説明

ガス燃焼装置

【課題】バーナへの燃料ガスの供給路に設けられた開閉弁を駆動するためのスイッチング素子の異常の有無を、より確実に検知することができるガス燃焼装置を提供する。
【解決手段】第1FET21と第2FET22を共にオフ制御したときに、入力ポートPi1への入力がLowとなるという第1判定条件と、第1FET21をオン制御すると共に第2FET22をオフ制御したときに、入力ポートPi1への入力がHighとなるという第2判定条件と、第1FET21をオフ制御すると共に第2FET22をオン制御したときに、入力ポートPi1への入力がLowになると共に入力ポートPi2への入力がHighとなるという第3判定条件とが、全て成立するときに、燃焼制御手段11によるバーナの燃焼運転を許可し、第1判定条件から第3判定条件のうち少なくとも1つが成立しないときには、燃焼制御手段11によるバーナの燃焼運転を禁止する異常検知手段12を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーナのガス供給路に設けられた開閉弁を開閉して、バーナの燃焼を制御するガス燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、バーナのガス供給路に設けられた開閉弁の駆動回路(開閉弁の駆動コイル、開閉弁の駆動コイルと電源間に接続されたリレーのコイル等)を、電源の端子間にスイッチング素子と直列に接続し、このスイッチング素子のオン(導通状態)/オフ(遮断状態)を切換えることによって、バーナに対する燃料ガスの供給と遮断を制御するガス燃焼装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−93047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、スイッチング素子を用いてバーナのガス供給路に設けられた開閉弁の開弁と閉弁を制御する場合、バーナの燃焼運転を実行するときに、スイッチング素子に異常がないことが担保されていることが望ましい。
【0005】
そこで、本発明は、バーナへの燃料ガスの供給路に設けられた開閉弁を駆動するためのスイッチング素子の異常の有無を、より確実に検知することができるガス燃焼装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、本発明のガス燃焼装置は、バーナと、前記バーナの燃料供給路に設けられた開閉弁と、電源と、前記電源から供給される電力により作動して、前記開閉弁の開弁と閉弁を切換える開閉弁駆動回路と、前記電源の負極と前記開閉弁駆動回路間に接続された第1スイッチング素子と、前記電源の正極と前記開閉弁駆動回路間に接続された第2スイッチング素子と、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子を共にオン制御して、前記開閉弁駆動回路を作動させることにより前記開閉弁を開弁し、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子の少なくともいずれか一方をオフ制御して、前記開閉弁駆動回路の作動を停止することにより前記開閉弁を閉弁して、前記バーナの燃焼を制御する燃焼制御手段と、前記第1スイッチング素子と前記開閉弁駆動回路との接続箇所である第1確認箇所と、前記電源の出力電圧以下の所定電圧の出力部との間に接続されたプルアップ抵抗と、前記第2スイッチング素子と前記開閉弁駆動回路との接続箇所である第2確認箇所と前記電源の負極間に接続されたプルダウン抵抗とを備えている。
【0007】
本発明においては、前記開閉弁駆動回路が前記第1スイッチング素子を介して前記電源の負極に接続されると共に前記第2スイッチング素子を介して前記電源の正極に接続されている。そのため、前記第1スイッチング素子をオフ状態にすることで、前記開閉弁を閉弁状態に維持して前記第2スイッチング素子をオンすることができる。同様に、前記第2スイッチング素子をオフ状態にすることで、前記開閉弁を閉弁状態に維持して前記第1スイッチング素子をオンすることができる。
【0008】
