説明

ガス透過制御フィルムおよび該フィルムを用いた鮮度保持包装フィルム

【課題】酸素透過度および二酸化炭素透過度が高く、かつ二酸化炭素透過度/酸素透過度の比が大きい、青果物や花卉類を包装した際の鮮度保持性に優れるポリプロピレン系樹脂フィルムを提供すること。
【解決手段】ポリプロピレン(A)54〜95重量部と、エチレン−1−オクテンランダム共重合体(B)4〜45重量部と、ジグリセリンオレイン酸エステル、グリセリンオレイン酸エステル、およびひまし油エチレンオキサイド付加物からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤(C)0.1〜3重量部とを含む層を含有するガス透過制御フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガス透過制御フィルムに関し、さらに詳しくは青果物および花卉の包装に適したガス透過制御フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィン系樹脂フィルムは一般に成形性、透明性、防湿性、ヒートシール性に優れ、低価格であることより規格袋、レジ袋などのほか食品、日用品、工業製品など様々な製品の包装資材として広く普及している。しかしながら、青果物や花卉類をフィルムで密封包装すると、水分の蒸散や呼吸の速度が低下するので、初期に一定の鮮度保持効果は得られるものの、呼吸により包装内部の酸素が消費されて、二酸化炭素が高濃度の状態になると、嫌気呼吸による腐敗が始まり急速に鮮度が低下するという問題があった。
【0003】
このため、比較的ガス透過度が高い低密度ポリエチレン(LDPEおよびLLDPE)製フィルムが青果物や花卉類の包装にしばしば使用されているが、ポリプロピレン製やポリスチレン製フィルムに比較すると、透明性と剛性が不足するという問題があった。また、ポリスチレン製フィルムは透明性と剛性があり、ガス透過度も比較的高いのでやはり同目的の包装に使用されているが、ポリプロピレン製や低密度ポリエチレン製フィルムに比較すると、伸びが小さいので破れやすく、またシール強度が低いという問題があった。
【0004】
一方、ポリプロピレン製フィルムは透明性、剛性、シール強度が優れているので、例えば防曇性を付与した二軸延伸ポリプロピレン系フィルムが青果物や花卉類の包装用として使用されている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、ポリプロピレン製フィルムは低密度ポリエチレン製やポリスチレン製フィルムに比較すると、ガス透過度が低いので青果物や花卉類を密封包装する場合の鮮度保持性が劣っていた。
【0005】
そこで、微小な穴を開けてガス透過性を付与したフィルムで、青果物を密封包装する技術が提案されている(例えば特許文献2参照)。しかし、この方法は穴開けを行なうための設備や加工の費用を伴い、かつフィルムの生産性が低下するとともに、穴を通して外部から汚染物質が侵入する可能性があった。
【0006】
また、プロピレン単位の含有量が99.1〜99.9重量%であるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体と、プロピレン単位の含有量が70〜90重量%であるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体を、特定割合で含む樹脂組成物から得られるフィルムが提案されている(例えば特許文献3参照)。本フィルムはプロピレン単独重合体に比較して酸素透過度が向上しているものの、二酸化炭素透過度については特に触れていない。
【0007】
一方、青果物包装の外部から内部に取り込む酸素量を少なく保持し、かつ内部で発生する二酸化炭素を外部に逃がすことで、青果物が低呼吸状態になり、老化が遅くなって鮮度保持性が向上することが知られている。このような青果物の包装内部環境を実現するためには二酸化炭素透過度/酸素透過度の比を比較的大きくすることが必要である。
【0008】
また、ポリプロピレンとエチレン−1−ブテンランダム共重合体、またはエチレン−1−オクテンランダム共重合体からなる剛性、耐熱性、耐衝撃性に優れるポリプロピレン組成物が提案されている(例えば特許文献4参照)。しかし、本特許は基本的に自動車バンパーなどの射出成形製品を対象としたものであり、青果物や花卉類の鮮度保持性を高めた包装用フィルムへの応用については全く想定していなかった。
