説明

ガーゼカウントホルダ

【課題】嵩張ることがなく、安価に製造することが可能であり、かつ、手術前、手術中、手術後において、確実にガーゼの数をカウントしつつ、ガーゼを収納することが可能なガーゼカウントホルダを提供すること。
【解決手段】ガーゼカウントホルダを、枠部材と、区画板と、袋部材と、から構成し、かつ、前記枠部材同士、枠部材と区画部材、および区画部材同士は、その接合部分において、接合角度を自在に変更可能な状態で接合する。また、ガーゼカウントホルダを、板状体により構成し、当該板状体を山折りと谷折りを繰り返し行うことによって形成される蛇腹形状し、当該谷折りされた部分に1枚のガーゼを収納可能するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手術前、手術中、手術後においてガーゼの枚数をカウントしつつ収納可能なガーゼカウントホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
腹部や胸部の手術など多くの手術において、患者の血液を処理するために多量のガーゼが使用されている。使用したガーゼは患者の体内から全て取り出す必要があるのは当然であるが、ガーゼが多量の血液を吸液した場合、体内においてその判別が困難となる場合があり、大きな手術などでは、時々ガーゼの取り忘れが生じている。
【0003】
このようなガーゼの取り忘れを防止するためには、手術前にガーゼの数をカウントしておき、手術後に再度ガーゼの数をカウントし、使用したガーゼの全てが回収されているか否かを確認することが有効であり、実際の手術においても当該ガーゼのカウントが行われている。
【0004】
ガーゼの数のカウントを行うに際しては、例えば、特許文献1〜3に記載されているような装置が開発されている。
【0005】
しかしながら、これらの装置は何れも大がかりなものであり、手術室において当該装置の設置スペースを確保する必要があり、またコストパフォーマンス的にも優れているとは言えない。
【0006】
このような状況において、近年は上記のような「装置」ではなく、より簡便で安価なガーゼカウントホルダが開発されている。
【0007】
当該簡便なガーゼカウントホルダとしては、例えば、特許文献4〜7に記載されているものを挙げることができる。
【特許文献1】実開昭62−142312号公報
【特許文献2】実開昭55−059607号公報
【特許文献3】特開昭55−024020号公報
【特許文献4】実登録3098966号公報
【特許文献5】実開平06−011708号公報
【特許文献6】実公平04−048174号公報
【特許文献7】特開2001−278331号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記特許文献4〜7に記載されているガーゼカウントホルダにあっても、その形状は非常に嵩張るものであり、また製造コストにおいても必ずしも安価であるとは言えず、これらの点において改良の余地がある。なお、特許文献7にあっては、嵩張りや製造コストにおいては、他の特許文献に開示されているものに比べ優れていると言えるが、そもそも特許文献7のガーゼカウントホルダは、手術において使用された後のガーゼを収納することを想定しておらず、使用済みのガーゼを鍵穴状切欠に収容する行為は、感染予防の観点から考えて望ましくなく、また、もし仮に使用後のガーゼを収容した場合には、ガーゼに吸液された血液や生理食塩水等の液体がガーゼから流出してしまう問題が生じ得る。したがって、当該特許文献7のガーゼカウントホルダは、手術前におけるガーゼのカウントには使用可能でも、手術後のガーゼのカウントに使用することは困難である。
【0009】
本願発明はこのような状況においてなされた発明であり、嵩張ることがなく、安価に製造することが可能であり、かつ、手術前、手術中、手術後において、確実にガーゼの数をカウントしつつ、ガーゼを収納することが可能なガーゼカウントホルダを提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するための本願第一の発明は、手術中に使用されるガーゼをカウントしつつ収納可能なガーゼカウントホルダであって、当該ガーゼカウントホルダは、枠部材と、当該枠部材の内部を、1枚のガーゼを収納するのに必要十分な大きさを有する複数の収納部に区画するための区画板と、前記枠部材に底を形成するように取り付けられており、前記収納部に血液や生理食塩水等の液体を吸液したガーゼが収納された際に、当該ガーゼから流出する血液や生理食塩水等の液体を収集可能な袋部材と、から構成されており、かつ、前記枠部材同士、枠部材と区画部材、および区画部材同士は、その接合部分において、接合角度を自在に変更可能な状態で接合されていることを特徴とする。