そして、本発明の第1の態様は、前記第1確認箇所との接続経路を介して前記第1確認箇所の電圧に応じた第1アンサ信号を入力すると共に、前記第2確認箇所との接続経路を介して前記第2確認箇所の電圧に応じた第2アンサ信号を入力し、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子を共にオフ制御したときに、前記第2アンサ信号が、前記第1確認箇所の電圧が前記所定電圧よりも低く設定された第1閾値電圧よりも高いことを示すものになるという第1判定条件と、前記第1スイッチング素子をオン制御すると共に前記第2スイッチング素子をオフ制御したときに、前記第1アンサ信号が、前記第1確認箇所の電圧が前記第1閾値電圧よりも低いことを示すものになるという第2判定条件と、前記第2スイッチング素子をオン制御すると共に前記第1スイッチング素子をオフ制御したときに、前記第2アンサ信号が、前記第2確認箇所の電圧が前記電源の出力電圧よりも低く設定された第2閾値電圧よりも高いことを示すものになり、且つ、前記第1アンサ信号が前記第1確認箇所の電圧が前記第1閾値電圧よりも低いことを示すものになるという第3判定条件とが、全て成立するときに、前記燃焼制御手段による前記バーナの燃焼の制御を許可し、前記第1判定条件から前記第3判定条件のうち、少なくとも1つが成立しないときには、前記燃焼制御手段による前記バーナの燃焼の制御を禁止する異常検知手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
かかる本発明によれば、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子を共にオフ制御したときに、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子が正常に動作すれば、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子が共にオフ状態(遮断状態)となる。そして、この場合、前記第2確認箇所が前記プルアップ抵抗を介して前記所定電圧の出力部と接続されているため、前記第2確認箇所と前記異常検知手段との接続経路に断線が生じていなければ、前記第2アンサ信号は前記第2確認箇所の電圧が前記第1閾値電圧よりも高いことを示すものとなって前記第1判定条件が成立する。
【0010】
また、前記第1スイッチング素子をオン制御すると共に前記第2スイッチング素子をオフ制御したときに、前記第1スイッチング素子が正常に動作しており、且つ、前記第1確認箇所と前記異常検知手段との接続経路に断線が生じていなければ、前記異常検知手段に入力される前記第1アンサ信号は、前記第1確認箇所の電圧が前記第1閾値電圧よりも低いことを示すものとなって前記第2判定条件が成立する。
【0011】
さらに、前記第1スイッチング素子をオフ制御すると共に前記第2スイッチング素子をオン制御したときに、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子が正常に動作しており、且つ、前記第1確認箇所及び前記第2確認箇所と前記異常検知手段との接続経路に断線が生じていなければ、前記異常検知手段に入力される前記第1アンサ信号が、前記第1確認箇所の電圧が前記第1閾値電圧よりも低いことを示すものとなり、また、前記異常検知手段に入力される前記第2アンサ信号が、前記第2確認箇所の電圧が前記第2閾値電圧よりも高いことを示すものとなって、前記3判定条件が成立する。
【0012】
このように、前記第1〜第3判定条件が全て成立しているときは、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子が正常に動作しており、且つ、前記第1確認箇所及び前記第2確認箇所と前記異常検知手段との接続経路に断線が生じていないと判断することができる。
【0013】
そこで、前記異常検知手段は、前記第1〜第3判定条件が全て成立するときに前記燃焼制御手段による前記バーナの燃焼の制御を許可し、前記第1判定条件から前記第3判定条件のうち、少なくとも1つが成立しないときには、前記燃焼制御手段による前記バーナの燃焼の制御を禁止する。
【0014】
そして、前記第1〜第3判定条件は、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子の少なくともいずれか一方をオフ状態とするものであるため、前記異常検知手段は、前記開閉弁を開弁せずに前記第1〜第3判定条件の成立の有無を判断することができ、前記第1〜第3判定条件の成立により、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子が正常に動作していることをより確実に検知できる場合に限って、前記燃焼制御手段による前記バーナの燃焼の制御を実行させることができる。
【0015】
