説明

ガラスクロス及びそれを用いたフィルム基材

タテ糸及びヨコ糸が同一種類のガラスヤーンで構成されるガラスクロスにおいて、ヨコ糸幅に対するタテ糸幅の比が0.80以上、1.20以下であり、かつガラスクロスの幅25mmあたり25N〜100Nの範囲内の荷重をヨコ糸方向に加えた時のヨコ方向伸び率に対する、該荷重をタテ糸方向に加えた時のタテ方向伸び率の比が、0.80以上、1.20以下であるガラスクロス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は電子・電気分野で使用されるプリント配線板に用いられるガラスクロスに関するものであり、またフレキシブル基板に用いられるガラスクロスを用いたフィルム基材に関するものである。
【背景技術】
最近、プリント配線板に用いられるガラスクロスはその用途が拡がり、パッケージ用途にも展開されるようになってきている。パッケージはXY面が正方形の形状が多く、この分野で使用されるインターポーザといわれる基板に対しては、XY方向の異方性がないことが要求されている。
この用途では一般に、ポリイミドフィルムをベースとした基材、又はガラスクロスを補強材としてマトリックス樹脂を含浸させたフィルム基材がインターポーザとして用いられている。該用途での高剛性要求、高寸法安定性要求、低熱膨張要求等から、ガラスクロスを用いたフィルム基材の使用が多くなってきている。しかしながら、ガラスクロスが有するタテ糸方向とヨコ糸方向の構造の違いから発現するフィルム基材のXY方向の異方性が問題視されてきている。同時にパッケージの薄葉化の要求から、インターポーザ自体の薄型化が求められ、使用するガラスクロスの厚みが50μmから20μmにまで薄くすることが要求されてきている。
このような薄型のガラスクロスとしては、開繊加工により糸間隔を狭くして空隙率を減らしたものが、特開平5−286055号公報、特開平8−18179号公報、特開平11−114956号公報、特開2002−38367号公報等に提案されている。
しかしながら、特開平5−286055号公報に記載された発明は、多層板成形時の寸法変化率抑制を目的とするものであって、その実施例には6層のプリプレグで構成された多層板に関する記載はあるが、1層のフィルム基材に関する記載はない。
また、特開平8−18179号公報に記載された発明は、はんだ耐熱性の改善を目的とするものであって、XY方向の異方性に対する効果の記載はない。
また、特開平11−114956号公報に記載された発明は、プリプレグ作成時に樹脂に孔あきが発生しないことを目的とするものであって、XY方向の異方性に対する効果の記載はない。
また、特開2002−38367号公報に記載された発明には、XY方向の開繊率を高くして、XY方向の異方性を減らすことを示唆する記載はあるが、表1ないしは4に記載された実施例におけるタテ糸の開繊率とヨコ糸の開繊率との差からわかるように、XY方向の異方性を十分にへらすことは達成できていない。また、表1又は2に記載された実施例におけるタテヨコの寸法変化率に関する記載からわかるように、その実施例には4層のプリプレグで構成された多層板に関する記載はあるが、1層のフィルム基材に関する記載はない。
【発明の開示】
本発明の目的は、等方性に優れ、かつ寸法安定性等、機械的特性にも優れた薄型のプリント配線板用ガラスクロス、及び該ガラスクロスを用いたフィルム基材を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ガラスクロスのタテ糸及びヨコ糸の糸を同一種類のガラスヤーンとし、かつ、該タテ糸及びヨコ糸の断面形状及びウネリ状態を同等にすることで、該ガラスクロスを使用したフィルム基材のXY方向の異方性が大幅に改善されること、かつ使用糸を構成する単糸の平均径と単糸本数を最適化することにより、該ガラスクロスを使用したフィルム基材が、樹脂のみからなるフィルムと同様に等方性に優れ、かつ薄いものとなることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
1.タテ糸及びヨコ糸が同一種類のガラスヤーンで構成されるガラスクロスにおいて、ヨコ糸幅に対するタテ糸幅の比が0.80以上、1.20以下であり、かつガラスクロスの幅25mmあたり25N〜100Nの範囲内の荷重をヨコ糸方向に加えた時のヨコ方向伸び率に対する、該荷重をタテ糸方向に加えた時のタテ方向伸び率の比が、0.80以上、1.20以下である上記ガラスクロス。
2.ガラスクロスにかかる張力をガラスクロスの幅1mあたり49N/m以下として扁平化加工を行うことにより製造され得る上記1記載のガラスクロス。
3.ガラスクロスの厚さが10μm以上50μm以下である上記1又は2記載のガラスクロス。
