説明

キノリン誘導体の調製方法

遺伝性および孤発性の腎乳頭腫および扁平上皮癌で、c-Metのキナーゼ領域の活性化が確認されている。従って、c-Metの調節は癌および癌関連疾患の治療手段として望ましい。本明細書はプロテインキナーゼの酵素活性の調節に役立つ化合物の調製方法に関する。より具体的には、本明細書は増殖、分化、プログラム細胞死、遊走、浸潤などの細胞活動の調節に役立つ化合物の調製方法に関する。
式i(1) の化合物


またはその薬学的に許容される塩を調製する方法。
式中、R1およびR2は、それらが結合する窒素原子と共に、6員のヘテロシクロアルキル基を形成する。
X1はH、Br、Cl、Fのいずれかである。
X2はH、Br、Cl、Fのいずれかである。
sは2〜6である。
n1は0〜2である。
n2は0〜2である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は2008年12月4日出願の米国仮出願連続番号 61/201,003号に対する優先権の利益を請求し、その出願の全体を、参照により本明細書の一部とする。
【0002】
発明の分野
本明細書はプロテインキナーゼの酵素活性の調節に役立つ化合物の調製方法に関する。より具体的には、本明細書は増殖、分化、プログラム細胞死、遊走、浸潤などの細胞活動の調節に役立つ化合物の調製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の概要
癌治療薬投与に伴う副作用の軽減による治療上の有益性という観点から、それら治療薬の特異性の改善が注目を集めている。従来、新規な作用機序を通じて作用する治療薬の特定に伴い、癌治療の劇的な改善が達成されてきた。
【0004】
プロテインキナーゼはタンパク質のリン酸化、特にタンパク質のチロシン、セリン、スレオニン残基の水酸基のリン酸化を触媒する酵素である。このいかにも単純に見える作用が、細胞の分化と増殖という驚くべき結果を生む。すなわち、細胞の一生における事実上すべての側面が、多かれ少なかれプロテインキナーゼの作用に依存するのである。さらに、プロテインキナーゼの働きの異常が、命に関わるほど重篤ではない乾癬などの疾患から、神経膠芽細胞腫(脳腫瘍)などの極度に悪性の疾患まで、幅広い数々の障害と関連づけられてきた。
【0005】
キナーゼ調節の治療上の用途は、腫瘍学的適応症と関連性を持つ可能性がある。例えば、癌治療のためのプロテインキナーゼ活性調節は、Gleevec(登録商標)(Novartis Pharmaceutical Corporation of East Hanover, NJ製造のイマチニブメシル酸塩)が、慢性骨髄性白血病(CML)および胃腸間質性腫瘍(GIST)の治療薬として、FDAの承認を受けたことにより実証された。Gleevec(登録商標)はc-KitキナーゼおよびAblキナーゼの阻害剤である。
【0006】
腫瘍の増殖および生存に必要な重要な2つの細胞プロセスである細胞増殖および血管新生の調節(特に阻害)(非特許文献1)は、低分子治療薬開発の魅力的な目標である。抗血管新生療法は、固形腫瘍に加え、冠動脈由虚血、糖尿病性網脈症、乾癬、関節リウマチを含む血管新生調節不全に関連する他の疾患の治療を目的とする重要な手法となる可能性がある。同様に、腫瘍の増殖を鈍化または停止させる抗細胞増殖性作用薬も望ましい。
【0007】
抗血管新生活性および抗増殖活性を目的とする低分子調節で注目されるのがc-Metである。c-MetキナーゼはMet、Ron、Seaを含むヘテロ二量体の受容体型チロシンキナーゼ(RTK)サブファミリーのプロトタイプの1種である。c-Metの発現は、受容体の活性に従い、細胞の遊走、浸潤、増殖、その他のいわゆる「浸潤性細胞増殖」と関連する生物学的活動が起きる上皮、内皮、間葉系の細胞など、多様な細胞タイプで起きる。このため、腫瘍細胞が備える特徴の多くが、c-Met受容体の活性化を通じて起きるシグナル伝達に由来する。
【0008】
c-Metの内因性リガンドは、血管新生の強力な誘導因子で、「分散因子」(SF)とも呼ばれる肝細胞増殖因子(HGF)である。HGFがc-Metに結合すると、自己リン酸化を通じた受容体の活性化により、受容体依存性のシグナル伝達が増加し、細胞増殖および浸潤が促進される。抗HGF抗体またはHGF拮抗剤が、invivoで腫瘍の転移を阻害することが確認されている(非特許文献2)。
【0009】
腫瘍の増殖が進行するには、悪性細胞の浸潤、接着、増殖に加え、既存の血管から腫瘍に新たな血管を補充する必要がある。このため、乳腺腫瘍、結腸腫瘍、腎腫瘍、肺腫瘍、扁平上皮癌、骨髄性白血病、血管腫、黒色腫、星細胞腫、神経膠芽細胞腫などの多様な腫瘍タイプで、c-Metの過剰発現が示されている。さらに、遺伝性および孤発性の腎乳頭腫および扁平上皮癌で、c-Metのキナーゼ領域の活性化が確認された(非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4)。従って、c-Metの調節は癌および癌関連疾患の治療手段として望ましい。
【0010】
このため、プロテインキナーゼモジュレーターである化合物を調製する新たな方法が必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Matter A. Drug Disc Technol 2001 6, 1005−1024
【非特許文献2】Maulik et al Cytokine & growth Factor reviews 2002 13, 41−59
【非特許文献3】Longati et al Curr Drug Targets 2001, 2, 41−55
【非特許文献4】Funakoshi et al Clinica Chimica Acta 2003 1−23
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明の要旨
一つの局面において、本発明は式i (1) の化合物
【0013】
【化1】

またはその薬学的に許容される塩を調製する方法に関する。
【0014】
式中、R1およびR2は、それらが結合する窒素原子と共に、6員のヘテロシクロアルキル基を形成する。
【0015】
X1はH、Br、Cl、Fのいずれかである。
【0016】
X2はH、Br、Cl、Fのいずれかである。
【0017】
sは2〜6である。
【0018】
n1は0〜2である。
【0019】
n2は0〜2である。
【0020】
上記化合物の調製に有用な中間体も示す。
【0021】
式i(1) の化合物はプロテインキナーゼモジュレーターとして有用であり、それらはc-Metおよびc-Kitを阻害する。
【0022】
本発明には、以下に記載する多数の局面および実施形態があり、各局面および各実施形態は、本発明の範囲に関して限定的ではない。「局面」または「実施形態」という用語が本明細書中のどこで用いられるかに関わらず、「局面」および「実施形態」という用語は非限定的であることを意図している。本明細書の移行部で使用する「含む」という用語は、「含有する」、「包含する」、「特徴を備える」と同義語であり、包括的または無制限であって、本明細書では示さない追加の要素を除外しない。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明の詳細な説明
本発明の局面 (1) は、式i (1) の化合物
【0024】
【化2】

またはその薬学的に許容される塩を調製する方法に関する。
【0025】
式中、R1およびR2は、それらが結合する窒素原子と共に、6員のヘテロシクロアルキル基を形成する。
【0026】
X1はH、Br、Cl、Fのいずれかである。
【0027】
X2はH、Br、Cl、Fのいずれかである。
【0028】
sは2〜6である。
【0029】
n1は0〜2である。
【0030】
n2は0〜2である。
【0031】
この方法は以下を含む。
【0032】
式h(1)の化合物を反応物z (1) および反応物g (1) と接触させ、式i(1) の化合物を生成すること。
【0033】
【化3】

