説明

キトサンの官能化に使用できる感熱性((ポリエチレンオキシド)ポリ(プロピレンオキシド))誘導体の製造方法

本発明は、キトサンの官能化に使用できる感熱性(ポリ(エチレンオキシド) ポリ(プロピレンオキシド))-アセタール誘導体、及びその製造方法に関する。従って、本発明は、この感熱性共重合体及び所望により他の感熱性重合体、ポリ(エチレンオキシド)、をグラフト化することにより、キトサンを官能化する方法にも関する。生理学的pHで水溶性であるという利点を有するキトサン-(ポリ(エチレンオキシド) ポリ(プロピレンオキシド))-ポリ(エチレンオキシド)誘導体も本発明の課題である。従って、本発明は、この誘導体を含んでなる水性組成物、及びこの組成物の、加熱によるゲル製造への使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にキトサン誘導体の合成に使用する新規な感熱性重合体に関する。
【背景技術】
【0002】
温度増加に続いてその場で形成される可逆的ヒドロゲルは、それらの、化粧品、製薬及び生物医学分野における多くの潜在的用途のために、現在、重要性が増している。これらの系では、ゲル化に必要な物理的結合の形成が、一般的に、成分分離(demixing)に対する臨界温度が低い重合体の組合せによる。これらのいわゆるLCST(低臨界共溶温度)重合体は、温度がLCSTを超えると、相分離を引き起こす。実際、これらの系は、それらの疎水性が温度と共に増加する。例として、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM)及びPluronics(登録商標)(BASF)またはPoloxamers(登録商標)(ICI)(Gil et al., 2004)の名称で市販されているポリ(エチレンオキシド)(PEO)とポリ(プロピレンオキシド)(PPO)の3ブロックポリエーテルを挙げることができる。3ブロック重合体PEO-PPO-PEOは、高温でゲルを形成する特性を有し、現在、このためには、溶液で非常に高い濃度(200〜300 g/l)にある必要があり、これは、生物相容性を得るための最適状態を形成しない。この問題を解決するための可能な戦略の一つは、これらのポリマーを、バイオポリマー、例えばキトサン、上に低レベルグラフト化することによる。この手法には幾つかの利点があり、熱ゲル化挙動が、低ポリマー濃度(10 g/l)の水性媒体中で観察され、その上、キトサンの生物相容性、生物分解性及び生物学的特性を組み合わせている。天然産の多糖は、開いた傷の治癒速度を高め、免疫応答及び組織の再構築を刺激し、病原菌感染を防止し、浸出液を吸収する。多糖は、細胞培養のための良好な基材であり、さらに細胞成長を刺激することも分かっている。従って、これらの特性により、多糖は、傷の治癒、再生医薬(骨再構築)及び薬物投与系(充填材、溶液、ヒドロゲル、パッチ)の構築のための良好な候補になる。
【0003】
この背景で、本発明者らは、LCST重合体をキトサン上にグラフト化することによる熱ゲル化系を開発した。これらの系は、水溶液からなり、加熱によりpHが、有利なことに、4から生理学的pH値に変化し、透明なゲルになる。
【0004】
天然重合体を基剤とする熱可逆的ヒドロゲルの開発に関する研究はほとんど行われていない。Chenite et al.(Biomaterials (2000), 21, 2155-2161)は、キトサン及びグリセロ-2-ホスフェートの塩の生理学的pHを有する水溶液から、熱ゲル化系を得る可能性を示している。しかし、これらのゲルを得るには、大量の塩を使用することが必要であり、そのために、特定の生物医学用途に使用することはできない。PNIPAM鎖を含むキトサンの誘導体も、組織工学に使用する目的で開発されている(Cho et al. Biomaterials (2004), 25, 5743-5751)。しかし、PNIPAMは、生体内における実際の用途に必要な生物相容性特徴を示さない。Chung et al.(Curr. Applied Phys. (2005), 5, 485-488)は、Pluronics(登録商標)型の鎖を有する生物相容性で熱増粘性(thermo-thickening)のキトサン誘導体の合成を記載している。しかし、そのような鎖の二官能性のために、合成の制御が比較的困難である。
【0005】
商業的にJeffamine(登録商標)(Huntsman)と呼ばれるポリ(エチレンオキシド) ポリ(プロピレンオキシド)、PEOPPO、は、Pluronics(登録商標)の群に属する、エチレンオキシド及びプロピレンオキシド単位がランダム配列された共重合体である。この生物相容性共重合体は、L'Alloret(FR2811995)により、合成重合体またはキトサン以外の多糖の誘導体(セルロース及び誘導体、ガラクトマンナン、アルジネート)に由来する熱ゲル化性のクラフト化された共重合体の製造に使用されている。この重合体も、キトサンの官能化に使用された。キトサンは、C-2位置にアミン官能基を有し、レギオ選択性反応を行うことができる。キトサン- PEOPPOの合成では、第一工程で、還元糖によりPEOPPOを官能化(PEOPPOと保護されたガラクツロン酸との間のペプチド型カップリング反応に続いて、糖のヒドロキシルの脱保護を行い、PEOPPO-GA誘導体を得る)し、続いて第二工程で、変性されたPEOPPOをキトサンと還元アミノ化反応によりカップリングさせる。糖の炭素C-1は、そのヘミアセタール性質のために、キトサンのアミン官能基と反応することができる(Creuzet et al., l'actualite chimique (2006), 294, 34-38)。しかし、この方法では、大量(工業的)の変性多糖を製造することは不可能であり、PEOPPO-GA誘導体は合成が困難でコスト高になる。
【発明の概要】
【0006】
本発明者らは、新規な誘導体、PEOPPO-アセタールを経由し、様々な置換度(DS)を有し、有利なことにpH 4で水性媒体に可溶であり、熱ゲル化するCHI-PEOPPO誘導体に導く新規な合成方法を開発した。ゾル-ゲル転移温度は置換度によって異なるので、特性を所望の用途に応じて調節することができる。用途を広げるために、有利なことに生理学的pH値で水性媒体に可溶なCHI-PEOPPO-PEO誘導体を、PEOPPO-アセタール中間体から、またはCHI-PEOPPO誘導体から、さらに開発した。
【0007】
従って、本発明の第一の目的は、感熱性PEOPPO-アセタール誘導体の製造方法であって、下記の連続的な工程:
a.一種以上の、一般式(I):
【化1】