【0011】
また、上記本願第一の発明においては、前記枠部材および前記区画板は、紙またはプラスチック樹脂により形成されていてもよい。
【0012】
また、上記課題を解決するための本願第二の発明は、手術中に使用されるガーゼをカウントしつつ収納可能なガーゼカウントホルダであって、当該ガーゼカウントホルダは、板状体からなり、当該板状体は、これを所定の間隔をおいて山折りと谷折りを繰り返し行うことによって形成される蛇腹形状を呈しており、当該谷折りされた部分に1枚のガーゼが収納可能となっていることを特徴とする。
【0013】
また、上記本願第二の発明にあっては、前記板状体の少なくとも一部には、蛇腹形状を折り畳んだ状態で係止可能な係止部材が設けられていてもよい。
【0014】
また、上記本願第二の発明にあっては、前記谷折りされた部分の先端には、収納されるガーゼの脱落を防止するための切れ込み部が設けられていてもよい。
【0015】
また、上記本願第二の発明にあっては、前記谷折りされた部分には、血液や生理食塩水等の液体を吸液したガーゼが収納された際に、当該ガーゼから流出する血液や生理食塩水等の液体が当該谷折りされた部分から漏れることを防止するための堰部材が設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
上記本願第一の発明によれば、枠部材と、当該枠部材の内部を複数の収納部に区画するための区画板と、前記枠部材に底を形成するように取り付けられた袋部材という3つの部材から構成されているため、手術前に複数の収納部のそれぞれにガーゼを収納していくことにより、簡易にガーゼの枚数をカウントすることができ、手術中にあっては、当該収納部に収納されているガーゼを適宜取り出しつつ使用することができ、さらに手術後にあっては、使用済みのガーゼを再度当該収納部に一枚ずつ収納することで、ガーゼの枚数をカウント(確認)することができる。
【0017】
この場合にあって、手術において使用したガーゼは血液や生理食塩水等の液体が吸液された状態となっているが、本発明のガーゼカウントホルダは袋部材を備えているため、ガーゼから流出した血液や生理食塩水等の液体が当該ガーゼカウントホルダの外部に漏れ出ることがなく、安全に使用できるため、使用者の感染リスクを極めて低減できる。また、本発明のガーゼカウントホルダの当該機能によれば、手術前に各収納部にガーゼを収納した状態で当該ガーゼカウントホルダの重量を計量しておき、手術後に使用したガーゼ(血液や生理食塩水等の液体を吸液している状態)を各収納部に再度収納した状態で再度当該ガーゼカウントホルダの重量を計量することにより、ガーゼに吸液された血液や生理食塩水等の液体の量を測定することができる。
【0018】
さらに、本発明のガーゼカウントホルダによれば、前記枠部材同士、枠部材と区画部材、および区画部材同士は、その接合部分において、接合角度を自在に変更可能な状態で接合されているので、当該接合部分を利用して全体を薄く折り畳むことができ、使用前における収納を容易にすることができる。
【0019】
また、このような本発明のガーゼカウントホルダは、前述のごとく枠部材、区画板、および袋部材という3つの部材により構成されているため、安価かつ簡便に製造可能である。
【0020】
本願第一の発明において、前記枠部材および前記区画板を紙またはプラスチック樹脂により形成することにより、さらに安価に製造することができるとともに、軽量化することも可能となり輸送等においても便利となる。
【0021】
一方で、上記本願第二の発明によれば、板状体からなり、当該板状体は、これを所定の間隔をおいて山折りと谷折りを繰り返し行うことによって形成される蛇腹形状を呈しており、当該谷折りされた部分に1枚のガーゼが収納可能となっているため、手術前においては、板状体が谷折りされた部分にガーゼを一枚ずつ収納することによりガーゼをカウントすることができるとともに、手術後においても同様に収納することで再度ガーゼをカウント(確認)することができる。
【0022】
また、当該第二の発明としてのガーゼカウントホルダは、基本的には板状体のみから構成可能であるため、従来のガーゼカウントホルダに比べて製造コストを大幅に削減することができるとともに、蛇腹形状を縮める方向に変形することにより、全体をコンパクトに折り畳むことができる。
【0023】