本発明の局面(1) の反応は、適切な反応条件下で実行すると有利である。局面 (1) における適切な反応条件の非限定的な例は、塩基性条件の使用を含む。本発明の局面 (1) で使用可能な塩基性条件の非限定的な例は、ピリジン、ピペリジン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、DBU、DABCO、DMAP、およびその類似物などの有機塩基、またはそれらの混合の使用を含む。本発明の局面(1) で使用可能な塩基性条件の他の非限定的な例は、水性のKOH、NaOH、K2CO3、Na2CO3、K3PO4、Na3PO4、K2HPO4、Na2HPO4および類似物などの無機塩基、またはそれらの混合の使用を含む。局面(1) における適切な反応条件の他の非限定的な例は、適切な溶媒の使用を含む。本発明の局面 (1) で使用可能な適切な溶媒の非限定的な例は、THF、アセトン、エタノールおよび類似物などの水混和性溶媒、またはそれらの混合を含む。本発明の局面(1) で使用可能な適切な溶媒の他の非限定的な例は、MTBE、ジクロロメタン(DCM)、イソプロピル酢酸(iPAc)、トルエンおよび類似物などの水混和性溶媒、またはそれらの混合を含む。局面(1) における適切な反応条件の他の非限定的な例は、適切な温度の使用を含む。局面 (1) における反応に使用できる適切な温度は、約7°Cから約30°Cの範囲、あるいは約10°Cから約26°Cの範囲、あるいは約12°Cから約21°Cの範囲を含む。局面(1) において形成される生成物は遊離塩基形であり、この遊離塩基形は当業者に知られる方法により、その薬学的に許容される塩に変換できる。一例では、式i (1) の化合物にマレイン酸および適切な溶媒を加え、ビスマレイン酸塩に変換できる。別の例では、式i(1) の化合物にリン酸および適切な溶媒を加え、ビスリン酸塩に変換できる。
【0034】
表題の化合物は、WO 2005/030140 A2で説明するアッセイ法により測定された50 nM 未満のc-Met IC50およびc-KitIC50を持つ。この化合物の他の有用性は、WO 2005/030140 A2でさらに詳しく説明する。
【0035】
局面 (1) の実施形態(パートA)
局面 (1) の別の実施形態で、X1 はClまたはFである。
【0036】
局面 (1) の別の実施形態で、X2はClまたはFである。
【0037】
局面 (1) の別の実施形態で、X1はFである。
【0038】
局面 (1) の別の実施形態で、X2はFである。
【0039】
局面 (1) の別の実施形態で、X1はHである。
【0040】
局面 (1) の別の実施形態で、X2はHである。
【0041】
局面 (1) の別の実施形態で、n1は1である。
【0042】
局面 (1) の別の実施形態で、n2は1である。
【0043】
局面 (1) の別の実施形態で、n1は2である。
【0044】
局面 (1) の別の実施形態で、n2は2である。
【0045】
局面 (1) の別の実施形態で、sは2である。
【0046】
局面 (1) の別の実施形態で、sは3である。
【0047】
局面 (1) の別の実施形態で、sは4である。
【0048】
局面 (1) の別の実施形態で、sは5である。
【0049】
局面 (1) の別の実施形態で、sは6である。
【0050】
局面 (1) の別の実施形態で、R1およびR2は、結合している窒素原子と共に、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニルのいずれかを形成する。
【0051】
局面 (1) の別の実施形態で、R1およびR2は結合している窒素原子と共に、モルホリニルを形成する。
【0052】
上記の局面 (1) の式i (1) のすべての化合物は、パートAでX1、X2、n1、n2、sの各々に関して示す択一的な実施形態のいずれかと、パートAでX1、X2、n1、n2、sの各々に関して示す他の択一的な実施形態のいずれかとの組み合わせを含み、また、そのような組み合わせの薬学的に許容される塩も含む。
【0053】
局面 (1) の実施形態(パートB)
局面 (1) の別の実施形態で、n1およびn2の各々が1である。
【0054】
局面 (1) の別の実施形態で、n1およびn2の各々が2である。
【0055】
局面 (1) の別の実施形態で、n1は1、n2は2である。
【0056】
局面 (1) の別の実施形態で、n1は2、n2は1である。
【0057】
局面 (1) の別の実施形態で、X1はH、X2はFである。
【0058】
局面 (1) の別の実施形態で、X1はF、X2はHである。
【0059】
局面 (1) の別の実施形態で、X1およびX2の各々がHである。
【0060】
局面 (1) の別の実施形態で、X1およびX2の各々がFである。
【0061】
局面(1) の別の実施形態で、X1はCl、X2はHである。
【0062】
局面 (1) の別の実施形態で、X1はH、X2はClである。
【0063】
局面 (1) の別の実施形態で、X1およびX2 の各々がClである。
【0064】
局面 (1) の別の実施形態で、X1はCl、X2はFである。
【0065】
局面 (1) の別の実施形態で、X1はF、X2はClである。
【0066】
局面 (1) の別の実施形態で、sは3であり、R1およびR2は結合している窒素原子と共に、モルホリニルを形成する。
【0067】
局面 (1) の実施形態 (C) では、式g (1) の化合物を還元し、式h (1) の化合物を得ることにより、式h (1) の化合物を作ることができる。
【0068】
【化4】

式中、R1、R2、X2、S、n2の各々は、局面(1) の定義に従うか、または本発明の側面 (1)(パートA)の実施形態のいずれかである。
【0069】
局面 (1) の実施形態 (C) における反応は、適切な反応条件下で実行すると有利である。局面 (1) の実施形態 (C) における適切な反応条件の非限定的な例は、触媒の存在下で式g(1) の化合物を式h (1) の化合物に還元することを含む。局面 (1) の実施形態 (C) で使用可能な触媒の非限定的な例は、白金族金属および類似物を含む。白金族金属である触媒の非限定的な例は、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、および類似物を含む。式g(1) の化合物の還元は、ジチオナイト、酸性液中の酸化鉄(II)、酸性液中の錫の使用など、触媒以外による還元でも可能である。局面 (1) の実施形態 (C) の別の実施形態では、反応がパラジウム炭素(Pd/C)の存在下で行われる。局面 (1)の実施形態 (C) の別の実施形態では、反応が約5%から約20%のPd/Cの存在下で行われる。局面(1) の実施形態 (C) の別の実施形態では、反応がエタノール中で約7%から約15%のPd/Cの存在下で行われる。局面(1) の実施形態 (C) の別の実施形態では、反応がエタノール中で約10%のPd/Cの存在下で行われる。局面(1) の実施形態 (C) の別の実施形態では、触媒を用いる還元が水素転移試薬の存在下で転移水素添加により行われ、この場合の水素転移試薬は、当業者がこの反応に適していると考える当該分野で周知の水素転移試薬を含む。局面(1) の実施形態 (C) の別の実施形態では、還元はギ酸およびギ酸アンモニウム、ギ酸アルキルアンモニウム、ギ酸カリウムなどのギ酸塩の水溶液中で行われる転移水素添加反応である。局面(1) の実施形態 (C) で使用可能な適切な反応条件の他の非限定的な例は、反応が起きる適切な溶媒の使用を含む。局面(1) の実施形態 (C) で使用可能な適切な溶媒の非限定的な例は、THF、AcOH、エタノール(EtOH)、EtOAcおよび類似物、またはそれらの混合を含む。局面(1) の実施形態 (C) で使用可能な適切な反応条件の他の非限定的な例は、反応で使用可能な適切な圧力下での水素ガスの使用を含む。局面(1) の実施形態 (C) で使用可能な適切な圧力は、約10 psiから約50 psiの範囲の圧力を含む。局面(1) の実施形態 (C) で使用可能な適切な反応条件の他の非限定的な例は、反応で使用可能な適切な温度の使用を含む。局面(1) の実施形態 (C) における反応で使用可能な温度は、当業者がこの反応に普通使用する温度を含む。局面(1) の実施形態 (C) の別の実施形態では、エタノールおよび濃塩酸を含む水の混合液中で、水素ガスで約40psiの圧力をかけ、約10%のパラジウム炭素の存在下で、還元反応を行うことができる。反応温度はほぼ外界温度である。還元反応の完了後、望ましい場合は、反応液をCelite(登録商標)カラムで濾過することにより、使用した触媒を除去できる。反応液は場合によっては、例えば炭酸カリウムなどの塩基性溶液をpHが約9〜11になるまで加えることにより、精製してもよい。それによって得た懸濁液を攪拌し、標準条件下で濾過し、固形物を回収できる。
【0070】
局面 (1) の実施形態(D) では、式f (1) の化合物を反応物y (1) と反応させ、式g (1) の化合物を得ることにより、式g (1) の化合物を作ることができる。
【0071】
【化5】

