説明

キナゾリノン化合物による治療をモニタリングするためのバイオマーカー

本明細書中に提供されるものは、キナゾリノン化合物によって、治療をモニタリングするためのバイオマーカーである。例えば、キナゾリノン化合物が特定の型の癌、例えばNHLの治療に成功する可能性があるかどうか予測するための、バイオマーカーとしてのSPARC、p21及びサイクリンD1 mRNAレベルの使用を提供される。更に、これらの遺伝子の発現は、治療効果の進行及びキナゾリノン化合物を用いた治療を受けている癌患者の患者コンプライアンスをモニタリングするために用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年12月7日に出願の米国仮出願番号第61/005,804号に対して優先権を主張する。その全体は本明細書中に引用により取り込まれている。
【0002】
(1. 分野)
本発明は、癌、例えば非ホジキンリンパ腫患者を治療するために、キナゾリノン化合物を用いる療法前及び療法間での、遺伝子又はタンパク質の特定の組の発現のモニタリングに関する。
【背景技術】
【0003】
(2. 背景)
癌を治療するために様々な化合物が用いられている。例を挙げると、以前に、例えば、2008年7月3日に公表の米国特許公開番号第US 2008/0161328号、及び2008年9月25日に出願の米国特許出願番号第12/238,354号に記載された、キナゾリノン化合物の群がある。その両方は全体として本明細書中に引用により取り込まれている。
【発明の概要】
【0004】
(3. 要旨)
本明細書中に提供されるものは、キナゾリノン化合物による治療の効果及び進行を確認するための、バイオマーカーとしての特定のmRNA及びタンパク質の使用である。例えば、SPARC、p21及びサイクリンD1のmRNA又はタンパク質レベルは、キナゾリノン化合物がNHLなどの特定の型の癌の治療に成功する可能性があるかどうかを決定するために用いることができる。更に、これらの遺伝子又はタンパク質の発現は、キナゾリノン化合物を用いた治療を受けているNHL患者の治療効果の進行をモニターするために用いることができる。
【0005】
幾つかの実施態様において、非ホジキンリンパ腫(NHL)患者の治療に対する腫瘍反応を予測する方法を提供する。該方法は、該患者から生体試料を得ること、該細胞をキナゾリノン化合物の存在又は非存在下で培養すること、該腫瘍細胞のSPARC発現を測定すること、及び、キナゾリノン化合物の存在下で培養した腫瘍細胞のSPARC発現レベルのレベルを、キナゾリノン化合物の非存在下で培養した腫瘍細胞のものと比較することを含み、キナゾリノン化合物の存在下におけるSPARC発現の増加したレベルが、該化合物に対する有効な患者の腫瘍反応の可能性を示す。
【0006】
別の実施態様において、非ホジキンリンパ腫(NHL)患者の治療に対する腫瘍反応をモニタリングする方法を提供する。該方法は、該患者から生体試料を得ること、該生体試料のSPARC発現を測定すること、該患者にキナゾリノン化合物を投与すること、その後、該患者から第2の生体試料を得ること、該第2の生体試料のSPARC発現を測定すること、及び、SPARC発現のレベルを比較することを含み、治療後のSPARC発現の増加したレベルが、有効な腫瘍反応の可能性を示す。
【0007】
さらに別の実施態様において、薬剤治療プロトコルを用いた患者コンプライアンスをモニタリングする方法を提供する。該方法は、該患者から生体試料を得ること、該試料中のp21、サイクリンD1又はSPARCの少なくとも1つの発現レベルを測定すること、及び、該発現レベルが、該患者試料において、コントロール未処置試料の発現レベルと比較して増加又は減少するかどうかを決定することを含み、増加又は減少した発現が前記薬剤治療プロトコルを用いた患者コンプライアンスを示す。一実施態様において、SPARCの発現がモニターされる。別の実施態様において、SPARCの発現の増加が該コンプライアンスを示す。
【0008】
モニターされる発現は、例えば、mRNA発現又はタンパク質発現であり得る。処置試料における前記発現は、約1.5X、2.0X、3X、又は5X以上増加することができる