また、上記本願第二の発明において、前記板状体の少なくとも一部には、蛇腹形状を折り畳んだ状態で係止可能な係止部材を設けることにより、前述したように、蛇腹形状を縮める方向に変形することで全体を折り畳んだ場合に、当該折り畳んだ状態を前記係止部材により保持することができ、病院等で保管をしておく場合や輸送時における省スペース化を実現することができる。さらに、前記係止部材が設けられていることにより、医師や看護師等の手術者が手術前にガーゼをカウントする手間を省くため、当該ガーゼカウントホルダの谷折りされた部分に予めガーゼを収納して前記係止部材を用いて係止した状態で病院等に提供することが可能となる。
【0024】
さらに、上記本願第二の発明において、前記谷折りされた部分の先端に、収納されるガーゼの脱落を防止するための切れ込み部が設けることにより、谷折り部分に収納されたガーゼの脱落を効果的に防止することができる。
【0025】
また、上記本願第二の発明において、前記谷折りされた部分に、血液や生理食塩水等の液体を吸液したガーゼが収納された際に、当該ガーゼから流出する血液や生理食塩水等の液体が当該谷折りされた部分から漏れることを防止するための堰部材を設けることにより、前記本願第一の発明と同様に、使用後のガーゼに吸液された血液や生理食塩水等の液体が当該ガーゼカウントホルダの外部に漏れ出ることがなく、安全に使用できるため、使用者の感染リスクを極めて低減できる。また、手術前に各収納部にガーゼを収納した状態で当該ガーゼカウントホルダの重量を計量しておき、手術後に使用したガーゼ(血液や生理食塩水等の液体を吸液している状態)を各収納部に再度収納した状態で再度当該ガーゼカウントホルダの重量を計量することにより、ガーゼに吸液された血液等の量を測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、本発明のガーゼカウントホルダについて図面を用いて具体的に説明する。
【0027】
<本願第一のガーゼカウントホルダ>
先ず、本願第一のガーゼカウントホルダについて説明する。
【0028】
図1は、本願第一のガーゼカウントホルダの斜視図である。
【0029】
図1に示すように、本願第一のガーゼカウントホルダ10は、枠部材11と、当該枠部材11の内部を、1枚のガーゼを収納するのに必要十分な大きさを有する複数の収納部13に区画するための区画板12と、前記枠部材11に底を形成するように取り付けられており、前記収納部13に血液や生理食塩水等の液体を吸液したガーゼが収納された際に、当該ガーゼから流出する血液や生理食塩水等の液体を収集可能な袋部材14と、から構成されている。
【0030】
このような本願第一のガーゼカウントホルダ10によれば、手術前にガーゼを一枚ずつ各収納部13に収納していくことにより、確実にガーゼの数をカウントすることができる。図示するガーゼカウントホルダ10においては、2×5=10枚のガーゼをカウント、収納可能である。もちろん、手術においてこれ以上のガーゼを使用する場合には、当該ガーゼカウントホルダ10を複数個用いればよく、若しくは、収納部13の数を例えば4×5=20のように変更してもよい。なお、使用するガーゼの数が10枚以下の場合にも、これに応じて収納部13の数を適宜調整すればよい。
【0031】
ここで、各収納部13(一つの)の大きさについては、1枚のガーゼを収納するのに必要十分な大きさであればよく、本願発明は特に限定することはない。しかしながら、1枚のガーゼを収納するのに必要十分な大きさであり、かつ、2枚以上のガーゼを収納するには不十分な大きさに設計することが好ましい。当該大きさに設計することにより、ガーゼをカウントするために各収納部13に収納する際に、一つの収納部13に2枚以上のガーゼを収納してしまうことを防止することができ、ガーゼのカウントをより正確に行うことができるからである。
【0032】
また、手術において使用したガーゼには患者の血液や生理食塩水等の液体が吸液されており、これを前記収納部13に収納すると、ガーゼから血液や生理食塩水等の液体が流出することが当然考えられるが、本願第一のガーゼカウントホルダ10によれば、袋部材14が設けられているため、ガーゼから流出した血液や生理食塩水等の液体は、この袋部材14内に保持されることとなり、手術室の床などに漏れることがなく、安全に使用できるため、使用者の感染リスクを極めて低減できる。
【0033】
また、手術前に、当該ガーゼカウントホルダ10の各収納部13にガーゼを一枚ずつ収納した状態でその重量を測定しておき、手術後に各収納部13に使用済みのガーゼを収納した状態で再度重量を測定することにより、使用したガーゼに吸収された患者の血液等の重量を知ることが可能となる。
【0034】