4.ガラスクロスを構成するガラスヤーンの平均単糸径が3.0μm以上6.0μm未満、かつ単糸本数が50本以上204本以下である上記1〜3のいずれか1つに記載のガラスクロス。
5.上記1〜4のいずれか1つに記載のガラスクロス1枚とマトリックス樹脂によって構成されるフィルム基材。
【図面の簡単な説明】
図1は、従来技術で製織したガラスクロスの例として、2116タイプガラスクロスの荷重に対するヨコ方向伸び率、タテ方向伸び率を測定した結果をグラフに示したものである。
【発明を実施するための最良の形態】
一般にガラスクロスはタテ方向に張力をかけた状態で、長尺ものとして生産される。そのため、タテ糸とヨコ糸に同一種類のガラスヤーンを使用して製織したとしても、一般的にはタテ糸とヨコ糸の断面形状は同一にはならず、またウネリ状態も同一にはならない。ここで、「同一種類のガラスヤーン」とは、Eガラス等のガラスの種類、ストランドを構成する平均単糸径と本数、ヤーンを構成するストランド数が同一のヤーンを意味する。一般に、張力のかかるタテ糸のウネリがヨコ糸のうねりより小さい傾向にある。但し、タテ糸密度が、隣り合うタテ糸同士の隙間が実質上ゼロとなるように高密度に設定されている場合には、タテ糸のウネリがより大きい場合がある。
従って、ガラスクロスを構成するタテ糸とヨコ糸に同一種類のガラスヤーン用いることに加えて、タテ糸とヨコ糸の断面形状を同等にし、かつそれぞれの糸のウネリ状態を同等にすることができれば、該ガラスクロスを使用したフィルム基材の異方性を軽減することができると考えられる。
ここで言う「断面形状」とは、ガラスクロスを構成する糸の糸幅及び糸厚みを示し、該糸をエポキシ樹脂等に包埋し、切削加工により削りだした該糸の断面を電子顕微鏡によって観察することで測定することができる。同一種類のガラスヤーンを用いた場合、加工等により糸幅が増加すれば糸厚みは減少することになるので、XY方向の異方性に関しては、糸幅でその断面形状を代表することができる。ガラスクロスを用いたフィルム基材の異方性を軽減するためには、該ガラスクロスを構成するヨコ糸幅に対するタテ糸幅の比率が0.80以上、1.20以下、好ましくは0.90以上、1.10以下にすることが望ましい。
また、ガラスクロスは織物構造を有していることから、X−Y面の一方向の張力に対して伸びる特性を有する。その伸びは構成する糸のウネリ量に相関しており、ウネリが大きい場合、張力に対する伸びも大きいものとなる。また、一方向だけの張力の場合、該方向と直交する方向の糸のウネリも該方向の張力に対する伸びに影響する(クリンプの移行)ことも知られており、張力に対する伸びにはガラスクロスを構成する糸のウネリが大きく影響している。従って、ガラスクロス全体のウネリ状態は、張力に対するタテ方向伸び率、及びヨコ方向伸び率で評価することができる。
本発明においては、上述の張力に対する伸び率は、JIS R3420ガラス繊維一般試験方法の7.4引張強さの項に記載された方法を準用して評価する。該JIS規定の方法では、幅約30mm、長さ約250mmの試験片を織物のタテ糸方向とヨコ糸方向から採り、幅25mmのつかみ部2つを間隔が約150mmとなるように設けて該試験片を2箇所でつかんだ状態で約200mm/minで引っ張り、破断時の荷重を求める。
それに対して本発明においては、破断に至らない荷重の範囲で測定精度を向上させるために、引っ張り速度を10mm/minとし、試験片を幅35mm、長さ185mmとし、つかみ部の間隔75mmとした以外は上記JIS規定の方法と同一の条件で、荷重をかけた時のつかみ部の間隔の増加率((荷重時の間隔−無荷重時の間隔)/無荷重時の間隔×100)から伸び率を求めた。図1に、つかみ部の幅25mmあたりの荷重を5Nから100Nまで増加させながら測定した結果の一例として、2116タイプガラスクロスと呼ばれる従来のガラスクロスの各方向伸び率を測定した結果を示す。本2116タイプガラスクロスは、製織時に張力がかかるタテ糸に比べてヨコ糸のうねりが大きいため、ヨコ方向伸び率の方がタテ方向伸び率より大きくなっている。
本発明者が検討した結果、25mmあたりの荷重が100Nを超える条件では破断に至らないまでもガラスクロスに大きな目曲がりが発生するため、伸び率をウネリ状態を表す指標として使用することは適当ではないことが判明した。また、低荷重の範囲ではヨコ方向伸び率に対するタテ方向伸び率の比が一定しないが、25mmあたりの荷重が25〜100Nの範囲ではほぼ一定となることが判明した。従って、ガラスクロスの幅25mmあたりの荷重が25〜100Nの範囲で伸び率を測定することとした。本発明者が検討した結果、ガラスクロスを用いたフィルム基材の異方性を軽減するためには、25mmあたりの荷重が25〜100Nの範囲において、ガラスクロスのヨコ糸方向への荷重を加えた時のヨコ方向伸び率に対する、タテ糸方向への該荷重を加えたときのタテ方向伸び率の比が、0.80以上、1.20以下であることが好ましく、0.90以上、1.10以下であることがより好ましく、0.95以上、1.05以下であることがさらに好ましい。
