説明

キッチンカウンタ

【課題】組み立てが容易であり、且つ美観に優れたキッチンカウンタを提供することである。
【解決手段】キッチンカウンタ1は、合成樹脂製のカウンタ本体2とシンク3を有している。カウンタ本体2は、中央付近に開口4を有し、開口4の周縁部5には、係合片6が設けられている。係合片6は、開口4の内側に突出している。シンク3は、天面側にフランジ11を有し、フランジ11の周縁部13には、係止片14が設けられている。係止片14は、フランジ11の外側に突出している。カウンタ本体2が備える係合片6の上に、シンク3が備える係止片14が載置され、接着剤で固定されている。係合片6と係止片14とが、隙間なく係合しており、カウンタ本体2の表面7は、シンク3の表面15と同一平面か、又はシンク3の表面15よりも下側に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチンカウンタに関し、さらに詳細には、合成樹脂製のシンクとカウンタ本体を有したキッチンカウンタに関する。
【背景技術】
【0002】
シンクを備えたキッチンカウンタとして、カウンタ本体の上からシンクを取り付ける方式と、カウンタ本体の裏面からシンクを取り付ける方式が知られている。
【0003】
前者の方式(オーバーシンク方式)は、カウンタ本体へのシンクの取り付けが容易である。しかし、カウンタ本体の上にシンクのフランジが載置された構造であるため、フランジの厚み分だけカウンタ本体上に出っ張る形状となり、外観が悪い。さらに、カウンタ本体の表面に水がある場合に、フランジが障壁となり、シンクへの水の流入が妨げられてしまう。
【0004】
一方、後者の方式(アンダーシンク方式)は、シンクのフランジがカウンタ本体の裏面側に位置するため、カウンタ上面から見ると、カウンタとシンクとの接合面が見えず、外観に優れている。特許文献1には、アンダーシンク方式におけるシンクの取付構造が開示されている。
【0005】
特許文献1に記載されたシンクの取付構造では、シンクのフランジが、カウンタの裏面と下地材とで挟み込まれており、さらに下地材が固定部材を介して天板裏打材と結合されている。その結果、シンクをカウンタに強固に固定できるとされている。また、カウンタ裏面とシンクのフランジ表面との間に第1のシール部材を設け、フランジ裏面と下地材の表面との間に第2のシール部材を設けることで、シンクに水密性をもたせることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−9966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1に記載されたシンクの取付構造では、シンクをカウンタに取り付けるために複雑な工程が必要であり、手間が掛かり面倒である。また、下地材や固定部材、天板裏打材等の間接部材が多数必要であり、原価低減のボトルネックとなってしまう。
【0008】
そのため、例えば、図4に示すキッチンカウンタ101(天地逆に図示)のように、シンク103のフランジ104の表面105に接着剤を塗布して、カウンタ102の裏面106に直に接合することも考えらえる。しかし、この方法では、フランジ104の表面105とカウンタ102の裏面106との隙間から接着剤Aがはみ出し、シンク103の化粧面107の美観を損ねることが懸念される。その結果、はみ出した接着剤Aを化粧面107から除去する工程が新たに必要となるが、化粧面107は一般的に丸味を帯びているため、除去作業が面倒である。最悪の場合、作業中に化粧面107に傷をつけてしまう恐れもある。
【0009】
また、カウンタ102の裏面106にシンク103を接着剤で直下に接合した場合、使用状態において、シンク103の荷重を全て接着剤で受けることになり、接着剤の劣化や接着不良等により不測の損傷を生ずる恐れがある。
【0010】
そこで、本発明は、組み立てが容易であり、且つ美観に優れたキッチンカウンタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、合成樹脂製のシンクとカウンタ本体を有したキッチンカウンタにおいて、前記シンクはフランジを有し、前記カウンタ本体は開口を有し、前記開口の周縁部には係合片が設けられており、前記係合片は開口の内側に突出しており、係合片の表面は前記フランジの一部と接着剤で結合されており、前記フランジの表面は、カウンタ本体の表面と同一平面か又は同一平面よりも下側に位置していることを特徴とするキッチンカウンタである。
【0012】
本発明で採用するキッチンカウンタは、合成樹脂製であり、フランジを備えたシンクと、開口の周縁部に係合片が設けられたカウンタ本体を有している。係合片の表面は、フランジの一部と接着剤で結合されている。つまり、係合片の表面にフランジが載せられて係合しているものであり、例えば、両者同士の接合に接着剤を用いた場合、はみ出した接着剤は、フランジの縁の近傍に出てくるのみであり、シンクの化粧面に出てくることはない。
