説明

ガス濃度測定装置

【課題】温度検出素子を必要とすることなく検出ユニットの出力を確実に温度補償すること。
【解決手段】接触燃焼式ガスセンサ11、補償素子12、基準抵抗14,15をブリッジ接続した検出ユニット1と、前記検出ユニット1の出力に基づいてをガス濃度を検出するガス濃度演算手段20とを備えたガス測定装置において、前記検出ユニットの補償素子12と基準抵抗13とに発生する負荷電圧を検出して、前記ガス濃度演算手段20のガス濃度を補正する温度補正手段22を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触燃焼式ガスセンサーを使用したガス濃度測定装置の温度補償技術に関する。
【背景技術】
【0002】
接触燃焼式ガスセンサーを用いたガス濃度測定装置は、図2に見られるように接触燃焼式ガスセンサ11、補償素子12、基準抵抗14,15をブリッジ接続してなる検出ユニット1の出力端子T3、T4にさらに温度検出素子Sを接続し、検出ユニット1の温度変化を温度検出素子Sの信号で補正するように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら検出ユニットと装置本体とを接続する線路L1〜L4の他に、検出ユニットの温度検出素子Sの信号を装置本体に伝送するための線路L5が余分に必要となり、特に検出ユニットを遠隔点に設置するような場合には、コストがかかるという問題がある。
また、周囲温度の急変に対し、温度検出素子Sと温度補償素子12及び接触燃焼式ガスセンサー11との隔たりに起因するの追従性の問題により、正確に温度補償ができない等の問題がある。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであってその目的とするところは、検出ユニットに組み込まれている補償素子の温度特性を利用することにより温度検出素子を必要とすることなく検出ユニットの出力を確実に温度補償することができるガス濃度測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このような課題を達成するために本発明は、接触燃焼式ガスセンサ、補償素子、基準抵抗をブリッジ接続した検出ユニットと、前記検出ユニットの出力に基づいてをガス濃度を検出するガス濃度演算手段とを備えたガス測定装置において、前記検出ユニットの補償素子と基準抵抗とに発生する負荷電圧を検出して、前記ガス濃度演算手段のガス濃度を補正する温度補正手段を有するガス濃度測定装置として構成されている。
【発明の効果】
【0005】
検出ユニットの温度を検出するためのセンサが不要であるため、これからの信号を伝送する線路も不要となり構造の簡素化を図ることができる。また検出ユニットの温度を検出するための温度検出素子を配置する場合に比較して検出ユニットの温度をより正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、本発明の一実施例を示すブロック図である。
【図2】図2は温度検出素子を用いる従来の装置の一例を示すもブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図は本発明の一実施例を示すものであって、検出ユニット1は、接触燃焼式ガスセンサ11、補償素子12、基準抵抗14,15をブリッジ接続して構成されている。ブリッジの各端子部は抵抗RLの線路L1〜L4を介して装置本体に接続されている。
【0008】
検出ユニット1の出力端子T1,T2にはガス濃度を検出するガス濃度演算手段20が、作動電力供給端子T3,T4には定電流回路21が、さらには補償素子12の両端子T1、T4には線路L2、L3を介して温度補正手段22が接続されている。
【0009】
この実施例において、定電流回路21を介してセンサユニット1に定電流が供給されてガス検出動作を行うと、センサユニット1の出力端子T1、T2からガス濃度に対応した電圧信号がガス濃度演算手段20に入力する。
【0010】
一方、外気温が基準温度から変化すると、補償素子12の抵抗値が変化してその端子電圧も変化する。
ところで、ガス濃度演算手段20、及び温度補正手段22のそれぞれの入力インピーダンスは、非常に高いので、補償素子12の端子電圧をVRc、線路の電圧降下(負荷電圧)をVRLとすると、
Vc=VRc+VRL
基準抵抗15の抵抗値R2を線路L1〜L4の抵抗値RLよりも非常に高く設定する(R2》RL)と、端子電圧VRは
VR=VR2十VRL
【0011】
このような状態で、センサユニット1の温度が基準温度Tから△T℃変化すると、それぞれの要素の抵抗の温度係数により、上述のVc、VRはそれぞれ
Vc'=VRc十△VRc十VRL十△VRL
VR'=VR2十△VR2十VRL十△VRL
(ただし、△VRc、△VR2及び△VR2はそれぞれ補償素子12、基準抵抗15、及び線路L1〜L4の負荷電圧の温度変動分を示す。)
【0012】
また、補償素子12の抵抗の温度係数は、基準抵抗14,15のそれよりも非常に高いので、基準抵抗15の端子電圧の温度変化分△VR2は無視することができる。
Vc'−VR'=VRc−VR2十△VRc
∴△VRc=(Vc'〜VR’)−(VRc−VR2)
もとより基準となる(VRc−VR2)のデータは、ゼロ調整、スパン調整時に採取できる既知データであるからで、センサユニット1の環境温度の変化分を補償素子12の抵抗変化分△VRcとしてセンサユニット1から離れたガス濃度演算手段20、温度補正手段22側で容易に検出できる。
【0013】
一方、ガス濃度の温度依存性は既知であるから、通常の温度補償と同様に温度補正手段22にガス温度依存性に関するデータをテーブルや演算式として読み出し可能に格納しておくことによりガス濃度の温度変化分を容易に補正することができる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明によれば、温度検出素子が不要なため線路が4本の既存のシステムであっても検出ユニット近傍の温度を検出してより精度の高いシステムに再構築可能となる。
【符号の説明】
【0015】
1 検出ユニット
11 接触燃焼式ガスセンサ
12 補償素子
14、15 基準抵抗
21 定電流手段
L1〜L5 線路
T1〜T4 端子
S 温度検出素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触燃焼式ガスセンサ、補償素子、基準抵抗をブリッジ接続した検出ユニットと、前記検出ユニットの出力に基づいてをガス濃度を検出するガス濃度演算手段とを備えたガス測定装置において、
前記検出ユニットの補償素子と基準抵抗とに発生する負荷電圧を検出して、前記ガス濃度演算手段のガス濃度を補正する温度補正手段を有するガス濃度測定装置。
【請求項2】
前記検出ユニットに定電流手段により駆動電力が供給されている請求項1に記載のガス濃度測定装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−47545(P2012−47545A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188962(P2010−188962)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(000250421)理研計器株式会社 (216)
【Fターム(参考)】