説明

ガラクトースの調製方法

高純度のガラクトースの調製方法に関する。本発明による調製方法は、予め種々の前処理及び/又は精製工程が施されておらず殺菌剤や静菌剤を有さない乳又は乳清を、乳業で通常使用される無改変の微生物で接種するステップを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単糖の製造方法に係り、特に、ガラクトースの調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラクトースは、ラクトース分子を構成する2つの単糖の一つである;ガラクトースは、甘味料として食品工業に使用されるとともに、多くの化学合成における中間体として使用される。
【0003】
乳及び乳由来物に含まれるラクトースから出発する、酵素的及び化学的加水分解によるガラクトースの製造は、公知である。
【0004】
これらの工程において良好な収量で最終製品を得るためには、特許文献1に開示の1つ以上の限外濾過や、蛋白の熱酸沈殿(warm acid precipitation)などにより、乳の蛋白画分を最初に除去する必要がある。
【0005】
また、ラクトースを有する溶液を特定の酵母や細菌に接種してガラクトースを調製する方法を述べる特許文献2では、発酵の前にタンパク質を除去する必要性が強調されている。さらに、この文献によると、この発酵は、種々の微生物を用いて行うことは出来ず、若干の改変を行った酵母や細菌を意図的に選択する必要がある。さらに、特許文献2によると、斯かる改変された細菌を用いる場合、このようにして得たガラクトース溶液を濃縮し、活性炭のステップ又はエタノールによる抽出に先立って1つ以上の結晶化ステップを行うことにより、発酵残渣からガラクトースを抽出する必要がある。
【0006】
さらに、化学的及び酵素的な加水分解反応のいずれにおいても、Saccaromyces genusに属する酵母などの種々の細菌を用いるか、グルコースをグルコン酸に変換し得るグルコースオキシダーゼを用いて酵素的に制御するかにより、グルコースを除く必要がある。
【0007】
上述の公知の方法の主要な制約は、経済的な性質を有するものである:1つ以上のステップで酵素を使用する必要があり、出発材料を精製するのに製造コストが増加する点である。乳清に対して直接行う方法は、事実、化学的手法及び酵素的手法のいずれにおいても、非常に難しいようである。他方、この化学的手法では、高温の強酸を使用する必要があり、有機物質の熱分解に由来する炭素質の着色物質が形成されてしまう;他方、酵素的手法では、懸濁液中に存在する種々の天然材料の存在により、その酵素の有効性が低減されてしまう。
【0008】
従って、上述の公知の方法で述べた欠点を有さず、高い純度でガラクトースを調製し得、複雑な精製工程を行う必要がなく、食品工業及び化学合成に直接使用可能なガラクトースの調製方法が、強く望まれている。
【特許文献1】欧州特許第168127号明細書
【特許文献2】米国特許第3,981,773号明細書
【非特許文献1】Bergey’s Manual of Determinative Bacteriology、1957年、第7編
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
出願人は、乳業で一般的に使用されている無改変の微生物を、種々の前処理又は精製処理を施さず殺菌剤又は静菌剤を有さない乳又は乳清を接種することにより、高い純度でガラクトースが得られることを、驚くべきことに見出した。
【0010】
従って、本発明の目的は、種々の前処理や精製処理が行われておらず種々の殺菌剤や静菌剤を有さない乳又は乳清から出発するガラクトースの調製方法を提供することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、種々の前処理及び精製処理が行われておらず殺菌剤や静菌剤を有さない、乳業で使用される、全重量に対して2.5%のラクトースを少なくとも有する乳清を廃棄する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によるガラクトースの調製方法は:
i)ラクトースを加水分解することができ、従ってガラクトースとグルコースとを得ることができ、且つ得たグルコースを消費することができる、無改変の微生物を用いて、乳又は乳清を接種するステップと;
ii)ステップi)で得た溶液を発酵するステップと;
iii)ステップii)に由来する発酵物から所望するガラクトース溶液を回収するステップと;
を有する。
【0013】
本発明による乳清を廃棄する方法は、ラクトースを加水分解することができ、従ってガラクトースとグルコースとを得ることができ、且つ得たグルコースを消費することができる、無改変の微生物を用いて、乳清を接種した後、上述の方法に従って、発酵させ、その発酵物からガラクトース溶液を回収することを有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明による特徴及び利点を、以下に詳細に示す。
【0015】
本発明による方法は、種々の殺菌剤又は静菌剤を有さない限り、種々の乳清、牛乳、種々の前処理及び精製処理を前もって行っていない水で再構築された粉状の噴霧された乳清(sprayed serum)で、首尾よく使用され得る。
【0016】
以下、特記しない限り、本発明における「乳清」という表現は、殺菌剤又は静菌剤を有さない種々の乳清を意味するものとするとともに、水で再構築された粉状の噴霧された乳清、又は乳業に直接的に由来する、ラクトース若しくは乳タンパク質の含量が低い乳清を意味する。
【0017】
