キャッシュレジスタ装置
【課題】入出金機の動作エラーにより過不足が生じたとしても適切に対応できるキャッシュレジスタ装置を提供する。
【解決手段】POSターミナルでは、精算処理における演算値である合計価格に基づいて、入出金機の収納金額が理論残高として導出される。一方で、入出金機において金銭の投入動作及び放出動作のいずれかの動作エラーが発生した場合には、その動作エラーの種別情報とその動作エラーに起因するエラー金額とが取得され、これらの動作エラーに関する情報がSRAMに記録される。在高登録処理においては、実残高、理論残高、過不足額、及び、発生した全ての動作エラーに関する情報が、一つの在高登録票73に印刷される。したがって、在高登録票73を参照することで、過不足が生じた場合であっても、過不足の具体的な状況と、その過不足がどのような要因で生じたかを容易に把握することが可能となる。
【解決手段】POSターミナルでは、精算処理における演算値である合計価格に基づいて、入出金機の収納金額が理論残高として導出される。一方で、入出金機において金銭の投入動作及び放出動作のいずれかの動作エラーが発生した場合には、その動作エラーの種別情報とその動作エラーに起因するエラー金額とが取得され、これらの動作エラーに関する情報がSRAMに記録される。在高登録処理においては、実残高、理論残高、過不足額、及び、発生した全ての動作エラーに関する情報が、一つの在高登録票73に印刷される。したがって、在高登録票73を参照することで、過不足が生じた場合であっても、過不足の具体的な状況と、その過不足がどのような要因で生じたかを容易に把握することが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入出金機と連動し、入出金機の計数結果に基づいて売買取引に係る演算処理を行うキャッシュレジスタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの小売店舗の売買取引においては、POSターミナルなどとも呼ばれるキャッシュレジスタ装置が使用される。キャッシュレジスタ装置では、売買取引ごとに、当該売買取引に係る演算処理が行われる。具体的には、顧客が購入を希望する全ての商品の合計価格が導出された後、顧客から受け渡された預かり金の金額が取得され、合計価格と預かり金の金額とに基づいて釣銭の金額が導出される。
【0003】
通常、このような売買取引では、預かり金の計数や釣銭の計数は、キャッシュレジスタ装置を取り扱う店舗スタッフが担うことになる。一方で近年では、店舗スタッフの計数ミスや不正操作等を防止するため、キャッシュレジスタ装置を入出金機と連動させ、預かり金の計数や釣銭の計数を入出金機に行わせることもなされている。この入出金機は、投入された金銭の金額を計数する入金機能と、指定された金額の金銭を放出する出金機能とを有する装置である。
【0004】
入出金機を利用する場合は、預かり金は入出金機に投入され、入出金機によりその金額が正確に計数される。そして、その正確な計数結果が信号でキャッシュレジスタ装置に受け渡され、売買取引に係る演算処理に利用される。また、キャッシュレジスタ装置において釣銭の金額が導出されると、導出された釣銭の金額が信号で入出金機に受け渡され、その金額の金銭が釣銭として入出金機から放出される(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開2005−222192号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
キャッシュレジスタ装置と入出金機とを連動させる場合は、原則として売上金及び釣銭準備金の全ての現金が入出金機内に収納される。キャッシュレジスタ装置は、この入出金機の理論上の収納金額である理論残高を示す内部変数を記憶しており、売買取引ごとに更新している。入出金機の収納金額は、理論的には、売買取引ごとにその売買取引における合計価格の分だけ増加する。このため、キャッシュレジスタ装置は、売買取引に係る演算処理において導出された合計価格に基づいて理論残高を更新する。
【0007】
しかしながら、入出金機において預かり金の投入動作や釣銭の放出動作で動作エラーが発生した場合には、入出金機の実際の収納金額である実残高と、キャッシュレジスタ装置が記憶している理論残高とが相違する過不足の状態が生じる。例えば、入出金機において預かり金の投入時にリジェクト(金銭を投入できない動作エラー)が生じたときには、実際には入出金機に金銭が投入されておらず実残高が増加していないにもかかわらず、理論残高は増加されるという事態が生じる。従来のキャッシュレジスタ装置では、このような入出金機の動作エラーに起因して過不足が生じたとしても、その原因の特定が難しく問題となっていた。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、入出金機の動作エラーにより、入出金機の実際の収納金額と理論残高とが相違する過不足が生じたとしても適切に対応できるキャッシュレジスタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、投入された金銭の金額を計数するとともに指定された金額の金銭を放出する入出金機と連動し、前記入出金機による計数結果に基づいて売買取引に係る演算処理を行うキャッシュレジスタ装置であって、前記売買取引に係る演算処理における演算値に基づいて、前記入出金機の収納金額を理論残高として導出する導出手段と、前記入出金機において金銭の投入動作及び放出動作のいずれかの動作エラーが発生した場合に、当該動作エラーの種別情報を特定する種別特定手段と、前記動作エラーにより投入または放出できなかった金額であるエラー金額を取得する金額取得手段と、を備えている。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のキャッシュレジスタ装置において、前記動作エラーの種別情報と、該動作エラーに起因する前記エラー金額とを記録用紙に印刷する印刷手段、をさらに備えている。
【0011】
また、請求項3の発明は、請求項2に記載のキャッシュレジスタ装置において、前記入出金機の実際の収納金額である実残高を、前記入出金機から取得する取得手段、をさらに備え、前記印刷手段は、前記理論残高と前記実残高とを前記記録用紙にさらに印刷する。
【0012】
また、請求項4の発明は、請求項1に記載のキャッシュレジスタ装置において、前記動作エラーの種別情報、及び、該動作エラーに起因する前記エラー金額に基づいて、前記理論残高を修正する修正手段、をさらに備えている。
【0013】
また、請求項5の発明は、請求項4に記載のキャッシュレジスタ装置において、前記動作エラーの種別情報は、前記投入動作の動作エラー、及び、前記放出動作の動作エラーのいずれであるかを特定可能な情報である。
