説明

ガス警報器

【課題】ガス警報器が正しく取り付けられていない場合に、取り付け異常警報を報知したり、あるいはガス警報器に接続したガスメータ側でガス警報器の取り付け異常を確認できるようにすることで誤設置を防止し、あわせてガス警報器の故障を防ぐこと
【解決手段】ガス警報器は筐体姿勢検知センサ8を有し、この筐体姿勢検知センサ8は、例えば、移動錘となる金属球13が移動する溝12と、金属球13を検知する検知手段14とを有している。ガス警報器が正しく取り付けられている場合は、図5(a)、(c)に示すように、検知手段14は金属球13を検知し、正しく取り付けられていない場合は、図5(b)、(d)に示すように、検知手段14は金属球13を検知しない。そして、後者の場合に取付位置異常警報を行うようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス警報器に関し、より詳細には、取り付け異常を確認することができるガス警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガス警報器は、ガスを検出しやすいようにガス警報器本体の筐体外郭部にスリットが設けられ、壁面に取り付けられ使用されていた。ガス警報器の取り付けに当たっては、例えば、特許文献1に記載されているようなガス警報器付属の取付板を使用して、ガス警報器を正しい方法(方向)で取り付けることが取扱説明書で示されているものの、設置位置の制約上、横向きに取り付けられる場合もあった。
【0003】
その際、ガス警報器のセンサスリットが重力に対して下方向や、横方向になる場合は、台所調理等の水滴等の影響を受けることは少ないが、センサスリットが上方向に開口していると台所調理等の水滴が、ガスセンサ部分に落下浸入し、水滴の影響を著しく受けることになる。このため、ガスセンサを劣化させたり、ガスセンサが搭載されているプリント基板に水滴が回り込み、プリント基板のパターンを腐食させて故障の原因になる可能性があった。また、設置工事業者によって正しく取り付けられた場合でも、部屋の清掃や引越し等でエンドユーザがガス警報器を外して再設置したような場合、センサスリットが上方向に取り付けられてしまう場合があった。
【特許文献1】特第3745845号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであり、ガス警報器が正しく取り付けられていない場合に、取り付け異常警報を報知したり、あるいはガス警報器に接続したガスメータ側でガス警報器の取り付け異常を確認できるようにすることで誤設置を防止し、あわせてガス警報器の故障を防ぐことを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、ガス漏れを検知して警報するガス警報器において、ガス警報器本体の取り付け状態を検出する筐体姿勢検知部を有し、該筐体姿勢検知部からの取付位置異常を示す信号出力が所定時間を超えた場合に、取り付け異常警報を報知することを特徴とするガス警報器である。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記筐体姿勢検知部が、金属球と、該金属球が移動する溝と、金属球を検知する検知手段を有する筐体姿勢検知センサを備えることを特徴としたものである。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記ガス警報器がガスメータと接続されており、前記筐体姿勢検知部から取付位置異常を示す信号出力が所定時間を超えた場合に、取り付け異常信号をガスメータへ送出することを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0008】
ガス漏れを検知して警報するガス警報器において、ガス警報器本体の取り付け状態を検出する筐体姿勢検知部と、筐体姿勢検知部からの状態信号を所定時間計測する計測部を設けているので、不適切な取り付け状態であらかじめ設定した時間を経過した場合、取り付け異常警報を報知することができる。また、筐体姿勢検知部からの状態信号があらかじめ設定した時間を経過した場合、取り付け異常信号をガスメータへ送出するため、信号線等により接続されたガスメータで取り付け異常を判断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明のガス警報器の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るガス警報器本体のレイアウトを示す図であり、図1(a)は正面図、図1(b)は右側面図、図1(c)は下面図を示す。
