説明

ガス機器の温度監視システム及びそのための温度監視子器

【課題】天ぷら油の過熱等を確実かつ容易に防止することができる、ガス機器の温度監視システムを提供すること。
【解決手段】ガスコンロ1による加熱温度を監視するための温度監視システムであって、温度監視器20と温度監視子器とを備え、温度監視器20は、加熱温度を測定する熱電対22と、信号を無線送信するための無線通信手段と、熱電対22にて測定された加熱温度が所定の温度以上になった場合に無線通信手段に信号を送信させる制御手段とを備える。温度監視子器は、温度監視器20から送信された信号を無線受信する無線通信手段と、所定の報知出力を行う出力手段と、温度監視器20から送信された信号が当該温度監視子器の無線通信手段で受信された場合に出力手段に報知出力を行わせる制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス管にて供給されたガスを燃焼させる各種のガス機器の加熱温度を監視するためのシステム及びそのための温度監視子器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、一般家庭における出火箇所としては厨房が多いことが知られており、この厨房における出火原因としては天ぷら油の過熱が上位に挙げられている。従って、一般家庭の火災を防止するためには、厨房における天ぷら油の過熱を防止することが効果的である。
【0003】
ここで、従来、天ぷら油の過熱を防止するための基本的な方法として、天ぷら鍋に油温計を取り付け、この油温計によって測定された油の温度を、ユーザが目視で監視することが行われていた。この油温計は、概略的に、熱電対等の測定素子と、この測定素子にて測定された温度を表示するための表示部とを備えて構成されていた。また、天ぷら油の過熱をユーザに報知するため、警報機能を設けた油温計も提案されていた(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0004】
また、天ぷら油の過熱を自動的に防止するため、近年のガスコンロには、油の温度が所定温度(例えば、約250度)以上になると、これを温度センサが検知して自動的にガスを止める過熱防止機構が設けられていた。この過熱防止機構は、概略的に、ガスコンロの五徳の内部に組み込まれた熱電対等の測定素子と、この測定素子にて測定された温度が所定温度以上になった場合にガスを遮断する遮断機構とを備えて構成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−276152号公報
【特許文献2】特開平11−28163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、油温計を用いた場合においては、この油温計の表示部によって表示される油の温度をユーザが目視にて監視する必要があるため、厨房を離れることができなかったり、監視をうっかり怠ってしまい油を過熱してしまうことがあった。また、油温計に警報機能を備えた場合においても、ユーザが厨房に居ない場合に警報音を聞き漏らし、過熱を止めることができない場合があった。
【0007】
また、過熱防止機能を設けた場合においても、天ぷら油の過熱は極めて短時間で生じ得るため、これを完全に防止できず、出火に至る場合があった。また、過熱防止機能を備えていないガスコンロも依然として使用されているので、やはり油の過熱による出火を完全には防止できていなかった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、天ぷら油の過熱等を確実かつ容易に防止することができる、ガス機器の温度監視システム及びそのための温度監視子器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の温度監視システムは、ガス機器による加熱温度を監視するための温度監視システムであって、温度監視器と温度監視子器とを備え、前記温度監視器は、前記加熱温度を測定する温度測定手段と、信号を無線送信するための無線通信手段と、前記温度測定手段にて測定された前記加熱温度が所定の温度以上になった場合に前記無線通信手段に信号を送信させる制御手段とを備え、前記温度監視子器は、前記温度監視器から送信された信号を無線受信する無線通信手段と、所定の報知出力を行う出力手段と、前記温度監視器から送信された信号が当該温度監視子器の前記無線通信手段で受信された場合に前記出力手段に報知出力を行わせる制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に記載の温度監視システムは、請求項1に記載の温度監視システムにおいて、前記温度監視器は、所定の報知出力を行う報知出力手段を備え、前記温度監視器の制御手段は、前記温度測定手段にて測定された前記加熱温度が所定の温度以上になった場合に前記報知出力手段に報知出力を行わせることを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に記載の温度監視子器は、ガス機器による加熱温度を監視するための温度監視システムを構成する温度監視子器であって、前記加熱温度を測定する温度測定手段を有する温度監視器から送信された信号を無線受信する無線通信手段と、所定の報知出力を行う出力手段と、前記温度監視器から送信された信号が前記無線通信手段で受信された場合に前記出力手段に報知出力を行わせる制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1から3のいずれか一項に記載の温度監視システムによれば、ユーザは、所定温度が到来したことを知ることができ、加熱温度等の管理を確実に行い、過熱による火災を防止できる。また、温度測定手段と出力手段とを無線通信することで、両者を離れた場所に配置できるので、温度測定手段や出力手段の使い勝手が一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1に係るガス機器の温度監視システムを備えた厨房周辺の正面図である。
【図2】図1のガスコンロの拡大斜視図である。
【図3】温度監視器の拡大斜視図である。