(式中、pは1〜40、好ましくは3〜29の整数を表し、mは1〜40、好ましくは1〜31の整数を表す)
のランダムポリエーテルアミン(PEOPPO)を無水コハク酸と反応させ、対応する酸を形成する工程、
b.工程a)で得た該酸を2,2-ジメトキシエチルアミンとカップリングさせ、目的とするPEOPPO-アセタール誘導体を得る工程
を含んでなる、方法である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の範囲内で、略号PEOPPOは、一種以上のランダム共重合体を意味する。本発明の方法の範囲内で、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの単一のランダム共重合体またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドの異なったランダム共重合体の混合物を使用することができ、該共重合体は、特にプロピレンオキシド/エチレンオキシド比及び分子量により異なっていてよい。
【0009】
本発明の範囲内で使用するランダムポリエーテルアミンは、HuntsmanからJeffamine(登録商標)の商品名で市販されている共重合体であり、特に
−分子量約600 g/mol、プロピレンオキシド/エチレンオキシド比9/1、
−分子量約1,000 g/mol、プロピレンオキシド/エチレンオキシド比3/19、
−分子量約2,000 g/mol、プロピレンオキシド/エチレンオキシド比29/6、及び
−分子量約2,000 g/mol、プロピレンオキシド/エチレンオキシド比10/31
のランダム共重合体であるのが有利である。
【0010】
市販製品に加えて、ランダムポリエーテルアミンは、当業者には良く知られている従来方法(Y. Deng, J. Ding, G. Yu, R.H. Mobbs, F. Heatley, C. Price, C. Booth, Plmer. (1992), 33, 1959-1962、G.-E. Yu, F. Heatley, C. Booth, T.G. Blease, Eur. Polym. J. (1995), 31, 589-593)により、容易に製造することができる。
【0011】
エチレンオキシド及びプロピレンオキシド単位の不規則分布は、成分分離の低い臨界温度の存在により表され、その温度を超えると巨視的な相分離が観察されることが分かっている。
【0012】
本発明の範囲内で、「感熱性誘導体」の表現は、LCSTを有する重合体、すなわち水溶性が特定の温度を超えると変化する重合体、を意味する。これらの重合体は、加熱による成分分離温度を有し、それらの水中溶解区域を限定する重合体である。重合体濃度に応じて得られる最小成分分離温度は、LCSTと呼ばれる。各重合体濃度に対して、この加熱による成分分離温度が観察され、これは、曲線の最小点であるLCSTより高い。この温度より下では、その重合体は水溶性であり、この温度より上では、その重合体はその水溶性を失う。
【0013】
水溶性とは、これらの単位が20℃で少なくとも1 g/L、好ましくは少なくとも2 g/Lの溶解度を有することを意味する。
【0014】
LCSTの測定は、目視により行うことができる、すなわち、水溶液の曇り点が現れる温度を測定し、その曇り点を、溶液の乳白化または透明性の消失により表す。
【0015】
一般的に、透明な組成物は、400〜800 nmの波長に関係なく、厚さ1 cmの試料を通して、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%の最大光透過率値を有する(ヨーロッパ特許第291334号参照)。透過率は、厚さ1 cmの試料を、光スペクトルの波長で操作する分光光度計の光線の中に配置することにより、測定することができる。
【0016】
この方法は、良好な収率を確保するために、少なくとも部分的に無水条件下で行うのが有利である。工程a)を行うのに特に好適な溶剤の例としては、ジメチルホルムアミド(DMF)、特に無水DMF、を挙げることができる。
【0017】
本発明の好ましい実施態様では、PEOPPOをDMF、好ましくは無水DMFに入れた溶液に、無水コハク酸をDMF、好ましくは無水DMFに入れた溶液を加える。(無水)PEOPPO/DMF溶液は、不活性雰囲気下、例えば窒素下、に保持するのが有利である。無水コハク酸の必要なモル量は、少なくとも部分的PEOPPOのモル量であり、コハク酸を僅かに過剰(好ましくは1.05モル当量)に導入する。
【0018】
工程b)で使用する溶剤も、DMF、好ましくは無水DMFである。
【0019】
工程b)で、カップリング反応は、1-エチル-3-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-カルボジイミド及びジイソプロピルエチルアミン(またはトリエチルアミン)の存在下で行うのが有利である。この工程b)は、連続的に、
−無水DMF中に溶解させた1-エチル-3-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-カルボジイミド及びジイソプロピルエチルアミン(またはトリエチルアミン)、次いで
−2,2-ジメトキシエチルアミン
を添加するのが有利である。
【0020】
前もってN-ヒドロキシベンゾトリアゾールを添加することもできる。その場合、工程b)は、連続的に、
−N-ヒドロキシベンゾトリアゾール、次いで
−無水DMF中に溶解させた1-エチル-3-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-カルボジイミド及びジイソプロピルエチルアミン(またはトリエチルアミン) 、次いで
−2,2-ジメトキシエチルアミン
を添加するのが有利である。
【0021】
本発明の方法では、工程a)及びb)を「シングルポットで」、すなわち単一の同じ反応器中で、工程a)で得た化合物を単離するための中間工程無しに、行うことができる。従って、工程a)及びb)は、「シングルポットで」行うのが有利である。
【0022】
カップリング反応の前に、PEOPPOと無水コハク酸の反応が完了していることを確認するために、反応媒体を、これに必要な時間、攪拌する。例えば、反応媒体を室温及び大気圧で、攪拌する。実験室規模(<500 mL)では、反応媒体を室温及び大気圧で、5時間攪拌するのが有利である。
【0023】
工程b)に続いて、反応媒体を室温及び大気圧で、カップリング反応が確実に終了するのに必要な時間攪拌するのが有利であり、これは、実験室規模(<500 mL)では溶液を一晩攪拌することにより確認する。
【0024】
PEOPPO-アセタールを回収するには、下記のように進めるのが有利である。溶剤(DMF)を蒸発させ、生成物を好適な溶剤、例えばジクロロメタン、中に入れる。続いて、有機相を僅かに酸性の水(pH 4)、次いで水で洗浄する。有機相を、例えば硫酸ナトリウム上で除湿することにより、乾燥させ、次いで蒸発させ、アセタール誘導体を得る。
【0025】
本発明の方法により、PEOPPO-アセタール誘導体を、80%を超える収率で得ることができる。
【0026】
本発明の別の態様では、工程a)で、単一のランダムポリエーテルアミンを反応させる。本発明の別の態様では、工程a)で、少なくとも2種類の異なったランダムポリエーテルアミンを反応させる。
【0027】
本発明の第二の目的は、この方法により得られるPEOPPO-アセタール誘導体であり、略号PEOPPOは、上に規定したように、同一の、または異なった、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダム共重合体を意味する。
【0028】
本発明の第三の目的は、グラフト化されたキトサンの合成方法であって、(i)本発明のPEOPPO-アセタール誘導体をPEOPPO-CHO誘導体に(すなわち対応するアルデヒドに)加水分解する工程、続いて(ii)該PEOPPO-CHO誘導体をキトサンまたはその誘導体の一種の上に、還元アミノ化型の反応により、グラフト化する工程を含んでなる、方法である。
【0029】
第一工程(i)は、PEOPPO-アセタールのアルデヒド官能基を脱保護することからなり、これを行うために、実験室規模(<500 mL)では、PEOPPO-アセタールを、例えば(4/1)(v/v)比のトリフルオロ酢酸/水(TFA/HO)混合物中に溶解させるのが有利である。反応媒体を室温及び大気圧で一晩攪拌するとよい。TFA/HO混合物を蒸発させた後、得られたアルデヒドをエタノール/水混合物(特にEtOH/HO (1/1)(v/v))中に溶解させ、溶液のpHをpH 5.1に調節するのが有利である。
【0030】
次いで、アルデヒドをキトサンに加えるが、キトサンは、前もって例えばCHCOOH/EtOH(3:2 v/v)混合物中に溶解させることができる。次いで、混合物のpHを5.1に調節する。還元剤の水溶液、例えばシアノ水素化ホウ素ナトリウム(sodium cyanoborohydride)またはピコリンボラン(PicBH)もしくは水素化ホウ素ナトリウムの水溶液、を加えるのが有利である。反応媒体を必要な時間、実験室規模(<500 mL)では24時間、室温及び大気圧で、攪拌するとよい。所望の生成物は、反応媒体のpHを9に調節することにより、沈殿により回収することができる。次いで、生成物を洗浄し、濾過し、乾燥させる。
【0031】
キトサンまたはその誘導体の一種は、下記の式(II)に適合するのが有利である。
【化2】

