説明

キノコ育成用照明器具

【課題】 キノコ育成に必要な設備の省設備化を図ることのできるキノコ育成用照明器具を提供する。
【解決手段】 キノコ育成用照明器具1は、器具本体2を備えている。器具本体2は、略長方形状の照明光源取付部2aと、照明光源取付部2aの一方の長辺の中央部分から短辺に平行に延びる棒状の攪拌翼取付部2bと、照明光源取付部2aの他方の長辺の中央部分から短辺に平行に延びる棒状の支持部2cとからなっている。照明光源取付部2aの下面には、照明光源取付部2aの長手方向に等間隔に3つのLED光源3が取り付けられている。また、攪拌翼取付部2bには、下方に突出させて長方形状の攪拌翼5が取り付けられている。攪拌翼取付部2bの上面には、攪拌翼取付部2bの自由端と支持部2cの自由端とを結ぶ線上の中央部分にモータ10の回転軸10aが固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キノコ、特に、本シメジ、ブナシメジ、エノキタケ等の育成に好適な照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
キノコの栽培工程は、培地攪拌、詰込み、殺菌、接種、培養、芽だし、育成の各工程からなっている。そして、キノコの育成に際して、品種によっては、特定の波長域の光を照射することによってその成長が促進されることから、工場における生産の際の栽培工程において適当な照明光を効果的に使用することにより、キノコの株の高さや傘などの部位を選択的に成長させることができることが知られている。
【0003】
キノコの量産工場においては、キノコ育成用照明器具から照射される照明光を、被照射体であるキノコの栽培ビンを収容したコンテナ全体に均一に照射するために、前記コンテナを、搬送コンベアに載せて、照明光の下を移動させる方法などが採られていた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
一方、キノコの成長時には、成長に伴って発生した二酸化炭素がキノコの周辺に熱と共に滞留し、これにより、キノコの成長速度が抑制されてしまう。従って、新しい酸素(空気)を供給すると共に、発生した二酸化炭素及び熱を除去する必要があり、このためには、コンテナ全体にファンなどによって気流を発生させる(送風する)ことが効果的であることが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2007−68440号公報
【特許文献2】特開2005−237266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のような搬送コンベアや送風用のファンを用いるものにあっては、キノコ育成に必要な設備が大掛かりなものになってしまい、初期投資コストと膨大な電力を消費するという問題点がある。
【0006】
そこで、本発明者らは、従来から用いられている栽培棚を使用してキノコ育成に必要な設備の省設備化を図るべく鋭意研究を重ね、キノコ、特に、本シメジ、ブナシメジ、エノキタケ等の育成に好適な照明器具の発明をするに至った。また、キノコの生産農家では電気代と電気設備の関係から蛍光灯の点灯/消灯を一定サイクルで実施していたが、これら蛍光灯の点灯/消灯を制御する、タイマーやマグネットコンダクタなどの電気設備が別途必要であった。
【0007】
本発明は、従来技術における前記課題を解決するためになされたものであり、キノコ育成に必要な設備の省設備化を図ることのできるキノコ育成用照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明に係るキノコ育成用照明器具の第1の構成は、支持部材と、前記支持部材によって水平状態で支持された器具本体と、前記器具本体に取り付けられた照明光源及び攪拌翼と、前記支持部材に対して前記器具本体を水平状態に維持したまま回動又は並進させる機構とを備えたことを特徴とする。
【0009】
このキノコ育成用照明器具の第1の構成によれば、支持部材に対して器具本体を定期的に回動又は並進させることにより、照明光源の位置を2つのコンテナ間で入れ換えることができるので、コンテナに照明光源からの照明光を均一に照射することができる。また、器具本体を回動又は並進させるときの攪拌翼の移動によって気流が発生し、これにより、キノコへ新しい酸素(空気)を供給すると共に、キノコの周りに滞留した二酸化炭素や熱を除去することもできる。その結果、従来のような大掛かりな搬送コンベアや送風用のファンが不要となるので、キノコ育成に必要な設備の省設備化を図ることができる。
【0010】
前記本発明のキノコ育成用照明器具の第1の構成においては、前記照明光源が発光ダイオード光源であるのが好ましい。
【0011】
