キッチン
【課題】 加熱調理部の後方に配置された防熱板の取付けおよび取外しが容易で且つ防熱板および天板に関する清掃性に優れた対面式のキッチン。
【解決手段】 本発明の対面式キッチンは、加熱調理部(11)の後方において奥側に向かって上向きに傾斜する天板傾斜部(16a)と、天板傾斜部から奥側に向かって水平に延びる天板水平部(16b)と、天板傾斜部および天板水平部の表面に対応する形状を有する防熱板(17)と、天板水平部に設けられて、防熱板と着脱自在に係合するための係合部材(18)とを備えている。防熱板と係合部材との係合状態において、防熱板と天板傾斜部とが間隔を隔てている。
【解決手段】 本発明の対面式キッチンは、加熱調理部(11)の後方において奥側に向かって上向きに傾斜する天板傾斜部(16a)と、天板傾斜部から奥側に向かって水平に延びる天板水平部(16b)と、天板傾斜部および天板水平部の表面に対応する形状を有する防熱板(17)と、天板水平部に設けられて、防熱板と着脱自在に係合するための係合部材(18)とを備えている。防熱板と係合部材との係合状態において、防熱板と天板傾斜部とが間隔を隔てている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチンに関し、特に対面式のキッチンにおいて加熱調理部の後方に設けられる防熱板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
全面に亘ってフラットな天板を有する対面式のキッチンでは、リビングルーム側(またはダイニングルーム側など)から調理中の手元などが見えてしまう。そこで、対面式のキッチンでは、調理中の手元などを隠すために、またリビングルーム側への水はねを防ぐために、例えば垂直に立ち上がったバックガードを天板のリビングルーム側に設けることが多い。
【0003】
また、対面式のキッチンでは、高級感を演出するために、例えば人口大理石のように耐熱性の比較的低い材料を用いて天板を形成することが多い。この場合、加熱調理部で発生する熱からバックガードの加熱調理部後方の壁面を保護するために、例えばステンレス鋼のような耐熱性の比較的高い材料からなる防熱板を上記壁面にビス留めすることが行われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、バックガードの加熱調理部後方の壁面に防熱板をビス留めする従来の構成では、上記壁面からの防熱板の取外しが容易ではなく、防熱板および天板に関する清掃性が良くないという不都合があった。
【0005】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、加熱調理部の後方に配置された防熱板の取付けおよび取外しが容易で且つ防熱板および天板に関する清掃性に優れた対面式のキッチンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明では、対面式のキッチンにおいて、
加熱調理部の後方において奥側に向かって上向きに傾斜する天板傾斜部と、
前記天板傾斜部から奥側に向かって水平に延びる天板水平部と、
前記天板傾斜部および前記天板水平部の表面に対応する形状を有する防熱板と、
前記天板水平部に設けられて、前記防熱板と着脱自在に係合するための係合部材とを備え、
前記防熱板と前記係合部材との係合状態において、前記防熱板と前記天板傾斜部とが間隔を隔てていることを特徴とするキッチンを提供する。
【0007】
本発明の好ましい態様によれば、前記係合部材は、前記天板水平部から上方へ突出した突起部を有し、前記防熱板には、前記係合状態において前記突起部が貫通するための孔が設けられている。この場合、前記突起部は、前記天板水平部に取り付けられた円柱状の外形形状を有するヘッド部材であることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明のキッチンでは、加熱調理部の後方において奥側(例えばリビングルーム側)に向かって上向きに傾斜するように天板傾斜部が設けられ、この天板傾斜部から奥側に向かって水平に延びるように天板水平部が設けられている。そして、バックガードを構成する天板傾斜部および天板水平部の表面に対応する形状を有する防熱板が、天板傾斜部と間隔を隔てて配置されるように、天板水平部に設けられた係合部材に着脱自在に係合している。
【0009】
