説明

ガン患者の免疫療法用腫瘍反応性Tリンパ球の改良拡大法

本発明は、ガンの治療及び/又は予防に使用し得る腫瘍反応性リンパ球、特にCD4+ヘルパー及び/又はCD8+Tリンパ球の拡大及び活性化のための改良された方法を開示する。この方法は、短期間内で多数の腫瘍反応性リンパ球を提供し、腫瘍反応性CD4+ヘルパー及び/又はCD8+Tリンパ球の発達を特異的な亜集団に対して方向付ける可能性を提供する。本方法は、腫瘍反応性CD4+Tヘルパー及び/又はCD8+Tリンパ球を腫瘍由来抗原とIL-2レセプターに対するアゴニスト活性を有する少なくとも1つの物質とで刺激して腫瘍反応性CD4+Tヘルパー及び/又はCD8+Tリンパ球の生存を促進する第1のフェーズ;及び腫瘍反応性CD4+Tヘルパー及び/又はCD8+Tリンパ球を活性化し、その成長を促進する第2のフェーズを含んでなり、第2のフェーズは、CD4+Tヘルパー及び/又はCD8+Tリンパ球上でCD25細胞表面マーカー(すなわちIL-2Rマーカー)がダウンレギュレートされたときに開始される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、腫瘍反応性リンパ球、特にCD4+ヘルパー及び/又はCD8+Tリンパ球の拡大(expansion)及び活性化のための改良された方法に関する。Tリンパ球はCD4+CD25+Hiリンパ球ではない。すなわち、本発明は調節性Tリンパ球を対象としない。リンパ球は、ガンの治療及び/又は予防に使用し得る。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
免疫監視説によれば、免疫系は発達中の腫瘍に対して継続的に感作される。この考えは、実験的証拠により強力に支持されている。特異的腫瘍抗原の同定は腫瘍免疫療法の新たな可能性を生み出し、今や多くの免疫療法アプローチが臨床試験に移されつつある。とりわけ、腫瘍抗原特異的リンパ球の養子移入は、特に見込みがありそうである。これら試みは、今までのところ、通常、末梢血由来の単核細胞又は新鮮な腫瘍標本から分離した腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)のいずれかをベースにしている。最近の臨床試験、拡大された(expanded)TILの自己移入による悪性黒色腫患者の治療では、51%までの客観的応答率が報告されている。TIL細胞は少なく、しばしば、腫瘍の免疫抑制機構に起因して不反応性(アネルギー(anergic))であり、拡大の生起に長期間(数ヶ月)要する。更に、このプロトコルは、CD8+細胞傷害性T細胞の拡大を目的とし、この細胞は、化学療法で予め条件付けられた患者に再導入され、加えて患者は、CD8+T細胞の生存を提供するための高用量インターロイキン-2で治療される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発明の開示
本発明者らは、ナイーブT細胞の活性化が二次リンパ系器官(例えば、センチネルリンパ節)の高度に特化した微小環境内で生じ得ることを以前に示した。すなわち、センチネル節は、免疫系が腫瘍抗原に遭遇する一次部位とみなし得る。
【0004】
本発明者らは、センチネルリンパ節由来の腫瘍反応性Tリンパ球の一般的拡大法を以前に開示し、腫瘍反応性Tリンパ球の培養物を取得するために、センチネルリンパ節から得られるTリンパ球を培養することが可能であることを示した。腫瘍反応性Tリンパ球は、センチネル節が除去された患者に有効量の腫瘍反応性Tリンパ球を投与することによりガンを治療するために使用し得る。
【0005】
腫瘍反応性Tリンパ球の投与を含んでなるガン治療の成功は、例えば、拡大工程後に得られる腫瘍反応性Tリンパ球の量、すなわち、患者への注入(infusion)に利用可能な腫瘍反応性Tリンパ球の量、有効量の腫瘍反応性Tリンパ球を取得するに要する時間、並びに当該拡大法により得られる腫瘍反応性Tリンパ球の特異亜集団の濃度及び比のような要因により決定される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明は、腫瘍反応性CD4+ヘルパー及び/又はCD8+Tリンパ球の改良拡大法を開示する。ここで、可能な最短期間で多数の腫瘍反応性Tリンパ球を取得するために、具体的培養条件が決定・最適化され、Tリンパ球上及び培養培地中の特異マーカーが拡大フェーズを通してモニターされる。更に、本発明は、同時に、腫瘍反応性CD4+ヘルパー及び/又はCD8+Tリンパ球の発達を特定の亜集団に向けさせる方法を提供する。Tリンパ球はCD4+CD25+Hiリンパ球ではない。すなわち、本発明は調節性Tリンパ球を対象としていない。
【0007】
転写因子FoxP3を発現するCD4+CD25HiTリンパ球は、調節性T細胞(Treg)と考えられる。Tregは、活性化及び増殖を阻害することによりTヘルパー及びT細胞傷害性細胞を調節する性質を有し、加えてTregは、有用なTh1サイトカイン(例えばIFN-γ)の産生及び放出を阻害する。よって、本明細書に提示される方法は、Tヘルパー細胞及びT細胞傷害性T細胞の拡大を促進し、Treg細胞の拡大を回避するために、開発された。
【0008】
本方法により最も頻繁に生成する腫瘍反応性Tリンパ球は、CD4+ヘルパーTリンパ球である。本拡大法の目的の1つは、或る点では、患者自身の免疫系の天然経路を模倣することであり、或る意味では、最初に、抗原がMCHIにより提示されるか又はMCHIIにより提示されるかに依存して、患者免疫系の成分に、CD4+ヘルパーTリンパ球を生成するか又はCD8+Tリンパ球を生成するかを決定させることである。ほとんどの場合で、抗原はクラスII MCH分子により提示され、CD4+ヘルパーTリンパ球の生成を導く。しかし、或る場合には、CD8+Tリンパ球が生成される。CD4+ヘルパーTリンパ球が生成される場合、それらは、本明細書に記載のように更に拡大されるが、本方法はまた、CD8+細胞を拡大するためにも使用され得る。本発明者らは、2つの異なるフェーズを含んでなる拡大法が、比較的短期間で多数の腫瘍反応性CD4+ヘルパー及び/又はCD8+Tリンパ球を取得するために特に有用であることを見出した。
【0009】
2つのフェーズは、
i)腫瘍反応性Tリンパ球を、腫瘍由来抗原とIL-2レセプターに対するアゴニスト活性を有する少なくとも1つの物質とで刺激して、腫瘍反応性Tリンパ球の生存を促進する第1のフェーズ、及び
ii)腫瘍反応性Tリンパ球の成長を活性化し促進する第2のフェーズである。ここで、第2のフェーズii)は、CD25細胞表面マーカー(IL-2Rマーカー)がTリンパ球上でダウンレギュレートされたときに開始される。
【0010】
この拡大方法は、抗原特異的細胞として患者から単離した単球を使用して実施してもよい。単球は、成熟化サイトカイン(例えば、IL-4、GM_CSF及びIL-3)の使用、続いてToll様レセプター刺激因子(例えば、リポ多糖)の添加による樹状細胞の活性化によって、樹状細胞に分化したときに、患者に投与する。抗原特異集団として活性化された成熟樹状細胞を使用することにより、Tヘルパー細胞及びT細胞傷害性T細胞の拡大が促進及び亢進され得る。
【0011】
定義
用語「腫瘍反応性Tリンパ球」は、腫瘍抗原に特異的なT細胞レセプターを有し、該腫瘍抗原を認識するTリンパ球を意味すると意図される。
用語「Tヘルパー細胞」は、活性化されると適応性の免疫応答を促進するTリンパ球を意味すると意図される。
【0012】
用語「Th1細胞」は、IFN-γのようなサイトカインを使用して活性化されると、細胞媒介性免疫応答を促進するTヘルパー細胞を意味すると意図される。
用語「Th2細胞」は、IL-4のようなサイトカインを使用して活性化されると、体液性免疫応答を促進するTヘルパー細胞を意味すると意図される。
用語「CD4+ヘルパーTリンパ球」は、CD4を発現するが転写因子FoxP3を発現しないTリンパ球を意味すると意図される。
【0013】
用語「CD8+Tリンパ球」は、CD8を発現するTリンパ球を意味すると意図される。
用語「調節性Tリンパ球」は、転写因子FoxP3を発現し、適応性免疫応答を抑制するTリンパ球を意味すると意図される。
【0014】
用語 Tリンパ球の「特異的活性化」は、抗原特異的でMHC拘束性のT細胞レセプター媒介性活性化を意味すると意図される。これに対し、用語 Tリンパ球の「非特異的活性化」は、T細胞レセプターの特異性にかかわらず、全てのT細胞の全般的な活性化を意味すると意図される。
【0015】
用語「腫瘍由来抗原」は、腫瘍細胞、腫瘍のホモジネート(これは変性されていてもよい)、又は例えば精製、天然、合成及び/若しくは組換えのタンパク質、ポリペプチド若しくはペプチドの形態の、腫瘍タンパク質、ポリペプチド若しくはペプチドを含むと意図される。腫瘍由来抗原は、インタクトな分子、そのフラグメント、又はインタクトな分子及び/若しくはフラグメントの多量体若しくは凝集体であり得る。適切なポリペプチド及びペプチドの例は、約5〜約30アミノ酸、例えば約10〜25アミノ酸、約10〜20アミノ酸又は約12〜18アミノ酸を含んでなるポリペプチド及びペプチドである。ペプチドが使用される場合、約0.1〜約5.0μM、例えば約0.1〜約4.0μM、約0.2〜約3.0μM、約0.3〜約2.0μM又は約0.3〜約1.0μMの培養中の最終モル濃度が使用され得る。腫瘍由来抗原は自己由来であっても異種であってもよい。すなわち、腫瘍由来抗原は、治療すべき患者から生じていてもよいし、ガンに罹患している別の対象から取得してもよい。本明細書の実施例では、本発明者らは、自己由来の変性腫瘍抽出物を使用するが、上記のように、腫瘍由来抗原の他の供給源もまた、本発明による方法において使用可能であり得る。
【0016】
用語「第1フェーズの1日目」又は例えば「第2フェーズの5日目」は、以下のように理解すべきである:リンパ球を採集した日を0日目と呼ぶ。第1のフェーズの1日目は、IL-2レセプターに対するアゴニスト活性を有する少なくとも1つの物質と、おそらくは培養培地及び/又は腫瘍由来抗原との添加により拡大が開始された日として定義される。拡大フェーズi)は、0日目に、又はリンパ球の採集の2日後までに開始され得る。第2のフェーズが腫瘍由来抗原の添加により開始される日は、本明細書を通じて、「第2フェーズの1日目」と記述される。
【0017】
用語「センチネルリンパ節」は、腫瘍からのリンパ液排出を受ける最初のリンパ節を意味すると意図される。用語「メチネル(metinel)リンパ節」とは、転移からのリンパ液排出を受ける最初のリンパをいう。
【0018】
フェーズi)
第1のフェーズi)の目的は、実質的に高い比率の腫瘍反応性CD4+ヘルパー及び/又はCD8+Tリンパ球を含んでなる培養物を取得することである。第1のフェーズは、腫瘍反応性Tリンパ球を生存させ分裂させる「養育フェーズ」と考えられる。Tリンパ球の供給源(インビトロ拡大法用の出発材料)に依存して、それらは、比較的厳しい条件、例えばガン細胞によって分泌される因子による抑制及び阻害を漸次導入され得る。
【0019】
本発明による拡大法における使用のための出発材料は、原発腫瘍及び/又は転移を排液する(draining)リンパ節、例えばセンチネル又はメチネルリンパ節から得られるリンパ球の混合物であり得る。これらは、手術の間に、腫瘍又は転移の周り又はその中へのリンパ節探知体(例えばトレーサ物質)の注入により、同定することができる。リンパ節探知体(例えばトレーサ)は毛細リンパ管内を輸送され、センチネル/メチネル節に蓄積されるので、腫瘍又は転移を排液するリンパ節を同定する。本発明者らは、腫瘍からの排液(drainage)を受ける最初のリンパ節が、腫瘍抗原に対して感作され、リンパ節におけるインビボ拡大を受けているTリンパ球を相当量含有し得るので、インビトロ拡大用の天然の腫瘍反応性CD4+ヘルパー及び/又はCD8+Tリンパ球の豊富な供給源である可能性を最近示した。
【0020】
CD4+ヘルパー及び/又はCD8+Tリンパ球の代替の供給源は、ガンに罹患している対象の血液(例えば末梢血)であり得る。対象は、長期間疾患を有している未治療患者であってもよいし、既に治療された患者であってもよく、この患者から、腫瘍に対して感作された末梢Tリンパ球を取得し得る。CD4+ヘルパー及び/又はCD8+Tリンパ球の他の適切な供給源としては、骨髄、脾臓組織及び腫瘍が挙げられる。