式中、nは、60〜6,000であり、Rは、
−水素原子H、
−アセチル基COCHを表し、アセチル化度は好ましくは0〜0.5、より好ましくは0〜0.2である。
【0032】
本発明者らは、キトサン上へのPEOPPOの置換度、DS、は、使用する反応条件に応じて調節することができ、特にアルデヒド濃度(PEOPPO-CHO)によって異なることを見出した。表1は、様々なDSを有するCHI-PEOPPOの様々な試料の合成に使用する反応条件を示し、ランダムポリエーテルアミンの分子量は約2,000 g/molであり、プロピレンオキシド/エチレンオキシド比は29/6である。
【0033】
【表1】

【0034】
表1のデータは、グラフト化反応が完全に制御されていることを示す。反応により、様々なDSを有する生成物群が得られ、これによって、意図する用途に関連する温度範囲を調節することができる。試験したPEOPPO誘導体(加熱により急速に結合する比較的疎水性の重合体)の場合、置換度DSが高い程、転移温度は低いことが分かる。従って、DS=0.04の値では、転移温度は約40℃であるのに対し、DS=0.17の値では、転移温度は約25℃である。
【0035】
キトサン上へのPEOPPOの置換度は、好ましくは0.02〜0.3であり、より好ましくは0.05〜0.2である。
【0036】
この方法により得られるCHI-PEOPPO誘導体は、興味深い熱ゲル化特性を有する、すなわち溶液中に入れた時、可逆的で制御可能なゾル-ゲル転移が得られる。さらに、これらの誘導体は、4(±1)に近いpHで水に可溶である。CHI-PEOPPOキトサン誘導体は、水性組成物(pH 4±1)中に、例えば2〜30 g/Lの量で可溶であり、これらの組成物は、化粧品または製薬に許容できる媒体を構成することができる。得られた水溶液は、加熱により、高粘度液体または透明なゲルになる。これらの生物再吸収性(bioresorbable)の系は、化粧品、製薬または生物医学処方物に使用でき、これらの処方物は、温度に応じてそれらの流動特性を調整するために透明でよい。CHI-PEOPPO誘導体を含んでなる水溶液の、人の体温に近い温度におけるゲル化能力は、外科手術を回避する可能性を与え、その場合、これらのゲルを特定の箇所に注入または塗布することができる。これらのサーモゲルには、さらに。生物再吸収性であるという利点がある。従って、これらの水溶液は、治療または化粧品用途で、注入可能なヒドロゲルとして使用することができる。
【0037】
用途を広げるために、得られた中間体PEOPPO-アセタールまたはCHI-PEOPPO誘導体から、水性媒体に生理学的pH値で可溶な熱ゲル化性CHI-PEOPPO-PEO誘導体を形成した。これらの誘導体は、PEOPPO鎖に加えて、キトサン上に直接グラフト化されたポリ(エチレンオキシド)(PEO)鎖が存在することを特徴とし、これらの鎖が、キトサンに中性pHで水溶性を付与する。Bhattarai et al. (Macromol. Biosci. (2005), 5, 107-11及びJ. Controlled Release (2005), 103, 609-624)は、キトサン上へのPEO鎖の導入により、DSが高すぎなければ(DS約0.07〜0.1)、熱会合挙動が得られることを示している。0.1を超えるDSでは、CHI-PEO誘導体は水に可溶であるが、熱増粘効果を最早示さない。本発明者らは、DS<0.1のCHI-PEO誘導体の合成では、重合体の完全な水溶性が得られないことを確認した。その上、Bhattarai et al. により記載されているDS約0.07〜0.1を有するCHI-PEO誘導体溶液の粘度増加は、穏やかである(30 g/L水溶液に対して6のファクターで増加)。対照的に、本発明のCHI-PEOPPO-PEO誘導体では、遙かに高い粘度増加が可能である。
【0038】
従って、グラフト化されたキトサンの合成方法は、工程(ii)で得たCHI-PEOPPOキトサン誘導体を、重合体、特にポリ(エチレンオキシド)(PEO)、により官能化するための追加工程(iii)を含んでなるのが有利である。PEOは、分子量が1,000〜5,000 g/molでよい。キトサン上へのPEOの置換度、DS、は、誘導体の完全な水溶性を得るために、0.1を超えているべきである。キトサン上へのPEOの置換度、DS、は、好ましくは0.1〜0.5、より好ましくは0.1〜0.3である。
【0039】
本発明の別の態様では、PEOのモノアルデヒド誘導体を先ず製造する。これには、Dess-Martin Periodinane (DMP)を溶剤、例えばDMSO、中に入れた溶液を、ポリ(エチレンオキシド)メチルモノエーテルを好適な溶剤、例えば無水CHCl/ジメチルスルホキシド(DMSO)(97/3 (v/v))の溶剤、に入れた溶液に、窒素下で徐々に加える。反応媒体を、例えば実験室規模(<500 mL)では、室温で2時間攪拌する。次いで、媒体を濃縮し、生成物を沈殿させ、単離し、乾燥させる。
【0040】