【0009】
別の実施態様において、NHL、特にマントル細胞リンパ腫(MCL)患者における、キナゾリノン化合物を用いた治療への感受性を予測する方法を提供する。該方法は、該患者から生体試料を得ること、該生体試料からmRNAを任意に単離又は精製すること、mRNA転写物を例えばRT-PCRによって増幅すること、及び、蛍光がサイクリンD1及びP21 mRNA発現の設定された閾値レベル(「CT」)を超えるサイクル数を比較することを含み、P21 CTとサイクリンD1 CTとの間のより大きな相違(dCT)は、該癌がキナゾリノン化合物を用いた治療に感受性がある可能性が高いことを示す。P21 CTとサイクリンD1 CTとの間の相違は、例えば0よりも大きくなることができる。P21 CTとサイクリンD1 CTとの間の相違は、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10よりも大きくなることができる。
【0010】
別の実施態様において、NHL、特にマントル細胞リンパ腫(MCL)患者における、免疫調節化合物を用いた治療への感受性を予測する方法を提供する。該方法は、該患者から生体試料を得ること、該生体試料からmRNAを任意に単離又は精製すること、mRNA転写物を例えばRT-PCRによって増幅することを含み、サイクリン Dlのより大きいベースライン値(例えば、蛍光がサイクリンD1 mRNA発現の設定された閾値レベル(「CT」)を超えるサイクル数を決定することにより評価される)は、該癌が免疫調節化合物を用いた治療に感受性がある可能性が高いことを示す。
【0011】
さらに別の実施態様において、キナゾリノン化合物を用いたNHLの有効な治療の可能性を予測するために役立つキットを提供する。該キットは、固体支持体、前記支持体と接触している核酸(ここで、該核酸は1)サイクリンD1 mRNA及び2) p21 mRNAの少なくとも1つのうちの少なくとも20、50、100、200、又は350以上の塩基と相補的である。)、及び、生体試料中の前記mRNAの発現を検出するための手段を含む。
【0012】
さらなる実施態様において、有効なNHL治療の可能性を予測するために役立つキット、又はキナゾリノン化合物を用いた治療の有効性をモニタリングするために役立つキットを提供する。該キットは、固体支持体、前記支持体と接触している少なくとも1つの核酸(ここで、該核酸は、SPARC mRNAの少なくとも20、50、100、200、350、又は500以上の塩基と相補的である。)、及び、生体試料中の前記mRNAの発現を検出するための手段を含む。
【0013】
さらなる実施態様において、有効なNHL治療の可能性を予測するために役立つキット、又はキナゾリノン化合物を用いた治療をモニタリングするために役立つキットを提供する。該キットは、固体支持体、及び生体試料中のSPARC、サイクリンD1及びp21のうちの少なくとも1つのタンパク質発現を検出するための手段を含む。
【0014】
この種のキットは、例えば、ディップスティック、膜、チップ、ディスク、試験ストリップ、フィルター、マイクロスフェア、スライド、マルチウェルプレート又は光ファイバーを使用することができる。該キットの固体支持体は、例えば、プラスチック、シリコン、金属、樹脂、ガラス、膜、粒子、沈殿物、ゲル、ポリマー、シート、球体、多糖類、毛細管、フィルム、プレート、及びスライドであり得る。該生体試料は、例えば、細胞培養物、細胞株、組織、口腔組織、胃腸組織、器官、オルガネラ、生物流体、血液試料、尿試料及び皮膚試料であり得る。該生体試料は、リンパ節生検、骨髄生検又は末梢血腫瘍細胞の試料であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
(4. 図面の簡単な説明)
【図1】図1は、ナマルバ、Rec-1、Jeko-1、Granta-519、JVM-2及びDB細胞株において観察される、キナゾリノン化合物 3-(2,5-ジメチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンによる濃度0.01μM、0.1μM、1μM、10μM、及び100μMでの細胞増殖の阻害を示す。
【0016】
【図2】図2は、10μMの3-(2,5-ジメチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンによる処置において、ナマルバ、Rec-1、Jeko-1、Granta-519、JVM-2及びDB細胞株のSPARC mRNAのレベルの変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(5. 詳細な説明)
本明細書中に提供される主題は、一つには、細胞試料中の特定のmRNA又はタンパク質の存在及びレベルが、疾患治療の有効性又は進行を示すバイオマーカーとして利用できるという発見に基づく。特に、これらのmRNA又はタンパク質バイオマーカーは、様々なキナゾリノン化合物を用いて患者の治療の有効性を予測し、評価し、かつ追跡するために用いることができる。
【0018】
特定の理論に限られることなく、キナゾリノン化合物は、NHLなどの癌の特定の型における成長抑制、アポトーシス及び血管形成要因の阻害を媒介することができる。キナゾリノン化合物を用いた治療の前後で、幾つかの細胞種における幾つかの癌関連遺伝子又はタンパク質の発現を検査したとき、特定の癌関連遺伝子又はタンパク質の発現レベルが、癌治療を予測し、かつモニターするためのバイオマーカーとして用いることが可能であることを発見した。
【0019】
(5.1 定義)
本発明がより完全に理解されるように、以下の用語がより明確に定められる:
【0020】
本明細書中で用いられる用語「治療する」、「治療している」及び「治療」は、特に他に明記しない限り、患者が特定の癌を罹患している間に生じる、癌の重症度を減らすか、又は癌の進行を遅延させる若しくは遅らせる作用を指す。
【0021】
用語「感受性」及び「感受性の」は、キナゾリノン化合物を用いた治療に関してなされる場合、治療される腫瘍又は疾患の進行を小さくするか又は減少させるキナゾリノン化合物の有効性の程度に関する相対語を指す。例えば、「増加した感受性」という用語は、キナゾリノン化合物に関連した細胞又は腫瘍の治療に関して使われる場合、腫瘍治療の有効性において、少なくとも5%以上の増加を指す。
【0022】
本明細書中で用いられる化合物の「治療的有効量」という用語は、特に他に明記しない限り、癌の治療又は管理において治療的な利点を提供するのに十分な量、或いは癌の存在に関連する1つ以上の症状を遅延するか又は最小化するのに十分な量である。化合物の治療的有効量は、単独で又は他の療法と組み合わせて、癌の治療又は管理における治療的な利点を提供する治療薬の量を意味する。用語「治療的有効量」は、全体の療法を改善し、癌の症状若しくは原因を減少若しくは回避し、又は別の治療薬の治療効果を向上させる量を包含し得る。
【0023】
本明細書中で用いられる「有効な患者の腫瘍反応」は、患者に対する治療的な利益の任意の増加を指す。「有効な患者の腫瘍反応」は、例えば、腫瘍の進行速度の5%、10%、25%、50%又は100%の減少であり得る。「有効な患者の腫瘍反応」は、例えば、癌の身体症状の5%、10%、25%、50%又は100%の減少であり得る。「有効な患者の腫瘍反応」は、例えば、遺伝子発現、細胞計数、分析結果などの任意の適切な手段で測定される、患者の一般健康の5%、10%、25%、50%、100%、又は200%以上の増加であり得る。
【0024】
一般に「可能性」という用語は、事象の確率の増加を指す。用語「可能性」は、患者腫瘍反応の有効性に関して使用される場合、一般に、腫瘍の進行又は腫瘍細胞増殖の速度が減少する確率の増加を意図する。用語「可能性」は、患者腫瘍反応の有効性に関して使用される場合、一般に、腫瘍の治療における進行の増加を証明できるmRNA又はタンパク質発現などの指標の増加も意味する。
【0025】
用語「予測する」は、一般に、前もって決定するか又は言及することを意味する。癌治療の有効性を「予測する」ために用いられる場合、例えば、用語「予測する」は、癌治療の転帰の可能性を、最初に、治療開始前に、又は治療期間が実質的に進む前に、決定することができる。
【0026】
本明細書中に用いられる「モニターする」という用語は、一般に、活性の監視、管理、調節、観察、追跡又は監視を指す。例えば、用語「キナゾリノン化合物の有効性をモニタリングする」は、患者又は腫瘍細胞培養の癌の治療において有効性を追跡することを指す。同様に、「モニタリング」は、患者コンプライアンスに関連して、個々に、又は臨床試験において使用される場合、患者が規定どおりに試験されるi化合物を取り込むことを追跡又は確認することを指す。モニタリングを、例えば、mRNA又はタンパク質バイオマーカー、例えばSPARC、サイクリンD1、p21及びそれらのmRNAの発現に従って行うことができる。
【0027】
癌又は癌関連疾患の改善は、完全又は部分的寛解として特徴付けすることができる。「完全寛解」は、任意の以前の異常な放射線学的検査、骨髄及び脳脊髄液(CSF)又は異常なモノクローナルタンパク質測定の正常化を有する臨床的に検出可能な疾患の欠如を指す。「部分的寛解」は、新しい病変がない全ての測定可能な全身腫瘍組織量(すなわち、対象に存在する悪性細胞数、又は腫瘤の測定されるバルク、又は異常なモノクローナルタンパク質の量)において、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%の減少を指す。用語「治療」は、完全及び部分的寛解を意図する。
【0028】
本明細書中に用いられる「腫瘍」は、悪性若しくは良性の全ての新生物細胞成長及び増殖、並びに全ての前癌細胞及び癌細胞及び組織を指す。本明細書中に用いられる「新生物」は、悪性若しくは良性の調節不全又は無秩序細胞成長であって、結果として異常な組織の成長を生じる任意の形態を指す。従って、「新生物細胞」は、調節不全又は無秩序細胞成長を有する悪性及び良性の細胞を含む。
【0029】
用語「癌」及び「癌性」は、一般的に無秩序細胞成長によって特徴付けされる哺乳動物の生理的状態を意味又は記載する。癌の例を挙げると、リンパ腫及び白血病、並びに固形腫瘍があるが、これらに限定されない。
【0030】
本明細書中で用いられる用語「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、本明細書中において互換的に用いられ、ペプチド結合を介して結合された、連続配列の3つ以上のアミノ酸のアミノ酸のポリマーを指す。用語「ポリペプチド」は、タンパク質、タンパク質断片、タンパク質類似体、及びオリゴペプチドなどを含む。本明細書中に用いられる用語ポリペプチドは、ペプチドも意味し得る。ポリペプチドを形成するアミノ酸は、天然由来又は合成的であってもよい。本明細書中に開示される典型的なポリペプチドは、SPARC、サイクリンD1、及びp21などを含むが、これらに限定されない。ポリペプチドは、生体試料から精製されることができる。
【0031】
用語「抗体」は、最も広い意味において本明細書中で使用され、完全に会合した抗体、抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体断片(例えばFab、F(ab')2、Fv、及び他の断片)、単鎖抗体、二特異性抗体、抗体キメラ、ハイブリッド抗体、二重特異性抗体、及びヒト化抗体などの範囲に渡る。用語「抗体」は、ポリクローナル及びモノクローナル抗体を含む。
【0032】
本明細書中に用いられる用語「発現される」又は「発現」は、遺伝子の2つの核酸鎖のうちの1つの領域と少なくとも部分的に相補的なRNA核酸分子を与える、遺伝子からの転写を意味する。本明細書中に用いられる用語「発現される」又は「発現」は、タンパク質、ポリペプチド又はそれらの部分を与える、RNA分子からの翻訳も意味する。
【0033】
「上方制御される」mRNAは、通常、所定の治療又は状態に増加される。一般に「下方制御される」mRNAは、所定の治療又は状態に反応してmRNAの発現のレベルの減少を意味する。幾つかの状況において、mRNAレベルは、所定の治療又は状態に不変のままであることができる。
【0034】
患者試料からのmRNAは、キナゾリノン化合物で処置された場合、未処置コントロールと比較して、「上方制御される」ことができる。この上方制御は、例えば、比較コントロールのmRNAレベルの約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、90%、100%、200%、300%、500%、1,000%、5,000%以上の増加であり得る。
【0035】
あるいは、mRNAは、特定のキナゾリノン化合物又は他の薬剤の投与に反応して、「下方制御される」か又は低レベルで発現され得る。下方制御されたmRNAは、例えば、比較コントロールのmRNAレベルの約99%、95%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、1%以下のレベルで存在し得る。
【0036】
同様に、患者試料からのポリペプチド又はタンパク質バイオマーカーのレベルは、キナゾリノン化合物で処置された場合、未処置コントロールと比較して増加され得る。この増加は、比較コントロールのタンパク質レベルの約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、90%、100%、200%、300%、500%、1,000%、5,000%以上であり得る。
【0037】
あるいは、タンパク質バイオマーカーのレベルは、特定のキナゾリノン化合物又は他の薬剤の投与に反応して減少され得る。この減少は、例えば、比較コントロールのタンパク質レベルの約99%、95%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、1%以下のレベルで存在し得る。
【0038】
本明細書中に用いられる用語「決定する」、「測定する」、「査定する」、「評価する」及び「分析する」は、一般に、測定の任意の形態を意味し、成分が存在するか否かについて決定することを含む。これらの用語は、定量的及び/又は定性的な決定を含む。評価することは、相対的又は絶対的であってもよい。「の存在を評価すること」は、存在するある物の量を決定すること、並びに、それが存在又は非存在かどうかを決定することを含むことができる。
【0039】
用語「核酸」及び「ポリヌクレオチド」は、ヌクレオチド、例えば、デオキシリボヌクレオチド若しくはリボヌクレオチド、又は2つの天然の核酸のものと類似する配列特異的な様式にて、天然の核酸とハイブリダイズすることができる、例えば、ワトソン-クリック型塩基対相互作用に関与することができる合成的に製造された化合物から成る任意の長さのポリマーを記載するように、本明細書中において互換的に使用される。本明細書中に使用するように、ポリヌクレオチド配列との関連で、用語「塩基」(又は「塩基」)は、「ヌクレオチド」(又は「ヌクレオチド」)、すなわち、ポリヌクレオチドのモノマーサブユニットと同義である。用語「ヌクレオシド」及び「ヌクレオチド」は、周知のプリン及びピリミジン塩基だけでなく、修飾された他の複素環塩基も含むそれらの部分を含むことを意図する。このような修飾は、メチル化プリン又はピリミジン、アシル化プリン又はピリミジン、アルキル化リボース又は他の複素環を含む。さらに、用語「ヌクレオシド」及び「ヌクレオチド」は、同様に従来のリボース及びデオキシリボース糖だけでなく、他の糖も含むそれらの部分を含む。修飾ヌクレオシド又はヌクレオチドはまた、例えば、一つ以上のヒドロキシル基がハロゲン原子又は脂肪族基と置換されるか又はエーテル若しくはアミン等として機能する、糖残基上の修飾を含む。「類似体」は、類似構造を有する模倣体、誘導体、又は他の同類語として文献において認識される構造特徴を有する分子を意味し、例えば、非天然ヌクレオチドを組み込んだポリヌクレオチド、T-修飾ヌクレオシドなどのヌクレオチド模倣体、ペプチド核酸、オリゴマーヌクレオシドホスホン酸塩、及び保護基又は連結部分などの置換基を加えた任意のポリヌクレオチドを含む。
【0040】
用語「相補的」は、ポリヌクレオチドの配列に基づくポリヌクレオチドの間の特異的結合に関する。本明細書中で用いられる第1のポリヌクレオチド及び第2のポリヌクレオチドは、それらがストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーションアッセイ法において互いに結合する場合、例えば、それらがハイブリダイゼーションアッセイ法においてシグナルの所定の又は検出可能なレベルを生じる場合に、相補的である。ポリヌクレオチドの部分は、それらが従来の塩基対合則、例えば、AとT(又はU)との対及びGとCとの対に従う場合、互いに相補的であるが、不一致、挿入、又は欠失配列の小さい領域(例えば、約3塩基未満)が存在し得る。
【0041】
2つの核酸配列との関連で、「配列同一性」又は「同一性」は、特定の比較ウインドウに渡っての最大の一致のために配置されるときと同じである2つの配列の残基に関し、付加、欠失及び置換を考慮に入れることができる。
【0042】
用語「実質的同一性」又は「相同性」は、それらの様々な文法的形態において、ポリヌクレオチドとの関連で、一般に、ポリヌクレオチドが、参照配列と比較して、所望の同一性、例えば、少なくとも60%の同一性、好ましくは少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、及びさらにより好ましくは少なくとも95%を有する配列を含むことを意味する。ヌクレオチド配列が実質的に同一であるという別の指標は、2つの分子がストリンジェントな状態下で互いにハイブリダイズする場合である。
【0043】
本明細書中で用いられる用語「結合」は、本明細書中で、直接的又は間接的な結合を示すように用いることができる。化学構造との関連において、「結合」(又は「結合した」)は、直接的に2つの部分を結合するか又は間接的に2つの部分を結合(例えば、連結基又は分子の任意の他の介在部分を介して)する化学結合の存在を意味する。化学結合は、共有結合、イオン結合、配位錯体、水素結合、ファンデルワールス相互作用又は疎水性スタッキングであってもよく、又は複数の型の化学結合の特徴を示してもよい。特定の例において、「結合」は、結合が直接である実施態様、更には結合が間接的である実施態様を含む。
【0044】
用語「単離」及び「精製」は、物質(mRNA又はタンパク質など)の単離を意味し、結果、物質が、それが存在する試料の実質的部分、すなわち、物質がその自然又は未単離状態において通常見出されるよりも多く存在する試料の実質的部分を含む。典型的には、試料の実質部分は、例えば、試料の1%を超える、2%を超える、5%を超える、10%を超える、20%を超える、50%を超える又はそれ以上、通常、最大90%〜100%である。例えば、単離されたmRNAの試料は、通常、全mRNAの少なくとも約1%を含む。ポリヌクレオチドの精製技術は、周知技術であり、例えば、ゲル電気泳動、イオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、フローソーティング及び密度に従う遠心沈降を含む。
【0045】
本明細書中に用いられる用語「試料」は、通常、必ずしもではないが液体の、一つ以上の対象成分を含む物質又は物質の混合物を意味する。
【0046】
本明細書中に用いられる「生体試料」は、生物組織若しくは流体起源の試料を含み、インビボ又はインサイチューで得られ、到達され、又は回収される生物学的対象から得られる試料を意味する。また、生体試料は、前癌細胞及び癌細胞及び組織を含む生物学的対象の領域由来の試料を含む。このような試料は、限定されないが、哺乳動物から単離される器官、組織、画分及び細胞であり得る。典型的な生体試料は、細胞可溶化物、細胞培養物、細胞株、組織、口腔組織、胃腸組織、器官、オルガネラ、生物流体、血液試料、尿試料及び皮膚試料などを含むが、これらに限定されない。好ましい生体試料は、全血、部分的精製血液、PBMC、及び組織生検などを含むが、これらに限定されない。
【0047】
本明細書中に用いられる用語「検体」は、試料の周知又は未周知成分を指す。
【0048】
本明細書中に用いられる用語「捕捉剤」は、薬剤が均質混合物からmRNA又はタンパク質を結合しかつ濃縮するのに十分な相互作用を介して、mRNA又はタンパク質を結合する薬剤を意味する。
【0049】
本明細書中に用いられる用語「プローブ」は、特定の標的mRNAバイオマーカー配列に向かう捕獲剤を意味する。従って、プローブセットの各プローブは、それぞれの標的mRNAバイオマーカーを有する。プローブ/標的mRNA二本鎖は、その標的mRNAバイオマーカーにプローブをハイブリダイズさせることにより形成される構造である。
【0050】
用語「核酸」又は「オリゴヌクレオチドプローブ」は、本明細書中に提供されるmRNAバイオマーカーなどの相補的配列の標的核酸と、一以上の化学結合の型を介して、通常、相補的な塩基対形成を介して、通常、水素結合形成を介して、結合できる核酸を意味する。本明細書中で用いられるプローブは、天然(例えば、A、G、C又はT)又は修飾塩基(7-デアザグアノシン、イノシンなど)を含むことができる。さらに、プローブの塩基は、それがハイブリダイゼーションを妨げない限り、ホスホジエステル結合以外の結合で連結することができる。プローブがハイブリダイゼーション条件の厳格性に応じて、プローブ配列と完全な相補性を欠く標的配列を結合できることは、当業者によって理解されよう。プローブは、好ましくは、同位体、例えば、発色団、ルミフォア(lumiphore)、色素原で直接的に標識され、又は、ストレプトアビジン複合体が後に結合され得るビオチンで間接的に標識される。プローブの存在又は非存在について分析することにより、対象の標的mRNAバイオマーカーの存在又は非存在を検出することができる。
