説明

キメラタンパク質及び電子伝達法におけるその使用

【課題】キメラタンパク質が固定化された電極を提供する。
【解決手段】キメラタンパク質は、ある供給源由来の酸化還元触媒領域及びこれと異なる供給源由来の電子伝達領域を含む。上記タンパク質は、上記酸化還元触媒領域のための基質が作用し、電子を上記酸化還元触媒領域と上記電子伝達領域との間で、及び、上記電子伝達領域と電極との間で移動させる方法において用いられる。上記電極における電流又は電圧を、分析対照物である基質の存在又は量を決定するために監視することができる。また、電流は、上記電極を通って、上記基質の反応を引き起こすために、例えば試料を解毒するために放出されてよい。上記酸化還元触媒領域はチトクロムP450由来のものが好ましく、上記電子伝達領域はフラボドキシンであってよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キメラタンパク質を用いて電気化学的処理を行う方法及びキットに関する。
【背景技術】
【0002】
チトクロムP450(P450)は生物分析分野と深い関連がある(非特許文献1)。P450は、今日使用されている薬剤のほとんどの代謝に重要な組織の全てに存在する酵素で、一大ファミリーを形成しており、薬剤の開発と発見の過程で重要な役割を果たしている(非特許文献2、3)。P450は、酸素分子の原子2つのうち1つが様々な基質(R)の広範囲の場所に挿入されるのを触媒し、同時にもう1つの酸素原子を下記の反応に従って水に還元する反応を引き起こす。
RH+O+2e+2H→ROH+H
【0003】
P450はこのように重要であるにも関わらず、電極表面との相互作用が小さいことや、哺乳類のP450が生体膜と結合することに関わる問題があるため、P450を生物分析分野に応用するのは困難である。それでもやはり、新規の潜在的な薬剤の代謝的変換又は毒性の傾向を高速で大量にスクリーニングするための電極を作成できれば、この酵素を素晴らしく応用できる可能性がある。
【0004】
チトクロムP450BM3は、触媒として自給自足できる可溶性の脂肪酸モノオキシゲナーゼであり、巨大菌(Bacillus megaterium)から単離された(非特許文献4、5)。この酵素が多領域構造を有していること、すなわち1048個の残基からなる119kDaのポリペチド鎖1つに融合している3つの領域、FAD1つ、FMN1つ及びヘム領域1つからなっている点が特に興味深い。更に、P450BM3は、細菌由来であるにも関わらず、ミクロソームに存在する真核生物のP450に代表される、クラスIIのP450酵素に分類される(非特許文献6)。P450BM3は、その配列の30%がミクロソームの脂肪酸w−ヒドロキシラーゼと同一で、35%がミクロソームのNADPH−P450レダクターゼと同一であり、他の細菌性P450とは20%の相同性を有するのみである(非特許文献6)。上記の特徴は、P450BM3を哺乳類のP450の代替として使用できる可能性を示唆しており、このことは最近、ウサギP4502C5の構造が解明された際に実証された(非特許文献7)。
【0005】
非特許文献8は、巨大菌のBM3由来の酸化還元触媒領域、及び、Desulfovibrio vulgaris(Hildenborough)由来のフラボドキシンからなり、pT7発現系において発現しているキメラタンパク質を開示している。BM3の酸化還元触媒領域に結合しているアラキドン酸(基質)の存在下でFLD(フラボドキシン)をそのセミキノン体に光還元し、この現象を一酸化炭素雰囲気下において450nmで監視することによって、BM3由来の酸化還元触媒領域とFLDの電子伝達領域との間の電子伝達が観察された。
【非特許文献1】Sadeghi,S.J.,Tsotsou,G.E.,Fairhead,M.,Meharenna,Y.T.,Gilardi,G.(2001)“Rational design of P450 enzymes for biotechnology.”In:Focus on Biotechnology. Physics and Chemistry Basis of Biotechnology. De Cuyper,M.,Bulte,J.(Eds),Kluwer Academic Publisher,in press
【非特許文献2】Poulos,T.L.(1995)“Cytochrome P450”Curr.Opin.Struct.Biol.,5,767−774