図1において、ガス警報器本体は、ガスセンサや電子部品の搭載されたプリント基板を保護する筐体ケース1、プリント基板とケースを保持するベース2,ガスを検知するために筐体ケース1に設けられたセンサスリット3、4、通電時に点灯しガス漏れを検知したときに点滅するLED等の発光素子の表示窓5、ガス漏れ時にブザー音や音声での警報を外部に伝えやすくする発音孔スリット6を有している。
【0010】
図2は、本発明の一実施形態に係るガス警報器のプリント基板組み立て体を示す図であり、図2(a)は正面図、図2(b)は右側面図である。
図2において、ガス警報器の筐体ケース1とベース2は鎖線で示してある。プリント基板10は筐体ケース1とベース2に内蔵されており、プリント基板上10には、ガス漏れ時にブザー音や音声でその旨を警報する警報音発生器7、筐体の姿勢を検知する筐体姿勢検知センサ8、LED等の発光素子9、ガスセンサ11などを搭載している。
【0011】
図3は、本発明の一実施形態に係るガス警報器の筐体姿勢検知センサの構造を示す図である。図3(a)は図2(a)の正面図で示した方向から見たプリント基板上の筐体姿勢検知センサ8の構造を示している。また、図3(b)は右側面図、図3(c)は下面図を示し、内部構造を点線で示している。
【0012】
筐体姿勢検知センサ8の内部(説明のためカバーを外した状態を示している)には、斜度をもって円弧上に移動錘となる金属球13が移動する溝12が設けられておいる。ここで、図3で示すX方向をガス警報器を正面から見て水平右方向、Y方向を鉛直方向、Z方向をガス警報器の正面から裏面へ向かう方向とする場合、金属球13が溝12のX,Y方向に来た場合に接触を感知する検知手段14を配置している。検知手段14には、金属球13を検知できるスイッチ等が使用される。また、溝12は、図2(b)で示すように上部がZ方向(正面から裏面に向かう方向)に傾斜している。
【0013】
なお、金属球13が移動する溝12は、円弧状としているが直線状でもよい。なお、溝12を円弧状にすることにより、金属球13の移動速度が遅くなり、金属球13の衝突による検知手段16への衝撃を緩和することが可能となる。
図3(a)〜(c)で示す金属球13の位置は、図1(a)〜(c)で示すガス警報器の正しい取り付け方向のときの状態と対応しており、検知手段14が金属球13と接触し検知している状態にある。
【0014】
図4は、ガス警報器の取り付け状態に伴う、筐体姿勢検知センサ内部の金属球の状態を示す図である。
図4(a)は図1と同様に、ガス警報器の正しい取り付け方向で取り付けられた際の筐体姿勢検知センサ内部の状態を示しており、金属球13がX方向最右側、Y方向最下位の位置にあり、検知手段14と接触している。
図4(b)は、ガス警報器の右側面が上向きに誤って取り付けられたときの状態を示しており、金属球13は、X方向最左側、Y方向最上端にあり、検知手段14と接触していない。この場合、ケース1の右側面に形成したセンサスリット3が上方を向くため、水滴が、ガスセンサ部分に落下浸入する虞がある。
【0015】
図4(c)は、ガス警報器の右側面が下向きに取り付けられたときの状態を示しており、金属球13は、X方向最左側、Y方向最下端にあり、検知手段14と接触している。この場合、ケース1の右側面に形成したセンサスリット3は下方を向くため、水滴がガスセンサ部分に落下浸入する虞はない。
図4(d)は、ガス警報器の正面が上向きに取り付けられたときの状態を示しており、金属球13は、Z方向最奥側にあり、検知手段14と接触していない。この場合、ケース1の正面に形成したセンサスリット3は上方を向くため、水滴がガスセンサ部分に落下浸入する虞がある。
【0016】
以上の例では、検知手段14のスイッチが金属球13を検知しているときにONとなるようにして、ガス警報器が正常な取り付け位置にあるものと判断するようにしているが、検知手段14が金属球13を検知(接触)しているときにOFFとなり、検知していない場合にONとなるようなスイッチを使用してもよい。そして、後者の場合は、検知手段14がOFFの場合に正常な取り付け位置にあるものと判断するようにすればよい。
【0017】
図5は、本発明の一実施形態に係るガス警報器のブロック図である。
ガス警報器20は、ガス検知部21、表示部23、警報部24、入出力部25、筐体姿勢検知部26、これらの制御を行う制御部22によって構成されている。なお、各部を動作させる電源部は省略している。