【図4】温度監視器の電気的構成を機能概念的に示すブロック図である。
【図5】温度監視子器の斜視図である。
【図6】温度監視子器の電気的構成を機能概念的に示すブロック図である。
【図7】温度監視システムの電気的構成を機能概念的に示すブロック図である。
【図8】温度監視器における処理のフローチャートである。
【図9】温度監視子器における処理のフローチャートである。
【図10】温度監視制御盤における処理のフローチャートである。
【図11】火災状態から消火状態に至る過程を示す図である。
【図12】図11の次の過程を示す図である。
【図13】実施の形態2に係るガス機器の温度監視システムを備えたガスコンロの斜視図である。
【図14】図13のガスコンロの電気的構成を機能概念的に示すブロック図である。
【図15】ガスコンロにおける処理のフローチャートである。
【図16】監視器本体の取付け構造の変形例を示すための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、この発明に係るガス機器の温度監視システム及びそのための温度監視子器の各実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕本発明の基本的構成を説明した後、〔II〕本発明の各実施の形態について説明し、〔III〕最後に、本発明の各実施の形態に対する変形例について説明する。
【0015】
〔I〕本発明の基本的構成
まず、本発明の基本的構成について説明する。本発明は、ガス機器における加熱温度を監視するための温度監視システムであって、この加熱温度が所定温度を超えた場合には、報知出力を行うことを基本的特徴としている。このガス機器の具体的形態は任意であるが、以下では、厨房で料理を行うために使用されるガスコンロを対象として説明する。また、報知出力の具体的形態も任意であり、各種の表示出力等を行うこともできるが、以下では音響出力を行う場合について説明する。このような報知出力を行うことにより、ガス機器における加熱温度が上昇し過ぎることをユーザに報知でき、過熱による火災の発生を防止等できる。
【0016】
この温度監視システムの設置形態としては、その一部又は全部を、ガス機器に載置される調理器具に取付ける形態、あるいは、ガス機器に内蔵する形態を取ることができる。また、温度監視システムの一部を分離する場合には、この分離部分とシステム本体とを有線又は無線にて通信可能に接続できる。また、温度監視システムと他の機器を連動でき、例えば、ガス機器自体や、消火装置、あるいは、マイコンガスメータと連動できる。
【0017】
この温度監視システムにて監視される温度の種類や具体的数値は、その目的に応じて任意に決定し得るが、以下の実施の形態1においては、セット温度、第1過熱温度、及び、第2過熱温度の3つの温度を監視する。セット温度とは、ユーザが任意に設定する温度であり、ガス機器における加熱調理に適した温度であって、例えば、天ぷら調理に好適な油温である180度が設定される。また、第1過熱温度とは、火災発生の予兆を示す温度、例えば、天ぷら油の発火温度である360度より下の250度が設定される。また、第2過熱温度とは、火災が発生し得る温度、例えば、天ぷら油の発火温度である360度が設定される。これら第1過熱温度及び第2過熱温度についてもユーザが任意に設定可能としてもよいが、以下ではこれらは予め設定されておりユーザが変更できないものとする。なお、実施の形態2においては、セット温度及び第1過熱温度のみを監視するものとして説明する。
【0018】
〔II〕本発明の実施の形態
次に、本発明に係るガス機器の温度監視システム及びそのための温度監視子器の各実施の形態について説明する。ただし、これら各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
〔実施の形態1〕
まず、本発明の実施の形態1に係るガス機器の温度監視システム及びそのための温度監視子器について説明する。最初に、温度監視システムの構成について説明し、その後、この温度監視システムにおける監視処理について説明する。
【0020】
(温度監視システムの構成について)
図1は、本実施の形態1に係るガス機器の温度監視システムを備えた厨房周辺の正面図、図2は、図1のガスコンロの拡大斜視図である。これら図1及び図2に示すように、本実施の形態1に係る温度監視システムは、ガス機器としてのガスコンロ1、ガスマイコンメータ10、温度監視器20、温度監視子器40(後述する図5及び図6のみに図示)、人感センサ50、パラシュート型消火装置60、及び、温度監視制御盤70を備えて構成されている。
【0021】
このうち、ガスコンロ1は、概略的には従来のガスコンロと同様に構成されており、2つの火口2及び五徳3を備えて構成されており、この火口2において、ガス管4にて供給されたガスを燃焼させる。
【0022】
このガスコンロ1には、従来と同様の過熱防止機能を達成するため、火口2における加熱温度を検知する温度検知部6(後述する図7のみに図示)が設けられている。この温度検知部6は、公知の技術を用いて構成でき、例えば、五徳3の内部に設置された温度センサを備え、この五徳3に載せられた調理器具の底面にこの温度センサを接触させてその温度を測定する温度検知手段である。このように測定された温度は、ガスコンロ1に設けられた図示しない制御部に入力され、この制御部は、測定された温度が所定の温度(例えば、上記第1過熱温度)を超えた場合に、ガス供給を停止させて火災発生を防止する。また、この温度は、温度監視制御盤70にも入力される。
【0023】
また、ガスマイコンメータ10は、ガス遮断信号を受信した際にガス管4によるガスの供給を遮断するもので、特許請求の範囲におけるガス遮断手段に対応する。
【0024】
また、温度監視器20は、ガスコンロ1による加熱温度を測定すると共に、測定された加熱温度が所定温度を超えた場合に、所定の報知出力を行うものである。図3は温度監視器20の拡大斜視図、図4は温度監視器20の電気的構成を機能概念的に示すブロック図である。これら図3及び図4に示すように、温度監視器20は、監視器本体21と熱電対22とをコード23にて接続して構成されている。
【0025】