【0009】
また、特定のシンジオタクティックポリプロピレンとエチレン−オクテン共重合体からなる樹脂組成物をアイソタクティックポリプロピレンよりなる基材層に積層してなる積層フィルムが提案されている(例えば特許文献5参照)。しかし、シンジオタクティックポリプロピレンは一般に結晶化度が低く、軟らかいので主要な用途は従来よりヒートシール材であり、本提案の組成物もヒートシール性の改良を目的とするものであった。
【0010】
また、エチレン−1−オクテン系共重合体とエチレン−プロピレン系共重合体からなる樹脂層を含む共押出積層フィルムが提案されている(例えば特許文献6参照)。しかし、本提案においても当該樹脂層の機能はあくまでヒートシール性であり、共押出積層フィルムに占める厚み割合は最大でも40%である。
【0011】
また、アイソタクチックポリプロピレンとエチレン−オクテン−1共重合体からなるオレフィン系樹脂製フィルムが提案されている(例えば特許文献7参照)。しかし、本提案は実施例で示されているように、全て炭酸カルシウムを10%含み、厚みも0.1mmと厚手の表面化粧用フィルムであり、透明性が重視される青果物や花卉類の包装に適するものではなかった。
【0012】
また、エチレン−プロピレン共重合体と、炭素数が3〜8のα−オレフィンからなるエチレン−α−オレフィン共重合体との混合物に、防曇剤を配合した二軸延伸ポリプロピレン系フィルムが提案されている(例えば特許文献8参照)。しかし、本提案の効果はエチレン−α−オレフィン共重合体の混合による、ポリプロピレン系フィルムの防曇性改良であるとともに、α−オレフィンとしての1−オクテンの優位性やガス透過性については何ら言及していなかった。
【0013】
かかる状況下において先に本発明者はポリプロピレン:55〜95wt%およびエチレン−1−オクテンランダム共重合体:5〜45wt%からなるガス透過制御フィルムを提案したが(特願2005−343926)、よりガス透過度が高くかつ二酸化炭素透過度/酸素透過度の比が大きいフィルムの要望があることが判明した。
【特許文献1】特開2003−291282号公報
【特許文献2】特開平5−153907号公報
【特許文献3】特開2001−106802号公報
【特許文献4】特許2618169号公報
【特許文献5】特開平9−39175号公報
【特許文献6】特開2003−165572号公報
【特許文献7】特開平10−330551号公報
【特許文献8】特許3030446号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は酸素透過度および二酸化炭素透過度が高く、かつ二酸化炭素透過度/酸素透過度の比が大きい、青果物や花卉類を包装した際の鮮度保持性に優れるガス透過制御フィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
ポリプロピレン(A)54〜95重量部と、エチレン−1−オクテンランダム共重合体(B)4〜45重量部と、ジグリセリンオレイン酸エステル、グリセリンオレイン酸エステル、およびひまし油エチレンオキサイド付加物からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤(C)0.1〜3重量部(ただし、(A)と(B)と(C)との合計を100重量部とする)とを含む層を含有するガス透過制御フィルムは、酸素透過度および二
酸化炭素透過度が高く、かつ二酸化炭素透過度/酸素透過度の比が大きいので、青果物や花卉類の鮮度保持包装に極めて好適であることを見出して本発明を完成させた。ポリプロピレン(A)はプロピレン単独重合体(A1)および/またはプロピレン−α−オレフィン共重合体(A2)であることが好ましく、エチレン−1−オクテンランダム共重合体(B)に含まれる1−オクテンから誘導される構成単位の含有量は2〜20モル%であることが好ましい。本発明のフィルムは単層でも多層でもよいが、多層の場合は全体の厚みに対する上記組成からなる層の厚みが50%以上を占めることが好ましい。また、本発明のガス透過制御フィルムは少なくとも一軸方向に延伸されていることが好ましく、二軸方向に延伸されていることがより好ましい。また、本発明のガス透過制御フィルムの内部ヘイズ値は1%未満であることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
