して約0.0005〜約1であり、
xは、存在する酸素が、化学/電気活性物質に存在する他の元素の電荷を釣り合わせるのに十分な数である。
【0035】
ある種の他の好適な実施形態では、2つ以上の化学/電気活性材料のアレイは、(i)Mを含む化学/電気活性材料、(ii)Mを含む化学/電気活性材料、および、(iii)Mを含む化学/電気活性材料よりなる群から選択することができ、
式中、Mは、Al、Ce、Cr、Cu、Fe、Ga、Mn、Nb、Ni、Pr、Sb
、Sn、Ta、Ti、WおよびZnよりなる群から選択され、
式中、MおよびMは、それぞれ独立してGa、La、Mn、Ni、Sn、Sr、Ti、W、Y、Znよりなる群から選択され、
式中、MおよびMは、Mにおいてそれぞれ異なり、M、MおよびMは、Mにおいてそれぞれ異なり、
式中、a、bおよびcは、それぞれ独立して約0.0005〜約1であり、
式中、xは、存在する酸素が、化学/電気活性物質に存在する他の元素の電荷を釣り合わせるのに十分な数である。
【0036】
は、例えばAl、Cr、Fe、Ga、Mn、Nb、Ni、Sb、Sn、Ta、TiおよびZnからなる群から、または、Ga、Nb、Ni、Sb、Sn、Ta、TiおよびZnよりなる群から選択することができる。M、M、またはMおよびMは、La、Ni、Sn、TiおよびZnよりなる群から、または、Sn、TiおよびZnよりなる群から選択することができる。
【0037】
アレイは、4または8個などの他の数の化学/電気活性材料を含むことができ、アレイは、Mを含んでなる少なくとも1個の化学/電気活性材料、および、それぞれがMを含んでなる少なくとも3個の化学/電気活性材料を含むことができる。あるいは、アレイは、(i)Mを含んでなる少なくとも1個の化学/電気活性材料、および、それぞれがMを含んでなる少なくとも4個の化学/電気活性材料、または、(ii)それぞれがMを含んでなる少なくとも2個の化学/電気活性材料、および、それぞれがMを含んでなる少なくとも4個の化学/電気活性材料、または、(iii)それぞれがMを含んでなる少なくとも3個の化学/電気活性材料、および、Mを含んでなる少なくとも1個の化/電気活性材料、を含むことができる。
【0038】
本発明の装置において有用な化学/電気活性材料は、
AlNiを含んでなる化学/電気活性材料、
CeOを含んでなる化学/電気活性材料、
CrMnを含んでなる化学/電気活性材料、
CrTiを含んでなる化学/電気活性材料、
Crを含んでなる化学/電気活性材料、
CuGaを含んでなる化学/電気活性材料、
CuLaを含んでなる化学/電気活性材料、
CuOを含んでなる化学/電気活性材料、
FeLaを含んでなる化学/電気活性材料、
FeNiを含んでなる化学/電気活性材料、
FeTiを含んでなる化学/電気活性材料、
GaTiZnを含んでなる化学/電気活性材料、
MnTiを含んでなる化学/電気活性材料、
NbSrを含んでなる化学/電気活性材料、
NbTiを含んでなる化学/電気活性材料、
NbTiZnを含んでなる化学/電気活性材料、
Nbを含んでなる化学/電気活性材料、
NiOを含んでなる化学/電気活性材料、
NiZnを含んでなる化学/電気活性材料、
Pr11を含んでなる化学/電気活性材料、
SbSnを含んでなる化学/電気活性材料、
SnOを含んでなる化学/電気活性材料、
TaTiを含んでなる化学/電気活性材料、および
TiZnを含んでなる化学/電気活性材料、
WOを含んでなる化学/電気活性材料、および
ZnOを含んでなる化学/電気活性材料、
よりなる群の1個もしくはそれ以上のメンバーから選択することができ、式中、a、bおよびcは、それぞれ独立して約0.0005〜約1であり、式中、xは、存在する酸素が、化学/電気活性物質中の他の元素の電荷を釣り合わせるのに十分な数である。
【0039】
本発明において有用な化学/電気活性材料はまた、上記リストに記載の全部の群から、任意の1個もしくはそれ以上のメンバーを削除することにより形成される、前記のサブグループから選択することができる。その結果、かかる場合の化学/電気活性材料は、上記リストに記載の全部の群から形成できる任意のサイズの任意のサブグループから選択される、任意の1個もしくはそれ以上のメンバーであってもよいだけでなく、そのサブグループが、サブグループを形成するために全部の群から削除したメンバーを除外してもよい。上記リスト中の全部の群から様々なメンバーを削除することにより形成されるサブグループは、サブグループを形成するために除外されている、全部の群のそれらのメンバーがサブグループに存在しないように、全部の群の任意の数のメンバーをさらに含むことができる。代表的サブグループを以下に記載する。
【0040】
を含んでなる化学/電気活性材料は、例えば、
CeOを含んでなる化学/電気活性材料、
CuOを含んでなる化学/電気活性材料、
NiOを含んでなる化学/電気活性材料、
Pr11を含んでなる化学/電気活性材料、
SnOを含んでなる化学/電気活性材料、
WOを含んでなる化学/電気活性材料、および
ZnOを含んでなる化学/電気活性材料、
よりなる群から選択することができる。
【0041】
上記のうち、
CeOを含んでなる化学/電気活性材料、
SnOを含んでなる化学/電気活性材料、および
ZnOを含んでなる化学/電気活性材料、
よりなる群の1種もしくはそれ以上のメンバーは、添加物フリットを含むことができる。
【0042】
を含んでなる化学/電気活性材料、または、Mを含んでなる化学/電気活性材料は、
AlNiを含んでなる化学/電気活性材料、
CrMnを含んでなる化学/電気活性材料、
CrTiを含んでなる化学/電気活性材料、
Crを含んでなる化学/電気活性材料、
CuGaを含んでなる化学/電気活性材料、
CuLaを含んでなる化学/電気活性材料、
FeLaを含んでなる化学/電気活性材料、
FeNiを含んでなる化学/電気活性材料、
FeTiを含んでなる化学/電気活性材料、
GaTiZnを含んでなる化学/電気活性材料、
MnTiを含んでなる化学/電気活性材料、
NbSrを含んでなる化学/電気活性材料、
NbTiを含んでなる化学/電気活性材料、
NbTiZnを含んでなる化学/電気活性材料、
Nbを含んでなる化学/電気活性材料、
NiZnを含んでなる化学/電気活性材料、
SbSnを含んでなる化学/電気活性材料、
TaTiを含んでなる化学/電気活性材料、および
TiZnを含んでなる化学/電気活性材料、
よりなる群から選択することができる。
【0043】
上記のうち、
AlNiを含んでなる化学/電気活性材料、
CrTiを含んでなる化学/電気活性材料、
CuLaを含んでなる化学/電気活性材料、
FeLaを含んでなる化学/電気活性材料、
FeNiを含んでなる化学/電気活性材料、
FeTiを含んでなる化学/電気活性材料、
GaTiZnを含んでなる化学/電気活性材料、
NbTiを含んでなる化学/電気活性材料、
NbTiZnを含んでなる化学/電気活性材料、
Nbを含んでなる化学/電気活性材料、
NiZnを含んでなる化学/電気活性材料、
SbSnを含んでなる化学/電気活性材料、
TaTiを含んでなる化学/電気活性材料、および
TiZnを含んでなる化学/電気活性材料、
よりなる群の1種もしくはそれ以上のメンバーは、添加物フリットを含むことができる。
【0044】
本発明の装置では、Mを含んでなる化学/電気活性材料は、
AlNiを含んでなる化学/電気活性材料、
CrTiを含んでなる化学/電気活性材料、および
FeLaを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
CrTiを含んでなる化学/電気活性材料、
FeLaを含んでなる化学/電気活性材料、および
FeNiを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
FeLaを含んでなる化学/電気活性材料、
FeNiを含んでなる化学/電気活性材料、および
NiZnを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
FeNiを含んでなる化学/電気活性材料、
NiZnを含んでなる化学/電気活性材料、および
SbSnを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
AlNiを含んでなる化学/電気活性材料、
CrTiを含んでなる化学/電気活性材料、
FeLaを含んでなる化学/電気活性材料、
FeNiを含んでなる化学/電気活性材料、
NiZnを含んでなる化学/電気活性材料、および
SbSnを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
AlNiを含んでなる化学/電気活性材料、
CrTiを含んでなる化学/電気活性材料、および