しかし、本発明の好ましい実施形態では、出発材料は、センチネル又はメチネルリンパ節から取得される。
【0021】
培養物中で拡大させるべきTリンパ球は、治療すべき対象から取得することができる。すなわち、投与用に得られる特異的腫瘍反応性Tリンパ球は自己由来であり得る。しかし、Tリンパ球はまた、治療すべき対象以外の供給源から、例えばガンに罹患している別の対象から取得することも可能である。この場合、レシピエント及び拡大された腫瘍反応性Tリンパ球は、好ましくは、免疫学的に適合性である(或いは、そうでなければ、レシピエントが、拡大された腫瘍反応性Tリンパ球に免疫寛容にされる)。
【0022】
出発材料は、その供給源に依存して、種々のリンパ球、例えばTリンパ球、Bリンパ球、抗原提示細胞、腫瘍反応性Tリンパ球及び非活性化/非反応性Tリンパ球の混合物を含んでなる。腫瘍反応性CD4+ヘルパー及びCD8+Tリンパ球の生存を特異的に促進するために、腫瘍由来抗原とIL-2レセプターに対するアゴニスト活性を有する1又はそれより多い物質とが、添加される。
【0023】
上記のように、第1のフェーズi)は、IL-2レセプターに対するアゴニスト活性を有する少なくとも1つの物質を添加することにより開始される。その物質の機能は、IL-2レセプターを介してTリンパ球を刺激し、Tリンパ球の細胞分裂を促進することであり、そのことにより細胞死を防止する。
【0024】
Tリンパ球の抗原特異的MHC拘束性活性化は、腫瘍細胞の認識に特異的な有用なTリンパ球集団のクローン拡大を促進する。対照的に、Tリンパ球の非特異的活性化は、腫瘍細胞の認識との関係なく無関係のペプチドを認識するTリンパ球クローンの拡大を導き、よって非特異的に拡大されたTリンパ球の大部分は腫瘍を認識しない。
【0025】
本発明は、腫瘍反応性CD4+ヘルパー及びCD8+Tリンパ球の特異的活性化及び成長を促進することを目的とする。或る腫瘍抗原に対する特異的活性化は、Tリンパ球に、Tリンパ球が活性化されている腫瘍タイプと同じ腫瘍タイプのガン患者に投与されたときの治療効果を有させることを可能にする。
非特異的に活性化されたTリンパ球の投与は、腫瘍関連Tリンパ球が少数であることに起因して、いずれかのガンに対して治療効果を有する可能性がないか、又はその可能性が非常に低い。
【0026】
本発明の1つの実施形態では、IL-2レセプターに対するアゴニスト活性を有する物質は、アゴニストである。このような物質の例としては、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、抗体、アフィボディ(affibody)、及びそれらのフラグメント、融合タンパク質、合成及び/又は有機分子、例えば、小分子、及び天然リガンドが挙げられる。好ましい実施形態では、物質は、IL-2レセプターの天然リガンド、すなわちIL-2である。
【0027】
IL-2は、使用される場合、リンパ球のアポトーシスを減少させるため、及びCD4陽性ヘルパー腫瘍反応性Tリンパ球の集団を増大させるために、優先的には、低用量で添加される。本発明の具体的実施形態では、IL-2の低用量は、約100 IU/ml培養培地〜約700 IU/ml培養培地、例えば、約100 IU/ml培養培地〜約600 IU/ml培養培地、約100 IU/ml培養培地〜約500 IU/ml培養培地、約100 IU/ml培養培地〜約400 IU/ml培養培地、約100 IU/ml培養培地〜約300 IU/ml培養培地、及び約100 IU/ml培養培地〜約200 IU/ml培養培地である。具体的実施形態では、添加するIL-2の量は240 IU/mlである。
【0028】
IL-2レセプターに対してアゴニスト活性を有する、IL-2以外の物質を使用する場合、それらの具体的用量は、上記用量のIL-2により得られる効果に相当する効果を導くような用量であるべきである。
【0029】
細胞分裂を促進する最適条件を維持するために、更なる量のIL-2レセプターに対するアゴニスト活性を有する少なくとも1つの物質が、フェーズi)を通じて定期的に、例えばフェーズi)の2日毎、3日毎又は4日毎に添加されてもよい。用語 2日毎、3日毎又は4日毎は、IL-2レセプターに対するアゴニスト活性を有する少なくとも1つの物質が、IL-2レセプターに対するアゴニスト活性を有する少なくとも1つの物質の最初の添加後(すなわちフェーズi)の開始後)2日目、3日目又は4日目に開始され、フェーズi)を通じて2日毎、3日毎又は4日毎に添加されることを意味すると意図される。
1つの実施形態では、フェーズi)を通じて定期的に添加されるべき物質は、IL-2のアゴニストである。好ましい実施形態では、物質はIL-2である。
【0030】
定期的、例えば2日毎、3日毎又は4日毎に添加されるべき、IL-2レセプターに対するアゴニスト活性を有する物質(例えば、IL-2)の更なる用量は、上記範囲内である。
【0031】
第1のフェーズi)の拡大における更なる重要な工程は、腫瘍抗原を認識するTリンパ球レセプターを発現するTリンパ球、すなわち腫瘍反応性Tリンパ球の細胞分裂を促進するための腫瘍由来抗原の添加である。
【0032】
腫瘍抗原を添加する最適な時点は、リンパ球の供給源に依存する。リンパ球がリンパ節(例えば、センチネルリンパ節)起源又は腫瘍起源である場合、リンパ球は、腫瘍抗原提示に際して増殖で応答するTリンパ球の能力を促進するために、腫瘍細胞の近傍で腫瘍細胞による免疫抑制に供されてもよく、IL-12レセプターに対するアゴニスト活性を有する物質(例えば、IL-2)との何日間かのインキュベーションを必要とし得る。したがって、そのような場合、腫瘍由来抗原は、優先的には、第1のフェーズi)の2日目から5日目まで(5日目を含む)、例えば2日目、3日目、4日目又は5日目に添加される。
【0033】
リンパ球が血液起源である場合、腫瘍由来抗原は、第1のフェーズi)が開始されるときに既に添加されていてもよい。すなわち、IL-2レセプターに対するアゴニスト活性を有する物質と共に添加されてもよい。なぜなら、Tリンパ球は、腫瘍細胞による上記の免疫抑制に付されていないからである。したがって、血液を使用する場合、腫瘍由来抗原は、フェーズi)を開始するとき本質的に同時に添加されるか、又は最大その2日後までに添加される。
【0034】
腫瘍由来抗原(例えば、腫瘍ホモジネート)は、出発材料中に存在する抗原提示細胞による、例えばBリンパ球、樹状細胞及びマクロファージによる、エンドサイトーシス及びプロセッシングを受ける可能性が高い。ほとんどの場合、腫瘍由来抗原は、クラスII MCH分子により提示され、CD4+ヘルパー腫瘍反応性Tリンパ球の細胞分裂を導く。しかし、交差提示により、エンドサイトーシスにより取り込まれた抗原は、プロセッシングを受け、クラスIポケットで提示され、CD8+Tリンパ球の活性化を生じる。上記のように、この拡大法の目的の1つは、或る観点では、患者自身の免疫系の天然経路を模倣することであり、或る意味では、抗原がMCHIにより提示されるか又はMCHIIにより提示されるかに依存して、患者免疫系の成分に、CD4+リンパ球を生成するか又はCD8+リンパ球を生成するかを決定させることである。ほとんどの場合、抗原はクラスII MCH分子により提示されてCD4+Tリンパ球の生成を導くが、CD8+Tリンパ球が生成する場合もある。
【0035】
フェーズii)
第2のフェーズii)の目的は、フェーズi)により取得された腫瘍反応性CD4+ヘルパー及び/又はCD8+Tリンパ球を活性化及び拡大すること、並びに腫瘍反応性CD4+ヘルパー及び/又はCD8+Tリンパ球を所望の経路に方向付けることによりこれらTリンパ球の特異的亜集団を取得することである。
【0036】
本発明者らは、フェーズii)を開始する最適な時点を決定する1つの方法は、Tリンパ球が再刺激に感受性であるときを特異的に決定するために、Tリンパ球上のCD25細胞表面マーカーの発現をモニターすることによることを見出した。本発明者らは、第2のフェーズii)が、好ましくは、Tリンパ球上のCD25の発現がダウンレギュレートされたときに開始されるべきであることを見出した。CD25は活性化マーカーであり、リンパ球が活性化シグナルを受容したことを示す。Tリンパ球上のCD25の発現が高い(リンパ球が既にシグナルを受容していることを意味する)ときに第2のフェーズを開始すると、細胞死が起こるであろう。
【0037】
CD25のダウンレギュレーションは、Tリンパ球集団の相当部分がCD25マーカーを本質的に全く発現しないか又は非常に少ししか発現しないこととして定義される。好ましい実施形態では、CD25のダウンレギュレーションは、Tリンパ球集団の5%未満がCD25を発現すること、すなわち培養物中の95%又はそれより多いTリンパ球はCD25を全く発現しないこととして定義される。CD25を発現する5%又はそれ未満のTリンパ球は、CD25を永続的に高度に発現する調節性CD4+Tリンパ球である可能性が最も高い。加えて、Tリンパ球集団は、好ましくは、調節性Tリンパ球の特異マーカーであるFoxp3マーカーを本質的に全く発現しないか又は非常に少数にしか発現すべきでない。好ましい実施形態では、Foxp3のダウンレギュレーションは、Tリンパ球集団の5%未満がFoxp3を発現すること、すなわち培養物中の95%又はそれより多いTリンパ球はFoxp3を全く発現しないこととして定義される。
【0038】
CD25の他にも、その発現が第2フェーズを開始する最適な時点を決定するためのモニターに関連する他のマーカーが存在する。そのようなマーカーの例は、初期活性化マーカーCD69、及びTリンパ球の活性化マーカーであるMCHIIである。CD69及びMCHIIの発現は、Tリンパ球の「活性化プログラム」が既に始まっている(このことは、細胞が追加の刺激に応答できないことを意味する)ことを示すので、これら両マーカーは、好ましくは、第2のフェーズが開始される前にダウンレギュレートされるべきである。用語 ダウンレギュレーションは、Tリンパ球集団の5〜10%未満がCD69及び/又はMCHIIを発現することとして定義され得る。
【0039】
本発明の別の実施形態では、本拡大法のフェーズii)の拡大中に、抗CD4抗体を使用して、Tヘルパー細胞を培養物中の腫瘍細胞である可能性のある細胞から分離する。
【0040】
本発明の更なる又はなお別の実施形態では、抗CD3抗体及び抗CD28抗体を有するDynabeads(登録商標)のような製品を使用して、本拡大法のフェーズii)の拡大を促進する。Dynabeads(登録商標) CD3/CD28の使用は、活性化シグナルを有するリンパ球を提供し、培養物中の腫瘍細胞である可能性のある細胞からの分離に使用することもできる。Dynabeads(登録商標) CD3/CD28は、フェーズi)の間に抗原特異的に拡大されたTリンパ球に結合する。こうして、これら細胞は磁気的に富化可能となる。最初の抗原特異的活性化が開始され、Tリンパ球のクローン拡大が導かれているので、Dynabeads(登録商標) CD3/CD28再刺激は、クローン拡大を更に促進する。なぜならば、フェーズi)は非特異的Tリンパ球クローンの活性化を支持しないからである。
【0041】
たとえ、フェーズii)の正確な開始点はリンパ球が特異マーカーの好ましい発現を獲得したときに依存して変化しても、第2のフェーズii)は、ほとんどの場合、第1のフェーズi)の17日目から23日目まで(23日目を含む)(例えば17日目、18日目、19日目、20日目、21日目、22日目又は23日目)に開始される。換言すれば、リンパ球が好ましい量及び組合せのマーカーを発現する時点は、ほとんどの場合、第1のフェーズi)の17日目から23日目までであるようである。
【0042】
Tリンパ球の拡大、すなわちフェーズi)及びii)は、ほとんどの場合、適切な培養培地で起こる。好ましくは、患者への疾患の伝染の危険を回避するために、無血清培地又は自己由来血清が使用される。適切な標準培地の例としては、AIMV培地、RPMI 1640、DMEM及びMEMが挙げられる。しかし、アミノ酸、ステロイド、ビタミン、成長因子、サイトカイン及びミネラルの適切なブレンドを含んでなる他の培地も使用し得る。
【0043】
培養物中の適切な細胞密度を維持するために、2つの拡大フェーズ中、細胞は、幾つかの培養容器に分割されてもよい。拡大フェーズにおけるTリンパ球の密度は、好ましくは、約3〜約6百万細胞/ml培養培地であるべきである。