図2は、図1に示した本願第一のガーゼカウントホルダ10の上面図である。
【0035】
図3は、図1に示した本願第一のガーゼカウントホルダ10を折り畳む際の説明図であり、図3(a)は、折り畳み途中の上面図であり、図3(b)は、折り畳んだ状態を示す正面図である。
【0036】
本発明のガーゼカウントホルダ10においては、上記で説明した枠部材11同士、枠部材11と区画部材12、および区画部材12同士は、その接合部分(図2の符号15参照)において、接合角度θを自在に変更可能な状態で接合されていることに特徴を有している。
【0037】
図2に示す実線矢印の方向に引っ張る若しくは潰すことにより、各接合部分15の接合角度θがそれぞれ変化して、最終的には図3に示すような折り畳んだ状態とすることができる。
【0038】
このように本願第一のガーゼカウントホルダ10は、薄く折り畳むことが可能なので、病院等に収納する際に嵩張ることがなく、また運送等においても簡易となる。
【0039】
なお、本願第一のガーゼカウントホルダの折り畳み方については、前記図2、図3に示した方法に限定されることはなく、接合角度θが自在に変更可能であることを利用して、他にも様々な折り畳み方を採用することができる。例えば、図2に示す点線矢印(図2の左側参照)の方向に引っ張る若しくは潰すことにより、各接合部分15の接合角度θがそれぞれ変化せしめて折り畳んでもよい(折り畳まれた後の形状は図示しない。)。
【0040】
このように、各部材を接合角度θを自在に変更可能な状態で接合する方法については、特に限定することはなく、例えば、接着剤等で完全に固定するのではなく、各部材に適当な切れ目を形成してこれを組み合わせる方法などを挙げることができる。
【0041】
このような本願第一のガーゼカウントホルダ10を構成する枠部材11および前記区画板12の材質については、特に限定されることはなく、上記作用効果を奏することができる程度の加工性、硬度を有している材質であれば、いかなる材質であってもよい。しかしながら、安価かつ簡便に製造することを考慮した場合には、これらは紙またはプラスチック樹脂により形成されていることが好ましい。
【0042】
<本願第二のガーゼカウントホルダ>
次に、本願第二のガーゼカウントホルダについて説明する。
【0043】
図4は、本願第二のガーゼカウントホルダの斜視図である。
【0044】
図4に示すように、本願第二のガーゼカウントホルダ20は、板状体21からなり、当該板状体21は、これを所定の間隔をおいて山折りYと谷折りTを繰り返し行うことによって形成される蛇腹形状を呈しており、当該谷折りされた部分22に1枚のガーゼが収納可能となっていることに特徴を有している。
【0045】
このような本願第二のガーゼカウントホルダ20によれば、前記本願第一のガーゼカウントホルダ10と同様に、手術前にガーゼを一枚ずつ、谷折りされた部分(各収納部)22に収納していくことにより、確実にガーゼの数をカウントすることができる。図示するガーゼカウントホルダ20においては、10枚のガーゼをカウント・収納可能である。もちろん、手術においてこれ以上のガーゼを使用する場合には、当該ガーゼカウントホルダ20を複数個用いればよく、若しくは、谷折りされた部分(収納部)22の数を例えば20に変更してもよい。なお、使用するガーゼの数が10枚以下の場合にも、これに応じて谷折りされた部分22の数を適宜調整すればよい。
【0046】
ここで、谷折りされた部分(各収納部)22(一つの)の大きさについては、前記本願第一のガーゼカウントホルダと同様に、1枚のガーゼを収納するのに必要十分な大きさであればよく、本願発明は特に限定することはない。しかしながら、1枚のガーゼを収納するのに必要十分な大きさであり、かつ、2枚以上のガーゼを収納するには不十分な大きさに設計することが好ましい。当該大きさに設計することにより、ガーゼをカウントするために谷折りされた部分22に収納する際に、一つの谷折りされた部分22に2枚以上のガーゼを収納してしまうことを防止することができ、ガーゼのカウントをより正確に行うことができるからである。
【0047】
前記板状体21の材質については、本願は特に限定することはなく、例えば前記第一のガーゼカウントホルダ10と同様に紙やプラスチック樹脂等を用いることができる。
【0048】
図5は、図4に示した本願第二のガーゼカウントホルダを折り畳んだ状態を示す正面図である。
【0049】
図5に示すように、本願第二のガーゼカウントホルダ20においては、一枚の板状体21を蛇腹形状に折り曲げることにより形成されているので、当該蛇腹形状を縮める方向に変形することにより、コンパクトに折り畳むことが可能である。