MnTiを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
NbTiを含んでなる化学/電気活性材料、
NiZnを含んでなる化学/電気活性材料、および
SbSnを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
NiZnを含んでなる化学/電気活性材料、
SbSnを含んでなる化学/電気活性材料、および
TaTiを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
SbSnを含んでなる化学/電気活性材料、
TaTiを含んでなる化学/電気活性材料、および
TiZnを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
CrMnを含んでなる化学/電気活性材料、
CrTiを含んでなる化学/電気活性材料、および
Crを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
CrTiを含んでなる化学/電気活性材料、
Crを含んでなる化学/電気活性材料、および
CuGaを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
Crを含んでなる化学/電気活性材料、
CuGaを含んでなる化学/電気活性材料、および
CuLaを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
CuGaを含んでなる化学/電気活性材料、
CuLaを含んでなる化学/電気活性材料、および
FeLaを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
CrMnを含んでなる化学/電気活性材料、
CrTiを含んでなる化学/電気活性材料、
Crを含んでなる化学/電気活性材料、
CuGaを含んでなる化学/電気活性材料、
CuLaを含んでなる化学/電気活性材料、および
FeLaを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
Crを含んでなる化学/電気活性材料、
CuGaを含んでなる化学/電気活性材料、および
CuLaを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
CuGaを含んでなる化学/電気活性材料、
CuLaを含んでなる化学/電気活性材料、および
FeTiを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
CrMnを含んでなる化学/電気活性材料、
MnTiを含んでなる化学/電気活性材料、および
NbSrを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
選択することができる。
【0045】
本発明の装置では、Mを含んでなる化学/電気活性材料、または、Mを含んでなる化学/電気活性材料は、
CrTiを含んでなる化学/電気活性材料、
MnTiを含んでなる化学/電気活性材料、および
NbTiZnを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
MnTiを含んでなる化学/電気活性材料、
NbTiZnを含んでなる化学/電気活性材料、および
TaTiを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
NbTiZnを含んでなる化学/電気活性材料、
TaTiを含んでなる化学/電気活性材料、および
TiZnを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
AlNiを含んでなる化学/電気活性材料、
CrTiを含んでなる化学/電気活性材料、
MnTiを含んでなる化学/電気活性材料、
NbTiZnを含んでなる化学/電気活性材料、
TaTiを含んでなる化学/電気活性材料、および
TiZnを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
GaTiZnを含んでなる化学/電気活性材料、
NbTiを含んでなる化学/電気活性材料、および
NiZnを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
GaTiZnを含んでなる化学/電気活性材料、
NbTiを含んでなる化学/電気活性材料、
NiZnを含んでなる化学/電気活性材料、
SbSnを含んでなる化学/電気活性材料、
TaTiを含んでなる化学/電気活性材料、および
TiZnを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
CuLaを含んでなる化学/電気活性材料、
FeTiを含んでなる化学/電気活性材料、および
GaTiZnを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
FeTiを含んでなる化学/電気活性材料、
GaTiZnを含んでなる化学/電気活性材料、および
Nbを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
Crを含んでなる化学/電気活性材料、
CuGaを含んでなる化学/電気活性材料、
CuLaを含んでなる化学/電気活性材料、
FeTiを含んでなる化学/電気活性材料、
GaTiZnを含んでなる化学/電気活性材料、および
Nbを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
MnTiを含んでなる化学/電気活性材料、
NbSrを含んでなる化学/電気活性材料、および
NbTiZnを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
選択することができる。
【0046】
本発明の装置では、Mを含んでなる化学/電気活性材料、Mを含んでなる化学/電気活性材料、または、Mを含んでなる化学/電気活性材料は、
GaTiZnを含んでなる化学/電気活性材料、
NbTiを含んでなる化学/電気活性材料、
NiZnを含んでなる化学/電気活性材料、および
SnOを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
GaTiZnを含んでなる化学/電気活性材料、
NbTiを含んでなる化学/電気活性材料、
NiZnを含んでなる化学/電気活性材料、
SnOを含んでなる化学/電気活性材料、
TaTiを含んでなる化学/電気活性材料、および
TiZnを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
NbSrを含んでなる化学/電気活性材料、
NbTiZnを含んでなる化学/電気活性材料、および
Pr11を含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
NbTiZnを含んでなる化学/電気活性材料、
Pr11を含んでなる化学/電気活性材料、および
TiZnを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
CrMnを含んでなる化学/電気活性材料、
MnTiを含んでなる化学/電気活性材料、
NbSrを含んでなる化学/電気活性材料、
NbTiZnを含んでなる化学/電気活性材料、
Pr11を含んでなる化学/電気活性材料、および
TiZnを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
選択することができる。
【0047】
本発明の装置では、Mを含んでなる化学/電気活性材料、または、Mを含んでなる化学/電気活性材料は、
NbTiを含んでなる化学/電気活性材料、
NiZnを含んでなる化学/電気活性材料、および
SnOを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
NiZnを含んでなる化学/電気活性材料、
SnOを含んでなる化学/電気活性材料、および
TaTiを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
SnOを含んでなる化学/電気活性材料、
TaTiを含んでなる化学/電気活性材料、および
TiZnを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
NbTiを含んでなる化学/電気活性材料、
NiZnを含んでなる化学/電気活性材料、
SbSnを含んでなる化学/電気活性材料、および
ZnOを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
NiZnを含んでなる化学/電気活性材料、
SbSnを含んでなる化学/電気活性材料、