【0018】
ガス検知部21は、ガスを検知するガスセンサや、ガスセンサでブリッジを構成するための固定抵抗、警報濃度を設定するための可変抵抗等で構成され、あらかじめ設定したガス濃度以上のガス漏れを検知している。
表示部23はLED等の発光素子9で構成されており、ガス警報器の通電状態における表示、ガス漏れがあったときや、後述するようにガス警報器が正しく取り付けられていない場合に、LEDを点滅または点灯させて報知するようになっている。
【0019】
制御部22は、ガス警報器20の全体を制御するためのものであり、ワンチップマイクロコンピュータ、発振子等で構成されており、ガス検知部21からガス漏れを検知した信号を受け取った際には、表示部23や警報部24を動作させるとともに、入出力部25を通じて外部のガスメータに対して、ガス流路の遮断信号を送出する。また、制御部22は図示しない内部タイマを内蔵しており、筐体姿勢検知部26によって、所定時間以上、ガス警報器の取付状態が正しくない状態が続いた場合にも、表示部23や警報部24を動作させたり、外部入出力部25を通じて外部のガスメータに通知したりしている。
【0020】
警報部24は、ブザーやブザー駆動回路等により構成されてブザーで警報するもの、あるいは、音声LSI、アンプ、スピーカ等で構成されて音声で警報するものが使用される。警報部24は、制御部22により、ガス漏れ時以外にもガス警報器が正しく取り付けられていない場合も、ブザーや音声でその旨を報知させることが可能となっている。
入出力部25は、後述するように、ガスメータと連動し、警報時にガスメータに対して遮断信号を送出したり、ガスメータからのメータ状態信号を受信したりすることが出来るように2組のフォトカプラ等で構成されている。
【0021】
図6は、本発明の一実施形態に係るガス警報器の動作をフローチャートで示した図である。
ガス警報器に電源が投入されると、各部に電源が供給され、ステップS1の初期設定で、表示部23の発光素子9を点灯させ、制御部22に内蔵されたタイマTMをオンさせる。次に、ステップS2へ進み、ガス漏れ監視状態へ移行する。ステップS2でガス検知部21がガス漏れを検知するとステップS3へ進み、警報部24からガス漏れ警報を報知する。また、ステップS2でガス漏れを検知していない場合はステップS4へ進む。
【0022】
ステップS4では筐体姿勢検知センサ8の検知手段14のスイッチが動作(ON)しているか否かを判定する。そして、ステップS4で動作していると判定されれば、ガス警報器が正常位置に取り付けられていると判断し、ステップS5へ進む。ステップS5では、タイマTMをクリアした後、ステップS2へ進んで監視状態を継続する。
次に、ステップS4で筐体姿勢検知センサ8のスイッチが動作していない場合、ステップS6へ進む。ステップS6でタイマTMの値があらかじめ設定してある所定の時間TAを超えた場合、ステップS7へ進み、警報部24から取付位置異常警報を報知する。この場合、警報の方法(ブザー音や音声)はステップS3のガス漏れ警報時とは異なるものを用いることができる。ステップS6でタイマTMが所定の時間TAを超えていない場合はステップS8へ進み、タイマTMのカウントアップを行う。
【0023】
図7は、ガス警報器とガスメータを信号線で接続したときのブロック図を示している。
ガス警報器20は図5で示したガス警報器20と同じであるため、その説明を省略する。ガス警報器20は、信号線31によってガスメータ30と接続されている。ガスメータ30は、入出力部35、双方向遮断弁36、計量部38、表示部39、及び、制御部37を有する。
【0024】
ここで、入出力部35は、ガス警報器20からガス警報器20の監視/警報状態を監視するための信号を受信したり、ガスメータ30の状態をあらかじめ規定された信号によってガス警報器20に送出し、ガス警報器20の警報部24で報知させるための信号の授受を行っている。計量部38はガスの使用量を積算するためのものであり、制御部37は計量部38からの出力に基づいてガス使用量を積算し、この積算流量等を表示部39に表示するようになっている。双方向遮断弁36は、ガス流路に設けられており、ガスの使用状態やガス警報器20からの信号に基づいてガス流路を遮断するために閉止される。また、閉止した遮断弁36については、ガスメータ30に設けられた図示しない復帰スイッチや遠隔操作により開くことが可能である。
【0025】