このうち、監視器本体21は、熱電対22にて測定された加熱温度が所定温度以上になった場合に所定の報知出力を行うもので、特許請求の範囲における報知出力手段に対応する。この監視器本体21は、切替スイッチ24、一対の設定ボタン25、26、セットボタン27、スピーカ28、表示部29、アンテナ30、メモリ31、タイマ32、及び、制御部33を備えて構成されている。
【0026】
この切替スイッチ24は、計時を行うためのモード(以下、タイマモード)と温度監視を行うためのモード(以下、温度監視モード)とを相互に切替えるための切替手段である。また、一対の設定ボタン25、26は、設定値を増減により入力するための入力手段、セットボタン27は設定内容を決定するための入力手段、スピーカ28は報知音等を出力するための出力手段、表示部29は設定内容や設定温度等を表示するための表示手段、アンテナ30は温度監視子器40及び温度監視制御盤70へ信号を無線送信するための無線通信手段、メモリ31は必要な情報(例えば、セット温度、第1過熱温度、及び、第2過熱温度)を記憶するための記憶手段、タイマ32は計時を行うための計時手段である。
【0027】
また、制御部33は、温度監視器20の各部を制御するための制御手段であり、例えば、メモリ31に記憶されたプログラムをロードして実行するCPU(Central Processing Unit)を備えて構成されている。この制御部33は、機能概念的に、タイマ判断部33a及び温度判断部33bを備えて構成されている。このうち、タイマ判断部33aは、タイマ32によって計時された時間がユーザによって設定された時間になったか否かを判断等するタイマ判断手段である。また、温度判断部33bは、熱電対22によって測定された温度が、セット温度、第1過熱温度、又は、第2過熱温度になったか否かを判断等する温度判断手段である。これら各部の具体的処理内容については後述する。
【0028】
また、監視器本体21の背面には、取付け部34が設けられている。この取付け部34は、監視器本体21をガスコンロ1に載置された天ぷら鍋5に着脱自在に取付けるためのもので、特許請求の範囲における着脱手段に対応する。この取付け部34は、弾性部材から縦断面略コ字状に形成されており、そのコ字状部分を図2の天ぷら鍋5の取手5aに上方から押付けることで、この天ぷら鍋5に監視器本体21を取付けることができる。
【0029】
また、熱電対22は、ガスコンロ1による加熱温度を測定するもので、特許請求の範囲における温度測定手段に対応する。この熱電対22は、図3に示すように、監視器本体21に対してコード23を介して有線接続されており、その先端を、被測定対象(例えば、ガスコンロ1に載置された天ぷら鍋5の油)に差し込まれ、この被測定対象の温度に応じた電圧の熱起電力を出力する。
【0030】
また、温度監視子器40は、温度監視器20から無線送信された信号を受信し、所定の報知出力を行うものであり、このことによって、温度監視器20から離れた場所に居るユーザに対しても報知出力を行うことを可能とする。図5は温度監視子器40の斜視図、図6は温度監視子器40の電気的構成を機能概念的に示すブロック図である。これら図5及び図6に示すように、温度監視子器40は、停止ボタン41、スピーカ42、アンテナ43、及び、制御部44を備えて構成されている。
【0031】
このうち、停止ボタン41は、報知出力を停止するための報知出力停止手段、スピーカ42は報知音等を出力するための出力手段、アンテナ43は温度監視器20からの信号を無線受信するための無線通信手段、制御部44は温度監視子器40の各部を制御する制御手段である。
【0032】
この制御部44には、機能概念的に、受信監視部44aが設けられている。この受信監視部44aは、温度監視器20からの信号の受信状態及びその受信内容を監視し、必要に応じて、スピーカ42による報知出力を行わせる受信監視手段である。この受信監視部44aの具体的処理内容については後述する。
【0033】
また、温度監視子器40の背面には、図5に示すように、取付け部46が設けられている。この取付け部46は、弾性部材から縦断面略コ字状に形成されており、この取付け部46をユーザのベルト等に差し入れることによって、温度監視子器40をベルト等に着脱自在に取付けることができる。
【0034】
また、図1において人感センサ50は、ガスコンロ1が配置された監視領域における人体の存在の有無を感知するもので、特許請求の範囲における人体感知手段に対応する。この人感センサ50の具体的感知原理や構成は任意であるが、例えば、監視領域の天井に設置され、監視領域から放出される赤外線を検知して人体の有無を判断する。
【0035】
また、図1においてパラシュート型消火装置60は、防火布61(後述する図11及び図12のみに図示)を落下させることによって、この防火布61の内部空間を窒息状態として消火を行うものであり、特許請求の範囲における消火手段に対応する。このパラシュート型消火装置60は、ガスコンロ1の上方における壁面に設置されている。
【0036】
また、温度監視制御盤70は、温度監視システムの各部を制御する温度監視制御手段である。図7は、温度監視システムの電気的構成を機能概念的に示すブロック図である。この図7に示すように、温度監視制御盤70は、メモリ71、アンテナ72、タイマ73、スピーカ74、復旧スイッチ75、及び、制御部76を備えて構成されており、ガスコンロ1の温度検知部6、ガスマイコンメータ10、人感センサ50、及び、パラシュート型消火装置60、に電気的に接続されている。
【0037】
この温度監視制御盤70の構成要素のうち、メモリ71は、温度監視制御盤70における各種の処理を実行するために必要な情報を不揮発的に記憶するための記憶手段である。また、アンテナ72は、温度監視器20からの信号を無線受信するための無線通信手段である。タイマ73は、温度監視制御盤70における各種の処理を実行するために必要な計時を行うものであり、特に、第1過熱温度になった場合において、人感センサ50によって人体が感知されている場合に、ガス供給を遮断するまでの所定時間(以下、遅延時間と称する)を計時する。また、スピーカ74は報知音等を出力するための出力手段、復旧スイッチ75は報知出力を停止するための報知出力停止手段である。