【0050】
ここで、本願第二のガーゼカウントホルダにおいては、前記板状体の少なくとも一部には、蛇腹形状を折り畳んだ状態で係止可能な係止部材が設けられていることが好ましい。
【0051】
具体的には、図4に示したガーゼカウントホルダ20においては、前記板状体21の、前記山折り部分と平行な一端(図4の符号23)と他端(図4の符号24)とには、当該一端23と他端24とを係止可能な係止部材25が設けられている。当該部分に係止部材25を有していることにより、図5に示すように、折り畳んだ際にその両端を固定することが可能となる。
【0052】
本発明においては、当該係止部材25が設けられる位置やその形状については特に限定することはなく、蛇腹形状が開いてしまうことを防止できる程度に板状体21を係止することができればよく、従来公知のいかなる部材をも適応可能である。例えば、図4に示すように、板状体21の一端23には雄型(突出部)の係止部材を設けておき、その一方で、板状体25の他端24には、前記雄型の係止部材に対応する雌型(孔)の係止部材を設けておき、前記雄型の係止部材を雌型の係止部材に嵌合させることにより固定しても良い。また、別の例としては、板状体の一端には、フック部材を設けておき、その一方で、板状体の他端には輪ゴムなどの紐部材を設けておき、当該紐部材をフック部材に絡ませることにより固定してもよい(図示せず)。
【0053】
さらに図面を用いて係止部材の別の態様を説明する。
【0054】
図6は、図4とは別の本願第二のガーゼカウントホルダの斜視図である。
【0055】
図7は、図6に示した本願第二のガーゼカウントホルダを折り畳んだ状態を示す斜視図である。
【0056】
図6、図7に示すように、本願第二のガーゼカウントホルダ30にあっては、板状体31の、山折り部分と直行する一端(図4の符号33)に係止部材35が設けられている。
【0057】
当該係止部材35は、図6に示すように、一つの雌型(孔)の係止部材と、これに対応する複数の雄型(突出部)の係止部材とから構成されており、各山折り部分の先端にそれぞれこれらのいずれかが設けられており、複数の雄型の係止部材を順次雌型の係止部材に嵌合することにより、図7に示すように、蛇腹形状の板状体35をコンパクトに折り畳むことが可能となっている。
【0058】
図8、および図9は、前述した本願第二のガーゼカウントホルダ20における、谷折りされた部分(つまり、ガーゼを収納する部分)の先端の拡大図である。
【0059】
図8に示すように、当該谷折りされた部分22の先端には、ここに収納されるガーゼの脱落を防止するための切れ込み部26が設けられている。
【0060】
このような切れ込み部26を設けることによりガーゼの脱落を確実に防止することができる。
【0061】
なお、当該切れ込み部26の形状については、特に限定されることはなく、前記作用効果を奏することができる形状であればいかなる形状であってもよい。例えば、図7に示すように、切れ込み部26の先端が円形状を呈していてもよい。
【0062】
図10は、前述した本願第二のガーゼカウントホルダ30における、谷折りされた部分(つまり、ガーゼを収納する部分)の先端の拡大図である。
【0063】
図10に示すように、本願第二のガーゼカウントホルダ30にあっては、前記谷折りされた部分32には、血液や生理食塩水等の液体を吸液したガーゼが収納された際に、当該ガーゼから流出する血液や生理食塩水等の液体が当該谷折りされた部分から漏れることを防止するための堰部材37が設けられている。
【0064】
当該堰部材37を設けることにより、上述した本願第一のガーゼカウントホルダ10と同様に、使用済みのガーゼから流出する血液等がガーゼカウントホルダ30の外部へ漏れ出ることを防止することができる。従って、やはり上述した本願第一のガーゼカウントホルダ10と同様に、手術前後の全重量を測定することにより、使用したガーゼに吸収された患者の血液等の重量を知ることが可能となる。
【0065】
当該堰部材37を形成する方法やその材質等については、特に限定されることはない。
【0066】
このような本願第二のガーゼカウントホルダ20、30にあっては、予めガーゼを収納した状態で折り畳んでおくことも可能である。このような状態で手術者に提供すれば、本願第二のガーゼカウントホルダを広げただけで、一目でガーゼの数をカウントでき、なおかつ、使用する前の枚数と使用後の枚数が過不足なく同数であることを確実にカウントすることができ、手術者に対し、安全・安心性が極めて高いガーゼを提供することが可能となる。また、ただ係止部材を開放して蛇腹形状を広げるのみで手術を行えることから利便性が高い。