【0044】
拡大の間、培地の条件付けと呼ばれる工程である、新鮮な培地への培養培地の交換もまた必要とされ得る。培養物を分割する時点及び培地を条件付けする時点は、細胞の形態及び細胞培養物密度(これは約6百万細胞/mlを超えるべきでない)に基づいて決定され得るか、又は培地は、適切な指示薬(例えばフェノール指示薬)を含み得る。指示薬が培地に含まれる場合、培養物を分割する時点又は培地を条件付けする時点は、培地の色に基づいて決定してもよい。フェノールレッド指示薬を使用する場合、細胞は、培地が黄色になった(培養物のpHが酸性になっていることを示す)ときに分割又は条件付けすべきである。本発明に使用される培地を条件付けるために適切なスケジュールは、培地の1/4〜1/2(例えば1/3)を3〜9日毎(例えば週1回)交換するというものであり得る。
【0045】
本明細書に記載の特異条件を除き、他のパラメータについては、リンパ球培養物の成長用の標準条件(例えば、温度37℃及び5% CO2)が使用される。
【0046】
上記のように、第2のフェーズii)は、腫瘍反応性Tリンパ球のクローン拡大を促進するため、腫瘍反応性CD25陰性Tリンパ球を活性化するためにTリンパ球に上記のように腫瘍由来抗原を添加することにより開始される。
【0047】
本発明の具体的実施形態では、抗原提示細胞(APC)は、腫瘍由来抗原と共にTリンパ球に添加される。抗原提示細胞(APC)としては、白血球(例えば単球、マクロファージ)及びリンパ球(例えばB細胞)が挙げられる。これら多様な細胞タイプは、特異的Tリンパ球レセプターにより認識される形態で抗原を提示する能力を共通して有する。白血球調製物は、治療すべき患者から得られる、例えば血液、リンパ液、骨髄、リンパ器官組織又は組織培養液から単離される。好ましい実施形態では、APC細胞は、抗原提示B細胞及び/又は単球を含有する照射末梢血白血球である。添加するAPCの量は、約0.5百万APC/mlリンパ球培養物から約5百万APC/mlリンパ球培養物までの範囲、例えば、約1百万APC/mlリンパ球培養物〜約4百万APC/mlリンパ球培養物、約1百万APC/mlリンパ球培養物〜約3百万APC/mlリンパ球培養物、又は約1百万APC/mlリンパ球培養物〜約2百万APC/mlリンパ球培養物にある。
【0048】
腫瘍反応性Tリンパ球のクローン拡大を促進するためのTリンパ球への腫瘍由来抗原の添加の他に、第2のフェーズii)は、その機能が腫瘍反応性Tリンパ球の拡大を所望の亜集団に対して向けることである特定成分の添加を含んでなる。
【0049】
上記のように、本発明は、腫瘍反応性CD4+ヘルパーTリンパ球の生成法を提供する。CD4+ヘルパーTリンパ球は、抗原が主要組織適合性複合体クラスII分子と組み合わさったとき、腫瘍抗原を認識し結合する。活性化CD4+ヘルパーTリンパ球は、免疫系の他の細胞(例えば他のリンパ球)を刺激するサイトカイン、タンパク質及び/又はペプチドを分泌する。分泌される最も一般的なサイトカインは、インターロイキン-2(IL-2)である。これは、強力なTリンパ球成長因子である。活性化され増殖中のCD4+ヘルパーTリンパ球は、産生される特異的サイトカインに基づいて定義される2つの主要なサブタイプの細胞であるTh1細胞及びTh2細胞に分化することができる。Th1細胞は、インターフェロン-γ及びインターロイキン12(IL-12)を産生する一方、Th2細胞は、インターロイキン-4、インターロイキン-5及びインターロイキン-13を産生する。Th1Tリンパ球は、細胞傷害性Tリンパ球(Tc)、NK細胞、マクロファージ、及び単球(これらは全て、ガン細胞を攻撃することができ、一般的には腫瘍に対して防御することができる)の活性化を促進すると考えられている。
【0050】
タイプTh1及びTh2のTヘルパー(CD4+)リンパ球は、メモリー細胞及びエフェクター細胞に分化することができる。メモリーTヘルパー(CD4+)リンパ球は、それらが最初に遭遇した抗原に特異的であり、二次免疫応答の間に召集されて、当該腫瘍抗原に対するより迅速で規模の大きな応答を引き起こすことができる。ヒトにおいて、リンパ球が少なくとも20年(おそらく生涯)生存するという証拠が存在する。エフェクターCD4+Tリンパ球は、サイトカイン及びINF-γを産生する活性な細胞である。
【0051】
ガンの有効な治療のために、Th1タイプの腫瘍反応性Tリンパ球の投与は、このタイプが細胞傷害性Tリンパ球(Tc)、NK細胞、マクロファージ及び単球(これらは全てガン細胞を攻撃し、一般的には腫瘍に対して防御することができる)の活性化を促進すると考えられているので、特に有益である。すなわち、具体的実施形態において、本発明は、腫瘍反応性CD4+ヘルパーTリンパ球を生成する方法に関し、更なる実施形態では、本方法により生成されるTh2タイプのTリンパ球の割合は、30%又はそれ未満、例えば25%又はそれ未満、20%又はそれ未満、15%又はそれ未満、10%又はそれ未満、5%又はそれ未満、或いは0%である。すなわち、腫瘍反応性CD4+Tリンパ球の少なくとも70%、例えば少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は100%が、Th1タイプである。
【0052】
したがって、第2のフェーズは、Tリンパ球上のIL-12Rをアップレギュレートし得る物質の添加を含んでなり得る。IL-12Rのアップレギュレーションは、T細胞が迅速にIL-12サイトカイン活性化を受容し最適化する態勢を増大させ、その結果、最大のSTAT-4シグナル伝達を生じ、そうしてリンパ球をTh1細胞及びIFN-γ産生に傾斜させる(skew)。
【0053】
Tリンパ球上のIL-12Rをアップレギュレートし得る物質は、インターフェロンレセプターに対するアゴニスト活性を有する物質であり得る。本発明の1つの実施形態では、インターフェロンレセプターに対するアゴニスト活性を有する物質は、アゴニストである。このような物質の例としては、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、抗体、アフィボディ、及びそれらのフラグメント、融合タンパク質、合成及び/又は有機分子(例えば小分子)、及び天然リガンドが挙げられる。具体的実施形態では、この物質は、インターフェロンレセプターの天然リガンド、すなわちインターフェロン(例えば、インターフェロン-α)である。
【0054】
Tリンパ球上のIL-12Rをアップレギュレートし得る物質(例えば、インターフェロンレセプターに対するアゴニスト活性を有する物質)を添加する最適な時点は、培養培地中のIL-12レベルを測定することにより決定してもよい。この物質は、好ましくは、IL-12レベルが、フェーズii)の1日目のIL-12レベルと比較して、少なくとも1倍増加したとき、例えば少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、又は少なくとも5倍増加したときに添加すべきである。ほとんどの場合、このようなIL-12レベルの増加は、第2のフェーズii)の開始後2日目から4日目まで(4日目を含む)(例えば2日目、3日目又は4日目)に見られる。
【0055】
Th2タイプの腫瘍反応性Tリンパ球の生成を実質的に回避するために、第2のフェーズは、Th2タイプTリンパ球の発達に拮抗し得る1又はそれより多い物質の添加を更に含んでなってもよい。そのような物質の例は、インターロイキンIL-4、IL-5、IL-10及び/又はTGF-β(後者はインターロイキンではない)(これら4つは全て、Th2サイトカインプロフィールの確立及びTh1サイトカイン産生のダウンレギュレーションに必要とされる)を中和し得る物質である。
【0056】
このような物質の例としては、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、可溶性レセプター、抗体、アフィボディ、及びそれらのフラグメント、融合タンパク質、合成及び/又は有機分子(例えば小分子)、及び天然リガンドが挙げられる。具体的実施形態では、この物質は、インターロイキンに結合し、そのことによりインターロイキンを中和する抗体(例えば抗IL-4抗体、抗IL-5抗体及び/又は抗IL-10抗体)並びに可溶性レセプター(例えばTGF-βレセプターI及びII)及びTGF-βに関する結合性タンパク質(例えばLAP及び/又はLTBP)から選択される。
【0057】
Th2タイプTリンパ球の発達に拮抗し得る1又はそれより多い物質(例えば、IL-4、IL-5、IL-10及び/又はTGF-βを中和し得る1又はそれより多い物質)は、第2のフェーズii)の1日目に添加してもよい。しかし、抗体は高価であるので、抗体の添加は、Tリンパ球上のIL-12Rをアップレギュレートし得る物質の添加後の後工程において、例えば、Tリンパ球上のIL-12Rをアップレギュレートし得る物質の添加の1日後、2日後又は3日後に実施することも可能である。
【0058】
この中和物質は、インターロイキンを中和するに十分な量で、例えば、中和すべきインターロイキン量の10〜100倍(モル)過剰で添加すべきである。抗体を使用する場合、通常、約2〜約4ng/ml培養培地の最終濃度が必要である。他のタイプの中和物質に関しては、抗体について言及した濃度と同じ効果を与える最終濃度を使用すべきである。
【0059】
Th2タイプTリンパ球の発達の抑制を維持するために、更なる量のTh2タイプTリンパ球の発達に拮抗し得る1又はそれより多い物質(例えば、IL-4、IL-5、IL-10及び/又はTGF-βを中和し得る1又はそれより多い物質)が、フェーズii)を通じて定期的に、例えばフェーズii)の2日毎、3日毎又は4日毎に添加されてもよい。用語 2日毎、3日毎又は4日毎は、Th2タイプTリンパ球の発達に拮抗し得る少なくとも1つの物質が、該Th2タイプTリンパ球の発達に拮抗し得る少なくとも1つの物質の最初の添加の2日後、3日後又は4日後に開始され、フェーズi)を通じて2日毎、3日毎又は4日毎に添加されることを意味するように意図されると理解されるべきである。
【0060】
更に、フェーズi)と同様に、更なる量のIL-12レセプターに対するアゴニスト活性を有する物質(例えば、アゴニスト)が、細胞分裂を促進する最適条件を維持するために、フェーズii)を通じて定期的に、例えばフェーズii)の2日〜4日毎(すなわち、2日目、3日目又は4日目)に添加されてもよい。定期的に添加すべき物質の用量は、IL-2レセプターに対するアゴニスト活性を有する物質(例えば、IL-2)の添加についてフェーズi)で記載した最適範囲内にある。
【0061】
Th1タイプ腫瘍反応性Tリンパ球の生成に有利にするために、第2のフェーズii)は、Th1タイプTリンパ球の発達を促進する1又はそれより多い物質を添加することを含んでなってもよい。このような物質の例は、IL-7、IL-12、IL-15及び/又はIL-21レセプターに対するアゴニスト活性を有する物質である。より具体的には、この物質は、IL-7、IL-12、IL-15及び/又はIL-21レセプターのアゴニストであり得る。このようなアゴニストの例としては、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、抗体、アフィボディ、及びそれらのフラグメント、融合タンパク質、合成及び/又は有機分子(例えば、小分子)並びに天然リガンドが挙げられる。具体的実施形態では、この物質は、IL-7、IL-12、IL-15及び/又はIL-21レセプターの天然リガンド(例えば、それぞれIL-7、IL-12、IL-15及び/又はIL-21)である。
【0062】
IL-12の効果は、IL-12Rを刺激し、そのことによりTh1リンパ球の活性化を促進することによってIFN-γ誘導性STAT経路を活性化することである。IL-21の機能は、Tリンパ球の増殖、活性化及びTh1タイプへの発達を増強することである。
IL-7及びIL-15は共に、Tリンパ球の恒常的拡大を促進し、活性化されTh1プログラムされたTリンパ球の列挙(enumeration)を増強することにより働く。
【0063】