本発明では、例えば天板水平部から上方へ突出した突起部に防熱板の孔を単に貫通させるだけの非常に簡素な係合形態を採用し、加熱調理部で使用している鍋などが防熱板に当たって防熱板の姿勢が初期状態から瞬間的に変化しても、バックガードの表面形状に倣った防熱板の形状と、天板傾斜部との間に確保された間隔と、防熱板にかかる重力(自重)との協働作用により、元の初期状態へ自然に且つ安定的に復元する。したがって、本発明では、加熱調理部の後方に配置された防熱板の取付けおよび取外しが容易で且つ防熱板および天板に関する清掃性に優れた対面式のキッチンを実現することができる。
【0010】
なお、本発明では、係合部材を構成する突起部は、天板水平部に取り付けられた円柱状の外形形状を有するヘッド部材であることが好ましい。この構成により、防熱板と係合部材との間に、さらに簡素な係合形態を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態にかかる対面式のキッチンの全体構成を概略的に示す斜視図である。図2は、図1の線A−Aに沿って切断して加熱調理部および周辺の要部構成を概略的に示す斜視図である。図3は、加熱調理部の後方においてバックガードに防熱板が取り付けられている様子を示す斜視図である。図4は、バックガードに防熱板を取り付ける様子を示す斜視図である。
【0012】
図1〜図4を参照すると、本実施形態の対面式キッチンは、床Fの上に載置されたベースキャビネットBCを備えている。ベースキャビネットBCの上部には、キッチンに向かって左側から加熱調理部(IHコンロ、ガスコンロなど)11と、一対のカウンター12aおよび12bとが設けられ、この一対のカウンター12aと12bとの間にシンク13が設けられている。また、シンク13に隣接して、たとえば湯水混合型の水栓14が設けられている。
【0013】
加熱調理部11およびシンク13を除く領域を覆う天板15は、例えば人口大理石のように耐熱性の比較的低い材料により形成されている。天板15の奥側(例えばリビングルーム側またはダイニングルーム側)には、調理中の手元などを隠すために、また例えばリビングルーム側への水はねを防ぐために、キッチンの全幅に亘ってバックガード16が設けられている。バックガード16は、奥側に向かって上向きに傾斜する天板傾斜部16aと、この天板傾斜部16aから奥側に向かって水平に延びる天板水平部16bとを有する。
【0014】
本実施形態では、加熱調理部11で発生する熱からバックガード16の加熱調理部後方の天板傾斜部16aを保護するために、例えばステンレス鋼のような耐熱性の比較的高い材料からなる防熱板17が設けられている。防熱板17は、図3および図4に明瞭に示すように、加熱調理部11に対応する後方領域に配置されている。
【0015】
防熱板17は、後述の図7において最も明瞭に示すように、バックガード16を構成する天板傾斜部16aおよび天板水平部16bの表面に対応する形状を有する。また、防熱板17には、その長手方向に間隔を隔てて一対の円形状の孔17aが形成されている。本実施形態では、天板水平部16bから上方へ突出した突起部18に防熱板17の孔17aを貫通させることにより、防熱板17をバックガード16に着脱自在に取り付けている。
【0016】
以下、図5、図6および図7を参照して、バックガード16に対する防熱板17の取付けについて具体的に説明する。本実施形態では、図5〜図7に示すように、防熱板17と着脱自在に係合する係合部材として、円柱状の外形形状を有するヘッド部材18を用いている。バックガード16に対する防熱板17の取付けに際して、天板水平部16bの所定位置に形成された貫通孔(不図示)に、座部材19を貫通した状態の取付けビス20を通し、バックガード16の下側面に貼り合わされた芯材21に取付けビス20をねじ込む。座部材19は、ヘッド部材18の円柱状の内側空間に対応した外形形状を有する。
【0017】
次いで、座部材19を覆い隠すように、すなわちヘッド部材18の内側空間に座部材19が収納されるように、ヘッド部材18をセットする。このとき、ヘッド部材18の下端に形成されたスペーサー部18aが天板水平部16bの表面に当接した状態になる。そして、例えばヘッド部材18の円筒状の側壁部に形成された貫通孔18bに固定用ねじ22を螺合させ、L字状の工具23の先端部を固定用ねじ22の六角形状の非貫通孔に挿入する。こうして、工具23を用いて固定用ねじ22を締め付けることにより、係合部材としてのヘッド部材18が、天板水平部16bの所定位置に固定的に取り付けられる。
【0018】