フィルム基材を構成する場合には、ガラスクロスの厚みは薄い方が好ましいが、ある程度以上薄くすると強度上必要な特性を達成することができない。具体的には該厚みが10μm以上50μm以下が好ましく、15μm以上30μm以下であることがより好ましい。
また、厚みを薄くするためには、ガラスクロスを構成する糸の単糸径が細い方が効果的であるが、細すぎると強度上の問題が生じうる。具体的には平均単糸径が3.0μm以上6.0μm未満が好ましく、3.0μm以上5.0μm未満がより好ましい。同時に、該糸束のZ方向の単糸分布が少ない方が厚みは薄くなる。そのためには糸束が充分に拡幅されている状態が好ましい。また、Z方向の単糸分布が少なく、充分に拡幅した状態とするためには糸束の単糸本数が少ない方が好ましいが、ガラス糸として取り扱うためには少なくとも50本の単糸本数が必要である。よって、糸束が充分に拡幅され、厚みの薄いクロスを構成するためには、ガラス糸の単糸本数は204本以下、50本以上が好ましく、100本以下、50本以上がより好ましい。
また、ガラスクロスとして用いられるためには、目曲がり・目ずれのないガラスクロス構造が重要である。そのため、ガラスクロスを構成する糸は、隣り合う同方向の糸間隔が極力隙間無く配列されていることが好ましい。
このようなガラスクロスを使用することで、XY方向の異方性が少ない極めて均一なフィルム基材を得ることができる。また、十分に拡幅されたガラス糸を使用することで、フィルム基材を作成した際の表面粗度が非常に良好となり、加工による抵抗が小さくなり、レーザ加工性のみならずドリル加工性等の加工にも良好な性能を保持できる。なお、ここでいう「十分に拡幅されたガラス糸」とは、隣り合う糸同士の間隔が極力隙間なく配列されたガラス糸を意味する。
本発明のガラスクロスを得るためには、通常使用される撚り数、(0.7〜1.0回/インチ)を有するガラス糸でも可能ではあるが、ガラス糸の撚り数を0.5回/インチ以下、好ましくは0.3〜0回/インチに低撚糸化することが好ましい。低撚糸化された糸を使用することにより、より糸幅は拡がり易く、ガラスクロスの厚みが低減可能となる。また、糸が扁平化し、糸自体の断面形状が楕円の形状から平板の形状に近づくため、ガラスクロス中のガラス繊維の分布をより均一にできる。
また、例えば、水流による圧力による開繊加工、液体を媒体とした高周波の振動による開繊加工、連続超音波加工開繊、ロールによる加圧等を施すことにより、ガラスクロスを構成する糸の扁平化加工を行うことが好ましい。扁平化加工を行うことにより、より糸幅は拡がり、タテ糸及びヨコ糸ともに隣り合う糸同士が実質的に隙間なく配列された構造を形成しやすくなる。また、糸が扁平化し、糸自体の断面形状が楕円の形状から平板の形状に近づくため、上述の低撚糸化と同様に、ガラスクロス中のガラス繊維の分布をより均一にできる。
扁平化加工として、水流による圧力による開繊加工を行う場合には、スプレイ加工又は柱状流加工が好ましい。
スプレイ加工とは、広がり角を持ったノズルから噴射される高圧散水流によって行う開繊加工である。スプレイ加工に使用するノズルとしては、大別して扇形ノズル、均等扇形ノズル、充円錐ノズル、空円錐ノズルがあるが、糸束中のフィラメント及び織り交点の拡幅には、扇形ノズル又は均等扇形ノズルが好ましい。充円錐ノズルを使用した場合は、ノズル直下部と散水流広がり端部とではガラスクロスに対して噴射される水量が著しく異なるので、ノズル直下部に集中した高圧水によって該ガラスクロスに目ずれが発生する恐れがある。また、空円錐ノズルを使用した場合は、噴射水量に対する衝撃力が扇形ノズルに比較して著しく低下することから扁平化加工の効率が低下する。
スプレイ加工には広がり角が10〜150°の範囲のノズルが好ましいが、より好ましくは広がり角が50°〜110°の範囲のノズルである。広がり角が10°未満のノズルでは、糸束中のフィラメント及び織り交点の拡幅程度が小さく、150°より大きいノズルではノズル中心部から散水流広がり端部までの距離が著しく長くなり、水流がガラスクロスに衝突する際の衝撃力がノズル中心部と散水流広がり端部で著しく異なることになる。
スプレイ加工に使用するノズルの配列は、千鳥配列等の階段状の配列、変則千鳥の配列、千鳥配列と一定角傾け配列の組み合わせが好ましい。またノズルの配置はガラスクロスの幅方向に対して一定角度、例えばガラスクロスに対して鉛直の方向から5〜10°程度傾け、ガラスクロス幅方向と平行に配列することが好ましい。ノズルの配列ピッチは高圧散水流の広がり幅、ノズルからガラスクロスまでの距離、及び隣接する高圧散水流のオーバーラップ程度等により適宜調整される。