【0067】
以上説明したように、本願第一のガーゼカウントホルダ、および第二のガーゼカウントホルダのいずれも、構造が簡単であり安価な材料により製造することができるため、コストを低廉に押さえることができるとともに、何れのガーゼカウントホルダにあっても、コンパクトに折り畳みが可能であるため、設置スペースについて考慮する必要がなく、保管も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本願第一のガーゼカウントホルダの斜視図である。
【図2】図1に示した本願第一のガーゼカウントホルダの上面図である。
【図3】図1に示した本願第一のガーゼカウントホルダを折り畳んだ状態を示す正面図である。
【図4】本願第二のガーゼカウントホルダの斜視図である。
【図5】図4に示した本願第二のガーゼカウントホルダを折り畳んだ状態を示す正面図である。
【図6】図4とは別の本願第二のガーゼカウントホルダの斜視図である。
【図7】図6に示した本願第二のガーゼカウントホルダを折り畳んだ状態を示す斜視図である。
【図8】本願第二のガーゼカウントホルダにおける、谷折りされた部分(つまり、ガーゼを収納する部分)の先端の拡大図である。
【図9】本願第二のガーゼカウントホルダにおける、谷折りされた部分(つまり、ガーゼを収納する部分)の先端の拡大図である。
【図10】本願第二のガーゼカウントホルダにおける、谷折りされた部分(つまり、ガーゼを収納する部分)の先端の拡大図である。
【符号の説明】
【0069】
10、20、30 … ガーゼカウントホルダ
11 … 枠部材
12 … 区画板
13 … 収納部
14 … 袋部材
21、31 … 板状体
22、32 … 谷折りされた部分(収納部)
25、35 … 係止部材
26 … 切れ込み部
37 … 堰部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術中に使用されるガーゼをカウントしつつ収納可能なガーゼカウントホルダであって、
当該ガーゼカウントホルダは、
枠部材と、
当該枠部材の内部を、1枚のガーゼを収納するのに必要十分な大きさを有する複数の収納部に区画するための区画板と、
前記枠部材に底を形成するように取り付けられており、前記収納部に血液や生理食塩水等の液体を吸液したガーゼが収納された際に、当該ガーゼから流出する血液や生理食塩水等の液体を収集可能な袋部材と、
から構成されており、
かつ、前記枠部材同士、枠部材と区画部材、および区画部材同士は、その接合部分において、接合角度を自在に変更可能な状態で接合されている
ことを特徴とするガーゼカウントホルダ。
【請求項2】
前記枠部材および前記区画板は、紙またはプラスチック樹脂により形成されていることを特徴とする請求項1に記載のガーゼカウントホルダ。
【請求項3】
手術中に使用されるガーゼをカウントしつつ収納可能なガーゼカウントホルダであって、
当該ガーゼカウントホルダは、
板状体からなり、
当該板状体は、これを所定の間隔をおいて山折りと谷折りを繰り返し行うことによって形成される蛇腹形状を呈しており、
当該谷折りされた部分に1枚のガーゼが収納可能となっていることを特徴とするガーゼカウントホルダ。
【請求項4】
前記板状体の少なくとも一部には、蛇腹形状を折り畳んだ状態で係止可能な係止部材が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のガーゼカウントホルダ。
【請求項5】
前記谷折りされた部分の先端には、収納されるガーゼの脱落を防止するための切れ込み部が設けられていることを特徴とする請求項3または4に記載のガーゼカウントホルダ。
【請求項6】
前記谷折りされた部分には、血液や生理食塩水等の液体を吸液したガーゼが収納された際に、当該ガーゼから流出する血液や生理食塩水等の液体が当該谷折りされた部分から漏れることを防止するための堰部材が設けられていることを特徴とする請求項3〜5の何れか一の請求項に記載のガーゼカウントホルダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−110005(P2008−110005A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−293971(P2006−293971)
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【出願人】(000137052)株式会社ホギメディカル (31)
【Fターム(参考)】