このように、天板水平部16bに対するヘッド部材18の取付けが、上面施工により容易に行われる。最後に、天板水平部16bからの突起部を構成するヘッド部材18に、防熱板17の孔17aを単に貫通させることにより、防熱板17をバックガード16に着脱自在に取り付ける。その結果、防熱板17のバックガード16への取付け状態において、スペーサー部18aの介在により天板水平部16bとの間に間隔が確保され、且つ天板傾斜部16aとの間に間隔が確保される。
【0019】
本実施形態では、図8に示すように、例えばIHコンロのような加熱調理部11で使用している鍋30が、何らかの理由により、矢印F1で示す方向に沿って、図中二点鎖線で示す位置から図中実線で示す位置へ過度に移動することがある。この場合、鍋30が防熱板17の手前側の先端部に当たって、防熱板17の姿勢が図中二点鎖線で示す初期状態から図中実線で示す状態へ変化する。
【0020】
すなわち、防熱板17の奥側の先端部が矢印F2で示す方向に移動して円柱状の外形形状を有するヘッド部材18の上端付近まで持ち上がり、防熱板17の手前側の先端部が矢印F3で示す方向に移動して天板傾斜部16aに当接する。しかしながら、図9に示すように、バックガード16の表面形状に倣った防熱板17の形状と、防熱板17と天板傾斜部16aとの間に確保された間隔と、防熱板17にかかる重力(自重)との協働作用により、元の初期状態へ速やかに、自然に且つ安定的に復元する。
【0021】
特に、バックガード16の表面形状に倣った特殊な形状を有する防熱板17の重心位置にかかる重力の作用により、図9(a)に示すように、防熱板17の奥側の先端部が円柱状のヘッド部材18の外側面に案内されて下降し、防熱板17の手前側の先端部が天板傾斜部16aの斜面を滑るように下降する。そして、図9(b)に示すように、防熱板17の奥側の水平部がスペーサー部18aの上側面に当接して停止し、防熱板17の手前側の先端部が天板15に当接してその水平面を所定距離だけ滑って停止する。
【0022】
以下、上述した本実施形態の作用効果の理解を容易にするために、図10および図11に示す比較例における不都合を説明する。図8および図9の説明に対応する比較例では、図10に示すように、天板の水平面からほぼ垂直に立ち上がったバックガード31が設けられている。すなわち、バックガード31は、水平面からほぼ垂直に立ち上がった天板垂直部31aと、この天板垂直部31aから奥側に向かって水平に延びる天板水平部31bとを有する。
【0023】
また、比較例では、バックガード31の表面形状に倣ってL字状の防熱板32を用いている。この場合、係合部材としてのヘッド部材18の形態およびヘッド部材18と防熱板32との係合形態について、例え上述の実施形態と同様の構成を採用しても、鍋30が過度に移動して防熱板32に当たると、防熱板32の姿勢が図中実線で示す初期状態から図中二点鎖線で示す状態へ変化し、元の初期状態へは復元しない。
【0024】
すなわち、図11(a)に示すように、鍋30の衝突に起因して、防熱板32の奥側の先端部が円柱状の外形形状を有するヘッド部材18の上端付近まで持ち上がる。そして、L字状の防熱板32の重心位置にかかる重力の作用により、防熱板32は元の初期状態へ戻ろうとはしない。むしろ、図11(b)に示すように、天板垂直部31aに当接した防熱板32の手前側の先端部を中心として、防熱板32の奥側の先端部が加熱調理部側へ移動し続けて転倒してしまう。
【0025】
また、本実施形態では、図12に示すように、例えばガスコンロのような加熱調理部11でフライパン40を使用する場合、調理中のフライパン40が防熱板17に当たり、斜め下方へ押し付ける力が防熱板17の前側部分に作用する。この場合、防熱板17の前側部分が天板傾斜部16aの表面形状に倣った形状になっているので、防熱板17の後側部分が浮き上がる(持ち上がる)ことがない。仮に、防熱板17の後側部分がある程度浮き上がることがあっても、上述したように、バックガード16の表面形状に倣った防熱板17の形状と、防熱板17と天板傾斜部16aとの間に確保された間隔と、防熱板17にかかる重力(自重)との協働作用により、元の初期状態へ速やかに、自然に且つ安定的に復元する。
【0026】
図12の説明に対応する比較例では、図13に示すように、調理中のフライパン40が防熱板32に当たると、防熱板32の後側部分を浮き上がらせるような力が防熱板32の前側部分に作用する。その結果、防熱板32の姿勢が図中実線で示す初期状態から図中二点鎖線で示す状態へ変化し、元の初期状態へは復元しない。その結果、天板垂直部31aに当接した防熱板32の手前側の先端部を中心として、防熱板32の奥側の先端部が加熱調理部側へ移動し続けて転倒してしまう。