TaTiを含んでなる化学/電気活性材料、および
ZnOを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
SbSnを含んでなる化学/電気活性材料、
TaTiを含んでなる化学/電気活性材料、
TiZnを含んでなる化学/電気活性材料、および
ZnOを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
TaTiを含んでなる化学/電気活性材料、
TiZnを含んでなる化学/電気活性材料、および
ZnOを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
NbTiを含んでなる化学/電気活性材料、
NiZnを含んでなる化学/電気活性材料、
SbSnを含んでなる化学/電気活性材料、
TaTiを含んでなる化学/電気活性材料、
TiZnを含んでなる化学/電気活性材料、および
ZnOを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
AlNiを含んでなる化学/電気活性材料、
CrMnを含んでなる化学/電気活性材料、および
CuOを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
CrMnを含んでなる化学/電気活性材料、
CuOを含んでなる化学/電気活性材料、および
NbSrを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
CuOを含んでなる化学/電気活性材料、
NbSrを含んでなる化学/電気活性材料、および
Pr11を含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
NbSrを含んでなる化学/電気活性材料、
Pr11を含んでなる化学/電気活性材料、および
WOを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
または、
AlNiを含んでなる化学/電気活性材料、
CrMnを含んでなる化学/電気活性材料、
CuOを含んでなる化学/電気活性材料、
NbSrを含んでなる化学/電気活性材料、
Pr11を含んでなる化学/電気活性材料、および
WOを含んでなる化学/電気活性材料よりなる群から、
選択することができる。
【0048】
基材に化学/電気活性材料を堆積させるいかなる方法も適切である。堆積に使用される一技術は、その上に電極がスクリーン印刷されるアルミナ基材上に、半導体材料を塗布することである。基材の上へ半導体材料を手動で塗布すること、ウェルの中へ材料をピペッ
トで移すこと、薄膜堆積または厚膜印刷技術により、半導体材料を電極の上に堆積することができる。大部分の技術は最終の焼成を続けて行い、半導体材料を焼結させる。
【0049】
電極および化学/電気活性材料を基材にスクリーン印刷する技術が、図2〜3に例示されている。図2は、誘電材料をかぶせた、互いに嵌合する電極を使用する方法を表し、その中に化学/電気活性材料を堆積することができるブランクウェルが形成される。図3は、基材の両側面に印刷され、12−材料のアレイチップを提供する、材料6個のアレイの場合の電極スクリーンパターンを表す。電極のうちの2個は並列であるので、アレイは一意的な材料6個だけを保持している。図3に示されるアレイの最上部からカウントダウンすると、上部2個の材料は、上部2個の材料が接触を共有する分割電極により、同時にアクセスすることができるだけである。その下には誘電材料のためのスクリーンパターンがあり、ガスに対するセンサ材料の感度を落とす、または、短絡を引き起こすおそれがある、煤の沈積などの、混合ガスとの接触により、材料を汚染されることから防ぐために、誘電材料が基材の両側面上の電極の最上部にスクリーン印刷される。その下に実際のセンサ材料のためのスクリーンパターンがある。これは、電極の最上部の誘電体の中の穴に印刷される。複数の材料がアレイに使用されるとき、個々の材料は一つずつ印刷される。
【0050】
アレイに製造するときのセンサ材料の幾何形状は、その厚さ、センサとして使用するための化合物の選択または組成、およびアレイの両端間に印加される電圧などの特性を含めて、必要とされる感度に応じて変化させることができる。必要に応じて、その使用要件が規定するように、約150mmを超えない、または約100mmを超えない、または約50mmを超えない、または約25mmを超えない、または約18mmを超えない直径を有する円のサイズである開口部を、それが通り抜けることができるようなサイズで、装置を構成することができる。センサ材料は、好ましくは回路の中に並列に接続され、約1〜約20、好ましくは約1〜約12ボルトの電圧が、回路のセンサ材料の両端間に印加される。
【0051】
強調したように、測定できる電気応答特性のタイプには、ACインピーダンスまたは抵抗、電気容量、電圧、電流またはDC抵抗が含まれる。センサ材料の電気応答特性として、抵抗を使用することが好ましく、その応答特性を測定して、混合ガスおよび/またはその中の成分の分析を行う。例えば、適切なセンサ材料は、約400℃以上の温度にある場合、少なくとも約1オーム−cm、好ましくは少なくとも約10オーム−cm、なおかつ、約10オーム−cmを超えない、好ましくは約10オーム−cmを超えない、より好ましくは約10オーム−cmを超えない抵抗率を有するものでよい。かかるセンサ材料はまた、好ましくは約400℃以上の温度で、混合ガスへの曝露の際に、曝露なしの場合の抵抗と比較して、少なくとも約0.1パーセント、好ましくは少なくとも約1パーセントの抵抗の変化を呈するものとして特徴づけることができる。かかる材料を使用して、材料が多成分混合ガスに暴露された場合、材料により示された抵抗に比例する信号を生成することができる。
【0052】
対象となる混合物および/またはその中のガス状の成分を分析する目的で測定される応答特性のタイプに関係なく、その応答特性の定量化された値が延長された時間にわたって安定であるセンサ材料を利用することが望ましい。センサ材料を検体を含む混合物に暴露する場合、検体の濃度が検体をその中に含む特定の混合ガスの組成の関数であるので、一定温度で延長された数時間にわたって混合物に曝露される間、センサ材料の応答値が一定のまま、または、小さい程度だけ変化するのが好ましいだろう。例えば、応答値は、それが変化する場合、少なくとも約1分間にわたり、または、好ましくは時間の期間、例えば少なくとも約1時間、好ましくは少なくとも約10時間、より好ましくは少なくとも約100時間、最も好ましくは少なくとも約1000時間にわたり、約20パーセント以下、好ましくは約10パーセント以下、より好ましくは約5パーセント以下、最も好ましくは
約1パーセント以下だけ、変化するだろう。上記タイプのセンサ材料の利点の一つは、それらがこの種の応答の安定性により特徴づけられるということである。
【0053】
検体ガスまたはガスのサブグループを含む多成分混合ガスに関して、化学/電気活性材料により示される電気応答特性は、化学/電気活性材料の表面を、検体を含む混合ガスに接触させることから生じる。電気応答特性は、電気容量、電圧、電流、ACインピーダンス、または、ACもしくはDC抵抗などの電気特性であり、それは、多成分混合ガスへの化学/電気活性材料の曝露により影響を受ける。電気特性または電気特性の変化の、定量化された値または定量化された値に比例する信号は、材料が混合ガスに暴露されている間、1回もしくはそれ以上の回数で有用な測定値として得ることができる。しかし、化学/電気活性材料が、度を越えた運転条件またはそれどころか正常運転条件の間に、その感度を下げる、電気応答特性の安定性を下げる、または、電気応答特性の変化を検出する速度を下げる、混合ガスに暴露される場合がある。
【0054】
化学/電気活性材料の感度は、混合ガスへの化学/電気活性材料の曝露の際に測定される電気応答特性の相対的なサイズ、範囲または量に関係がある。感度は、ΔR/ΔCにより与えられる比であり、ここで、ΔRは、選択された温度で、多成分混合ガス中の成分ガスまたはガスのサブグループの濃度の変化の結果として、化学/電気活性材料が受ける、抵抗の変化、または、抵抗に比例する信号サイズの変化であり、ΔCは、成分ガスまたはガスのサブグループの濃度の変化である。濃度変化の決定がある個々のガスまたはガスのサブグループは、本明細書に開示されるガスまたはサブグループのいずれでもよい。
【0055】
化学/電気活性材料の電気応答特性の安定性は、ΔE/Tにより与えられる比であり、ここで、ΔEは、電気応答特性の、または電気応答特性に比例する信号サイズの、定量化された値の変化であり、それは、選択された時間にわたって多成分混合ガスへの曝露の結果として生じるものであり、Tは、選択された時間である。
