説明

ガス滅菌装置

【課題】 給ガス工程中、滅菌槽内の圧力上昇速度が遅いことを検知した場合でも、滅菌運転を継続することができるようにしたガス滅菌装置を得る。
【解決手段】 滅菌槽1内へ滅菌ガスを供給し、被滅菌物を滅菌処理するガス滅菌装置であって、滅菌槽1内の圧力を測定する圧力センサ16と、圧力センサ16の検出値に基づき、滅菌運転を制御する制御器18とを備え、制御器18は、滅菌槽1内におけるエアリークを判定するエアリーク時圧力上昇速度を記憶しておき、給ガス工程において、滅菌槽1内の圧力上昇速度が、エアリーク時圧力上昇速度以下である場合は、滅菌運転を中断し、エアリーク時圧力上昇速度より大きい場合は、滅菌運転を継続するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用の器具や実験用器具などを滅菌処理するガス滅菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療用の器具や実験用器具などを滅菌処理するガス滅菌装置として、エチレンオキサイドガスを封入した滅菌ガスカートリッジを使用する陰圧式、エチレンオキサイドガスと炭酸ガスの混合ガスを使用する陽圧式のガス滅菌装置がある。陽圧式は、被滅菌物を収容する滅菌槽内の空気を排除した後、エチレンオキサイドガスと炭酸ガスの混合ガスを滅菌槽に加圧封入して所望のエチレンオキサイドガス濃度で滅菌処理を行うものであり、陰圧式のガス滅菌装置は、例えば、特許文献1に記載のように、被滅菌物を収容する滅菌槽を陰圧に調整後、滅菌槽内に滅菌ガスカートリッジからエチレンオキサイドガス(以下、単に滅菌ガスという。)を供給し、滅菌を行う構成となっている。
【0003】
これらのガス滅菌装置のうち、滅菌ガスカートリッジを使用する陰圧式のガス滅菌装置にあっては、通常、滅菌槽に被滅菌物を収容した後、まず、滅菌槽内の空気を排除し(空気排除工程)、ついで滅菌ガスカートリッジに封入された滅菌ガスを滅菌槽内に供給し(給ガス工程)、給ガスにより滅菌槽内の圧力が設定圧力を超えたら滅菌工程に入り、滅菌工程が終了したら洗浄工程、エアレーション工程を行って終了するといった滅菌運転が行われる。
【0004】
こうしたガス滅菌装置の滅菌運転の工程において、滅菌槽内への滅菌ガスの供給は、一般に、穿孔針によって滅菌ガスカートリッジに穿孔するといった手段により滅菌ガスカートリッジを開封し、滅菌ガスカートリッジに封入された滅菌ガスを給ガスラインを介して滅菌槽内へ供給しているが、この給ガスラインが、例えば、滅菌ガスカートリッジの穿孔が不十分であったり、滅菌ガスカートリッジ中のエチレンオキサイドガスを主成分として変質した高粘度物質や、給ガスラインに進入した異物等によって一部または全部が閉塞した場合、滅菌槽内の圧力上昇速度が遅く、または上昇しなくなるため、所定の時間経過後に異常を判定することになる。この時は、通常は給ガスの異常として滅菌運転を中断するといったことが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−224199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
給ガスラインが完全に閉塞していない場合は、滅菌槽内の圧力は徐々に上がり続けるにも関わらず、所定時間経過後に所定圧力まで上昇していない場合は「給ガス異常」と判定し、この場合には、滅菌運転を中断している。滅菌運転を中断することは、高価な滅菌ガスカートリッジを無駄にするばかりでなく、再度滅菌作業を行うために、穿孔された滅菌ガスカートリッジ内のエチレンオキサイドガス並びに滅菌層内に供給されたガスを排出、洗浄しなければならないため、時間的な無駄が多く発生してしまう。