予めCHCOOH/EtOH(3/2 v/v)混合物中に溶解させることができるキトサン-PEOPPOの溶液に、PEOモノアルデヒド誘導体を含む水溶液を加える。次いで、混合物のpHを5.1に調節する。シアノ水素化ホウ素ナトリウムまたはピコリンボランもしくは水素化ホウ素ナトリウムの水溶液(還元剤)を加えることができる。反応媒体のpHを9に調節し、次いで、CHI-PEOPPO-PEO誘導体を精製し、単離する。
【0041】
本発明の別の態様により、CHI-PEOPPO-PEO誘導体は、下記の連続的な工程、すなわち
a'. 天然キトサンから、ポリ(エチレンオキシド)鎖をグラフト化することによる、CHI-PEOキトサン誘導体の製造、該鎖は好ましくは分子量が1,000〜5,000 g/molであり、該CHI-PEO誘導体は、置換度が0.1より大きい、
b'. 工程a)で得たCHI-PEO誘導体と、目的とする誘導体を得るために予め加水分解させた本発明のPEOPPO-アセタール誘導体の反応
を含んでなる方法により、得られる。
【0042】
天然キトサンは、最初に、対応する市販アルコールをDess-Martin試薬(Dess-Martin Periodinane (DMP))で酸化することにより得られるPEOアルデヒド誘導体で変性させ、Schiff塩基を形成することができる。このSchiff塩基を、均質な水性媒体中で、還元剤(ピコリンボラン(PicBH)またはシアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaCNBH)もしくは水素化ホウ素ナトリウム(NaBH))の存在下で還元し、中性pHで水に可溶なCHI-PEO誘導体を形成することができる。この誘導体を、例えば限外濾過により精製する。この先行する誘導体上に、前に説明した方法(キトサン上へのPEOPPOグラフト化)と同じ方法により、PEOPPO鎖を導入することにより、所望の生成物が得られる。さらに、Dess-Martin試薬によるPEO-OHの酸化を経由して、PEOのアルデヒド誘導体を、当業者には良く知られている他の方法、例えば酢酸及びDMSOの存在下での酸化(N. Bhattarai, H.R. Ramay, J. Gunn, F.A. Matsen, M. Zhang, J. Controlled Release 103, (2005), 609-624)及びJ.M. Harris, E.C. Struck, M.G. Case, M.S. Paley, J.M. Vanalstine, D.E. Brooks, J. Polym. Part A.: Polym. Chem. 22 (1984), 341-352)、により、製造することができる。
【0043】
PEOをCHI-PEOPPO誘導体上に直接グラフト化させる第一の態様には、最終生成物の精製が簡単になると云う利点がある。
【0044】
本発明の第四の目的は、本発明の方法により得られるCHI-PEOPPO-PEOキトサン誘導体である。
【0045】
本発明は、本発明の少なくとも一種のCHI-PEOPPO-PEOキトサン誘導体及び水相を含んでなる水性組成物にも関する。CHI-PEOPPO-PEOキトサン誘導体は、好ましくは2〜30 g/Lの量で存在する。該水性組成物のpHは、4〜生理学的pHであるのが有利であり、pHは生理学的pHに近い(生理学的pH±1)のが好ましく、CHI-PEOPPO-PEOキトサン誘導体には、生理学的pHで水溶性であるという利点がある。本発明の水性組成物は、化粧品または製薬的に許容される媒体をさらに含んでなることができる。
【0046】
本発明の別の目的は、本発明の水性組成物を、加熱によるゲル形成に使用することである。
【0047】
CHI-PEOPPO-PEO誘導体は、CHI-PEOPPO誘導体により、重要な熱ゲル化特性を有する、すなわち、これらの誘導体を溶液に入れると、可逆的で制御可能なゾル-ゲル転移が得られる。得られた水溶液は、加熱により、特に人の体温に近い温度に加熱することにより、高粘性液体または透明なゲルを形成する。さらに、これらの誘導体には、生理学的pHで水溶性になり、生物医学的用途を助成するという利点がある。従って、これらの生物再吸収性の系は、透明でよい、化粧品、製薬または生物医学的処方物に使用し、温度に応じて、それらの流動特性を改良することができる。特に、これらの系は、注入可能なヒドロゲルの製造に使用することができる。
【0048】
この、pHが4〜生理学的pH値である水性媒体に可溶な、キトサンの熱ゲル化性誘導体の群は、化粧品、製薬または生物医学の分野で様々な用途を見出すことができる。
【0049】
下記の例は、本発明を例示するが、制限するものではない。これらの例では、重合体濃度を、g/Lまたは溶液1 L中の反復単位のモル数に対応するmonomol/Lで表す。
【実施例】
【0050】
例1 PEOPPO-アセタール誘導体の合成