Th1タイプTリンパ球の発達を促進する1又はそれより多い物質を添加するに最適な時点は、Tリンパ球が改変に対して感受性であるときである。Tリンパ球が改変に対して感受性でないときにこの物質が添加されると、そのような添加は効果を有さない。すなわち、Th1タイプTリンパ球の発達に有利とならない。Th1タイプTリンパ球の発達を促進する物質(例えば、IL-7、IL-12、IL-15及び/又はIL-21レセプターに対するアゴニスト活性を有する物質)を添加する最適な時点を決定するため、Tリンパ球によるINF-γの産生をモニターし得る。好ましい実施形態では、Th1タイプTリンパ球の発達を促進する1又はそれより多い物質(例えば、IL-7、IL-12、IL-15及び/又はIL-21レセプターに対するアゴニスト活性を有する物質)は、IFN-γレベルが第2のフェーズii)の開始時のIFN-γレベルと比較して増加しているときに添加すべきである。
【0064】
具体的実施形態では、IFN-γレベルの増加は、第2のフェーズii)の開始時のIFN-γレベルと比較して、IFN-γレベルの少なくとも1倍増加、例えば少なくとも2倍増加、少なくとも3倍増加、少なくとも4倍増加として決定され得る。しばしば、このような増加は、培養培地中のIFN-γ含量が少なくとも100ピコグラム/ml培養培地、例えば少なくとも150ピコグラム/ml培養培地、少なくとも200ピコグラム/ml培養培地又は少なくとも250ピコグラム/ml培養培地であるべきであることに相関させることができる。
【0065】
Th1タイプTリンパ球の発達を促進する物質(例えば、IL-7、IL-12、IL-15及び/又はIL-21レセプターに対するアゴニスト活性を有する物質)を添加する最適時点を決定する際、更に、CD4+Tリンパ球上での活性化マーカーCD25及びCD69(これらマーカーは優先的にアップレギュレートされるべきである)の発現を観察してもよい。アップレギュレーションにより、フェーズii)の1日目のTリンパ球上でのCD25及びCD69の発現と比較して、少なくとも約40%〜約60%又はそれより多くのCD4+Tリンパ球が、CD25及びCD69を発現すべきであることが理解される。CD25及びCD69の発現は、Tリンパ球が活性化シグナルを受容したことを示している。
【0066】
通常、Th1タイプTリンパ球の発達を促進する物質を添加する最適な時点は、Tリンパ球上のIL-12Rをアップレギュレートし得る物質及びTh2タイプTリンパ球の発達に拮抗し得る物質を添加する工程の後になる。より具体的には、Th1タイプTリンパ球の発達を促進する物質を添加する最適時点は、第2のフェーズii)の開始後5日目〜8日目の間、例えば5日目、6日目、7日目又は8日目になる。
【0067】
IL-7、IL-12、IL-15及び/又はIL-21が添加される場合、培養培地におけるこれら物質の各々の濃度は、約150 IU/ml培養培地〜約300 IU/ml培養培地の範囲内、例えば250 IU/ml培養培地であるべきである。記載の具体的物質以外のものを使用する場合、それらは、記載した具体的範囲内でのIL-7、IL-12、IL-15及び/又はIL-21の添加により得られる効果と同じ効果を導く最終濃度で、培養物に添加されるべきである。
【0068】
上記のように、本方法は、優先的には、Th1タイプのCD4+腫瘍反応性Tリンパ球を達成するためのTリンパ球の拡大に使用される。本発明の1つの更なる観点は、本明細書に記載した腫瘍反応性Tリンパ球の拡大法を使用することにより、比較的高量のメモリータイプのTリンパ球を取得することである。ガンの治療において、治療されるべき患者が高量のエフェクター腫瘍反応性CD4+Tリンパ球を受容することは、当然のことながら重要である。なぜなら、これらは、上記のように、細胞傷害性Tリンパ球(Tc)、NK細胞、マクロファージ及び単球(これらは全てガン細胞を攻撃し、一般的には腫瘍に対して防御することができる)の活性化を促進するからである。
【0069】
しかし、同時に相当量のメモリー腫瘍反応性CD4+Tリンパ球を投与することにより、患者は、腫瘍又は原発腫瘍の転移の再発に対する生涯にわたる保護までも達成する。
【0070】
したがって、本発明は、メモリーTリンパ球の作製方法に関する。通常、腫瘍反応性Tリンパ球の培養物が本発明に従って拡大される場合、約35%〜約90%、例えば約40%〜約90%、約50%〜約80%又は約60%〜約70%のメモリータイプの腫瘍反応性Tリンパ球が取得される。本発明者らは、フェーズi)のリンパ球が、腫瘍抗原の添加前に再生されるという事実は、比較的緩慢な拡大フェーズと併せて、メモリーリンパ球 対 エフェクターリンパ球の高い比の形成を導くと推測する。
【0071】
上記のように、Tリンパ球上での細胞表面活性化マーカーCD25及びCD69の発現は、本方法の重要な工程を開始する時、例えば、第2のフェーズii)を開始する時を決定するために使用し得る。したがって、フェーズi)及びフェーズii)を通じて、例えば2日毎、3日毎又は4日毎に、CD25及びCD69の発現を継続的にモニターすることは有益であり得る。
【0072】
本方法の目的の1つは、多数の(患者への投与に使用し得る)特異的CD4+腫瘍反応性Tリンパ球を取得することであるので、腫瘍反応性Tリンパ球は、或る時点で採取され得、拡大工程の終結に至る。腫瘍反応性Tリンパ球を採取する最適時点は、Tリンパ球上でのCD25の発現がダウンレギュレートされた時である。ここで、ダウンレギュレーションは、CD4+Tリンパ球集団の5%又はそれ未満がCD25を発現することとして定義される。採取する最適時点はまた、産生されるIFN-γの量の測定に基づいて決定してもよい。IFN-γ産生は、最初のIFN-γ産生(通常、少なくとも100pg/ml培養培地のIFN-γレベルに相当する)と比較して、少なくとも2倍増加すべきであり、例えば少なくとも3倍、少なくとも4倍又は少なくとも5倍増加すべきである。
【0073】
通常、この事象は、第2のフェーズii)の開始後10日目から14日目まで(14日目を含む)に生じる。すなわち、通常、細胞は、第2のフェーズii)の開始後10日目から14日目まで(14日目を含む)に採取される。
【0074】
したがって、本発明に従う腫瘍反応性Tリンパ球の拡大のための全体プロセスは、一般に、約25日から約45日まで(45日を含む)、例えば約26日から約44日まで(44日を含む)、約27日から43日まで(43日を含む)、約27日から42日まで(42日を含む)、約27日から41日まで(41日を含む)、及び約27日から約40日まで(40日を含む)かかる。
【0075】
CD25マーカーがダウンレギュレートされた時に腫瘍反応性Tリンパ球を採取することに代えて、腫瘍反応性Tリンパ球を1又はそれより多い回数の追加のフェーズii)に供してもよい。これは、発現法により取得される腫瘍反応性Tリンパ球の量がガンに罹患している患者に投与すべき有効量と考えられない場合、又は患者が化学療法治療レジメンにある場合(この場合、化学療法治療が終了するまでTリンパ球の投与を延期することが有益と考えられ得る)に行うことが有益であり得る。腫瘍反応性Tリンパ球を1又はそれより多い回数の追加のフェーズii)に供すべきかどうかを決定するために、産生されるIFN-γのレベル及び/又は取得される腫瘍反応性Tリンパ球の総数及び/又はCD25の発現を観察し得る。IFN-γレベルが30pg/ml培養培地又はそれ未満、例えば20pg/ml培養培地又はそれ未満である場合、及び/又はT細胞の総数が不満足である場合、追加の回のフェーズii)は、T細胞の多数がCD25陰性であるとき(すなわち、Tリンパ球集団の5%未満がCD25を発現し、そのことにより再刺激に感受性となるとき)に開始され得る。
【0076】
採取の後、腫瘍反応性Tリンパ球は、任意の従来手段により、例えば密度勾配、例えばフィコール培地の使用により精製されてもよい。腫瘍反応性Tリンパ球の採取及び精製の後、一部の腫瘍反応性Tリンパ球を、適切な凍結培地中で凍結することにより保存してもよい。
【0077】
治療方法
上記のような改良拡大法により取得された腫瘍反応性Tリンパ球は、新生物起源の疾患を患っている対象を治療する方法、又は腫瘍を有する対象において腫瘍退縮をもたらす方法で使用してもよい。この方法は、有効量の本発明に従う腫瘍反応性Tリンパ球をその必要のある対象に投与することを含んでなる。
【0078】
本明細書中で記載する方法は、上皮性新生物については、例えば胸部、結腸、膵臓、膀胱、小腸、前立腺、子宮頸、外陰部、卵巣のガン腫のような;間葉性新生物については、例えば関節、骨、筋肉及び腱の肉腫、並びに幾つかの血液学的なもの(例えばリンパ腫)のような;胎生学的新生物については、例えば奇形腫のような、任意の解剖学的位置の上皮、間葉又は胎生学的起源の任意の充実性新生物の治療に使用し得る。
【0079】
腫瘍反応性Tリンパ球の有効量の定義は、リンパ球の具体的タイプ、メモリーTリンパ球 対 エフェクターTリンパ球の比及び疾患の重篤度に依存する。しかし、平均で、最低限少なくとも10百万、例えば少なくとも20百万、少なくとも30百万、少なくとも40百万、少なくとも50百万、少なくとも60百万、少なくとも70百万又は少なくとも80百万の腫瘍反応性Tリンパ球が投与され得る。単回用量で投与すべき腫瘍反応性Tリンパ球の量に関して、上限は何ら特定されない。
【0080】
好ましい実施形態では、投与用の腫瘍反応性Tリンパ球は、エフェクターTリンパ球とメモリーTリンパ球との組合せを含んでなる。より具体的には、メモリータイプの腫瘍反応性Tリンパ球の量は、約35%〜約90%、例えば約40%〜約90%、約50%〜約80%又は約60%〜約70%であり得、エフェクターTリンパ球の割合は、約10%〜約65%、例えば約20%〜約50%又は約30%〜約40%であり得る。
【0081】
腫瘍反応性Tリンパ球は、患者への非経口投与、例えば、静脈内、動脈内、鞘内又は腹腔内投与に適切な医薬組成物として製剤化され得る。
【0082】
腫瘍反応性Tリンパ球が非経口投与される場合、それらは、等張性媒体中で、すなわち血液と同じ張度を有し、細胞の凝集を防ぐ1又はそれより多い物質を含んでなる媒体中で製剤化されてもよい。適切な媒体の具体例は、3%までのヒト血清アルブミン(例えば2%までのヒト血清アルブミン又は1%までのヒト血清アルブミン)を含んでなる0.9% NaCl溶液である。静脈内投与のためには、投与すべき組成物中の腫瘍反応性Tリンパ球の濃度は、通常、約0.5百万リンパ球/ml媒体から約4百万リンパ球/ml媒体までの範囲、例えば、約0.5百万リンパ球/ml媒体から約3百万リンパ球/ml媒体までの範囲、約0.5百万リンパ球/ml媒体から約2百万リンパ球/ml媒体までの範囲又は約1百万リンパ球/ml媒体から約2百万リンパ球/ml媒体までの範囲にある。
【0083】
腫瘍反応性Tリンパ球を含んでなる組成物は、単回用量又は多回用量として投与されてもよい。これは、1〜2時間にわたって注入されてもよい。
治療方法は、疾患の重篤度に依存して、1回行なわれてもよいし繰り返し行われてもよい。更に、治療は、疾患の再発に際して繰り返されてもよい。
【0084】
本発明に従う治療は、任意の他の関連するガン治療で補充してもよい。そのような補充治療は、リンパ球の投与前、投与と同時又は投与後に行い得、その治療について通常使用される頻度で行われ得る。補充治療の適切な例は、化学療法などである。
【0085】
キット
本発明は更に、本発明に従う方法で使用するためのキットに関し、このキットは、Tリンパ球の培養用培地を含んでなる。この培地は、任意の適切な無血清培地、例えばAIMV、RPMI 1640、DMEM又はMEMであり得る。
【0086】
キットは更に、腫瘍反応性Tリンパ球の刺激、活性化及び方向付けのための1又はそれより多い物質を含んでなり得る。このような物質の例は、腫瘍由来抗原、IL-2レセプターに対するアゴニスト活性を有する物質、Tリンパ球上のIL-12Rをアップレギュレートし得る物質、Th2タイプTリンパ球の発達に拮抗し得る物質及び/又はTh1タイプTリンパ球の発達を促進する物質であり得る。
【0087】
より具体的には、そのような物質は、IL-2、インターフェロン-α、抗IL-4抗体、抗IL-5抗体、抗IL-10抗体、IL-7、IL-12、IL-15及び/又はIL-21であり得る。
キットはまた、静脈内投与に適切な医薬組成物を含んでなり得る。医薬組成物は、投与前に腫瘍反応性Tリンパ球の集団と混合されてもよい。
【0088】