次に、本発明の第2の態様は、前記第1確認箇所との接続経路を介して前記第1確認箇所の電圧に応じた第1アンサ信号を入力すると共に、前記第2確認箇所との接続経路を介して前記第2確認箇所の電圧に応じた第2アンサ信号を入力し、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子のオン・オフ制御の状況と、前記第1アンサ信号及び前記第2アンサ信号とに基づいて、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子の故障と、前記第1確認箇所との接続経路及び前記第2確認箇所との接続経路の断線とを検知する異常検知手段とを備えたことを特徴とする。
【0016】
かかる本発明によれば、前記第2確認箇所が前記プルダウン抵抗を介して前記電源の負極に接続されている。そのため、前記第1スイッチング素子をオフ制御して前記第2スイッチング素子をオン及びオフ制御したときに、前記第2スイッチング素子が正常に動作していれば、前記第2確認箇所の電圧が前記電源の正極の電圧付近と負極の電圧付近に切り換わる。そして、前記第2確認箇所と前記異常検知手段の接続経路に断線が生じていなければ、前記異常検知手段には、前記第2確認箇所の電圧に応じた前記第2アンサ信号が入力される。
【0017】
また、前記第1確認箇所が前記プルアップ抵抗を介して前記所定電圧の出力部に接続されている。そのため、前記第2スイッチング素子をオフ制御して前記第1スイッチング素子をオン及びオフ制御したときに、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子が正常に動作していれば、前記第1確認箇所の電圧が前記電源の負極の電圧付近と前記所定電圧付近に切り換わる。そして、前記第1確認箇所と前記異常検知手段の接続経路に断線が生じていなければ、前記異常検知手段には、前記第1確認箇所の電圧に応じた前記第1アンサ信号が入力される。
【0018】
そこで、前記異常検知手段は、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子のオン・オフ制御の状況と、前記第1アンサ信号及び前記第2アンサ信号とに基づいて、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子の故障と、前記第1確認箇所との接続経路及び前記第2確認箇所との接続経路の断線とを、確実に検知することができる。そして、前記第1〜第3判定条件は、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子の少なくともいずれか一方をオフ状態とするものであるため、前記異常検知手段は、前記開閉弁を開弁せずに前記第1〜第3判定条件の成立の有無を判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のガス燃焼装置であるガスコンロの回路構成図。
【図2】異常検知手段による処理のフローチャート。
【図3】第1FET1と第2FETが正常に動作し、第1確認個所及び第2確認箇所とマイコンの接続経路の断線が生じていない状態で、異常検知手段による処理が実行された場合のタイミングチャート。
【図4】第2FETがオン故障している状態、及び第1確認箇所とマイコンの接続経路の断線が生じている状態で、異常検知手段による処理が実行された場合のタイミングチャート。
【図5】第1FETがオン故障している状態、及び第1確認箇所とマイコンとの接続経路の断線が生じている状態で、異常検知手段による処理が実行された場合のタイミングチャート。
【図6】第2FETがオン故障し、第2FETとマイコンとの接続経路の断線が生じている状態で、異常検知手段による処理が実行された場合のタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態の一例について、図1〜図6を参照して説明する。
【0021】
図1を参照して、本実施形態のガス燃焼装置は例えばガスコンロであり、バーナ(図示しない)のガス供給路に設けれられた電磁開閉弁1(弁の開閉機構部分が本発明の開閉弁に相当する)と、ガスコンロの作動を制御するマイクロコンピュータ10(以下、マイコン10という)と、電磁開閉弁1用の電圧V13(13V)とマイコン10用の電圧V5(5V、本発明の所定電圧に相当する)を出力する電源20と、電源20のGND端子(本発明の負極に相当する)と電磁開閉弁1の駆動コイル(本発明の開閉弁駆動回路に相当する)との間に接続された第1FET21(本発明の第1スイッチング素子に相当する)と、電源20のV13の出力端子(本発明の正極に相当する)と電磁開閉弁1の駆動コイルとの間に接続された第2FET22(本発明の第2スイッチング素子に相当する)とを備えている。
【0022】