柱状流加工とは、直径0.1〜0.5mmの細孔を有するノズル群より噴射される柱状流高圧水によって行う開繊加工である。柱状流加工に使用するノズルとしては、個々独立に多数配列した直進ノズル、プレート状ノズルが好適に使用されるが、一般に直進ノズルと呼ばれる水流の広がり角が0°のノズルであって独立して細孔を有するノズルを多数本配列することもできる。これらのノズルを1列に配置した場合には柱状流高圧水をガラスクロス全面に均一に噴射することが困難になるので、ノズル群は複数列に渡って幅方向の位置をずらして配置することが好ましい。また、ガラスクロスに対して噴射水の衝撃力の局在化を防ぐことを目的に、上記のノズル群自体を揺動又は円運動させることが好ましい。
上述のスプレイ加工、又は柱状流加工時に使用する水の圧力は、10N/cm〜1000N/cmが好ましく、50N/cm〜800N/cmがより好ましく、50N/cm〜500N/cmが最も好ましい。扁平化加工時に使用する水の圧力が10N/cm未満の場合はガラスクロスの糸束及び織り交点部分を拡幅する効果が得られず、1000N/cmより大きい場合は拡幅力によりガラスクロスを構成するタテ糸及びヨコ糸の織り目がずれる恐れがある。
扁平化加工として、液体を媒体とした高周波の振動による開繊加工を行う場合には、特定の振動数で振動する超音波振動子によって、媒体を介してガラスクロスに超音波を与えることにより加工を行うことが好ましい。超音波を伝達する媒体は、扁平化加工の効果が達成される範囲で適宜選択することができ、水、アルコール等の有機溶剤、有機溶剤を分散させた水等が好ましい。
該超音波振動子の振動数は10〜100kHzが好ましく、15〜70kHzがより好ましく、20〜50kHzが最も好ましい。振動数が10kHz未満の場合は拡幅状態の均一性が悪くなり、100kHzより高い場合は拡幅状態が低くなる。
該超音波振動子を駆動する超音波発振器の出力は20〜5000Wであり、好ましくは100〜1500W、さらに200〜1000Wが最も好ましい。このような装置としては、例えば株式会社カイジョー製フェニックスシリーズの超音波発振器が挙げられる。
上述の液体を媒体とした高周波の振動による開繊加工においては、ガラスクロスと超音波振動子とを共に、液体を入れた槽の中に浸漬し、該超音波発振器により超音波振動子から超音波を発生させることにより該ガラスクロスを扁平化加工する。本開繊加工におけるガラスクロスに対する超音波の伝達は、ガラスクロスと超音波振動子との直接接触によってなされるものではなく、媒体を介してなされるものであるので、ガラスクロスと超音波振動子が接触しないように配置することが好ましい。ガラスクロスと超音波振動子との間隔は1〜30cmの範囲が好ましく、1〜10cmの範囲がより好ましい。ガラスクロスと超音波振動子との間隔が1cm未満の場合はガラスクロスの加工状態が局部的に変形して外観不良となる場合がある。また、該間隔が30cmより大きい場合は超音波振動子のエネルギーがガラスクロスに伝わるまでの間の損失が大きくなる。ガラスクロスと超音波振動子との間隔はガラスクロスの種類、液体の種類、超音波振動子の振動数、超音波発振器の出力、超音波の伝達方向等の条件を考慮して定めることが好ましい。また、超音波振動子の振動面とガラスクロスとの間隔がほぼ一定になるように設置できればよいので、該超音波振動子の数は1つであっても複数であってもよい。
また、上述の液体を媒体とした高周波の振動による開繊加工は、連続式、バッチ式のいずれでも行うことができる。連続式で加工を行う場合には、例えば液体を入れた槽の中に超音波振動子を固定しておき、槽内を通過するようにガラスクロスを走行させるといった方法が採用される。ガラスクロスの走行速度は本発明の加工効果が達成される範囲で適宜設定されるが、0.1〜100m/minが好ましい。
超音波振動子とガラスクロスとの配置は、通常、ガラスクロスの走行方向に対する振動子の幅方向が直角となすように設定されるが、数十度の角をなすように設定してもよい。
ガラスクロスを液体中に浸漬して開繊加工するのに要する時間は本発明の効果が達成される範囲の条件で適宜設定されるが、0.01〜30秒程度が好ましい。
この時に、ガラスクロスを構成するタテ糸に搬送のための張力がかかった状態で上記の扁平化加工を行うと、タテ糸はヨコ糸よりも扁平化されにくい。従って、上記の扁平化加工を行う工程においては、搬送のためにガラスクロスにかかる張力がガラスクロスの幅1mあたりに対して、49N/m(5kg/m)以下であることが好ましく、20N/m(2kg/m)以下であることがより好ましい。