キットはまた、リンパ節探知体(例えば上記のもの)を含んでなる1又はそれより多いシリンジを含んでなり得る。
キットはまた、使用のための指示書(例えばコンピュータソフトウェアの形態の指示書)を含んでなり得る。
【0089】
図面の説明
図1は、センチネル節が腫瘍抗原に対するT細胞反応性の提示及び活性化のための天然の一次部位であることを説明する。
図2は、初めに、センチネル節リンパ球が腫瘍抗原と低用量のIL-2とで活性化され、その結果として活性化及び活性化マーカーCD25の発現を生じることを示す(上パネル)。フェーズI活性化フェーズの終点は、CD25を発現するCD4+T細胞の数の減少により定義される(下パネル)。5%未満のCD4+T細胞がCD25を発現したときに、フェーズIIが抗原での再刺激により開始される。
【0090】
図3は、フェーズI及びフェーズIIの活性化により、CD4+Tヘルパー細胞の拡大及び富化が生じることを説明する。
図4は、フェーズIにおいて、細胞の多数がナイーブCD62L+細胞又は活性化CD69+CD62L+細胞であることを説明する。フェーズII後、細胞の多数はCD62L-であり、メモリー及びエフェクターCD4+Tヘルパー細胞から構成される。CD62L-T細胞は、好ましいリンパ節ホーミング分子を発現しておらず、よってそれらは、非リンパ系器官の炎症領域を探し求める。
【0091】
図5は、フェーズIで刺激された、腫瘍(腫瘍浸潤性リンパ球)、センチネル節(SN)及び無関係のリンパ節(LN)に由来する初代細胞は、IFN-γ産生をほとんど生じないことを示す。
図6は、フェーズii)後の拡大後、抗原依存性IFN-γ産生の用量依存的な増加が存在することを説明する。
図7は、TCR Vβ発現の選択的富化により研究されたように、拡大及び活性化プロトコールが抗原特異的T細胞クローンの拡大を促進することを説明する。
【0092】
図8A〜8Dは、患者#5のCTスキャンである。腫瘍反応性リンパ球の輸注(transfusion)後、患者は、両葉に位置していた肝臓転移(肝臓手術では治療不可能と宣言されていた)が完全に退縮し、CEAレベルが正常化し、腹水が見られなくなり、身体的にも良好で定期的に運動できた。
図9A〜9Fは、患者#10のCTスキャンである。輸注後、患者は、肝臓転移が退縮し、腹水液が消えた。彼は完全に良好な健康状態にあり、更なる撮像法により安定的な病状であることが示された。
【0093】
図10A〜10Hは、患者#12のCTスキャンである。輸注の3ヶ月後、彼は肝臓及び肺の転移が退縮し、CEAレベルが5.9(正常 < 4.0)でほとんど正常化し、腹水も見られなくなった。彼は臨床学的に健康に見える。
図11は、拡大の始め(A)及び終わり(B)にCD25及び転写因子FoxP3の発現に関して染色された、CD4+の発現について選別された(gated)Tリンパ球を示す。初めは(パネルA)、4.8%のCD4+Tリンパ球がFoxP3及び高レベルのCD25を発現し、よってTregと同定された。拡大の終わりには、非常に少数(0.3%)のTregが存在した(パネルB)。
【実施例】
【0094】
実施例
実施例1
腫瘍反応性Tリンパ球の拡大
センチネル節の同定は、センチネル節技法を用いて手術中に行った。簡潔には、1mlのパテントブルー染料(Patent blue dye)を注射し(Guerbet、Paris)、腫瘍の周りの漿膜で表層に分布させた。5〜10分以内に、1〜3の腸間膜リンパ節が青色に着色し、これらセンチネル節に縫合糸で印を付け、取り出した(図1参照)。腫瘍から遠位の1つの非センチネル腸間膜リンパ節もまた同定し、コントロールとして取り出した。
【0095】
センチネルリンパ節及び非センチネルリンパ節を半分に切断し、中央部及び周縁部から1mm厚のスライスを採取した。残りのリンパ節を、ルーチンの手順に従う組織学的検査に送った。腫瘍の一部(侵襲マージン(invasive margin)のサンプルを含む)もまた研究目的に取り出した。
【0096】
細胞培養
フェーズI、最初の活性化
センチネル節材料を氷上に維持し、毎回直ぐにAIM V(登録商標)培地(Invitrogen)を用いて処理した。ルーズフィットのガラスホモジネーター中での穏やかなホモジネーションによりセンチネル節リンパ球の単一細胞懸濁物を取得し、ホモジネーション後、細胞を培地中で2回洗浄した。センチネル節リンパ球を4百万細胞/mlで細胞培養フラスコに入れ、インターロイキン-2(IL-2)(Proleukin(登録商標)、Chiron)を240 IU/ml培地の濃度まで添加した。
【0097】
5容量(w/v)の2×PBS中でのUltra Turraxを用いたホモジネーション、続いて97℃で5分間の変性により、自己由来腫瘍抽出物を調製した。細胞培養の開始3〜4日後、自己由来腫瘍抽出物を1/100の濃度で添加した。長期培養には、細胞を細胞インキュベーター中で37℃で5%CO2に維持し、240 IU IL-2/mL培地を3〜4日毎に添加した。
【0098】
フェーズII、活性化及び拡大
18〜22日後、細胞培養物をCD25の発現に関してモニターした。CD25発現細胞の数が5%を下回って減少したとき、フェーズII(図2)において、濃度1/100の自己由来腫瘍抽出物の添加により細胞を再刺激した。効率的な抗原提示のためには、自己由来PBMCを、Ficoll-Paque PLUS (Amersham Biosciences、GE Healthcare)を使用して集め、2500ラドで照射し、細胞培養物に添加した。再刺激の3日後、インターフェロン-α(Introna)を濃度100〜500 IU/mlで、抗IL-4抗体を2μg/mlの濃度で添加した。5〜8日後、IFN-γ産生Th1細胞の誘導を促進するために、IL-12(4ng/ml)を添加して拡大させた。
【0099】
患者への輸注の前日に、培養物中の生存細胞を取り出すために、細胞培養物を、Ficoll-Paque PLUS (Amersham Biosciences、GE Healthcare)を使用する精製に付した。輸注当日、細胞を生理食塩水溶液(Natriumklorid Baxter Viaflo 9 mg/ml、Baxter)中で2回洗浄し、次いで100〜200 mlの生理食塩水溶液及び1%ヒト血清アルブミン(Baxter)を含有する輸送バッグに移した。輸注の前に、微生物の存在についての検査を行った。細胞の注入は、医学専門家の監督の下で1〜2時間の間行った。
【0100】
免疫学的評価
トリチウム標識チミジン取込み増殖アッセイを用いて更なる免疫学的評価を行った。センチネル節リンパ球のアリコートをこの目的に取り置き、ルーズフィットガラスホモジネーターにおける穏やかな押付けにより非センチネル節リンパ球の単一細胞懸濁物を取得し、Ficoll-Paque PLUS (Amersham Biosciences、GE Healthcare)により末梢血白血球を精製した。
【0101】
細胞を再懸濁し、2.5%ウシ胎仔血清(FCS)(Life technologies)を含有するRPMI 1640 (Life technologies)中で2回洗浄した。最後に、細胞を、10%ヒトAB血清(Sigma)、1%ペニシリン-ストレプトマイシン(Sigma)及び1%グルタミン(Sigma)を含有するRPMI 1640増殖培地中に再懸濁した。リンパ節細胞及び精製したPBLを96-ウェルプレート中3×105細胞/ウェルで使用し、3連で(in triplicates)1/100、1/10に希釈した腫瘍ホモジネート又はCon A 10μg/ml (Sigma)で刺激した。5日目、6日目及び7日目に、採取の18時間前に、1μCiの3H-チミジン/ウェル(Amersham)を添加することにより増殖を測定した。サンプルをシンチレーションカウンティングに付した。
【0102】
細胞培養の開始時、IFN-γ分泌測定のためのリンパ節細胞及びPBLの刺激を、1/10及び1/100に希釈した腫瘍ホモジネート又はCon A 10μg/ml (Sigma)を用い、96-ウェルプレート中3×105細胞/ウェルで3連で行った。プールした3連のサンプル中の培養上清について、分泌IFN-γの量をELISA(Human IFN-γ Duoset、R&D Systems)で測定した(図5)。細胞培養の終わりに、上清のサンプルを取出し、3連でIFN-γ及びIL-4分泌をELISA(human IFN-γ Duoset及びhuman IL-4 Duoset、R&D Systems)で測定した(図6A及び6B)。
【0103】
フローサイトメトリー分析
初めにセンチネル節、非センチネル節、PBMCからの細胞及び腫瘍からの細胞について、フローサイトメトリーを使用して細胞の特徴づけを行った。培養中のセンチネル節で獲得したリンパ球から、フローサイトメトリー分析のために、サンプルを2〜3週間ごとに採取した。細胞を、2% FCS及び0.05% NaN3を補充したPBS(FACS緩衝液)中で、免疫細胞亜集団のマーカー及びリンパ球活性化のマーカーに対する抗体と共に30分間インキュベートした(図3、4及び5)。フルオレセインイソチオシアネート(FITC)に接合した、以下のマーカーに対する抗体:CD69、HLA-DR、CD45RA、CD25;フィコエリトリン(PE)に接合した、以下のマーカーに対する抗体:CD62L、CD19、CD45RO、CD56;ペリニジン-クロロフィル-タンパク質(PerCP)に接合した、以下のマーカーに対する抗体:CD8、CD3;アロフィコシアニン(APC)に接合した、以下のマーカーに対する抗体:CD4、CD14、CD8を使用した。
【0104】
Beta mark kit (Beckman Coulter)を使用してVβ-レパートリーを検査し、5×105細胞/試験管を、FITCとPEと二色FITC-PE接合TCR Vβ抗体との混合物を含む10μlの8つの異なるバイアル中で、各試験管にCD8 PerCP及びCD4 APCを添加して染色した(図7)。
【0105】
実施例2
腫瘍反応性Tリンパ球の投与による結腸ガンの治療
結腸ガン患者からのセンチネルリンパ節及びメチネルリンパ節の同定及び除去
結腸ガンと診断された16人の患者(平均年齢62歳の6人の女性及び10人の男性)を調べた。患者は、組織病理学的にデュークス分類のC又はDに分類された。潰瘍、血管又は神経周囲の侵襲のような攻撃的腫瘍特徴を有するデュークス分類Bの5人の患者もいた。患者7及び14は、以前に結腸ガンのために手術治療を受けたが、今は肝臓に転移し疾患を再発している。地域倫理委員会(The local ethical committee)は、本研究を承認し、各々の患者からはインフォームドコンセントを得た。
【0106】
センチネル節又はメチネル節の同定は術中に行った。腫瘍及び腸間膜の検査を容易にするために、腹膜癒着の分離により結腸腫瘍部位の可動化を達成した。パテントブルー染料(Guerbet、Paris)を注射し、腫瘍の周りの漿膜で表層に分布させた。5分以内に、1〜3の腸間膜リンパ節が青色に着色し、これらセンチネル節に縫合糸で印を付け、切除が完了したときに取り出した。腫瘍から遠位の1つの非センチネル腸間膜リンパ節を同様に取り扱った。
【0107】
センチネルリンパ節及び非センチネルリンパ節を半分に切断し、中央部及び周縁部から1mm厚のスライスを採取した。残りのリンパ節を、ルーチンの手順に従う組織学的検査に送った。腫瘍の一部(侵襲マージンの一部を含む)を抗原調製に使用した。
次いで、リンパ節から取得したリンパ球を実施例1に記載のように拡大させた。
【0108】
腫瘍反応性Tリンパ球の投与:
実施例1に記載のように拡大させた自己由来リンパ球の注入により16人の患者を治療した。平均74.7百万の活性化しクローン拡大させたT細胞を輸液として投与した。発熱、悪寒、倦怠感、重篤な体液貯留、肺浮腫又は呼吸窮迫のような中毒性副作用は観察されなかった。
【0109】
フォローアップ評価