第1FET21のゲートは、抵抗30を介してマイコン10の出力ポートPo1に接続されており、出力ポートPo1の出力レベルがHigh(V5レベル)であるときに第1FET21がオン(導通状態)し、出力ポートPo1の出力レベルがLow(GNDレベル)であるときに第1FET21がオフ(遮断状態)する。
【0023】
電磁開閉弁1の駆動コイルと第1FET21との接続箇所である第1確認箇所C1は、反転素子31を介してマイコン10の入力ポートPi1に接続されている。さらに、第1確認箇所C1は、プルアップ抵抗32を介してV5出力端子に接続されている。これにより、入力ポートPi1に入力される第1アンサ信号Ans1が、第1確認箇所C1の電圧がV5とGND間の第1閾値電圧Vth1(例えばV5/2)よりも高いときはLow(GNDレベル)となり、第1確認箇所C1の電圧が閾値電圧Vthよりも低いときにはHigh(V5レベル)となる構成とされている。
【0024】
第2FET22のゲートは、抵抗35及び反転素子36を介してマイコン10の出力ポートPo2に接続されており、出力ポートPo2の出力レベルがHigh(V5レベル)であるときに第2FET22がオン(導通状態)し、出力ポートPo2の出力レベルがLow(GNDレベル)であるときに第2FET22がオフ(遮断状態)となる。
【0025】
電磁開閉弁1の駆動コイルと第2FET22との接続箇所である第2確認箇所C2は、抵抗37を介してマイコン10の入力ポートPi2と接続されている。また、入力ポートPi2は抵抗38(本発明のプルダウン抵抗に相当する)を介してGNDに接続されている。そのため、第2確認箇所C2とGND間の電圧を、抵抗37と抵抗38で分圧した電圧が、マイコン10の入力ポートPi2に入力される。
【0026】
そして、これにより、入力ポートPi2に入力される第2アンサ信号Ans2が、第2確認箇所C2の電圧がV13とGNDの間に設定された第2閾値電圧Vth2(例えばV13/2)よりも高いときはHigh(V5レベル)となり、第2確認箇所C2の電圧が閾値電圧Vthよりも低いときにはLow(GNDレベル)となる構成とされている。
【0027】
マイコン10の出力ポートPo3とV5の出力部との間には、LED40と抵抗41と反転素子42が直列に接続されており、出力ポートPo3の出力レベルがHigh(V5レベル)であるときはLED40が点灯する。また、出力ポートPo3の出力レベルがLow(GNDレベル)であるときにはLED40が消灯する。
【0028】
マイコン10は、電源20のV5の出力端子と接続され、メモリ13に保持されたガスコンロの制御用プログラムを実行することにより、バーナの燃焼運転を実行する燃焼制御手段11と、第1FET21及び第2FET22の異常を検知する異常検知手段12として機能する。
【0029】
次に、図2に示したフローチャートに従って、異常検知手段12による処理について説明する。異常検知手段12は、使用者によるバーナの点火操作がなされたときにSTEP1以下の処理を実行する。
【0030】
異常検知手段12は、STEP1でマイコン10の出力ポートPo1とPo2の出力を共にLowとする(第1FET21と第2FET22のオフ制御)。この場合、第1FET21と第2FET22が正常に動作してオフ状態となり、且つ、第2確認箇所C2からマイコン10の入力ポートPi2までの接続経路の断線が生じていなければ、入力ポートPi2に入力される第2アンサ信号Ans2はLowとなる。
【0031】
そこで、次のSTEP3で、異常検知手段12は、入力ポートPi2への入力がLowであるか否かを判断し、入力ポートPi2への入力がLowであるとき(正常時)はSTEP4に進む。一方、入力ポートPi2への入力がHighであるとき(異常時)にはSTEP20に分岐し、異常検知手段12は、第2FET故障フラグをセットしてSTEP4に進む。
【0032】
続くSTEP4で、異常検知手段12は、出力ポートPo1をHighにする(第1FET21のオン制御)と共に、出力ポートPo2をLowにする(第2FET22のオフ制御)。この場合、第1FET21が正常に動作してオン状態となり、且つ、第1確認箇所C1からマイコン10の入力ポートPi1までの接続経路の断線が生じていなければ、入力ポートPi1に入力される第1アンサ信号Ans1はHighとなる。
【0033】
そこで、次のSTEP5で、異常検知手段12は、入力ポートPi1への入力がHighであるか否かを判断し、入力ポートPi1への入力がHighであるとき(正常時)はSTEP6に進む。一方、入力ポートPi1への入力がLowであるとき(異常時)にはSTEP30に分岐し、異常検知手段12は、第1アンサ断線フラグをセットしてSTEP6に進む。