【0056】
抵抗の変化は、オームを単位にして測定することができ、濃度の変化は、例えばppmで測定することができる。電気応答特性に関する変化は、その応答特性の単位で測定され、速度の変化は、例えば、サイクル数または時間の単位で、あるいは、光度測定手段における加熱または冷却速度により、あるいは、光電子手段により、測定することができる。
【0057】
化学/電気活性材料の電気応答特性の安定性の低下は、多成分混合ガスに対する材料の予想される応答をモデル化し、かつその予想される応答からの何らかの偏差を検出するアルゴリズムで、検出することができる。アルゴリズムは、 偏差が、さらに感度および/または速度の低下を示すかどうかを予測するように、記述することができ、したがって、電気応答特性の1個、2個または3個すべての属性を増大させるための処置をとる必要性を示すことができる。安定性の喪失の問題は、例えば、化学/電気活性材料を多成分混合ガス中の1種もしくはそれ以上の窒素酸化物に暴露した後に、しばしば生じる。
【0058】
化学/電気活性材料についての感度、安定性または速度の低下は、検体を含めて、かなり多量の各種ガスの、材料中への吸収により、しかし特に材料上への吸着により、引き起こされることがある。これらのガスは、ゆっくり脱離するだけである。こうした弱体化したセンサは、低濃度の検体ガスに暴露された場合、ゆっくり応答することができるだけである。高濃度の各種ガスによって引き起こされる、低下した感度、安定性および/または速度の結果は、「飽和」効果とみなすことができる。高濃度曝露による飽和の後、次に遭遇する低濃度の検体に対してそれが望ましい方法で応答し始めるまでの、センサが回復するのに必要な時間は、「ブラインド時間」と呼ばれる。
【0059】
センサ弱体化の一例は、化学/電気活性材料が、車両排気ガス中の窒素酸化物の測定に
使用された場合で、NOx貯蔵触媒の再生の間、高レベルの窒素酸化物にセンサを暴露した場合に生じる現象である。この曝露の間に、NOxへの化学/電気活性材料の応答が低下するだけでなく、NOx濃度レベルが最終的に低下したとき、化学/電気活性材料もまたゆっくり回復するだけである。化学/電気活性材料がこのような仕方で弱体化される場合、それは、最高性能まで回復されるはずである。したがって、本発明の重要な形態は、化学/電気活性材料の感度、安定性および/または速度を増大させる方法であり、その方法は、記載したような弱体化の場合に有用である。
【0060】
化学/電気活性材料の感度、安定性および/または速度は、その温度を上げることにより、増大させることができる。上昇した温度では、検体などのガスが化学/電気活性材料の細孔の中および上に残留する傾向が、低下する。化学/電気活性材料の温度は、基材に組み入れられているヒータで上げることができる。その基材上には化学/電気活性材料が載置される。所望なら、化学/電気活性材料が使用中の間、定期間隔で、例えば、サイクル数または時間で測定した、予め選択された期間の経過に従って、温度を上げることにより、温度上昇を起こすことができる。
【0061】
やはりNOx貯蔵触媒の例では、高いガス濃度の期間中(例えば、センサが還元の環境にあるときの触媒再生の期間中)、センサ材料の温度を上げることができ、または、ガス濃度が低レベルに戻っているときも(例えば、混合ガスが再び酸化性環境を形成しているとき)、温度を上げることができる。特定の時点におけるエンジンの状態についての情報を、例えば、エンジンが、酸化性または還元性の排ガスを発生しているかどうかの情報を、エンジン制御装置からセンサ制御システムに提供することができる。また、センサ材料の最低の動作温度を、予測される、または、過去のガス濃度の関数にすることができる。
【0062】
あるいは、センサの温度を、混合物中の、個々の検体成分、または、検体としてのガスのサブグループの平均濃度の関数として、変化させることができる。やはりNOx貯蔵触媒の例では、触媒再生の間、ガス濃度についてのセンサからの情報を使用して、混合ガスを制御することができる。例えば、エンジンにより発生され、かつ触媒再生のために使用された一酸化炭素の濃度を任意のプロファイルで制御して、再生プロセスを最適化し、かつNOx飽和のセンサへの有害な影響を最小にすることができる。
【0063】
別の代案では、センサ抵抗を測定するために使用したセンサ励起電圧を、測定されたガス濃度の関数として、変化させることができる。
【0064】
化学/電気活性材料の感度を上げる場合、化学/電気活性材料は、第1の温度では第1の感度を有するだろう。化学/電気活性材料の温度を、第2の温度まで上げることができて、第2の温度では、第1の感度より大きい第2の感度に、材料の感度が上がる。温度を、所望なら、予め選択された期間の経過の後、上げることができる。
【0065】
さらに、所望なら、第1の感度が、予め選択された定量化された値に等しいか否かを決定すること、または、その中の検体成分の、多成分混合ガス中の濃度が、予め選択された値に等しいか否かを決定すること、が可能である。検体成分は、本明細書で挙げた、個々のガスまたはガスのサブグループのいずれでもよい。予め選択された期間の経過の後、これらの決定の両方を行うことができる。
【0066】
第1の感度と予め選択された定量化された値の間の相違の絶対値は、所望通り、予め選択された値のうちの、多くても80パーセント、多くても40パーセント、多くても20パーセント、多くても10パーセント、または、多くても5パーセントでよい。第2の感度は、予め選択された値より、所望通り、5パーセント超、10パーセント超、20パーセント超、40パーセント超、または、80パーセント超だけ大きくすることができる。
第2の感度を、所望通り、25パーセント超、50パーセント超、100パーセント超、または、200パーセント超だけ第1の感度より大きくすることができる。所望なら、第1の感度を算出するステップを含むことがやはり可能である。
【0067】
化学/電気活性材料の電気応答特性の安定性を増大させる場合、化学/電気活性材料は、第1の温度では第1の安定性を有するだろう。化学/電気活性材料の温度を第2の温度まで上げることができて、第2の温度では、材料の安定性が、第1の安定性より大きい第2の安定性に増大する。予め選択された期間の経過の後、所望なら、温度を上げることができる。
【0068】
さらに、所望なら、第1の安定性が、予め選択された定量化された値に等しいか否かを決定すること、または、その中の検体成分の、多成分混合ガス中の濃度が、予め選択された値に等しいか否かを決定すること、が可能である。検体成分は、本明細書で挙げた、個々のガスまたはガスのサブグループのいずれでもよい。予め選択された期間の経過の後、これらの決定の両方を行うことができる。
【0069】
第1の安定性と予め選択された定量化された値の間の相違の絶対値は、所望通り、予め選択された値のうちの、多くても80パーセント、多くても40パーセント、多くても20パーセント、多くても10パーセント、または、多くても5パーセントでよい。第2の安定性は、予め選択された値より、所望通り、5パーセント超、10パーセント超、20パーセント超、40パーセント超、または、80パーセント超だけ大きくすることができる。第2の安定性を、所望通り、25パーセント超、50パーセント超、100パーセント超、または、200パーセント超だけ第1の安定性より大きくすることができる。所望なら、第1の安定性を算出するステップを含むことがやはり可能である。
【0070】
化学/電気活性材料の電気応答特性の変化を検出する速度を増大させる場合、電気応答特性の変化の検出は、第1の温度では第1の速度で起こるだろう。化学/電気活性材料の温度を第2の温度まで上げることができて、第2の温度では、化学/電気活性材料の電気応答特性を検出する速度が、第1の速度より大きい第2の速度に増大する。予め選択された期間の経過の後、所望なら、温度を上げることができる。
【0071】
さらに、所望なら、第1の速度が、予め選択された定量化された値に等しいか否かを決定すること、または、その中の検体成分の、多成分混合ガス中の濃度が、予め選択された値に等しいか否かを決定すること、が可能である。検体成分は、本明細書で挙げた、個々のガスまたはガスのサブグループのいずれでもよい。予め選択された期間の経過の後、これらの決定の両方を行うことができる。
【0072】
第1の速度と予め選択された定量化された値の間の相違の絶対値は、所望通り、予め選択された値のうちの、多くても80パーセント、多くても40パーセント、多くても20パーセント、多くても10パーセント、または、多くても5パーセントでよい。第2の速度は、予め選択された値より、所望通り、5パーセント超、10パーセント超、20パーセント超、40パーセント超、または、80パーセント超だけ大きくすることができる。第2の速度を、所望通り、25パーセント超、50パーセント超、100パーセント超、または、200パーセント超だけ第1の速度より大きくすることができる。所望なら、第1の速度を算出するステップを含むことがやはり可能である。