このような本発明のガス透過制御フィルムは、従来のポリプロピレン系フィルムはもとより、ポリプロピレンとエチレン−1−オクテンランダム共重合体からなるフィルムに比べても酸素透過度と二酸化炭素透過度が高く、かつ二酸化炭素透過度/酸素透過度の比も大きいので、青果物や花卉類を密封包装した場合の鮮度保持期間を延長することができる。また、フィルムの内部ヘイズが低いので包装内容物の視認性が良好である。さらに本発明のガス透過制御フィルムには、物理的な穴を設けずともガス透過を制御できるので、外部からの汚染物質侵入を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明にかかるガス透過制御フィルムは、ポリプロピレン(A)54〜95重量部と、エチレン−1−オクテンランダム共重合体(B)4〜45重量部と、ジグリセリンオレイン酸エステル、グリセリンオレイン酸エステル、およびひまし油エチレンオキサイド付加物からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤(C)0.1〜3重量部(ただし、(A)と(B)と(C)との合計を100重量部とする)とを含む層(以下、ガス透過制御層ともいう)を含有することを特徴とする。
【0018】
以下に各成分についてさらに詳細に説明する。
本発明で使用するポリプロピレン(A)は、プロピレン単独重合体(A1)および/またはプロピレン−α−オレフィン共重合体(A2)であることが好ましい。またポリプロピレン(A)はアイソタクティックポリプロピレンであることが好ましい。
【0019】
プロピレン−α−オレフィン共重合体(A2)で用いられるα−オレフィンとしては、たとえば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘキサドデセン、4−メチル−1− ペンテン
、2−メチル−1− ブテン、3−メチル−1− ブテン、3,3−ジメチル−1− ブテ
ン、ジエチル−1− ブテン、トリメチル−1− ブテン、3−メチル−1− ペンテン、
エチル−1− ペンテン、プロピル−1− ペンテン、ジメチル−1− ペンテン、メチル
エチル−1− ペンテン、ジエチル−1− ヘキセン、トリメチル−1− ペンテン、3−
メチル−1− ヘキセン、ジメチル−1− ヘキセン、3,5,5−トリメチル−1− ヘ
キセン、メチルエチル−1− ヘプテン、トリメチル−1− ヘプテン、ジメチルオクテン、エチル−1− オクテン、メチル−1− ノネン、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキサン、ビニルノルボルナンなどが挙げられる。これらのα−オレフィンから誘導される構成単位はプロピレン−α−オレフィン共重合体(A2)中に一種類以上、合計10モル%以下の割合で含有することができる。
【0020】
また、本発明で使用するポリプロピレン(A)のメルトフローレート(JIS K7210、230℃、荷重2.16kg)は通常0.5〜10g/10分、好ましくは1〜4g/10分、より好ましくは1.5〜3.5g/分の範囲にある。メルトフローレートが
この範囲にあると、フィルムの成形性および機械的強度が良好であるため好ましい。このようなポリプロピレン(A)は、ガス透過制御層に(A)と(B)と(C)との合計を100重量部とすると54〜95重量部、好ましくは54〜90重量部、より好ましくは59〜90重量部の量で含有されている。この範囲内であるとフィルムの剛性が良好であるため好ましい。
【0021】
本発明で使用するエチレン−1−オクテンランダム共重合体(B)は1−オクテンから誘導される構成単位を2〜20モル%の量で含有していることが好ましく、10〜20モル%の量で含有していることがより好ましい。1−オクテンから誘導される構成単位の量がこの範囲にあると、フィルムの剛性とガス透過度が良好であるため好ましい。
【0022】
また、本発明で使用するエチレン−1−オクテンランダム共重合体(B)は,135℃、デカリン中で測定される極限粘度[η]が1.5〜3.5dl/g、好ましくは2.0〜3.0dl/gである。このようなエチレン−1−オクテンランダム共重合体(B)は、公知のバナジウム系触媒またはメタロセン系触媒を用いて製造することができる。