本発明者は、給ガス中において、給ガスラインが完全に閉塞していない場合、滅菌槽内の圧力は徐々に上がり続けることに着目し、異常を検知した時点から所定の時間の圧力上昇を確認して、設定した以上の圧力上昇が見られた場合に、滅菌運転を継続することにより滅菌処理が行えることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明の目的は、給ガス工程中、滅菌槽内の圧力上昇速度が遅いことを検知した場合でも、滅菌運転を継続することができるようにしたガス滅菌装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、滅菌槽内へ滅菌ガスを供給し、被滅菌物を滅菌処理するガス滅菌装置であって、前記滅菌槽内の圧力を測定する圧力センサと、前記圧力センサの検出値に基づき、滅菌運転を制御する制御器とを備え、前記制御器は、前記滅菌槽内におけるエアリークを判定するエアリーク時圧力上昇速度を記憶しておき、給ガス工程において、前記滅菌槽内の圧力上昇速度が、前記エアリーク時圧力上昇速度以下である場合は、滅菌運転を中断し、前記エアリーク時圧力上昇速度より大きい場合は、滅菌運転を継続するようにしたことを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、給ガス工程において、前記滅菌槽内の圧力上昇速度が、前記エアリーク時圧力上昇速度以下である場合は、滅菌槽内へ滅菌ガスが供給されていないものとして滅菌運転を中断し、前記エアリーク時圧力上昇速度より大きい場合は、滅菌ガスが滅菌槽内へ供給されていると判断して、滅菌運転を継続するようにしたので、滅菌槽内の圧力上昇がエアリークか給ガスによる圧力上昇かを判定できるため、エアリークによる圧力上昇で滅菌工程に移行してしまうことがなく、確実な滅菌ができるとともに、滅菌ガスが供給されているにも関わらず、滅菌工程を中断することがなくなり、高価な滅菌カートリッジを無駄にすることがなく、また中断に伴う滅菌ガスの排出、洗浄などの無駄な時間を無くすことができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、滅菌槽内へ滅菌ガスを供給し、被滅菌物を滅菌処理するガス滅菌装置であって、前記滅菌槽内の圧力を測定する圧力センサと、前記圧力センサの検出値に基づき、滅菌運転を制御する制御器とを備え、前記制御器は、前記滅菌槽内におけるエアリークを判定するエアリーク時圧力上昇速度を記憶しておき、給ガス工程において、前記滅菌槽内の圧力上昇速度が、前記エアリーク時圧力上昇速度以下である場合は、滅菌運転を中断し、前記エアリーク時圧力上昇速度より大きい場合は、滅菌運転を継続するとともに、前記滅菌槽内の圧力上昇速度から、前記滅菌槽内の圧力が滅菌工程設定圧力に到達するまでの到達時間を予測し、この予測した到達時間経過後の前記滅菌槽内の圧力が前記滅菌工程設定圧力まで到達していない場合、再度、前記滅菌槽内の圧力上昇速度を求め、この圧力上昇速度が前記エアリーク時圧力上昇速度以下である場合は、滅菌運転を中断し、前記エアリーク時圧力上昇速度より大きい場合は、滅菌運転を継続するようにしたことを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、給ガス工程において、前記滅菌槽内の圧力上昇速度が、前記エアリーク時圧力上昇速度以下である場合は、滅菌槽内へ滅菌ガスが供給されていないものとして滅菌運転を中断し、前記エアリーク時圧力上昇速度より大きい場合は、滅菌ガスが滅菌槽内へ供給されていると判断して滅菌運転を継続するようにし、さらに、前記滅菌槽内の圧力上昇速度から、前記滅菌槽内の圧力が滅菌工程設定圧力に到達するまでの到達時間を予測し、この予測した到達時間経過後の前記滅菌槽内の圧力が前記滅菌工程設定圧力まで到達していない場合、再度、前記滅菌槽内の圧力上昇速度を求め、この圧力上昇速度が前記エアリーク時圧力上昇速度より大きい場合は、滅菌運転を継続するので、滅菌槽内の圧力上昇がエアリークか給ガスによる圧力上昇かを判定できるため、エアリークによる圧力上昇で滅菌工程に移行してしまうことがなく、確実な滅菌ができるとともに、滅菌ガスが供給されているにも関わらず、滅菌工程を中断することがなくなり、高価な滅菌カートリッジを無駄にすることがなく、また中断に伴う滅菌ガスの排出、洗浄などの無駄な時間を無くすことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、給ガス工程において、給ガスラインが何らかの原因で閉塞し、滅菌槽内の圧力上昇速度が遅くなった場合でも、滅菌槽内の圧力上昇速度が、エアリーク時圧力上昇速度より大きい場合は、滅菌運転を継続することにしたので、滅菌槽内に滅菌ガスが供給されているにも関わらず、滅菌工程を中断することがなく、高価な滅菌カートリッジを無駄にすることがなく、また滅菌運転中断に伴う滅菌ガスの排出、洗浄といった無駄な作業時間を無くすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るガス滅菌装置の実施の形態の第1例を示す一部省略構成説明図である。