本発明において、出発物質である乳又は乳清中のラクトースの濃度は、乳又は乳清の全重量に対して、2.5%〜飽和濃度までの範囲であることが好ましい;ラクトースが3〜15重量%である場合に、好適な結果が得られる。本発明の特定の実施例によると、出発材料である乳又は乳清は、必要であれば、弱塩基又は強塩基を添加することにより、pHを7.5以下としてもよく、5.0〜7.5のpHであることが好ましく、この塩基としては、無機物であることが好ましく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム及び炭酸アンモニウムからなる群から選択されたものなどが例示される;このようにして得た懸濁液は、その後、本発明による方法におけるステップi)の発酵に対抗して、可能性のある細菌による変化を除去するように、低温発酵される。
【0018】
この低温殺菌の後、この溶液の温度を、典型的には25〜50℃の範囲の温度にまで冷却する。この温度は、上述の接種及び発酵ステップを実行する温度である;この温度は、37〜45℃の範囲となるまで、好ましく冷却される。
【0019】
ラクトースを加水分解することができ従ってガラクトースとグルコースとを得ることができ、得たグルコースを消費することができる種々の無改変の微生物は、この工程に有効に使用され得る。もちろん、乳業や、「乳酸発酵」又は「ヨーグルト発酵」と一般的に称されるのものに使用される天然の微生物などが例示される。
【0020】
さらに、斯かる微生物を有する種々の組成物も、本発明の範囲に含まれるものとして考慮される必要がある。
【0021】
本発明の特定の実施例によると、本発明による方法は、ラクトースを有する乳又は乳清を、乳酸桿菌に属する細菌、又はその組成物で発酵するステップを有する。
【0022】
本発明によると、「乳酸桿菌」族は、非特許文献に報告の分類により命名された族を意味する。乳酸桿菌族に属する細菌のなかで、Streptococcus属及びLactobacillus属並びにこれらの混合物は、本発明による方法のステップi)において乳又は乳清の接種に好ましい。これらの細菌の例としては、Streptococcus Thermophilus、Lactobacillus Bulgaricus、Lactobacillus Caseiからなる群から選択された細菌株に属する細菌が挙げられる。
【0023】
本願出願人は、ラクトースの加水分解に由来し、細菌によるより多い量のガラクトースの消費を回避し、より多いグルコースの消費を得るために、ステップi)の発酵を、16〜24時間で、pH7.5以下、より好ましくは5.0〜7.5のpHで一定に保って行うことが好ましいことを確かめた。必要であれば、このようにして形成されたガラクトースの量を実用的に変化させずにラクトースの濃度をさらに低く保つため、一定のpHで行うこの第一の発酵ステップの後に、5〜60時間の間、さらなる発酵に起因して乳酸を形成することにより、pHを自発的に下げる第二のステップを行う。
【0024】
発酵の間、その懸濁液は、一定に攪拌することが好ましい。
【0025】
一定のpHにおけるこの発酵において、pHは、上述した好ましい無機塩基で例示される弱塩基又は強塩基を添加することにより、上述の好ましい範囲に保たれてもよい。
【0026】
この発酵ステップの終期で、ステップiii)を行う前に、当業者公知の一般的に用いられる手法により、前もった低温殺菌として、第二の低温殺菌を行ってもよい。
【0027】
ステップii)の発酵ステップの産物からの所望するガラクトース溶液の回収は、脂肪、又は乳清若しくは発酵に由来する細菌に由来しない変性タンパク質からなるバイオマスの遠心分離及び/又は限外濾過により除去することで、行われる。
【0028】
限外濾過に由来する産物は、無視できない量のラクトースが存在する場合、このラクトースを除去するようにナノ濾過を行ってもよい。このような状況は、出発材料の乳清にラクトースが16重量%以上含まれる場合に発生する場合があり得る。
【0029】
本発明による方法の特定に実施例によると、バイオマスを除去した後に得られる澄明で黄色の溶液は、導電率が6〜0.5msとなるまで電気透析により脱イオン化され、その後、水素イオン型の強陽イオン樹脂からなるイオン交換樹脂に通し、さらに導電率を10〜100μsとする。このようにして得た溶液は、例えば0.1〜0.8μmのメンブレンを用いて濾過されてもよい。
【0030】
得た溶液から塩を除去した後、(例えば、逆浸透や減圧での蒸留などにより)水を除去してもよく、これにより、所望する濃度のガラクトースを有するシロップが得られる。また、このガラクトースは、当業者公知の常法により十分な濃度からガラクトースを結晶化されてもよい。
【0031】
本発明による方法で得たガラクトース溶液は、溶液に存在する乾燥物質の全重量に対して、約90%のガラクトースと、10%未満のラクトースと、微量のガラクトシル−ガラクトシドとを有する。従って、これらの溶液は、ガラクトースを有する飲料物及びその他の食品調製に、甘味料として直接使用され得る;また、例えば、種々の化学方法における合成中間体としてなどの、高度に結晶収量の良好な純粋なガラクトースを得るようにも使用され得る。
【0032】
これらの他、本発明は、有利に、最終産物の収量を良好とするためにタンパク性画分を最初に除去する必要はなく、また発酵に使用される微生物に直接消費されるグルコースを除去する必要もない。
【0033】
本発明による方法は、乳業で直接由来し種々の精製工程を施されていない乳清で首尾よく使用され得る。
【0034】
本発明によるこの最後の利点により、乳業では除去が困難な乳清の廃棄方法にも適用可能である。
【実施例】
【0035】
以下、本発明を限定するものではない例として、述べる。
【0036】