また、前記本発明のキノコ育成用照明器具の第1の構成においては、前記器具本体の回動がモータを用いて行われるのが好ましい。また、この場合には、前記照明光源と前記攪拌翼とが、前記モータの回転軸の前記器具本体への固定点を挟んで配置されるのが好ましい。
【0012】
また、前記本発明のキノコ育成用照明器具の第1の構成においては、前記器具本体の並進が、モータによって駆動されるボールネジ、ベルト、チェーン、又は、エアシリンダを用いて行われるのが好ましい。
【0013】
また、前記本発明のキノコ育成用照明器具の第1の構成においては、前記照明光源からの光を反射させる反射板をさらに備えているのが好ましい。この好ましい例によれば、照明光源からの光を反射板によって反射させて、コンテナ内のキノコに十分な光を照射する(直下照度を上げる)ことができると共に、隣のコンテナ内のキノコに照明光源からの光が照射されない(光が漏れない)ようにすることができる。そして、このように、隣のコンテナ内のキノコに照明光源からの光が照射されない(光が漏れない)ようにすることにより、当該隣のコンテナ内のキノコにおいて傘径のバラツキ等の発生を防止することができる。
【0014】
本発明に係るキノコ育成用照明器具の第2の構成は、支持部材と、前記支持部材によって水平状態で支持された複数の器具本体と、前記各器具本体に取り付けられた照明光源及びファンとを備えたことを特徴とする。
【0015】
このキノコ育成用照明器具の第2の構成によれば、器具本体とコンテナを、1対1で対応させて、コンテナに照明光源からの照明光を均一に照射することができる。また、ファンにより、キノコへ新しい酸素を供給すると共に、キノコの周りに滞留した二酸化炭素や熱を除去することができる。その結果、従来のような大掛かりな搬送コンベアや送風用のファンが不要となるので、キノコ育成に必要な設備の省設備化を図ることができる。
【0016】
また、前記本発明のキノコ育成用照明器具の第2の構成においては、前記照明光源が発光ダイオード光源であるのが好ましい。また、この場合には、発光ダイオード用回路が、抵抗を用いた定電圧型であるのが好ましい。この場合にはさらに、前記ファンが抵抗部周辺に取り付けられているのが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、キノコ育成に必要な設備の省設備化を図ることのできるキノコ育成用照明器具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、実施の形態を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
【0019】
[第1の実施の形態]
まず、図1、図2、図3を参照しながら、本発明の第1の実施の形態のキノコ育成用照明器具について説明する。図1は、本実施の形態におけるキノコ育成用照明器具の使用状態を示す概略側面図、図2は、当該キノコ育成用照明器具を、キノコ側から見た概略図、図3は、本実施の形態のキノコ育成用照明器具に用いられる発光ダイオード(Light Emitting Diode、以下「LED」と称する)光源の制御部を示すブロック図である。
【0020】
図1、図2に示すように、本実施の形態のキノコ育成用照明器具1は、ヒートシンクを兼ねた器具本体2を備えている。ここで、器具本体2は、略長方形状の照明光源取付部2aと、照明光源取付部2aの一方の長辺の中央部分から短辺に平行に延びる棒状の攪拌翼取付部2bと、照明光源取付部2aの他方の長辺の中央部分から短辺に平行に延びる棒状の支持部2cとからなっている。照明光源取付部2aの下面には、照明光源取付部2aの長手方向に等間隔に照明光源としての3つのLED光源3が取り付けられており、それぞれのLED光源3の出射側には、当該LED光源3からの光を拡散する拡散部材としての拡散板4が配置されている。攪拌翼取付部2bには、下方に突出させて長方形状の攪拌翼5が取り付けられている。
【0021】
図1に示すように、照明光源取付部2aの下方と攪拌翼5の下方には、それぞれ、サイズが450mm×450mmのコンテナ6が栽培棚7に載置された状態で配置されており、各コンテナ6内には16個の栽培ビン8が収容されている。尚、図1中、9は栽培ビン8内で芽だしされたキノコを示している。
【0022】
図1、図2に示すように、攪拌翼取付部2bの上面には、攪拌翼取付部2bの自由端と支持部2cの自由端とを結ぶ線上の中央部分にモータ10の回転軸10aが固定されている。この場合、モータ10を支持する部材(図示せず)が、本発明の「支持部材」となる。そして、モータ10の回転軸10aを180°回動(往復)させることにより、3つのLED光源3が取り付けられた照明光源取付部2aの位置と攪拌翼5の位置を、2つのコンテナ6間で入れ換えることができるようにされている。キノコの育成工程においては、温度15℃前後、湿度95%前後、二酸化炭素濃度2000ppm以下の環境下で、15分ごとに、3つのLED光源3が取り付けられた照明光源取付部2aの位置と攪拌翼5の位置が入れ換えられる。これにより、栽培ビン8が収容された2つのコンテナ6にLED光源3からの照明光を均一に照射することができる。また、照明光源取付部2aの位置と攪拌翼5の位置を入れ換えるときの攪拌翼5の移動によって気流が発生し、これにより、キノコへ新しい酸素(空気)を供給すると共に、キノコの周りに滞留した二酸化炭素や熱を除去することもできる。