【0027】
以上のように、本実施形態のキッチンでは、例えば天板水平部16bから上方へ突出した突起部18が防熱板17の孔17aを単に貫通するだけの非常に簡素な係合形態を採用している。しかしながら、加熱調理部11で使用している鍋30やフライパン40が防熱板17に当たって防熱板17の姿勢が初期状態から瞬間的に変化しても、元の初期状態へ自然に且つ安定的に復元する。
【0028】
すなわち、本実施形態では、天板水平部16bから上方へ突出した円柱状のヘッド部材18をガイドとして、円柱状の外形形状を有するヘッド部材18に防熱板17の孔17aを貫通させるだけで防熱板17を初期状態に設定することができ、防熱板17の取付けを極めて容易に行うことができる。また、防熱板17を単に上方へ持ち上げるだけで、防熱板17の取外しを極めて容易に行うことができる。
【0029】
したがって、加熱調理部11の近傍に位置する防熱板17の表面または裏面、バックガード16の天板傾斜部16aおよび天板水平部16bの表面などが汚れることがあっても、防熱板17をバックガード16から随時取り外して、所要の清掃などを行うことができる。すなわち、本実施形態のキッチンでは、加熱調理部11の後方に配置された防熱板17の取付けおよび取外しが容易で、且つ防熱板17および天板15に関する清掃性に優れている。
【0030】
なお、上述の実施形態では、防熱板17と着脱自在に係合する係合部材として、円柱状の外形形状を有するヘッド部材18を用いている。しかしながら、これに限定されることなく、係合部材の形態については様々な変形例が可能である。
【0031】
また、上述の実施形態では、天板水平部16bから上方へ突出した突起部18に防熱板17の孔17aを貫通させる係合形態を採用している。しかしながら、これに限定されることなく、天板水平部に設けられて係合部材と防熱板との着脱自在な係合形態については様々な変形例が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態にかかる対面式のキッチンの全体構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1の線A−Aに沿って切断して加熱調理部および周辺の要部構成を概略的に示す斜視図である。
【図3】加熱調理部の後方においてバックガードに防熱板が取り付けられている様子を示す斜視図である。
【図4】バックガードに防熱板を取り付ける様子を示す斜視図である。
【図5】バックガードに対する防熱板の取付けについて具体的に説明する第1の図である。
【図6】バックガードに対する防熱板の取付けについて具体的に説明する第2の図である。
【図7】バックガードに対する防熱板の取付けについて具体的に説明する第3の図である。
【図8】本実施形態の作用効果を説明する第1の図である。
【図9】本実施形態の作用効果を説明する第2の図である。
【図10】図8および図9の説明に対応する比較例の不都合を説明する第1の図である。
【図11】図8および図9の説明に対応する比較例の不都合を説明する第2の図である。
【図12】本実施形態の作用効果を説明する第3の図である。
【図13】図12の説明に対応する比較例の不都合を説明する図である。
【符号の説明】
【0033】
11 加熱調理部
15 天板
16 バックガード
16a 天板傾斜部
16b 天板水平部
17 防熱板
18 ヘッド部材(係合部材)
18a スペーサー部
19 座部材
20 取付けビス
21 芯材
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチンに関し、特に対面式のキッチンにおいて加熱調理部の後方に設けられる防熱板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
全面に亘ってフラットな天板を有する対面式のキッチンでは、リビングルーム側(またはダイニングルーム側など)から調理中の手元などが見えてしまう。そこで、対面式のキッチンでは、調理中の手元などを隠すために、またリビングルーム側への水はねを防ぐために、例えば垂直に立ち上がったバックガードを天板のリビングルーム側に設けることが多い。
【0003】
