説明

ガラス

【課題】太陽光の照射、特に紫外線の照射を受けても太陽光に対しての高い透過率を長期にわたって維持し、集光型太陽電池装置の集光レンズ用途に求められる特性を有するガラスを提供すること。
【解決手段】酸化物基準の質量%で、SiO成分、RO成分(ただし、RはZn、Mg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上を示す。)およびLn成分(ただし、LnはY、La、Pr、Gd、Ho、Tm、Yb、Luからなる群より選択される1種以上を示す。)を含有し、これらの成分の合計の含有率が50%以上であり、JOGIS02−2003に規定する着色度T5%およびT80%がそれぞれ31以下および39以下であり、JOGIS04−2005に規定するソラリゼーションが2%以下であるガラス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は太陽光の透過率が高く、紫外線による透過率の劣化が少ないガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
電力用太陽電池装置として、照射された太陽光を集光レンズで集光し、集光した太陽光を照射面積よりも小さい太陽電池素子の受光面で受光して電力を取り出す集光型太陽電池装置が実用化されている。
【0003】
集光型太陽電池装置の集光レンズは通常ガラスを加工して製造されるが、高い発電効率を実現するために、この集光レンズは太陽光に対しての高い透過率を長期にわたって維持することが求められる。
ガラスを長期間紫外線にさらすと、ガラスの光線透過率が悪化することがあり、この現象をソラリゼーションとよぶ。前記集光レンズは当然ながら太陽光の照射を長期間にわたって受けるので、ソラリゼーションによって光線透過率が次第に悪化してしまう。従って前記集光レンズ用ガラスとしては光線透過率が高く、ソラリゼーションが抑制されたガラスであることが求められている。
また、前記集光レンズ用ガラスは次の特性も求められる。
(1)長期間の屋外設置に耐えうる化学的耐久性、(2)集光レンズ部をコンパクトにするための比較的高い屈折率、(3)太陽電池素子との熱膨張特性の近似。
【0004】
特許文献1に記載のガラスは集光レンズ用途ではないが、ソラリゼーションが抑制された太陽電池用ガラス基板が開示されている。このガラスはSiO成分が多く、高屈折率化に貢献する成分を含まないため屈折率が低い。
特許文献2に記載のガラスは耐ソラリゼーション性を有し、高い屈折率を有する光学ガラスが開示されているが、SiO成分含有量が少ないため化学的耐久性が低い。
このように、集光型太陽電池装置の集光レンズ用に適した特性を十分に満足するガラスは存在しなかった。
【特許文献1】特開2008−222542号公報
【特許文献2】特開2007−106611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は太陽光の照射、特に紫外線の照射を受けても太陽光に対しての高い透過率を長期にわたって維持し、集光型太陽電池装置の集光レンズ用途に求められる特性を有するガラスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は上記の課題に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、このような特性を満足する特定組成のガラスを見いだし、この発明を完成したものであり、その具体的な構成は以下の通りである。
【0007】
(構成1)
酸化物基準の質量%で、SiO成分、RO成分(ただし、RはZn、Mg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上を示す。)およびLn成分(ただし、LnはY、La、Pr、Gd、Ho、Tm、Yb、Luからなる群より選択される1種以上を示す。)を含有し、これらの成分の合計の含有率が50%以上であり、JOGIS02−2003に規定する着色度T5%およびT80%がそれぞれ31以下および39以下であり、JOGIS04−2005に規定するソラリゼーションが2%以下であるガラス。
(構成2)
酸化物基準の質量%で、SiO成分を28〜50%含有する構成1に記載のガラス。
(構成3)
酸化物基準の質量%で、
RO成分を5〜35%、
Ln成分を1〜20%
含有する構成1または2に記載のガラス。
(構成4)
酸化物基準の質量%で、
ZnO成分を0〜35%、および/または
MgO成分を0〜35%、および/または
CaO成分を0〜35%、および/または
SrO成分を0〜35%、および/または
BaO成分を0〜35%
含有する構成1から3のいずれかに記載のガラス。
(構成5)
酸化物基準の質量%で、
成分を0〜20%、および/または
La成分を0〜20%、および/または