【非特許文献3】Guengerich,F.P.(1999)“Cytochrome P450:regulation and role in drug metabolism”Annu.Rev.Pharmacol.Toxicol.39,1−17
【非特許文献4】Narhi,L.O.,Fulco,A.J.(1986)“Characterization of a catalytica11y self−sufficient 119,000−Dalton cytochrome P−450 monooxygenase induced by barbiturates in Bacillus megaterium.”J.Biol.Chem.,261(16),7160−7169
【非特許文献5】Narhi,L.O.,Fulco,A.J.(1987)“Identification and characterization of two functional domains in cytochrome P−450BM3, a catalytically self−sufficient monooxigenase induced by barbiturates in Bacillus megaterium.”J.Biol.Chem.,262(14),6683−6690
【非特許文献6】Ravichandran,K.G.,Boddupalli,S.S.,Hasemann,C.A.,Peterson,J.A.,Deisenhofer,J.(1993)“Crystal structure of hemoprotein domain of P450BM−3, a prototype for microsomal P450s.”Science,261,731−736
【非特許文献7】Williams,P.A.,Cosme,J.,Sridhar,V.,Johnson,E.F.,McRee,D.E.(2000)“Mammalian microsomal cytochrome P450 monooxygenase:Structural adaptations for membrane binding and functional diversity.”Mol.Cell.,5,121−131
【非特許文献8】Sadeghi,S.J.,Meharenna,Y.T.,Fantuzzi,A.,Valetti,F.,Gilardi,G.(2000a)“Engineering artificial redox chains by molecular Lego”Faraday Discuss.,116,135−153
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、第一の供給源由来の酸化還元触媒領域、及び、上記第一の供給源とは異なる第二の供給源由来の電子伝達領域を含むキメラタンパク質を、触媒領域に対する基質及び電極と接触させることにより、上記基質を上記触媒領域付近で作用させて生成物を形成させ、上記電極と上記電子伝達領域との間で、及び、上記電子伝達領域と上記触媒領域との間で電子を直接移動させる新規の方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記方法では、第一の供給源と第二の供給源とは由来源の属や種が異なるが、異なる細胞小器官又は区画に由来するものであれば互いに同じ種に由来していてもよい。しかしながら、異なる種に由来する方が好ましい。
【0008】
上記酸化還元触媒領域は、ヘム含有領域であることが好ましく、P450酵素由来であることが好ましい。また、上記ヘム含有領域はモノオキシゲナーゼ領域であることが好ましい。
【0009】
上記電子伝達領域はヘムレダクターゼ領域であることが好ましく、かつ、上記電極は陰極であることが好ましい。また、上記電子伝達領域は、D.vulgaris由来フラボドキシン等のフラボタンパク質、又は、その活性電子伝達変異体であることが好ましい。
【0010】
いくつかの実施形態においてはユビキノンやチトクロム等の他の電子伝達モジュールによって電子を移動させることも可能であるが、電子は上記電極から上記電子伝達領域へ直接移動させることが好ましい。
【0011】
上記キメラタンパク質は、上記電子伝達領域のための結合部位を有する結合配列を更に含んでいることが好ましい。上記結合配列は、上記酸化還元触媒領域と同じ供給源由来であってもよいが、巨大菌タンパク質BM3由来の結合部位であることが好ましい。
【0012】