また、対面式のキッチンでは、高級感を演出するために、例えば人口大理石のように耐熱性の比較的低い材料を用いて天板を形成することが多い。この場合、加熱調理部で発生する熱からバックガードの加熱調理部後方の壁面を保護するために、例えばステンレス鋼のような耐熱性の比較的高い材料からなる防熱板を上記壁面にビス留めすることが行われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、バックガードの加熱調理部後方の壁面に防熱板をビス留めする従来の構成では、上記壁面からの防熱板の取外しが容易ではなく、防熱板および天板に関する清掃性が良くないという不都合があった。
【0005】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、加熱調理部の後方に配置された防熱板の取付けおよび取外しが容易で且つ防熱板および天板に関する清掃性に優れた対面式のキッチンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明では、対面式のキッチンにおいて、
加熱調理部の後方において奥側に向かって上向きに傾斜する天板傾斜部と、
前記天板傾斜部から奥側に向かって水平に延びる天板水平部と、
前記天板傾斜部および前記天板水平部の表面に対応する形状を有する防熱板と、
前記天板水平部に設けられて、前記防熱板と着脱自在に係合するための係合部材とを備え、
前記防熱板と前記係合部材との係合状態において、前記防熱板と前記天板傾斜部とが間隔を隔てていることを特徴とするキッチンを提供する。
【0007】
本発明の好ましい態様によれば、前記係合部材は、前記天板水平部から上方へ突出した突起部を有し、前記防熱板には、前記係合状態において前記突起部が貫通するための孔が設けられている。この場合、前記突起部は、前記天板水平部に取り付けられた円柱状の外形形状を有するヘッド部材であることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明のキッチンでは、加熱調理部の後方において奥側(例えばリビングルーム側)に向かって上向きに傾斜するように天板傾斜部が設けられ、この天板傾斜部から奥側に向かって水平に延びるように天板水平部が設けられている。そして、バックガードを構成する天板傾斜部および天板水平部の表面に対応する形状を有する防熱板が、天板傾斜部と間隔を隔てて配置されるように、天板水平部に設けられた係合部材に着脱自在に係合している。
【0009】
本発明では、例えば天板水平部から上方へ突出した突起部に防熱板の孔を単に貫通させるだけの非常に簡素な係合形態を採用し、加熱調理部で使用している鍋などが防熱板に当たって防熱板の姿勢が初期状態から瞬間的に変化しても、バックガードの表面形状に倣った防熱板の形状と、天板傾斜部との間に確保された間隔と、防熱板にかかる重力(自重)との協働作用により、元の初期状態へ自然に且つ安定的に復元する。したがって、本発明では、加熱調理部の後方に配置された防熱板の取付けおよび取外しが容易で且つ防熱板および天板に関する清掃性に優れた対面式のキッチンを実現することができる。
【0010】
なお、本発明では、係合部材を構成する突起部は、天板水平部に取り付けられた円柱状の外形形状を有するヘッド部材であることが好ましい。この構成により、防熱板と係合部材との間に、さらに簡素な係合形態を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態にかかる対面式のキッチンの全体構成を概略的に示す斜視図である。図2は、図1の線A−Aに沿って切断して加熱調理部および周辺の要部構成を概略的に示す斜視図である。図3は、加熱調理部の後方においてバックガードに防熱板が取り付けられている様子を示す斜視図である。図4は、バックガードに防熱板を取り付ける様子を示す斜視図である。
【0012】
図1〜図4を参照すると、本実施形態の対面式キッチンは、床Fの上に載置されたベースキャビネットBCを備えている。ベースキャビネットBCの上部には、キッチンに向かって左側から加熱調理部(IHコンロ、ガスコンロなど)11と、一対のカウンター12aおよび12bとが設けられ、この一対のカウンター12aと12bとの間にシンク13が設けられている。また、シンク13に隣接して、たとえば湯水混合型の水栓14が設けられている。
【0013】
加熱調理部11およびシンク13を除く領域を覆う天板15は、例えば人口大理石のように耐熱性の比較的低い材料により形成されている。天板15の奥側(例えばリビングルーム側またはダイニングルーム側)には、調理中の手元などを隠すために、また例えばリビングルーム側への水はねを防ぐために、キッチンの全幅に亘ってバックガード16が設けられている。バックガード16は、奥側に向かって上向きに傾斜する天板傾斜部16aと、この天板傾斜部16aから奥側に向かって水平に延びる天板水平部16bとを有する。