【0023】
LED光源3としては、松下電器産業株式会社製の、高光束でコンパクトな白色LED光源「LUGA(ルーガ)(商品名)」が用いられ、拡散板4の材料としてはアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の高分子材料が用いられる。白色LED光源「LUGA」は、複数個のLEDチップを高密度にフリップチップ実装したものであり、8.4mm×26.2mmの発光面積を有している。また、拡散板4のサイズは、15mm(幅)×40mm(長さ)×1mm(厚み)である。
【0024】
栽培棚8の上面と器具本体2の下面との間の距離は500mmであり、攪拌翼5の短辺の長さは20mmである。
【0025】
本実施の形態のキノコ育成用照明器具1の構成によれば、以上のように、キノコ育成用照明器具1を水平方向に定期的に回動させるだけで、コンテナ6にLED光源3からの照明光を均一に照射することができ、かつ、キノコへ新しい酸素を供給すると共に、キノコの周りに滞留した二酸化炭素や熱を除去することができるので、従来のような大掛かりな搬送コンベアや送風用のファンが不要となる。その結果、キノコ育成に必要な設備の省設備化を図ることができる。
【0026】
また、本実施の形態のキノコ育成用照明器具1においては、3つのLED光源3の周囲に、下方に向かって広がる四角錐台状の反射板11が配置されている。ここで、反射板11は、その上端を攪拌翼取付部2b及び支持部2cに取り付けることによって固定されており、その下端はコンテナ6のサイズと同じサイズになっている。
【0027】
反射板11としては、例えば、四角錐台状のプラスチックケースの内面に反射率の高い白色等の塗料を塗布したものや、ミラーを貼り付けたもの等を用いることができる。
【0028】
このように、3つのLED光源3の周囲に反射板11を配置することにより、LED光源3からの光を反射板11によって反射させて、コンテナ6内のキノコ9に十分な光を照射する(直下照度を上げる)ことができると共に、隣のコンテナ6内のキノコ9にLED光源3からの光が照射されない(光が漏れない)ようにすることができる。光が隣のコンテナ6に漏れると、当該隣のコンテナ6内のキノコ9において傘径のバラツキ等が発生してしまう。
【0029】
また、本実施の形態のキノコ育成用照明器具1においては、LED光源3に対してパルス電流により点灯と消灯を繰り返す制御(点滅制御)が行われる。図3に示すように、LED光源3の制御部は、AC100VをDC12Vに変換するAC/DCコンバータ12と、AC/DCコンバータ12に電気的に接続されたPWM(Pulse Width Modulation)回路13とを備えている。PWM回路13で生成されるパルス電流のPWM波形の点灯周波数は1kHz以上(具体的には、56kHz)、前記パルス電流のオン/オフデューティー比は60%以上(具体的には、80%)に設定されている。尚、このLED用回路は、コストの低減化を図るために、抵抗25を用いた定電圧型となっている。冬季には工場内の温度が15℃以下になるが、このように抵抗25を用いた定電圧型とすることにより、抵抗25からの発熱で低温時に蛍光灯と同等の温度効果を得ることもできる。
【0030】
このように、本実施の形態のキノコ育成用照明器具1においては、長寿命のLED光源3に対してパルス電流により点滅制御が行われるので、光源寿命を長くすると共に、消費エネルギーをより小さく抑えることができる。また、パルス電流の点灯周波数を1kHz以上としたことにより、キノコに対しLED光源3のオン/オフによる効果的なちらつき(光刺激)を与えて、キノコの生育(生体反応)を促すことができる。また、パルス電流のデューティーサイクル比のオンの比率を60%以上としたことにより、キノコの傘径及び株高さを適度な寸法(パッケージ・ラッピングが容易な規格偏差内)に保つことができる。
【0031】
以上のような構成のキノコ育成用照明器具1を用いてキノコを育成し、当該キノコの傘径を測定した。図4に、累積度数分布として示した測定結果のグラフを示す。図4は、パルス電流の点灯周波数を56kHz、デューティーサイクル比のオンの比率を80%に設定したときのデータである。図4には、攪拌翼5が有る場合(σ0)と無い場合(σ1)についてのデータが示されている。図4に示すように、攪拌翼5が無い場合には、育成したキノコの傘径のバラツキが大きくなることが分かる。