【0073】
本明細書に記載した方法では、化学/電気活性材料の温度を、所望通り、25℃超、50℃超、100℃超、または、200℃超だけ上げることができる。第1の温度は、所望通り、少なくとも400℃、少なくとも500℃、少なくとも600℃、少なくとも700℃、少なくとも800℃、または、少なくとも900℃でよい。化学/電気活性材料の
温度を、所望通り、500℃以上、600℃以上、700℃以上、800℃以上、900℃以上、または、1000℃以上の第2の温度まで上げることができる。予め選択された期間は、サイクル数または時間で測定することができる。
【0074】
化学/電気活性材料の感度を増大させる場合、化学/電気活性材料は、検体などのガス状の成分の第1の濃度では、第1の感度を有するだろう。ガス状の成分の濃度を第2の濃度まで低下させることができて、第2の濃度では、化学/電気活性材料の感度が、第1の感度より大きい第2の感度に増大する。サイクル数または時間で測定した、予め選択された期間の経過の後、所望なら、ガス状の成分の濃度を低下させることができる。
【0075】
さらに、所望なら、第1の感度が、予め選択された定量化された値に等しいか否かを決定すること、または、その中のガス状の成分の、多成分混合ガス中の濃度が、予め選択された値に等しいか否かを決定すること、が可能である。ガス状の成分は、本明細書で挙げた、個々のガスまたはガスのサブグループのいずれでもよい。ガス状の成分の濃度は、別のガスまたはガス混合物に接触させることにより、低下させることができ、そのガスは、本明細書で挙げた、個々のガスまたはガスのサブグループのいずれでもよい。例えば、NOxの濃度を、一酸化炭素を有するNOxに接触させることにより、低下させることができる。ガス状の成分の濃度を、所望通り、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも40%、または、少なくとも80%だけ低下させることができる。また、化学/電気活性材料の電気応答特性の安定性を増大させるために、または、電気応答特性の変化が検出される速度を増大させるために、ガス状の成分の濃度を低下させることができる。
【0076】
第1の感度と予め選択された定量化された値の間の相違の絶対値は、所望通り、予め選択された値のうちの、多くても80パーセント、多くても40パーセント、多くても20パーセント、多くても10パーセント、または、多くても5パーセントでよい。第2の感度は、予め選択された値より、所望通り、5パーセント超、10パーセント超、20パーセント超、40パーセント超、または、80パーセント超だけ大きくすることができる。第2の感度を、所望通り、25パーセント超、50パーセント超、100パーセント超、または、200パーセント超だけ第1の感度より大きくすることができる。所望なら、第1の感度を算出するステップを含むことがやはり可能である。
【0077】
本発明の他の実施形態では、多成分混合ガスへの電気応答特性を示す化学/電気活性材料において、以下を含むことができる。
化学/電気活性材料の感度を決定または測定し、かつ、化学/電気活性材料の温度を、化学/電気活性材料の感度が増大する第2の温度まで上げることにより、第1の温度にある化学/電気活性材料の感度を増大させる方法。
化学/電気活性材料の第1の量から第2の量までの感度の低下を決定または測定し、かつ、化学/電気活性材料の温度を、化学/電気活性材料の感度が第2の量より上に増大する第2の温度まで上げることにより、第1の温度にある化学/電気活性材料の感度を増大させる方法。
【0078】
化学/電気活性材料を、第1の温度を有する混合ガスに暴露し、曝露の後、予め選択された期間の経過に続けて、化学/電気活性材料の感度を決定または測定し、かつ、化学/電気活性材料の温度を、化学/電気活性材料の感度が増大する第2の温度まで上げることにより、化学/電気活性材料の感度を増大させる方法。
【0079】
検体成分の濃度の増加を決定し、化学/電気活性材料の感度を決定し、かつ、化学/電気活性材料の温度を、化学/電気活性材料の感度が増大する第2の温度まで上げることにより、第1の温度にある化学/電気活性材料の感度を増大させる方法。
【0080】
化学/電気活性材料の第1の量から第2の量までの感度の低下を決定または測定すること、かつ、混合物中の検体成分の濃度を、化学/電気活性材料の感度が第2の量より上に増大する濃度まで低下させることを含んでなる、化学/電気活性材料の感度を増大させる方法。
【0081】
アレイの混合ガスへの曝露の際の電気的応答は、それぞれの化学/電気活性材料毎に決定され、応答を決定する手段には、センサ材料を相互接続する導電体が含まれる。導電体は今度は、電気的な信号の形態でセンサ材料が呈する応答を測定かつ記録するのに適切なデータ取得および操作デバイスを含めて、電気的な入出力回路に接続される。抵抗に関する測定値などの応答の値は、信号のサイズにより示すことができる。検体が、1種もしくはそれ以上の個々のガス、および/または、ガスの、1個もしくはそれ以上のサブグループであるかどうか、混合物中のそれぞれの検体成分に関して、1個もしくはそれ以上の信号を、センサのアレイが発生することができる。
【0082】
電気的応答は、個々の化学/電気活性材料それぞれに対して、他の化学/電気活性材料それぞれの電気的応答から分離して、決定される。これは、例えば、時間領域または周波数領域内の一方の材料と他方の材料の間の微分された信号を出力するマルチプレクサを使用して、化学/電気活性材料それぞれに電流で順番にアクセスすることにより、達成することができる。したがって、化学/電気活性材料が、直列回路において他のいかなるかかる材料とも接合していないことが好ましい。それにもかかわらず、化学/電気活性材料に電流を通す1個の電極を、複数の材料と接触させるように配置することができる。電極を、アレイ中の化学/電気活性材料の全てと、または、全てより少ない少数と接触させることができる。例えば、アレイが12個の化学/電気活性材料を有する場合、電極は、化学/電気活性材料の2、3、4、5または6の群のそれぞれのメンバーと(または、場合によりそれぞれの場合においてより多く)接触することができる。化学/電気活性材料のかかる群のそれぞれのメンバーに電流が順番に通るのを可能にするように、電極を配置することが好ましいだろう。
【0083】
プリント回路などの導電体を使用して、電圧源をセンサ材料に接続することができ、電圧がセンサ材料の両端間に印加されたとき、対応する電流が材料を介して形成される。電圧はACまたはDCでよいが、通常電圧の高さは一定に保持されることになる。得られる電流は、印加電圧およびセンサ材料の抵抗の両方に比例する。電流、電圧または抵抗のいずれかの形の材料の応答を決定することができ、そうする手段には、高精度抵抗器、フィルタリングキャパシタおよび演算増幅器(例えばOPA4340)などの商用のアナログ回路構成機器が含まれる。電圧、電流および抵抗が、それぞれ他の2つの電気的特性の既知の関数であるので、1つの特性についての既知の量が、別の特性に容易に変換することができる。
【0084】
抵抗は、例えば、電気的応答のデジタル化を伴って、決定することができる。電気的応答をデジタル化する手段には、当技術分野で知られている、デジタル(A/D)コンバータに類似したものが含まれ、例えばコンパレータの操作を含む電気的な構成機器および回路を含むことができる。電圧をセンサ材料の両端間に印加した結果として上記のようにして得た、電圧信号の形の電気的応答は、コンパレータセクション(例えばLM339)への入力として使用される。コンパレータへの他の入力は、演算増幅器(例えばLT1014)および外部トランジスタ(例えばPN2007a)から構成される定電流源を使用して、キャパシタを充電することにより生成される直線ランプにより駆動される。ランプは、マイクロコンピュータ(例えばT89C51CC01)により制御かつモニタされる。第2のコンパレータセクションもまた、ランプ電圧により駆動され、しかし、正確な基準電圧と比較される。マイクロコンピュータが、ランプの起動からコンパレータの活動化ま
での時間の長さを捕捉して、計数された時間に基づいて信号を発生させる。
【0085】
次にセンサ材料の抵抗が、材料の電圧出力から生じたタイムシグナル対既知のルックアップ電圧に、最終的にはルックアップ電圧の関数である抵抗に、対応するタイムシグナルの比から、マイクロコンピュータにより算出される、または値として定量化される。T89C51CC01などのマイクロプロセッサチップがこの機能のために使用することができる。マイクロプロセッサチップはまた、以前に決定された抵抗値に対して上記決定された抵抗を比較することにより、センサ材料の抵抗の変化を決定する手段として働くことができる。