【0013】
さらに、フランジの表面は、カウンタ本体の表面と同一平面か又は同一平面よりも下側に位置している。つまり、従来のオーバーシンク方式のように、カウンタ本体の上にシンクのフランジが載置された構造ではないため、美観に優れる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、前記係合片及び前記フランジは、それぞれ傾斜面を有し、係合片とフランジは前記傾斜面同士で係合していることを特徴とする請求項1に記載のキッチンカウンタである。
【0015】
本発明で採用するキッチンカウンタは、係合片及びフランジにそれぞれ傾斜面が設けられている。つまり、係合片とフランジは、それぞれ段差を有していないため、両者の位置合わせが容易である。さらに、傾斜面同士で合わされた係合片(カウンタ本体)とフランジ(シンク)には、ガタ付きが生じ難い。
【発明の効果】
【0016】
本発明のキッチンカウンタによれば、組み立てが容易であり、且つ美観に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るキッチンカウンタを示す断面図であり、(a)は分解図、(b)は一部拡大図を含む組立図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係るキッチンカウンタを示す断面図であり、(a)は分解図、(b)は一部拡大図を含む組立図である。
【図3】本発明の変形例に係るキッチンカウンタの断面を示す一部拡大図であり、(a)は第1の実施形態の変形例、(b)は第2の実施形態の変形例である。
【図4】従来のキッチンカウンタを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明のキッチンカウンタの実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明は、実施形態の理解を容易にするためのものであり、これによって、本発明が制限して理解されるべきではない。
【0019】
図1(a),(b)に示すキッチンカウンタ1は、本発明の第1の実施形態である。図1(a)は、合成樹脂製のカウンタ本体2と、合成樹脂製のシンク3とが分解された状態を示している。
【0020】
カウンタ本体2は、キッチン用の天板であり、中央付近に開口4を有している。開口4の周縁部5には、係合片6が設けられている。係合片6は、開口4の内側に突出している。係合片6は、天面側に段部8を有している。
【0021】
一方、シンク3は、洗い場を成す空間10を備えた水槽部材であり、天面側にフランジ11を有し、底面側に排水口12を有している。空間10を成すシンク3の内側には、化粧面17を有している。フランジ11の周縁部13には、係止片14が設けられている。係止片14は、フランジ11の外側に突出している。係止片14は、裏面側に段部16を有している。
【0022】
図1(b)に示すキッチンカウンタ1は、カウンタ本体2とシンク3とが一体化された状態である。詳細に説明すると、カウンタ本体2が備える係合片6の上に、シンク3が備える係止片14が載置されている。つまり、カウンタ本体2は、オーバーシンク方式であり、シンク3が載せられた状態である。係合片6の段部8と係止片14の段部16とが、隙間なく係合しており、図示しない接着剤で接合されている。係合片6と係止片14との接合部18は、フランジ11の周縁部13に位置している。カウンタ本体2の表面7と、シンク3の表面15とは、同一平面に有る。このため、キッチンカウンタ1では、カウンタ本体2よりシンク3への水の流入が妨げられることはない。
【0023】
上記の本発明の第1の実施形態に係るキッチンカウンタ1は、係合片6(カウンタ本体2)の上に係止片14(シンク3)を載せるだけで両者を係合可能である。つまり、キッチンカウンタ1は、カウンタ本体2へのシンク3の取り付けが容易である。
【0024】
また、係合片6(カウンタ本体2)と係止片14(シンク3)との接合部18は、フランジ11の周縁部13である。そのため、接合部18から図示しない接着剤がはみ出した場合にでも、シンク3の化粧面17が汚れることはない。
【0025】
また、シンク3(係止片14)の荷重は、係合片6(カウンタ本体2)で物理的に支持されており、接着剤の劣化や接着不良が生じた場合でも損傷の恐れが少ない。
【0026】
図2(a),(b)に示すキッチンカウンタ21は、本発明の第2の実施形態である。図2(a)は、合成樹脂製のカウンタ本体22と、合成樹脂製のシンク23とが分解された状態を示している。
【0027】
カウンタ本体22は、前述のカウンタ本体2と同様であり、中央付近に開口24を有している。開口24の周縁部25には、係合片26が設けられている。係合片26は、開口24の内側に突出している。係合片26は、天面側に傾斜面28を有している。傾斜面28は、略45度の傾斜を有している。