扁平化加工時にガラスクロスにかかる張力の測定には、フィルム分野で一般的に使用される張力検出器を用いた張力検出方法によることが好ましい。該張力検出方法においては、ガイドロール2つ(以下、ガイドロール1、ガイドロール2という。)と張力検出用ロール1つを左右対称になるように二等辺三角形の頂点に配置し、ガラスクロスがガイドロール1、張力検出用ロール、ガイドロール2の順に通るようにセットする。張力検出用ロールにおいては、ガイドロール1側に働く張力、ガイドロール2側に働く張力、及び該張力検出用ロールに働く重力の合力が荷重として該張力検出用ロールに下向きに作用するので、該張力検出用ロールの下にセットした荷重センサーの測定値から計算によってガラスクロスにかかる張力を求めることができる。
適宜設定した範囲の張力を扁平化加工時にガラスクロスのタテ糸に与える方法としては、上述の張力検出器で常時タテ糸方向の張力をモニターして扁平化加工を行う機器の前後にガラスクロス搬送のために配した駆動ロールの回転速度を張力制御装置により制御する方法が好ましく使用できる。該張力制御装置は、張力検出器によって検出された張力が設定値より高い場合は、進行方向の前方の駆動ロールの回転を遅くし、後方の駆動ロールの回転を速くするように設定し、検出された張力が設定値より低い場合は、進行方向の前方の駆動ロールの回転を速くし、後方の駆動ロールの回転を遅くするように設定することで、タテ糸方向の張力を制御するものである。また、より低張力下での扁平化加工を要する場合には、通常使用されるロールで巻き取る型の搬送装置に代えて、たとえば特表平11−507995号公報に記載された水平コンベア型の搬送装置を好ましく使用することができる。
前述した特開2002−38367号公報には、低張力下での開繊加工に関する記載があるが、実施例記載のヨコ糸に対するタテ糸の開繊率(開繊率=糸幅×100/(25/密度)で定義されている。)から、ヨコ糸幅に対するタテ糸幅の比率を計算すると、0.59〜0.67のものしか得られていない。この値は、本願発明の目的であるXY方向の異方性をなくすには不十分である。
それに対して、搬送のためにガラスクロスにかかる張力を、本発明におけるような上述の範囲で扁平化加工を行うことにより、ヨコ糸の平均幅に対するタテ糸の平均幅の比率が0.80以上、1.20以下のガラスクロスを得ることができる。特開2002−38367号公報には具体的な張力の値の記載が無いため、このような差が生じた原因は定かではないが、特開2002−38367号公報記載の発明ではロール型の開繊装置を用いており、上述の水平コンベア型ほど、実際にガラスクロスにかかる張力を減らすことができなかったためではないかと推定される。また、該ロールに設けられた孔から出入りする水流によって開繊加工を行うため、ガラスクロス全面のうち、孔と接していない部分に対する開繊加工の程度が弱かったためではないかとも推定される。
ガラス糸に滑剤の特性を示す有機物が付着した状態のガラスクロス、又は通常のガラスクロスを製織する際に使用されるバインダー、糊剤等が付着した状態(通常、生機という)での扁平化加工、又はこれらの手法を組合わせた扁平化加工を行うことは、単に扁平化加工を行うことに比べて、ガラスクロスのXY方向の異方性をなくすためにより効果があるので好ましい。また、低撚糸化と扁平化加工の両手法の組み合わせは、XY方向の異方性をなくすためにさらに効果的となる。
扁平化加工後のガラスクロスは、赤外線ヒーター、熱風ドライヤー等によって乾燥させる。乾燥条件は、100〜200℃で10秒〜2分程度が好ましい。乾燥時に糸にかかる張力が大きい場合には、上述の扁平化加工によって十分に拡幅されたガラス糸が張力によって戻ってしまう可能性があるので、扁平化加工と同様の張力条件下で乾燥を行うことが好ましい。
乾燥後のガラスクロスをロールに巻き取る場合には、タテ糸方向にタテ糸1本あたりにかかる張力が1.5×10−4〜6.0×10−3Nの範囲内であることが好ましく、6.0×10−4〜4.5×10−3Nの範囲内であることがより好ましく、1.5×10−3〜3.0×10−3Nの範囲内であることが最も好ましい。1.5×10−4N未満の張力で巻き取る場合には、巻き崩れの発生を防ぐことが困難になる。また、6.0×10−3Nより大きい張力で巻き取る場合には、上述した扁平化加工によって十分に拡幅されたガラス糸が張力によって戻ってしまう可能性がある。
ロールに巻き取られたガラスクロスは、高温脱糊によって表面に塗布されているバインダー、糊剤等を除去する。その後、含浸させるマトリックス樹脂との密着力を上げるために、シランカップリング剤を塗布して乾燥させることが好ましい。さらに、ガラスクロスの通常実施される表面処理としてガラスクロスの風合いを固くする処理、例えば付着量を上げる、被膜性の高い処理剤を使用する、処理剤に一般に使用されるシランカップリング剤のシラノール基の縮重合度合いを上げる等、あるいはガラス糸の目止め効果を有する処理等を実施することでガラスクロスの取り扱い性は向上する。