上記酸化還元触媒領域の供給源は、概してモノオキシゲナーゼ酵素であるチトクロムP450等のオキシゲナーゼ酵素であることが好ましい。ある実施形態において、上記酸化還元触媒領域は細菌性チトクロムP450酵素由来であり、最も好ましくは巨大菌のBM3等の自給自足性酵素由来である。上記酸化還元触媒領域は、それ自身に複数の供給源由来の成分を含んでいてよい。このように、上記領域は、ある供給源由来の電子伝達領域のための結合部位、及び、異なる種、更には異なる属に由来する等、別の供給源に由来する基質結合部位を含んでいてよい。ある供給源は、哺乳類P450酵素等の哺乳類由来のものであってよい。
【0013】
上記方法では、上記電極からの電子の流れは、例えば検流器又は電圧検知機を用いて測定することができる。通常、電流を測定することが望ましい。
【0014】
上記方法は、分析対象物の存在、濃度又は異化作用を判定するために用いることができる。このような実施形態においては上記基質が分析対象物であり、上記方法では流動電子を測定して基質の存在又は量を検出している。
【0015】
上記方法を電子が上記電極から上記電子伝達領域へ流れる場合の方法に用いることも可能であるが、電子が上記電極から放出され、かつ、上記基質が消費されることが好ましい。好ましい実施形態においては、上記生成物を上記キメラタンパク質から分離して、通常は回収する。上記方法が基質を解毒するのに有用であって、上記生成物を回収せずに単に処分する場合もある。本発明は、ヒトやそれ以外の動物に対して投与される、又は、これらに経口摂取される薬剤やそれ以外の化合物等の基質と上記酸化還元領域との反応を判定するのに有用であってよい。
【0016】
別の方法においては、この工程を市販の製品として使用される製品の生産に用いることができる。このような方法においては、例えば上記電極に上記タンパク質を固定して上記生成物を溶液中から回収することにより、繰り返し反応を行う際に上記キメラタンパク質を用いることができる。例えば本発明は、電極に電流を流し、出発原料(基質)を消費し、所望の生成物を合成して溶液中から回収するといった電気化学合成に用いることもできる。
【0017】
本発明にはまた、上記キメラタンパク質及び電極を含むキットも含まれる。上記電極は一般に、上記タンパク質を含有する水性反応媒体、及び、通常は上記基質を入れるための容器中に供給される。上記キットは上述の方法における好ましい特徴を有するべきである。
【0018】
上記タンパク質の上記電極への固定は、例えばイオン結合を含む吸着によって、必要であれば対イオン的にタンパク質と上記電極の表面との両方に結合できる可溶性の荷電物質を用いて行ってよい。上記電子伝達領域のアミノ酸残基の側鎖から上記電極表面への共有結合による固定が好ましい。電極の形成に有用な方法等、タンパク質を表面、特に導電面に結合させるための従来公知の方法を用いてよい。例えば、システイン残基のチオール基を、金の表面に共有結合させるために用いてよい(Bagbyら(1991))。
【0019】
いくつかの実施形態においては、上記キットは、固定化された状態の上記キメラタンパク質を備えて提供されてよい。別の実施形態においては、上記キメラタンパク質は上記キット中で水溶性の状態である。上記タンパク質が水溶性の状態で供給されるキットにおいては、上記タンパク質をin situで固定するための固定化手段を含んでいてもよく、その手段としては例えば多価荷電化合物、特にネオマイシンが挙げられる。
【0020】
また、本発明は、
i)a)電極、
b)溶液中に上記酸化還元酵素の基質を含む液体、及び
c)上記キメラタンパク質
を含む反応容器、及び、
ii)上記電極に電気的に接続されたカレント・コレクタ(a current collector)
を有する器具を提供する。
【0021】
この器具は、上記カレント・コレクタ及び上記電極を流れる電流、並びに/又は、上記電極の電位を検出するための、公知の電流及び/又は電圧監視手段に接続していてよい。
【0022】
本発明を関連する図によって説明する。
【0023】
図1は、本発明をP450BM3に適用して、(A)融合を通じて電子伝達タンパク質フラボドキシンと電気化学的に接近できるP450触媒領域を形成すること、及び、(B)薬理学的及びバイオセンシング的に応用する目的で、異なる触媒領域を有するP450BM3酵素ライブラリーを作成すること、を示す。
【0024】
図2は、(A)アラキドン酸結合BMP(BMP−S)のフラボドキシンセミキノン体(FLDsq)による、450nmにおいてストップフロー分光測定法により測定した、一酸化炭素存在下での還元、及び、(B)FLDsqとBMP−Sとの間のイオン強度(I)の平方根に対する限定擬一次速度定数(klim)の値、を示す。
【0025】