【0034】
続くSTEP6で、異常検知手段12は、出力ポートPo1の出力をLowにする(第1FET21のオフ制御)と共に、出力ポートPo2の出力をHighにする(第2FET22のオン制御)。この場合、第1FET21が正常に動作してオフ状態になると共に、第2FET22が正常に動作してオン状態になり、且つ、第1確認箇所C1と入力ポートPi1間の接続経路の断線と第2確認箇所C2と入力ポートPo2間の接続経路の断線が生じていなければ、入力ポートPi1に入力される第1アンサ信号Ans1がLowになると共に、入力ポートPi2に入力される第2アンサ信号Ans2がHighになる。
【0035】
そこで、次のSTEP7で、異常検知手段12は、入力ポートPi1への入力がLowであるか否かを判断し、入力ポートPi1への入力がLowであるとき(正常時)はSTEP8に進む。一方、入力ポートPi1への入力がHighであるとき(異常時)にはSTEP40に分岐し、異常検知手段12は、第1FET故障フラグをセットしてSTEP8に進む。
【0036】
また、STEP8で、異常検知手段12は、入力ポートPi2への入力がHighであるか否かを判断し、入力ポートPi2への入力がHighであるとき(正常時)はSTEP9に進む。一方、入力ポートPi2への入力がHighであるとき(異常時)にはSTEP50に分岐し、異常検知手段12は、第2アンサ断線フラグをセットしてSTEP9に進む。
【0037】
STEP9で、異常検知手段12は、STEP20,STEP30,STEP40,STEP50のいずれかでセットされたフラグがあるか否かを判断する。ここで、STEP3の第1判定条件と、STEP5の第2判定条件と、STEP7,8の第3判定条件が全て成立しているとき(全てYESになったとき)は、第1FET21及び第2FET22のオン故障が生じておらず、且つ、第1確認箇所C1と入力ポートPi1間の接続経路の断線と、第2確認箇所C2と入力ポートPi2間の接続経路の断線が生じていない。
【0038】
そのため、マイコン10で、第1FET21と第2FET22の動作状況を、確実に検知できる状態となっている。そこで、この場合にはSTEP10に進み、異常検知手段12は、燃焼制御手段11によるバーナの燃焼運転を許可する。
【0039】
一方、セットされたフラグがあるときはSTEP60に分岐し、異常検知手段12は、燃焼制御手段11によるバーナの燃焼運転の実行を禁止する。また、異常検知手段12は、主力ポートPo3の出力をHighとしてLED40を点灯し、これにより、第1FET21のオン故障、第2FET22のオン故障、第1確認箇所C1と入力ポートPi1間の接続経路の断線、及び、第2確認箇所C2と入力ポートPi2間の接続経路の断線のいずれかが生じていることを使用者に報知する。
【0040】
なお、第1FET故障フラグ、第2FET故障フラグ、第1アンサ断線フラグ、及び第2アンサ断線フラグのセットの有無から、オン故障しているFET及び断線が生じている接続経路を特定することができるため、異常個所を特定した報知を行なうようにしてもよい。
【0041】
次に、図3は、第1FET21及び第2FET22が共に正常に動作し、且つ、第1確認箇所C1と入力ポートPi1間の接続経路の断線と、第2確認箇所C2と入力ポートPi2間の接続経路の断線が生じていない場合に、上述した図2のフローチャートによる処理を行ったときのタイミングチャートである。
【0042】
図3のタイミングチャートは、上から順に、第2FET22のオン/オフ指示、第1FET21のオン/オフ指示、第2FET22の実際のオン/オフ状態、第1FET21の実際のオン/オフ状態、第2アンサ信号Ans2(入力ポートPi2への入力)、第1アンサ信号Ans1(入力ポートPi1への入力)の推移を示したものである。
【0043】
図3のT1は、図2のフローチャートのSTEP2に対応しており、第1FET21と第2FET22が共にオフ制御(出力ポートPo1,Po2の出力が共にLow)されている。そして、第1FET21と第2FET22が共にオフ状態となり、第1アンサ信号Ans1と第2アンサ信号Ans2が共にオフ(入力ポートPi1,Pi2への入力が共にLow)となっている。
【0044】
また、T1においては第1判定条件による正常確認(1)が実行され、T2においては第2判定条件による正常確認(2)が実行され、T3においては第3判定条件による正常確認(3),正常確認(4)が実行されている。
【0045】