【0038】
また、制御部76は、温度監視制御盤70の各部を制御するための制御手段であり、例えば、メモリ71に記憶されたプログラムをロードして実行するCPU(Central Processing Unit)を備えて構成されている。この制御部76は、機能概念的に、消火制御部76aを備えて構成されている。この消火制御部76aは、温度監視器20や人感センサ50からの出力に基づいて、ガスマイコンメータ10及びパラシュート型消火装置60を制御するための消火制御手段である。この消火制御部76aの具体的処理内容については後述する。なお、温度監視制御盤70は、図示以外の場所に配置されてもよく、例えば、厨房の収納棚の内部に設置してもよい。
【0039】
(温度監視システムの温度監視処理)
次に、このように構成された温度監視システムにおける温度監視制御処理について説明する。以下では、温度監視器20における処理、温度監視子器40における処理、温度監視制御盤70における処理について、順次説明する。
【0040】
(温度監視システムの温度監視処理−温度監視器20)
まず、温度監視器20における処理について説明する。図8は、温度監視器20における処理のフローチャートである。まず、ユーザは、計時したい時間や監視したいセット温度を温度監視器20に設定する。具体的には、切替スイッチ24にてタイマモードに切替え、一対の設定ボタン25、26にて任意の時間を入力した後、セットボタン27を押下げることで、この時間がメモリ31に記憶され、計時したい時間が設定される。あるいは、切替スイッチ24にて温度監視モードに切替え、一対の設定ボタン25、26にて任意のセット温度を入力した後、セットボタン27を押下げることで、このセット温度がメモリ31に記憶され、セット温度が設定される。なお、このような設定途中の時間やセット温度、あるいは、後述する各ステップにおける計測時間や計測温度は、表示部29に表示される。
【0041】
次いで、ユーザが切替スイッチ24にてタイマモード又は温度監視モードを選択することで、これら選択されたモードにおける処理が開始される。すなわち、制御部33は、温度監視モードが選択されたか否かを監視しており(ステップSA−1)、温度監視モードが選択されていない場合には(ステップSA−1、No)、タイマモードが選択されたものと判断して、タイマ判断部33aによるタイマ監視を開始させる。
【0042】
具体的には、タイマ判断部33aは、ユーザによって時間が設定されているか否かをメモリ31の記憶内容を参照することによって判断する(ステップSA−2)。そして、時間が設定されていない場合には(ステップSA−2、No)、ステップSA−1に戻る。一方、時間が設定されている場合には(ステップSA−2、Yes)、タイマ32による時間の計時を開始し(ステップSA−3)、その経過時間を表示部に表示させつつ(ステップSA−4)、この時間の経過を監視する(ステップSA−5)。そして、時間が経過した時点でスピーカ28に信号を出力してお知らせ音を鳴動させると共に、時間が経過した旨を示すタイマ信号をアンテナ30を介して送信することにより(ステップSA−6)、時間が経過した旨をユーザに報知する。そして、お知らせ音の鳴動を、ユーザによりセットボタン27が押下げられるまで継続する(ステップSA−7)。従って、ユーザは、自己が設定した時間の経過を知ることができ、調理時間等の管理を確実に行うことができる。なお、「お知らせ音」とは、後述するブザー音と異なる種類の報知音であり、ブザー音よりも柔らかい音色での報知音や音声メッセージである。音声メッセージは予めメモリ31に記憶させておくことができる(以下、同じ)。例えば、ここでは、お知らせ音として、「設定時間になりました」の如き所定の音声メッセージを出力する。
【0043】
一方、ステップSA−1において、制御部33は、温度監視モードが選択されていると判断された場合には(ステップSA−1、Yes)、温度判断部33bによる温度監視を開始させる。具体的には、温度判断部33bは、熱電対22からの出力に基づいて被測定対象の温度を算定し、この温度を表示部29に表示させる(ステップSA−8)。また、温度判断部33bは、温度がメモリ31に記憶されたセット温度になったか否かを監視し(ステップSA−9)、セット温度になった場合には、スピーカ28に信号を出力してお知らせ音を鳴動させると共に、セット温度になった旨を示すセット温度信号をアンテナ30を介して送信することにより(ステップSA−10)、セット温度になった旨をユーザに報知する。ここでお知らせ音としては、例えば、「設定温度になりました」の如き所定の音声メッセージを出力する。そして、お知らせ音の鳴動を、ユーザによりセットボタン27が押下げられるまで継続する(ステップSA−12)。従って、ユーザは、自己が設定したセット温度の到来を知ることができ、調理温度等の管理を確実に行うことができる。
【0044】
また、温度判断部33bは、被測定対象の温度が第1過熱温度になったか否かを監視する(ステップSA−11)。そして、第1過熱温度になった場合には、スピーカ28に信号を出力してブザー音を鳴動させると共に、第1過熱温度になった旨を示す第1過熱温度信号をアンテナ30を介して送信することにより(ステップSA−13)、第1過熱温度になった旨をユーザに報知する。そして、ブザー音の鳴動を、ユーザによりセットボタン27が押下げられるまで継続する(ステップSA−15)。従って、ユーザは、火災の予兆を示す温度になったことを知ることができ、調理温度を下げる等、調理温度がさらに上昇することによる火災の発生を確実に防止できる。
【0045】
さらに、温度判断部33bは、被測定対象の温度が第2過熱温度になったか否かを監視する(ステップSA−14)。そして、第2過熱温度になった場合には、スピーカ28に信号を出力してブザー音を鳴動させると共に、第2過熱温度になった旨を示す第2過熱温度信号をアンテナ30を介して送信することにより(ステップSA−16)、第2過熱温度になった旨をユーザに報知する。そして、ブザー音の鳴動を、ユーザによりセットボタン27が押下げられるまで継続する(ステップSA−17)。従って、ユーザは、火災が発生し得る温度になったことを知ることができ、調理温度を下げたり、消火の準備をする等、火災の発生を確実に防止できる。これにて、温度監視器20における処理が終了する。