(例1)
3.5%のラクトースを有する3Lの新鮮な乳清を、90℃で低温殺菌し、その後、37℃に温度調節し、30%のNaOH水溶液でpHを7とする。
【0037】
Streptococcus Thermophilusと、Lactobacillus Bulgaricusと、Lactobacillus Caseiとを混合して、接種する。攪拌下、30%のNaOHでpHを7に保持しつつ18時間後、この塩基の供給を停止し、この混合物を、一時的に酸性化する。さらに8時間後、ラクトースの量は、0.13重量%であり、ガラクトースの量は、1.34重量%である。
【0038】
90℃で低温殺菌後、遠心分離と、限外濾過とにより、バイオマスを除去する。この限外濾過に由来する溶液を、その後、電気透析と、イオン交換カラムへの適用とにより、脱塩する。
【0039】
この溶液は、炭素上で脱色されてもよく、濾過されてもよく、シロップを得るように最終的に濃縮されてもよい。
【0040】
(例2)
出発物質を、粉末状の乳清に噴霧する;これを、全重量に対して5.5%のラクトースを有する2000gの懸濁液を得るように、脱イオン水で再構築する。
【0041】
得た発酵基質を、90℃で低温殺菌し、その後、40℃に温度調節し、7.5重量%の濃度のアンモニウム水溶液でpHを6.5とする。
【0042】
Streptococcus Thermophilusを用いて、接種を行い、攪拌しながら、7.5%のアンモニウム水溶液で、pHを6.5に維持する。
【0043】
21時間後、ラクトースの量は、0.28重量%であり、ガラクトースの量は、2.30重量%である。
【0044】
この培養液を、再度90℃で低温殺菌し、遠心分離と、限外濾過とにより、バイオマスを除去する。遠心分離物に、電気浸透を施す。その後、イオン交換樹脂(強陽イオン樹脂及び弱陰イオン樹脂)で脱塩を完了する。
【0045】
脱色後、公知の方法によりガラクトースを結晶化するように65°ブリックスの糖度が得られるまで、水を蒸発させる:99%の純度で、31gの結晶ガラクトースが得られる。これは、濃縮前の溶液に存在する82%の糖に相当する。
【0046】
(例3)
3.4重量%のラクトースを有する4.5Lの新鮮な乳清を、80°で低温殺菌し、その後、45℃に温度調節する。
【0047】
40%のKOH水溶液を用いて、pHを6.8とし、ヨーグルト発酵物を有するActimel(登録商標)で販売される市販品を用いて、接種を行う。
【0048】
24時間の間、40%のKOHを用いて、pHを6.8に保持し、その後、80℃で低温殺菌を行う。その結果、0.04重量%のラクトースと、1.04%のガラクトースとを有する発酵物を得る。その後、遠心分離と、限外濾過とにより、バイオマスを除去する。この限外濾過物を、その後、イオン交換カラムに適用することにより、脱塩する。
【0049】
この溶液は、炭素上で脱色されてもよく、濾過されてもよく、最終的にシロップに濃縮されてもよい。
【0050】
(例4)
乳清粉末を、脱イオン水で再構築し、7.34重量%のラクトースを有する10,700kgの懸濁液を得る。このようにして得た発酵基質を、80℃で低温殺菌し、40℃に温度調節し、30%のNaOH水溶液でpHを7とする。
【0051】
Streptococcus Thermophilusと、Lactobacillus Bulgaricusとの混合物を用いて接種を行う。攪拌下、30%のNaOHを添加してpHを7に維持しつつ、18時間後、NaOHの供給を停止し、pHを一時的に低下させる。
【0052】
酸性化させて10時間後、80℃で低温殺菌を行う:ラクトースの量は、0.23重量%であり、ガラクトースの量は、2.95重量%である。
【0053】
限外濾過でバイオマスを除去する;限外濾過物に関し、イオン交換樹脂(強陽イオン及び弱陰イオン樹脂)で完全な脱塩を行う。
【0054】
この溶液に関して脱色を行った後、シロップが得られ、所望する濃度となり、且つ濾過され得るまで水を除去する。このシロップにおけるガラクトースは、89%の純度を有する。
【0055】
(例5)
28kgの乳清粉末を、110Lとなるように、脱イオン水で再構築する。この懸濁液におけるラクトースの量は、16.26重量%である。
【0056】
この発酵基質を、90℃で1分間、低温殺菌し、40℃に温度調節し、15w/v%のCa(OH)の水性懸濁液を用いてpHを6.5とする。
【0057】
5gのStreptococcus Thermophilusを用いて接種する。
【0058】
攪拌下、15w/v%のCa(OH)を添加してpHを6.4〜6.5に維持しつつ、40時間後、80℃で低温殺菌を行い、得た発酵物には、1.76重量%のラクトースと、3.88重量%のガラクトースとが含まれる。その後、遠心分離と、限外濾過とにより、バイオマスを除去する。この限外濾過物を、ラクトースを除くようにナノ濾過し、イオン交換カラムに適用して、脱塩する。
【0059】
この溶液を、濾過し、最終的に濃縮して、90%の純度のガラクトースのシロップを得る。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
種々の前処理及び精製処理が行われておらず種々の殺菌剤又は静菌剤を有さない乳又は乳清から出発する、ガラクトースの調製方法であって:
i)ラクトースの加水分解を行うことができ従ってガラクトースとグルコースとを得ることができ、且つ該グルコースを消費することができる無改変の微生物を用いて、乳又は乳清を接種するステップと;
ii)ステップi)に由来する溶液を発酵するステップと;
iii)ステップii)に由来する発酵産物から所望のガラクトース溶液を回収するステップと;