図3は、ガラス質炭素電極における、ネオマイシンの不在下(1、細線)及び存在下(2、太線)での、BMP−FLD融合タンパク質のサイクリックボルタモグラムを示す。一酸化炭素を添加した場合に、ピークが高電位に偏移している(3、点線)。電位は飽和カロメル電極に対して記載している。
【0026】
図4は、BMPの遺伝子とFLDの遺伝子を融合してBMP−FLDキメラを作成するための分子生物学的アプローチを示す。NIaIII制限部位は、オリゴヌクレオチド指定突然変異(oligonucleotide directed mutagenesis)によって導入した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下の実施例により、本発明を更に詳しく記載する。上記細菌性チトクロムP450BM3を用いて上述の3つの課題に対応するために用いた方法を図1に示す。
【0028】
チトクロムP450BM3は触媒として自給自足できる可溶性の脂肪酸モノオキシゲナーゼであり、巨大菌から単離された(Narhi、Fulco、(1986、1987))。
【0029】
この酵素が多領域構造を有していること、すなわち1048個の残基からなる119kDaのポリペチド鎖1つに融合している3つの領域、FAD1つ、FMN1つ及びヘム領域1つからなっている点が特に興味深い。更に、P450BM3は、細菌由来であるにも関わらず、ミクロソームに存在する真核生物のP450に代表される、クラスIIのP450酵素に分類される(Ravichandranら(1993))。P450BM3は、その配列の30%がミクロソームの脂肪酸w−ヒドロキシラーゼと同一で、35%がミクロソームのNADPH−P450レダクターゼと同一であり、他の細菌性P450とは20%の相同性を有するのみである(Ravichandranら(1993))。
【0030】
上記の特徴は、P450BM3を哺乳類のP450の代替として使用できる可能性を示唆しており、このことは最近、ウサギP4502C5の構造が解明された際に実証された(Williamsら(2000))。
【0031】
上記の理由から、本実験の分子Legoアプローチに用いる理想的候補としてこの酵素のヘム領域を選択し、所望の電気化学的特性を持つP450を生産する。特に、P450の電極表面への電子伝達を効率よくするために、P450BM3(BMP)のヘム領域(1〜470残基)を触媒モジュールとして選択し、合理的な設計により、電子伝達モジュールとして用いるための、電子化学的特性の十分分かったDesulfovibrio vulgaris由来のフラボドキシンと融合した(図1A)。上記設計においては、上記電子伝達モジュール(フラボドキシン)が、結果的に得られるP450多領域構造と上記電極表面との接触を容易にし、埋め込まれているP450ヘムとの電気化学的接触を可能にするであろう。
【0032】
P450酵素と未改質電極を電気化学的に直接作用させることは、ヘム補因子が深く埋め込まれていること、及び、生物マトリックスが上記電極表面との相互作用において不安定であることから、一般的に大変難しいことが分かっている。これらの問題に対する解決法の1つとしては、電極表面の改質がある。これまでなされてきた試みはほとんど、P450camを電気化学的に特徴付けることを焦点としていた。この酵素が脂質又は多価電解質のフィルムに組み入れられ、そのヘム鉄(II/III)由来の酸化還元作用が明確にされた(Zhangら(1997))。
【0033】
最近、この酵素が、モンモリロナイトナトリウムにより改質されたガラス質炭素電極に対して、高速の不均一酸化還元反応を示すことが分かった(Leiら(2000))。更に、Hillとその同僚ら(Kazlauskaiteら(1996))が、先端の平らなグラファイト電極を用いることによって、溶液中におけるP450camの直接的な電気化学的特性について報告した。同じグループ(Loら(1999))が、先端の平らなグラファイト電極の、種々のP450camの変異体に対するサイクリックボルタモグラムを明らかにした。しかし、これまでのところ、チトクロムP450BM3の電気化学的特性は、その溶解性、及び、膜結合型の哺乳類の酵素との密接な関係にも関わらず、文献において報告されていない。
【0034】
<方法>
(P450BM3ヘム領域(BMP)とフラボドキシン(FLD)との間の電子伝達測定)