【0032】
尚、本実施の形態においては、LED光源3として、白色LED光源「LUGA」が用いられているが、照明光源は、必ずしもこれに限定されるものではなく、LED光源であればよい。LED光源としては、この他に、例えば、0.5mm角以下のLEDチップを数十個高密度に実装して単一光源とみなすものや、0.5mm角以上のLEDチップを1個もしくは複数個実装した光源等がある。また、LED光源は、白色光源に限定されるものではなく、400〜500nmの波長域にピークを持つものであればよい。例えば、LED光源として、青色LED光源を用いることもできる。
【0033】
また、照明光源は必ずしもLED光源に限定されるものではなく、例えば、レーザダイオオード(LD)等を用いてもよい。
【0034】
また、本実施の形態においては、3つのLED光源3が用いられているが、LED光源3の個数は3個に限定されるものではなく、1個、2個又は4個以上であってもよい。
【0035】
また、本実施の形態においては、LED光源3に対してパルス電流により点灯と消灯を繰り返す制御(点滅制御)を行うようにされているが、本発明において点滅制御は必ずしも必須のものではない。
【0036】
また、本実施の形態においては、LED光源3の周囲に反射板11を配置するようにされているが、本発明において反射板11は必ずしも必須の部材ではない。
【0037】
また、本実施の形態においては、下方に向かって広がる四角錐台状の反射板11が用いられているが、反射板の形状は必ずしも四角錐台状に限定されるものではない。反射板としては、例えば、三角錐台状、五角錐台状、六角錐台状等の他の角錐台状又は円錐台状のものであってもよい。また、反射板としては、三角筒状、四角筒状、五角筒状、六角筒状等の角筒状又は円筒状のものであってもよい。また、反射板は、少なくとも、隣のコンテナ6内のキノコ9にLED光源3からの光が照射されない(光が漏れない)ようにすることができる位置にあれば足りる。
【0038】
また、反射板としては、図5、図6に示すような形状のものであってもよい。図5は、本実施の形態における他のキノコ育成用照明器具の使用状態を示す概略側面図、図6は、当該キノコ育成用照明器具を、キノコ側から見た概略図である。尚、図5、図6に示すキノコ育成用照明器具は、図1、図2に示すキノコ育成用照明器具と反射板の形状のみが異なっている。
【0039】
図5、図6に示すキノコ育成用照明器具においては、3つのLED光源3の周囲に、下方に向かって広がるドーム状の反射板14が配置されている。ここで、反射板14は、その上端を照明光源取付部2a、攪拌翼取付部2b及び支持部2cに取り付けることによって固定されており、その下端は直径640mmの円形状になっている。そして、かかる構成の反射板14によっても、LED光源3からの光を反射板14によって反射させて、コンテナ6内のキノコ9に十分な光を照射する(直下照度を上げる)ことができると共に、隣のコンテナ6内のキノコ9にLED光源3からの光が照射されない(光が漏れない)ようにすることができる。
【0040】
そして、この場合には、反射板14の反射面を回転放物面にすると共に、LED光源3を1個にし、反射板14を、その反射面を形成する回転放物面の焦点がLED光源3の発光面上に位置するように配置するのが好ましい。このような構成を採用すれば、LED光源3の発光面からの光が、反射板14の反射面により、回転放物面の回転軸に平行な光として反射され、コンテナ6内のキノコ9に均質に照明される。
【0041】
[第2の実施の形態]
次に、図7を参照しながら、本発明の第2の実施の形態のキノコ育成用照明器具について説明する。図7は、本実施の形態におけるキノコ育成用照明器具の使用状態を示す概略側面図である。尚、図7において、上記第1の実施の形態の構成部材等と同一の構成部材等については、同一の参照符号を付し、それらの詳細な説明は省略する。
【0042】
図7に示すように、本実施の形態のキノコ育成用照明器具15は、ヒートシンクを兼ねた器具本体2’を備えている。器具本体2’の下面にはLED光源3が取り付けられており、LED光源3の出射側には、当該LED光源3からの光を拡散する拡散部材としての拡散板4が配置されている。
【0043】
また、本実施の形態のキノコ育成用照明器具15においては、LED光源3の周囲に、下方に向かって広がる四角錐台状の、攪拌翼を兼ねた反射板11が配置されている。ここで、反射板11は、その上端を器具本体2’に取り付けることによって固定されており、その下端はコンテナ6のサイズと同じサイズになっている。尚、反射板としては、上記第1の実施の形態で説明したような種々の形状のものが考えられる。
【0044】