【0014】
また、請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載のキャッシュレジスタ装置において、時刻を計時する計時手段と、前記動作エラーが発生した場合に、前記計時手段から得られる前記動作エラーの発生時刻と、前記動作エラーの種別情報と、前記動作エラーに起因する前記エラー金額とを記録用紙に印刷する記録手段と、をさらに備えている。
【0015】
また、請求項7の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載のキャッシュレジスタ装置において、時刻を計時する計時手段と、前記動作エラーが発生した場合に、前記計時手段から得られる前記動作エラーの発生時刻と、前記動作エラーの種別情報と、前記動作エラーに起因する前記エラー金額とを関連付けて記憶する記憶手段と、をさらに備えている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1ないし7の発明によれば、入出金機において金銭の投入動作時及び放出動作時のいずれかの動作エラーが発生した場合に、発生した動作エラーの種別情報を特定するとともに、その動作エラーに起因するエラー金額を取得する。このため、動作エラーにより、入出金機の実際の収納金額と理論残高とが相違する過不足の状態が生じたとしても適切に対応できる。
【0017】
また、特に請求項2の発明によれば、動作エラーの種別情報と、その動作エラーに起因するエラー金額とが関連付けて記録用紙に印刷されるため、過不足の要因を事後的に容易に把握できる。
【0018】
また、特に請求項3の発明によれば、理論残高、実残高、及び、動作エラーに関する情報が一つの記録用紙に印刷されるため、過不足の状況と、その要因とを容易に把握できる。
【0019】
また、特に請求項4の発明によれば、動作エラーが発生したとしても理論残高を修正して、入出金機の実際の収納金額と理論残高とを一致させることができる。
【0020】
また、特に請求項5の発明によれば、理論残高を正しく修正できる。
【0021】
また、特に請求項6の発明によれば、動作エラーが発生するごとに、その動作エラーの発生時刻と、種別情報と、エラー金額とが記録用紙に記録されるため、いつどのような動作エラーが発生したかを事後的に把握できる。
【0022】
また、特に請求項7の発明によれば、動作エラーが発生するごとに、その動作エラーの発生時刻と、種別情報と、エラー金額とが関連付けて記憶されるため、いつどのような動作エラーが生じたかを事後的に把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
【0024】
<1.第1の実施の形態>
<1−1.構成概要>
図1は、第1の実施の形態に係るキャッシュレジスタ装置であるPOSターミナル2が適用されるPOSシステム(キャッシュレジスタシステム)100の概要を示す図である。このPOSシステム100は、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの店舗において採用されるものであり、POSサーバ1と、複数のPOSターミナル2とを主に備えている。POSサーバ1と複数のPOSターミナル2とはLAN41によって接続され、相互にデータ通信が可能とされている。また、複数のPOSターミナル2のそれぞれには入出金機3がケーブル42によって接続されている。これにより、各POSターミナル2は、自装置に接続された入出金機3とデータ通信が可能となっている。
【0025】
POSサーバ1は、POSシステム100の全体を統括的に管理する装置であり、通常は店舗の販売エリアとは別の管理事務所等に配置される。POSサーバ1は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えた一般的なコンピュータで構成される。POSサーバ1のハードディスクには、当該店舗で扱われる各商品の商品データが登録された商品マスタなど、POSシステム100の全体で必要となるデータが記憶される。
【0026】
POSターミナル2は、主として商品の売買取引の際に店舗の販売スタッフによって実際に操作される装置であり、店舗の販売エリアに配置される。POSターミナル2は、売買取引ごとに精算処理を実行する。精算処理では、売買取引に係る商品の商品登録(商品データの登録)、及び、売買取引に係る各種の演算処理(商品の合計価格や釣銭の導出等)がなされる。
【0027】
また、入出金機3は、投入された金銭の金額を計数する入金機能と、指定された金額の金銭を放出する出金機能と、金銭を収納する収納機能とを有する装置である。POSターミナル2は精算処理において、自装置に接続された入出金機3と連動することになる。原則として、精算処理において顧客と販売スタッフとの間で受け渡される全ての金銭は、入出金機3において計数される。また原則として、売買取引に関する全ての金銭(売上金及び釣銭準備金の双方)は、入出金機3に収納される。
【0028】
精算処理において顧客から受け渡された預かり金は、入出金機3に投入される。投入された預かり金の金額は入出金機3により正確に計数され、その計数結果が信号でPOSターミナル2に受け渡されて演算処理に利用される。また、POSターミナル2において釣銭の金額が導出されると、導出された釣銭の金額が信号で入出金機3に受け渡され、その金額の金銭が釣銭として入出金機3から放出されるようになっている。
【0029】
<1−2.POSターミナル>
図2は、POSターミナル2の外観構成を示す図である。図に示すように、POSターミナル2は、各種情報の表示を行う2つのディスプレイ22,23と、ユーザの操作や入力を受け付ける複数のボタンからなる操作キー部24と、商品に付されたバーコードなどを読み取るバーコードリーダ25と、記録用紙を印刷してレシート等を発行する印刷発行部26と、金銭を収納可能なドロワ27とを備えている。操作キー部24には、小計キーやテンキーなどの各種のボタンが含まれている。
【0030】
また、2つのディスプレイ22,23のうち、一方はユーザたる販売スタッフの側に示すべき情報を表示する販売側ディスプレイ22であり、他方は顧客の側に示すべき情報を表示する顧客側ディスプレイ23である。顧客側ディスプレイ23の画面は、精算処理において顧客が視認しやすいように、その向きが調整可能となっている。
【0031】
図3は、POSターミナル2の内部構成を含めた構成を示すブロック図である。図に示すように、POSターミナル2はその内部に、装置全体を制御するとともに、各種の演算処理を行うコンピュータである制御部21を備えている。制御部21は、演算処理を行うCPU201と、制御用プログラム等を記憶するROM202と、演算処理の作業領域となるRAM203と、各種データを記憶する不揮発性メモリであるバッテリーバックアップされたSRAM204と、時刻を計時する機能を有するタイマ205とを備えている。制御部21の各種機能は、CPU201がROM202内の制御用プログラムに従って演算処理を行うことで実現される。