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記乳又は乳清は、該乳又は乳清の全重量に対して、2.5重量%から飽和濃度のラクトースを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記乳又は乳清は、該乳又は乳清の全重量に対して、3重量%以上15重量%のラクトースを有することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップi)における前記の無改変の微生物は、乳酸発酵物及びヨーグルト発酵物から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ステップi)における前記の無改変の微生物は、乳酸桿菌族に属する細菌から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記の乳酸桿菌族に属する前記細菌は、Streptococcus属及びLactobacillus属並びにこれらの混合物からなる群から選択された細菌株に属する細菌であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記細菌は、Streptococcus Thermophilus、Lactobacillus Bulgaricus及びLactobacillus Casei並びにこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記のステップii)における発酵は、16時間以上24時間の間、pHが7.5以下の一定のpHに維持して実行されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記のステップii)における発酵は、16時間以上24時間の間、pHが7.5以下の一定のpHに維持して実行され、その後、5時間以上60時間の間、一時的にpHを低下させることで、実行されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記の一定のpHは、5.0以上7.5以下であることを特徴とする請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記のステップii)における発酵は、25℃以上50℃以下で実行されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記のステップii)における発酵は、37℃以上45℃以下で実行されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ステップi)における接種を行う前に、前記乳又は乳清は、必要であれば、pHを7.5以下とされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ステップi)における接種を行う前に、前記乳又は乳清は、必要であれば、pHを5.0以上7.5以下とされることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記のpHが7.5以下の値は、無機物由来の強塩基又は弱塩基を添加して得られることを特徴とする請求項9又は13に記載の方法。
【請求項16】
前記の無機物由来の塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム及び炭酸アンモニウムからなる群から選択されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ステップii)における発酵物からガラクトース溶液を回収するステップは、水を除去し、所望濃度のガラクトース溶液を取得するように、遠心分離及び/又は限外濾過により、バイオマスを除去し、ナノ濾過及び/又は加温吸引下での濃縮を行った溶液を取得することにより、実行されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
バイオマスの除去後、得た溶液は、電気浸透と、イオン交換カラムへの導入と、濾過とで、脱イオンされることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ステップi)における接種を行う前、及び/又は前記ステップii)における発酵の終期に、前記乳又は乳清は、低温殺菌されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項20】
種々の前処理及び精製処理が行われておらず、且つ殺菌剤又は静菌剤を有さない、全重量に対して2.5重量%のラクトースを少なくとも有する乳業由来の乳清を廃棄する方法であって、
ラクトースの加水分解を行うことができ従ってガラクトースとグルコースとを得ることができ、且つ該グルコースを消費することができる無改変の微生物を用いて、前記乳清を接種し、その後、発酵を行い、発酵物からガラクトース溶液を回収することを特徴とする方法。

【公表番号】特表2007−515156(P2007−515156A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−537306(P2006−537306)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【国際出願番号】PCT/EP2004/052709
【国際公開番号】WO2005/039299
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(502350799)イナルコ ソシエタ ペル アチオニ (6)
【Fターム(参考)】