PEOPPO(7.01 g、3.2 mmol)を無水DMF(300 mL)に入れた溶液に、窒素下で、無水コハク酸(0.336g、3.36 mmol)を無水DMF(20 mL) に入れた溶液を加える。反応媒体を室温で(及び大気圧で)5時間攪拌する。次いで、無水DMF(10 mL)中に溶解させたN-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)(0.432g、3.2 mmol)、無水DMF(10 mL)中に一緒に溶解させた1-エチル-3-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-カルボジイミド(EDC)(0.675g、3.52 mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(0.600 mL、3.52 mmol)、及び最後に2,2-ジメトキシエチルアミン(0.47g、4.48 mmol)を連続的に加える。反応媒体を室温及び大気圧で一晩強く攪拌する。DMFを蒸発させた後、生成物をジクロロメタン中に入れる。有機相を、僅かに酸性の水(pH 4)で、続いて水で洗浄する。有機相を硫酸ナトリウム上で除湿し、次いで蒸発させ、所望のアセタール誘導体を収率86%で得る。
【0051】
例2 DS 0.1を有するCHI-PEOPPO誘導体の合成
(キトサンに対して0.11モル当量のPEOPPOの添加)。第一工程では、PEOPPO-アセタールのアルデヒド官能基を脱保護する。PEOPPO-アセタール(1.8g、0.66 mmol)を、比率(4/1)(v/v)のTFA/HO混合物(23 mL)に溶解させる。反応媒体を室温及び大気圧で一晩攪拌する。TFA/HO混合物を回転蒸発装置(Rotavapor)中で蒸発させる。得られたアルデヒド(0.66 mmol)を、ETOH/HO混合物(1/1 (v/v)、15 mL)中に溶解させ、溶液のpHをpH 5.1に調節する。次いで、この溶液を、予めCHCOOH 0.2 M/EtOH混合物(3:2 (v/v)、320 mL)に溶解させたキトサン(1 g、6 mmol)に加える。次いで、混合物のpHを、水酸化ナトリウム(0.5 M)溶液で5.1に調節する。シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.532g、7.2 mmol)の水溶液(2 mL)を加える。室温及び大気圧で24時間攪拌後、反応媒体のpHを9に調節し、所望の生成物を沈殿させる。次いで、この生成物を、ETOH/HO混合物(3/2、7/3、4/1、9/1 (v/v))、次いでエタノールで洗浄する。生成物をフリット4上で濾過し、空気中で乾燥させる。CHI-PEOPPO誘導体1.6gが得られる(収率63%)。誘導体の置換度(25℃でH-NMRにより測定)は0.1である。
【0052】
例3 CHI-PEOPPO-PEO誘導体の合成
分子量2,000 g/molのPEO、DS 0.1のCHI-PEOPPO及びDS約0.25のPEOで合成を行う。
【0053】
ポリ(エチレンオキシド)メチルモノエーテル(2 g、1 mmol)を、無水CHCl/DMSO(97/3 (v/v)、100 mL)溶液に入れた溶液に、窒素下で、Dess-Martin Periodinane (DMP)(0.424 g、1 mmol)をDMSO(4 mL)に入れた溶液を徐々に加える。反応媒体を室温及び大気圧で2時間攪拌する。媒体を回転蒸発装置で、白色がかったオイルが得られるまで濃縮する。残留オイルをエチルエーテル(600 mL)から沈殿させる。
【0054】
粗製物をフリット4上で濾過することにより単離する。濾過の後に得られたPEOモノアルデヒド誘導体を減圧下、25℃で2時間乾燥させる。
【0055】
予めCHCOOH 0.2 M/EtOH混合物(3:2 (v/v)、80 mL)に溶解させた、DSが0.1のキトサン-PEOPPO(0.3 g、0.75 mmol)の溶液に、酸化されたPEO(0.52 g、0.26 mmol)の水溶液を加える。次いで、混合物のpHを、水酸化ナトリウム(0.5 M)溶液で5.1に調節する。シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.028 g、0.375 mmol)の水溶液(2 mL)を加える。室温及び大気圧で、24時間攪拌した後、反応媒体のpHを9に調節する。次いで、沈殿していない生成物を、限外濾過により、洗浄溶剤としてHO(及びメンブランMillipore YM最小10、好ましくは30または100)を使用して精製する。凍結乾燥の後、CHI-PEOPPO-PEO誘導体が得られる(収率66%)。
【0056】
例4 水性媒体中におけるCHI-PEOPPO誘導体の流動挙動
CHI-PEOPPO誘導体を、AcOH 0.3 M/AcONa 0.05 M中に濃度10 g/L(0.024 momnmol/L)で含んでなる水溶液が、可逆的なゾル-ゲル転移を有することを確認した。
【0057】
結果を、水溶液の粘度(Pa.s)と温度(℃)の時間的推移を示す図1に示す。
【数1】