吸光度の測定は全て、ヒューレット・パッカード社製8452ダイオード・アレイ・スペクトロフォトメーターを用いて行った。D.vulgaris由来の野生型フラボドキシン(FLD、4.9μM)を5mMのリン酸カリウムバッファー(pH7.3)に溶解したものを、2.5μMのデアザリボフラビン(deazariboflavin)(dRf)及び0.85mMのEDTA(犠牲電子供与体)の存在下で、そのセミキノン体に光還元した(FLDsq、結果を記載している部分における反応式[1]及び[2])。アラキドン酸結合BMPの還元を行った後、一酸化炭素雰囲気下で、450nmでの吸光度を長さ1cmのセルを備えたHi−Tech社SF−61ストップフロー装置を用いて23℃において監視し、速度を測定した。アラキドン酸結合BMPの典型的な濃度は1μMであり、FLDの典型的な濃度は2〜20μMに変化した(結果を記載している部分における反応式[3])。全ての溶液について、アルゴンを気泡注入する特別の処置を行うことにより、嫌気状態にした。
【0035】
(BMP−FLDキメラの構築と発現)
BMP−FLD融合複合体を、NlaIII部位を、pT7BM3ZにおけるP450BM3レダクターゼ遺伝子のループの3’末端(Liら(1991))、及び、pT7FLD遺伝子の5’末端(Kreyら(1988)、Valettiら(1998))に導入することによって構築した。この構築は、配列番号1(BM3に対して)及び配列番号2(フラボドキシンに対して)の変異原性オリゴヌクレオチドを用いたPCR法によって行った。上記2つの遺伝子は、NlaIIIエンドヌクレアーゼで消化した後、結合段階に供した。野生型(wt)P450BM3及びBMP−FLDキメラの発現及び精製を公知の手順によって行った(各々、Liら(1991)及びSadeghiら(2000a))。
CACAAGCAGCGGCATGTTATGAGCGTTTTC 配列番号1
AGGAAACAGCACATGCCTAAAGCTCTGATC 配列番号2
【0036】
(BMP−FLD融合タンパク質における電子伝達の測定)
4μMのBMP−FLD融合タンパク質を、5μMのデアザリボフラビン及び5μMのEDTAを含む100mMのリン酸バッファー(pH7)中で、完全嫌気状態において、定常状態で光還元した。光照射は100Wのランプを用いて行った。レーザー閃光光分解を以前に記載されている通りに行った(Hazzardら(1997))。上記BMP−FLD融合タンパク質(5μM)を、100μMのデアザリボフラビン及び1mMのEDTAを含む、一酸化炭素で飽和させた100mMリン酸バッファー(pH7)中で、完全嫌気状態において保持した。
【0037】
(BMP−FLD融合タンパク質における電気化学実験)
電気化学実験は全て、GPESソフトウェアで制御したAutolab PSTAT10(Eco Chemie社、ユトレヒト、オランダ)を用いて行った。階段状サイクリックボルタンメトリーを、カウンターとして白金線を備えたガラス質炭素ディスクを動作電極として用いたハーゲンセル(Hagan cell)中で行った(Heering、Hagen(1996))。この動作電極を、以前に記載されている通りに活性化して研磨した(Heering、Hagen(1996))。参照電極には、+246mV vs. NHE(標準水素電極)の電位を有する飽和カロメルを用いた。測定は全て、完全嫌気状態において、50mMのHEPESバッファー(pH8.0)中におけるタンパク質の濃度を30μMとして、7℃において行った。
【0038】
(分子模型)
模型の実験と計算は全て、Biosym/MSl社製ソフトウェアをSGI社製indigo2ワークステーションIRIX6.2にインストールしたものを用いて行った。表面静電電位は、DelPhi2.0モジュールを用いてInsight II環境において計算した。DelPhiの計算は、誘電定数を溶質について2.0、溶媒について80とし、100mMのイオン強度で行った。溶媒半径は1.4Å、イオン半径は2.0Åに設定した。ポアゾン−ボルツマンの演算法を、非線形の状態において、反復の限界を2000及び収束を0.00001で、タンパク質を中心とする分解能1.0Å以下の格子(grid)に適用した。分子表面と格子境界との間の距離の最小値は15.0Åであった。形式電荷のみを考慮に入れた。C末端及びN末端、及び、Glu、Asp、Arg及びLys側鎖は完全にイオン化されているものとし、FMNリン酸塩及びヘム鉄(FeII)ついても計算に含んだ。溶媒暴露(solvent exposure)は、Connollyの演算法(Connolly(1983))により、半径1.4Åのプローブを用いて計算した。
【0039】