エチレン−1−オクテンランダム共重合体(B)は、ガス透過制御層に(A)と(B)と(C)との合計を100重量部とすると4〜45重量部、好ましくは9〜45重量部、より好ましくは9〜40重量部の量で含有されている。
本発明で使用する界面活性剤(C)は、ジグリセリンオレイン酸エステル、グリセリンオレイン酸エステル、およびひまし油エチレンオキサイド付加物からなる群から選択される少なくとも1種である。
【0023】
ジグリセリンオレイン酸エステルは、ジグリセリンとオレイン酸のエステル化反応により製造することができ、具体的にはDG−MO(阪本薬品工業(株)製)やポエムJ−2681(理研ビタミン(株)製)などが挙げられる。
【0024】
グリセリンオレイン酸エステルは、グリセリンとオレイン酸のエステル化反応により製造することができ、具体的にはレオドールMO−60(花王(株)製)などが挙げられる。
また、ひまし油エチレンオキサイド付加物は、ひまし油にエチレンオキサイドを通常4〜50モル付加させた化合物で、たとえばSURFRIC CO−10(エチレンオキサイド10モル付加物;伊藤製油(株)製)などが挙げられる。
【0025】
このようなジグリセリンオレイン酸エステル、グリセリンオレイン酸エステル、およびひまし油エチレンオキサイド付加物からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤(C)は本発明のガス透過制御フィルムのガス透過制御層に添加することのできる防曇剤の構成成分であっても良い。界面活性剤(C)はガス透過制御層に、(A)と(B)と(C)との合計を100重量部とすると0.1〜3重量部、好ましくは0.2〜2.5重量部、より好ましくは0.5〜2重量部の量で含有されている。この範囲内であるとフィルムの製膜性と透明性が良好であるため好ましい。
【0026】
本発明のガス透過制御フィルムは、必要に応じて一般的に使用される耐熱安定剤、酸化防止剤、スリップ剤、ブロッキング防止剤、可塑剤、着色剤、核剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤などのほか、防曇剤、防霧剤、抗菌剤、エチレン除去剤などを含有することができる。
【0027】
本発明のガス透過制御フィルムは、ガス透過制御層のみからなる単層フィルムでもよく、ガス透過制御層に他の樹脂層などを積層した多層フィルムでもよい。
本発明のガス透過制御フィルムの厚みは、包装される青果物や花卉類の種類と使用方法にもよるため特に限定されないが、通常10〜100μmであり、好ましくは10〜60μmである。また、ガス透過制御層にヒートシール層や強化層、表面保護層などを積層し
て多層フィルムとする場合には、ガス透過制御層の厚みが、全体の厚みのうち、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、特に好ましくは70%以上を占める。多層フィルムとする場合に、ガス透過制御層の占める割合の上限としては、積層した各層の効果が得られる限り、特に限定はないが、通常は95%以下である。
【0028】
ガス透過制御層に積層する樹脂は特に限定されないが、例えばポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、アイオノマー樹脂、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリスチレン等を挙げることができる。
【0029】
本発明のガス透過制御フィルムは、例えばTダイ法、インフレーション法、カレンダー法などにより成形される。多層フィルムの場合には、例えば共押出により多層成形するか、基材フィルムに押出ラミネート法、またはドライラミネート法で別の樹脂層を積層することにより成形される。
【0030】
また本発明のガス透過制御フィルムは、少なくとも一軸方向に延伸されていることが好ましく、二軸方向に延伸されていることがより好ましい。延伸により、強度、光学性、外観に優れたフィルムが得られる。延伸の方法としては、ロール方式、テンター方式、チューブラー方式などあり、さらに二軸延伸の場合には逐次二軸延伸または同時二軸延伸することができる。延伸倍率は一軸延伸の場合で3〜8倍、二軸延伸の場合で面倍率10〜60倍の範囲が好ましい。