【0058】
従って、ゾル-ゲル転移は、可逆的であり、再現性があることが分かる。
【0059】
例5 水性媒体中におけるCHI-PEOPPO-PEO誘導体の流動挙動
図2は、水性媒体中に中性pHで可溶なCHI-PEOPPO-PEO誘導体(DS=0.26、DS=0.17)の可逆的ゾル-ゲル転移を示す。プロットした曲線は、CHI-PEOPPO-PEOキトサンを基剤とする熱会合性共重合体に対する保存(弾性)G'及びロス(粘性)G''(Pa)モジュラス対温度(℃)の変化を、下記の操作条件下、すなわち周波数を1 Hzに設定、加熱速度1℃/分、溶剤NaCl0.1 M、第一加熱の際及び第二加熱の際のCp=40 g/L(0.035 monomol/L)で示す。
【数2】

【0060】
従って、ゾル-ゲル転移には再現性があることが分かる。
【0061】
例6 水性媒体中におけるCHI-PEOPPO及びCHI-PEOPPO-PEO誘導体の、温度による流動挙動
熱ゲル化性質の立証
レオロジー測定及び流動及び動的流動の条件により、CHI-PEOPPO及びCHI-PEOPPO-PEO誘導体の熱会合性挙動を明確に立証することができた。
【0062】
図3は、様々なDSを有するCHI-PEOPPO誘導体の溶液から、下記の条件下で、すなわちせん断率1 s−1、加熱速度1℃/分、溶剤酢酸(AcOH)0.3 M/酢酸ナトリウム(AcONa)0.05 M、重合体濃度=Cp=0.024 monomol/Lで測定した粘度と温度の変化を示す。プロットした曲線は、粘度(Pa.s)と温度(℃)の変化を示す。
【数3】