上述した本発明のガラスクロス1枚に、公知の方法に従ってマトリックス樹脂を含浸させることで、本発明のXY方向の異方性の少ないフィルム基材を得ることができる。使用されるマトリックス樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、シアネート樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂、又はそれらの混合樹脂などが挙げられる。また、樹脂中に水酸化アルミニウム、タルク等の無機充填剤を混在させた樹脂を使用しても構わない。しかしながら、本発明の目的から、マトリックス樹脂は可とう性に優れた樹脂が好ましい。
以下、本発明を実施例により詳しく説明する。
実施例、比較例中のガラスクロスの物性、ガラスクロスを用いた積層板の作成方法、及び試験方法は以下の方法により測定した。
1.ガラスクロスの物性測定方法
JIS R3420に従い測定した。なお、荷重をかけた時の伸び率については、JIS R3420を準用した前述の方法に従って測定した。
2.ガラスクロスのタテ糸幅及びヨコ糸幅の測定方法
ガラスクロスを常温硬化のエポキシで包埋し、研磨してガラス糸断面を削り出し、タテ糸及びヨコ糸について、電子顕微鏡(日立製作所製S−570)にて測定倍率220倍で、それぞれの断面写真を撮影した。糸幅の測定は、タテ糸及びヨコ糸それぞれ150(本)について行い、その平均値を計算してタテ糸幅及びヨコ糸幅とした。
3.フィルム基材の成形条件
マトリックス樹脂として臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂5046(ジャパンエポキシレジン(株)製)85重量部(固形)、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂180(ジャパンエポキシレジン(株)製)15重量部(固形)、N,N−ジメチルホルムアミド12重量部、メトキシエタノール12重量部、ジシアンジアミド2.5重量部、2−エチル−4−メチルイミダゾール0.2重量部を配合してエポキシ樹脂ワニスを調合した。該エポキシ樹脂ワニスにガラスクロスを浸漬し、スリットで余分なワニスを掻き落とした後、125℃のオーブン内で10分間乾燥し、該エポキシ樹脂を半硬化(Bステージ化)させプリプレグを得た。
このプリプレグ1枚の両表面に厚さ12μmの銅箔を配置し、175℃、40kgf/cmで圧縮成型しフィルム基材を得た。
4.フィルム基材の寸法変化率(%)の測定法
JIS K6911に従い測定した。具体的には以下の通り行った。
前記3.の方法により得られたフィルム基材を、125mm間隔で、タテ方向3カ所×ヨコ方向3カ所の合計9カ所の標点をつけ、タテ方向、ヨコ方向のそれぞれについて、隣接する2標点の標点間隔6箇所を測定した(測定値a)。次に、エッチング処理によって鋼箔を取り除き、170℃で30分加熱した後、該標点間隔を再度測定した(測定値b)。タテ方向、ヨコ方向それぞれについて測定値aと測定値bの差の測定値aに対する割合を算出し、その6つの値の平均値をタテ方向、ヨコ方向の寸法変化率(%)とした。
5.反り量
JIS K6911に従い測定した。
【実施例1】
ガラスクロスとして、タテ糸及びヨコ糸に平均単糸径4.1μm、単糸数100本で撚り数が1.0ZのEガラス組成のガラス糸を使用し、エアージェットルームで、タテ糸75本/inch、ヨコ糸75本/inchの織り密度でガラスクロスを製織し、得られた生機に4.9N/m(0.5kgf/m)の張力下で高圧散水流による開繊加工(加工圧196N/cm(20kgf/cm))を施した。その後400℃で24時間高温脱糊した。続いて、表面処理としてシランカップリング剤であるSZ6032(東レ・ダウコーニング(株)製)を用いて処理液とし、ガラスクロスを浸漬し、絞液後、120℃で1分乾燥し、重量19g/m、厚さ0.016mm、ヨコ糸幅に対するタテ糸幅の比率(以下、タテ糸幅/ヨコ糸幅という。)0.93であるガラスクロスを得た。
該ガラスクロスから、ヨコ糸方向の試験片を採り、ヨコ糸方向に25、50、100(N/25mm)の荷重を加えた際のヨコ方向伸び率を測定した。同様にタテ糸方向の試験片を採り、タテ糸方向に25、50、100(N/25mm)の荷重を加えた際のタテ方向伸び率を測定した。25、50、100(N/25mm)の各荷重下でのヨコ方向伸び率に対するタテ方向伸び率の比を計算した値は、それぞれ0.91、0.90、0.85であった。該ガラスクロスを用いてフィルム基材を成形し、評価した結果を表1に示す。