【0032】
POSターミナル2の制御部21は、精算処理における演算値に基づいて、入出金機3が収納している理論上の金額(以下、「理論残高」という。)を導出して把握している。具体的には、理論残高を示す内部変数がRAM203に記憶されており、精算処理で導出された商品の合計価格に基づいて理論残高がCPU201により更新される。この理論残高の更新を含む精算処理の詳細については後述する。
【0033】
また、上述した販売側ディスプレイ22、顧客側ディスプレイ23、操作キー部24、バーコードリーダ25、ドロワ27及び印刷発行部26の各部は、バスライン20を介して制御部21に接続される。これにより、POSターミナル2の各部は制御部21の制御下で動作するとともに、操作キー部24及びバーコードリーダ25で取得された情報は制御部21に入力される。
【0034】
また、POSターミナル2は、LAN41を介して通信するための通信部28と、ケーブル42を介して通信するためのインターフェイス29とを備えている。これら通信部28及びインターフェイス29もバスライン20を介して制御部21に接続されている。これにより、制御部21はPOSサーバ1及び入出金機3との間で、各種信号やデータの送受信を行うことが可能となっている。
【0035】
<1−3.入出金機>
図4は、入出金機3の外観構成を示す図である。図に示すように、入出金機3は、前面側上部に硬貨を投入するための硬貨投入部32を備え、前面側右方に紙幣を投入するための紙幣投入部34を備えている。また、前面側左方には硬貨を放出するための硬貨放出部33を備え、紙幣投入部34の左側には紙幣を放出するための紙幣放出部35を備えている。
【0036】
精算処理において顧客から受け渡された預かり金は、硬貨投入部32及び紙幣投入部34を介して入出金機3に収納される。また、釣銭は、硬貨放出部33及び紙幣放出部35を介して入出金機3から払い出される。
【0037】
図5は、入出金機3の内部構成を含めた構成を示すブロック図である。図に示すように、入出金機3はその内部に、硬貨投入部32を介して投入された硬貨を計数する硬貨計数部36と、硬貨を収納する硬貨収納部361と、紙幣投入部34を介して投入された紙幣を計数する紙幣計数部37と、紙幣を収納する紙幣収納部371とを備えている。硬貨計数部36及び紙幣計数部37は、投入された金銭が真貨であるか否かを判別する機能も有している。
【0038】
硬貨収納部361は、硬貨計数部36で計数された硬貨を収納するとともに、外部へ放出すべき硬貨を硬貨放出部33に供給する。同様に、紙幣収納部371は、紙幣計数部37で計数された紙幣を収納するとともに、外部へ放出すべき紙幣を紙幣放出部35に供給する。
【0039】
また、入出金機3は、その内部に装置全体を制御するとともに、各種の演算処理を行うコンピュータである制御部31を備えている。制御部31は、演算処理を行うCPU301と、制御用プログラム等を記憶するROM302と、演算処理の作業領域となるRAM303と、各種データを記憶する不揮発性メモリであるバッテリーバックアップされたSRAM304とを備えている。制御部31の各種機能は、CPU301がROM302内の制御用プログラムに従って演算処理を行うことで実現される。
【0040】
上述した硬貨投入部32、硬貨放出部33、紙幣投入部34、紙幣放出部35、硬貨計数部36及び紙幣計数部37の各部は、バスライン30を介して制御部31に接続される。これにより、入出金機3の各部は制御部31の制御下で動作するとともに、硬貨計数部36及び紙幣計数部37における計数結果は制御部31に入力される。
【0041】
入出金機3の制御部31は、硬貨計数部36及び紙幣計数部37の計数結果、及び、硬貨放出部33及び紙幣放出部35が放出した金額に基づいて、硬貨収納部361及び紙幣収納部371が実際に収納している金額(以下、「実残高」という。)を導出して把握している。具体的には、実残高を示す内部変数がRAM303に記憶されており、実際の金銭の投入や放出に応じて実金額がCPU301により更新される。さらに、制御部31は、硬貨収納部361及び紙幣収納部371に収納されている金銭の種別とその数も把握している。
【0042】
また、入出金機3は、ケーブル42を介して通信するためのインターフェイス39を備えている。インターフェイス39もバスライン30を介して制御部31に接続されている。これにより、制御部31はPOSターミナル2との間で、各種信号やデータの送受信を行うことが可能となっている。
【0043】
このような入出金機3においては、投入すべき預かり金を投入できない、あるいは、放出すべき釣銭を放出できないという動作エラーが発生することがある。このような動作エラーとしては、「釣銭切れ」「リジェクト」及び「釣銭フル」がある。
【0044】
「釣銭切れ」とは、放出すべき釣銭を放出できないという放出動作の動作エラーである。釣銭を放出する際には、その金額を指定する信号がPOSターミナル2から入出金機3に入力される。しかしながら、硬貨収納部361及び紙幣収納部371に収納された金銭の金額が指定された金額に満たない場合や、収納された金銭では指定された金額の組合せを実現できない場合は、釣銭が放出されない。すなわち、「釣銭切れ」が発生する。
【0045】
「リジェクト」とは、投入すべき預かり金を投入できないという投入動作の動作エラーである。預かり金を投入した場合において、金銭が真貨であっても、汚れや折り目などにより硬貨計数部36及び紙幣計数部37にその金銭が真貨と認識されない場合がある。この場合、真貨と認識されない金銭は、入出金機3に収納されずにそのまま放出される。すなわち、「リジェクト」が発生する。
【0046】
「釣銭フル」とは、投入すべき預かり金を投入できないという投入動作の動作エラーである。預かり金を投入した場合において、金銭が真貨と認識された場合あっても、硬貨収納部361及び紙幣収納部371の収納スペースが物理的に満杯であれば、さらなる金銭の収納はできない。このため、この場合においては、収納できない金銭は入出金機3に収納されずにそのまま放出される。すなわち、「釣銭フル」が発生する。なお、「リジェクト」及び「釣銭フル」の場合においては、預かり金のうちの一部の金銭のみが入出金機3に収納され、残りの金銭が入出金機3に収納されずに放出されるといった場面もあり得る。
【0047】