【図2】本例で制御される滅菌槽内の圧力の変化を示す説明図である。
【図3】本発明に係るガス滅菌装置の実施の形態の第2例で制御される滅菌槽内の圧力の変化を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るガス滅菌装置を実施するための形態を、図面に示す実施例を参照して詳細に説明する。
先ず、本発明に係るガス滅菌装置の実施の形態の第1例を説明する。図1は本例の一部省略構成説明図、図2は本例で制御される滅菌槽内の圧力の変化を示す説明図である。
【0015】
本例のガス滅菌装置は、被滅菌物を収容する滅菌槽1に加湿路2と、給気路3と排気路4とが接続されている。滅菌槽1内には、滅菌ガスカートリッジ5を穿孔するための穿孔装置(図示省略)を設けており、運転開始前に、この穿孔装置に滅菌ガスを封入した滅菌ガスカートリッジ5をセットしておき、運転開始後、所定の工程において、滅菌ガスカートリッジ5が穿孔され、滅菌ガスカートリッジ5内に封入された滅菌ガスが給ガスライン20を介して滅菌槽1内に供給されるように構成されている。
【0016】
加湿路2には、上流側より加湿弁(給水弁)6、オリフィス7、逆止弁8が設けられており、加湿路2を通して水を滅菌槽1内へ供給し、滅菌槽1内が適切な湿度になるよう加湿するようになっている。給気路3には、上流側より順に空気フィルタ9、給気弁10、逆止弁11が設けられており、給気路3を通して無菌空気を滅菌槽1へ供給するようになっている。排気路4には、真空弁12、減圧手段13となる真空ポンプ14、逆止弁15が設けられており、滅菌後、滅菌槽1内に残留する滅菌ガスを排出、除去するようになっている。
【0017】
また、滅菌槽1には、内部の圧力を測定する圧力センサ16、内部の温度を測定する温度センサ17が設けられている。また、圧力センサ16の検出値に基づき、滅菌運転を制御する制御器18が設けられている。
制御器18は、滅菌槽1のエアリークを判定するエアリーク時圧力上昇速度を記憶しておき、給ガス工程において、滅菌槽1内の圧力上昇速度が、エアリーク時圧力上昇速度以下である場合は、滅菌運転を中断し、エアリーク時圧力上昇速度より大きい場合は、滅菌運転を継続するように制御するものとなっている。
滅菌槽1のエアリークを判定するエアリークテストを、毎回の運転前、毎日の始業前、あるいは、定期的に実施し、エアリーク時の圧力上昇速度の最新の値を制御器18に記憶させておく。
【0018】
滅菌運転の中断、継続の判断にエアリーク時圧力上昇速度を基準としたのは、つぎの理由による。エアリークは、JIS T7323「医療用酸化エチレンガス滅菌器」によれば、設定真空度の滅菌槽内において、1.33kPa/10minの復圧がないこととされており、このように、エアリーク時の圧力上昇速度は極めて遅い速度といえる。そのため、滅菌槽1内の圧力上昇速度が、エアリーク時圧力上昇速度以下である場合は、給ガス中に給ガスライン20が何らかの原因で閉塞し、滅菌ガスが滅菌槽1内へ供給されていないとして、滅菌運転を中断し、エアリーク時圧力上昇速度より大きい場合は、滅菌槽1内の圧力は徐々に上がり続け、滅菌工程設定圧力Pを超えることを見越して滅菌運転を継続するとした。
【0019】
本例では、制御器18は、滅菌ガスカートリッジ5の穿孔から所定時間を経過した時点を始点Sとし、始点Sから所定時間t内における滅菌槽1内の圧力上昇速度を計測して、この圧力上昇速度がエアリーク時圧力上昇速度以下である場合は、滅菌運転を中断し、エアリーク時圧力上昇速度より大きい場合は、滅菌運転を継続するように制御するものとなっている。
【0020】