【0046】
(温度監視システムの温度監視処理−温度監視子器40)
次に、温度監視子器40における処理について説明する。図9は、温度監視子器40における処理のフローチャートである。まず、温度監視子器40の受信監視部44aは、温度監視器20からの各種信号が、アンテナ43を介して受信されたか否かを監視する(ステップSB−1)。そして、信号が受信された場合(ステップSB−1、Yes)、受信監視部44aは、その信号の種類を判別し、この信号がタイマ信号であった場合には(ステップSB−2、Yes)、スピーカ42に信号を出力して所定のお知らせ音を鳴動させる(ステップSB−3)。また、受信監視部44aは、受信された信号がセット温度信号であった場合には(ステップSB−4、Yes)、スピーカ42に信号を出力して所定のお知らせ音を鳴動させる(ステップSB−5)。
【0047】
あるいは、受信監視部44aは、受信された信号がタイマ信号でもセット温度信号でもない場合、すなわち、第1過熱温度信号又は第2過熱温度信号である場合には(ステップSB−4、No)、スピーカ42に信号を出力してブザー音を鳴動させる(ステップSB−6)。そして、お知らせ音又はブザー音の鳴動を、ユーザにより停止ボタン41が押下げられるまで継続する(ステップSB−7)。従って、ユーザは、温度監視器20から離れた場所に居る場合であっても、自己が設定した時間の経過、自己が設定したセット温度の到来、火災の予兆を示す温度の到来、あるいは、火災が発生し得る温度の到来を知ることができ、厨房に戻って調理温度を下げること等ができるので、火災の発生等を一層確実に防止できる。これにて、温度監視子器40における処理が終了する。
【0048】
(温度監視システムの温度監視処理−温度監視制御盤70)
次に、温度監視制御盤70における処理について説明する。図10は、温度監視制御盤70における処理のフローチャート、図11及び図12は、火災状態から消火状態に至る過程を示す図である。まず、温度監視制御盤70の消火制御部76aは、温度監視器20からの第1過熱温度信号が、アンテナ72を介して受信されたか否かを監視する(ステップSC−1)。
【0049】
そして、第1過熱温度信号が受信された場合(ステップSC−1、Yes)、消火制御部76aは、ガスコンロ1の温度検知部6からの出力及び人感センサ50からの出力とANDを取り、必要に応じてガス供給を遮断する。具体的には、消火制御部76aは、温度検知部6にて検知されている温度が、メモリ71に予め設定された第1過熱温度以上であるか否かを判断する(ステップSC−2)。そして、第1過熱温度以上である場合(ステップSC−2、Yes)、消火制御部76aは、人感センサ50において人体が感知されているか否かを判断する(ステップSC−3)。
【0050】
ここで、人感センサ50において人体が感知されていない場合(ステップSC−3、No)、消火制御部76aは、天ぷら油等の被測定対象が過熱されているにも関わらず、厨房にユーザが居ないと判断し、所定の遅延時間(以下、第1遅延時間)が経過してもこの状態が継続している場合には(ステップSC−4、Yes)、ガスマイコンメータ10にガス遮断信号を出力することで、ガスマイコンメータ10にガス供給を遮断させる(ステップSC−7)。従って、天ぷら油等の被測定対象がさらに過熱されることを防止し、厨房にユーザが居ない場合であっても、火災を未然に防止できる。
【0051】
一方、ステップSC−3において人体が感知された場合、あるいは、所定の遅延時間の監視中に人体が感知された場合(ステップSC−3、Yes)、消火制御部76aは、天ぷら油等の被測定対象が過熱されているが、厨房にユーザが居るために手動で加熱温度が下げられ得るため、第1遅延時間より長い所定の遅延時間(以下、第2遅延時間)の経過を待つ(ステップSC−6)。そして、この第2遅延時間が経過する前に、ユーザが温度監視器20のセットボタン27を押下げることで、この温度監視器20からの第1過熱温度信号の出力が停止された場合には(ステップSC−5)、ユーザが手動で加熱温度を下げる等したものと判断し、ステップSC−1に戻る。
【0052】
また、第2遅延時間が経過した場合(ステップSC−6、Yes)、消火制御部76aは、ユーザが居るにも関わらず、何らかの原因によって過熱が進んでいると判断し、ガスマイコンメータ10にガス遮断信号を出力することで、ガスマイコンメータ10にガス供給を遮断させる(ステップSC−7)。従って、天ぷら油等の被測定対象がさらに過熱されることを防止し、厨房にユーザが居るが何らかの原因で過熱状態になっている場合であっても、火災を未然に防止できる。
【0053】
このようにガス供給を遮断した後、消火制御部76aは、温度監視器20からの第2過熱温度信号が、アンテナ72を介して受信されたか否かを監視する(ステップSC−8)。ここで、第2過熱温度信号の受信前に、温度監視器20からの第1過熱温度信号の出力が停止された場合には(ステップSC−9、Yes)、ユーザが手動で加熱温度を下げる等したものと判断し、ステップSC−1に戻る。
【0054】
一方、第2過熱温度信号が受信された場合、消火制御部76aは、火災が発生し得る又は火災が発生している状態であり、消火を行う必要があると判断して、パラシュート型消火装置60に起動信号を出力することにより、このパラシュート型消火装置60を起動する(ステップSC−10)。この起動信号を受けたパラシュート型消火装置60は、図11に示すように、扉62を開くことにより、防火布61を落下させる。そして、図12に示すように、落下した防火布61によってガスコンロ1の上部が略覆われることにより、窒息効果によって、火災の発生が予防され、あるいは、既に火災が発生している場合にはこの火災が消火される。これにて温度監視制御盤70における処理が終了する。この後、安全が人為的に確認された時点で、防火布61はパラシュート型消火装置60に再び収納され、ガスマイコンメータ10がガス作業員によって復旧されることによってガス供給が再開される。従って、火災の発生が未然に防火され、あるいは、火災が発生している場合においてもこの火災が自動的に消火されるので、一層の安全性を確保できる。