入出金機3においてこのような動作エラーが発生したときには、制御部31の制御により動作エラー信号が入出金機3からPOSターミナル2に送信されるようになっている。動作エラー信号には、発生した動作エラーが、「釣銭切れ」「リジェクト」及び「釣銭フル」のいずれであるかを示す種別情報が含まれている。
【0048】
<1−4.精算処理>
POSターミナル2は、精算処理において動作エラー信号を入出金機3から受信すると、それに応じた処理を行うようになっている。以下、このようなPOSターミナル2の精算処理について説明する。
【0049】
図6及び図7は、精算処理の流れを示す図である。図6及び図7に示す一連の処理は、一の売買取引ごと(一の顧客が購入を希望する商品群ごと)になされる処理である。また、図6及び図7において、左側はPOSターミナル2の処理の流れを示し、右側は入出金機3の処理の流れを示している。
【0050】
まず、顧客が購入を希望する商品に付されたバーコードが、POSターミナル2のバーコードリーダ25によって読み取られる。これにより取得された商品コードに基づいてPOSサーバ1内の商品マスタが参照され、当該商品の「商品名」及び「価格」などの商品データがPOSターミナル2に取得される。取得された商品データはRAM202に記憶され、これにより当該商品の商品登録がなされる。このような商品登録は、顧客が購入を希望する全ての商品について行われる(ステップS11)。
【0051】
全ての商品について商品登録がなされると、ユーザたる販売スタッフにより操作キー部24に含まれる小計キーが押下される。小計キーが押下されると(ステップS12にてYes)、全ての商品についての「価格」がCPU201により合計され、その結果の演算値が合計価格としてRAM202に記憶される(ステップS13)。
【0052】
導出された合計価格は、2つのディスプレイ22,23に表示される。この合計価格の表示に基づいて、預かり金となる決済用の金銭が顧客から店舗スタッフに受け渡される。預かり金は、入出金機3の硬貨投入部32及び紙幣投入部34に、店舗スタッフにより投入される。預かり金が入出金機3に投入されると、入出金機3の硬貨計数部36及び紙幣計数部37により預かり金の金額が計数される。そして、その計数結果(すなわち、預かり金の金額)を示す信号(以下、「計数結果信号」という。)が、入出金機3からPOSターミナル2に送信される(ステップS91)。
【0053】
しかしながら、この入出金機3の投入動作において「リジェクト」あるいは「釣銭フル」の動作エラーが発生した場合は、動作エラー信号が入出金機3からPOSターミナル2に送信される。また、「リジェクト」あるいは「釣銭フル」の動作エラーにより、預かり金のうちの一部の金銭のみが入出金機3に収納され、残りの金銭が収納されずに放出された場合は、収納された一部の金銭の金額を示す計数結果信号と、動作エラー信号との双方が、入出金機3からPOSターミナル2に送信される。
【0054】
入出金機3から送信された信号はPOSターミナル2に受信される(ステップS14)。そして、受信した信号に動作エラー信号がなかった場合(すなわち、入出金機3の投入動作において動作エラーが発生しなかった場合)は(ステップS15にてNo)、計数結果信号に基づいて預かり金の金額がCPU201により取得され、RAM202に記憶される(ステップS16)。
【0055】
一方、受信した信号に動作エラー信号があった場合(すなわち、入出金機3の投入動作において動作エラーが発生した場合)は(ステップS15にてYes)、まず、動作エラーがあった旨が販売側ディスプレイ22に表示される(ステップS17)。
【0056】
次に、動作エラー信号とともに計数結果信号を受信していた場合は、その計数結果信号に基づいて、預かり金のうち入出金機3に投入できた金銭の金額(以下、「投入済金額」という。)が、CPU201により取得され、RAM202に記憶される(ステップS18)。
【0057】
次に、預かり金のうち入出金機3に投入できなかった金銭の金額(以下、「未投入金額」という。)が、操作キー部24を介して店舗スタッフにより操作入力される。これにより、未投入金額がPOSターミナル2に取得され、RAM202に記憶される。入出金機3に投入できなかった金銭はドロワ27などに収納される。未投入金額は、「リジェクト」あるいは「釣銭フル」の動作エラーに起因して入出金機3に投入できなかったエラー金額であるともいえる(ステップS19)。
【0058】
次に、投入済金額と未投入金額とがCPU201により加算され、その結果が預かり金の金額とされる。導出された預かり金の金額は、RAM202に記憶される(ステップS20)。
【0059】
このようにして預かり金の金額が得られると、次に、預かり金の金額から合計価格がCPU201により差し引かれ、その結果が釣銭金額とされる。導出された釣銭金額は、2つのディスプレイ22,23に表示される(図7のステップS21)。次に、釣銭金額を指定してその金銭の放出を指示する釣銭指示信号が、POSターミナル2から入出金機3に送信される(ステップS22)。
【0060】
この釣銭指示信号の受信に応答して入出金機3では、釣銭指示信号が指定する釣銭金額の金銭が、硬貨放出部33及び紙幣放出部35から放出される。放出された金銭は、釣銭として店舗スタッフにより顧客に受け渡される。このようにして入出金機3が正常に釣銭を放出した場合は、正常完了信号が入出金機3からPOSターミナル2に送信される。しかしながら、この入出金機3の放出動作において「釣銭切れ」の動作エラーが発生した場合は、動作エラー信号が入出金機3からPOSターミナル2に送信される(ステップS92)。
【0061】
入出金機3から送信された信号はPOSターミナル2に受信される(ステップS23)。受信した信号が正常完了信号の場合(すなわち、入出金機3の放出動作において動作エラーが発生しなかった場合)は(ステップS24にてNo)、処理はそのままステップS27に進む。
【0062】
一方、受信した信号が動作エラー信号の場合(すなわち、入出金機3の放出動作において動作エラーが発生した場合)は(ステップS24にてYes)、まず、動作エラーがあった旨が販売側ディスプレイ22に表示される(ステップS25)。このようなエラー表示があった場合は、釣銭が入出金機3から放出されないため、ドロワ27や店舗事務室などから釣銭が持ち出されて顧客に受け渡される。
【0063】
続いて、入出金機3が放出できなかった金銭の金額(以下、「未放出金額」という。)が取得される。本実施の形態の入出金機3は、「釣銭切れ」の場合には、釣銭となる全ての金銭を放出しない。このため、ステップS21において導出された釣銭金額が、そのまま未放出金額としてCPU201により取得され、RAM202に記憶される。未放出金額は「釣銭切れ」の動作エラーに起因して入出金機3から放出できなかったエラー金額であるともいえる(ステップS26)。
【0064】