【0051】
用語「ストリンジェントなアッセイ条件」は、アッセイにおいて所望の特異性レベルの提供に十分相補的な核酸、例えばプローブ及び標的mRNAの結合対を生じるのに適合するが、一般に、所望の特異性の提供に不十分な相補性である結合メンバー間の結合対の形成に不適合である条件を意味する。用語ストリンジェントなアッセイ条件は、一般にハイブリダイゼーション及び洗浄条件の組合せに関する。
【0052】
核酸に関して「標識」又は「検出可能な部分」は、核酸と結合する場合に、例えば、分光学的、光化学的、生化学、免疫化学的、又は化学的手段によって検出可能な核酸を与える組成物を意味する。例証的な標識は、放射性同位元素、磁気ビーズ、金属ビーズ、コロイド粒子、蛍光色素、酵素、ビオチン、ジゴキシゲニン、及びハプテンなどを含むが、これらに限定されない。「標識化核酸又はオリゴヌクレオチドプローブ」は一般に、核酸又はプローブの存在が核酸又はプローブに結合された標識の存在を検出することにより検出されることができるように標識に、リンカー若しくは化学結合を介して共有結合的に、又はイオン結合、ファンデルワールス力、静電引力、疎水性相互作用若しくは水素結合を介して非共有結合的に結合されるものである。
【0053】
本明細書中に用いられる用語「ポリメラーゼ連鎖反応」又は「PCR」は一般に、少量の核酸、RNA及び/又はDNAが、例えばMullisの米国特許第4,683,195号に記載されているように増幅される手順を指す。通常、対象の領域の端からの又は越えた配列情報は、オリゴヌクレオチドプライマーが設計されることができるように利用可能であることが必要である;これらのプライマーは、増幅される鋳型の反対の鎖の配列と同一又は類似しているであろう。2つのプライマーの5'端のヌクレオチドは、増幅された物質の端と一致し得る。PCRは、特定のRNA配列、全ゲノムDNA由来の特定のDNA配列、及び全細胞RNA、バクテリオファージ又はプラスミド配列などから転写されるcDNAを増幅するために用いることができる。一般にMullisらの文献, Cold Spring Harbor Symp.Quant. Biol., 51: 263 (1987); Erlich, 編集, PCR Technology, (Stockton Press, NY, 1989)を参照されたい。
【0054】
用語「サイクル数」又は「CT」は、PCR方法に関して本明細書中に使われる場合、蛍光レベルが所定の設定された閾値を超えるPCRサイクル数を指す。CT測定は、例えば、オリジナル試料のmRNAレベルに近づけるために用いることができる。CT測定はたいてい、1つの核酸のCTが別の核酸のCTから減算される場合に、「dCT」又は「CTの相違」スコアの用語で使用される。
【0055】
本明細書に使用され、及び特に明記しない限り、「光学的に純粋な」という用語は、化合物の1つの光学異性体を含み、その化合物のその他の異性体を実質的に含まない組成物を意味する。例えば、キラル中心を有する化合物の光学的に純粋な組成物は、化合物の反対の鏡像異性体を実質的に含まない。2つのキラル中心を有する化合物の光学的に純粋な組成物は、化合物のその他のジアステレオマーを実質的に含まない。典型的な光学的に純粋な化合物は、約80重量%を超える化合物の一方の鏡像異性体及び約20重量%未満の化合物の他方の鏡像異性体、より好ましくは約90重量%を超える化合物の一方の鏡像異性体及び約10重量%未満の化合物の他方の鏡像異性体、更により好ましくは約95重量%を超える化合物の一方の鏡像異性体及び約5重量%未満の化合物の他方の鏡像異性体、より好ましくは約97重量%を超える化合物の一方の鏡像異性体及び約3重量%未満の化合物の他方の鏡像異性体、最も好ましくは約99重量%の化合物の一方の鏡像異性体及び約1重量%未満の化合物の他方の鏡像異性体を含む。
【0056】
本発明の実施は、他に示さない限り、分子生物学、微生物学及び免疫学の従来の技術を使用する。それは当該技術分野の当業者の技術の範囲内である。この種の技術は、文献に詳細に説明されている。特に診察のための適切なテキストの例を挙げると、以下のものがある:Sambrookらの文献 (1989) 「分子クローニング;研究所マニュアル(Molecular Cloning; A Laboratory Manual)」 (第2版);D.N Glover編集 (1985) 「DNAクローニングI及びII巻(DNA Cloning, Volumes I and II)」;M.J. Gait編集 (1984) 「オリゴヌクレオチド合成(Oligonucleotide Synthesis)」;B.D. Hames及びSJ. Higgins編集 (1984) 「核酸ハイブリダイゼーション(Nucleic Acid Hybridization)」;B.D. Hames及びS.J. Higgins編集 (1984) 「転写及び翻訳(Transcription and Translation)」;R.I. Freshney編集 (1986) 「動物細胞培養;固定化細胞及び酵素(Animal Cell Culture; Immobilized Cells and Enzymes)」 (IRL Press, 1986);「細胞の免疫化学的方法及び細胞生物学(Immunochemical Methods in Cell and Molecular Biology)」 (Academic Press, London);Scopes (1987) 「タンパク質精製:原理と実践(Protein Purification: Principles and Practice)」 (第2版; Springer Verlag, N.Y.);及びD.M. Weir及びC. C. Blackwell編集 (1986) 「実験免疫学のハンドブックI〜IV巻(Handbook of Experimental Immunology, Volumes I-IV)」である。
【0057】
(5.2 非ホジキンリンパ腫)
悪性リンパ腫は、リンパ系組織内に主に存在する細胞の新生物形質転換である。悪性リンパ腫の2つのグループは、ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫(NHL)である。両方の型のリンパ腫は、細網内皮性組織に浸透する。しかし、それらは、起源の新生物細胞、疾患の部位、全身症状の存在、及び治療に対する反応において異なる(Freedmanらの文献, 「非ホジキンリンパ腫(Non-Hodgkin's Lymphomas)」 第134章, Cancer Medicine, (米国癌学会の認可された公表物, B.C. Decker Inc., Hamilton, Ontario, 2003))。
【0058】
リンパ腫、非ホジキンリンパ腫の1つの型の例を挙げると、以下のものがあるがこれらに限定されない:成人T細胞リンパ腫/白血病(ATLL)、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、血管中心性鼻T細胞リンパ腫、血管中心性肺B細胞リンパ腫、血管免疫芽球性リンパ腫、バーキットリンパ腫(小型非切れ込み核細胞性リンパ腫を参照)、中心細胞性リンパ腫(マントル細胞リンパ腫を参照)、皮膚B細胞リンパ腫、皮膚辺縁帯リンパ腫(MZL)、びまん性大細胞型リンパ腫(DLBCL)、びまん性リンパ腫混合型(Diffuse Mixed Small and Large Cell Lympoma)、びまん性小くびれ細胞型(Diffuse Small Cleaved Cell)、びまん性小リンパ球性リンパ腫、腸症型T細胞リンパ腫、節外性濾胞辺縁帯B細胞リンパ腫、節外性NK/T細胞リンパ腫-鼻型、濾胞性リンパ腫、濾胞性小分割細胞型(グレード1)、濾胞性リンパ腫混合型(Follicular Mixed Small Cleaved and Large Cell)(グレード2)、濾胞性大細胞型(グレード3)、びまん性小細胞型、肝脾T細胞リンパ腫、免疫芽球性リンパ腫、中分化型リンパ腫(Intermediate Differentiation Lymphoma)、腸症型T細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、血管内リンパ腫、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、大細胞型リンパ腫(LCL)、リンパ芽球性リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、MALTリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、単球様B細胞リンパ腫、菌状息肉腫、皮膚T細胞性リンパ腫、NK細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、末梢T細胞リンパ腫(PTL)、多形性T細胞リンパ腫(Pleomorphic T-Cell Lymphoma)、移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、前駆Tリンパ芽球性リンパ腫、中枢神経系原発リンパ腫(CNS)、皮膚原発未分化大細胞リンパ腫/リンパ腫様丘疹症(CD30+)、原発性滲出液リンパ腫、縦隔原発B細胞リンパ腫、セザリー症候群、小リンパ球性リンパ腫、小非切れ込み細胞リンパ腫(SNCL)、風土病性バーキットリンパ腫、散在性バーキットリンパ腫(Sporadic Burkitt's Lymphoma)、非バーキットリンパ腫、脾性辺縁帯リンパ腫、皮下蜂窩織炎様T細胞リンパ腫、組織球性リンパ腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、及びリンパ形質細胞性リンパ腫などである。
【0059】
マントル細胞リンパ腫(MCL)は、すべてのB細胞非ホジキンリンパ腫(B-NHL)の約6%を表す非ホジキンリンパ腫の1つの型である(Jaffeら編集, 「腫瘍の世界保健機関分類:造血性及びリンパ組織の腫瘍の病理学及び遺伝学(World health organization classification of tumours: Pathology and Genetics of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues)」, Lyon: IARC Press, 2001)。MCLは通常、t(11;14)(q13;q32)トランスロケーションを含む。MCL患者は多くの場合、例えば特徴がある芽形態学的異型、増加した腫瘍細胞増殖、INK4a/ARF座欠失、及びp53突然変異又はタンパク質過剰発現(Campoらの文献, (1999) Semin Hematol 36:115-127)。該疾患は、3〜4年の患者生存の中央値を有する。本明細書中に記載されるRec-1、Jeko-1、Granta-519及びJVM-2などの幾つかの細胞株は、マントル細胞リンパ腫である。
【0060】
(5.3 バイオマーカー)
本明細書中に提供されるものは、キナゾリノン化合物の有効性を予測又は確認するための、バイオマーカーとしてのmRNA又はタンパク質の使用に関する方法である。mRNA又はタンパク質レベルは、潜在的キナゾリノン化合物が疾患の細胞モデルに成功する可能性があるかどうか決定するために用いることができる。
【0061】
生物学的マーカー又は「バイオマーカー」は、検出が特定の生物学的状態、例えば、癌の存在を示す物質である。幾つかの実施態様において、バイオマーカーは、個々に決定されることができ、又は、幾つかのバイオマーカーは、同時に測定されることができる。
【0062】
幾つかの実施態様において、「バイオマーカー」は、疾患のリスク若しくは進行と、又は所定の治療に対する疾患の感受性と相関し得る、mRNA発現のレベルの変化を示す。幾つかの実施態様において、バイオマーカーは、mRNA又はcDNAなどの核酸である。
【0063】
さらなる実施態様において、「バイオマーカー」は、リスク、治療に対する感染性又は疾患の進行と相関し得る、ポリペプチド又はタンパク質発現のレベルの変化を示す。幾つかの実施態様において、バイオマーカーは、ポリペプチド又はタンパク質であり得る。例を挙げると、SPARC、サイクリンD1、p21又はそれらの断片を含むが、これらに限定されない。特定のタンパク質の相対的レベルは、公知技術の方法により決定されることができる。例えば、免疫ブロット、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)又は他の方法などの抗体ベースの方法を用いることができる。
【0064】
(5.3.1 治療成功の初期の指標(又は予測手段)として、SPARC mRNA又はタンパク質のバイオマーカーとしての使用)
一つには、SPARC mRNA発現の検出可能な増加が、感受性細胞株(耐性細胞株に限らない)のキナゾリノン化合物の投与後、約24時間未満で可視できる見解に基づき、SPARC mRNA又はタンパク質レベルが、キナゾリノン化合物の癌細胞への感受性を予測するためのバイオマーカーとして使用できる。
【0065】
従って、幾つかの実施態様において、SPARC mRNA又はタンパク質バイオマーカーは、患者のキナゾリノン化合物によって、治療の有効性を予測するために用いることができる。一実施態様において、mRNA又はタンパク質のレベルは、潜在的患者から得られる生体試料において測定される。その後、キナゾリノン化合物は、直接患者に投与される。特定の時点(例えば、24時間)の後、別の試料を得て、SPARC mRNA又はタンパク質バイオマーカーのレベルを、例えばRT-PCR系の方法を用いて該化合物の投与前のレベルと比較する。投与後の増加したSPARC発現レベルは、患者の治療の有効性の可能性を示す。
【0066】
あるいは、SPARCは、患者からの癌細胞の試料を採取し、これらをキナゾリノン化合物の存在又は非存在下で培養し、かつSPARC発現の増加について該細胞を試験することにより、キナゾリノン化合物を用いた治療の成功を予測するインビトロ分析のためのバイオマーカーとして用いることもできる。その後、細胞系分析においてSPARCの増加した発現を示す細胞試料を有する患者を、キナゾリノン化合物により治療することができる。
【0067】
(5.3.2 バイオマーカーとしてのSPARC mRNA又はタンパク質発現を用いる患者治療の進行のモニタリング)
NHL患者の治療有効性の可能性の第一の予測に加えて、キナゾリノン化合物を用いる癌治療の進行を、バイオマーカーとしてのSPARCの発現を用いてモニターすることができる。従って、幾つかの実施態様において、患者のキナゾリノン化合物による治療の有効性を評価又はモニタリングする方法を提供する。試料を患者から得て、SPARC mRNA又はタンパク質レベルを測定し、それが治療の開始前のレベルと比較して増加又は減少したレベルで存在するかどうかを決定する。
【0068】
NHL患者は、例えば、リンパ節生検、骨髄生検又は循環腫瘍からなど、任意の所望の手段により細胞試料を提示することができる。試料は、例えば、毎日、週1回、月2回、月1回、2ヵ月毎に1回、年4回、又は年1回、必要に応じて採取し、治療の有効性を追跡することができる。一実施態様において、投与後のSPARC発現の増加は、治療プロトコルが有効なことを示す。別の実施態様において、キナゾリノン化合物の投与後のSPARC発現の増加の欠如は、治療が特定の患者に効果的でないことを示し、かつ他の治療方法を追跡することを必要とする可能性がある。SPARC mRNA又はタンパク質レベルを追跡することによって、治療有効性を長期に渡ってモニターすることができる。
【0069】
また、mRNA又はタンパク質系バイオマーカーは、個々の患者の治療有効性を追跡し、かつ調整するために用いることができる。mRNA又はタンパク質系バイオマーカーは、患者の治療の調整をするために必要な情報を集めるために用いることができ、必要に応じて薬剤の投与量を増減することができる。例えば、キナゾリノン化合物を摂取する患者を、投与量が有効かどうか又はより積極的な治療計画が必要かどうかを見るために、SPARC mRNA又はタンパク質系バイオマーカーを用いて試験することができる。
【0070】
(5.3.3 予測バイオマーカーとしてのサイクリンD1及びp21の使用)
様々な癌細胞種のサイクリンD1及びp21遺伝子発現パターンの相違の発見は、患者からの生体試料を試験し、かつサイクリンD1及びp21 mRNA発現の基準レベルを比較することによって、キナゾリノン化合物を用いる成功治療の可能性の予測を可能にする。従って、mRNAは、キナゾリノン化合物の投与によって、癌治療への感受性を予測するバイオマーカーとして用いることができる。特に、NHL(例えば、MCL)などの、p21及びサイクリンD1のmRNAレベルは、潜在的キナゾリノン化合物が特定の型の癌を治療することに成功する可能性があるかどうか決定するために用いることができる。従って、一実施態様において、高レベルのサイクリンD1及び低レベルのp21は、キナゾリノン化合物に対して増加した感受性の可能性を予測する。
【0071】
幾つかの実施態様において、遺伝子発現のこの違いは、単に、閾値蛍光又は「dCT」に到達するPCRサイクル時間の違いとして判断される。例えば、p21のCT引くサイクリンD1のCTが0を超える場合、細胞種がキナゾリノン化合物を用いた治療に首尾よく反応する可能性がより高い。幾つかの実施態様において、dCTは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10以上より大きい。
【0072】
別の実施態様において、0未満であるp21引くサイクリンD1のdCTは、キナゾリノン化合物が患者の治療にあまり効果的でないだろうと予測できる。
【0073】
別の実施態様において、NHL患者、特にマントル細胞リンパ腫(MCL)患者において、免疫調節化合物を用いた治療への感受性を予測する方法を提供する。該方法は、該患者から生体試料を得ること、該生体試料からmRNAを任意に単離又は精製すること、mRNA転写物を例えばRT-PCRによって増幅することを含み、サイクリン Dlのより大きいベースライン値(例えば、蛍光がサイクリンD1 mRNA発現の設定された閾値レベル(「CT」)を超えるサイクル数を決定することにより評価される)は、該癌が免疫調節化合物を用いた治療に感受性がある可能性が高いことを示す。
【0074】
更に、これらの遺伝子の発現は、キナゾリノン化合物を用いた治療を受けているNHL患者の治療有効性の進行を、コントロール試料のそれとともにモニターするためのバイオマーカーとして用いることができる。
【0075】
(5.3.4 バイオマーカーとしてp21、サイクリンD1及びSPARC mRNA又はタンパク質発現を用いる患者コンプライアンスのモニタリング)
さらに、p21、サイクリンD1及びSPARC mRNA又はタンパク質バイオマーカーを、ヒトの研究試験(human research trials)における品質管理を追跡若しくは行うため、又は患者が特定の薬剤治療を受けていることを確認するための手段を提供することによって、投薬計画に対する患者コンプライアンスをモニターするために用いることができる。これらのバイオマーカーは、例えば、患者治療、臨床試験及び細胞系調査の管理に関連して使用することができる。
【0076】
一実施態様において、p21、サイクリンD1及びSPARC mRNA又はタンパク質系バイオマーカーは、個々の治療計画の間又は臨床試験の間に、患者コンプライアンスを追跡するために用いることができる。従って、幾つかの実施態様において、薬剤治療プロトコルを用いた患者コンプライアンスを評価する方法を提供する。生体試料を患者から得て、p21、サイクリンD1又はSPARC mRNA又はタンパク質の少なくとも1つのレベルを測定し、コントロール未処置試料のものと比較する。未処置コントロール試料のものと比較した、当該mRNA又はタンパク質バイオマーカーの変化した発現レベルは、当該プロトコルを用いたコンプライアンスを示す。
【0077】
例えば、SPARC mRNA又はタンパク質の発現を、臨床試験の間、該試験に含まれる患者が指示通り薬剤を摂取することを保障するために、設定された間隔で追跡することができる。また、個々の患者の治療を、当該手順を用いて追跡することもできる。例えば、p21、サイクリンD1、又はSPARC mRNA又はタンパク質の少なくとも1つが測定されるときに、未処置コントロールのものと比較したバイオマーカーの変化レベルは、薬剤治療プロトコルを用いた少なくとも部分的な患者コンプライアンスを示す。ポジティブコントロールのものと同程度の量である当該mRNA又はタンパク質バイオマーカーの変化レベルは、治療プロトコルを用いた完全なコンプライアンスの可能性を示す。
【0078】
(5.4 キナゾリノン化合物)
キナゾリノン化合物は、特定の癌を含む数種類のヒト疾患を治療するために役立ち得る化合物群である。本明細書中に提供されるもように、これらの化合物は、NHLの治療に効果的であり得る。幾つかの実施態様において、キナゾリノン化合物は、細胞試料又は患者に投与することができ、本明細書中に記載されているように、治療の有効性はmRNA又はタンパク質バイオマーカーを用いて追跡することができる。キナゾリノン化合物は、米国特許出願番号第11/904,551号及び米国仮出願番号第60/995,676号に開示されるものを含む。両文献は2007年9月26日に出願されており、それらの全体において本明細書中に引用により取り込まれている。
【0079】
一実施態様において、本明細書中に提供されるものは、式(I)の化合物、及びその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び立体異性体である:
【化1】

