説明

ガラス飛散防止フィルム

【課題】タッチパネルの操作性を向上させることができる、ガラス飛散防止フィルムとそれを有するタッチパネルを提供する。
【解決手段】本発明のガラス飛散防止フィルム6は、タッチパネル2の表面に設けられたガラス板5に貼り付けられる。ガラス飛散防止フィルム6の表面には、複数の凸部6aが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
タッチパネルのガラス板に貼り付けられるガラス飛散防止フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機をはじめとしてタッチパネルを有する電子機器が増加している。携帯電話機などに使用されるタッチパネルは、表面がガラス板で覆われている。そのため、ユーザが電子機器のタッチパネルをぶつけてしまったり、電子機器を落としてしまったりした場合、ガラス板が割れて、ユーザやユーザの周囲にいる人が怪我をするおそれがある。そのため、ガラス板上にガラス飛散防止フィルムを貼り付けて、ガラス板が割れたときにガラスの破片が飛散しないようにしている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−214601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タッチパネルのガラス板の表面や、ガラス飛散防止フィルムの表面は平坦になっている(特許文献1参照)。そのため、タッチパネルを操作するときには、指先の感覚を使用して操作することができず、ユーザはタッチパネルを注視する必要がある。したがって、タッチパネルを有する電子機器では、操作性の向上が求められている。
【0005】
そこで本発明の目的は、タッチパネルの操作性を向上させることが困難である、といった課題を解決する、タッチパネル用のガラス飛散防止フィルムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のガラス飛散防止フィルムは、タッチパネルの表面に設けられたガラス板に貼り付けられる。ガラス飛散防止フィルムの表面には、複数の凸部が設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ガラス飛散防止フィルムの表面に設けられた凸部によって、タッチパネルの操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係るガラス飛散防止フィルムが貼り付けられたタッチパネルを有する携帯電話機の上面図である。
【図2】図1のAA断面の概略図である。
【図3】樹脂成形転写により成形したガラス飛散防止フィルムの概略断面図である。
【図4】エンボス加工により成形したガラス飛散防止フィルムの概略断面図である。
【図5】図1とは異なる凸部の配置をしたガラス飛散防止フィルムを貼り付けたタッチパネルを有する携帯電話機の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態の詳細について説明する。なお、同一の機能を有する構成には添付図面中、同一の番号を付与し、その説明を省略することがある。
【0010】
図1に、本発明に係るガラス飛散防止フィルムが貼り付けられたタッチパネルを有する携帯電話機の上面図を示す。また、図2は、図1のAA断面の概略図である。なお、以降では、タッチパネルを有する電子機器の一例としてスマートフォンなどの携帯電話機を用いて説明するが、携帯電話機に限定されるものではない。
【0011】
携帯電話機1には、タッチパネル2が設けられている。このタッチパネル2は、表示部であり、かつタッチパネル2のアクティブエリアである機能部3と機能部3の周囲を囲む非機能部4とで構成される。また、タッチパネル2の表面は、ガラス板5で覆われている。
【0012】
ガラス板5の表面には、ガラス飛散防止フィルム6が貼り付けられている。このガラス飛散防止フィルム6の表面には、複数の凸部6aがドット状に設けられている。この凸部6aは、機能部3上にはなく、非機能部4上に設けられている。
【0013】
このように、ガラス飛散防止フィルム6の、タッチパネル2の非機能部4上にだけ複数の凸部6aをドット状に設けることで、ユーザの指先の感覚のみでタッチパネル2の機能部3を触っているのか非機能部4を触っているのかを判断することができる。そのため、タッチパネル2の操作性を向上させることができる。
【0014】
次に、本発明のガラス飛散防止フィルム6の製造方法の一例を説明する。PET(Polyethylene Terephthalate)製のフィルムの表面であり、タッチパネル2の非機能部4上に配置される部分に、スクリーン印刷にて所望のデザインとなるように凸部6aを形成する。スクリーン印刷に使用するインクは、凸形状を形成し、かつ衝撃にも強いことが好ましいことから、紫外線硬化樹脂が好ましい。なお、凸部6aの高さは、例えば0.03mm程度でよい。以上のようにして、本発明のガラス飛散防止フィルム6が出来上がる。そして、出来上がったガラス飛散防止フィルム6は、タッチパネル2のガラス板5上に貼り付けられる。
【0015】
なお、上述の説明では、ガラス飛散防止フィルム6の凸部6aを形成してから、ガラス飛散防止フィルム6をタッチパネル2のガラス板5上に貼り付けた。しかしながら、PET製のフィルムをタッチパネル2のガラス板5上に貼り付けてから、フィルム上に凸部6aを形成し、ガラス飛散防止フィルム6を完成させてもよい。
【0016】
また、本発明のガラス飛散防止フィルム6の製造方法の他の一例としては、PET製のフィルムにスクリーン印刷をするのではなく、型を用いて樹脂成形転写により凸部6aを有する薄膜を形成してガラス飛散防止フィルム6を成形してもよい(図3参照)。この場合、凸部6aを有する薄膜が非機能部4だけではなく、機能部3にも成形されるため、透過率への配慮が必要となる。