【0014】
本実施形態では、加熱調理部11で発生する熱からバックガード16の加熱調理部後方の天板傾斜部16aを保護するために、例えばステンレス鋼のような耐熱性の比較的高い材料からなる防熱板17が設けられている。防熱板17は、図3および図4に明瞭に示すように、加熱調理部11に対応する後方領域に配置されている。
【0015】
防熱板17は、後述の図7において最も明瞭に示すように、バックガード16を構成する天板傾斜部16aおよび天板水平部16bの表面に対応する形状を有する。また、防熱板17には、その長手方向に間隔を隔てて一対の円形状の孔17aが形成されている。本実施形態では、天板水平部16bから上方へ突出した突起部18に防熱板17の孔17aを貫通させることにより、防熱板17をバックガード16に着脱自在に取り付けている。
【0016】
以下、図5、図6および図7を参照して、バックガード16に対する防熱板17の取付けについて具体的に説明する。本実施形態では、図5〜図7に示すように、防熱板17と着脱自在に係合する係合部材として、円柱状の外形形状を有するヘッド部材18を用いている。バックガード16に対する防熱板17の取付けに際して、天板水平部16bの所定位置に形成された貫通孔(不図示)に、座部材19を貫通した状態の取付けビス20を通し、バックガード16の下側面に貼り合わされた芯材21に取付けビス20をねじ込む。座部材19は、ヘッド部材18の円柱状の内側空間に対応した外形形状を有する。
【0017】
次いで、座部材19を覆い隠すように、すなわちヘッド部材18の内側空間に座部材19が収納されるように、ヘッド部材18をセットする。このとき、ヘッド部材18の下端に形成されたスペーサー部18aが天板水平部16bの表面に当接した状態になる。そして、例えばヘッド部材18の円筒状の側壁部に形成された貫通孔18bに固定用ねじ22を螺合させ、L字状の工具23の先端部を固定用ねじ22の六角形状の非貫通孔に挿入する。こうして、工具23を用いて固定用ねじ22を締め付けることにより、係合部材としてのヘッド部材18が、天板水平部16bの所定位置に固定的に取り付けられる。
【0018】
このように、天板水平部16bに対するヘッド部材18の取付けが、上面施工により容易に行われる。最後に、天板水平部16bからの突起部を構成するヘッド部材18に、防熱板17の孔17aを単に貫通させることにより、防熱板17をバックガード16に着脱自在に取り付ける。その結果、防熱板17のバックガード16への取付け状態において、スペーサー部18aの介在により天板水平部16bとの間に間隔が確保され、且つ天板傾斜部16aとの間に間隔が確保される。
【0019】
本実施形態では、図8に示すように、例えばIHコンロのような加熱調理部11で使用している鍋30が、何らかの理由により、矢印F1で示す方向に沿って、図中二点鎖線で示す位置から図中実線で示す位置へ過度に移動することがある。この場合、鍋30が防熱板17の手前側の先端部に当たって、防熱板17の姿勢が図中二点鎖線で示す初期状態から図中実線で示す状態へ変化する。
【0020】
すなわち、防熱板17の奥側の先端部が矢印F2で示す方向に移動して円柱状の外形形状を有するヘッド部材18の上端付近まで持ち上がり、防熱板17の手前側の先端部が矢印F3で示す方向に移動して天板傾斜部16aに当接する。しかしながら、図9に示すように、バックガード16の表面形状に倣った防熱板17の形状と、防熱板17と天板傾斜部16aとの間に確保された間隔と、防熱板17にかかる重力(自重)との協働作用により、元の初期状態へ速やかに、自然に且つ安定的に復元する。
【0021】
特に、バックガード16の表面形状に倣った特殊な形状を有する防熱板17の重心位置にかかる重力の作用により、図9(a)に示すように、防熱板17の奥側の先端部が円柱状のヘッド部材18の外側面に案内されて下降し、防熱板17の手前側の先端部が天板傾斜部16aの斜面を滑るように下降する。そして、図9(b)に示すように、防熱板17の奥側の水平部がスペーサー部18aの上側面に当接して停止し、防熱板17の手前側の先端部が天板15に当接してその水平面を所定距離だけ滑って停止する。
【0022】