式中、LGは脱離基であり、R1、R2、X2、s、n2の各々は、本発明の局面 (1) の定義に従うか、または局面(1)(パートA)の実施形態のいずれかに従う。脱離基の非限定的な例は、ハロゲン族(塩素、臭素、フッ素など)を含む。2-フルオロ-4-ニトロフェノールなど、反応物y(1)のさまざまな化合物が市販されている。また、当業者は市販の開始物質を使い、既知の技法を用いて、それらの市販の開始物質を修飾し、反応物y(1) の範囲内のさまざまな化合物を作ることができる。
【0072】
本発明の局面(1) の実施形態 (D) における反応は、適切な反応条件下で実行すると有利である。局面 (1) の実施形態(D) における適切な反応条件の非限定的な例は、2,6-ジメチルピリジン(2,6-ルチジン)などの塩基性条件の使用を含む。局面(1) の実施形態 (D) における適切な反応条件の他の非限定的な例は、有機塩基を加えるときに適切な反応温度を使用することを含み、それは一般に、約120°Cから約180 °Cの範囲である。別の実施形態では、この反応温度は約130°Cから約160°Cである。別の実施形態では、この反応温度は約140°Cから約150°Cである。反応の完了後、炭酸カリウムなどの塩基溶液を反応液に加えて固形物を沈殿させ、標準条件下で濾過することにより、沈殿物を回収できる。
【0073】
局面 (1) の実施形態 (C) および (D) に代わる実施形態では、式f(1) の化合物を反応物uと反応させ、式h(1) の化合物を得ることにより、式h(1)の化合物を作ることができる。式中、R1、R2、X2、s、n2の各々は、本発明の局面 (1) の定義に従うか、または局面(1)(パートA)の実施形態のいずれかに従う。
【0074】
【化6】

式中、LGは脱離基である。脱離基の非限定的な例は、ハロゲン族(塩素、臭素、フッ素など)を含む。局面 (1) の実施形態 (C) および (D) に代わるこの方法は、適切な反応条件下で実行すると有利である。局面(1) の実施形態 (C) および (D) に代わるこの方法における適切な反応条件の非限定的な例は、適切な溶媒を含む。局面 (1) の実施形態 (C) および(D) に代わるこの方法における適切な溶媒の非限定的な例は、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、酢酸エチル、N-メチルピロリドン(NMP)、炭酸プロピレン、およびその類似物などの極性溶媒、またはそれらの混合を含む。局面(1) の実施形態 (C) および (D) に代わるこの方法における適切な反応条件の他の非限定的な例は、非求核塩基などの適切な塩基の使用を含む。使用可能な非求核塩基の非限定的な例は、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムテトラメチルピペリジド、およびナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド、およびその類似物、またはそれらの混合を含む。適切な反応条件の他の非限定的な例は、約75〜120 °C、あるいは85〜110 °C、あるいは95-100 °Cの範囲の反応温度を含む。その後、反応液の温度を約50 °C以下まで下げ、塩基および反応物uをさらに追加し、反応温度を再び上記の適切な反応温度まで上げ、追加の生成物を得た後、水に浸し、濾過することにより回収できる。
【0075】
局面 (1) の実施形態 (E) では、式e(1) の化合物を式f(1)の化合物に変換することにより、式f(1) の化合物を作ることができる。
【0076】
【化7】

式中、LGは脱離基であり、s、R1、R2の各々は、本発明の局面 (1) の定義に従うか、または局面(1)(パートA)の実施形態のいずれかに従う。局面 (1) の実施形態 (E) で使用可能な脱離基の非限定的な例は、ハロゲン化剤により追加できるハロゲン族(塩素、臭素、フッ素など)を含む。局面(1) の実施形態 (E) で使用可能なハロゲン化剤の非限定的な例は、SOCl2、SO2Cl2、COCl2、PCl5、POCl3およびその類似物などの塩素化剤を含む。
【0077】
本発明の局面(1) の実施形態 (E) における反応は、適切な反応条件下で実行すると有利である。局面 (1) の実施形態 (E) における適切な反応条件の非限定的な例は、適切な溶媒の使用を含む。本発明の局面(1) の実施形態 (E) で、式e(1) の化合物のハロゲン化における使用可能な適切な溶媒の非限定的な例は、ACN、DMFおよび類似物などの非プロトン性極性溶媒、またはそれらの混合を含む。他の実施形態では、塩素化にアセトニトリルに溶解したPOCl3、DMFに溶解したCOCl2、DMFに溶解したSOCl2を使用できる。塩素化剤の添加は約35°Cから約75°Cの範囲の温度で行うと有利である。別の実施形態では、塩素化剤の添加を約45°Cから約65°Cの範囲の温度で行う。別の実施形態では、塩素化剤の添加を約50°Cから約60°Cの範囲の温度で行う。塩素化反応の完了後、混合液を還流させながら、反応が完了するまで温度を維持する。その後、反応混合物を濾過して固形物を除去し、標準的な手法を使い、濾液中の生成物を抽出する。
【0078】
局面 (1) の実施形態(F) では、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸n-プロピル、ギ酸i-プロピルなどのギ酸アルキルを使い、式d(1) の化合物を式e(1) の化合物に変換することにより、式e(1)の化合物を作ることができる。
【0079】
【化8】

式中、s、R1、R2 の各々は、本発明の局面(1) の定義に従うか、または局面(1)(パートA)の実施形態のいずれかに従う。
【0080】
本発明の局面 (1) の実施形態 (F) における反応は、適切な反応条件下で実行すると有利である。局面 (1) の実施形態 (F) における適切な反応条件の非限定的な例は、適切な塩基を含む。局面(1) の実施形態 (F) で使用可能な適切な塩基の非限定的な例は、ナトリウムアルコキシド(例えばナトリウムエトキシド)などの強塩基を含む。局面 (1) の実施形態(F) における適切な反応条件の他の非限定的な例は、適切な溶媒を含む。局面 (1) の実施形態 (F) で使用可能な適切な溶媒の非限定的な例は、局面 (1) の実施形態 (F) で使用可能な適切な溶媒の非限定的な例は、例えばエタノールとギ酸エチルなど、エステルと組み合わせたアルコール、およびその類似物、またはそれらの混合を含む。局面(1) の実施形態 (F) における適切な反応条件の他の非限定的な例は、適切な温度の使用を含む。反応は約30°Cから約60°C の範囲の適切な温度で実行すると有利である。別の実施形態では、この反応を約40°Cから約50°Cで実行できる。別の実施形態では、この反応を約44°Cで実行できる。反応の完了後、例えばメチル-t-ブチルエーテル(MTBE)など、この生成物を沈殿させる任意の溶媒を加え、生成物を沈殿させる。次に、生成物を濾過により回収し、場合によっては標準的な手法を使い精製することができる。
【0081】
局面 (1) の実施形態(G) では、式c(1) の化合物を還元し、式d(1) の化合物を得ることにより、式d(1) の化合物を作ることができる。
【0082】
【化9】