Pr成分を0〜20%、および/または
Gd成分を0〜20%、および/または
Ho成分を0〜20%、および/または
Tm成分を0〜20%、および/または
Yb成分を0〜20%、および/または
Lu成分を0〜20%
含有する構成1から4のいずれかに記載のガラス。
(構成6)
酸化物基準の質量%で、
成分を0〜15%、および/または
Al成分を0〜15%、および/または
成分を0〜12%、および/または
TiO成分を0〜15%、および/または
ZrO成分を0〜15%
含有する構成1から5のいずれかに記載のガラス。
(構成7)
酸化物基準の質量%で、
ZnO成分を5〜35%、
La成分を1〜20%
含有する構成1から6のいずれかに記載のガラス。
(構成8)
酸化物基準の質量%で、LiO成分、NaO成分、およびKO成分の合計の含有率が3%未満である構成1から7のいずれかに記載のガラス。
(構成9)
酸化物基準の質量%で、SnO成分を0〜35%含有する構成1から8のいずれかに記載のガラス。
(構成10)
酸化物基準の質量%でAs成分および/またはSb成分の含有率が0〜1%である構成1から9のいずれかに記載のガラス。
(構成11)
粘度が102.5dPa・sを示すときの温度が1250℃以下である構成1から10のいずれかに記載のガラス。
(構成12)
ガラス転移点が500℃以上である構成1から11のいずれかに記載のガラス。
(構成13)
0℃〜50℃における平均線膨張係数が30×10−7−1〜80×10−7−1である構成1から12のいずれかに記載のガラス。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば太陽光の照射、特に紫外線の照射を受けても太陽光に対しての高い透過率を長期にわたって維持し、化学的耐久性、高い屈折率、太陽電池素子との熱膨張特性が近似する等の集光型太陽電池装置の集光レンズ用途に求められる特性を有するガラスを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のガラスについて説明する。なお、ガラスを構成する各成分の含有量について説明する場合、本明細書においては前記各成分は酸化物基準の質量%にて表現する。
ここで、「酸化物基準」とは、本発明のガラスの構成成分の原料として使用される酸化物、硝酸塩等が溶融時にすべて分解され酸化物へ変化すると仮定して、ガラス中に含有される各成分の組成を表記する方法であり、この生成酸化物の質量の総和を100質量%として、ガラス中に含有される各成分の量を表記する。
【0010】
本発明のガラスは酸化物基準でSiO成分、RO成分(R=Zn、Mg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上を示す。)およびLn成分(Ln=Y、La、Pr、Gd、Ho、Tm、Yb、Luからなる群より選択される1種以上を示す。)を含有し、これらの成分の合量が50%以上であることを特徴とする。
SiO成分はガラス骨格を形成する成分であり、化学的耐久性を向上させ、平均線膨張係数および透過率の調整に必須な成分であるが、ガラスの溶融温度を高くし、ソラリゼーションを悪化させる傾向がある。
RO成分は高温領域での粘性を下げ低温溶融性を向上させる(より低温で溶融することができる)が、一方で平均線膨張係数を大きくし、ガラスが分相しやすくなる傾向がある。
Ln成分は屈折率を向上させ、透過特性を維持しつつ、高温領域での粘性を下げるが、平均線膨張係数を大きし、ガラスの失透傾向が増大しやすくなる傾向がある。
本発明はこれらのSiO成分、RO成分、およびLn成分の合量を50%以上とすることで、着色度T5%およびT80%がそれぞれ31以下および39以下であり、ソラリゼーションが2%以下であるガラスの中でも、高い化学的耐久性と高い屈折率を有するガラスを得ることができる。
また、太陽電池素子との熱膨張特性が近似するためには、現状50×10−7−1〜60×10−7−1程度の比較的低い平均線膨張係数であることが好ましいと言われており、本発明のガラスはそのようない平均線膨張係数を有することができる。さらに将来新たな太陽電池素子が開発された場合においても、その熱膨張特性に対応するべくより広い範囲でも熱膨張係数を調整することができる。
【0011】
前記SiO成分、RO成分、およびLn成分の合量が50%未満であると、上述したこれらの成分による所望の物性に貢献する効果が充分に得られないため、これらの成分の合量の下限値は50%以上であることが好ましく、55%以上であることがより好ましく、60%以上であることが最も好ましい。
【0012】
着色度T5%とはJOGIS(日本光学ガラス工業会規格)02−2003に規定された測定方法で得られる透過率5%を示す波長であり、着色度T80%とはJOGIS(日本光学ガラス工業会規格)02−2003に規定された測定方法で得られる透過率80%を示す波長であり、それぞれ整数第1位を四捨五入し、10nmを単位として表示するものである。