【0086】
インピーダンスまたは電気容量などの電気的特性は、例えば、インピーダンス計、容量計またはインダクタンスメータなどの電気回路構成機器を使用することにより、決定することができる。
【0087】
化学/電気活性材料のアレイの温度をデジタル化する手段には、例えば、温度測定器の物理的性質、状態または条件の代表的信号を、計数された時間に基づく信号に変換する、上記のような構成機器を含めることができる。
【0088】
一実施形態では、多成分混合ガスの分析が、上記方法で抵抗などの電気的応答を生成した際に完了する。混合ガスへの曝露の際にセンサ材料により呈される抵抗の測定値が、1種もしくはそれ以上の成分ガスの、混合物内の分圧の関数であるので、測定された抵抗は、混合ガスの組成についての有益な情報を提供する。この情報により、例えば、特定のガスまたはガスのサブグループの、混合物内の存在または不存在が示される。他の実施形態では、しかし、1種もしくはそれ以上の特定の成分ガスまたはガスのサブグループの、混合物内の濃度に関する情報を得るのに、または、1種もしくはそれ以上の成分ガスまたはサブグループの、混合物内の実際の濃度を算出するのに必要な方法で、電気的応答を操作する、または、さらに操作することが好ましいだろう。
【0089】
1種もしくはそれ以上の個々の成分ガスおよび/または1個もしくはそれ以上のガスのサブグループの、混合物内の相対的な濃度に関する情報を得る手段、あるいは、1種もしくはそれ以上の個々の成分ガスおよび/または混合物内のサブグループの、存在を検出する手段または実際の濃度を算出する手段には、PLS(潜在的システム上への投影(Projection onto Latent Systems))モデル、バックプロパゲーションニューラルネットワークモデルまたはこの二つの組合せのいずれかを、信号前処理および出力後処理とともに、組み入れたモデリングアルゴリズムを含めることができる。信号前処理には、これに限定されないが、主成分分析のような演算、単純な一次変換およびスケーリング、対数および自然対数変換、未処理の信号値(例えば抵抗)の差分、並びに、対数値の差分が含まれる。アルゴリズムは、そのパラメータが前もって決定されており、前処理された入力信号と対象となる化学種のガス濃度に関する情報との間の関係を、経験的にモデル化するモデルを含む。出力後処理には、これに限定されないが、上記全ての演算およびその逆演算が含まれる。
【0090】
分析すべき混合物中の成分として存在することが予想される特定の個々のガスまたはサブグループに対する、個々のセンサ材料の精密に測定された電気的応答に特徴的な所定の値から、定数、係数または他の因子が導出される式を使用して、モデルが組み立てられる。混合ガスへの曝露の際にセンサ材料が呈する電気的応答から分離した、およびそれを除いた値として、温度を考慮に入れる任意の方法で、式を組み立てることができる。アレイ中の個々のセンサ材料それぞれは、混合物中の少なくとも1種の成分ガスまたはサブグループへのその応答が、他のセンサそれぞれと異なり、センサそれぞれのこれらの異なる応答を決定しかつ使用して、モデルに使用される式が組み立てられる。
【0091】
アレイの中の温度の変化は、センサ材料の電気応答特性の、例えば抵抗の定量化された値の変化により、示すことができる。混合物中の対象となるガスが一定の分圧のとき、アレイの、したがって材料の温度変化に伴い、センサ材料の電気応答特性の値が変化するだろう。電気応答特性の値におけるこの変化は、温度の変化の程度を、したがって温度の値を決定しまたは測定する目的で測定することができる。アレイを、基材上に配置したヒータにより予め選択された温度に維持しない場合を除き、アレイの温度は、混合ガスの温度と同じ、または実質的に同じだろう。アレイがヒータにより加熱される場合、アレイの温度は、実質的にヒータがオンオフの循環をする範囲内にあるだろう。
【0092】
この温度測定を、混合ガスの構成物の含有量に関する情報から独立して行うことは、必要ではないが、しかし好ましい。温度を決定する追加の目的で、構成物の情報を提供するセンサを使用せずに、場合により、直列ではなく並列回路の温度測定器を、センサ材料に接続することにより、これを行うことができる。温度を測定する手段には、センサのアレイに内蔵された熱電対またはパイロメータが含まれる。温度決定デバイスがサーミスタである場合、それは通常検体ガスに応答しない材料であるが、サーミスタを、任意のガスセンサを製作できる材料とは異なる材料から製作するのが好ましい。温度または温度変化が決定される方法に関係なく、温度値または定量化された温度変化は、好ましくはデジタル化された形の入力が望ましく、それからガス混合物および/またはその中の成分の分析を行うことができる。
【0093】
本発明の方法と装置では、各種の従来技術とは異なり、膜または電解浴によるなどの、分析を行うために混合物の成分ガスを分離する必要が全くない。本発明によって分析を行う場合、応答または分析結果をベースライン値に戻す目的などで、システムへの外部標準ガスを使用する必要がやはりない。しかし、基準状態の代表的値を、混合ガスの組成に関する情報を決定するアルゴリズム中の因子として使用してもよい。事前の試験を除いては、その間は、個々の検体ガスそれぞれへの個々のセンサ材料それぞれの曝露に対応付けられた標準化された応答値が決定されるが、センサ材料は、検体ガスおよび/またはサブグループを含む混合物だけに暴露される。センサ材料は、検体を含む混合物への曝露から得られる応答値との比較の目的で応答値を得るために、他のいかなるガスにも暴露されない。したがって、混合物の分析は、検体を含む混合物への化学/電気活性材料の曝露の際に得られる電気的応答だけから行われる。センサ材料を、混合物内に含まれる検体自体以外のいかなるガスに曝露しても、検体ガスおよび/またはサブグループについての情報が示されない。
【0094】
したがって、本発明は、自動車の放出システムに見出される高温度で、典型的には約400℃〜約1000℃の範囲で有用である。しかし、ガソリンおよびディーゼル内燃機関に加えて、例えば化学的製造、電気発生、廃棄物焼却および空気暖房から生ずる、すべての種類のスタックまたはバーナー放出物を含めて、本発明を応用することができる様々な他の燃焼プロセスがある。これらの応用分野は、一般的には高度に腐食性の環境においてppm〜パーセントレベルで、窒素酸化物、アンモニア、一酸化炭素、炭化水素および酸素などのガスの検出を必要とする。
【0095】
多成分混合ガスが窒素酸化物、炭化水素またはその両方、あるいは、本明細書で言及したあらゆる他のガスを含んでなる場合、この装置を使用して、多成分混合ガス中の窒素酸化物および/または炭化水素の存在および/または濃度を決定することができる。またこの装置を使用して、多成分混合ガスに存在するかも知れない、本明細書で言及した他のガスに至るまで、任意の1種もしくはそれ以上の存在および/または濃度を決定することができる。この目的のため、本発明の装置では、1個もしくはそれ以上の、Mを含んでなる化学/電気活性材料、Mを含んでなる化学/電気活性材料、および
、Mを含んでなる化学/電気活性材料の電気的応答を、1種もしくはそれ以上の、混合ガス内の窒素酸化物の存在、混合ガス内の炭化水素の存在、混合ガス内のすべての窒素酸化物の総合濃度および混合ガス内の炭化水素の濃度に関係付けることができる。
【0096】
本発明はまた、臭気の検出が重要であり、および/または低温度であるような他のシステムにおいて、例えば、医療、農業または食品および飲料工業において、あるいは、ビルディングまたは輸送用車両の通気システムにおいて、ガスを検出しかつ測定するのに有用である。化学/電気活性材料のアレイを使用して、例えば、ガスクロマトグラフの結果を補充する、または、それを較正することができる。
【0097】
したがって、本発明は、多成分ガスシステム中の1種もしくはそれ以上のガスの存在および/または濃度を直接に検出する方法と装置を提供し、多成分ガス流れ中の検体ガスまたはガスのサブグループを検出するように選択された、少なくとも2個の化学/電気活性材料のアレイを含んでなる。多成分ガスシステムは、センサ材料を劣化させる、または、そうでない場合はセンサ装置を誤動作させるほど低くないまたは高くない、実質的に任意の温度にあってもよい。一実施形態では、ガスシステムは、室温(約25℃)または約0℃〜約100℃未満の範囲のどこかなどの、低温度にあってもよく、一方、他の実施形態では、混合ガスは、約400℃〜約1000℃以上の範囲などの高温度にあってもよい。したがって、混合ガスは、約0℃以上、約100℃以上、約200℃以上、約300℃以上、約400℃以上、約500℃以上、約600℃以上、約700℃以上、または、約800℃以上である、なおかつ、約1000℃未満である、約900℃未満である、約800℃未満である、約700℃未満である、約600℃未満である、約500℃未満である、約400℃未満である、約300℃未満である、約200℃未満である、または、約100℃未満である温度を有することができる。