タンパク質データバンク(pdb)ファイルとしては、酸化型FLD(Wattら(1991))、P450terp(Hasemannら(1994))、P450cam(Poulosら(1986))、P450eryF(Cuppvickery、Poulos(1995))、及び、P450BM3のヘム領域(Ravichandranら(1993)、Li、Poulos(1997)、Sevrioukovaら(1999))を用いた。
【実施例1】
【0040】
D.vulgaris由来のフラボドキシン(FLD)、及び、巨大菌由来のチトクロムP450BM3(BMP)のヘム領域が、共有結合による多領域構造構築に用いる電子伝達モジュール及び触媒モジュールとしての適しているかどうかを試験した。個々のタンパク質間における電子伝達(ET)をストップフロー分光光度法によって調べた。フラボドキシン(FLD)を、嫌気的に、定常状態においてセミキノン体(FLDsq)に還元した。この還元は、ストップフロー装置の1つのシリンジ中で、EDTA存在下での光照射により生成したデアザリボフラビン(dRfH)のセミキノンラジカルを用いて行った。行った反応のスキームを以下の反応式に要約する(Sadeghiら(1999))。
【0041】
【化1】

【0042】
擬一次飽和条件下では、FLDsq/(BMP−S)ox酸化還元対のETの経過は、450nmにおける吸光度の増加を示した(図2A)。このことは、450nmにおける吸光度を左右する一酸化炭素付加体を迅速に形成する(BMP−S)oxの還元と一致する。擬一次速度定数(kobs)を、データ値を単純指数の成分に合わせることによって計算した。FLDsqの濃度が2〜20μMで変化する場合、kobsは、2つのタンパク質間での複合体の形成と一致して飽和することが分かった。FLDsqの濃度に対するkobsのデータ値を双曲関数に合わせることにより、10mMリン酸バッファー(pH7.3)中においてイオン強度250mMで、限定速度定数klim43.77±2.18s−1、及び、見かけの解離定数Kapp1.23±0.32μMを得た。
【0043】
効率のよいETを得るための重要な要因は、酸化還元対間におけるETコンピテント複合体の形成である。BMPとFLDとの間の複合体の形成における静電気力の効果を、タンパク質溶液のイオン強度を変化させることによって調べた。得られたKlim値をイオン強度Iの平方根に対して示したが、これは図2Bに示すように円錐形となる傾向を示した。これは通常、複合体の形成に関わる疎水的及び静電的相互作用によるものである(Sadeghiら(2000b))。このことは、図3に示すように2つのタンパク質の表面電位を計算することによって確認された。
【0044】
選択したタンパク質モジュールの3D構造が有用であるため、可能性のある複合体の3Dモデルの構築に用いる計算方法が使用できる。このようなモデルの構造は、本研究において、ここに記載する共有結合による集合体を合理的に設計するために重要である。
【0045】
上記FLD/BMP複合体のモデルを、FLDの3D構造を短小化P450BM3の3D構造に重ね合わせることによって作成した(Sevrioukovaら(1999))。この複合体の酸化還元中心間の距離は18Åであり、上記短小化P450BM3の構造におけるものと同程度であった(Sevrioukovaら(1999))。
【0046】
しかしながら、FLDのFMN領域が、近接したBMP表面の、ヘムの配位子であるシステイン400周辺の正に荷電しているくぼみに結合している場合は、代替モデルを用いることも可能である。このモデルは、12Å未満という近い距離に2つの補因子を有している。上記の可能性のある2つのモデルは、天然P450−レダクターゼ複合体についても仮定されている、上記ETコンピテント複合体の形成及び再編成を伴う動的現象の存在を示しているのかもしれない(Williamsら(2000))。
【0047】
上記ETコンピテント複合体のモデルを用いて、BMP−FLDの共有結合による複合体を形成した。この形成は、図4Bに示す遺伝子融合で導入した順応性のある接続ループを結合させることによって行った。この方法は、2つの酸化還元領域を動的形態に保つという利点がある。BMP−FLDシステムの融合は、DNAレベルで、BMP遺伝子(1〜470残基)とFLD遺伝子(1〜148残基)とをP450BM3(471〜479残基)のレダクターゼ領域の天然ループを通して結合させることによって行った。遺伝子融合は、関連するDNA配列を合成NlaIII制限部位と連結させることによって行った。
【0048】