器具本体2’の上面には、隣接するコンテナ6間を並進可能な移動部材16が設けられており、この移動部材16の並進運動は、移動部材16に備えられたボールネジ17をモータ18によって駆動することにより行われる。そして、移動部材16の並進運動(器具本体2’の並進運動)により、LED光源3の位置を、隣接するコンテナ6間で入れ換えることができるようにされている。これにより、栽培ビン8が収容された2つのコンテナ6にLED光源3からの照明光を均一に照射することができる。また、器具本体2’の並進運動によって反射板11も並進運動し、これにより、気流を発生させて、キノコへ新しい酸素(空気)を供給すると共に、キノコの周りに滞留した二酸化炭素や熱を除去することもできる。ここで、ボールネジ17及びモータ18は、器具本体2’を水平状態で支持する支持部材19に配設されている。尚、図7中、20はLED光源3の制御部、21はLED光源3と制御部20とを接続するケーブル、22はケーブルクランプをそれぞれ示している。
【0045】
本実施の形態のキノコ育成用照明器具15においても、上記第1の実施の形態のキノコ育成用照明器具1の場合と同様に、制御部20(図3参照)を用いて、LED光源3に対してパルス電流により点灯と消灯を繰り返す制御(点滅制御)が行われる。
【0046】
本実施の形態のキノコ育成用照明器具15の構成によれば、以上のように、器具本体2’を、ボールネジ17及びモータ18を用いて定期的に並進運動させるだけで、コンテナ6にLED光源3からの照明光を均一に照射することができ、かつ、キノコへ新しい酸素を供給すると共に、キノコの周りに滞留した二酸化炭素や熱を除去することができるので、従来のような大掛かりな搬送コンベアや送風用のファンが不要となる。その結果、キノコ育成に必要な設備の省設備化を図ることができる。
【0047】
尚、本実施の形態においても、反射板11は必ずしも必須の部材ではない。しかし、器具本体2’を並進運動させたときに気流を発生させるための攪拌翼は必要である。
【0048】
また、本実施の形態においては、ボールネジ17及びモータ18を用いて移動部材16(器具本体2’)を並進運動させるように構成されているが、例えば、モータによって駆動されるベルト、チェーン、又は、エアシリンダなどを用いて移動部材16(器具本体2’)を並進運動させるように構成してもよい。
【0049】
[第3の実施の形態]
次に、図8、図9を参照しながら、本発明の第3の実施の形態のキノコ育成用照明器具について説明する。図8は、本実施の形態におけるキノコ育成用照明器具の使用状態を示す概略側面図、図9は、本実施の形態における、器具本体に取り付けられたLED光源及びファンを示す概略図である。尚、図8、図9において、上記第1及び第2の実施の形態の構成部材等と同一の構成部材等については、同一の参照符号を付し、それらの詳細な説明は省略する。
【0050】
図8、図9に示すように、本実施の形態のキノコ育成用照明器具23は、支持部材19と、支持部材19によって水平状態で支持された複数の器具本体2’とを備えている。器具本体2’は、ヒートシンクを兼ねている。各器具本体2’の下面にはLED光源3が取り付けられており、LED光源3の出射側には、当該LED光源3からの光を拡散する拡散部材としての拡散板4が配置されている。本実施の形態のキノコ育成用照明器具23においても、上記第1の実施の形態のキノコ育成用照明器具1の場合と同様に、図3に示す定電圧型のLED用回路を用いて、LED光源3に対してパルス電流により点灯と消灯を繰り返す制御(点滅制御)が行われる。また、各器具本体2’の下面には、抵抗25の周辺に、風量0.1m3/min程度の弱風を発生させる防水型のファン24が取り付けられており、このファン24は、AC/DCコンバータ12からの出力電圧によって作動するようにされている(図3参照)。ファン24としては、例えば、パナソニックコミュニケーションズデバイスカンパニー大分製の車載用FAN UDQFH2H**等を用いることができる。ここで、器具本体2’とコンテナ6とは、1対1で対応している(すなわち、本実施の形態のキノコ育成用照明器具23は、上記第1及び第2の実施の形態のキノコ育成用照明器具1、15のような回動や並進を伴わない)。これにより、栽培ビン8が収容された2つのコンテナ6にLED光源3からの照明光を均一に照射することができる。尚、器具本体2’のサイズは80mm×150mm、ファン24のサイズは50mm×50mmである。
【0051】