【実施例2】
ガラスクロスとして、タテ糸及びヨコ糸に平均単糸径4.5μm、単糸数100本で撚り数が1.0ZのEガラス組成のガラス糸を使用し、エアージェットルームで、タテ糸70本/inch、ヨコ糸73本/inchの織り密度でガラスクロスを製織し、得られた生機に4.9N/m(0.5kgf/m)の張力下で高圧散水流による開繊加工(加工圧196N/cm(20kgf/cm))方法を施した。その後400℃で24時間高温脱糊した。続いて、表面処理としてシランカップリング剤であるSZ6032(東レ・ダウコーニング(株)製)を用いて処理液とし、ガラスクロスを浸漬し、絞液後、120℃で1分乾燥し、重量23g/m、厚さ0.025mm、タテ糸幅/ヨコ糸幅=0.95であるガラスクロスを得た。
該ガラスクロスから試験片を採り、実施例1と同様にして、25、50、100(N/25mm)の各荷重下でのヨコ方向伸び率に対するタテ方向伸び率の比を計算した値は、それぞれ0.97、0.95、0.91であった。該ガラスクロスを用いてフィルム基材を成形し、評価した結果を表1に示す。
【実施例3】
ガラスクロスとして、タテ糸及びヨコ糸に平均単糸径5.0μm、単糸数70本で撚り数が1.0ZのEガラス組成のガラス糸を使用し、エアージェットルームで、タテ糸80本/inch、ヨコ糸70本/inchの織り密度でガラスクロスを製織し、得られた生機に4.9N/m(0.5kgf/m)の張力下で高圧散水流による開繊加工(加工圧196N/cm(20kgf/cm))方法を施した。その後400℃で24時間高温脱糊した。続いて、表面処理としてシランカップリング剤であるSZ6032(東レ・ダウコーニング(株)製)を用いて処理液とし、ガラスクロスを浸漬し、絞液後、120℃で1分乾燥し、重量23g/m、厚さ0.029mm、タテ糸幅/ヨコ糸幅=0.95であるガラスクロスを得た。
該ガラスクロスから試験片を採り、実施例1と同様にして、25、50、100(N/25mm)の各荷重下でのヨコ方向伸び率に対するタテ方向伸び率の比を計算した値は、それぞれ1.00、1.00、0.95であった。該ガラスクロスを用いてフィルム基材を成形し、評価した結果を表1に示す。
【実施例4】
ガラスクロスとして、タテ糸及びヨコ糸に平均単糸径4.1μm、単糸数100本で撚り数が0.3ZのEガラス組成のガラス糸を使用し、エアージェットルームで、タテ糸75本/inch、ヨコ糸75本/inchの織り密度でガラスクロスを製織し、得られた生機に4.9N/m(0.5kgf/m)の張力下で高圧散水流による開繊加工(加工圧196N/cm(20kgf/cm))方法を施した。その後400℃で24時間高温脱糊した。続いて、表面処理としてシランカップリング剤であるSZ6032(東レ・ダウコーニング(株)製)を用いて処理液とし、ガラスクロスを浸漬し、絞液後、120℃で1分乾燥し、重量19g/m、厚さ0.016mm、タテ糸幅/ヨコ糸幅=0.98であるガラスクロスを得た。
該ガラスクロスから試験片を採り、実施例1と同様にして、25、50、100(N/25mm)の各荷重下でのヨコ方向伸び率に対するタテ方向伸び率の比を計算した値は、それぞれ0.96、0.95、0.91であった。該ガラスクロスを用いてフィルム基材を成形し、評価した結果を表1に示す。
【実施例5】
ガラスクロスとして、タテ糸及びヨコ糸に平均単糸径4.5μm、単糸数100本で撚り数が0.3ZのEガラス組成のガラス糸を使用し、エアージェットルームで、タテ糸70本/inch、ヨコ糸73本/inchの織り密度でガラスクロスを製織し、得られた生機に4.9N/m(0.5kgf/m)の張力下で高圧散水流による開繊加工(加工圧196N/cm(20kgf/cm))方法を施した。その後400℃で24時間高温脱糊した。続いて、表面処理としてシランカップリング剤であるSZ6032(東レ・ダウコーニング(株)製)を用いて処理液とし、ガラスクロスを浸漬し、絞液後、120℃で1分乾燥し、重量23g/m、厚さ0.025mm、タテ糸幅/ヨコ糸幅=0.98であるガラスクロスを得た。
該ガラスクロスから試験片を採り、実施例1と同様にして、25、50、100(N/25mm)の各荷重下でのヨコ方向伸び率に対するタテ方向伸び率の比を計算した値は、それぞれ1.00、1.00、0.94であった。該ガラスクロスを用いてフィルム基材を成形し、評価した結果を表1に示す。
比較例1