式中s、R1、R2 の各々は、本発明の局面(1) の定義に従うか、または局面(1)(パートA)の実施形態のいずれかに従う。
【0083】
本発明の局面 (1) の実施形態 (G) における反応は、適切な反応条件下で実行すると有利である。局面 (1) の実施形態 (G) における適切な反応条件の非限定的な例は、触媒の存在下で式c(1)の化合物を式d(1) の化合物に還元することを含む。局面 (1) の実施形態 (G)において使用可能なそのような触媒の非限定的な例は、白金族金属および類似物を含む。白金族金属である触媒の非限定的な例は、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、および類似物を含む。式 g(1) の化合物の還元は、ジチオナイト、酸性液中の酸化鉄(II)、酸性液中の錫の使用など、触媒以外による還元でも可能である。局面(1) の実施形態 (G) の別の実施形態では、反応がパラジウム炭素(Pd/C)の存在下で行われる。局面(1) の実施形態 (G) の別の実施形態では、反応が約5%から約20%のPd/Cの存在下で行われる。局面(1) の実施形態 (G) の別の実施形態では、反応がエタノール中で約7%から約15%のPd/Cの存在下で行われる。局面(1) の実施形態 (G) の別の実施形態では、反応がエタノール中で約10%のPd/Cの存在下で行われる。局面(1) の実施形態 (G) の別の実施形態では、触媒を用いる還元が水素転移試薬の存在下で転移水素添加により行われ、この場合の水素転移試薬は、当業者がこの反応に適していると考える当該分野で周知の水素転移試薬を含む。局面(1) の実施形態 (G) の別の実施形態では、還元はギ酸およびギ酸カリウムの水溶液中で行われる転移水素添加反応である。局面(1) の実施形態 (G) で使用可能な適切な反応条件の他の非限定的な例は、反応が起きる適切な溶媒の使用を含む。局面(1) の実施形態 (G) で使用可能な適切な溶媒の非限定的な例は、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸(AcOH)、エタノール(EtOH)、EtOAc、イソプロパノール(IPA)および類似物、またはそれらの混合を含む。局面(1) の実施形態 (G) で使用可能な適切な反応条件の他の非限定的な例は、反応で使用可能な適切な圧力の使用を含む。局面(1) の実施形態 (G) で使用可能な適切な圧力は、約10 psiから約50 psiの範囲の圧力を含む。
【0084】
局面 (1) の実施形態(G) の別の実施形態では、還元が水素転移試薬の存在下で転移水素添加により行われ、この場合の水素転移試薬は、当業者がこの反応に適していると考える当該分野で周知の水素転移試薬である。局面(1) の実施形態 (G) の別の実施形態では、還元はギ酸およびギ酸カリウム、ギ酸アンモニウム、ギ酸アルキルアンモニウムなどのギ酸塩の水溶液中で行われる転移水素添加反応である。局面(1) の実施形態 (G) における適切な反応条件の他の非限定的な例は、反応に使用可能な適切な温度の使用を含む。反応は約30°C から約60°C の範囲の適切な温度で実行すると有利である。局面 (1) の実施形態 (G) における適切な温度範囲は、当業者が通常この反応に使用する温度を含む。反応の完了後、例えばメチル-t-ブチルエーテル(MTBE)など、この生成物を沈殿させる任意の溶媒を加え、生成物を沈殿させる。次に、生成物を濾過により回収し、場合によっては標準的な手法を使い精製することができる。局面(1) の実施形態 (G) の別の実施形態では、濃塩酸を含むエタノールと水の混合液に約10%のパラジウム炭素を加えた中で、水素ガスにより約40 psiの圧力をかけ、還元を実施する。反応温度はほぼ外界温度である。反応完了後、触媒を除去し、周知の手法を使い化合物を抽出できる。
【0085】
局面 (1) の実施形態 (H) において、式b(1) の化合物を
【0086】
【化10】

と反応させ、式c(1) の化合物を得ることにより、式c(1) の化合物を作ることができる。
【0087】
【化11】

式中、XbはBrまたはClである。s、R1、R2の各々は、本発明の局面 (1) の定義に従うか、または局面(1)(パートA)の実施形態のいずれかに従う。
【0088】
本発明の局面 (1) の実施形態 (H) における反応は、適切な反応条件下で実行すると有利である。局面(1) の実施形態 (H) における適切な反応条件の非限定的な例は、反応を起こすための相転移触媒の使用を含む。局面 (1) の実施形態 (H) で使用可能な相転移触媒の非限定的な例は、メチルトリブチルアンモニウムクロリド、メチルトリエチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド一水和物、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロミド(Bu4NBr)、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、およびその類似物を含む。別の実施形態において、局面(1) の実施形態 (H) で使われる相転移触媒はテトラ-n-ブチルアンモニウムブロミド(Bu4NBr)である。局面 (1) の実施形態(H) における適切な反応条件の 他の非限定的な例は、反応を起こすための塩基性条件の使用を含む。局面 (1) の実施形態 (H) で使用可能な塩基の非限定的な例は、Cs2CO3、K2CO3、Na2CO3およびその類似物、またはそれらの混合物を含む。別の実施形態において、局面(1) の実施形態 (H) で使われる塩基はK2CO3である。局面 (1) の実施形態 (H) における適切な反応条件の他の非限定的な例は、反応を起こすための適切な溶媒の使用を含む。局面(1) の実施形態 (H) で使用可能な溶媒の非限定的な例は、ジメトキシメタン(DME)、THF、トルエン、ジクロロメタン、およびその類似物、またはそれらの混合を含む。別の実施形態では、局面(1) の実施形態 (H) で使われる溶媒はトルエンである。局面 (1) の実施形態 (H) の別の実施形態では、相転移触媒はテトラ-n-ブチルアンモニウムボロミド(Bu4NBr)、溶媒はトルエン、塩基はK2CO3(炭酸カリウム)である。生成物は当業者に知られる抽出方法により抽出できる。
【0089】
本発明の局面 (1) の実施形態 (I) において、式a(1) の化合物をHNO3と反応させ、式b(1) の化合物を得ることにより、式b(1)の化合物を作ることができる。
【0090】
【化12】

式中、XbはBrまたはClである。sは、本発明の局面 (1) の定義に従うか、または局面(1)(パートA)の実施形態のいずれかに従う。
【0091】
本発明の局面 (1) の実施形態 (I) における反応は、適切な反応条件下で実行すると有利である。局面 (1) の実施形態 (I) における適切な反応条件の非限定的な例は、H2SO4などの酸性溶液中で、式a(1) の化合物をHNO3と反応させることを含む。局面 (1) の実施形態 (I) で使用可能な適切な反応条件の他の非限定的な例は、約0°Cから約15°Cの範囲の温度で、あるいは約3°Cから約10°Cの範囲の温度で、あるいは約5°Cから約10°Cの範囲の温度で反応させることを含む。生成物b(1)は、例えばメチレンクロリド、水、重炭酸カリウム水溶液を使用するなど、当業者に知られる抽出方法により分離できる。
【0092】
本発明の局面 (1) の実施形態 (J) における反応は、適切な反応条件下で実行すると有利である。局面 (1) の実施形態 (J) における適切な反応条件の非限定的な例は、POCl3、塩化オキサリルなどの塩素化剤およびその類似物の使用を含む。局面 (1) の実施形態 (J) の別の実施形態においては、塩素化剤として塩化オキサリルを使用する。局面 (1) の実施形態(J) における適切な反応条件の非限定的な例は、約0°Cから約15°Cの範囲の温度で、あるいは約3°Cから約10°Cの範囲の温度で、あるいは約5°Cから約10°Cの範囲の温度で、反応を実施することを含む。局面(1) の実施形態 (J) における適切な反応条件の他の非限定的な例は、適切な溶媒中で反応を実施することを含む。局面 (1) の実施形態 (J) において使用可能な適切な溶媒の非限定的な例は、ハロゲン化炭化水素すなわちジクロロメタン、クロロホルム、またはエーテル類すなわちEt2O、ジオキサン、触媒作用を持つDMFを含むテトラヒドロフラン(THF)などの非プロトン性極性溶媒、およびその類似物、またはそれらの混合を含む。その結果として得る反応物z(1)を含む溶液は、それ以上の処理を加えずに、本発明の局面 (1) の式 i(1) の化合物を生成するために使用できる。
【0093】
本発明の局面 (1) の別の実施形態では、式i(1) の化合物が式i(2) の化合物、
【0094】
【化13】