フォローアップには、3〜6ヶ月毎の臨床検査及びCEAレベルの制御が含まれた。加えて、ステージIII及びIVの患者は全て、胸郭及び腹部のコンピュータ断層撮影により検査した。患者を、平均して13ヶ月間(5〜20ヶ月の範囲)定期的に訪問してフォローした(フォローアップ期間の中央値は13 1/2ヶ月であった)。自己由来リンパ球の注入による治療を受けた16人の患者中、8人に診断で遠位転移がわかった。4人の患者が既知の再発のために輸注を受け、そのうち3人は未だ再発の徴候がない。1人の患者は、孤立性肝臓転移のために手術を受け、それ以来回帰はない。図8及び図9から明らかなように、両葉に位置する肝臓転移(肝臓手術では治療不可能と宣言されていた)を有する1人の患者は、腫瘍反応性リンパ球の輸注後、肝臓転移が完全に退縮し、更にはCEAレベルが正常化し、腹水が見られなくなり、身体的にも良好であり、定期的に運動ができるようになった。肝臓転移を有する1人の更なる患者は、輸注後、肝臓転移が退縮し、腹水液が消えた(図10、11及び12を参照)。1人の患者は、注入後3ヶ月で、肝臓及び肺における転移が退縮し(図13、14、15及び16を参照)、CEAレベルが5.9(正常 < 4.0)でほぼ正常化し、腹水も見られなくなり、彼は臨床学的に健康に見える。
【0110】
結果
結腸ガン又は結腸直腸ガンの孤立性肝臓転移を有する16人の患者は、South Stockholm General Hospitalで手術を受け、本研究に参加した。腫瘍の原発位置は、3人が盲腸、4人が上行結腸、1人が下行結腸、7人がS状結腸、1人が直腸にあった。7人の右側結腸半切除、1人の左側結腸半切除、7人のS状結腸切除及び1人の直腸切断を行った。2人の患者は以前に直腸切断及びS状結腸切除の手術を受けていた;彼らは、今回、肝臓転移のために部分的な肝臓切除を受けた。1人の患者が腹部の2箇所で再発しており、以前に盲腸の腫瘍のために手術を受けていた。我々の手術で、転移を排液する2つのセンチネル節を同定した。1つは結腸の腸間膜にあり、1つは小腸の腸間膜にあった。腸間膜と共に吻合回結腸領域の拡大切除を行った。
【0111】
腫瘍周辺へのパテントブルー注射により、全ての患者で、手術中に1〜3(平均2.1)のセンチネル節を同定した。原発結腸切除を受けた患者では、各標本から平均15.8のリンパ節が取り出された。これらリンパ節の組織病理学的検査後、5人の患者をデューク分類Cに分類し、5人の患者をデューク分類Bに分類し、その全てを、病理学的解剖学的検査での神経に沿った腫瘍細胞の成長及び血管内での腫瘍細胞の成長のために、高リスク腫瘍と分類した。5人の患者は遠位転移を有しており、転移切除の時点で、デューク分類Dと分類された。そのうち2人の患者は孤立性肝臓転移を有していた。加えて、センチネル節は、微小転移を検出する目的で、FACS(蛍光活性化細胞選別装置)及びサイトケラチン20(これは、結腸ガン腫瘍により発現される)に対する抗体によっても分析した。(組織病理学的分析により)偽陰性のセンチネル節がサイトケラチン20 FACS分析で陽性であった1つの症例を除き、フローサイトメトリーによるリンパ節のサイトケラチン20評価は、病理学的解剖学的診断(示さず)と一致した。
【0112】
センチネル節は腫瘍を排液する最初のリンパ節であり、したがってリンパ節転移の最初の部位である(Dahlら)が、センチネル節はまた、免疫系の活性化のための一次部位でもある。腫瘍細胞、残渣、壊死細胞及び抗原提示細胞は、センチネル節に蓄積し、そこで腫瘍を指向するT細胞の提示、活性化及びクローン拡大が起こる。本発明者らは、センチネル節で獲得されたリンパ球のインビボ拡大T細胞集団のこの集団を、インビトロ細胞培養、拡大及び輸注に利用した。
【0113】
センチネル節獲得リンパ球は、腫瘍抗原に対して活性化されクローン拡大されたT細胞の集団であって、手術手順の間に効率的に採取することが可能である。細胞傷害性T細胞に着目した最近の免疫療法試験とは対照的に、本発明者らの目的は、Tヘルパー細胞のインビボで開始したクローン拡大のインビトロ増強のためのプロトコールを作成することであった。Tヘルパー細胞は、細胞傷害性T細胞の有効な機能のため及びメモリー細胞の生成のために必要であるようである。更に、膵島細胞抗原を標的するT細胞レセプタートランスジェニック系において、Th1細胞の輸注は、β細胞破壊及び真性糖尿病の発現に十分であることが見出された。センチネル節獲得リンパ球のインビトロ培養は、ホールマークTh1サイトカインIFN-γの優勢な産生及び拘束性TCR Vβレパートリーの富化により示されるように、結果として、Tヘルパー細胞のTh1活性化及びクローン拡大を生じた。T細胞を拡大するために使用する腫瘍ホモジネートは、CD4+Tヘルパー細胞の活性化を導くクラスII提示のために抗原提示細胞によるエンドサイトーシスを受けてプロセッシングされ、その結果、Tヘルパー細胞に有利な拡大をもたらす可能性が高い。交差提示により、エンドサイトーシスにより取り込まれた抗原は、プロセッシングされ、クラスIポケットで提示され得、その結果、CD8+細胞傷害性T細胞の活性化をもたらし得る。興味深いことに、幾つかの場合、本発明者らは、CD4+及びCD8+の両T細胞のクローン拡大を見出した。
【0114】
拡大開始時のセンチネル節獲得リンパ球の平均数は、107.4百万細胞(範囲3.6〜509百万、中央値70百万)であった。フローサイトメトリーにより細胞を特徴付けた。開始時でのCD4+細胞とCD8+細胞との比は、平均4.9(範囲0.36〜10、中央値5.4)であった。このことは、末梢血におけるCD4/CD8比(通常範囲1.0〜2.5)と比較して、センチネル節におけるCD4+Tヘルパー細胞の拡大を示している(図2A)。加えて、Bリンパ球(CD19)及びナチュラルキラー(NK)細胞(CD56)がセンチネル節に存在した(示さず)。細胞は培養に平均36.1日(範囲23〜58日、中央値33日)保持した。フローサイトメトリーにより細胞を少なくとも週毎に綿密にモニターした。初めは、細胞の総数が減少した。B細胞及びNK細胞はほとんど完全に見られなくなり、CD8+Tキラー細胞の数は少なくなった。平均CD4/CD8比が92.5であったので、使用した培養手順は、主にTヘルパー細胞の拡大を促進した。自己由来腫瘍抗原での再刺激は、インビトロ培養の前後で、センチネル節獲得リンパ球のT細胞レセプターVβレパートリーを調べることにより評価されるように、腫瘍反応性T細胞のクローン拡大をもたらした。
【0115】
輸注前に、拡大させたT細胞を、Th1サイトカインIFN-γ及びTh2サイトカインIL-4の活性化及びサイトカイン産生を測定することにより、自己由来腫瘍抗原に対して機能的に試験した。インビトロ拡大したセンチネル節獲得リンパ球は、腫瘍抗原での刺激に際して、IFN-γの産生を伴って応答し、IL-4の産生は全くないか又は非常に少なかった。ことのことは、拡大したT細胞が機能的であり、Th1反応性であったことを示している。
【0116】
デューク分類Dの6人の患者を本研究で治療した。それぞれ肝臓への転移及び肺と肝臓への転移を有し手術時にデューク分類Dのステージにあった2人の患者は、疾患の顕著な退行を示した(患者5及び12)。リンパ球の輸注後、第1の患者は、両葉に位置する肝臓転移(肝臓手術では治療不可能と宣言されていた)が完全に退縮し(図3)、CEAレベルが正常化し、腹水が見られなくなり、健康であるようにみえた。患者12は、肝臓及び肺において転移の退縮を示し、CEAレベルが5.9(正常 < 4.0)でほぼ正常化し、腹水も見られなくなり、彼は臨床学的に健康に見えた。患者1は、肝臓転移のサイズの退縮を示し、初めはCEAレベルが低下し、腹水が見られなくなった。彼女が突然死亡した時(191日目)(肺塞栓であったようである)には体調は素晴らしく良好であった。2人のデューク分類Dの患者は、転移の進行もCEAレベルの増加もなく、安定な疾患を示した。本研究で最高齢の患者番号7は、5ヶ月安定な疾患を示したが、その後CEAレベルが増加し始め、彼女は83歳で死亡した。剖検は行わなかった。1人の患者は、手術時にデューク分類Cのステージにあるとされたが、間もなく肝臓及び肺への転移を発症した(デューク分類D)。しかし、輸注及び化学療法後、肺及び肝臓転移の退縮が見られ、CEAレベルはほんの僅かに亢進した。デューク分類Cに分類された患者は全て、正常なCEAレベルを有し、放射線学的にも臨床学的にも疾患再発の徴候が何ら見られないようであった。4人のデューク分類B患者は、正常なCEAレベルを有し健康であり、疾患再発の徴候がない。デューク分類Bに分類されたが攻撃的に成長中の腫瘍を有する患者番号9は、疾患再発の徴候を示し、亢進したCEAレベル(67)及び肝臓転移の徴候を有していた。
【0117】
輸注されたT細胞の運命を調べるため、本発明者らは、末梢血において腫瘍抽出物に対するT細胞増殖を分析した。前記のように、本発明者らは、輸注前の患者のいずれにおいても、自己由来腫瘍抗原に対する末梢血中のT細胞反応性を何ら証明できなかった。しかし、本発明者らは、輸注後最高10ヶ月まで調査した全ての患者で、末梢血における自己由来腫瘍抗原に対するT細胞増殖を検出することができた。このことは、クローン拡大した循環性の腫瘍反応性T細胞の存在を示している。
【0118】
患者特徴のまとめ
下記は、手術時のデューク分類後に選別された本研究の参加者全てについてまとめた表である:
【表1】

【0119】
考察
本発明者らが知る限りでは、結腸ガンの患者におけるセンチネル節又はメチネル節ベースの免疫療法は以前には存在していなかった。よって、これは、センチネル節又はメチネル節から獲得したリンパ球を治療に使用する最初の試みである。本研究と例えば高用量のIL-2での治療(Rosenberg)との間には幾つかの大きな相違が存在する。第1に、自己由来腫瘍ホモジネート及びAPCによりインビトロ刺激されたセンチネル節獲得リンパ球の使用は、該腫瘍に対して高度に特異的な細胞性免疫応答を引き起こす。原発腫瘍に高親和性を有するT細胞のみが、輸注まで生存する。高用量IL-2が患者に静脈内投与される、全身性の汎用治療では、全てのリンパ球が等しく刺激され、合理的に非常に少ない割合のリンパ球だけが腫瘍特異的である。本発明者らは、センチネル節が腫瘍に対する最初の排液リンパ節であるので、腫瘍特異的リンパ球が過剰に蓄積されると考える。真の腫瘍認識T細胞の増殖及び輸注は、大量の腫瘍特異的反応を生成するはずである。第2に、高用量IL-2レジメンは、高い毒性及び重篤な合併症、長い治療期間及び高い費用を生じる。本方法に従う輸注は、合併症なしで、約1時間の間に与えられ、患者は当日に開放されることも多い。第3に、本プロトコールは、腫瘍浸潤性リンパ球として採取される細胞傷害性T細胞の拡大とは対照的に、センチネル節からのTヘルパー細胞の拡大を目的としている。
【0120】
本研究は、新たに単離したセンチネル節獲得リンパ球が、自己由来腫瘍ホモジネートに対するインビトロ増殖能を有し、合併症なしで、養子免疫療法として患者に輸注できることを示す。拡大されたセンチネル節獲得リンパ球での治療が、高リスク又は散在性の結腸ガンの患者、及び充実性タイプのガンを患っている患者の転帰(outcome)を改善し得ることが強く示唆される。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】図1は、センチネル節が腫瘍抗原に対するT細胞反応性の提示及び活性化のための天然の一次部位であることを説明する。
【図2】図2は、初めに、センチネル節リンパ球が腫瘍抗原と低用量のIL-2とで活性化され、その結果として活性化及び活性化マーカーCD25の発現を生じることを示す(上パネル)。フェーズI活性化フェーズの終点は、CD25を発現するCD4+T細胞の数の減少により定義される(下パネル)。
【図3】図3は、フェーズI及びフェーズIIの活性化により、CD4+Tヘルパー細胞の拡大及び富化が生じることを説明する。
【図4】図4は、フェーズIにおいて、細胞の多数がナイーブCD62L+細胞又は活性化CD69+CD62L+細胞であることを説明する。
【図5】図5は、フェーズIで刺激された、腫瘍(腫瘍浸潤性リンパ球)、センチネル節(SN)及び無関係のリンパ節(LN)に由来する初代細胞は、IFN-γ産生をほとんど生じないことを示す。
【図6】図6は、フェーズii)後の拡大後、抗原依存性IFN-γ産生の用量依存的な増加が存在することを説明する。
【図7】図7は、TCR Vβ発現の選択的富化により研究されたように、拡大及び活性化プロトコールが抗原特異的T細胞クローンの拡大を促進することを説明する。
【図8】図8A〜8Dは、患者#5のCTスキャンである。
【図9】図9A〜9Fは、患者#10のCTスキャンである。
【図10】図10A〜10Hは、患者#12のCTスキャンである。