【0031】
本発明のガス透過制御フィルムの内部ヘイズ値(JIS K7105準拠、シクロヘキサノール中で測定)は1%未満である。内部ヘイズ値がこの範囲であるとヒートシール層や強化層、表面保護層などと積層して多層フィルムとした場合にも透明性が良好で、包装された野菜や花卉の見栄えが良くなる。内部ヘイズの下限としては特に限定はないが、通常は0.1%以上である。
【0032】
本発明のガス透過制御フィルムを製造するためには、ジグリセリンオレイン酸エステル、グリセリンオレイン酸エステル、およびひまし油エチレンオキサイド付加物からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤(C)をポリプロピレン(A)およびエチレン−1−オクテンランダム共重合体(B)と共にヘンシェルミキサーなどで混合して直接フィルムに成形しても良いし、当該混合物を一軸押出機や二軸押出機を用いて溶融混合してからフィルムに成形しても良い。さらにジグリセリンオレイン酸エステル、グリセリンオレイン酸エステル、およびひまし油エチレンオキサイド付加物からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤(C)を高濃度で含有するマスターバッチを作製して、このマスターバッチとポリプロピレン(A)およびエチレン−1−オクテンランダム共重合体(B)の混合物とをフィルムに成形しても良い。
【0033】
[実施例]
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、ガス透過度と内部ヘイズは次の測定法による。
(ガス透過度)
(株)東洋精機製作所製 ガス透過率測定装置 MT−C3型を使用して、JIS K7126のA法に準拠して、23℃、0%RHの条件にて測定した。
(内部ヘイズ)
ガラス製のセルにシクロヘキサノールを入れ、その中にフィルムを浸漬して、JIS K7105に準拠して測定した。
【実施例1】
【0034】
1wt%未満のエチレンを含有するアイソタクチックポリプロピレン[プライムポリプ
ロ(登録商標)F113G (株)プライムポリマー製、MFR(JIS K7210、2
30℃ 荷重2.16kg)=3g/10分](以下、PPとも記す)50重量部と、
エチレン−1−オクテンランダム共重合体[1−オクテン単位の含有量15モル%、MFR(JIS K7210、190℃ 荷重2.16kg)=1g/10分](以下、EO
Rとも記す)40重量部と、プライムポリプロF113G中にジグリセリンオレイン酸エステル[阪本薬品(株)製DG−MO]を10wt%含有するマスターバッチ10重量部とをタンブラーで混合(ドライブレンド)して樹脂組成物を得た。
【0035】
次にこの樹脂組成物をTダイ成形機(ダイリップ幅:200mm、押出機:30mmφ、L/D=25)を使用して、押出機設定温度:230℃、ダイ設定温度:230℃、チルロール温度:30℃、引取速度:0.8m/min、片面エアー冷却の条件で成形して、厚み700μmの原反フィルムを得た。次にこの原反フィルムを、150℃の熱風を循環させたテンター内で、延伸速度10m/minで縦方向5倍、横方向7倍に逐次延伸を行い、厚み20μmの二軸延伸フィルムを得た。このフィルムの酸素透過度[GTR(O2)]と二酸化炭素透過度[GTR(CO2)]および内部ヘイズを測定した。結果を表1に示す。
【実施例2】
【0036】
ジグリセリンオレイン酸エステルの代わりにグリセリンオレイン酸エステル[花王(株)
製レオドールMO−60]を使用したほかは実施例1と同様にして厚み20μmの二軸延
伸フィルムを得た。このフィルムの酸素透過度と二酸化炭素透過度および内部ヘイズを測定した。結果を表1に示す。
【実施例3】
【0037】
ジグリセリンオレイン酸エステルの代わりにひまし油エチレンオキサイド付加物[伊藤
製油(株)製SURFRIC CO−10]を使用したほかは実施例1と同様にして厚み2
0μmの二軸延伸フィルムを得た。このフィルムの酸素透過度と二酸化炭素透過度および内部ヘイズを測定した。結果を表1に示す。
【0038】
[比較例1]
マスターバッチは使用せず、プライムポリプロF113G60重量部とエチレン−1−オクテンランダム共重合体(EOR)40重量部に変更したほかは実施例1と同様にして厚み20μmの二軸延伸フィルムを得た。このフィルムの酸素透過度と二酸化炭素透過度および内部ヘイズを測定した。結果を表1に示す。