高い発電効率を実現するために、着色度T5%は31以下が好ましく、30以下がより好ましく、29以下が最も好ましい。同様に高い発電効率を実現するために、着色度T80%は39以下が好ましく、38以下がより好ましく、37以下が最も好ましい。
【0013】
ソラリゼーションとはJOGIS(日本光学ガラス工業会規格)04−2005に規定された測定方法で得られる紫外線照射(100W超高圧水銀灯による照射)によって生ずるガラスの分光透過率の変化をいい、紫外線の照射前の分光透過率80%に対応する波長において照射後の分光透過率の減少を小数点第1位までの%で表示するものである。
前記集光レンズが長期間にわたって高い光線透過率を維持するためにはソラリゼーションが2%以下であることが好ましく、1.8%以下であることがより好ましく、1.5%以下であることが最も好ましい。ソラリゼーションの値は少なければ少ないほど良い。
【0014】
前記SiO成分の含有量が28%未満であると、着色度および化学的耐久性が低下し、平均線膨張係数が高くなりやすく調整も困難となるためSiO成分の含有量の下限は28%以上とすることが好ましく、29%以上とすることがより好ましく、30%以上とすることが最も好ましい。
また、前記SiO成分の含有量が50%を超えると、低温溶融性が損なわれるとともに、ソラリゼーションの悪化および屈折率の低下が生じるため、前記SiO成分の含有量の上限は50%以下とすることが好ましく、49%以下とすることがより好ましく、48%以下とすることが最も好ましい。
【0015】
前記RO成分について説明する。前記RO成分の含有量が5%未満であると、ガラス原料の溶融が困難となりやすいため、前記RO成分の含有量の下限を5%以上とすることが好ましく、8%以上とすることがより好ましく、10%以上とすることが最も好ましい。
また、前記RO成分の含有量が35%を超えると安定したガラスが得られなくなるとともに、太陽電池素子と比較して平均線膨張係数が大きくなるため、前記RO成分の含有量の上限は35%以下とすることが好ましく、34%以下とすることがより好ましく、33%以下とすることが最も好ましい。
【0016】
次に前記RO成分のグループであるZnO、MgO、CaO、SrO、BaOの各成分の個々の含有量について説明する。
【0017】
MgO成分は低温溶融性を向上させやすくする任意で添加できる成分である。ただし含有量が大きくなると、平均線膨張係数が大きくなるとともに、失透性が増大するため、その含有量の上限は、好ましくは35%以下、より好ましくは33%以下、最も好ましくは30%以下である。
【0018】
CaO成分は低温溶融性を向上させやすくする任意で添加できる成分である。ただし添加量が多いと平均線膨張係数が大きくなるとともに、失透性が増大するため、その含有量の上限は、好ましくは35%以下、より好ましくは33%以下、最も好ましくは30%以下である。
【0019】
SrO成分は低温溶融性を向上させやすくする任意で添加できる成分である。ただし添加量が多いと平均線膨張係数が大きくなるため、その含有量の上限は、好ましくは35%以下、より好ましくは33%以下、最も好ましくは30%以下である。
【0020】
BaO成分はガラスの分相を抑制しやすくするとともに、低温溶融性を向上させやすくする任意で添加できる成分である。ただし添加量が多いと平均線膨張係数が大きくなりやすくなるため、その含有量の上限は、好ましくは35%以下、より好ましくは33%以下、最も好ましくは30%以下である。
【0021】
ZnO成分は低温溶融性を向上させやすくする任意で添加できる成分であるが、前記RO成分の中でも特に、溶融温度の低下に対する平均線熱膨張係数の増加への寄与が小さいため、その含有量の下限を5%以上として含有させることがより好ましく、10%以上として含有させることが最も好ましい。また上限は35%以下とすることが好ましく、33%以下とすることがより好ましく、30%以下とすることが最も好ましい。
【0022】
前記Ln成分について説明する。前記Ln成分の含有量が1%未満であると、屈折率の向上が期待できなくなるとともに、ガラス原料の低温溶融が困難となりやすいため、前記Ln成分の含有量の下限を1%以上とすることが好ましく、3%以上とすることがより好ましく、4%以上とすることが最も好ましい。
前記Ln成分の含有量が20%を超えると平均線膨張係数が大きくなりやすくなるとともに失透傾向が増大しやすくなるため、その含有量は20%以下が好ましく、18%以下がより好ましく、17%以下が最も好ましい。
【0023】