【図11】図11は、拡大の始め(A)及び終わり(B)にCD25及び転写因子FoxP3の発現に関して染色された、CD4+の発現について選別されたTリンパ球を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)腫瘍反応性CD4+Tヘルパー及び/又はCD8+Tリンパ球を、腫瘍由来抗原とIL-2レセプターに対するアゴニスト活性を有する少なくとも1つの物質とで刺激して、腫瘍反応性CD4+Tヘルパー及び/又はCD8+Tリンパ球の生存を促進する第1のフェーズ;及び
ii)腫瘍反応性CD4+Tヘルパー及び/又はCD8+Tリンパ球の成長を活性化し促進する第2のフェーズ
を含んでなり、前記第2のフェーズは、CD4+Tヘルパー及び/又はCD8+Tリンパ球上でCD25細胞表面マーカー(すなわちIL-2Rマーカー)がダウンレギュレートされたときに開始される、腫瘍反応性CD4+Tヘルパー及び/又はCD8+Tリンパ球の拡大法。
【請求項2】
前記ダウンレギュレーションが、前記Tリンパ球集団の5%又はそれ未満がCD25を発現することとして規定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記Tリンパ球が培養培地中に存在する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記培養培地が例えばAIMV培地のような無血清培地である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のフェーズi)が、前記IL-2レセプターに対するアゴニスト活性を有する少なくとも1つの物質を添加することにより開始される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記IL-2レセプターに対するアゴニスト活性を有する物質がIL-2である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
IL-2が、例えば約100 IU/ml培養培地〜約700 IU/ml培養培地、約100 IU/ml培養培地〜約600 IU/ml培養培地、約100 IU/ml培養培地〜約500 IU/ml培養培地、約100 IU/ml培養培地〜約400 IU/ml培養培地、約100 IU/ml培養培地〜約300 IU/ml培養培地及び約100 IU/ml培養培地〜約200 IU/ml培養培地のような低用量で添加される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記IL-2レセプターに対するアゴニスト活性を有する少なくとも1つの物質の更なる量が、例えばフェーズi)の2日毎、3日毎又は4日毎のように、フェーズi)を通して定期的に添加される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記IL-2レセプターに対するアゴニスト活性を有する物質がIL-2である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
添加されるIL-2の濃度が、約100 IU/ml培養培地〜約700 IU/ml培養培地、約100 IU/ml培養培地〜約600 IU/ml培養培地、約100 IU/ml培養培地〜約500 IU/ml培養培地、約100 IU/ml培養培地〜約400 IU/ml培養培地、約100 IU/ml培養培地〜約300 IU/ml培養培地及び約100 IU/ml培養培地〜約200 IU/ml培養培地である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記腫瘍由来抗原が、例えば2日目、3日目、4日目又は5日目のように、前記第1のフェーズi)の2日目から5日目まで(5日目を含む)に添加される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記腫瘍由来抗原が、フェーズi)の開始と本質的に同時又はその最大3日後までに添加される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記腫瘍由来抗原が腫瘍の変性ホモジネートである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記腫瘍由来抗原が自己由来である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記腫瘍由来抗原がタンパク質、ポリペプチド又はペプチドである、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記第2のフェーズii)が、例えば17日目、18日目、19日目、20日目、21日目、22日目又は23日目のように、前記第1のフェーズi)の17日目から23日目まで(23日目を含む)に開始される、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記第2のフェーズが、腫瘍反応性CD25陰性Tリンパ球を活性化するために、前記Tリンパ球に腫瘍由来抗原を添加することにより開始される、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記腫瘍由来抗原が自己由来である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記腫瘍由来抗原が腫瘍の変性ホモジネートである、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記腫瘍由来抗原が腫瘍タンパク質、ポリペプチド又はペプチドである、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項21】
抗原提示細胞を前記腫瘍由来抗原と共に前記Tリンパ球に添加することを更に含んでなる、請求項17〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記抗原提示細胞が、抗原提示B細胞及び/又は単球を含有する照射された末梢血白血球である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第2のフェーズii)が、前記Tリンパ球上のIL-12Rをアップレギュレートし得る少なくとも1つの物質を添加することを含んでなる、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記Tリンパ球上のIL-12Rをアップレギュレートし得る物質が、インターフェロンレセプターに対するアゴニスト活性を有する物質である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記インターフェロンレセプターに対するアゴニスト活性を有する物質がインターフェロンである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記インターフェロンレセプターに対するアゴニスト活性を有する物質がインターフェロン-αである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
例えばインターフェロンレセプターに対するアゴニスト活性を有する物質のような前記Tリンパ球上のIL-12Rをアップレギュレートし得る物質が、IL-12のレベルが、フェーズii)の1日目のIL-12のレベルと比較して、例えば少なくとも2倍増加、少なくとも3倍増加、少なくとも4倍増加又は少なくとも5倍増加のように、少なくとも1倍増加したときに添加される、請求項23〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
例えばインターフェロンレセプターに対するアゴニスト活性を有する物質のような前記Tリンパ球上のIL-12Rをアップレギュレートし得る物質が、例えば2日目、3日目又は4日目のように、前記第2のフェーズii)の開始後2日目から4日目まで(4日目を含む)に添加される、請求項23〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記第2のフェーズii)が、Th2タイプTリンパ球の発達に拮抗し得る1又はそれより多い物質を添加することを含んでなる、請求項1〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記Th2タイプTリンパ球の発達に拮抗し得る1又はそれより多い物質が、IL-4、IL-5、IL-10及び/又はTGF-βを中和し得る1又はそれより多い物質である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記IL-4、IL-5、IL-10及び/又はTGF-βを中和し得る1又はそれより多い物質が、抗IL-4抗体、抗IL-5抗体及び/又は抗IL-10抗体である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
例えばIL-4、IL-5、IL-10及び/又はTGF-βを中和し得る1又はそれより多い物質のような前記Th2タイプTリンパ球の発達に拮抗し得る1又はそれより多い物質が、前記第2のフェーズii)の1日目に添加される、請求項29〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
例えばIL-4、IL-5、IL-10及び/又はTGF-βを中和し得る1又はそれより多い物質のような前記Th2タイプTリンパ球の発達に拮抗し得る1又はそれより多い物質が、前記Tリンパ球上のIL-12Rをアップレギュレートし得る物質の添加後の後続の工程で添加される、請求項29〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
例えばIL-4、IL-5、IL-10及び/又はTGF-βを中和し得る1又はそれより多い物質のような前記Th2タイプTリンパ球の発達に拮抗し得る1又はそれより多い物質が、前記Tリンパ球上のIL-12Rをアップレギュレートし得る物質の添加の1日後に添加される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
例えばIL-4、IL-5、IL-10及び/又はTGF-βを中和し得る1又はそれより多い物質のような前記Th2タイプTリンパ球の発達に拮抗し得る1又はそれより多い物質の更なる量が、フェーズii)を通じて定期的に添加される、請求項1〜34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
例えばIL-4、IL-5、IL-10及び/又はTGF-βを中和し得る1又はそれより多い物質のような前記Th2タイプTリンパ球の発達に拮抗し得る1又はそれより多い物質の更なる量が、フェーズii)の2日毎、3日毎又は4日毎に添加される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
IL-12レセプターに対するアゴニスト活性を有する物質の更なる量が、フェーズii)を通じて定期的に添加される、請求項1〜36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記IL-2レセプターに対するアゴニスト活性を有する物質が、例えば3日毎のように、フェーズii)の2日毎、3日毎又は4日毎に添加される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記IL-2レセプターに対するアゴニスト活性を有する物質がIL-2である、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項40】
前記第2のフェーズii)が、Th1タイプTリンパ球の発達を促進し得る1又はそれより多い物質を添加することを含んでなる、請求項1〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記Th1タイプTリンパ球の発達を促進し得る1又はそれより多い物質が、IL-7、IL-12、IL-15及び/又はIL-21レセプターに対するアゴニスト活性を有する物質である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記1又はそれより多い物質が、IL-7、IL-12、IL-15及びIL-21から選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