ガラスクロスとして、タテ糸及びヨコ糸に平均単糸径5.0μm、単糸数100本で撚り数が1.0ZのEガラス組成のガラス糸を使用し、エアージェットルームで、タテ糸56本/inch、ヨコ糸56本/inchの織り密度でガラスクロスを製織した。その後400℃で24時間高温脱糊した。続いて、表面処理としてシランカップリング剤であるSZ6032(東レ・ダウコーニング(株)製)を用いて処理液とし、ガラスクロスを浸漬し、絞液後、120℃で1分乾燥し、重量25g/m、厚さ0.040mm、タテ糸幅/ヨコ糸幅=0.75であるガラスクロスを得た。
該ガラスクロスから試験片を採り、実施例1と同様にして、25、50、100(N/25mm)の各荷重下でのヨコ方向伸び率に対するタテ方向伸び率の比を計算した値は、それぞれ0.78、0.65、0.60であった。該ガラスクロスを用いてフィルム基材を成形し、評価した結果を表1に示す。
比較例2
ガラスクロスとして、タテ糸及びヨコ糸に平均単糸径4.5μm、単糸数100本で撚り数が1.0ZのEガラス組成のガラス糸を使用し、エアージェットルームで、タテ糸70本/inch、ヨコ糸73本/inchの織り密度でガラスクロスを製織した。その後400℃で24時間高温脱糊した。続いて、表面処理としてシランカップリング剤であるSZ6032(東レ・ダウコーニング(株)製)を用いて処理液とし、ガラスクロスを浸漬し、絞液後、120℃で1分乾燥し、重量23g/m、厚さ0.033mm、タテ糸幅/ヨコ糸幅=0.60であるガラスクロスを得た。
該ガラスクロスから試験片を採り、実施例1と同様にして、25、50、100(N/25mm)の各荷重下でのヨコ方向伸び率に対するタテ方向伸び率の比を計算した値は、それぞれ0.78、0.70、0.60であった。該ガラスクロスを用いてフィルム基材を成形し、評価した結果を表1に示す。
比較例3
ガラスクロスとして、タテ糸及びヨコ糸に平均単糸径4.5μm、単糸数100本で撚り数が1.0ZのEガラス組成のガラス糸を使用し、エアージェットルームで、タテ糸70本/inch、ヨコ糸73本/inchの織り密度でガラスクロスを製織し、得られた生機に294N/m(30kgf/m)の張力下で高圧散水流による開繊加工(加工圧196N/cm(20kgf/cm))方法を採用した。その後400℃で24時間高温脱糊した。続いて、表面処理としてシランカップリング剤であるSZ6032(東レ・ダウコーニング(株)製)を用いて処理液とし、ガラスクロスを浸漬し、絞液後、120℃で1分乾燥し、重量23g/m、厚さ0.027mm、タテ糸幅/ヨコ糸幅=0.50であるガラスクロスを得た。
該ガラスクロスから試験片を採り、実施例1と同様にして、25、50、100(N/25mm)の各荷重下でのヨコ方向伸び率に対するタテ方向伸び率の比を計算した値は、それぞれ0.65、0.60、0.53であった。該ガラスクロスを用いてフィルム基材を成形し、評価した結果を表1に示す。
【産業上の利用可能性】
本発明によると、等方性に優れ、かつ寸法安定性等、機械的特性にも優れた薄型のプリント配線板用ガラスクロス、及び該ガラスクロスを用いたフィルム基材を提供することができる。

【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
タテ糸及びヨコ糸が同一種類のガラスヤーンで構成されるガラスクロスにおいて、ヨコ糸幅に対するタテ糸幅の比が0.80以上、1.20以下であり、かつガラスクロスの幅25mmあたり25N〜100Nの範囲内の荷重をヨコ糸方向に加えた時のヨコ方向伸び率に対する、該荷重をタテ糸方向に加えた時のタテ方向伸び率の比が、0.80以上、1.20以下である上記ガラスクロス。
【請求項2】
ガラスクロスにかかる張力がガラスクロスの幅1mあたり49N/m以下で扁平化加工を行うことにより製造され得る請求項1に記載のガラスクロス。
【請求項3】
ガラスクロスの厚さが10μm以上50μm以下である請求項1又は2に記載のガラスクロス。
【請求項4】
ガラスクロスを構成するガラスヤーンの平均単糸径が3.0μm以上6.0μm未満、かつ単糸本数が50本以上204本以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラスクロス。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラスクロス1枚とマトリックス樹脂によって構成されるフィルム基材。

【国際公開番号】WO2004/027136
【国際公開日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【発行日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−537605(P2004−537605)
【国際出願番号】PCT/JP2003/011921
【国際出願日】平成15年9月18日(2003.9.18)
【出願人】(000116770)旭シュエーベル株式会社 (7)
【Fターム(参考)】