【0028】
一方、シンク23は、前述のシンク3と同様であり、空間30を備え、天面側にフランジ31を有し、底面側に排水口32を有している。空間30を成すシンク23の内側には、化粧面37を有している。フランジ31の周縁部33には、係止片34が設けられている。係止片34は、フランジ31の外側に突出している。係止片34は、裏面側に傾斜面36を有している。傾斜面36は、略45度の傾斜を有している。
【0029】
図2(b)に示すキッチンカウンタ21は、カウンタ本体22とシンク23とが一体化された状態である。前述のキッチンカウンタ1と同様であり、簡単に説明すると、カウンタ本体21が備える係合片26の上に、シンク23が備える係止片34が載置されている。係合片26の傾斜面28と係止片34の傾斜面36とは、どちらも略45度の傾斜を有していることから、隙間なく係合している。なお、傾斜面28と傾斜面36とは、図示しない接着剤で接合されている。係合片26と係止片34との接合部38は、フランジ31の周縁部33に位置している。この状態において、カウンタ本体22の表面27と、シンク23の表面35とは、同一平面に有る。このため、キッチンカウンタ21では、カウンタ本体22よりシンク23への水の流入が妨げられることはない。
【0030】
上記の本発明の第2の実施形態に係るキッチンカウンタ21は、キッチンカウンタ1と同様であり、係合片26(カウンタ本体22)の上に係止片34(シンク23)を載せるだけで両者を係合可能である。また、係合片26と係止片34との接合部38は、フランジ31の周縁部33であり、接合部38から図示しない接着剤がはみ出した場合にでも、シンク23の化粧面37が汚れることはない。
【0031】
また、キッチンカウンタ21では、係合片26、係止片34にそれぞれ傾斜面28,36が設けられているため、両者の位置合わせが容易であり、傾斜面28,36同士で合わされたカウンタ本体22とシンク23には、ガタ付きが生じ難い。
【0032】
さらに、シンク23(係止片34)の荷重は、係合片26(カウンタ本体22)で物理的に支持されており、接着剤の劣化や接着不良が生じた場合でも損傷の恐れが少ない。
【0033】
つぎに、図3は、本発明の変形例に係るキッチンカウンタ41,61の断面を示す一部拡大図である。図3(a)は第1の実施形態のキッチンカウンタ1の変形例であり、図3(b)は第2の実施形態のキッチンカウンタ21の変形例である。キッチンカウンタ41,61の符号は、それぞれキッチンカウンタ1,21と同一の符号を用いている。
【0034】
キッチンカウンタ41では、シンク3のフランジ11の厚みD1が、カウンタ本体2の厚みD2よりも小さい。そのため、シンク3の表面15がカウンタ本体2の表面7よりも低くなっており、カウンタ本体2の表面の水がシンク3内へ流入する場合の妨げとならず、キッチンカウンタ41の機能を充分果たすものであり、美観にも優れる。
【0035】
同様に、キッチンカウンタ61においても、シンク23のフランジ31の厚みD3が、カウンタ本体22の厚みD2よりも小さく、シンク23の表面35がカウンタ本体22の表面27よりも低くなっており、カウンタ本体22の表面の水がシンク23内へ流入する場合の妨げとならず、キッチンカウンタ61の機能を充分果たすものであり、美観にも優れる。
【符号の説明】
【0036】
1,21,41,61 キッチンカウンタ
2,22 カウンタ本体
3,23 シンク
4,24 開口
5,25 周縁部
6,26 係合片
7,15,27,35 表面
11,31 フランジ
28,36 傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製のシンクとカウンタ本体を有したキッチンカウンタにおいて、前記シンクはフランジを有し、前記カウンタ本体は開口を有し、前記開口の周縁部には係合片が設けられており、前記係合片は開口の内側に突出しており、係合片の表面は前記フランジの一部と接着剤で結合されており、前記フランジの表面は、カウンタ本体の表面と同一平面か又は同一平面よりも下側に位置していることを特徴とするキッチンカウンタ。
【請求項2】
前記係合片及び前記フランジは、それぞれ傾斜面を有し、係合片とフランジは前記傾斜面同士で係合していることを特徴とする請求項1に記載のキッチンカウンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−225101(P2012−225101A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95359(P2011−95359)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】