【0055】
(実施の形態1の効果)
このように本実施の形態1によれば、ユーザは、自己が設定した時間の経過を知ることができ、調理時間等の管理を確実に行うことができる。また、ユーザは、自己が設定したセット温度の到来を知ることができ、調理温度等の管理を確実に行うことができる。あるいは、ユーザは、火災の予兆を示す温度になったことや、火災が発生し得る温度になったことを知ることができ、調理温度を下げたり、消火の準備をする等、火災の発生を確実に防止できる。さらに、ユーザは、温度監視器20から離れた場所に居る場合であっても、自己が設定した時間の経過や各種温度の到来を知ることができ、厨房に戻って調理温度を下げること等ができるので、火災の発生等を一層確実に防止できる。しかも、被測定対象が過熱している場合において、厨房にユーザが居ない場合や、厨房にユーザが居ても所定時間が経過した場合には、ガス供給が自動的に遮断させるので、火災を未然に防止できる。また、火災が発生している場合においてもこの火災が自動的に消火されるので、一層の安全性を確保できる。また、ガスコンロ1の温度検知部6からの出力及び人感センサ50からの出力とANDを取ることにより、ガス供給を遮断すべき状態を一層高い信頼性を持って判断できる。さらに、遅延時間が経過するのを待ってからガス供給を遮断することで、ユーザが手動で温度調整等を行う猶予を与えることができ、復旧に手間を要するガス遮断が不用意に行われることを防止できる。
【0056】
〔実施の形態2〕
次に、本発明の実施の形態2に係るガス機器の温度監視システム及びそのための温度監視子器について説明する。本実施の形態2に係るガス機器の温度監視システムは、実施の形態1の温度監視システムの一部の機能のみをガスコンロに組み込んだことを特徴とする。最初に、本実施の形態2に係る温度監視システムの構成について説明し、その後、この温度監視システムにおける温度監視処理について説明する。なお、実施の形態1と略同様の構成については、必要に応じて、実施の形態1において使用したのと同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0057】
(温度監視システムの構成について)
図13は、本実施の形態2に係るガス機器の温度監視システムを備えたガスコンロの斜視図、図14は、図13のガスコンロの電気的構成を機能概念的に示すブロック図である。これら図13及び図14に示すように、本実施の形態2に係るガスコンロ80は、温度検知部6、熱電対22、切替スイッチ24、一対の設定ボタン25、26、セットボタン27、スピーカ28、表示部29、メモリ31、タイマ32、及び、制御部81を備えて構成されている。
【0058】
このうち、熱電対22は、ガスコンロ80の上面において引出し自在に設けられており、コード23を介してガスコンロ80に電気的に接続されている。このガスコンロ80の内部には、コード23の余長を巻き取るための巻取り部82が設けられており、この巻取り部82にコード23の余長が引出し自在に巻き取られることによって、このコード23が調理等の邪魔にならないようにされている。
【0059】
また、切替スイッチ24、一対の設定ボタン25、26、セットボタン27、スピーカ28、及び、表示部29は、それぞれ実施の形態1と略同様の機能を有するものであるが、本実施の形態2においてはガスコンロ80の正面パネルに設けられている。
【0060】
また、制御部81は、ガスコンロの各部を制御する制御手段であり、例えば、メモリ31に記憶されたプログラムをロードして実行するCPU(Central Processing Unit)を備えて構成されている。この制御部81は、機能概念的に、タイマ判断部81a及び温度判断部81bを備えて構成されている。このタイマ判断部81aは、タイマ32によって計時された時間がユーザによって設定された時間になったか否かを判断等するタイマ判断手段である。また、温度判断部81bは、熱電対22によって測定された温度が、セット温度又は第1過熱温度になったか否かを判断等する温度判断手段である。これら各部の具体的処理内容を以下で説明する。
【0061】
(温度監視システムの温度監視処理)
次に、このようにガスコンロ80に組み込まれた温度監視システムにおける温度監視制御処理について説明する。図15は、ガスコンロ80における処理のフローチャートである。まず、ユーザは、実施の形態1と同様に、計時したい時間や監視したいセット温度をガスコンロ80に設定する。
【0062】
次いで、ユーザが切替スイッチ24にてタイマモード又は温度監視モードを選択することで、これら選択されたモードにおける処理が開始される。すなわち、制御部81は、温度監視モードが選択されたか否かを監視しており(ステップSD−1)、温度監視モードが選択されていない場合には(ステップSD−1、No)、タイマモードが選択されたものと判断して、タイマ判断部81aによるタイマ監視を開始させる(ただし、このステップSD−2〜SD−7の処理は、図8のSA−2〜SA−7と同様であるため、その説明を省略する)。従って、ユーザは、自己が設定した時間の経過を知ることができ、調理時間等の管理を確実に行うことができる。
【0063】
一方、ステップSD−1において、制御部81は、温度監視モードが選択されていると判断された場合には(ステップSD−1、Yes)、温度判断部81bによる温度監視を開始させる。具体的には、温度判断部81bは、熱電対22からの出力に基づいて被測定対象の温度を算定し、この温度を表示部29に表示させる(ステップSD−8)。また、温度判断部81bは、温度がメモリ31に記憶されたセット温度になったか否かを監視し(ステップSD−9)、セット温度になった場合には、スピーカ28に信号を出力してお知らせ音を鳴動させることにより(ステップSD−10)、セット温度になった旨をユーザに報知する。そして、お知らせ音の鳴動を、ユーザによりセットボタン27が押下げられるまで継続する(ステップSD−13)。従って、ユーザは、自己が設定したセット温度の到来を知ることができ、調理温度等の管理を確実に行うことができる。
【0064】