【0063】
DSに応じて100〜1,000のファクターで著しく粘度増加することが報告されている。転移温度はDSに密接に関連している。
【0064】
温度によって異なる溶液の粘性付与(viscosification)に対する重合体濃度の効果を図4に示す。図4は、DS=0.1であるCHI-PEOPPO試料に対する、下記の条件下、すなわちせん断率1 s−1、加熱速度1℃/分、AcOH 0.3 M/AcONa 0.05 M、での粘度(Pa.s)曲線と温度(℃)の関係を示す。
【数4】

【0065】
濃度に関係無く、粘度増加は、1,000に近いファクターに達する。転移温度は実質的に変化しない。
【0066】
図5は、CHI-PEOPPO誘導体に対する保存(弾性)G'及びロス(粘性)G''モジュラス対温度の変化を比較する。保存モジュラスG'とロスモジュラスG''の交差点は、臨界温度Tcに位置する。この温度は、2つの範囲の境界を定める、すなわち低温区域(T<Tc)では粘性が支配的であり、高温区域(T>Tc)では弾性が支配的である。プロットした曲線は、異なった熱会合性CHI-PEOPPO共重合体に対するモジュラスG'及びG''の変化と温度(℃)の関係を、下記の操作条件下、すなわち周波数を1 Hzに設定、加熱速度1℃/分、溶剤AcOH 0.3 M/AcONa 0.1 M、Cp=0.024 monomol/Lで示す。
【数5】

【0067】
モジュラスG'及びG''の重大な増加と温度の関係が、DSがより高い(DS=0.17及び0.1)誘導体に対して観察される。低い温度では、pH 4の溶液における化合物は、粘性溶液型(G'<G'')の挙動を示すが、25℃を超えると、これらの化合物は、ゲル型(G'>G'')の挙動を示す。従って、熱会合現象は、これらの誘導体で良く示されている。
【0068】
例7 水性媒体におけるCHI-PEOPPO及びCHI-PEOPPO-PEO誘導体の流動挙動の比較
水性媒体におけるCHI-PEOPPO及びCHI-PEOPPO-PEO誘導体の流動挙動を試験した。操作条件は下記の通りである。
−DSが0.17であるCHI-PEOPPOをCHCOOH 0.3 M/CHCOONa 0.1 M(14.9 g/Lまたは0.024 monomol/L)に入れる、及び
−CHI-PEOPPO-PEO(DSPEOPPO(DS)=0.18及びDSPEO(DS)=0.28)をリン酸塩緩衝液(pH =7.4、[NaCl]=0.134 M)(28.8 g/Lまたは0.025 monomol/L)に入れる、
−周波数を1 Hzに設定
−加熱速度は1℃/分である。
【0069】
結果を図6に示すが、この図は、水溶液のG'及びG''モジュラス(Pa)と温度(℃)関係を示す。
【数6】