上記のように構成された本例のガス滅菌装置の運転を、図2を参照しながら以下に説明する。
滅菌槽1に被滅菌物を収容し、滅菌ガスカートリッジ5を滅菌ガスカートリッジ穿孔装置にセットし、開閉蓋19で滅菌槽1を密閉して、真空ポンプ14を作動させて滅菌槽1内を減圧する。滅菌槽1内を設定圧力Pまで減圧したら、真空弁12を閉じるとともに真空ポンプ14を停止して、加湿弁6を開き、設定圧力Pまで加湿を行い、滅菌槽1内がPまで上昇したら、加湿弁6を閉じ、真空弁12を開くとともに真空ポンプ14を所定時間作動させる。
【0021】
続いて、加湿弁6を所定時間開いた後、加湿弁6を閉じて真空弁12を開くとともに真空ポンプ14を所定時間作動させて停止させる動作を数回繰り返す。滅菌槽1内の温度が滅菌所要温度まで上昇したら、給ガス工程に入り、セットされている滅菌ガスカートリッジ5を穿孔して、滅菌ガスを滅菌槽1内に供給する。
滅菌ガスの供給により減圧されている滅菌槽1内の圧力が上昇し、滅菌工程設定圧力Pを超えたら、滅菌工程に入る。滅菌工程は、滅菌温度によって予め設定された時間、滅菌ガス供給後の状態を維持することにより行われ、設定時間を経過すると滅菌工程は終了する。
【0022】
滅菌工程が終了すると、排気工程に移行し、真空弁12を開くと共に真空ポンプ14を作動させて滅菌槽1内の余剰滅菌ガスを排出する。次いで、被滅菌物表面に吸着している滅菌ガスを除去する洗浄工程を行う。洗浄工程では、真空弁12を開き、真空ポンプ14を作動させて設定圧力Pまで減圧した後、真空弁12を閉じ、真空ポンプ14を停止して、給気弁10を開いて大気圧近傍の設定圧力Pまで滅菌槽1内に空気を導入する。滅菌槽1内の圧力がPに達したら、給気弁10を閉じ、真空弁12を開き、真空ポンプ14を作動させてPまで減圧する。これを所定回数あるいは所定時間繰り返す。
【0023】
そして、被滅菌物内部に吸着している滅菌ガスを確実に除去するためのエアレーション工程が実行される。エアレーション工程は、前記洗浄工程と同様な制御を行う方法や、給気弁10を開いた状態で、真空弁12を開き、真空ポンプ14を作動させて、滅菌槽1内に空気を流通させる方法などが取られる。エアレーション工程は設定された時間が経過するまで実施される。
【0024】
前記滅菌運転の給ガス工程において、滅菌ガスカートリッジ5の穿孔から所定時間を経過した時点を始点Sとし、始点Sから所定時間t内における滅菌槽1内の圧力上昇速度がエアリーク時圧力上昇速度より大きい場合は、滅菌運転を継続し、すなわち、給ガス工程を続行する。そして、滅菌槽1内の圧力が上昇して滅菌工程設定圧力Pを超えたら、滅菌工程に入り、以後、通常の滅菌運転を実行する。
一方、滅菌槽1内の圧力上昇速度がエアリーク時圧力上昇速度以下である場合は、滅菌運転を中断する。
【0025】
次ぎに、本発明に係るガス滅菌装置の実施の形態の第2例を説明する。図3は本例で制御される滅菌槽内の圧力の変化を示す説明図である。
本例のガス滅菌装置は、その構成は制御器の制御内容以外は、前記した第1例と同様なので、図1及び第1例の説明を援用する。
【0026】
本例では、制御器18は、滅菌槽1のエアリークを判定するエアリーク時圧力上昇速度を記憶しておき、給ガス工程において、滅菌槽1内の圧力上昇速度が、エアリーク時圧力上昇速度以下である場合は、滅菌運転を中断し、エアリーク時圧力上昇速度より大きい場合は、滅菌運転を継続するとともに、滅菌槽1内の圧力上昇速度から、滅菌槽1内の圧力が滅菌工程設定圧力Pまでの到達時間Tを予測し、この予測した到達時間T経過後の滅菌槽1内の圧力が滅菌工程設定圧力Pまで到達していない場合、再度、滅菌槽1内の圧力上昇速度を求め、この圧力上昇速度がエアリーク時圧力上昇速度以下である場合は、滅菌運転を中断し、エアリーク時圧力上昇速度より大きい場合は、滅菌運転を継続するように制御するものとなっている。
滅菌槽1のエアリークを判定するエアリークテストを、毎回の運転前、毎日の始業前、あるいは、定期的に実施し、エアリーク時の圧力上昇速度の最新の値を制御器18に記憶させておく。
滅菌運転の中断、継続の判断にエアリーク時圧力上昇速度を基準とした理由は、第1例と同様である。
【0027】