【0017】
本発明のガラス飛散防止フィルム6の製造方法のさらに他の一例としては、フィルムに直接型を押すエンボス加工でも良い(図4参照)。
【0018】
なお、飛散防止フィルム6の基材となるフィルムはPETに限定されない。また、凸部6aの高さを0.03mmとしたが、工法で可能な限り高くしてもよく、デザイン要求にもよるが、凸部6aの高さが高くなれば、課題解決の効果は大きくなる。
【0019】
上述したように、本発明のガラス飛散防止フィルム6には、タッチパネル2の非機能部4上に複数の凸部6aが設けられ、機能部3には凸部6aがない。そのため、ユーザの指先の感覚のみで機能部3を触っているのか非機能部4を触っているのかを判断することができる。そのため、タッチパネル2の操作性を向上させることができる。さらに、凸部6aの配置にデザイン性をもたせることで、タッチパネル2を加飾することができ、その結果、携帯電話機1のデザイン性を向上させることができるとともに、他の携帯電話機との差別化を図ることができる。
【0020】
また、例えば、本発明のガラス飛散防止フィルム6が貼り付けられた携帯電話機1をカバンに収納しておいた場合、ガラス飛散防止フィルム6に凸部6aが設けられているため、カバンの中の、例えば本やペンケースなどの物体は凸部6aに当たりやすくなり、凸部6aの設けられていない部分への物体の接触が低減される。そのため、ガラス飛散防止フィルム6によって、機能部3を保護することができる。
【0021】
さらに、タッチパネル2の使用時には、ユーザとガラス飛散防止フィルム6との接触面積が減少するので、ユーザの指紋や皮脂がガラス飛散防止フィルム6に付着しにくくなり、その結果、タッチパネル2の汚れを防止することができる。
【0022】
次に、本発明に係るガラス飛散防止フィルム6の凸部6aの他の配置を説明する。図5は、図1とは異なる凸部6aの配置をしたガラス飛散防止フィルム6を貼り付けたタッチパネル2を有する携帯電話機1の上面図を示す。
【0023】
本実施例では、ガラス飛散防止フィルム6の、タッチパネル2の非機能部4上に設けられる凸部6aの形状を、単なるドットではなく、○や△など、アイコン形状とする。このようにすることで、ユーザビリティの向上を図ることができる。なお、この場合も上述の実施例と同様の製造方法で製造することができる。
【符号の説明】
【0024】
1 携帯電話機(電子機器)
2 タッチパネル
3 機能部(アクティブエリア)
4 非機能部
5 ガラス板
6 ガラス飛散防止フィルム
6a凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルの表面に設けられたガラス板に貼り付けられるガラス飛散防止フィルムであって、
表面には複数の凸部が設けられている、ガラス飛散防止フィルム。
【請求項2】
前記タッチパネルは、アクティブエリアと前記アクティブエリアを囲む非機能部とを有しており、前記ガラス飛散防止フィルムの前記凸部は、前記非機能部上に位置するように設けられている、請求項1に記載のガラス飛散防止フィルム。
【請求項3】
前記凸部はドット状に配置されている、請求項1または2に記載のガラス飛散防止フィルム。
【請求項4】
前記凸部はアイコン形状をしている、請求項1または2に記載のガラス飛散防止フィルム。
【請求項5】
前記タッチパネルは電子機器に設けられている、請求項1から4のいずれか1項に記載のガラス飛散防止フィルム。
【請求項6】
前記電子機器は携帯電話機である、請求項5に記載のガラス飛散防止フィルム。
【請求項7】
ガラス飛散防止フィルムが貼り付けられたタッチパネルの接触位置認識方法であって、
前記タッチパネルの表面に設けられたガラス板に、表面に複数の凸部からなる領域が形成された前記ガラス飛散防止フィルムを貼り付けることで、前記タッチパネルを触っているときに、前記タッチパネルのどの領域を触っているのかを認識させる、タッチパネルの接触位置認識方法。
【請求項8】
ガラス飛散防止フィルムが貼り付けられたタッチパネルを装飾する方法であって、
模様となるように複数の凸部を表面に形成した前記ガラス飛散防止フィルムを、前記タッチパネルの表面に設けられたガラス板に貼り付ける、タッチパネルを装飾する方法。
【請求項9】
ガラス飛散防止フィルムが貼り付けられたタッチパネルの保護方法であって、
前記タッチパネルの表面に設けられたガラス板に、表面に複数の凸部からなる領域が形成された前記ガラス飛散防止フィルムを貼り付けることで、前記タッチパネルの外部の物体が前記タッチパネルに接触するときに、前記物体を前記ガラス飛散防止フィルムの前記凸部からなる領域に接触させることで、前記物体を前記ガラス飛散防止フィルムの前記凸部からなる領域以外の領域に接触しないようにする、タッチパネルの保護方法。
【請求項10】
ガラス飛散防止フィルムが貼り付けられたタッチパネルの汚れ防止方法であって、
前記タッチパネルの表面に設けられたガラス板に、表面に複数の凸部からなる領域が形成された前記ガラス飛散防止フィルムを貼り付けることで、前記タッチパネルの使用時にユーザと前記ガラス飛散防止フィルムとの接触面積を低減させる、前記タッチパネルの汚れ防止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−29919(P2013−29919A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164180(P2011−164180)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】