融合遺伝子は、大腸菌BL21(DE3)CIのポリペプチド1本鎖において非相同的に発現した。精製したキメラタンパク質の吸収スペクトルは、ヘムとFMNが1:1の割合で組み込まれていることを示唆した。また、還元されたタンパク質は、450nmにおける吸光度が特徴的な一酸化炭素付加体を形成できただけでなく、419nmから397nmという低スピンから高スピンへの予想された偏移を示す基質(アラキドン酸)へ結合できたが、このことはこの共有結合による複合体が確かに機能的P450であることを示している。
【0049】
上記BMP−FLD融合タンパク質の完全な二次構造をCD光度法によって確認したが(データは図示せず)、おそらく人工ループを添加したために、α−ヘリックス含量がBMPと比較して2%までの範囲で増加していた。光度法によるデータは、上記融合タンパク質が確かに、可溶性で折りたたみ構造を持った機能的タンパク質として発現していることを示す(Sadeghiら(2000a))。
【0050】
上記BMP−FLD融合タンパク質において、FMN含有領域からヘム含有領域への分子内部でのETが基質存在下で起こるかどうかを、定常状態の条件下で調べた。フラビン領域を、デアザリボフラビンによって、EDTAの存在下、嫌気状態において光還元した。続いて起こるフラビン領域からヘム領域へのETを、ヘムの吸光度を397nmから450nmに移動させて、一酸化炭素飽和雰囲気下で追跡した。上記BMP−FLD融合タンパク質における分子内部でのETの速度を、トランジェント吸光光度法によって調べた。実験設備において、FMNからヘムへのETが、FLDsqの580nmにおける吸光度が減少したことによって分かった。ETの速度を測定したところ、370s−1であった。この値は、FAD領域を除去した上記短小化P450BM3の、タンパク質内部でのFMN領域からヘム領域へのETを測定した値(250s−1)と同程度である(Hazzardら(1997))。これらの結果は、上記BMP−FLD融合タンパク質の機能が生理的タンパク質の機能と同等であることを示すもので、極めて心強いものである。
【0051】
上記BMP−FLD融合タンパク質についての予備的な電気化学的実験を、ガラス質炭素電極を用いて行った。上記BMP−FLD融合タンパク質とBMPとのサイクリックボルタモグラム(cv)を図3に示す。むき出しのガラス質炭素電極上のP450BM3酵素には電流は観察されなかったが、上記BMP−FLDは測定可能な規模の酸化還元活性を示している(図3、細線)。特に、上記BMP−FLD融合タンパク質と電極との間に、ネオマイシンの存在下でより多い電流が測定されたことから(図3、太線)、この間の相互作用が向上している。ネオマイシンは、負に荷電したFLDと負に荷電した電極表面との間の静電的反発を克服すると考えられている、正に荷電したアミノグリコシドである(Heering、Hagen(1996))。
【0052】
ネオマイシンの存在下でBMP−FLDについて観察された電流の増加は、FLDが電極とBMPとの間の電気化学的な接触を補助しているという仮説を裏付けるものである。現在、酸化試験で確認される電流の低下と電気化学的セル内で漏出した酸素量とが一致するというように、電気化学的に完全に可逆とするための試みがなされている。この結果はP450ヘムの電気化学的応答と一致しているということが、一酸化炭素を添加した後にcvにおいて高い電位で偏移することによって裏付けられる(図3、点線)。
【0053】
上記データは、BMP触媒モジュールとFLD電子伝達領域との間、及び、FLDと電極との間における非生理的な電子伝達が実際に可能であること、及び、共有結合している多領域構造BMP−FLDが野生型BMPに比べてよりよい電気化学的特性を示すことを証明している。
【0054】
<参照文献>
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【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1は、本発明をP450BM3に適用して、(A)融合を通じて電子伝達タンパク質フラボドキシンと電気化学的に接近できるP450触媒領域を形成すること、及び、(B)薬理学的及びバイオセンシング的に応用する目的で、異なる触媒領域を有するP450BM3酵素ライブラリーを作成すること、を示す。
【図2】図2は、(A)アラキドン酸結合BMP(BMP−S)のフラボドキシンセミキノン体(FLDsq)による、450nmにおいてストップフロー分光測定法により測定した、一酸化炭素存在下での還元、及び、(B)FLDsqとBMP−Sとの間のイオン強度(I)の平方根に対する限定擬一次速度定数(klim)の値、を示す。