ステップS27では、ステップS13において導出された合計価格に基づいて、RAM203に記憶された理論残高が更新される。具体的には、その時点の理論残高に合計価格がCPU201により加算され、その結果が新たな理論残高とされる(ステップS27)。ただし、以上の処理過程において入出金機3において動作エラーが生じたときには、理論残高と実残高とはこの時点で相違することになる(具体例については後述。)。
【0065】
次に、印刷発行部26により、売買取引の内容が記録用紙に印刷され、レシートとして発行される(ステップS28)。通常は、このレシートの発行により精算処理が完了する。しかしながら、以上の処理過程において動作エラー信号を入出金機3から受信していた場合は、動作エラーに対応すべくエラー対応処理がさらに行われる(ステップS29,S30)。
【0066】
図8は、エラー対応処理の流れの詳細を示す図である。まず、タイマ205が計時している時刻が取得される(ステップS31)。このとき取得された時刻は、以降、動作エラーの発生時刻として取り扱われる。なお、動作エラー信号を受信した時点で、タイマ205が計時している時刻が取得され、その時刻が動作エラーの発生時刻とされてもよい。
【0067】
次に、入出金機3において発生した動作エラーの種別情報が、CPU201により特定される。前述のように、入出金機3から受信した動作エラー信号には、発生した動作エラーが「釣銭切れ」「リジェクト」及び「釣銭フル」のいずれであるかを示す種別情報が含まれている。このため、この動作エラー信号に基づいて、発生した動作エラーの種別情報が容易に特定される(ステップS32)。
【0068】
次に、以上のようにして取得された動作エラーに関連する情報が、SRAM204に記憶される。SRAM204には、発生した全ての動作エラーに関する情報が登録されるテーブルデータであるエラーテーブルが記憶されている。このエラーテーブルに対して、動作エラーの発生時刻と、動作エラーの種別情報と、動作エラーに起因するエラー金額とが関連付けられて記録される(ステップS33)。
【0069】
図9は、エラーテーブル72の一例を示す図である。図に示すように、エラーテーブル72では、一つのレコードRに一つの動作エラーに関連する情報が登録される。すなわち、各レコードRにおいては、一つの動作エラーに関する発生時刻、種別情報、及び、エラー金額が関連付けられている。エラーテーブル72のレコードRは、精算処理において入出金機3の動作エラーが発生するごとに登録される。したがって、このエラーテーブル72を参照することで、いつどのような動作エラーが入出金機3において発生したかを事後的に把握することが可能となる。
【0070】
エラーテーブル72に情報が記録されると、エラーテーブル72に記録された情報と同一の情報が、印刷発行部26により記録用紙に印刷され、エラー伝票として発行される(ステップS34)。図10は、発行されたエラー伝票71の一例を示す図である。図に示すように、エラー伝票71においては、一つの動作エラーに関する発生時刻71a、種別情報71b、及び、エラー金額71cが印刷されている。動作エラーが発生するごとに、このようなエラー伝票71が発行される。このため、エラーテーブル72を閲覧する装置を利用せずとも、エラー伝票71を管理しておくことで、いつどのような動作エラーが入出金機3において発生したかを事後的に把握することが可能となる。
【0071】
なお、一回の精算処理において「リジェクト」と「釣銭切れ」とが生じるなど、複数回の動作エラーが発生することもある。この場合は、発生した動作エラーごとに図8に示すエラー対応処理が実行される。したがって、発生した動作エラーごとに、エラーテーブル72のレコードRが登録されるとともに、エラー伝票71が発行されることになる。
【0072】
<1−5.在高登録処理>
POSターミナル2では、上記の精算処理が繰り返された後、店舗の営業時間の終了後などにおいて在高登録処理と呼ばれる処理が実行される。この在高登録処理では、POSターミナル2が管理している理論残高と、入出金機3の実際の収納金額である実残高とが対比され、過不足の存在が確認される。
【0073】
図11は、在高登録処理の流れを示す図である。以下、図11を参照して在高登録処理の流れを説明する。
【0074】
まず、RAM203に記憶された理論残高が取得される(ステップS41)。次に、入出金機3に所定の制御信号が送信され、入出金機3の制御部31が管理している実残高が、入出金機3からPOSターミナル2に取得される(ステップS42)。
【0075】
続いて、実残高から理論残高がCPU201により差し引かれ、その結果が過不足額とされる。過不足額は、実残高が理論残高よりも多いとき(残高過剰のとき)は正の値、実残高が理論残高よりも少ないとき(残高不足のとき)は負の値となる(ステップS43)。
【0076】
次に、SRAM204に記憶されたエラーテーブル72が参照され、営業時間内の精算処理において発生した全ての動作エラーに関する情報(発生時刻、種別情報、エラー金額)が取得される(ステップS44)。
【0077】
そして、以上のようにして取得された実残高、理論残高、過不足額、及び、全ての動作エラーに関する情報が、印刷発行部26により記録用紙に印刷され、一枚の在高登録票として発行される(ステップS45)。
【0078】
図12は、このようにして発行された在高登録票73の一例を示す図である。図に示すように、在高登録票73では、残高に関する情報を示す現金残高欄73aと、動作エラーに関する情報を示す動作エラー欄73bとがある。
【0079】
現金残高欄73aでは、実残高と、理論残高と、過不足額とが示される。この現金残高欄73aを閲覧することにより、実残高及び理論残高とともに、営業時間内の精算処理において発生した過不足の状況を把握することができる。
【0080】
一方で、動作エラー欄73bでは、動作エラーの種別情報と、該動作エラーの発生件数と、該動作エラーに起因するトータルのエラー金額とが、動作エラーの種別ごとに記録されている。したがって、この動作エラー欄73bを閲覧することにより、営業時間内の精算処理において、どのような動作エラーが何件発生し、それによってどれだけのエラー金額が生じたかを容易に把握することができる。したがって、過不足(実残高と理論残高との相違)が生じた場合であっても、その過不足がどのような要因で生じたかを容易に特定することが可能となる。
【0081】
<1−6.釣銭切れの具体例>
次に、精算処理において「釣銭切れ」が発生した場合の具体例を説明する。
【0082】
図13は、「釣銭切れ」が発生した一例となる精算処理における、POSターミナル2及び入出金機3の具体的動作と、理論残高及び実残高の推移とを時系列に沿って示す図である。図中の符号T11ないしT19は時点を示している。なお、説明の便宜上、精算処理の開始時点T11における理論残高と実残高とは一致しており、それぞれ「0円」であるとする。