本例では、第1例と同様、制御器18は、滅菌ガスカートリッジ5の穿孔から所定時間を経過した時点を始点Sとし、始点Sから所定時間t内における滅菌槽1内の圧力上昇速度を計測して、この圧力上昇速度がエアリーク時圧力上昇速度以下である場合は、滅菌運転を中断し、エアリーク時圧力上昇速度より大きい場合は、滅菌運転を継続するようにするとともに、滅菌槽1内の圧力上昇速度から、滅菌槽1内の圧力が滅菌工程設定圧力Pに到達するまでの到達時間Tを予測し、この予測した到達時間T経過後の滅菌槽1内の圧力が滅菌工程設定圧力Pまで到達していない場合、再度、到達時間Tから所定時間t内における滅菌槽1内の圧力上昇速度を求め、この圧力上昇速度がエアリーク時圧力上昇速度以下である場合は、滅菌運転を中断し、エアリーク時圧力上昇速度より大きい場合は、滅菌運転を継続するように制御するものとなっている。
【0028】
上記のように構成された本例のガス滅菌装置の運転を、図3を参照しながら以下に説明する。
本例のガス滅菌装置の運転は、前記した第1例と同様な工程で運転されるものであり、第1例の説明を援用する。
本例では、滅菌運転の給ガス工程において、滅菌ガスカートリッジ5の穿孔から所定時間を経過した時点を始点Sとし、始点Sから所定時間t内における滅菌槽1内の圧力上昇速度が、エアリーク時圧力上昇速度以下である場合は、滅菌運転を中断する。
一方、エアリーク時圧力上昇速度より大きい場合は、滅菌運転を継続する、すなわち、給ガス工程を続行するとともに、滅菌槽1内の圧力上昇速度から、滅菌槽1内の圧力が滅菌工程設定圧力Pに到達するまでの到達時間Tを予測し、この予測した到達時間T経過後の滅菌槽1内の圧力が滅菌工程設定圧力Pまで到達していない場合、再度、到達時間Tから所定時間t内における滅菌槽1内の圧力上昇速度を求め、この圧力上昇速度がエアリーク時圧力上昇速度以下である場合は、滅菌運転を中断し、エアリーク時圧力上昇速度より大きい場合は、滅菌運転を継続し、すなわち、給ガス工程を続行し、かかる制御を繰り返しながら、滅菌槽1内の圧力が上昇して滅菌工程設定圧力Pを超えたら、滅菌工程に入り、以後、通常の滅菌運転を実行する。
【符号の説明】
【0029】
1 滅菌槽
16 圧力センサ
18 制御器
20 給ガスライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
滅菌槽内へ滅菌ガスを供給し、被滅菌物を滅菌処理するガス滅菌装置であって、
前記滅菌槽内の圧力を測定する圧力センサと、前記圧力センサの検出値に基づき、滅菌運転を制御する制御器とを備え、前記制御器は、前記滅菌槽内におけるエアリークを判定するエアリーク時圧力上昇速度を記憶しておき、
給ガス工程において、前記滅菌槽内の圧力上昇速度が、前記エアリーク時圧力上昇速度以下である場合は、滅菌運転を中断し、前記エアリーク時圧力上昇速度より大きい場合は、滅菌運転を継続するようにしたことを特徴とするガス滅菌装置。
【請求項2】
滅菌槽内へ滅菌ガスを供給し、被滅菌物を滅菌処理するガス滅菌装置であって、
前記滅菌槽内の圧力を測定する圧力センサと、前記圧力センサの検出値に基づき、滅菌運転を制御する制御器とを備え、前記制御器は、前記滅菌槽内におけるエアリークを判定するエアリーク時圧力上昇速度を記憶しておき、
給ガス工程において、前記滅菌槽内の圧力上昇速度が、前記エアリーク時圧力上昇速度以下である場合は、滅菌運転を中断し、前記エアリーク時圧力上昇速度より大きい場合は、滅菌運転を継続するとともに、前記滅菌槽内の圧力上昇速度から、前記滅菌槽内の圧力が滅菌工程設定圧力に到達するまでの到達時間を予測し、この予測した到達時間経過後の前記滅菌槽内の圧力が前記滅菌工程設定圧力まで到達していない場合、再度、前記滅菌槽内の圧力上昇速度を求め、この圧力上昇速度が前記エアリーク時圧力上昇速度以下である場合は、滅菌運転を中断し、前記エアリーク時圧力上昇速度より大きい場合は、滅菌運転を継続するようにしたことを特徴とするガス滅菌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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