次に、図4〜図6を参照して、上述した図2のフローチャートによる処理によって、第1FET21のオン故障、第2FET22のオン故障、第1確認箇所C1と入力ポートPi1との接続経路(第1FET21のアンサライン)の断線、及び、第2確認箇所C2と入力ポートPi2との接続箇所(第2FET22のアンサライン)の断線が検知される場合について説明する。
【0046】
先ず、図4(a)は、第2FET22がオン故障しているときに、上述した図2のフローチャートによる処理を実行した場合のタイミングチャートを、図3と同様に示したものである。
【0047】
図4(a)では、第2FET22がオン故障により常時通電状態となっているため、第2アンサ信号Ans2が常時Highになっている(入力ポートPi2への入力が常時High)。そのため、T1で第1判定条件が成立せずに、異常が検出されている。
【0048】
次に、図4(b)は、第1FET21のアンサラインが断線しているときに、上述した図2のフローチャートによる処理を実行した場合のタイミングチャートを、図3と同様に示したものである。
【0049】
図4(b)では、第1FET21のアンサラインが断線しているため、第1アンサ信号Ans1が常時Lowになっている(入力ポートPi1への入力が常時Low)。そのため、T2で第2判定条件が成立せず、異常が検出されている。
【0050】
次に、図5(a)は、第1FET21がオン故障しているときに、上述した図2のフローチャートによる処理を実行した場合のタイミングチャートを、図3と同様に示したものである。
【0051】
図5(a)では、第1FET21がオン故障により常時導通状態となっているため、第1アンサ信号Ans1が常時Highになっている(入力ポートPi1への入力が常時High)。そのため、T3で第3判定条件が成立せず、異常が検出されている。
【0052】
次に、図5(b)は、第1FET21がオン故障しており、且つ、第1FET21のアンサラインが断線しているときに、上述した図2のフローチャートによる処理を実行した場合のタイミングチャートを、図3と同様に示したものである。
【0053】
図5(b)では、第1FET21のアンサラインが断線しているため、第1アンサ信号Ans1が常時Lowになっている(入力ポートPi1への入力が常時Low)。そのため、T2で第2判定条件が成立せず、異常が検出されている。
【0054】
次に、図6は、第2FET22がオン故障しており、且つ、第2FET22のアンサラインが断線しているときに、上述した図2のフローチャートによる処理を実行した場合のタイミングチャートを、図3と同様に示したものである。
【0055】
図6では、第2FET22のアンサラインが断線しているため、第2アンサ信号Ans2が常時Lowになっている(入力ポートPi2への入力が常時High)。そのため、T3で第4判定条件が成立せず、異常が検出されている。
【0056】
以上説明したように、第1FET21のオン故障、第2FET22のオン故障、第1FET21のアンサラインの断線、第2FET22のアンサラインの断線のいずれかが生じているときには、第1判定条件〜第3判定条件のいずれかが不成立となる。そのため、第1判定条件〜第3判定条件の全てが成立するときに、バーナの燃焼運転を許可することによって、第1FET21及び第2FET22の動作保証の信頼性を向上させることができる。
【0057】
なお、本実施形態では、本発明をガスコンロに適用した例を示したが、開閉弁を開閉制御するスイッチング素子の故障の有無を検知するガス燃焼装置であれば、本発明の適用が可能である。
【0058】
また、本実施の形態では、本発明のスイッチング手段としてFET21,22を示したが、バイポーラトランジスタやリレーを用いてもよい。
【0059】
また、本実施の形態では、本発明の開閉弁として電磁開閉弁1を示したが、モータ等の他の電気アクチュエータにより開閉駆動される開閉弁を用いてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1…電磁開閉弁、10…マイクロコンピュータ、11…燃焼制御手段、12…異常検知手段、20…電源、21…第1FET、22…第2FET、32…プルアップ抵抗、38…プルダウン抵抗。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナと、
前記バーナの燃料供給路に設けられた開閉弁と、
電源と、
前記電源から供給される電力により作動して、前記開閉弁の開弁と閉弁を切換える開閉弁駆動回路と、
前記電源の負極と前記開閉弁駆動回路間に接続された第1スイッチング素子と、
前記電源の正極と前記開閉弁駆動回路間に接続された第2スイッチング素子と、