【0083】
まず、時点T12において、POSターミナル2において合計価格が「900円」と導出される。
【0084】
次に、時点T13において、預かり金の千円札が入出金機3に投入される。これにより、預かり金の金額が「1,000円」と計数され、その計数結果を示す計数結果信号sg1が入出金機3からPOSターミナル2に送信される。また、実残高「0円」に計数結果「1,000円」が加算され、実残高が「1,000円」に更新される。
【0085】
次に、時点T14において、計数結果信号sg1がPOSターミナル2に受信される。これにより、預かり金の金額が「1,000円」としてPOSターミナル2に取得される。
【0086】
次に、時点T15において、預かり金の金額「1,000円」から合計価格「900円」が差し引かれ、釣銭金額が「100円」と導出される。そして、釣銭金額「100円」を指定した釣銭指示信号sg2が、POSターミナル2から入出金機3に送信される。
【0087】
次に、時点T16において、釣銭指示信号sg2が入出金機3に受信される。入出金機3は、釣銭指示信号sg2に従って釣銭を放出すべきであるが、その内部には千円札のみが収納されていることから「100円」の金銭を放出できない。このため、「釣銭切れ」が発生し、その旨を示す動作エラー信号sg3が入出金機3からPOSターミナル2に送信される。
【0088】
次に、時点T17において、動作エラー信号sg3がPOSターミナル2に受信される。これにより、POSターミナル2において、釣銭金額「100円」が未放出金額(エラー金額)として取得される。
【0089】
次に、時点T18において、理論残高の「0円」に合計価格「900円」が加算され、理論残高が「900円」に更新される。その結果、理論残高が「900円」、実残高が「1,000円」となり、「+100円」の過不足(残高過剰)が生じる。
【0090】
次に、時点T19において、エラー対応処理がなされ、発生した「釣銭切れ」に関する情報を示すレコードRがエラーテーブル72に登録される。これとともに、図10に示すエラー伝票71が発行される。このエラー伝票71では、動作エラーの種別情報として「釣銭切れ」、エラー金額として「100円」が記録されている。
【0091】
図13に示す精算処理のみを行った状態で在高登録処理を実行した場合は、図14に示す在高登録票73が発行される。図14に示すように、在高登録票73の現金残高欄73aでは、「100円」の残高過剰が生じていることが示されている。一方で、動作エラー欄73bでは、「釣銭切れ」が1件発生し、その「釣銭切れ」に起因するエラー金額が「100円」であることが示される。したがって、この在高登録票73を視認すれば、過不足が「釣銭切れ」によって生じたことを容易に把握できる。また、図10に示すエラー伝票71も併せて参照することで、「釣銭切れ」の発生時刻も確認可能である。
【0092】
<1−7.リジェクトの具体例>
次に、精算処理において「リジェクト」が発生した場合の具体例を説明する。
【0093】
図15は、「リジェクト」が発生した一例となる精算処理における、POSターミナル2及び入出金機3の具体的動作と、理論残高及び実残高の推移とを時系列に沿って示す図である。図中の符号T21ないしT28は時点を示している。なお、説明の便宜上、精算処理の開始時点T21における理論残高と実残高とは一致しており、それぞれ「100円」であるとする。より具体的には、この開始時点T21において入出金機3には、百円玉が1枚収納されているものとする。
【0094】
まず、時点T22において、POSターミナル2において合計価格が「900円」と導出される。
【0095】
次に、時点T23において、預かり金の千円札の入出金機3への投入を試みるが、「リジェクト」が発生し、入出金機3に投入できずに放出される。このため、「リジェクト」が発生した旨を示す動作エラー信号sg4が入出金機3からPOSターミナル2に送信される。
【0096】
次に、時点T24において、動作エラー信号sg4がPOSターミナル2に受信される。そして、店舗スタッフの操作入力により、未投入金額(エラー金額)が「1,000円」とPOSターミナル2に取得される。投入済金額は存在しないため、預かり金の金額が「1,000円」としてPOSターミナル2に取得される。
【0097】
次に、時点T25において、預かり金の金額「1,000円」から合計価格「900円」が差し引かれ、釣銭金額が「100円」と導出される。そして、釣銭金額「100円」を指定した釣銭指示信号sg2が、POSターミナル2から入出金機3に送信される。
【0098】
次に、時点T26において、釣銭指示信号sg2が入出金機3に受信される。この釣銭指示信号sg2に従って、入出金機3の内部に収納されている百円玉が、釣銭として入出金機3から放出される。また、実残高「100円」から放出金額「100円」が減算され、実残高が「0円」に更新される。
【0099】
次に、時点T27において、理論残高の「100円」に合計価格「900円」が加算され、理論残高が「1,000円」に更新される。その結果、理論残高が「1,000円」、実残高が「0円」となり、「−1,000円」の過不足(残高不足)が生じる。
【0100】
次に、時点T28において、エラー対応処理がなされ、発生した「リジェクト」に関する情報を示すレコードRがエラーテーブル72に登録される。これとともに、図16に示すエラー伝票71が発行される。このエラー伝票71では、動作エラーの種別情報として「リジェクト」、エラー金額として「1,000円」が記録されている。
【0101】
図15に示す精算処理のみを行った状態で在高登録処理を実行した場合は、図17に示す在高登録票73が発行される。図17に示すように、在高登録票73の現金残高欄73aでは、「1,000円」の残高不足が生じていることが示されている。一方で、動作エラー欄73bでは、「リジェクト」が1件発生し、その「リジェクト」に起因するエラー金額が「1,000円」であることが示される。したがって、この在高登録票73を視認すれば、過不足が「リジェクト」によって生じたことを容易に把握できる。また、図16に示すエラー伝票71も併せて参照することで、「リジェクト」の発生時刻も確認可能である。
【0102】
<1−8.釣銭フルの具体例>
次に、精算処理において「釣銭フル」が発生した場合の具体例を説明する。
【0103】
図18は、「釣銭フル」が発生した一例となる精算処理における、POSターミナル2及び入出金機3の具体的動作と、理論残高及び実残高の推移とを時系列に沿って示す図である。図中の符号T31ないしT39は時点を示している。なお、説明の便宜上、精算処理の開始時点T31における理論残高と実残高とは一致しており、それぞれ「100円」であるとする。より具体的には、この開始時点T31において入出金機3には、百円玉が1枚収納されているものとする。