式中、R1は:水素;ハロ;-(CH2)nOH;1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ;又は-(CH2)nNHRaであり、Raは:
水素;
1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;
-(CH2)n-(6〜10員環アリール);
-C(O)-(CH2)n-(6〜10員環アリール)又は-C(O)-(CH2)n-(6〜10員環ヘテロアリール)、ここで該アリール又はヘテロアリールは1以上のハロ;-SCF3;それ自身1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;又はそれ自身1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ;で任意に置換される;
-C(O)-(C1-C8)アルキル、ここで該アルキルは1以上のハロで任意に置換される;
-C(O)-(CH2)n-(C3-C10-シクロアルキル);
-C(O)-(CH2)n-NRbRc、ここでRb及びRcはそれぞれ独立に:
水素;
1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;
1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ;
又は1以上のハロ;それ自身1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;又はそれ自身1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ;で任意に置換された6〜10員環アリールである;
-C(O)-(CH2)n-O-(C1-C6)アルキル;又は
-C(O)-(CH2)n-O-(CH2)n-(6〜10員環アリール)であり;
R2は:水素;-(CH2)nOH;フェニル;-O-(C1-C6)アルキル;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;
R3は:水素;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;及び
nは、0、1、又は2である。
【0080】
一実施態様において、本明細書中に提供されるものは、式(II)の化合物、及びその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び立体異性体である:
【化2】