前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子を共にオン制御して、前記開閉弁駆動回路を作動させることにより前記開閉弁を開弁し、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子の少なくともいずれか一方をオフ制御して、前記開閉弁駆動回路の作動を停止することにより前記開閉弁を閉弁して、前記バーナの燃焼を制御する燃焼制御手段と、
前記第1スイッチング素子と前記開閉弁駆動回路との接続箇所である第1確認箇所と、前記電源の出力電圧以下の所定電圧の出力部との間に接続されたプルアップ抵抗と、
前記第2スイッチング素子と前記開閉弁駆動回路との接続箇所である第2確認箇所と前記電源の負極間に接続されたプルダウン抵抗と、
前記第1確認箇所との接続経路を介して前記第1確認箇所の電圧に応じた第1アンサ信号を入力すると共に、前記第2確認箇所との接続経路を介して前記第2確認箇所の電圧に応じた第2アンサ信号を入力し、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子を共にオフ制御したときに、前記第2アンサ信号が、前記第1確認箇所の電圧が前記所定電圧よりも低く設定された第1閾値電圧よりも高いことを示すものになるという第1判定条件と、前記第1スイッチング素子をオン制御すると共に前記第2スイッチング素子をオフ制御したときに、前記第1アンサ信号が、前記第1確認箇所の電圧が前記第1閾値電圧よりも低いことを示すものになるという第2判定条件と、前記第2スイッチング素子をオン制御すると共に前記第1スイッチング素子をオフ制御したときに、前記第2アンサ信号が前記第2確認箇所の電圧が前記電源の出力電圧よりも低く設定された第2閾値電圧よりも高いことを示すものになり、且つ、前記第1アンサ信号が前記第1確認箇所の電圧が前記第1閾値電圧よりも低いことを示すものになるという第3判定条件とが、全て成立するときに、前記燃焼制御手段による前記バーナの燃焼の制御を許可し、前記第1判定条件から前記第3判定条件のうち、少なくとも1つが成立しないときには、前記燃焼制御手段による前記バーナの燃焼の制御を禁止する異常検知手段とを備えたことを特徴とするガス燃焼装置。
【請求項2】
バーナと、
前記バーナの燃料供給路に設けられた開閉弁と、
電源と、
前記電源から供給される電力により作動して、前記開閉弁の開弁と閉弁を切換える開閉弁駆動回路と、
前記電源の負極と前記開閉弁駆動回路間に接続された第1スイッチング素子と、
前記電源の正極と前記開閉弁駆動回路間に接続された第2スイッチング素子と、
前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子を共にオン制御して、前記開閉弁駆動回路を作動させることにより前記開閉弁を開弁し、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子の少なくともいずれか一方をオフ制御して、前記開閉弁駆動回路の作動を停止することにより前記開閉弁を閉弁して、前記バーナの燃焼を制御する燃焼制御手段と、
前記第1スイッチング素子と前記開閉弁駆動回路との接続箇所である第1確認箇所と、前記電源の出力電圧以下の所定電圧の出力部との間に接続されたプルアップ抵抗と、
前記第2スイッチング素子と前記開閉弁駆動回路との接続箇所である第2確認箇所と前記電源の負極間に接続されたプルダウン抵抗と、
前記第1確認箇所との接続経路を介して前記第1確認箇所の電圧に応じた第1アンサ信号を入力すると共に、前記第2確認箇所との接続経路を介して前記第2確認箇所の電圧に応じた第2アンサ信号を入力し、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子のオン・オフ制御の状況と、前記第1アンサ信号及び前記第2アンサ信号とに基づいて、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子の故障と、前記第1確認箇所との接続経路及び前記第2確認箇所との接続経路の断線とを検知する異常検知手段とを備えたことを特徴とするガス燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−122791(P2011−122791A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282017(P2009−282017)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】