Ln成分を構成するY、La、Pr、Gd、Ho、Tm、Yb、Luの各成分の個々の含有量について説明する。これらの成分は屈折率を高くし、低温溶融性を向上させやすくする効果があり、個々の成分は任意で添加できる。ただし添加量が多いと平均線膨張係数が大きくなり、失透傾向が増大するため、上記各成分の個々の含有量の上限は、好ましくは20%以下、より好ましくは18%以下、最も好ましくは17%以下である。
【0024】
前記Ln成分の中でも特にLa成分は、他のLn成分よりも添加による着色度への影響(悪化)が小さいため、含有させることが好ましく、その下限を1%以上とすることがより好ましく、5%以上とすることが最も好ましい。
【0025】
成分は光線透過率を高める効果がある任意に添加し得る成分である。ただし添加量が多いとガラスの分相傾向が強くなるため、その含有量の上限は、好ましくは15%以下、より好ましくは12%以下、最も好ましくは10%以下である。
【0026】
Al成分は化学的耐久性および失透性を向上させる任意で添加できる成分である。ただし添加量が多いと低温溶融性を損なうため、その含有量の上限は、好ましくは15%以下、より好ましくは12%以下、最も好ましくは10%以下である。
【0027】
成分は低温溶融性向上させる効果を有するので任意で添加できる成分である。ただし、添加量が多いと化学的耐久性および屈折率が低下しやすくなるため、その含有量の上限は、好ましくは12%以下、より好ましくは11%以下、最も好ましくは10%以下である。また、B成分を含有させることによりソラリゼーションを抑制する効果を得ることができるので、3%以上含有させることがより好ましく、5%以上含有させることが最も好ましい。
【0028】
TiO成分は屈折率を向上させ、ソラリゼーションを抑制する効果がある任意で添加できる成分である。ただし添加量が多いと光線透過性を悪化させるため、その含有量の上限は、好ましくは15%以下、より好ましくは12%以下、最も好ましくは10%以下である。
【0029】
ZrO成分は化学的耐久性を改善させる任意で添加できる成分である。ただし添加量が多いと失透性が増大するため、その含有量の上限は、好ましくは15%以下、より好ましくは12%以下、最も好ましくは10%以下である。
【0030】
アルカリ金属酸化物であるLiO成分、NaO成分およびKO成分は溶融性の向上させやすくする任意で添加できる成分である。ただし含有量が大きくなると熱膨張係数が大きくなりやすく、化学的耐久性が低下しやすいことから、その含有量の合計を3%未満とすることが好ましく、2%未満とすることがより好ましく、含有しないことが最も好ましい。
【0031】
SnO成分はソラリゼーション抑制に効果があり低温溶融性を向上させるとともに、清澄剤として任意で添加できる成分である。ただし添加量が多いと平均線膨張係数が大きくなるとともに、失透性が増大するため、その含有量の上限は、好ましくは35%以下、より好ましくは33%以下、最も好ましくは30%以下である。
【0032】
As成分およびSb成分はガラスの清澄剤として任意で添加できる成分である。ただし多量に加えても清澄効果は大きくならないため1%を上限とし、好ましくは0.5%以下である。
ただしこれらの成分は製造、加工、及び廃棄をする際に環境対策上の措置を講ずる必要があるために含有しないことが最も好ましい。この場合はAs成分およびSb成分の代りに前記SnO成分を0.5%以上含有させることが好ましく、1%以上含有させることがより好ましい。
【0033】
PbO成分はガラスを製造、加工、及び廃棄をする際に環境対策上の措置を講ずる必要があり、そのためのコストを要するため、本発明のガラスにPbOを含有させるべきでない。
【0034】
さらに本発明のガラスにおいては、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Mo、Eu、Nd、Sm、Tb、Dy、Er等の各成分はガラスが着色してしまい、本発明の目的への貢献が少ないため、含有しないことが好ましい。
ただし、ここでいう含有しないとは、不純物として混入される場合を除き、人為的に含有させないことを意味する。
【0035】
その他の成分については、本発明の主旨を損なわない程度であれば添加しても良いが、その総量は3%程度であることが好ましい。
【0036】
本発明のガラスは低温溶融性を示し、粘度が102.5dPa・sを示すときの温度が1250℃以下であるので、通常の溶融法で低コストに製造することができる。本発明のガラスのより好ましい態様においては粘度が102.5dPa・sを示すときの温度が1240℃以下であり、最も好ましい態様においては粘度が102.5dPa・sを示すときの温度が1230℃以下である。
【0037】
本発明のガラスはガラス転移点が500℃以上であるので、高い耐熱性を有する。本発明のガラスのより好ましい態様においてはガラス転移点が550℃以上であり、最も好ましい態様においてはガラス転移点が600℃以上である。
【0038】