式中:
R4は:水素;ハロ;-(CH2)nOH;1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシであり;
R5は:水素;-(CH2)nOH;フェニル;-O-(C1-C6)アルキル;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;
R6は:水素;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;及び
nは、0、1、又は2である。
【0081】
一実施態様において、R4は、水素である。別の実施態様において、R4は、ハロである。別の実施態様において、R4は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、R4は、-(CH2)nOH又はヒドロキシルである。別の実施態様において、R4は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシである。
【0082】
一実施態様において、R5は、水素である。別の実施態様において、R5は、-(CH2)nOH又はヒドロキシルである。別の実施態様において、R5は、フェニルである。別の実施態様において、R5は、1以上のハロで任意に置換された-O-(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、R5は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。
【0083】
一実施態様において、R6は、水素である。別の実施態様において、R6は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。
【0084】
一実施態様において、nは、0である。別の実施態様において、nは1である。別の実施態様において、nは2である。
【0085】
本明細書中に提供されている化合物は、上記のR4、R5、R6及びnの組合せのいずれかを包含する。
【0086】
一つの特定の実施態様において、R4は、メチルである。別の実施態様において、R4は、メトキシである。別の実施態様において、R4は、-CF3である。別の実施態様において、R4は、F又はClである。
【0087】
別の特定の実施態様において、R5は、メチルである。別の実施態様において、R5は、-CF3である。
【0088】
具体例は、以下を含むが、これらに限定されるものではない:
【化3】

【0089】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、式(III)の化合物、及びその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び立体異性体である:
【化4】

式中、Rdは:
水素;
1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;
-C(O)-(C1-C8)アルキル、ここで該アルキルは1以上のハロで任意に置換される;
-C(O)-(CH2)n-(C3-C10-シクロアルキル);
-C(O)-(CH2)n-NReRf、ここでRe及びRfはそれぞれ独立に:
水素;
1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;又は
1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシである;又は
-C(O)-(CH2)n-O-(C1-C6)アルキルであり;
R7は:水素;-(CH2)nOH;フェニル;-O-(C1-C6)アルキル;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;
R8は:水素;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;及び
nは、0、1又は2である。
【0090】
一実施態様において、Rdは、水素である。別の実施態様において、Rdは、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、Rdは、-C(O)-(C1-C8)アルキルである。別の実施態様において、Rdは、-C(O)-(CH2)n-(C3-C10-シクロアルキル)である。別の実施態様において、Rdは、-C(O)-(CH2)n-NReRfであり、ここでRe及びRfは本明細書中に上記を記載したものである。別の実施態様において、Rdは、-C(O)-(CH2)n-O-(CH2)n-(C1-C6)アルキルである。
【0091】
一実施態様において、R7は、水素である。別の実施態様において、R7は、-(CH2)nOH又はヒドロキシルである。別の実施態様において、R7は、フェニルである。別の実施態様において、R7は、1以上のハロで任意に置換された-O-(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、R7は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。
【0092】
一実施態様において、R8は、水素である。別の実施態様において、R8は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。
【0093】
一実施態様において、nは、0である。別の実施態様において、nは、1である。別の実施態様において、nは、2である。
【0094】
本明細書中に提供される化合物は、上記のRd、R7、R8及びnの組合せのいずれかを包含する。
【0095】
一つの特定の実施態様において、R7は、メチルである。別の実施態様において、Rdは、-C(O)-(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、Rdは、NH2である。別の実施態様において、Rdは、-C(O)-CH2-O-(C1-C6)アルキルである。
【0096】
具体例を挙げると、以下を含むが、これらに限定されない:
【化5】

【0097】
別の実施態様において、他の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、式(IV)の化合物、及びその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び立体異性体である:
【化6】

式中、Rgは:
-(CH2)n-(6〜10員環アリール);
-C(O)-(CH2)n-(6〜10員環アリール)又は-C(O)-(CH2)n-(6〜10員環ヘテロアリール)、ここで該アリール又はヘテロアリールは1以上のハロ;-SCF3;それ自身1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;又はそれ自身1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ;で任意に置換される;
-C(O)-(CH2)n-NHRh、ここでRhは:
1以上のハロ;それ自身1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;又はそれ自身1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ;で任意に置換された6〜10員環アリールである;又は
-C(O)-(CH2)n-O-(CH2)n-(6〜10員環アリール)であり;
R9は:水素;-(CH2)nOH;フェニル;-O-(C1-C6)アルキル;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;
R10は:水素;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;及び
nは、0、1又は2である。
【0098】
一実施態様において、Rgは、-(CH2)n-(6〜10員環アリール)である。別の実施態様において、Rgは、-C(O)-(CH2)n-(6〜10員環アリール)又は-C(O)-(CH2)n-(6〜10員環ヘテロアリール)であり、ここで該アリール又はヘテロアリールは上記の通りに任意に置換される。別の実施態様において、Rgは、-C(O)-(CH2)n-NHRhであり、ここでRhは上記の通りに任意に置換される6〜10員環アリールである。別の実施態様において、Rgは、-C(O)-(CH2)n-O-(CH2)n-(6〜10員環アリール)である。
【0099】
一実施態様において、R9は、水素である。別の実施態様において、R9は、-(CH2)nOH又はヒドロキシルである。別の実施態様において、R9は、フェニルである。別の実施態様において、R9は、1以上のハロで任意に置換された-O-(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、R9は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。
【0100】
一実施態様において、R10は、水素である。別の実施態様において、R10は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。
【0101】
一実施態様において、nは、0である。別の実施態様において、nは、1である。別の実施態様において、nは、2である。
【0102】
本明細書中に提供される化合物は、上記のRg、R9、R10及びnの組合せのいずれかを包含する。
【0103】
一つの特定の実施態様において、R9は、メチルである。別の実施態様において、Rgは、-C(O)-フェニル又は-C(O)-CH2-フェニルであり、ここで該フェニルは、メチル、-CF3及び/又はハロによって任意に置換される。別の実施態様において、Rgは、-C(O)-NH-フェニルであり、ここで該フェニルは、メチル、-CF3及び/又はハロによって任意に置換される。
【0104】
特定の化合物は、以下を含むが、これらに限定されない:
【化7】

【0105】
別の実施態様において、医薬組成物及び方法に用いられ本明細書中に提供される化合物は、式(A)及びその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び立体異性体を有する:
【化8】