また、温度判断部81bは、被測定対象の温度が、予めメモリ31に記憶された第1過熱温度になったか否かを監視する(ステップSD−11)。そして、第1過熱温度になった場合(ステップSD−11、Yes)、温度判断部81bは、温度検知部6からの出力とのANDを取り、必要に応じてブザー音を鳴動する。具体的には、温度判断部81bは、温度検知部6にて検知されている温度が第1過熱温度以上であるか否かを判断する(ステップSD−12)。そして、第1過熱温度以上である場合(ステップSD−12、Yes)、温度判断部81bは、スピーカ28に信号を出力してブザー音を鳴動させ(ステップSD−14)、このブザー音の鳴動を、ユーザによりセットボタン27が押下げられるまで継続する(ステップSD−15)。従って、ユーザは、火災の予兆を示す温度になったことを知ることができ、調理温度を下げる等、調理温度がさらに上昇することによる火災の発生を確実に防止できる。
【0065】
(実施の形態2の効果)
このように本実施の形態2によれば、ユーザは、自己が設定した時間の経過やセット温度の到来を知ることができ、調理時間や調理温度等の管理を確実に行うことができる。また、ユーザは、火災の予兆を示す温度になったことを知ることができ、調理温度を下げる等、調理温度がさらに上昇することによる火災の発生を確実に防止できる。特に、ガスコンロ80に各種機能を組み込んだので、ガスコンロ80を設置するだけで温度監視システムを利用することができ、別途に温度監視器を準備等する煩わしさが解消する。また、熱電対22をガスコンロ80に引出し自在に収めたので、熱電対22を必要時にのみ即座に取出すことができ、熱電対22の使い勝手を向上させることができる。
【0066】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0067】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。例えば、過熱や火災発生を完全には防止できない場合においても、これらの課題を従来の油温計や過熱防止機能に比べて若干でも向上している限りにおいて、本発明の課題が達成されている。
【0068】
(温度監視システムの全体構成について)
実施の形態1と実施の形態2の各機能を相互に混在させても良い。例えば、実施の形態1では、熱電対22をガスコンロ1とは独立した構成としているが、実施の形態2と同様に、ガスコンロ1に組み込んでもよい。また、実施の形態2では、第2過熱温度の監視や、ガスマイコンメータ10、温度監視子器40、人感センサ50、あるいは、パラシュート型消火装置60との連動を省略しているが、ガスコンロ80において第2過熱温度の監視を行ったり、ガスマイコンメータ10、温度監視子器40、人感センサ50、あるいは、パラシュート型消火装置60と、ガスコンロ80とを連動させて実施の形態1と略同様の処理を行ってもよい。逆に、実施の形態1において、これら各機器の全部又は一部との連動を省略することもできる。
【0069】
(温度監視器の構成について)
また、実施の形態に1おいては、温度監視器20の監視器本体21を取付け部34を介して天ぷら鍋5の取手5aに取付けているが、他の任意の構造によって、他の任意の調理器具等に取付けることができる。図16は、監視器本体21の取付け構造の変形例を示すための斜視図である。この図16に示すように、取付け補助具90を用いて温度監視器20を片手鍋91に取付け自在としてもよい。この取付け補助具90は、縦断面略U字状に形成されており、そのU字部分の内径を片手鍋91の柄91aに略対応するように形成され、この柄91aに着脱自在に取付けられる。この取付け補助具90の上面には、半円柱状の接続部90aが一体に形成されており、この接続部90aに監視器本体21の取付け部34を上方から押付けることで、この取付け補助具90に監視器本体21を取付けることができる。
【0070】
(付記1)
付記1に記載のガス機器の温度監視システムは、ガス機器による加熱温度を監視するための温度監視システムであって、前記加熱温度を測定する温度測定手段と、前記温度測定手段にて測定された前記加熱温度が所定温度以上になった場合に、所定の報知出力を行う報知出力手段と、を備えたことを特徴とする。
【0071】
(付記2)
付記2に記載のガス機器の温度監視システムは、付記1に記載のガス機器の温度監視システムにおいて、前記所定温度として、前記ガス機器における加熱調理に適した温度、前記ガス機器における過熱による火災発生の予兆を示す温度、又は、前記ガス機器における過熱による火災が発生し得る温度、の少なくとも1つを設定したことを特徴とする。
【0072】
(付記3)
付記3に記載のガス機器の温度監視システムは、付記1又は2に記載のガス機器の温度監視システムにおいて、前記温度測定手段又は前記報知出力手段の少なくとも一方を、前記ガス機器に設けたことを特徴とする。
【0073】
(付記4)
付記4に記載のガス機器の温度監視システムは、付記3に記載のガス機器の温度監視システムにおいて、前記温度測定手段を、前記ガス機器に引出し自在に設けたことを特徴とする。
【0074】
(付記5)
付記5に記載のガス機器の温度監視システムは、付記1から4のいずれか一項に記載のガス機器の温度監視システムにおいて、前記温度測定手段と前記報知出力手段とを、相互に無線通信可能としたことを特徴とする。
【0075】
(付記6)
付記6に記載のガス機器の温度監視システムは、付記1から5のいずれか一項に記載のガス機器の温度監視システムにおいて、少なくとも前記報知出力手段を、前記ガス機器又は前記ガス機器に載置された調理器具に着脱自在に取付けるための着脱手段を備えたことを特徴とする。
【0076】
(付記7)
付記7に記載のガス機器の温度監視システムは、付記1から6のいずれか一項に記載のガス機器の温度監視システムにおいて、前記ガス機器に対するガス供給を遮断するためのガス遮断手段を設け、前記温度測定手段にて測定された前記加熱温度が前記所定温度以上になった場合に、前記ガス遮断手段を介して、前記ガス機器に対するガス供給を遮断することを特徴とする。
【0077】
(付記8)