本実施の形態のキノコ育成用照明器具23の構成によれば、以上のように、キノコ育成用照明器具23を、支持部材19と、支持部材19によって水平状態で支持された複数の器具本体2’と、各器具本体2’に取り付けられたLED光源3と、同じく各器具本体2’に取り付けられた、弱風を発生させるファン24とにより構成し、キノコ育成用照明器具23と、栽培ビン8が収容されるコンテナ6とを1対1で対応させたことにより、コンテナ6にLED光源3からの照明光を均一に照射することができ、かつ、キノコへ新しい酸素を供給すると共に、キノコの周りに滞留した二酸化炭素や熱を除去することができるので、従来のような大掛かりな搬送コンベアや送風用のファンが不要となる。その結果、キノコ育成に必要な設備の省設備化を図ることができる。
【0052】
尚、図1、図5、図7、図8においては、栽培棚7にコンテナ6が2つ並べて載置されているように描かれているが、実際には、900mm×1350mmのサイズの栽培棚7に、16個の栽培ビン8が収容される450mm×450mmのサイズのコンテナ6が6つ並べて載置される。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように、本発明によれば、キノコ育成に必要な設備の省設備化を図ることのできるキノコ育成用照明器具を提供することができる。従って、本発明は、キノコの量産工場における照明器具として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態におけるキノコ育成用照明器具の使用状態を示す概略側面図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態におけるキノコ育成用照明器具を、キノコ側から見た概略図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態のキノコ育成用照明器具に用いられる発光ダイオード(LED)光源の制御部を示すブロック図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施の形態におけるキノコ育成用照明器具を用いてキノコを育成した場合の、傘径の累積度数を示すグラフである。
【図5】図5は、本発明の第1の実施の形態における他のキノコ育成用照明器具の使用状態を示す概略側面図である。
【図6】図6は、本発明の第1の実施の形態における他のキノコ育成用照明器具を、キノコ側から見た概略図である。
【図7】図7は、本発明の第2の実施の形態におけるキノコ育成用照明器具の使用状態を示す概略側面図である。
【図8】図8は、本発明の第3の実施の形態におけるキノコ育成用照明器具の使用状態を示す概略側面図である。
【図9】図9は、本発明の第3の実施の形態における、器具本体に取り付けられたLED光源及びファンを示す概略図である。
【符号の説明】
【0055】
1、15、23 キノコ育成用照明器具
2、2’ 器具本体
2a 照明光源取付部
2b 攪拌翼取付部
2c 支持部
3 LED光源
4 拡散板
5 攪拌翼
10 モータ
10a 回転軸
11、14 反射板
12 AC/DCコンバータ
13 PWM回路
16 移動部材
17 ボールネジ
18 モータ
19 支持部材
20 制御部
21 ケーブル
22 ケーブルクランプ
24 ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材と、前記支持部材によって水平状態で支持された器具本体と、前記器具本体に取り付けられた照明光源及び攪拌翼と、前記支持部材に対して前記器具本体を水平状態に維持したまま回動又は並進させる機構とを備えた、キノコ育成用照明器具。
【請求項2】
前記照明光源が発光ダイオード光源である、請求項1に記載のキノコ育成用照明器具。
【請求項3】
前記器具本体の回動がモータを用いて行われる、請求項1に記載のキノコ育成用照明器具。
【請求項4】
前記照明光源と前記攪拌翼とが、前記モータの回転軸の前記器具本体への固定点を挟んで配置される、請求項3に記載のキノコ育成用照明器具。
【請求項5】
前記器具本体の並進が、モータによって駆動されるボールネジ、ベルト、チェーン、又は、エアシリンダを用いて行われる、請求項1に記載のキノコ育成用照明器具。
【請求項6】
前記照明光源からの光を反射させる反射板をさらに備えた、請求項1に記載のキノコ育成用照明器具。
【請求項7】
支持部材と、前記支持部材によって水平状態で支持された複数の器具本体と、前記各器具本体に取り付けられた照明光源及びファンとを備えた、キノコ育成用照明器具。
【請求項8】
前記照明光源が発光ダイオード光源である、請求項7に記載のキノコ育成用照明器具。
【請求項9】
発光ダイオード用回路が、抵抗を用いた定電圧型である、請求項8に記載のキノコ育成用照明器具。
【請求項10】
前記ファンが抵抗部周辺に取り付けられた、請求項9に記載のキノコ育成用照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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