式中、R1は、水素であり;
R2、R3及びR4の各々は、それぞれ:水素;ハロ;-(CH2)nOH;1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ;
又は-(CH2)nNHRaであり、ここでRaは;
水素;
1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;
-(CH2)n-(6〜10員環アリール);
-C(O)-(CH2)n-(6〜10員環アリール)又は-C(O)-(CH2)n-(6〜10員環ヘテロアリール)、ここで該アリール又はヘテロアリールは1以上のハロ;-SCF3;アルキルそれ自身1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;又はアルコキシそれ自身1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ;で任意に置換される;
-C(O)-(C1-C8)アルキル、ここで該アルキルは1以上のハロで任意に置換される;
-C(O)-(CH2)n-(C3-C10-シクロアルキル);
-C(O)-(CH2)n-NRbRe、ここでRb及びRcはそれぞれ独立に:
水素;
1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;
1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ;又は
1以上のハロ;それ自身1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;又はそれ自身1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ;で任意に置換された6〜10員環アリールである;
-C(O)-(CH2)n-O-(C1-C6)アルキル;又は
-C(O)-(CH2)n-O-(CH2)n-(6〜10員環アリール)であり;又は
R1-R4のうちの2つが一緒に、1以上のハロ;1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;及び1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ;で任意に置換された5又は6員環を形成することができ;
R5は:水素;-(CH2)nOH;フェニル;-O-(C1-C6)アルキル;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;
R6は:水素;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;及び
nは、0、1又は2である。
【0106】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、式(B)の化合物、及びその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び立体異性体である:
【化9】

式中、R7は:水素;ハロ;-(CH2)nOH;1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ;又は-(CH2)nNHRdであり、ここでRdは:
水素、
1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;
-(CH2)n-(6〜10員環アリール);
-C(O)-(CH2)n-(6〜10員環アリール)又は-C(O)-(CH2)n-(6〜10員環ヘテロアリール)、ここで該アリール又はヘテロアリールは1以上のハロ;-SCF3;それ自身1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;又はそれ自身1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ;で任意に置換される;
-C(O)-(C1-C8)アルキル、ここで該アルキルは1以上のハロで任意に置換される;
-C(O)-(CH2)n-(C3-C10-シクロアルキル);
-C(O)-(CH2)n-NReRf、ここでRe及びRfはそれぞれ独立に:
水素;
1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;
1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ;又は
1以上のハロ;それ自身1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;又はそれ自身1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ;で任意に置換された6〜10員環アリールである;
-C(O)-(CH2)n-O-(C1-C6)アルキル;又は
-C(O)-(CH2)n-O-(CH2)n-(6〜10員環アリール)であり;
R8は:水素;-(CH2)nOH;フェニル;-O-(C1-C6)アルキル;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;
R9は:水素;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;及び
nは、0、1又は2である。
【0107】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、式(C)の化合物、及びその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び立体異性体である:
【化10】

式中、R10は:水素;ハロ;-(CH2)nOH;1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシであり;
R11は:水素;-(CH2)nOH;フェニル;-O-(C1-C6)アルキル;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;
R12は:水素;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;及び
nは、0、1又は2である。
【0108】
一実施態様において、R10は、水素である。別の実施態様において、R10は、ハロである。別の実施態様において、R10は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、R10は、-(CH2)nOH又はヒドロキシルである。別の実施態様において、R10は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシである。
【0109】
一実施態様において、R11は、水素である。別の実施態様において、R11は、-(CH2)nOH又はヒドロキシルである。別の実施態様において、R11は、フェニルである。別の実施態様において、R11は、1以上のハロで任意に置換された-O-(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、R11は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。
【0110】
一実施態様において、R12は、水素である。別の実施態様において、R12は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。
【0111】
一実施態様において、nは、0である。別の実施態様において、nは、1である。別の実施態様において、nは、2である。
【0112】
本明細書中に提供されている化合物は、上記のR10、R11、R12及びnの組合せのいずれかを包含する。
【0113】
一つの特定の実施態様において、R10は、ハロである。別の実施態様において、R10は、ヒドロキシルである。別の実施態様において、R10は、メチルである。
【0114】
別の特定の実施態様において、R11は、水素である。別の実施態様において、R11は、メチルである。
【0115】
別の特定の実施態様において、R12は、水素である。別の実施態様において、R12は、メチルである。
【0116】
特定の化合物は、以下を含むが、これらに限定されない:
【化11】

【0117】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、式(D)の化合物、及びその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び立体異性体である:
【化12】

式中、Rgは:
水素;
1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;
-(CH2)n-(6〜10員環アリール);
-C(O)-(CH2)n-(6〜10員環アリール)又は-C(O)-(CH2)n-(6〜10員環ヘテロアリール)、ここで該アリール又はヘテロアリールは1以上のハロ;-SCF3;それ自身1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;又はそれ自身1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ;で任意に置換される;
-C(O)-(C1-C8)アルキル、ここで該アルキルは1以上のハロで任意に置換される;
-C(O)-(CH2)n-(C3-C10-シクロアルキル);
-C(O)-(CH2)nNRhRi、ここでRh及びRiはそれぞれ独立に:
水素;
1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;
1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ;又は
1以上のハロ;それ自身1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;又はそれ自身1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ;で任意に置換された6〜10員環アリールである;
-C(O)-(CH2)n-O-(C1-C6)アルキル;又は
-C(O)-(CH2)n-O-(CH2)n-(6〜10員環アリール)であり;
R13は:水素;-(CH2)nOH;フェニル;-O-(C1-C6)アルキル;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;
R14は:水素;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;及び
nは、0、1又は2である。
【0118】
一実施態様において、Rgは、水素である。別の実施態様において、Rgは、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、Rgは、-(CH2)n-(6〜10員環アリール)である。別の実施態様において、Rgは、-C(O)-(CH2)n-(6〜10員環アリール)又は-C(O)-(CH2)n-(6〜10員環ヘテロアリール)であり、ここで該アリール又はヘテロアリールは上記の通りに任意に置換される。別の実施態様において、Rgは、-C(O)-(C1-C8)アルキルであり、ここで該アルキルは1以上のハロで任意に置換される。別の実施態様において、Rgは、-C(O)-(CH2)n-(C3-C10-シクロアルキル)である。別の実施態様において、Rgは、-C(O)-(CH2)n-NRhRiであり、ここでRh及びRiは、上記の通りである。別の実施態様において、Rgは、-C(O)-(CH2)n-O-(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、Rgは、-C(O)-(CH2)n-O-(CH2)n-(6〜10員環アリール)である。
【0119】
一実施態様において、R13は、水素である。別の実施態様において、R13は、-(CH2)nOH又はヒドロキシルである。別の実施態様において、R13は、フェニルである。別の実施態様において、R13は、1以上のハロで任意に置換された-O-(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、R13は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。
【0120】
一実施態様において、R14は、水素である。別の実施態様において、R14は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。
【0121】
一実施態様において、nは、0である。別の実施態様において、nは、1である。別の実施態様において、nは、2である。
【0122】
本明細書中に提供される化合物は、上記のRg、R13、R14及びnの組合せのいずれかを包含する。
【0123】
一つの特定の実施態様において、Rgは水素であり、nは0又は1である。別の実施態様において、Rgは、-C(O)-(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、Rgは、任意に1以上のメチル、ハロ及び/又は(C1-C6)アルコキシにより置換された-C(O)-フェニルである。
【0124】
別の特定の実施態様において、R13は、メチルである。別の実施態様において、R14は、水素である。
【0125】
特定の化合物は、以下を含むが、これらに限定されない:
【化13】

【0126】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、式(E)の化合物、及びその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び立体異性体である:
【化14】

式中、R15は:水素;ハロ;-(CH2)nOH;1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ;又は-(CH2)nNHRjであり、ここでRjは:
水素;
1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;
-(CH2)n-(6〜10員環アリール);
-C(O)-(CH2)n-(6〜10員環アリール)又は-C(O)-(CH2)n-(6〜10員環ヘテロアリール)、ここで該アリール又はヘテロアリールは1以上のハロ;-SCF3;それ自身1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;又はそれ自身1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ;で任意に置換される;
-C(O)-(C1-C8)アルキル、ここで該アルキルは1以上のハロで任意に置換される;
-C(O)-(CH2)n-(C3-C10-シクロアルキル);
-C(O)-(CH2)n-NRkRl、ここでRk及びRlはそれぞれ独立に:
水素;
1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;
1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ;又は
1以上のハロ;それ自身1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;又はそれ自身1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ;で任意に置換された6〜10員環アリールである;
-C(O)-(CH2)n-O-(C1-C6)アルキル;又は
-C(O)-(CH2)n-O-(CH2)n-(6〜10員環アリール)であり;
R16は:水素;-(CH2)nOH;フェニル;-O-(C1-C6)アルキル;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;
R17は:水素;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;及び
nは、0、1又は2である。
【0127】
一実施態様において、R15は、水素である。別の実施態様において、R15は、ハロである。別の実施態様において、R15は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、R15は、-(CH2)nOH又はヒドロキシルである。別の実施態様において、R15は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシである。
【0128】
一実施態様において、R15は、-(CH2)nNHRjである。一実施態様において、R15は、-(CH2)nNHRjであり、Rjは水素である。別の実施態様において、Rjは、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、Rjは、-(CH2)n-(6〜10員環アリール) である。別の実施態様において、Rjは、-C(O)-(CH2)n-(6〜10員環アリール)又は-C(O)-(CH2)n-(6〜10員環ヘテロアリール)であり、ここで該アリール又はヘテロアリールは上記の通りに任意に置換される。別の実施態様において、Rjは、-C(O)-(C1-C8)アルキルであり、ここで該アルキルは1以上のハロで任意に置換される。別の実施態様において、Rjは、-C(O)-(CH2)n-(C3-C10-シクロアルキル)である。別の実施態様において、Rjは、-C(O)-(CH2)n-NRkRlであり、ここでRk及びRlは上記の通りである。別の実施態様において、Rjは、-C(O)-(CH2)n-O-(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、Rjは、-C(O)-(CH2)n-O-(CH2)n-(6〜10員環アリール)である。
【0129】
一実施態様において、R16は、水素である。別の実施態様において、R16は、-(CH2)nOH又はヒドロキシルである。別の実施態様において、R16は、フェニルである。別の実施態様において、R16は、1以上のハロで任意に置換された-O-(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、R16は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。
【0130】
一実施態様において、R17は、水素である。別の実施態様において、R17は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。
【0131】
一実施態様において、nは、0である。別の実施態様において、nは、1である。別の実施態様において、nは、2である。
【0132】
本明細書中に提供される化合物は、上記のR15、R16、R17及びnの組合せのいずれかを包含する。
【0133】
一つの特定の実施態様において、R15は、メチルである。別の実施態様において、R15は、ハロである。別の実施態様において、R15は、-CF3である。別の実施態様において、R15は、-(CH2)nNHRjである。
【0134】
一つの特定の実施態様において、R15は-(CH2)nNHRjであり、Rjは水素であり、nは0又は1である。別の実施態様において、R15は-(CH2)nNHRjであり、Rjは-C(O)-(O)-(C1-C6)アルキルである。
【0135】
一つの特定の実施態様において、R16は、水素である。別の実施態様において、R16は、メチルである。別の特定の実施態様において、R17は、水素又はメチルである。
【0136】
特定の化合物は、以下を含むが、これらに限定されない:
【化15】

【0137】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、式(F)の化合物、及びその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び立体異性体である:
【化16】

式中、R18は:水素;ハロ;-(CH2)nOH;1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ;又は-(CH2)nNHRmであり、ここでRmは:
水素;
1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;
-(CH2)n-(6〜10員環アリール);
-C(O)-(CH2)n-(6〜10員環アリール)又は-C(O)-(CH2)n-(6〜10員環ヘテロアリール)、ここで該アリール又はヘテロアリールは1以上のハロ;-SCF3;それ自身1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;又はそれ自身1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ;で任意に置換される;
-C(O)-(C1-C8)アルキル、ここで該アルキルは1以上のハロで任意に置換される;
-C(O)-(CH2)n-(C3-C10-シクロアルキル);
-C(O)-(CH2)n-NRnRo、ここでRn及びRoはそれぞれ独立に:
水素;
1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;
1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ;又は
1以上のハロ;それ自身1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;又はそれ自身1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシで任意に置換された6〜10員環アリールである;
-C(O)-(CH2)n-O-(C1-C6)アルキル;又は
-C(O)-(CH2)n-O-(CH2)n-(6〜10員環アリール)であり;
R19は:水素;-(CH2)nOH;フェニル;-O-(C1-C6)アルキル;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;
R20は:水素;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;及び
nは、0、1又は2である。
【0138】
一実施態様において、R18は、水素である。別の実施態様において、R18は、ハロである。別の実施態様において、R18は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、R18は、-(CH2)nOH又はヒドロキシルである。別の実施態様において、R18は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシである。
【0139】
一実施態様において、R18は、-(CH2)nNHRmである。一実施態様において、R28は-(CH2)nNHRsであり、Rsは水素である。別の実施態様において、Rmは、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、Rmは、-(CH2)n-(6〜10員環アリール)である。別の実施態様において、Rmは、-C(O)-(CH2)n-(6〜10員環アリール)又は-C(O)-(CH2)n-(6〜10員環ヘテロアリール)であり、ここで該アリール又はヘテロアリールは上記の通りに任意に置換される。別の実施態様において、Rsは-C(O)-(C1-C8)アルキルであり、ここで該アルキルは1以上のハロで任意に置換される。別の実施態様において、Rmは、-C(O)-(CH2)n-(C3-C10-シクロアルキル)である。別の実施態様において、Rmは-C(O)-(CH2)n-NRnRoであり、Rn及びRoは上記の通りである。別の実施態様において、Rmは、-C(O)-(CH2)-O-(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、Rmは、-C(O)-(CH2)n-O-(CH2)n-(6〜10員環アリール)である。
【0140】
一実施態様において、R19は、水素である。別の実施態様において、R19は、-(CH2)nOH又はヒドロキシルである。別の実施態様において、R19は、フェニルである。別の実施態様において、R19は、1以上のハロで任意に置換された-O-(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、R19は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。
【0141】
一実施態様において、R20は、水素である。別の実施態様において、R20は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。
【0142】
一実施態様において、nは、0である。別の実施態様において、nは、1である。別の実施態様において、nは、2である。
【0143】
本明細書中に提供される化合物は、上記のR18、R19、R20及びnの組合せのいずれかを包含する。
【0144】
一つの特定の実施態様において、R18は、メチルである。別の実施態様において、R18は、ハロである。別の実施態様において、R18は、ヒドロキシルである。別の実施態様において、R18は、-CF3である。
【0145】
一つの特定の実施態様において、R19は、水素である。別の実施態様において、R19は、メチルである。別の特定の実施態様において、R20は、水素である。
【0146】
特定の化合物は、以下を含むが、これらに限定されない:
【化17】