またはその薬学的に許容される塩であり、式中、X2はH、Cl、Br、Fのいずれかである。
【0095】
式i(1) の化合物に関する上記の言及と同様に、式i(2) の化合物は遊離塩基であるか、またはその薬学的に許容される塩でもよい。従って、式i(2)の化合物はマレイン酸および適切な溶媒を加えることにより、ビスマレイン酸塩に変換でき、また、式i(2) の化合物は、リン酸および適切な溶媒を加えることにより、ビスリン酸塩に変換できる。
【0096】
本発明の局面 (1) の別の実施形態では、式i(2) の化合物においてX2はFである。
【0097】
本発明の局面 (1) の実施形態 (I) の別の実施形態において、式a(1) の化合物が式a(2) の化合物である。
【0098】
【化14】

式中、XbはBrまたはClである。
【0099】
式 b(1) の化合物は式b(2) である。
【0100】
【化15】

式中、XbはBrまたはClである。
【0101】
本発明の局面 (1) の実施形態 (H) の別の実施形態において、式 b(1) の化合物は式b(2) の化合物である。
【0102】
【化16】

式中、XbはBrまたはClである。
【0103】
式c(1) の化合物は式c(2) の化合物である。
【0104】
【化17】

式中、XbはBrまたはClである。
【0105】
【化18】

はモルホリンである。
【0106】
本発明の局面 (1) の実施形態 (G) の別の実施形態において、式c(1) の化合物は式c(2) の化合物である。
【0107】
【化19】

式d(1) の化合物は式d(2) の化合物である。
【0108】
【化20】

本発明の局面 (1) の実施形態 (F) の別の実施形態において、式d(1) の化合物は式d(2) の化合物である。
【0109】
【化21】

式e(1) の化合物は式e(2) の化合物である。
【0110】
【化22】

本発明の局面 (1) の実施形態 (E) の別の実施形態において、式e(1) の化合物は式e(2) の化合物である。
【0111】
【化23】

式f(1) の化合物は式f(2) の化合物である。
【0112】
【化24】

本発明の局面 (1) の実施形態 (D) の別の実施形態において、式f(1) の化合物は式f(2) の化合物である。
【0113】
【化25】

反応物y(1) は反応物 (y)(2) である。
【0114】
【化26】

式中、X2はクロロまたはフルオロである。
【0115】
式g(1) の化合物は式g(2) の化合物である。
【0116】
【化27】

本発明の局面 (1) の実施形態 (C) の別の実施形態において、式g(1) の化合物は式g(2) の化合物である。
【0117】
【化28】

式中、X2はクロロまたはフルオロである。
【0118】
式h(1) の化合物は式h(2) の化合物である。
【0119】
【化29】

局面 (1) の実施形態 (C) および (D) に代わる実施形態において、式f(1) の化合物は式f(3) の化合物である。
【0120】
【化30】

式h(1) の化合物は式h(3) の化合物である。
【0121】
【化31】

反応物uは反応物u2である。
【0122】
【化32】

本発明の局面 (1) の別の実施形態において、式h(1) の化合物は式h(2) の化合物である。
【0123】
【化33】

式中、X2はフルオロである。
【0124】
反応物 g(1) は反応物 (g)(2) である。
【0125】
【化34】

式 i(1) の化合物は式i(2) である。
【0126】
【化35】

定義
本明細書で使用する以下の語および語句は一般に、以下に定める意味を持つことを意図するが、ただし、それらが使用される文脈で、別の意味であることが示される限り、またはそれらが別の意味を持つと明示的に定義される場合は例外とする。
【0127】
「〜できる、可能である(can)」という語は、「〜なければならない、必要とする(must)」という語と対比し、非限定的な意味で使用する。従って、例えば本発明の多くの局面における特定の要素が、指定された固有の特性を持つことが「できる」と記載する場合、それは本発明に従い、当該要素がその固有の特性を持つことが許されるという意味であり、それを持つ必要があるという意味ではない。
【0128】
特に別に定義する場合を除き、原子団「R」が環上で「浮遊する(floating) 」と形容した場合、それは安定した構造が形成される限り、「R」が環を形成するどの原子にも存在しうることを意味し、環の原子の1つとして記載されるか、暗示されるか、または明示的に定義される水素を置換すると仮定する。
【0129】
そのような「浮遊する」原子団が複数存在する場合、例えば化学式において2つの原子団、すなわち「R」および親構造との結合を示す化学結合が存在する場合は、特に別に定義する場合を除き、「浮遊する」原子団は環のどの原子にも存在しうることを意味し、その各々が、記載されるか、暗示されるか、または明示的に定義される環上の水素を置換すると仮定する。
【0130】
薬学的に許容される塩は酸付加塩を含む。
【0131】
「薬学的に許容される酸付加塩」は、遊離塩基の生物学的有効性を保持し、生物学的または他の意味で不所望ではない塩であって、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、およびその類似物、またはそれらの混合などの無機酸、および酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、およびその類似物、またはそれらの混合などの有機酸と共に形成される塩を意味する。
【0132】
本発明は以下の例によりさらに詳しく説明するが、本発明の範囲または精神を、それらにおいて記載する特定の手順に限定するものではない。
【0133】
他に指定しない限り、開始物質およびさまざまな中間物は、市販商品として購入するか、市販の有機化合物から調製するか、またはよく知られている合成方法を使い調製することができる。
【0134】
実験手順
本発明は以下の例の図1およびその説明により、さらに詳しく説明するが、本発明の範囲または精神を、それらにおいて記載する特定の手順に限定するものではない。本発明に包含される化合物を生成するには、以下の例で実証するように、開始物質を変更し、追加の段階を導入できることを、当業者は認識するはずである。やはり当業者が認識する点として、上記の変換の一部を達成するために、異なる溶媒または試薬の使用を必要とする場合がある。
【0135】
他に指定しない限り、すべての試薬および溶媒は市販の標準的な等級であり、それ以上の精製を加えずに使用する。例えば空気、窒素、水素、アルゴン、およびその類似物などの反応を進めるために適切な気体は、当業者には明らかである。
【0136】
【化36】