【0104】
まず、時点T32において、POSターミナル2において合計価格が「900円」と導出される。
【0105】
次に、時点T33において、預かり金の2枚の五百円玉の入出金機3への投入を試みるが、1枚の五百円玉は入出金機3に投入できたものの、「釣銭フル」が発生し、他の1枚の五百円玉は投入できずに放出される。これにより、計数結果は「500円」となり、その計数結果を示す計数結果信号sg1が入出金機3からPOSターミナル2に送信される。また、実残高「100円」に計数結果「500円」が加算され、実残高が「600円」に更新される。さらに、「釣銭フル」が発生した旨を示す動作エラー信号sg5も入出金機3からPOSターミナル2に送信される。
【0106】
次に、時点T34において、計数結果信号sg1及び動作エラー信号sg5の双方がPOSターミナル2に受信される。これにより、投入済金額が「500円」としてPOSターミナル2に取得される。
【0107】
次に、時点T35において、店舗スタッフの操作入力により、未投入金額(エラー金額)が「500円」とPOSターミナル2に取得される。そして、投入済金額「500円」と未投入金額「500円」とが加算され、預かり金の金額が「1,000円」としてPOSターミナル2に取得される。
【0108】
次に、時点T36において、預かり金の金額「1,000円」から合計価格「900円」が差し引かれ、釣銭金額が「100円」と導出される。そして、釣銭金額「100円」を指定した釣銭指示信号sg2が、POSターミナル2から入出金機3に送信される。
【0109】
次に、時点T37において、釣銭指示信号sg2が入出金機3に受信される。この釣銭指示信号sg2に従って、入出金機3の内部に収納されている百円玉が、釣銭として入出金機3から放出される。また、実残高「600円」から放出金額「100円」が減算され、実残高が「500円」に更新される。
【0110】
次に、時点T38において、理論残高の「100円」に合計価格「900円」が加算され、理論残高が「1,000円」に更新される。その結果、理論残高が「1,000円」、実残高が「500円」となり、「−500円」の過不足(残高不足)が生じる。
【0111】
次に、時点T39において、エラー対応処理がなされ、発生した「釣銭フル」に関する情報を示すレコードRがエラーテーブル72に登録される。これとともに、図19に示すエラー伝票71が発行される。このエラー伝票71では、動作エラーの種別情報として「釣銭フル」、エラー金額として「500円」が記録されている。
【0112】
図18に示す精算処理のみを行った状態で在高登録処理を実行した場合は、図20に示す在高登録票73が発行される。図20に示すように、在高登録票73の現金残高欄73aでは、「500円」の残高不足が生じていることが示されている。一方で、動作エラー欄73bでは、「釣銭フル」が1件発生し、その「釣銭フル」に起因するエラー金額が「500円」であることが示される。したがって、この在高登録票73を視認すれば、過不足が「釣銭フル」によって生じたことを容易に把握できる。また、図19に示すエラー伝票71も併せて参照することで、「釣銭フル」の発生時刻も確認可能である。
【0113】
<1−9.まとめ>
以上のように、POSターミナル2では、精算処理における演算値である合計価格に基づいて、入出金機3の収納金額が理論残高として導出される。一方で、入出金機3において金銭の投入動作及び放出動作のいずれかの動作エラーが発生した場合には、当該動作エラーの種別情報が動作エラー信号に基づいて特定される。さらに、その動作エラーにより投入または放出できなかった金額であるエラー金額も取得される。このように、入出金機3の動作エラーが発生した場合には、その動作エラーの種別情報とそれに起因するエラー金額とが取得されるため、動作エラーにより実残高と理論残高とが相違する過不足の状態が生じたとしても適切に対応できることになる。
【0114】
また、在高登録処理においては、実残高、理論残高、過不足額、及び、発生した全ての動作エラーに関する情報が取得され、これらが一つの記録用紙に印刷されて在高登録票73として発行される。したがって、過不足が生じた場合であっても、過不足の具体的な状況と、その過不足がどのような要因で生じたかを容易に把握することが可能となる。
【0115】
また、動作エラーが発生するごとに、当該動作エラーの情報(発生時刻、種別情報、及び、エラー金額)がSRAM204に記憶されると共に、記録用紙に印刷されてエラー伝票71として発行される。したがって、個々の動作エラーごとの情報も事後的に容易に把握可能である。
【0116】
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では、入出金機3の動作エラーが発生したとしても理論残高を修正することはなかったが、本実施の形態では動作エラーが発生したときは、エラー金額に基づいて理論残高が修正されるようになっている。
【0117】
本実施の形態の精算処理の内容は、図6及び図7に示す第1の実施の形態のものとほぼ同様であるが、エラー対応処理(図7のステップS30)の内容が相違している。
【0118】
図21は、本実施の形態のエラー対応処理の流れの詳細を示す図である。ステップS51からステップS54までの処理は、図8に示すステップS31からS34までの処理と同一である。すなわち、タイマ205の計時する時刻に基づいて動作エラーの発生時刻が取得されるとともに(ステップS51)、動作エラー信号に基づいて発生した動作エラーの種別情報が特定される(ステップS52)。続いて、取得された動作エラーに関連する情報がエラーテーブル72に記録されるとともに(ステップS53)、その情報が記録用紙に印刷されてエラー伝票71が発行される(ステップS54)。
【0119】
次に、発生した動作エラーの種別情報が確認され(ステップS55)、動作エラーの種別情報と、該動作エラーに起因するエラー金額とに基づいて、RAM203に記憶された理論残高がCPU201により修正される。
【0120】
発生した動作エラーが「釣銭切れ」、すなわち、放出動作の動作エラーの場合は、放出できなかったエラー金額の分だけ理論残高が実残高よりも少なくなっている。このため、その時点の理論残高にエラー金額が加算され、その結果が新たな理論残高とされる(ステップS56)。
【0121】
一方、発生した動作エラーが「リジェクト」あるいは「釣銭フル」、すなわち、投入動作の動作エラーの場合は、投入できなかったエラー金額の分だけ理論残高が実残高よりも多くなっている。このため、その時点の理論残高からエラー金額が減算され、その結果が新たな理論残高とされる(ステップS57)。
【0122】