付記8に記載のガス機器の温度監視システムは、付記1から7のいずれか一項に記載のガス機器の温度監視システムにおいて、前記ガス機器が配置された所定の監視領域における人体の存在を感知する人体感知手段を設け、前記報知出力手段は、前記温度測定手段にて測定された前記加熱温度が前記所定温度以上になった場合であって、かつ、前記人体感知手段にて前記監視領域に人体が存在しないことが感知されている場合にのみ、前記所定の報知出力を行うことを特徴とする。
【0078】
(付記9)
付記9に記載のガス機器の温度監視システムは、付記1から8のいずれか一項に記載のガス機器の温度監視システムにおいて、前記ガス機器が配置された所定の監視領域における消火を行うための消火手段を設け、前記報知出力手段は、前記温度測定手段にて測定された前記加熱温度が前記所定温度以上になった場合に、前記消火手段を介して、前記所定の監視領域における消火を行うことを特徴とする。
【0079】
付記に記載のガス機器の温度監視システムによれば、ユーザは、所定温度が到来したことを知ることができ、加熱温度等の管理を確実に行い、過熱による火災を防止できる。
【0080】
また、付記に記載のガス機器の温度監視システムによれば、加熱調理に適した温度、火災発生の予兆を示す温度、又は、火災が発生し得る温度のいずれかを知ることができ、調理温度等の管理を確実に行い、過熱による火災を防止できる。
【0081】
また、付記に記載のガス機器の温度監視システムによれば、温度測定手段や報知出力手段をガス機器と別個に設置する必要がないので、温度監視システムを一層簡易かつ安価に設置できる。
【0082】
また、付記に記載のガス機器の温度監視システムによれば、温度測定手段をガス機器から必要時にのみ引出して使用できるので、温度測定手段の使い勝手が一層向上する。
【0083】
また、付記に記載のガス機器の温度監視システムによれば、温度測定手段と報知出力手段とを無線通信することで、両者を離れた場所に配置できるので、温度測定手段や報知出力手段の使い勝手が一層向上する。
【0084】
また、付記に記載のガス機器の温度監視システムによれば、報知出力手段を、ガス機器又は調理器具に着脱自在に取付けることができ、報知出力手段の使い勝手が一層向上する。
【0085】
また、付記に記載のガス機器の温度監視システムによれば、加熱温度が所定温度以上になった場合にガス機器に対するガス供給が自動的に遮断されるので、過熱による火災を一層簡易かつ確実に防止できる。
【0086】
また、付記に記載のガス機器の温度監視システムによれば、人体感知手段にて監視領域に人体が存在しないことが感知されている場合にのみ報知出力が行われるので、ユーザが監視領域に居るにも関わらず不用意にブザー等が鳴ることを防止できる。
【0087】
また、付記に記載のガス機器の温度監視システムによれば、加熱温度が所定温度以上になった場合に監視領域における消火が行われるので、過熱による火災を一層簡易かつ確実に防止でき、あるいは、火災が発生した場合においてもこれを簡易かつ確実に消火できる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
この発明は、ガス機器によって加熱される各種の被加熱物の過熱等を防止することに有用である。
【符号の説明】
【0089】
1、80 ガスコンロ
2 火口
3 五徳
4 ガス管
5 天ぷら鍋
5a 取手
20 温度監視器
21 監視器本体
22 熱電対
23 コード
24 切替スイッチ
25、26 設定ボタン
27 セットボタン
28、74 スピーカ
29 表示部
30、72 アンテナ
31、71 メモリ
32、73 タイマ
33、76、81 制御部
33a、81a タイマ判断部
33b、81b 温度判断部
34、46 取付け部
40 温度監視子器
41 停止ボタン
42 スピーカ
43 アンテナ
44 制御部
44a 受信監視部
50 人感センサ
60 パラシュート型消火装置
61 防火布
62 扉
70 温度監視制御盤
75 復旧スイッチ
76a 消火制御部
82 巻取り部
90 取付け補助具
90a 接続部
91 片手鍋
91a 柄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス機器による加熱温度を監視するための温度監視システムであって、
温度監視器と温度監視子器とを備え、
前記温度監視器は、前記加熱温度を測定する温度測定手段と、信号を無線送信するための無線通信手段と、前記温度測定手段にて測定された前記加熱温度が所定の温度以上になった場合に前記無線通信手段に信号を送信させる制御手段とを備え、
前記温度監視子器は、前記温度監視器から送信された信号を無線受信する無線通信手段と、所定の報知出力を行う出力手段と、前記温度監視器から送信された信号が当該温度監視子器の前記無線通信手段で受信された場合に前記出力手段に報知出力を行わせる制御手段とを備えたこと、
を特徴とするガス機器の温度監視システム。
【請求項2】
前記温度監視器は、所定の報知出力を行う報知出力手段を備え、
前記温度監視器の制御手段は、前記温度測定手段にて測定された前記加熱温度が所定の温度以上になった場合に前記報知出力手段に報知出力を行わせること、
を特徴とする請求項1に記載のガス機器の温度監視システム。
【請求項3】
ガス機器による加熱温度を監視するための温度監視システムを構成する温度監視子器であって、
前記加熱温度を測定する温度測定手段を有する温度監視器から送信された信号を無線受信する無線通信手段と、
所定の報知出力を行う出力手段と、
前記温度監視器から送信された信号が前記無線通信手段で受信された場合に前記出力手段に報知出力を行わせる制御手段と、
を備えたことを特徴とする温度監視子器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−85093(P2010−85093A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5405(P2010−5405)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【分割の表示】特願2005−41188(P2005−41188)の分割
【原出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】