本発明のガラスの平均線膨張係数は0℃から50℃の範囲において30×10−7−1〜70×10−7−1であるので、太陽電池素子との熱膨張特性を近似させることができる。本発明のより好ましい態様においては、前記温度範囲における平均線膨張係数は32×10−7−1〜68×10−7−1の値を示し、最も好ましい態様においては、前記温度範囲における平均線膨張係数は35×10−7−1〜65×10−7−1の値を示す。
【実施例】
【0039】
本発明の実施例について説明する。ガラスが酸化物基準で表わされた表1に示す組成比となるように珪砂、硼酸、酸化アルミニウム、亜鉛華、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、酸化マグネシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸バリウムおよび五酸化アンチモン等からなるガラス原料バッチを調製した。バッチは白金坩堝へ充填し、1300〜1400℃の電気炉により、6時間加熱溶融した。溶融したガラスを板状に成型し徐冷した。
【0040】
表1に本発明の実施例の酸化物基準の質量%で表わされたガラス組成、着色度、ソラリゼーション、0℃〜50℃における平均線膨張係数(α)、ガラス転移点、およびガラスの粘度が102.5dPa・sを示すときの温度(T℃atlogη=2.5)を示す。



































【0041】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化物基準の質量%で、SiO成分、RO成分(ただし、RはZn、Mg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上を示す。)およびLn成分(ただし、LnはY、La、Pr、Gd、Ho、Tm、Yb、Luからなる群より選択される1種以上を示す。)を含有し、これらの成分の合計の含有率が50%以上であり、JOGIS02−2003に規定する着色度T5%およびT80%がそれぞれ31以下および39以下であり、JOGIS04−2005に規定するソラリゼーションが2%以下であるガラス。
【請求項2】
酸化物基準の質量%で、SiO成分を28〜50%含有する請求項1に記載のガラス。
【請求項3】
酸化物基準の質量%で、
RO成分を5〜35%、
Ln成分を1〜20%
含有する請求項1または2に記載のガラス。
【請求項4】
酸化物基準の質量%で、
ZnO成分を0〜35%、および/または
MgO成分を0〜35%、および/または
CaO成分を0〜35%、および/または
SrO成分を0〜35%、および/または
BaO成分を0〜35%
含有する請求項1から3のいずれかに記載のガラス。
【請求項5】
酸化物基準の質量%で、
成分を0〜20%、および/または
La成分を0〜20%、および/または
Pr成分を0〜20%、および/または
Gd成分を0〜20%、および/または
Ho成分を0〜20%、および/または
Tm成分を0〜20%、および/または
Yb成分を0〜20%、および/または
Lu成分を0〜20%
含有する請求項1から4のいずれかに記載のガラス。
【請求項6】
酸化物基準の質量%で、
成分を0〜15%、および/または
Al成分を0〜15%、および/または
成分を0〜12%、および/または
TiO成分を0〜15%、および/または
ZrO成分を0〜15%
含有する請求項1から5のいずれかに記載のガラス。
【請求項7】
酸化物基準の質量%で、
ZnO成分を5〜35%、
La成分を1〜20%
含有する請求項1から6のいずれかに記載のガラス。
【請求項8】
酸化物基準の質量%で、LiO成分、NaO成分、およびKO成分の合計の含有率が3%未満である請求項1から7のいずれかに記載のガラス。
【請求項9】
酸化物基準の質量%で、SnO成分を0〜35%含有する請求項1から8のいずれかに記載のガラス。
【請求項10】
酸化物基準の質量%でAs成分および/またはSb成分の含有率が0〜1%である請求項1から9のいずれかに記載のガラス。
【請求項11】
粘度が102.5dPa・sを示すときの温度が1250℃以下である請求項1から10のいずれかに記載のガラス。
【請求項12】
ガラス転移点が500℃以上である請求項1から11のいずれかに記載のガラス。
【請求項13】
0℃〜50℃における平均線膨張係数が30×10−7−1〜80×10−7−1である請求項1から12のいずれかに記載のガラス。

【公開番号】特開2010−116277(P2010−116277A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289156(P2008−289156)
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【出願人】(000128784)株式会社オハラ (539)
【Fターム(参考)】