【0147】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、式(G)の化合物、及びその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、及び立体異性体である:
【化18】

式中、R21は、水素であり;
R22、R23及びR24は、それぞれ独立に:ハロ;-(CH2)nOH;1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシであり;又は
R21〜R24のうちの2つが一緒に、1以上のハロ;1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;及び1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ;で任意に置換された5〜6員環を形成し;
R25は:水素;-(CH2)nOH;フェニル;-O-(C1-C6)アルキル;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;
R26は:水素;又は1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルであり;及び
nは、0、1又は2である。
【0148】
一実施態様において、R22〜R24のうちの2つは、ハロである。別の実施態様において、R22〜R24のうちの2つは、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、R22〜R24のうちの2つは、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシである。
【0149】
別の実施態様において、R22〜R24のうちの1つは、ハロであり、R22〜R24のうちの別の1つは、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、R22〜R24のうちの1つはハロであり、R22〜R24のうちの別の一つは、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシである。別の実施態様において、R22〜R24のうちの1つは、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシであり、R22〜R24のうちの別の1つは、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。
【0150】
別の実施態様において、R22〜R24のうちの2つは一緒に5〜6員環を形成する。一つの特定の実施態様において、R22及びR23は一緒に5〜6員環を形成する。一つの特定の実施態様において、R22及びR23は一緒にフェニル環を形成する。別の実施態様において、R22及びR23により形成された環は、1以上のハロ;1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキル;及び1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルコキシ;で任意に置換される。
【0151】
一実施態様において、R25は、水素である。別の実施態様において、R25は、-(CH2)nOH又はヒドロキシルである。別の実施態様において、R25は、フェニルである。別の実施態様において、R25は、1以上のハロで任意に置換された-O-(C1-C6)アルキルである。別の実施態様において、R25は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。
【0152】
一実施態様において、R26は、水素である。別の実施態様において、R26は、1以上のハロで任意に置換された(C1-C6)アルキルである。
【0153】
一実施態様において、nは、0である。別の実施態様において、nは、1である。別の実施態様において、nは、2である。
【0154】
本明細書中に提供される化合物は、上記のR21、R22、R23、R24、R25、R26及びnの組合せのいずれかを包含する。
【0155】
特定の化合物は、以下を含むが、これらに限定されない:
【化19】