以下、上述した本実施形態の作用効果の理解を容易にするために、図10および図11に示す比較例における不都合を説明する。図8および図9の説明に対応する比較例では、図10に示すように、天板の水平面からほぼ垂直に立ち上がったバックガード31が設けられている。すなわち、バックガード31は、水平面からほぼ垂直に立ち上がった天板垂直部31aと、この天板垂直部31aから奥側に向かって水平に延びる天板水平部31bとを有する。
【0023】
また、比較例では、バックガード31の表面形状に倣ってL字状の防熱板32を用いている。この場合、係合部材としてのヘッド部材18の形態およびヘッド部材18と防熱板32との係合形態について、例え上述の実施形態と同様の構成を採用しても、鍋30が過度に移動して防熱板32に当たると、防熱板32の姿勢が図中実線で示す初期状態から図中二点鎖線で示す状態へ変化し、元の初期状態へは復元しない。
【0024】
すなわち、図11(a)に示すように、鍋30の衝突に起因して、防熱板32の奥側の先端部が円柱状の外形形状を有するヘッド部材18の上端付近まで持ち上がる。そして、L字状の防熱板32の重心位置にかかる重力の作用により、防熱板32は元の初期状態へ戻ろうとはしない。むしろ、図11(b)に示すように、天板垂直部31aに当接した防熱板32の手前側の先端部を中心として、防熱板32の奥側の先端部が加熱調理部側へ移動し続けて転倒してしまう。
【0025】
また、本実施形態では、図12に示すように、例えばガスコンロのような加熱調理部11でフライパン40を使用する場合、調理中のフライパン40が防熱板17に当たり、斜め下方へ押し付ける力が防熱板17の前側部分に作用する。この場合、防熱板17の前側部分が天板傾斜部16aの表面形状に倣った形状になっているので、防熱板17の後側部分が浮き上がる(持ち上がる)ことがない。仮に、防熱板17の後側部分がある程度浮き上がることがあっても、上述したように、バックガード16の表面形状に倣った防熱板17の形状と、防熱板17と天板傾斜部16aとの間に確保された間隔と、防熱板17にかかる重力(自重)との協働作用により、元の初期状態へ速やかに、自然に且つ安定的に復元する。
【0026】
図12の説明に対応する比較例では、図13に示すように、調理中のフライパン40が防熱板32に当たると、防熱板32の後側部分を浮き上がらせるような力が防熱板32の前側部分に作用する。その結果、防熱板32の姿勢が図中実線で示す初期状態から図中二点鎖線で示す状態へ変化し、元の初期状態へは復元しない。その結果、天板垂直部31aに当接した防熱板32の手前側の先端部を中心として、防熱板32の奥側の先端部が加熱調理部側へ移動し続けて転倒してしまう。
【0027】
以上のように、本実施形態のキッチンでは、例えば天板水平部16bから上方へ突出した突起部18が防熱板17の孔17aを単に貫通するだけの非常に簡素な係合形態を採用している。しかしながら、加熱調理部11で使用している鍋30やフライパン40が防熱板17に当たって防熱板17の姿勢が初期状態から瞬間的に変化しても、元の初期状態へ自然に且つ安定的に復元する。
【0028】
すなわち、本実施形態では、天板水平部16bから上方へ突出した円柱状のヘッド部材18をガイドとして、円柱状の外形形状を有するヘッド部材18に防熱板17の孔17aを貫通させるだけで防熱板17を初期状態に設定することができ、防熱板17の取付けを極めて容易に行うことができる。また、防熱板17を単に上方へ持ち上げるだけで、防熱板17の取外しを極めて容易に行うことができる。
【0029】
したがって、加熱調理部11の近傍に位置する防熱板17の表面または裏面、バックガード16の天板傾斜部16aおよび天板水平部16bの表面などが汚れることがあっても、防熱板17をバックガード16から随時取り外して、所要の清掃などを行うことができる。すなわち、本実施形態のキッチンでは、加熱調理部11の後方に配置された防熱板17の取付けおよび取外しが容易で、且つ防熱板17および天板15に関する清掃性に優れている。
【0030】
なお、上述の実施形態では、防熱板17と着脱自在に係合する係合部材として、円柱状の外形形状を有するヘッド部材18を用いている。しかしながら、これに限定されることなく、係合部材の形態については様々な変形例が可能である。
【0031】