【0098】
混合ガスが約400℃を超える応用では、ガス状の検体が含まれている混合ガスの温度により、センサ材料およびアレイの温度だけを実質的に決定することができ、それを単独で決定するのが好ましい。これは、通常、変動する温度である。より高い温度のガスが分析される場合、センサ材料を速やかに最低の温度に戻すため、ヒータにアレイを形成することが望ましいかも知れない。しかし、一旦分析が開始すると、通常ヒータ(使用される場合)のスイッチが切られ、予め選択された温度にセンサ材料を維持する方法は、全く提供されない。したがって、センサ材料の温度は、周囲環境の温度が上昇または低下するのと同じ程度に、上昇または低下する。周囲環境の、したがってセンサおよびアレイの温度は、実質的に、アレイが暴露される混合ガスの温度だけにより通常決定される(または、から得られる)。
【0099】
混合ガスが約400℃未満である応用では、センサ材料およびアレイを約200℃以上、好ましくは400℃以上の予め選択された温度に維持することが好ましいだろう。この予め選択された温度は、実質的に一定にすることができ、または、一定が好ましい。予め選択された温度はまた、約500℃以上、約600℃以上、約700℃以上、約800℃以上、約900℃以上、または、約1000℃以上であってもよい。これは、当技術分野で知られているような方法で、ヒータを組み入れたアレイによって都合よく行うことができる。必要に応じて、別々の微小なヒータ手段を、別々の化学/電気活性材料それぞれに供給することができ、1個もしくはそれ以上の任意の材料を、同じまたは異なる温度に加熱することができる。かかる場合の混合ガスの温度はまた、約300℃未満、約200℃未満、約100℃未満、または、約50℃未満にあってもよい。これらの低温度の応用では、化学/電気活性材料を加熱する手段は、約10−3〜約10−6ボルトの範囲の電圧を有する電圧源とすることができる。材料を配置する基材を、シリコン、炭化ケイ素、窒化ケイ素および抵抗性ドーパントを含むアルミナよりなる群の1個もしくはそれ以上から
選択される材料から製作することができる。これらの低温度の応用に使用されるデバイスは、しばしば人の手の中に保持するのに十分に小さい。
【0100】
しかし、この加熱技術は、高温ガスの分析にもまた適用できる。混合ガスの温度が約400℃を超える場合、それにもかかわらず、センサ材料を、混合ガスの温度より高い、一定のまたは実質的に一定の予め選択された温度に、ヒータにより維持することができる。こうした予め選択された温度は、約500℃以上、約600℃以上、約700℃以上、約800℃以上、約900℃以上、または、約1000℃以上にあってもよい。万一混合ガスの温度がヒータの予め選択された温度を超える場合、かかる時間の間、ヒータを循環的に切ってもよい。しかし、混合ガスの温度を測定するために、温度センサを依然として使用し、混合ガスの組成に関する情報が決定されるアルゴリズムへの入力としてその値を提供することになる。
【0101】
分析される混合ガスは、プロセスにより放出される場合があり、または、デバイスに送出される化学反応の生成物である場合がある。かかる場合には、プロセスまたはデバイスを制御するために、本発明の装置は、アレイの電気的応答を利用する手段を、および、場合により温度測定手段を、更に含むことができる。
【0102】
プロセスまたはデバイスを制御するための、センサ材料の電気的応答を利用する手段、および、場合により温度測定手段には、例えば、内燃機関の中で生じる燃焼の化学反応を制御する意思決定ルーチン、あるいは、エンジン自体、または、それに関連する構成部材もしくは機器を制御する意思決定ルーチンが含まれる。
【0103】
燃焼は、炭化水素燃料の酸化の化学反応がエンジンのシリンダの中で起こるプロセスである。エンジンは、その化学反応の結果が送出されるデバイスであり、その結果は、シリンダ内のピストンを動かすのに必要な仕事に対する、燃焼反応により発生した力である。ガスの多成分混合物を放出するプロセスの別の例は、燃料電池で起こる化学反応であり、化学反応の生成物が送出されるデバイスの他の例は、炉において使用される、または、発電機のために使用されるようなボイラー、あるいは、汚染対策処理のために廃ガスが送出されるスタックの中のスクラバーである。
【0104】
エンジンの場合、燃焼のプロセスまたはエンジンの運転を制御するために、マイクロコンピュータ(T89C51CC01などの)が、燃焼のプロセスの各種のパラメータについての、または、エンジンの動作特性についての多数の意思決定ルーチンを実行する。マイクロコンピュータは、エンジン排気ガスの構成物の含有量についての情報を集め、排ガスの流れに暴露された化学/電気活性材料のアレイの応答を得ることによりそれを行い、場合により温度測定値を得る。情報は、ランダムアクセスメモリに一時的に格納され、次に、マイクロコンピュータは、1個もしくはそれ以上の意思決定ルーチンをその情報に適用する。
【0105】
意思決定ルーチンは、プロセスの特定のパラメータが、または、デバイスの動作特性が有するはずの、所望の状態または条件に相当する値の形で決定を生成するために、1個もしくはそれ以上のアルゴリズムおよび/または数値演算を利用して、取得した情報を操作する。意思決定ルーチンの結果に基づいて、マイクロコンピュータにより、命令が与えられ、または制御され、それが、プロセスのパラメータ、またはデバイスの動作特性の状態または条件の調節を引き起こす。燃焼の化学反応により具体化されるプロセスの場合、反応のパラメータを、例えば、それに供給される反応物の相対的な量を調節することにより、プロセスを制御することができる。例えば、シリンダへの燃料または空気の流れを増減することができる。エンジン自体の場合、これは燃焼の反応の結果が送出されるデバイスであるが、トルクまたはエンジン回転速度などのエンジンの動作特性を調節することによ
り、制御を達成することができる。
【0106】
内燃機関並びにその関連する構成部材および機器は、本発明の方法と装置により制御されて、多くの様々な目的に使用することができる。例えば、自動車、トラック、バス、機関車、航空機、宇宙船、ボート、ジェットスキー、全地形車または雪上車などの輸送もしくはレクリエーション用の任意のタイプの車両;あるいは、ポンプ、リフト、ホイスト、クレーン、発電機などの建設、メンテナンスまたは工業運転用の機器、または、解体工事、土類移動、掘削、ボーリング、採鉱もしくは土地保全用の機器、を含めることができる。
【0107】
要約すれば、本発明は、混合ガスへの曝露の際に、アレイに存在するそれぞれの化学/電気活性材料により示される応答を、決定する、測定する、および記録する手段を提供することが理解されよう。材料の表面に吸着したガス分子の濃度に応答して、材料のACインピーダンスの変化を測定することができるデバイスなどの、電気的特性の変化を決定し、測定し、かつ記録する任意の手段を使用することができる。電気的特性を決定するための他の手段が、例えば、電気容量、電圧、電流またはDC抵抗を測定するのに適切なデバイスである。あるいは、検出材料の温度変化を、測定し、かつ記録することができる。化学的検出方法および装置は、ガスの存在を同定するように、および/または、ガスの濃度を測定するように、混合物および/または検出されたガスを測定する、または、分析する手段をさらに提供することができる。これらの手段は、例えば、計量化学、ニューラルネットワークまたは他のパターン認識手段を実行できる計測器または機器を含むことができる。化学センサ装置は、化学/電気活性材料のアレイ、検出手段、および分析手段用のハウジングをさらに含んでなる。
【0108】
デバイスには、基材、多成分ガス流れ中の1種もしくはそれ以上の所定のガスを検出するように選択された少なくとも2個の化学/電気活性材料のアレイ、および、ガスシステムへの曝露の際に存在する化学/電気活性材料それぞれにおける電気的特性の変化を検出する手段、が含まれる。センサ材料のアレイは、多成分混合物の数種の他の成分の存在下で引き起こされる競合反応にもかかわらず、対象となる検体を検出することができるべきである。この目的のため、本発明は、本明細書に記載したように、センサ材料のアレイまたは多重性を使用し、そのそれぞれが、検出される混合物のガス成分のうちの少なくとも1種に対して、異なる感度を有する。必要とされる感度を有し、かつ、上記タイプの解析的な測定および結果を生み出すために作動することができるセンサが、センサを作る材料の適切な組成の選択により得られる。この目的のための各種の適切なタイプの材料が、上述された。アレイ中のセンサの数は通常、混合物において分析されるべき個々のガス成分数より多いかまたは等しい。