【0156】
本明細書中で使用し、特に明記しない限り、用語「医薬として許容し得る塩」は、医薬として許容し得る無機酸及び有機酸などの無毒の酸から調製された塩を意味する。適切な酸は、限定されないが酢酸、アルギン酸、アントラニル酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エテンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、フロ酸、グルコン酸、グルタミン酸、グルコレニック酸(glucorenic)、ガラクツロン酸、グリシド酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、フェニル酢酸、プロピオン酸、リン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、硫酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸などの無機酸及び有機酸を含む。一実施態様において、適切なものは、塩酸、臭化水素酸、リン酸及び硫酸である。
【0157】
本明細書中で用いられる「溶媒和物」という用語は、特に他に明記しない限り、非共有分子間力によって結合した化学量論的又は非化学量論的量の溶媒を更に含む化合物を意味する。溶媒が水である場合、その溶媒和物は水和物である。
【0158】
本明細書中で用いられる「プロドラッグ」という用語は、特に他に明記しない限り、生物学的条件下(インビトロ又はインビボ)で加水分解、酸化、又は反応し、化合物を提供することができる化合物の誘導体を意味する。プロドラッグの例を挙げると、生加水分解性部分(例えば、生加水分解性アミド、生加水分解性エステル、生加水分解性カルバメート、生加水分解性カーボネート、生加水分解性ウレイド、及び生加水分解性ホスフェート類似体)を含む化合物があるが、これらに限定されない。プロドラッグの他の例は、-NO、-NO2、-ONO、又は-ONO2部分を含む化合物がある。プロドラッグは、概して、周知の方法、例えば、「Burgerの薬化学及び薬開発(Burger 's Medicinal Chemistry and Drug Discovery)」, 172-178, 949-982(Manfred E. Wolff編集, 第5版 1995)、及び「プロドラッグの設計(Design of Prodrugs)」(H. Bundgaard編集, Elselvier, New York 1985)に記載されている方法を用いて調製することができる。
【0159】
本明細書中で用いられる用語「生加水分解性カルバメート」、「生加水分解性カーボネート」、「生加水分解性ウレイド」及び「生加水分解性ホスフェート」は、特に他に明記しない限り、それぞれ、下記のいずれかの化合物のカルバメート、カーボネート、ウレイド及びホスフェートを意味する:1) 化合物の生物活性に干渉せず、インビボでその化合物の有利な特性、例えば、取り込み、作用期間、又は作用開始を与えることができる化合物;又は2) 生物学的に不活性であるが、インビボで生物学的に活性な化合物に変換される化合物である。生物加水分解性カルバメートの例をあげると、低級アルキルアミン、置換エチレンジアミン、アミノ酸、ヒドロキシアルキルアミン、複素環アミン及び複素芳香族アミン、及びポリエーテルアミン部位を含むカルバメートがあるが、これらに限定されない。
【0160】
本明細書中で用いられる「立体異性体」という用語は、特に他に明記しない限り、本明細書中に提供される全ての鏡像異性的/立体異性的に純粋な、及び鏡像異性的/立体異性的に濃縮された化合物を含む。
【0161】
本明細書中で用いられる「立体異性的に純粋」という用語は、特に他に明記しない限り、化合物の1つの立体異性体を含み、その化合物の他の立体異性体を実質的に含まない組成物を意味する。例えば、1つのキラル中心を有する化合物の立体異性的に純粋な組成物は、該化合物の反対の鏡像異性体を実質的に含まない。2つのキラル中心を有する化合物の立体異性的に純粋な組成物は、該化合物のその他のジアステレオマーを実質的に含まない。典型的な立体異性的に純粋な化合物は、該化合物の一方の立体異性体が約80重量%を超え且つ該化合物の他方の立体異性体が約20重量%未満であり、より好ましくは、該化合物の一方の立体異性体が約90重量%を超え且つ該化合物の他方の立体異性体が約10重量%未満であり、更により好ましくは、該化合物の一方の立体異性体が約95重量%を越え且つ該化合物の他方の立体異性体が約5重量%未満であり、最も好ましくは、該化合物の一方の立体異性体が約97重量%を超え且つ該化合物の他方の立体異性体が約3重量%未満である。
【0162】
本明細書中で使用され、かつ特に明記しない限り、「立体異性的に濃縮」という用語は、化合物の1つの立体異性体が約55重量%を超える、化合物の1つの立体異性体が約60重量%を超える、約70重量%を超える、又は化合物の1つの立体異性体が約80重量%を超える組成物を意味する。
【0163】
本明細書中で使用され、かつ特に明記しない限り、「鏡像異性的に純粋」という用語は、1つのキラル中心を有する化合物の立体異性的に純粋な組成物を意味する。同様に、「立体異性的に濃縮」という用語は、1つのキラル中心を有する化合物の立体異性的に濃縮された組成物を意味する。
【0164】
本本明細書に用いられ、特に指定する場合を除いて、「アルキル」という用語は、本明細書に特定されている数の炭素原子を有する飽和直鎖状又は分枝状炭化水素を意味する。代表的な飽和直鎖状アルキルとしては、-メチル、-エチル、-n-プロピル、-n-ブチル、-n-ペンチル及び-n-ヘキシルが挙げられ、飽和分枝状アルキルとしては、-イソプロピル、-sec-ブチル、-イソブチル、-tert-ブチル、-イソペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2-メチルヘキシル、3-メチルヘキシル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル及び2,3-ジメチルブチルなどが挙げられる。「アルキル」という用語は、シクロアルキルをも包含する。
【0165】
本明細書に用いられ、特に指定する場合を除いて、「シクロアルキル」という用語は、炭素原子間の二重結合を交替又は共鳴させることなく、3個から15個の炭素原子を含むアルキル種を意味する。それは、1個から4個の環を含むことができる。非置換のシクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びアダマンチルが挙げられるが、それらに限定されない。シクロアルキルは、1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0166】
本明細書に用いられる「アリール」という用語は、5から14個の環原子を含む炭素環式芳香族環を意味する。炭素環式アリール基の環原子は、すべて炭素原子である。アリール環構造は、単環式、二環式又は三環式化合物並びに5,6,7,8-テトラヒドロナフチルなどのベンゾ縮合炭素環式成分などの1つ以上の環構造を有する化合物を含む。具体的には、アリール基は、単環式環又は二環式環である。代表的なアリール基としては、フェニル、アントラセニル、フルオレニル、インデニル、アズレニル、フェナントレニル及びナフチルが挙げられる。
【0167】
示された構造とその構造に与えられた名称との間に差がある場合は、示された構造により大きな重みが与えるべきであることに留意すべきである。加えて、構造又は構造の一部の立体化学が、例えば、太線又は点線で示されていない場合は、該構造又は該構造の一部は、そのすべての立体異性体を包含するものと解釈すべきである。
【0168】
(5.5 試料中のmRNA又はタンパク質レベルの検出方法)
SPARC、サイクリンD1、p21などのmRNA又はタンパク質バイオマーカーのレベルの相違を検出する任意の適切な方法を用いることができる。幾つかの実施態様において、検出されるバイオマーカーは、mRNA分子である。他の実施態様において、遺伝子又はタンパク質発現の測定方法は、cDNAハイブリダイゼーション、フローサイトメトリー、免疫蛍光、免疫ブロット、ELISA又はマイクロスポット抗体免疫蛍光アッセイ(microspotted-antibody immunofluorescence assays)、又は抗体系ディップスティックアッセイ、細胞数測定ビーズアレイ(cytometric bead arrays)、又は他の一般のmRNA又はタンパク質検出方法などの方法を含むことができる。
【0169】
(5.5.1 試料中のmRNAレベルを検出する方法)
mRNAレベルを検出又は定量化する幾つかの方法は公知技術である。典型的な方法は、ノーザンブロット、リボヌクレアーゼ保護アッセイ、及びPCR系方法などを含むが、これらに限定されない。バイオマーカーがmRNA分子である場合、mRNA配列、例えば、SPARC、サイクリンD1、p21 mRNA又はそれらの断片は、少なくとも部分的に相補的であるプローブを調製するために用いることができる。その後、該プローブを、PCR系方法、ノーザンブロッティング、及びディップスティックアッセイなどの任意の適切なアッセイを用いて、試料中のmRNA配列を検出するために用いることができる。
【0170】
他の実施態様において、生体試料中のキナゾリノン化合物の活性を試験するための核酸アッセイを準備することができる。アッセイは通常、固体支持体及び該支持体と接触している少なくとも1つの核酸を含み、該核酸は、患者において、キナゾリノン化合物による治療の間に発現を変更するmRNA、例えばSPARC、サイクリンD1又はp21 mRNAなどの少なくとも一部分と対応する。また、該アッセイは、試料中のmRNAの変更された発現を検出するための手段を有することもできる。
【0171】
該アッセイ方法は、要求されるmRNA情報の種類に応じて変えることができる。典型的な方法は、ノーザンブロット及びPCR系方法(例えば、qRT-PCR)を含むが、これらに限定されない。qRT-PCRなどの方法は、試料中のmRNAの量を正確に定量することもできる。
【0172】
任意の適切なアッセイプラットフォームを、試料中のmRNAの存在を決定するために用いることができる。例えば、アッセイは、ディップスティック、膜、チップ、ディスク、試験ストリップ、フィルター、マイクロスフェア、スライド、マルチウェルプレート又は光ファイバーの形態であり得る。アッセイシステムは、mRNAに対応する核酸が結合した固体支持体を有することができる。固体支持体は、例えば、プラスチック、シリコン、金属、樹脂、ガラス、膜、粒子、沈殿物、ゲル、ポリマー、シート、球体、多糖類、毛細管、フィルム、プレート又はスライドを含むことができる。アッセイ成分を調製し、mRNAを検出するためのキットとして一緒に包装することができる。
【0173】
核酸は、必要に応じて、標識化mRNAの集団を作成するように標識化することができる。一般に、試料は、周知技術である方法を用いて標識化することができる(例えば、DNAリガーゼ、末端トランスフェラーゼを用いて、又はRNA骨格を標識化することによって;例えば、Ausubelらの文献, 「分子生物学のショートプロトコル(Short Protocols in Molecular Biology)」, 第三版., Wiley & Sons 1995、及びSambrookらの文献, 「分子クローニング:研究所マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」, 第三版, 2001 Cold Spring Harbor, N.Y.を参照されたい。)。幾つかの実施態様において、試料は、蛍光標識を用いて標識化される。典型的な蛍光染料は、キサンテン色素、フルオレセイン色素、ローダミン色素、フルオレセインイソチオシアン酸塩(FITC)、6カルボキシフルオレセイン(FAM)、6カルボキシ-2',4',7',4,7-ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、6カルボキシ4',5'ジクロロ2',7'ジメトキシフルオレセイン(JOE又はJ)、N,N,N',N'テトラメチル6カルボキシローダミン(TAMRA又はT)、6カルボキシXローダミン(ROX又はR)、5カルボキシローダミン6G(R6G5又はG5)、6カルボキシローダミン6G(R6G6又はG6)及びローダミン110;シアニン色素、例えばCy3、Cy5及びCy7色素;Alexa色素、例えばAlexa-fluor-555;クマリン、ジエチルアミノクマリン、ウンベリフェロン;ベンズイミド色素、例えばHoechst 33258;フェナントリジン色素、例えばTexas Red;エチジウム色素;アクリジン色素;カルバゾール色素;フェノキサジン色素;ポルフィリン色素;ポリメチン色素、BODIPY色素、キノリン色素、ピレン、フルオレセインクロロトリアジニル、R110、エオシン、JOE、R6G、テトラメチルローダミン、リサミン、ROX、ナフトフルオレセインなどを含むが、これらに限定されない。
【0174】
幾つかの実施態様において、mRNA配列は、SPARC mRNA、サイクリンD1 mRNA、p21 mRNA又はそれらの断片からなる群から選択される、少なくとも1つのmRNAを含む。核酸は、固体支持体上の特定のアドレス可能な位置に存在することができる;それぞれは、細胞又は患者におけるキナゾリノン化合物の処置に応じて差別的に発現されるmRNA配列の少なくとも一部分に相当する。
【0175】
典型的mRNA分析方法は、次の工程を含むことができる:1) 面結合型対象プローブを得ること;2) 特異的結合を提供するのに十分な条件下で、該表面結合型対象プローブへのmRNA集団のハイブリダイゼーション;3) 該ハイブリダイゼーションにおいて結合されない核酸を除去するためのポスト-ハイブリダイゼーション洗浄;及び4) ハイブリダイズしたmRNAの検出である。これらの工程及びそれらの使用条件の各々において使用される試薬は、特定の用途に応じて変更することができる。
【0176】
ハイブリダイゼーションは、適切なハイブリダイゼーション条件下で実施されることができ、所望の厳格性において変更することができる。典型的な条件は、相補的結合メンバーの間、すなわち、表面結合型対象プローブと試料中の相補的mRNAとの間で、固体表面上にプローブ/標的複合体を生成するのに十分な条件である。特定の実施態様において、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件を使用することができる。
【0177】
通常、ハイブリダイゼーションは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で行われる。標準ハイブリダイゼーション技術(例えば、プローブに、試料中の標的mRNAの特異的結合を提供するのに十分な条件下)は、Kallioniemiらの文献, Science 258:818-821 (1992)及びWO 93/18186に記載されている。一般技術の幾つかの手引書が利用可能であり、例えば、Tijssen, 「核酸プローブを用いたハイブリダイゼーション(Hybridization with Nucleic Acid Probes)」, パートI及びII (Elsevier, Amsterdam 1993)がある。原位置ハイブリダイゼーションに適切な技術の説明について、Gallらの文献. Meth. Enzymol., 21:470-480 (1981);及びAngererらの文献「遺伝子工学:原理及び方法(Genetic Engineering: Principles and Methods)」(Setlow and Hollaender, Eds.) Vol 7, pgs 43-65 (Plenum Press, New York 1985)を参照されたい。温度、塩濃度、ポリヌクレオチド濃度、ハイブリダイゼーション時間、及び洗浄条件の厳格性などを含む適切な条件の選択は、試料の提供先、捕獲剤の同一性、予想される相補性の程度などを含む実験計画に依存し、当業者のルーチン的実験の問題として決定され得る。
【0178】
当業者は、別であるが相当するハイブリダイゼーション及び洗浄条件が、類似の厳格性の条件を提供するために利用できることを容易に認めるであろう。
【0179】
mRNAハイブリダイゼーション手順後に、通常、表面結合ポリヌクレオチドを、未結合核酸を除去するために洗浄する。洗浄は、任意の便利な洗浄プロトコルを用いて行うことができ、洗浄条件は通常、上記のようにストリンジェントである。その後、プローブに対する標的mRNAのハイブリダイゼーションを、標準的な技術を用いて検出する。
【0180】
(5.5.2 mRNAバイオマーカーを検出するPCR系方法)
また、PCR系方法などの他の方法を、SPARC、サイクリンD1又はp21バイオマーカーの発現を追跡するために用いることができる。PCR方法の例は、文献で見ることができる。PCRアッセイの例は、米国特許第6,927,024号で見ることができ、その全体において本明細書中に引用により取り込まれている。RT-PCR方法の例は、米国特許第7,122,799号で見ることができ、その全体において本明細書中に引用により取り込まれている。蛍光原位置PCRの方法は、米国特許第7,186,507号に記載されており、その全体において本明細書中に引用により取り込まれている。
【0181】
幾つかの実施態様において、リアルタイム逆転写-PCR(qRT-PCR)を、RNA標的の検出及び定量化のために用いることができる(Bustinらの文献, 2005, Clin. Sci, 109:365-379)。qRT-PCRによって得られた定量的結果は、通常、定性的データより有益である。従って、幾つかの実施態様において、qRT-PCR系アッセイは、細胞系アッセイの間にmRNAレベルを測定するために役立ち得る。qRT-PCR方法も、患者の療法をモニターするために役立つ。qRT-PCR系方法の例は、例えば、米国特許第7,101,663号で見ることができ、その全体において本明細書中に引用により取り込まれている。
【0182】
アガロースゲルによる規則的な逆転写酵素-PCR及び分析とは対照的に、リアルタイムPCRは定量的結果を与える。リアルタイムPCRの付加的な利点は、使用の比較的容易性及び便宜性である。Applied Biosystems 7500などのリアルタイムPCRのための機器は、TaqMan 配列検出化学などの試薬のように、商業的に入手可能である。例えば、TaqMan(登録商標)遺伝子発現アッセイを、製造業者の指示に従って使用することができる。これらのキットは、ヒト、マウス及びラットmRNA転写の迅速かつ信頼性の高い検出及び定量のための、予め体系化された遺伝子発現アッセイである。典型的なPCRプログラムは、例えば、2分間の50℃、10分間の95℃、15秒間の95℃の40サイクル、続いて、1分間の60℃である。
【0183】
特定のアンプリコン蓄積と関連する蛍光シグナルが閾値(CTと呼ばれる)を越えるサイクル数を決定するために、データを、例えば、比較CT相対的定量計算法(comparative CT relative quantification calculation method)を使用する7500 Real-Time PCR System Sequence Detectionソフトウェアvl.3を用いて分析することができる。この方法を使用して、アウトプットは、発現レベルのフォールド変化(fold-change)として表される。幾つかの実施態様において、閾値レベルは、ソフトウェアで自動的に測定されるように選択することができる。幾つかの実施態様において、閾値は、ベースラインを越えるが、増幅曲線の指数成長領域(exponential growth region)内にあるように十分に低く設定される。
【0184】
幾つかの実施態様において、サイクリンD1対p21発現の比は、上記のリアルタイムPCR方法を用いて分析することができる。この比率を測定する1つの方法は、比較CT相対的定量計算法を用いることによるものであり、それは当業者に公知である。この方法において、オリジナル試料中のcDNAの量の定量は、通常、cDNAの増幅がPCRサイクル数に関して指数関数的になる所で測定される。通常、これは曲線の上昇の始めである。従って、幾つかの実施態様において、測定は、蛍光(したがってcDNA)の増加が指数関数的になるサイクル数で生じる。これは、サイクル数対蛍光曲線の水平閾値線により示され、蛍光が閾値を越える点はCTと呼ばれる。
【0185】
例えば、p21及びサイクリンD1の相対的な発現を、測定できる。更に、幾つかの実施態様において、サイクリンD1とp21とのCTの相違(dCT)は、有効性の指標として使うことができる。一実施態様において、キナゾリノン化合物に反応する可能性のある癌細胞種を、0よりも大きいdCTを有することにより容易に予測することができる。一実施態様において、これらの癌細胞種は、マントル細胞リンパ腫細胞である。
【0186】
(5.5.3 ポリペプチド又はタンパク質バイオマーカーを検出する方法)
バイオマーカーがSPARC、サイクリンD1又はp21タンパク質などのタンパク質である場合、幾つかのタンパク質検出及び定量化方法を、バイオマーカーの存在を測定するために用いることができる。任意の適切なタンパク質定量化方法を用いることができる。幾つかの実施態様において、抗体系方法を用いる。用いることができる典型的な方法は、免疫ブロッティング(ウエスタンブロット)、酵素結合抗体免疫測定法(ELISA)、免疫組織化学、フローサイトメトリー、細胞数測定ビーズアレイ、及び質量分析などを含むが、これらに限定されない。一般に、直接ELISA、間接ELISA及びサンドイッチELISAを含む数種のELISAを使用する。
【0187】
(5.6 生体試料)
任意の適切な試料を、本明細書中に提供されるmRNA又はタンパク質バイオマーカーを評価するために用いることができる。幾つかの実施態様において、生体試料は、全血、部分的精製血液、PBMC、組織生検、RNA又はタンパク質抽出物、細胞抽出物、細胞可溶化物、細胞、細胞培養物、細胞株、組織、口腔組織、胃腸組織、器官、オルガネラ、生物流体、血液試料、尿試料、皮膚試料、又は臨床試験から複数の試料などである。ある実施態様において、試料は、リンパ節生検、骨髄生検又は末梢血腫瘍細胞の試料である。試料は粗試料であり得る、又は貯蔵、処理若しくは測定の前に様々な程度に精製することができる。
【0188】
mRNA又はタンパク質評価のための試料を、任意の所望の間隔で採取することができる。例えば、試料を、1時間ごと、1日につき2回、毎日、毎週、毎月、一ヵ月ごと、又は年1回などで採取することができる。試料を直ちに試験することができ、又は後の試験のために貯蔵することができる。
【0189】
試料を、試験前に精製することができる。幾つかの実施態様において、mRNA又はタンパク質を、試験前に、残りの細胞含有物から単離することができる。コントロール試料は、様々な提供源から採取することが可能である。幾つかの実施態様において、コントロール試料は、治療の前に患者から採取される。例えば、細胞系アッセイは、試験化合物で処理されなかったコントロール細胞培養物を利用することができる。
【0190】
(5.7 mRNA又はタンパク質バイオマーカーを用いる、有効なキナゾリノン化合物のスクリーニング)
幾つかの実施態様において、数種類のNHLを治療するための有効なキナゾリノン化合物のためのスクリーニングの方法を、本明細書中に提供される方法を用いて得ることができる。例えば、NHL細胞種を選択し、培養する。ベースラインのSPARC mRNA又はタンパク質を測定する。その後、細胞(又は細胞(複数))を、薬剤候補又は複数の薬剤候補と接触させる。遺伝子発現を発生させるインキュベーション時間の後に、SPARC又はそのmRNAのレベルを測定し、類似の未処置細胞のものと比較する。mRNA又はタンパク質レベルを、処置試料が増加したSPARC発現を示すかどうかを決定するために分析する。その後、増加したSPARC発現のパターンを示す薬剤候補を、候補化合物の活性を解明する更なる研究のために選択される。
【0191】
(5.8 mRNAバイオマーカーを検出するためのキット)
幾つかの実施態様において、SPARC、サイクリンD1及びp21 mRNAバイオマーカーを検出するためのキットを調製することができる。キットは、例えば、所定の疾患、化合物又は他のパラメータに対して対象のmRNAバイオマーカーと結合することができるオリゴヌクレオチドより成るプローブ又はプローブセットを含むことができる。また、洗浄溶液、ハイブリダイゼーションアッセイを行うための試薬、mRNAの単離又は精製手段、検出手段、並びにポジティブ及びネガティブコントロールも含むことができる。キットは、キットの成分を使用するための指示書も含むことができる。キットは、家庭内使用、臨床使用又は研究使用に合わせることができる。
【0192】
(5.9 ポリペプチド又はタンパク質バイオマーカーを検出するためのキット)
幾つかの実施態様において、SPARC、サイクリンD1及びp21タンパク質レベルを検出するためのキットを調製することができる。キットは、例えば、タンパク質を認識する抗体で被覆されたディップスティック、洗浄溶液、アッセイを行うための試薬、タンパク質の単離又は精製手段、検出手段、並びにポジティブ及びネガティブコントロールを含むことができる。キットは、キットの成分を使用するための指示書も含むことができる。キットは、家庭内の使用、臨床使用又は研究使用に合わせることができる。
【実施例】
【0193】
(6. 実施例)
下記の例は標準的な方法を用いて実施され、他に詳細に記載されている場合を除き、それらは当業者に周知かつルーチン的である。実施例は例示であり、本発明を制限するものではない。
【0194】
下記で詳述されるように、数種類のNHL細胞上のキナゾリノン化合物の投与の効果は、3H-チミジン取り込み、ミクロビーズ配列技術、及びリアルタイムPCRを用いて3日後に決定した。
【0195】
(6.1 特定のNHL細胞株におけるキナゾリノン化合物の抗増殖特性)
キナゾリノン化合物投与の効果が異なる癌細胞種間でどのように変化するかについてより理解するために、キナゾリノン化合物3-(2,5-ジメチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンを、処置3日後の幾つかのNHL細胞株において、その抗増殖性効果についてインビトロで試験した。
【0196】
NHL細胞増殖は、3H-チミジン取り込みアッセイにより評価した。簡潔にいうと、細胞を、薬剤の存在及び非存在下で、完全なRPMI-1640培地中、96ウェル細胞培養プレートで培養した。3日間、37℃でインキュベーション後、1μCi 3H-チミジンを、インキュベーションの最後の5時間で各ウェルに加えた。その後、各ウェルの3H取り込みを測定した。6つの試験された細胞株は、ナマルバ、Rec-1、Jeko-1、Granta-519、JVM-2及びDBであった。
【0197】
図1に示すように、キナゾリノン化合物3-(2,5-ジメチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンは、数種類のNHL細胞に対して抗増殖性活性を示した。
【0198】
細胞遺伝学的分析により、ナマルバ細胞が5q欠失を有することがわかった。Rec-1、Jeko-1、Granta-519及びJVM-2細胞はt(11;14)(q13;q32)を有し、これはマントル細胞リンパ腫(MCL)細胞株の特徴である;DB細胞は、小胞リンパ腫の特徴であるt(14;18)(q32;q21)を有する。抗増殖性は、特にMCL細胞株において、試験された範囲(0、0.01、0.1、1、10及び100μM)で用量依存的であることが示された。
【0199】
(6.2 特定のNHL細胞におけるSPARCのmRNAレベルのキナゾリノン化合物の投与の効果)
様々なNHL細胞における3-(2,5-ジメチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの投与の効果は、リアルタイムRT-PCR(図2)を用いて、24時間のインキュベーション後に測定した。結果は、3-(2,5-ジメチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンにより感受性NHL細胞においてSPARC mRNAの発現を増加されたことを示している。
【0200】
1-オキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-アミノイソインドリンに対する様々なNHL細胞株の感受性の順序に対する様々なNHL細胞株の感受性の順序は、ナマルバ(バーキットリンパ腫)>Jeko-1>Rec-1>JVM-2>Granta-519(全てのマントル細胞リンパ腫、MCL)>DB(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、DLBCL)である。処置したMCL株の4つ全ては、細胞周期タンパク質サイクリンD1の過剰発現を生じる特徴的なt(11;14)染色体トランスロケーションを含んでいた。DB細胞株は、抗アポトーシスタンパク質bcl2の過剰発現を生じるt(14;18)染色体トランスロケーションを含んでいた。このDB細胞株は、実際に、細胞増殖の増加した割合で3-(2,5-ジメチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンに反応した。従って、t(14;18)は、3-(2,5-ジメチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンに対する臨床反応を予測する際の負の予後因子となり得る。従って、SPARC遺伝子発現が、3-(2,5-ジメチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンなどのキナゾリノン化合物に対するNHL又はMCL腫瘍反応のバイオマーカーとして使用することができる。
【0201】
(6.3 キナゾリン化合物を用いた治療に対してマントル細胞リンパ腫の感受性を予測する遺伝子発現マーカー)
特定の癌関連遺伝子の発現レベルが様々な癌細胞株間で異なるという発見は、特定の癌細胞種が、他のものよりも特定のキナゾリノン化合物に対して感受的であるかどうかを決定するためのより詳細な研究へとつなげられた。従って、1-オキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-アミノイソインドリン療法に対してNHL腫瘍の感受性を予測する、恒常的(ベースライン)遺伝子発現のパターンを探求した。様々なNHL細胞株の特定遺伝子の基本的な発現は、全RNAを用いて定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(qRT-PCR)を用いて測定される。
【0202】
以下の典型的な手順を用いることができる。全RNAを精製して、全RNAの100ngで、PCRの間に蓄積するにつれて特定のPCR産物を検出できる蛍光プローブ(FAM)を使用するTaqMan配列検出化学を用いるApplied Biosystems 7500装置(Applied Biosystems, Foster City, CA)を用いて、リアルタイムPCRを行った。試料を、50μl反応量において三つ組で調製する。50μl反応物は、25μlの2x TaqMan PCRマスター混合物、2.5μlの20x遺伝子発現アッセイ、10μlのRNA(500ng)、及び12.5μlの水から構成される。グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)を、各試料中の等しいRNA量を保障する内在的コントロールとして使用する。
【0203】
TaqMan(登録商標)遺伝子発現アッセイは、ヒト、マウス及びラットmRNA転写の迅速かつ信頼性の高い検出及び定量化のために予め体系化された遺伝子発現アッセイである。使用するPCRプログラムは:2分間の50℃、10分間の95℃、15秒間の95℃の40サイクル、1分間の60℃とすることができる。データは、比較CT相対的定量計算法を用いて、7500 Real- Time PCR System Sequence Detectionソフトウェアv1.3を用いて分析する。アウトプットを、発現レベルのフォールド変化として表す。閾値レベルは、ソフトウェアで自動的に測定されるように選択し、ベースラインを越えるが増幅曲線の指数成長領域内にあるように十分に低く設定する。特定のアンプリコン蓄積と関連する蛍光シグナルが閾値を越えるサイクル数を、CTと呼ぶ。
【0204】
細胞周期タンパク質サイクリンD1は、特にサイクリン依存性キナーゼCdK4と組み合わせて、細胞周期による進行を刺激し、結果、細胞増殖の増加を生じる。p21タンパク質は、CdKタンパク質を阻害し、典型的には細胞周期進行の抑制を生じる。P21は、S期細胞のDNA複製を阻害することもできる。
【0205】
キナゾリノン化合物での処置におけるサイクリンD1:p21比の遺伝子発現の相違をマーカーとして用いて、所定の種類のNHL患者がキナゾリノン化合物で効果的に治療される可能性があるかどうかを予測することができる。特定のキナゾリノン化合物を用いた、成功する治療結果の可能性を予測するために、ベースラインのサイクリンD1及びp21遺伝子発現を、NHL患者由来、特にMCL患者由来のリンパ節生検若しくは骨髄生検において又は末梢血腫瘍細胞において、患者がキナゾリノン化合物療法から最も利益を得る可能性について予測する手段として、qRT-PCRによりモニターすることができる。
【0206】
例えば、NHL(例えば、MCL)患者を同定し、リンパ節生検法を採取する。サイクリンD1及びp21遺伝子発現のベースラインレベルを測定する。キナゾリノン化合物を用いた成功治療の確率は、サイクリンD1及びp21発現のレベルを比較することにより決定される。高いベースラインのサイクリンD1及び低いベースラインのp21の遺伝子発現を有する患者は、キナゾリノン化合物を用いた成功治療が高確率であり、キナゾリノン化合物の毎日の経口投与を含む治療プロトコルに割り当てられる。あるいは、低い基本的なサイクリンD1及び高い基本的なp21の遺伝子発現を有する患者は、キナゾリノン化合物を用いた成功治療が低確率であると割り当てられ、従って、異なる治療療法に割り当てられる。
【0207】
上記から、本発明の特定の実施態様を説明のために本明細書中に記載したが、様々な修正が本発明の精神及び範囲から逸脱することなくなされることができることが認識されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非ホジキンリンパ腫(NHL)患者における治療に対する腫瘍反応を予測する方法であって:
該患者から腫瘍細胞を得ること;
該細胞をキナゾリノン化合物の存在又は非存在下で培養すること;
該腫瘍細胞のSPARC発現を測定すること;及び
キナゾリノン化合物の存在下で培養した腫瘍細胞のSPARC発現レベルのレベルを、キナゾリノン化合物の非存在下で培養した腫瘍細胞のものと比較すること;を含み、
キナゾリノン化合物の存在下におけるSPARC発現の増加したレベルが、キナゾリノン化合物に対する有効な患者の腫瘍反応の可能性を示す、前記方法。
【請求項2】
非ホジキンリンパ腫(NHL)患者の治療に対する腫瘍反応をモニタリングする方法であって:
該患者から生体試料を得ること;
該生体試料のSPARC発現を測定すること;
該患者にキナゾリノン化合物を投与すること;
その後、該患者から第2の生体試料を得ること;
該第2の生体試料のSPARC発現を測定すること;及び
SPARC発現のレベルを比較すること;を含み、
治療後のSPARC発現の増加したレベルが、有効な腫瘍反応の可能性を示す、前記方法。
【請求項3】
薬剤治療プロトコルを用いた患者コンプライアンスをモニタリングする方法であって:
前記患者から生体試料を得ること;
前記試料中のp21及びSPARCの少なくとも1つの発現レベルを測定すること;及び
該発現レベルが、該患者試料において、コントロール未処置試料の発現レベルと比較して増加するかどうかを決定すること;を含み、
増加した発現が前記薬剤治療プロトコルを用いた患者コンプライアンスを示す、前記方法。
【請求項4】
前記発現がmRNA発現又はタンパク質発現である、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記処置試料における発現が、約1.5X、2.0X、3X、又は5X以上増加する、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記キナゾリノン化合物が3-(2,5-ジメチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンである、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
マントル細胞リンパ腫(MCL)患者におけるキナゾリノン化合物を用いた治療への感受性を予測する方法であって:
該患者から生体試料を得ること;
該生体試料からmRNAを任意に単離又は精製すること;及び
蛍光がP21及びサイクリンD1 mRNA発現の設定された閾値レベル(CT)を超えるサイクル数をPCRによって比較すること;を含み、
P21 CTとサイクリンD1 CTとの間のより大きな相違(dCT)が、MCLがキナゾリノン化合物を用いた治療に感受性がある高い可能性を示す、前記方法。
【請求項8】
P21 CTとサイクリンD1 CTとの間の相違が0よりも大きい、請求項7記載の方法。
【請求項9】
P21 CTとサイクリンD1 CTとの間の相違が約1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10よりも大きい、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記キナゾリノン化合物が3-(2,5-ジメチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンである、請求項7〜9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
キナゾリノン化合物を用いたNHLの有効な治療の可能性を予測するために役立つキットであって:
固体支持体;
前記支持体と接触している核酸、ここで前記核酸は1)サイクリンD1 mRNA及び2) p21 mRNAの少なくとも1つのうちの少なくとも20、50、100、200、又は350以上の塩基と相補的である;及び
生体試料中の前記mRNAの発現を検出するための手段;を含む、前記キット。
【請求項12】
有効なNHL治療の可能性を予測するために役立つキット、又はキナゾリノン化合物を用いた治療の有効性をモニタリングするために役立つキットであって:
固体支持体;
前記支持体と接触している少なくとも1つの核酸、ここで前記核酸は、SPARC mRNAの少なくとも20、50、100、200、350、又は500以上の塩基と相補的である;及び
生体試料中の前記mRNAの発現を検出するための手段;を含む、前記キット。
【請求項13】
有効なNHL治療の可能性を予測するために役立つキット、又はキナゾリノン化合物を用いた治療をモニタリングするために役立つキットであって:
固体支持体;及び
生体試料中のSPARC、サイクリンD1及びp21のうちの少なくとも1つのタンパク質発現を検出するための手段;を含む、前記キット。
【請求項14】
方法がディップスティック、膜、チップ、ディスク、試験ストリップ、フィルター、マイクロスフェア、スライド、マルチウェルプレート又は光ファイバーを使用する、請求項11〜13のいずれか1項記載のキット。
【請求項15】
前記固体支持体がプラスチック、シリコン、金属、樹脂、ガラス、膜、粒子、沈殿物、ゲル、ポリマー、シート、球体、多糖類、毛細管、フィルム、プレート、及びスライドからなる群から選択された成分を含む、請求項11〜14のいずれか1項記載のキット。
【請求項16】
前記生体試料が細胞可溶化物、細胞培養物、細胞株、組織、口腔組織、胃腸組織、器官、オルガネラ、生物流体、血液試料、尿試料及び皮膚試料からなる群から選択される、請求項11〜15のいずれか1項記載のキット。
【請求項17】
前記生体試料がリンパ節生検、骨髄生検又は末梢血腫瘍細胞の試料である、請求項11〜17のいずれか1項記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−505807(P2011−505807A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536942(P2010−536942)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/013444
【国際公開番号】WO2009/075795
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(500026935)セルジーン コーポレイション (41)
【Fターム(参考)】