【0137】
【化37】

上図1におけるXaおよびXbは、その各々がBrまたはClである。下図1の説明に記載する中間物の名称に関し、XaおよびXbは、ハロゲンと記載する。これらの中間物に関し、このハロゲンはBrまたはClである。ハロゲンに関するこの定義は、下図1の説明における中間物にのみ該当し、定義部分におけるハロゲンの定義を変えるものではない。
【0138】
1-[5-メトキシ-4 (3-ハロプロポキシ)-2-ニトロフェニル]エタノンの調整法
事前に混合した水(80 L)と濃硫酸の96%溶液(88 L)を5°C に冷却し、1-[4-(3-ハロプロポキシ)- 3-メトキシフェニル] エタノン(両方とも市販されている)の溶液が入った反応器に、バッチの温度が約18°Cを超えない程度の速度で注入した。溶液を5°Cに冷却し、バッチの温度が約10°Cを超えない程度の速度で65%硝酸(68L)を加えた。HPLC分析により、反応の完了を確認した。塩化メチレン(175 L)を、冷水(1500 Lの水に450 Kgの氷を加え、1800 Lにする)を含む別の反応器に注入した。この混合物に酸性の反応混合物を加えた。塩化メチレン層を分離した後、水層から塩化メチレン(78L)で逆抽出した。両方の塩化メチレン層を合わせ、炭酸水素ナトリウム水溶液で2回洗浄した、次に水(50 L)で洗浄した後、減圧蒸留により濃縮した。1-ブタノール(590L)を加え、混合液を再度、減圧蒸留により濃縮した。得られた溶液を約20°Cで攪拌する間に、生成物が結晶化した。濾過により固形物を回収し、ヘプタン(100 L)で洗浄し、表題の化合物を得た(湿重量89.8kg)。母液を濃縮し、得られた固形物を濾過し、n-ヘプタン(45 L)で洗浄し、再度、表題化合物を得た(湿重量25 kg)。両方の産物を合わせ、35°Cの回転乾燥機で乾燥させ、生成物を得た(99.7kg、25.6% LOD)。それ以上乾燥させずに、それを次の段階で直接使用した。3回分のバッチの生成を行った。
【0139】
1HNMR (400MHz, DMSO-d6): δ.7.69(s, 1H), 7.24 (s, 1H); 4.23 (m, 2H), 3.94 (s, 3H), 3.78 (t)-3.65 (t) (2H), 2.51(s, 3H), 2.30-2.08 (m, 2H) LC/MS [M(Cl)+H]+ のCalcd(計算値)288.1, found(実測値) 288.0; [M(Br)+H]+ のCalcd(計算値)332.0, 334.0,found(実測値) 331.9, 334.0。
【0140】
1-[5-メトキシ-4-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)-2-ニトロフェニル]-エタノンの調製
前の段階で分離した含溶媒湿潤ケーキ(湿重量82.8 kg、計算乾燥重量74.2 kg)をトルエン(390 L)に溶解した。ヨウ化ナトリウム(29.9 kg)および水(170 L)に溶解した炭酸カリウム(53.0kg)の溶液をこの溶液に加えた後、テトラブチルアンモニウムブロミド(8.3kg)およびモルホリン(67 L)を加えた。得られた二相の混合物を約85°Cで約10時間加熱した(反応の完了は工程中のHPLCで確認した)。その後、混合物を外界温度まで冷却し、有機層を分離した。水層からトルエン(103L)で逆抽出した。トルエン層を合わせ、5%チオ硫酸ナトリウム[水(550 L)にチオ硫酸ナトリウム(26.8 kg)を溶解]で2回(各259 L)洗浄した後、NaCl水溶液(256L。15 kgのNaClを300 Lの水に溶解)で2回洗浄した。得られた溶液を減圧濃縮した後、n-ヘプタン(340 L)を加えた。そのスラリーを濾過し、n-ヘプタン(75L)で洗浄し、表題の化合物を得た(HPLCによるAUCは92%湿重量82.8 kg、乾燥重量に換算して67.2 kg)。それを乾燥させずに、次の段階で使用した。この段階では、4回分のバッチの生成を行った。
【0141】
1HNMR (400MHz, DMSO-d6): δ.7.64(s, 1H), 7.22 (s, 1H), 4.15 (t, 2H), 3.93 (s, 3H), 3.57 (t, 4H), 2.52 (s, 3H),2.44-2.30 (m, 6H), 1.90 (quin, 2H); LC/MS [M+H]+ のCalcd(計算値) 339.2, found(実測値) 339.2。
【0142】
1-[2-アミノ-5-メトキシ-4-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)-フェニル]-エタノンの調製
前の段階で得た生成物(30.3 kg)の次にエタノール(22 L)および10%パラジウム炭素( Pd C、50%水分含有、2.75 kg)を反応器に注入した。そのスラリーを約48°Cに熱し、ギ酸(12L)およびギ酸カリウム(22.6 kg)および水(30.8 L)を加えた。添加が完了し、HPLCにより反応の完了を確認した後、副産物の塩を溶解するために水(130L)を加えた。この混合物を濾過し、不溶性の触媒を取り除いた。Pd-Cケーキを洗浄水(25 L)で洗浄した。濾過液を減圧下で濃縮し、トルエン(105 L)を加えた。炭酸カリウム水溶液(70 L。28.9 kgのK2CO3を115 Lの水に溶解)を加え、混合物を塩基性にした(pHは10)。それに塩化メチレン(20 L)を加えた。有機層を分離し、水層に塩化ナトリウム(26.3kg)を加え、そこからトルエン(125 L)で逆抽出した。有機層を合わせ、炭酸カリウム(前述の炭酸カリウム水溶液45 L)および水(135 L)で洗浄し、相を分離させた。有機層にトルエン(110L)を加え、減圧濃縮した後、再度トルエン(110 L)を加え、減圧濃縮した。工程中検査(カール・フィッシャー法)により乾燥を確認した。表題の化合物を含む溶液をそれ以上処理せずに、次の段階で使用した。
【0143】
1HNMR (400MHz, DMSO-d6): δ.7.11(s, 1H), 7.01 (br s, 2H), 6.31 (s, 1H), 3.97 (t, 2H), 3.69 (s, 3H), 3.57 (t,4H), 2.42 (s, 3H), 2.44-2.30 (m, 6H), 1.91 (quin, 2H LC/MS [M+H]+ のCalcd(計算値)309.2, found(実測値) 309.1。
【0144】
6-メトキシ-7-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)-キノリン-4-オルジヒドロクロリド二水和物の調製
ナトリウムエトキシド(98 L、21%エタノール溶液)およびギ酸エチル(37 L)を、前の段階の溶液に加えた。この溶液を約46°Cで約3時間加熱した。反応の完了をHPLCで確認した後、混合物に水(100L)を注入し、濃塩酸(37%、50 L)を加えて溶液を酸性にした(pH=1)。水相にアセトン(335 L)を注入し、混合物を約10°Cに冷却し、5時間攪拌してスラリーを得た。濾過により生成物を回収し、生成物をアセトン(60L)で洗浄した後、約40°Cで減圧し、乾燥させた。乾燥した表題の化合物(33.8 kg)は、HPLCにより純度98%であることが確認された(HPLCによる曲線下面積[AUC])。上記の手順により、6ロットの表題化合物が生成された。
【0145】
1HNMR (400MHz, DMSO-d6): δ.11.22(br s, 1H), 8.61 (d, 1H), 7.55 (s, 1H), 7.54 (s, 1H), 7.17 (d, 1H), 4.29 (t, 2H), 3.99 (m, 2H), 3.96 (s, 3H), 3.84 (t, 2H), 3.50 (d, 2H), 3.30 (m, 2H), 3.11 (m,2H), 2.35 (m, 2H), LC/MS [M+H]+ のCalcd(計算値)319.2, found(実測値) 319.1。
【0146】
4-クロロ-6-メトキシ-7-(3-モルホリン-4-イル)-キノリンの調製
50〜55°C に熱したアセトニトリル(235 L)に溶解した前段階の化合物(40.0 kg)の溶液にオキシ塩化リン(59.5 kg)を加えた。添加の完了後、混合物を還流加熱し(約82°C)、攪拌しながら約10時間その温度に保った後、工程中に行うHPLC分析のためのサンプリングを行った。開始物質の残量が5%以下になった時点で、反応は完了とみなされた。反応混合物を20〜25°Cに冷却し、塩化メチレン(100L)を注入した。得られた混合物を事前に混合した塩化メチレン(155 L)、水酸化アンモニウム(230 L)、氷(175 kg)中で、温度を30°C未満に維持しつつクエンチした。得られた二相の混合物を分離し、水層を塩化メチレン(110L)で逆抽出した。塩化メチレン溶液を合わせ、水(185 L)で洗浄し、減圧濃縮した(残留容積が40 Lになるまで)。これをそれ以上処理せずに、次の段階で使用した。
【0147】
1HNMR (400MHz, DMSO-d6): δ.8.61(d, 1H), 7.56 (d, 1H), 7.45 (s, 1H), 7.38 (s, 1H), 4.21 (t, 2 H), 3.97 (s, 3H),3.58 (m, 2H), 2.50-2.30 (m, 6H), 1.97 (quin, 2H) LC/MS [M+H]+ のCalcd(計算値)458.2, found(実測値) 458.0。
【0148】
4-(2-フルオロ-4-ニトロフェノキシ)-6-メトキシ-7-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)キノリンの調製
生成物(前段階での)および2-フルオロ-4-ニトロフェノール(16.8 kg)を2,6-ルチジン(55 L)に溶解した溶液を約160°Cで約3時間攪拌した後、サンプリングして工程中のHPLC分析を行った。前段階の化合物の変換により(> 83 %、HPLC)、反応は完了とみなされた。次に、反応混合物を約75°Cに冷却し、水(315L)を加えた。水(90 L)に溶解した炭酸カリウム(47.5 kg)を混合物に加え、外界温度で1夜、攪拌した。沈殿した固形物を濾過により回収し、水(82 L)で洗浄した。湿潤固形物を塩化メチレン(180L)に溶解し、炭酸カリウム水溶液(65 L、重量%で5%)を注入し、0.4時間攪拌し、相を分離させた。この操作を4回繰り返し、得た溶液を35°Cで減圧濃縮した(残留容積40L)。次に、t-ブチルメチルエーテル(85 L)を注入し、35°Cで減圧蒸留を継続した(残留容積50 L)。この操作を3回繰り返した。次に、湿潤固形物をMTBE(70L)中で約0.3時間、約52°Cまで熱した。固形物を濾過し、MTBE(28 L)で洗浄した。この操作を2回繰り返した。湿潤固形物を35〜45°Cに熱して減圧下で乾燥させた結果、表題の化合物である4-(2-フルオロ-4-ニトロフェノキシ)-6-メトキシ-7-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)キノリンを得た(20.2kg、AUCは99%)。バッチ2回分の表題化合物の生成を行った。
【0149】
1HNMR (400MHz,DMSO-d6): δ 8.54 (d, 1H),8.44 (dd, 1H), 8.18 (m, 1H), 7.60 (m, 1H), 7.43 (s, 1H), 7.42 (s, 1H), 6.75 (d,1H), 4.19 (t, 2H), 3.90 (s, 3H), 3.56 (t, 4H), 2.44 (t, 2H), 2.36 (m, 4H), 1.96(m, 2H). LC/MS [M+H]+ のCalcd(計算値)337.1, 339.1, found(実測値) 337.0, 339.0。
【0150】
3-フルオロ-4-[6-メトキシ-7-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)-キノリン-4-イルオキシ]-フェニルアミンの調製
濃塩酸(12.5 L)を含むエタノール(100 L)および水(87 L)の混合液に前段階の生成物(20.4 kg)と10%パラジウム炭素(水分含有率50%、4.3kg)を加え、反応器を水素ガスで加圧した(約5バール)。反応混合物の温度を46°C以下に抑えた。工程中のHPLC分析で反応の完了を確認し(通常2時間)、水素を排気し、窒素で不活性化した。反応混合物をCeliteTMで濾過し、触媒を除去した。pHを調整(約10)するために、炭酸カリウム水溶液(65L、5%)を加えた。スラリーを濾過し、水(63 L)で洗浄した。湿潤固形物をアセトニトリル(55 L)と水(55 L)に懸濁した後、反応混合物を約0.3時間攪拌した。固形物を濾過し、水(35L)、アセトニトリル(35 L)、トルエン(35 L)で順次洗浄した。固形物をトルエン(100 L)に懸濁し、共沸蒸留により乾燥させた。共沸蒸留を3回繰り返した。最後に、トルエン懸濁液を冷却し、固形物を濾過し、トルエン(15L)で洗浄し、減圧して40〜45°Cで乾燥させ、表題の化合物を得た(13.9 kg、AUCは100%)。バッチ2回分の表題化合物の生成を行った。
【0151】
1H NMR (400MHz,DMSO-d6): δ 8.45 (d, 1H),7.51 (s, 1H), 7.38 (s, 1H), 7.08 (t, 1H), 6.55 (dd, 1H), 6.46 (dd, 1H), 6.39(dd, 1H), 5.51 (br. s, 2H), 4.19 (t, 2H), 3.94 (s, 3H), 3.59 (t, 4H), 2.47 (t,2H), 2.39 (m, 4H), 1.98 (m, 2H). LC/MS[M+H]+ の計算値428.2, found(実測値) 428.1
直接結合の手順
【0152】
【化38】