【0109】
本発明の装置に関連するより詳しい記載、装置の用途、および、装置を使用する方法は、2002年4月5日出願の米国仮出願第60/370,445号明細書、および、2002年4月5日出願の米国特許出願第10/117,472号明細書に見出すことができる。それぞれは全体として、すべての目的のために、本明細書の一部として援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多成分混合ガスに対し電気応答特性を示す化学/電気活性材料において、第1の温度で第1の感度を有する化学/電気活性材料の感度を増大させる方法であって、
化学/電気活性材料の温度を、化学/電気活性材料の感度が、第1の感度より大きい第2の感度まで増大する第2の温度まで上げるステップを含んでなり、
化学/電気活性材料の感度が、ΔR/ΔCにより与えられる比であり、
ΔRが、選択された温度で、多成分混合ガス中の成分ガスまたはガスのサブグループの濃度の変化の結果として、化学/電気活性材料が受ける、抵抗の変化、または、抵抗に比例する信号サイズの変化であり、
ΔCが、成分ガスまたはガスのサブグループの濃度の変化である、
方法。
【請求項2】
化学/電気活性材料の温度を、予め選択された期間の経過の後、上げる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1の感度が、予め選択された定量化された値に等しくないことを決定するステップを更に含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項4】
混合ガス中の検体成分の、多成分混合ガス中の濃度が、予め選択された値に等しくないことを決定するステップを更に含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項5】
検体成分が、1種もしくはそれ以上の窒素酸化物である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
電気応答特性が抵抗である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第1の温度が少なくとも400Cである請求項1に記載の方法。
【請求項8】
化学/電気活性材料の温度を、25℃超だけ上げる請求項1に記載の方法。
【請求項9】
化学/電気活性材料の温度を、500℃以上の第2の温度まで上げる請求項1に記載の方法。
【請求項10】
成分ガスが炭化水素である請求項1に記載の方法。
【請求項11】
成分ガスが窒素酸化物である請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ガスのサブグループが窒素酸化物である請求項1に記載の方法。
【請求項13】
多成分混合ガスに対し電気応答特性を示す化学/電気活性材料において、第1の温度で第1の安定性を有する化学/電気活性材料の電気応答特性の安定性を増大させる方法であって、
化学/電気活性材料の温度を、化学/電気活性材料の安定性が、第1の安定性より大きい第2の安定性まで増大する第2の温度まで上げるステップを含んでなり、
化学/電気活性材料の電気応答特性の安定性が、ΔE/Tにより与えられる比であり、
ΔEが、選択された時間にわたる多成分混合ガスへの曝露の結果として生ずる、電気応答特性の定量化された値の変化、または電気応答特性に比例する信号サイズの変化であり、
Tが、選択された時間である、
方法。
【請求項14】
化学/電気活性材料の温度を、予め選択された期間の経過の後、上げる請求項13に記載の方法。
【請求項15】
第1の安定性が、予め選択された定量化された値に等しくないことを決定するステップを更に含んでなる請求項13に記載の方法。
【請求項16】
混合ガス中の検体成分の、多成分混合ガス中の濃度が、予め選択された値に等しくないことを決定するステップを更に含んでなる請求項13に記載の方法。
【請求項17】
検体成分が、1種もしくはそれ以上の窒素酸化物である請求項16に記載の方法。
【請求項18】
電気応答特性が抵抗である請求項13に記載の方法。
【請求項19】
第1の温度が少なくとも400Cである請求項13に記載の方法。
【請求項20】
化学/電気活性材料の温度を、25℃超だけ上げる請求項13に記載の方法。
【請求項21】
化学/電気活性材料の温度を、500℃以上の第2の温度まで上げる請求項13に記載の方法。
【請求項22】
混合ガスが、1種もしくはそれ以上の炭化水素を含む請求項13に記載の方法。
【請求項23】
混合ガスが、1種もしくはそれ以上の窒素酸化物を含む請求項13に記載の方法。
【請求項24】
多成分混合ガスに対し電気応答特性を示す化学/電気活性材料において、電気応答特性の変化を検出する速度を増大させる方法であって、電気応答特性の変化が、第1の温度で第1の速度で検出され、
化学/電気活性材料の温度を、化学/電気活性材料の電気応答特性を検出する速度が、第1の速度より大きい第2の速度まで増大する第2の温度まで上げるステップを含んでなる、
方法。
【請求項25】
化学/電気活性材料の温度を、予め選択された期間の経過の後、上げる請求項24に記載の方法。
【請求項26】
第1の速度が、予め選択された定量化された値に等しくないことを決定するステップを更に含んでなる請求項24に記載の方法。
【請求項27】
混合ガス中の検体成分の、多成分混合ガス中の濃度が、予め選択された値に等しくないことを決定するステップを更に含んでなる請求項24に記載の方法。
【請求項28】
検体成分が、1種もしくはそれ以上の窒素酸化物である請求項27に記載の方法。
【請求項29】
電気応答特性が抵抗である請求項24に記載の方法。
【請求項30】
第1の温度が、少なくとも400Cである請求項24に記載の方法。
【請求項31】
化学/電気活性材料の温度を、25℃超だけ上げる請求項24に記載の方法。
【請求項32】
化学/電気活性材料の温度を、500℃以上の第2の温度まで上げる請求項24に記載の方法。
【請求項33】
混合ガスが、1種もしくはそれ以上の炭化水素を含む請求項24に記載の方法。
【請求項34】
混合ガスが、1種もしくはそれ以上の窒素酸化物を含む請求項24に記載の方法。
【請求項35】
ガス状の成分を含む多成分混合ガスに対し電気応答特性を示す化学/電気活性材料において、ガス状の成分の第1の濃度で第1の感度を有する化学/電気活性材料の感度を増大させる方法であって、
ガス状の成分の濃度を、化学/電気活性材料の感度が、第1の感度より大きい第2の感度まで増大する第2の濃度まで減少させるステップを含んでなり、
化学/電気活性材料の感度が、ΔR/ΔCにより与えられる比であり、
ΔRが、選択された温度で、多成分混合ガス中の、成分ガスまたはガスのサブグループの濃度の変化の結果として、化学/電気活性材料が受ける、抵抗の変化、または、抵抗に比例する信号サイズの変化であり、
ΔCが、成分ガスまたはガスのサブグループの濃度の変化である、
方法。
【請求項36】
ガス状の成分の濃度を、予め選択された期間の経過の後、減少させる請求項35に記載の方法。
【請求項37】
第1の感度が、予め選択された定量化された値に等しくないことを決定するステップを更に含んでなる請求項35に記載の方法。
【請求項38】
多成分混合ガス中のガス状の成分の濃度が、予め選択された値に等しくないことを決定するステップを更に含んでなる請求項35に記載の方法。
【請求項39】
ガス状の成分が、1種もしくはそれ以上の窒素酸化物である請求項35に記載の方法。
【請求項40】
電気応答特性が抵抗である請求項35に記載の方法。
【請求項41】
多成分混合ガス中のガス状の成分の濃度が、別のガスとの接触により減少する請求項35に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−237447(P2011−237447A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160528(P2011−160528)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【分割の表示】特願2003−586599(P2003−586599)の分割
【原出願日】平成15年4月15日(2003.4.15)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】