例えばIL-7、IL-12、IL-15及び/又はIL-21レセプターに対するアゴニスト活性を有する物質のようなTh1タイプTリンパ球の発達を促進する1又はそれより多い物質が、IFN-γのレベルが第2のフェーズii)の開始時のIFN-γのレベルと比較して増加したときに添加される、請求項40〜42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
IFN-γの前記増加レベルが、前記第2のフェーズii)の開始時のIFN-γのレベルと比較して、例えば少なくとも2倍増加、少なくとも3倍増加、少なくとも4倍増加のように、IFN-γレベルの少なくとも1倍増加として決定される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
例えばIL-12、IL-15及び/又はIL-21レセプターに対するアゴニスト活性を有する物質のような前記Th1タイプTリンパ球の発達を促進し得る1又はそれより多い物質が、CD25及び/又はCD69がダウンレギュレートされたときに添加される、請求項40〜44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
添加される、例えばIL-7、IL-12、IL-15及び/又はIL-21レセプターに対するアゴニスト活性を有する物質のような前記Th1タイプTリンパ球の発達を促進し得る1又はそれより多い物質の各々の濃度が、例えば250 IU/ml培養培地のように、約150 IU/ml培養培地〜約300 IU/ml培養培地である、請求項40〜45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
例えばIL-12、IL-15及び/又はIL-21レセプターに対するアゴニスト活性を有する物質のような前記Th1タイプTリンパ球の発達を促進し得る1又はそれより多い物質が、5日目、6日目、7日目又は8日目のように、前記第2のフェーズii)の開始後5日目から8日目まで(8日目を含む)に添加される、請求項40〜46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
CD4+ヘルパーTリンパ球の製造のための、請求項1〜47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
エフェクターTリンパ球の製造のための、請求項1〜48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
メモリーTリンパ球の製造のための、請求項1〜49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
Th1タイプTリンパ球の製造のための、請求項1〜50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記Tリンパ球上での例えばCD25及び/又はCD69のような細胞表面マーカーの発現を、前記第1のフェーズi)の間及び前記第2のフェーズii)の間に継続してモニターすることを更に含んでなる、請求項1〜51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記Tリンパ球が、前記第2のフェーズii)においてTリンパ球上のCD25がダウンレギュレートされたときに採集される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記Tリンパ球が、Tリンパ球上のCD25がダウンレギュレートされたときに、少なくとも1回の追加のフェーズii)に付される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記ダウンレギュレーションが前記CD4陽性Tリンパ球集団の5%又はそれ未満がCD25を発現することとして規定される、請求項53又は54に記載の方法。
【請求項56】
前記腫瘍反応性Tリンパ球が、前記第2のフェーズii)の開始後10日目から14日目まで(14日目を含む)に採集される、請求項1〜55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記腫瘍反応性Tリンパ球が採集後に精製される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記第2のフェーズii)で得られた前記腫瘍反応性Tリンパ球を凍結させる工程を更に含んでなる、請求項1〜57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記Tリンパ球が、原発腫瘍及び/又は転移を排液するリンパ節に由来するか又は血液に由来する、請求項1〜58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
請求項1〜59のいずれか1項に記載の方法により製造される腫瘍反応性Tリンパ球。
【請求項61】
CD4+Tリンパ球である、請求項60に記載の腫瘍反応性Tリンパ球。
【請求項62】
エフェクターTリンパ球である、請求項60又は61に記載の腫瘍反応性Tリンパ球。
【請求項63】
メモリーTリンパ球である、請求項60〜62のいずれか1項に記載の腫瘍反応性Tリンパ球。
【請求項64】
Th1タイプTリンパ球である、請求項60〜63のいずれか1項に記載の腫瘍反応性Tリンパ球。
【請求項65】
請求項60〜64のいずれか1項に記載の腫瘍反応性Tリンパ球を含んでなる医薬組成物。
【請求項66】
有効量の請求項60〜65のいずれか1項に記載の腫瘍反応性Tリンパ球をその必要のある対象に投与することを含んでなる、新生物起源の疾患を患っている対象を治療する方法。
【請求項67】
有効量の請求項60〜65のいずれか1項に記載の腫瘍反応性Tリンパ球をその必要のある対象に投与することを含んでなる、腫瘍を有する対象において腫瘍退縮をもたらす方法。
【請求項68】
前記腫瘍反応性Tリンパ球が静脈内、動脈内、鞘内又は腹腔内に投与される、請求項66又は67に記載の方法。
【請求項69】
投与される腫瘍反応性Tリンパ球の量が、例えば少なくとも20百万、少なくとも30百万、少なくとも40百万、少なくとも50百万、少なくとも60百万、少なくとも70百万又は少なくとも80百万のような、少なくとも10百万である、請求項66〜68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
投与される前記腫瘍反応性Tリンパ球がエフェクターTリンパ球とメモリーTリンパ球との組合せである、請求項66〜69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
エフェクターTリンパ球の割合が、例えば約20%〜約50%又は約30%〜約40%のような、約10%〜約65%である、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記腫瘍反応性Tリンパ球が自己由来である、請求項66〜71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
前記腫瘍反応性Tリンパ球が非自己由来である、請求項66〜71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記新生物疾患が、任意の解剖学的位置にある上皮性起源、間葉性起源又は胎生学的起源の任意の充実性新生物、例えば、上皮性新生物については、例えば胸部、結腸、膵臓、膀胱、小腸、前立腺、子宮頸、外陰部、卵巣のガン腫のような新生物;間葉性新生物については、例えば関節、骨、筋肉及び腱の肉腫のような新生物、並びにリンパ腫のような幾つかの血液学的新生物;胎生学的新生物については、例えば奇形腫のような新生物から選択される、請求項66〜73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
新生物起源の疾患の治療用医薬の製造のための、請求項1〜59のいずれか1項により製造される腫瘍反応性Tリンパ球の使用。
【請求項76】
Tリンパ球の培養用培地を含んでなる、請求項1〜59又は66〜74のいずれか1項に記載の方法で使用するキット。
【請求項77】
腫瘍反応性Tリンパ球を刺激し、活性化し及び方向付けるための1又はそれより多い物質を更に含んでなる、請求項76に記載のキット。
【請求項78】
前記培地が、例えばAIMV、RPMI 1640、DMEM又はMEMのような無血清培地である、請求項76又は77に記載のキット。
【請求項79】
前記腫瘍反応性Tリンパ球を刺激し、活性化し及び方向付けるための1又はそれより多い物質が、腫瘍由来抗原、IL-2レセプターに対するアゴニスト活性を有する物質、前記Tリンパ球上のIL-12Rをアップレギュレートし得る物質、Th2タイプTリンパ球の発達に拮抗し得る物質及びTh1タイプTリンパ球の発達を促進する物質から選択される、請求項76〜78のいずれか1項に記載のキット。
【請求項80】
前記腫瘍反応性Tリンパ球を刺激し、活性化し及び方向付けるための1又はそれより多い物質が、IL-2、インターフェロン-α、抗IL-4抗体、抗IL-5抗体、抗IL-10抗体、IL-7、IL-12、IL-15及びIL-21を含んでなる群より選択される、請求項76〜79のいずれか1項に記載のキット。
【請求項81】
静脈内投与に適切な医薬組成物を含んでなる、請求項76〜80のいずれか1項に記載のキット。
【請求項82】
リンパ節探知体を含んでなるシリンジを更に含んでなる、請求項76〜81のいずれか1項に記載のキット。
【請求項83】
使用指示書を更に含んでなる、請求項76〜82のいずれか1項に記載のキット。
【請求項84】
指示書がコンピュータソフトウェアの形態である、請求項83に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A−B】
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【図8C−D】
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【図9A−B】
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【図9C−D】
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【図9E−F】
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【図10A−B】
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【図10C−D】
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【図10E−F】
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【図10G−H】
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【図11】
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【公表番号】特表2009−520477(P2009−520477A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546243(P2008−546243)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【国際出願番号】PCT/EP2006/012304
【国際公開番号】WO2007/071388
【国際公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(508186912)セントクローネ エービー (4)
【氏名又は名称原語表記】SENTOCLONE AB
【住所又は居所原語表記】Allen 5,S−172 66 Sundbyberg,Sweden
【Fターム(参考)】