ジメチルアセトアミド(35 mL)にクロロキノリン(3.37 g、10 mmol)を懸濁したものに固体のtert-ブトキシド(1.20 g、12.5mmol)を加えた後、固体の2-フルオロ-4-ヒドロキシアニリンを加えた。この深緑色の反応混合物を95〜100 °Cで18時間加熱した。HPLC分析により、開始物質の約18%が残っており、約79%が生成物であることを確認した。反応混合物を50°C未満に冷却し、さらに固体tert-ブトキシド(300 mg、3.125 mmol)およびアニリン(300 mg、2.36 mmol)を加え、95〜100°Cの温度に戻した。18時間後に行ったHPLC分析では、開始物質の3%以下が残っていることを確認した。反応混合物を30 °C未満に冷却し、温度を30 °C未満に維持した状態で、氷水(50mL)を加えた。室温で1時間攪拌した後、濾過により生成物を回収し、水で洗浄し(2 x 10 mL)、減圧し、濾過用漏斗上で乾燥させ、茶色の固形の結合生成物4.11gを得た(収量96%、水分含有量を考慮して補正すると89%)。
【0153】
1HNMRおよびMS:生成物と一致。97.8% LCAP。水分はKFで約7重量パーセント。
N-{3-フルオロ-4-[6-メトキシ-7-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)-キノリン-4-イルオキシ]-フェニル}-N’-フェネチルオキサルアミドの調製
前段階で得た化合物(13.7 kg)、ジメチルホルムアミド(70 L)、トリエチルアミン(6.8 kg)を反応器に注入した。反応器の内容を約5°Cに冷却し、反応温度を25°C未満に維持するために、クロロオキソ酢酸エチル(5.2kg)を加えた。反応完了後(通常2〜4時間。HPLCにより、前段階で得た化合物の残留分のAUCが2%未満)、反応温度を30°C に維持しつつ、2-フェニルエチルアミン(10.0kg)のテトラヒドロフラン(40 L)溶液を反応器に注入した。HPLCにより、エチルエステルの残留分のAUCが2%未満になった時点で、反応は完了したとみなした(通常、2〜4時間で完了)。反応器の内容を20〜25°Cに冷却し、温度が20°C未満を維持する速度で、氷(44kg)、水(98 L)、エタノール(144 L)の混合液に注入した。次に、反応器の内容を20〜25°Cで5時間以上攪拌した。スラリーを50°Cで減圧濃縮した。次に、水を注入し、それによって得た固形沈殿物を濾過により回収し、エタノール(100L)および水(100 L)の混合液で洗浄し、60〜65°Cで減圧下で乾燥し、表題の化合物を得た(16.9 kg。HPLCで98.7%)。それを次の段階で使用した。
【0154】
この段階で2回目のバッチを、同様の方法を用いて生成したが、得た表題化合物の量は前回よりも少なかった。次の方式を使い、これを再結晶化させた。
【0155】
表題化合物(17.2 kg)を約60°C に熱したTHF(172 L)および水に懸濁し、完全に溶解するまで攪拌した。次に、エタノール(258L)を加え、混合物を約25°Cに冷却し、8時間以上攪拌した。スラリーを濾過し、固形物をエタノールと水の混合液(1:1、168 L)で洗浄した。生成物を約50°Cで減圧下で乾燥させ、表題の化合物を得た(10.1kg。HPLCで98.3%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 9.37 (s, 1H),8.46 (d, 1H), 7.81 (dd, 1H), 7.57 (t, 1H), 7.53 (s, 1H), 7.42 (s, 2H),7.34-7.20 (m, 6H), 6.39 (d, 1H), 4.27 (t, 2H), 4.03 (s, 3H), 3.71 (m, 4H), 3.65(q, 2H), 2.91 (t, 2H), 2.56 (br s, 4H), 2.13 (m, 2H); 13C NMR (100MHz, d6-DMSO): δ 160.1, 160.0,159.5, 155.2, 152.7, 152.6, 150.2, 149.5, 147.1, 139.7, 137.3, 137.1, 129.3,129.1, 126.9, 124.8, 117.9, 115.1, 109.2, 102.7, 99.6, 67.4, 66.9, 56.5, 55.5,54.1, 41.3, 35.2, 26.4; IR (cm-1): 1655, 1506, 1483, 1431, 1350,1302, 1248, 1221, 1176, 1119, 864, 843, 804, 741, 700; LC/MS (M+H)に関するCalcd(計算値) 603.66, found (実測値) 603。
【0156】
N- {3-フルオロ-4- [6-メトキシ-7- (3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)-キノリン-4-イルオキシ]-フェニル}-N'-フェネチルオキサルアミド二リン酸の調整
前段階で得た化合物(16.8 kg)を反応器に注入し、エタノール(170 L)を加えた。バッチの温度が30°Cを超えないような速度でリン酸(10%、72.6 kg)を加えた。次に、バッチを約60°Cに熱し、3時間攪拌し、完全な溶解を確認した。バッチを20〜25°Cに冷却し、約6時間攪拌し、その間に生成物が沈殿した。固形物を濾過により回収し、エタノール(152L)で2回洗浄し、55〜60°Cの減圧下で乾燥させ、表題の化合物を得た(18.0 kg)。同様の戦略を使い、バッチ2回分の表題化合物の生成を行った(9.9kg)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): 11.04 (s, 1H), 9.14 (t, 1H), 8.48 (d, 1H),8.04 (dd, 1H), 7.84 (br d, 1H), 7.55 (s, 1H), 7.50 (t, 1H), 7.46 (br s, 1H),7.32 (m, 2H), 7.24 (m, 3H), 6.48 (d, 1H), 4.24 (br s, 2H), 3.96 (s, 3H), 3.74(bs, 4H), 3.48 (q, 2H), 2.85 (m, 8H), 2.14 (br s, 2H)。
【0157】
上記の開示では、内容を明確にし、理解を促進するために、図および例を使い、ある程度詳しく説明した。また、本発明は、さまざまな特定の好ましい実施形態および技法を参照して説明した。しかし、本発明の精神および範囲からはずれることなく、多数の変更や修正を加えることが可能である。添付した請求項の範囲内で、変更や修正が可能であることは、当業者には明らかである。このため、上記の説明は限定を意図したものではなく、例示を意図したものである。従って、本発明の範囲は、前述の説明を基準として決まるのではなく、以下に添付する請求項、およびそれらの請求項で可能な同等の内容の全範囲を基準として決まる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式i(1) の化合物
【化39】