【0039】
[比較例2]
ジグリセリンオレイン酸エステルの代わりにグリセリンステアリン酸エステル[花王(株)製レオドールMS−50]を使用したほかは実施例1と同様にして厚み20μmの二軸延伸フィルムを得た。このフィルムの酸素透過度と二酸化炭素透過度および内部ヘイズを測定した。結果を表1に示す。
[比較例3]
ジグリセリンオレイン酸エステルの代わりにジグリセリンステアリン酸エステル[阪本
薬品(株)製DG−MS]を使用したほかは実施例1と同様にして厚み20μmの二軸延伸
フィルムを得た。このフィルムの酸素透過度と二酸化炭素透過度および内部ヘイズを測定した。結果を表1に示す。
[比較例4]
ジグリセリンオレイン酸エステルの代わりにステアリルジエタノールアミンステアリン酸エステル61%とグリセリンステアリン酸エステル39%からなる防曇剤を使用したほ
かは実施例1と同様にして厚み20μmの二軸延伸フィルムを得た。このフィルムの酸素透過度と二酸化炭素透過度および内部ヘイズを測定した。結果を表1に示す。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明により提供されるガス透過制御フィルムは、ポリプロピレンとエチレン−1−オクテンランダム共重合体のみからなるフィルムに比べて酸素透過度と二酸化炭素透過度が高く、かつ二酸化炭素透過度/酸素透過度の比が大きい。また本発明のガス透過制御フィルムには、物理的な穴が存在しないので、外部からの汚染物質侵入を防ぐことができる。これにより本発明により提供されるガス透過制御フィルムは青果物や花卉類の鮮度保持包装材料として好適である。
【0041】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン(A)54〜95重量部と、
エチレン−1−オクテンランダム共重合体(B)4〜45重量部と、
ジグリセリンオレイン酸エステル、グリセリンオレイン酸エステル、およびひまし油エチレンオキサイド付加物からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤(C)0.1〜3重量部(ただし、(A)と(B)と(C)との合計を100重量部とする)と
を含む層を含有するガス透過制御フィルム。
【請求項2】
前記ポリプロピレン(A)がプロピレン単独重合体(A1)および/またはプロピレン−α−オレフィン共重合体(A2)であることを特徴とする請求項1に記載のガス透過制御フィルム。
【請求項3】
前記エチレン−1−オクテンランダム共重合体(B)に含まれる1−オクテンから誘導される構成単位の含有量が2〜20モル%であることを特徴とする請求項1または2に記載のガス透過制御フィルム。
【請求項4】
多層構造を有し、かつ、前記成分(A)、(B)および(C)を含む層が、全体の厚みのうち、50%以上を占めることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガス透過制御フィルム。
【請求項5】
一軸方向に延伸されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のガス透過制御フィルム。
【請求項6】
二軸方向に延伸されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のガス透過制御フィルム。
【請求項7】
内部ヘイズ値(JIS K7105)が1%未満であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のガス透過制御フィルム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のガス透過制御フィルムからなる青果物および/または花卉の鮮度保持包装フィルム。

【公開番号】特開2008−138035(P2008−138035A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−323817(P2006−323817)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(505130112)株式会社プライムポリマー (180)
【Fターム(参考)】