制御部37は、ガスメータ30の全体を制御するためのものであり、ワンチップマイクロコンピュータ、ROM、RAMなどの記憶装置からなり、各部からの信号を受けて、所定のプログラムを動作させることによってガスメータとしての制御を行っている。表示部39は機械式カウンタや液晶表示装置からなり、ガスメータの種々の状態(検針値、遮断情報、警報器状態)を表示する。なお、信号線31はキャブタイヤコード等の多芯のものが使われる。
【0026】
図8は、ガス警報器の入出力部の詳細を示した図である。
ガス警報器20からの信号出力は、フォトカプラPC1をON‐OFFさせて信号線31の電位を変化させることにより、ガス警報器20からガスメータ側34側へ通知することができる。したがって、ガス検知部21からガス漏れを検知した信号を制御部22が受け取った際には、制御部22が入出力部25のフォトカプラPC1をON‐OFFさせることにより、ガスメータ30へガス漏れ警報の信号を送信することができる。
【0027】
また、ガスメータ30の状態をガス警報器20で報知(遮断状態、遮断前予告等)するために、ガスメータ30からの駆動信号によりフォトカプラPC2をON‐OFFさせることにより可能としている。
【0028】
以上の実施態様では、筐体姿勢検知部26からの状態信号が、あらかじめ設定した時間を経過した場合、取付位置異常警報を警報器24から報知するようにしたが、取り付け異常信号として、ガス漏れ警報信号とは異なる信号態様で、フォトカプラPC1をON‐OFFし、取り付け異常信号をガスメータ30へ送出してもよい。
また、筐体姿勢検知センサ8として、図3で示すような、移動錘となる金属球13が移動する溝12と、金属球13を検知する検知手段14を有するものを用いたが、例えば、特許第4033183号公報で開示されるような、一対の磁石とホールIC、及び、一対の強磁性体を有する振り子から構成されるものを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態に係るガス警報器本体のレイアウトを示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るガス警報器のプリント基板組み立て体を示す図であり。
【図3】本発明の一実施形態に係るガス警報器の筐体姿勢検知センサの構造を示す図である。
【図4】ガス警報器の取り付け状態に伴う、筐体姿勢検知センサ内部の金属球の状態を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るガス警報器のブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るガス警報器の動作をフローチャートで示した図である。
【図7】ガス警報器とガスメータを信号線で接続したときのブロック図である。
【図8】ガス警報器の入出力部の詳細を示した図である。
【符号の説明】
【0030】
1…筐体ケース、2…ベース、3、4…センサスリット、5…表示窓、6…発音孔スリット、7…警報音発生器、8…筐体姿勢検知センサ、9…発光素子、10…プリント基板、11…ガスセンサ、12…溝、13…金属球、14…検知手段、20…ガス警報器、21…ガス検知部、22…制御部、23…表示部、24…警報部、25…入出力部、26…筐体姿勢検知部、30…ガスメータ、31…信号線、35…入出力部、36…双方向遮断弁、37…制御部、38…計量部、39…表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス漏れを検知して警報するガス警報器において、ガス警報器本体の取り付け状態を検出する筐体姿勢検知部を有し、該筐体姿勢検知部からの取付位置異常を示す信号出力が所定時間を超えた場合に、取り付け異常警報を報知することを特徴とするガス警報器。
【請求項2】
前記筐体姿勢検知部が、金属球と、該金属球が移動する溝と、金属球を検知する検知手段を有する筐体姿勢検知センサを備えることを特徴とする請求項1に記載のガス警報器。
【請求項3】
前記ガス警報器がガスメータと接続されており、前記筐体姿勢検知部から取付位置異常を示す信号出力が所定時間を超えた場合に、取り付け異常信号をガスメータへ送出することを特徴とする請求項1または2に記載のガス警報器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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