【図3】図3は、ガラス質炭素電極における、ネオマイシンの不在下(1、細線)及び存在下(2、太線)での、BMP−FLD融合タンパク質のサイクリックボルタモグラムを示す。一酸化炭素を添加した場合に、ピークが高電位に偏移している(3、点線)。電位は飽和カロメル電極に対して記載している。
【図4】図4は、BMPの遺伝子とFLDの遺伝子を融合してBMP−FLDキメラを作成するための分子生物学的アプローチを示す。NIaIII制限部位は、オリゴヌクレオチド指定突然変異(oligonucleotide directed mutagenesis)によって導入した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極上にキメラタンパク質が固定化された電極であって、
前記キメラタンパク質は、第一の供給源由来の酸化還元触媒領域、及び、前記第一の供給源とは異なる第二の供給源由来の電子伝達領域を含む
電気化学的プロセスを行うための電極。
【請求項2】
前記酸化還元触媒領域と前記電極は、
前記電極から前記電子伝達領域へと直接電子が移動できるよう選択されたものである
請求項1記載の電極。
【請求項3】
固定化は、電子伝達領域のアミノ酸残基の側鎖から電極表面への共有結合によるものである
請求項1又は2記載の電極。
【請求項4】
前記酸化還元触媒領域はヘム含有領域である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電極。
【請求項5】
前記ヘム含有領域はモノオキシゲナーゼ領域である
ことを特徴とする請求項4に記載の電極。
【請求項6】
前記電子伝達領域はヘムレダクターゼ領域であり、かつ、前記電極は陰極である
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電極。
【請求項7】
前記電子伝達領域はフラボタンパク質である
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記フラボタンパク質はD.vulgaris由来フラボドキシン、又は、その活性電子伝達変異体である
ことを特徴とする請求項7に記載の電極。
【請求項9】
電子が前記電極から前記電子伝達領域へ直接移動するものである
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の電極。
【請求項10】
前記キメラタンパク質は、前記電子伝達領域に対する結合部位を有する結合領域を更に含んでいる
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の電極。
【請求項11】
前記結合領域は、前記酸化還元触媒領域と同じ供給源由来である
ことを特徴とする請求項10に記載の電極。
【請求項12】
前記酸化還元触媒領域の供給源はチトクロムP450である
ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の電極。
【請求項13】
前記酸化還元触媒領域は細菌性チトクロムP450酵素由来である
ことを特徴とする請求項12に記載の電極。
【請求項14】
前記細菌性チトクロムP450酵素は巨大菌のBM3である
ことを特徴とする請求項13に記載の電極。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の電極の、電気化学的プロセスにおける使用。
【請求項16】
前記電気化学的プロセスは、電気化学的合成である、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
酸化還元触媒領域に対する基質と組み合わせる請求項15又は16に記載の使用。
【請求項18】
前記基質が消費されることを特徴とする請求項17に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−292782(P2007−292782A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−167687(P2007−167687)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【分割の表示】特願2003−519402(P2003−519402)の分割
【原出願日】平成14年8月5日(2002.8.5)
【出願人】(504044126)ナノバイオデザイン リミテッド (2)
【Fターム(参考)】