また、上述の実施形態では、天板水平部16bから上方へ突出した突起部18に防熱板17の孔17aを貫通させる係合形態を採用している。しかしながら、これに限定されることなく、天板水平部に設けられて係合部材と防熱板との着脱自在な係合形態については様々な変形例が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態にかかる対面式のキッチンの全体構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1の線A−Aに沿って切断して加熱調理部および周辺の要部構成を概略的に示す斜視図である。
【図3】加熱調理部の後方においてバックガードに防熱板が取り付けられている様子を示す斜視図である。
【図4】バックガードに防熱板を取り付ける様子を示す斜視図である。
【図5】バックガードに対する防熱板の取付けについて具体的に説明する第1の図である。
【図6】バックガードに対する防熱板の取付けについて具体的に説明する第2の図である。
【図7】バックガードに対する防熱板の取付けについて具体的に説明する第3の図である。
【図8】本実施形態の作用効果を説明する第1の図である。
【図9】本実施形態の作用効果を説明する第2の図である。
【図10】図8および図9の説明に対応する比較例の不都合を説明する第1の図である。
【図11】図8および図9の説明に対応する比較例の不都合を説明する第2の図である。
【図12】本実施形態の作用効果を説明する第3の図である。
【図13】図12の説明に対応する比較例の不都合を説明する図である。
【符号の説明】
【0033】
11 加熱調理部
15 天板
16 バックガード
16a 天板傾斜部
16b 天板水平部
17 防熱板
18 ヘッド部材(係合部材)
18a スペーサー部
19 座部材
20 取付けビス
21 芯材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対面式のキッチンにおいて、
加熱調理部の後方において奥側に向かって上向きに傾斜する天板傾斜部と、
前記天板傾斜部から奥側に向かって水平に延びる天板水平部と、
前記天板傾斜部および前記天板水平部の表面に対応する形状を有する防熱板と、
前記天板水平部に設けられて、前記防熱板と着脱自在に係合するための係合部材とを備え、
前記防熱板と前記係合部材との係合状態において、前記防熱板と前記天板傾斜部とが間隔を隔てていることを特徴とするキッチン。
【請求項2】
前記係合部材は、前記天板水平部から上方へ突出した突起部を有し、
前記防熱板には、前記係合状態において前記突起部が貫通するための孔が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のキッチン。
【請求項3】
前記突起部は、前記天板水平部に取り付けられた円柱状の外形形状を有するヘッド部材であることを特徴とする請求項2に記載のキッチン。
【請求項1】
対面式のキッチンにおいて、
加熱調理部の後方において奥側に向かって上向きに傾斜する天板傾斜部と、
前記天板傾斜部から奥側に向かって水平に延びる天板水平部と、
前記天板傾斜部および前記天板水平部の表面に対応する形状を有する防熱板と、
前記天板水平部に設けられて、前記防熱板と着脱自在に係合するための係合部材とを備え、
前記防熱板と前記係合部材との係合状態において、前記防熱板と前記天板傾斜部とが間隔を隔てていることを特徴とするキッチン。
【請求項2】
前記係合部材は、前記天板水平部から上方へ突出した突起部を有し、
前記防熱板には、前記係合状態において前記突起部が貫通するための孔が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のキッチン。
【請求項3】
前記突起部は、前記天板水平部に取り付けられた円柱状の外形形状を有するヘッド部材であることを特徴とする請求項2に記載のキッチン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−302013(P2008−302013A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−151863(P2007−151863)
【出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(000104973)クリナップ株式会社 (341)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(000104973)クリナップ株式会社 (341)
【Fターム(参考)】
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