【0070】
図6から、CHI-PEOPPO-PEO誘導体の場合、モジュラスG'及びG''は、低温で、より高いことが分かる。PEO基の存在により誘発される増粘効果は、CHI-PEO溶液の粘度及び天然キトサンの粘度を同じ溶剤条件下で比較した場合にも観察される。この差は、例えばこの、CHI-PEOPPO-PEO誘導体に関する場合のように、CHI-PEO誘導体を、pH 7.4におけるリン酸塩緩衝液([NaCl]=0.134 M)に溶解させた時に大きくなり、そこでは、静電気反発が著しく低下し、それによって、鎖間の会合が促進される。その上、グラフト化されたPEO鎖の存在は、低温における曲線G'とG''の交差点の存在を引き起こすが、高温におけるモジュラスの値に対しては重大な影響を及ぼさない。従って、これらの結果は、温度増加の際に、PEOPPOグラフトが凝集し、PEO鎖の存在が会合現象を補強することを示唆すると思われる。
【0071】
図7は、CHI-PEOを17.7 g/L(0.025 monomol/L)で様々な溶剤に入れた溶液及び最初のキトサンに対する粘度変化とせん断勾配を示す。
【0072】
【数7】

【0073】
CHI-PEO誘導体に対して、より高い粘度値が見られる。この誘導体に対して、静電気反発が著しく低下するpH 7.4におけるリン酸塩緩衝液([NaCl]=0.134 M)の使用により、鎖間会合が促進される。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
感熱性PEOPPO-アセタール誘導体の製造方法であって、下記の連続的な工程:
a.一種以上の、一般式(I):
【化1】

(式中、pは1〜40、好ましくは3〜29の整数を表し、mは1〜40、好ましくは1〜31の整数を表す)
のランダムポリエーテルアミン(PEOPPO)を無水コハク酸と反応させ、対応する酸を形成する工程、
b.工程a)で得た前記酸を2,2-ジメトキシエチルアミンとカップリングさせ、目的とするPEOPPO-アセタール誘導体を得る工程
を含んでなる、方法。
【請求項2】
工程(a)で使用する前記反応の前記溶剤が無水DMFである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
工程(a)に続いて、工程(b)の前に、前記反応媒体を攪拌する、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
工程(b)で使用する前記反応の前記溶剤がDMFである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
工程b)の前記カップリング反応が、1-エチル-3-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-カルボジイミド及びジイソプロピルアミンの添加も含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記工程a)及びb)が「シングルポットで」行われる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法により得られるPEOPPO-アセタール誘導体。
【請求項8】
グラフト化されたキトサンの合成方法であって、(i)請求項7に記載されるPEOPPO-アセタール誘導体をPEOPPO-CHO誘導体に加水分解する工程、続いて(ii)前記PEOPPO-CHO誘導体をキトサンまたはキトサン誘導体の一種に、還元アミノ化型の反応により、グラフト化する工程を含んでなる、方法。
【請求項9】
前記キトサンまたはキトサン誘導体の一種が、下記の式(II):
【化2】

(式中、nは、60〜6,000であり、Rは、
−水素原子H、または
−アセチル基COCHを表し、アセチル化度は好ましくは0〜0.5、より好ましくは0〜0.2である)
に適合する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
工程(ii)の後に、得られたCHI-PEOPPOキトサン誘導体を重合体により官能化するための追加工程(iii)を含んでなる、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記CHI-PEOPPOキトサン誘導体が、好ましくは分子量が1,000〜5,000 g/molであるポリ(エチレンオキシド)により官能化され、置換度DSが0.1を超える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項10または11に記載される方法により得られるCHI-PEOPPO-PEOキトサン誘導体。
【請求項13】
少なくとも一種の、請求項12に記載されすCHI-PEOPPO-PEOキトサン誘導体及び水相を含んでなる水性組成物。
【請求項14】
前記CHI-PEOPPO-PEOキトサン誘導体が2〜30 g/Lの量で存在する、請求項13に記載の水性組成物。
【請求項15】
前記水性組成物のpHが4〜生理学的pHである、請求項13または14に記載の水性組成物。
【請求項16】
化粧品または薬学的に許容され得る媒体をさらに含んでなる、請求項13〜15のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項17】
請求項13〜16のいずれか一項に記載の水性組成物の、加熱によるゲル形成のための使用。

【公表番号】特表2010−539271(P2010−539271A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524486(P2010−524486)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際出願番号】PCT/EP2008/062059
【国際公開番号】WO2009/034130
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(594016872)サントル、ナショナール、ド、ラ、ルシェルシュ、シアンティフィク、(セーエヌエルエス) (83)
【出願人】(510066248)ユニベルシテ、ジョセフ、フーリエ‐グルノーブル、1 (1)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE JOSEPH FOURIER−GRENOBLE 1
【Fターム(参考)】