またはその薬学的に許容される塩を調製する方法。
式中、R1およびR2は、それらが結合する窒素原子と共に、6員のヘテロシクロアルキル基を形成する。
X1はH、Br、Cl、Fのいずれかである。
X2はH、Br、Cl、Fのいずれかである。
sは2〜6である。
n1は0〜2である。
n2は0〜2である。
この方法は以下を含む。
式h(1) の化合物を反応物z(1) および反応物g(1) と接触させ、i(1)の化合物を得ること。
【化40】

【請求項2】
請求項1に従う方法であって、sが3であり、R1およびR2はそれが結合する窒素原子と共にモルホリニルを形成する。
【請求項3】
請求項1に従う方法であって、式g(1) の化合物を還元し、式h (1) の化合物を得ることにより、式h (1) の化合物を作る。
【化41】

式中、R1、R2、X2、Sおよびn2の各々は請求項1の定義に従う。
【請求項4】
請求項1に従う方法であって、式f (1) の化合物を反応物uと反応させ、式h (1)の化合物を得ることにより、式h (1) の化合物を作る。
【化42】

式中、LGは脱離基である。
【請求項5】
請求項3に従う方法であって、式f(1) の化合物を反応物y (1) と反応させ、式g (1) の化合物を得ることにより、式g (1) の化合物を作る。
【化43】

式中、LGは脱離基を表し、R1、R2、X2、Sおよびn2の各々は請求項1の定義に従う。
【請求項6】
請求項5に従う方法であって、式e(1)の化合物を式f(1) の化合物に変換することにより、式f(1) の化合物を作る。
【化44】

式中、LGは脱離基を表し、s、R1およびR2の各々は請求項1の定義に従う。
【請求項7】
請求項6に従う方法であって、式d(1) の化合物にギ酸アルキルを添加し、式e(1) の化合物に変換することにより、式e(1) の化合物を作る。
【化45】

式中、s、R1およびR2の各々は請求項1の定義に従う。
【請求項8】
請求項7に従う方法であって、式c(1) の化合物を還元し、式d(1) の化合物を得ることにより、式d(1)の化合物を作る。
【化46−1】

式中、s、R1およびR2の各々は請求項1の定義に従う。
【請求項9】
請求項8に従う方法であって、式b(1)の化合物を
【化46−2】

と反応させ、式c(1) の化合物を得ることにより、式c(1) の化合物を作る。
【化47】

式中、 XbはBrまたはClである。s、R1およびR2の各々は請求項1の定義に従う。
【請求項10】
請求項9に従う方法であって、式a(1) の化合物をHNO3と反応させて式b(1) の化合物を得ることにより、式b(1) の化合物を作る。
【化48】

式中、XbはBrまたはClである。s、R1およびR2の各々は請求項1の定義に従う。
【請求項11】
請求項1に従う方法であって、式i(1) の化合物はi(2) の化合物
【化49】

またはその薬学的に許容される塩である。式中、
X2はH、Cl、Br、Fのいずれかである。
【請求項12】
請求項5に従う方法であって、式 f(1) の化合物は式f(2) の化合物である。
【化50】

反応物y(1) は反応物 (y)(2) である。
【化51】

式中、 X2はクロロまたはフルオロである。
式g(1) の化合物は式g(2) の化合物である。
【化52】

【請求項13】
請求項3に従う方法であって、式g(1) の化合物は式g(2) の化合物である。
【化53】

式中、X2はクロロまたはフルオロである。
式h(1) の化合物はh(2)の化合物である。
【化54】

【請求項14】
請求項1に従う方法であって、式h(1) の化合物は式h(2) の化合物である。
【化55】

式中、 X2はフルオロである。
反応物 g(1) は反応物 g(2) である。
【化56】

式i(1) の化合物は式i(2) である。
【化57】


【公表番号】特表2012−511017(P2012−511017A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539731(P2011−539731)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/066747
【国際公開番号】WO2010/065838
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(506024489)エグゼリクシス, インコーポレイテッド (50)
【Fターム(参考)】