このように本実施の形態では、動作エラーが発生したとしても、動作エラーの種別情報とエラー金額とに基づいて理論残高が修正される。このため、実残高と理論残高とを一致させることができ、動作エラーに起因する過不足そのものの発生を防止できる。
【0123】
なお、このような理論残高の修正は、発生した動作エラーが投入動作及び放出動作のいずれの動作エラーであるかの情報と、エラー金額とが得られれば行うことが可能である。このため、動作エラーの種別情報は、「釣銭切れ」、「リジェクト」及び「釣銭フル」を示す情報でなくても、少なくとも投入動作の動作エラー、及び、放出動作の動作エラーのいずれであるかを特定可能な情報であればよい。
【0124】
<3.他の実施の形態>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような他の実施の形態について説明する。もちろん、以下で説明する形態を適宜に組み合わせてもよい。
【0125】
上記実施の形態では、動作エラー信号に基づいて動作エラーの種別情報が特定されていたが、操作キー部24等を介してユーザたる店舗スタッフが動作エラーの種別情報を操作入力することにより、動作エラーの種別情報が特定されてもよい。このような場合、動作エラー信号が入出金機3からPOSターミナル2に送信されなくてもよい。
【0126】
また、動作エラーが発生した時点における精算処理における工程に基づいて、動作エラーの種別情報が特定されてもよい。例えば、預かり金を投入すべき工程(図6のステップS14)において動作エラーが発生すれば投入動作の動作エラーであると特定でき、釣銭を放出すべき工程(図7のステップS23)において動作エラーが発生すれば放出動作の動作エラーであると特定できる。
【0127】
また、上記第2の実施の形態ではエラー対応処理において理論残高が修正されていたが、理論残高を更新する際(図7のステップS27)において、エラー金額を考慮して理論残高を修正するようにしてもよい。
【0128】
また、入出金機3は、売買取引とは無関係に、金銭(釣銭準備金等)を投入する入金処理と、金銭(売上金等)を放出する出金処理とを行うことが可能であり、この入金処理及び出金処理を行う場合はPOSターミナル2に信号が送信されて、理論残高も更新される。この入金処理及び出金処理に伴う理論残高の更新の際に、エラー金額を考慮して理論残高を修正するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】POSターミナルが適用されるPOSシステムの概要を示す図である。
【図2】POSターミナルの外観構成を示す図である。
【図3】POSターミナルの内部構成を含めた構成を示すブロック図である。
【図4】入出金機の外観構成を示す図である。
【図5】入出金機の内部構成を含めた構成を示すブロック図である。
【図6】精算処理の流れを示す図である。
【図7】精算処理の流れを示す図である。
【図8】第1の実施の形態のエラー対応処理の流れの詳細を示す図である。
【図9】エラーテーブルの一例を示す図である。
【図10】エラー伝票の一例を示す図である。
【図11】在高登録処理の流れを示す図である。
【図12】在高登録票の一例を示す図である。
【図13】釣銭切れが発生した場合の理論残高及び実残高の推移の一例を示す図である。
【図14】在高登録票の一例を示す図である。
【図15】リジェクトが発生した場合の理論残高及び実残高の推移の一例を示す図である。
【図16】エラー伝票の一例を示す図である。
【図17】在高登録票の一例を示す図である。
【図18】釣銭フルが発生した場合の理論残高及び実残高の推移の一例を示す図である。
【図19】エラー伝票の一例を示す図である。
【図20】在高登録票の一例を示す図である。
【図21】第2の実施の形態のエラー対応処理の流れの詳細を示す図である。
【符号の説明】
【0130】
1 POSサーバ
2 POSターミナル
3 入出金機
21 制御部
24 操作キー部
26 印刷発行部
71 エラー伝票
73 在高登録票
201 CPU
【技術分野】
【0001】
本発明は、入出金機と連動し、入出金機の計数結果に基づいて売買取引に係る演算処理を行うキャッシュレジスタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの小売店舗の売買取引においては、POSターミナルなどとも呼ばれるキャッシュレジスタ装置が使用される。キャッシュレジスタ装置では、売買取引ごとに、当該売買取引に係る演算処理が行われる。具体的には、顧客が購入を希望する全ての商品の合計価格が導出された後、顧客から受け渡された預かり金の金額が取得され、合計価格と預かり金の金額とに基づいて釣銭の金額が導出される。
【0003】
通常、このような売買取引では、預かり金の計数や釣銭の計数は、キャッシュレジスタ装置を取り扱う店舗スタッフが担うことになる。一方で近年では、店舗スタッフの計数ミスや不正操作等を防止するため、キャッシュレジスタ装置を入出金機と連動させ、預かり金の計数や釣銭の計数を入出金機に行わせることもなされている。この入出金機は、投入された金銭の金額を計数する入金機能と、指定された金額の金銭を放出する出金機能とを有する装置である。
【0004】
入出金機を利用する場合は、預かり金は入出金機に投入され、入出金機によりその金額が正確に計数される。そして、その正確な計数結果が信号でキャッシュレジスタ装置に受け渡され、売買取引に係る演算処理に利用される。また、キャッシュレジスタ装置において釣銭の金額が導出されると、導出された釣銭の金額が信号で入出金機に受け渡され、その金額の金銭が釣銭として入出金機から放出される(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開2005−222192号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
キャッシュレジスタ装置と入出金機とを連動させる場合は、原則として売上金及び釣銭準備金の全ての現金が入出金機内に収納される。キャッシュレジスタ装置は、この入出金機の理論上の収納金額である理論残高を示す内部変数を記憶しており、売買取引ごとに更新している。入出金機の収納金額は、理論的には、売買取引ごとにその売買取引における合計価格の分だけ増加する。このため、キャッシュレジスタ装置は、売買取引に係る演算処理において導出された合計価格に基づいて理論残高を更新する。
【0007】
しかしながら、入出金機において預かり金の投入動作や釣銭の放出動作で動作エラーが発生した場合には、入出金機の実際の収納金額である実残高と、キャッシュレジスタ装置が記憶している理論残高とが相違する過不足の状態が生じる。例えば、入出金機において預かり金の投入時にリジェクト(金銭を投入できない動作エラー)が生じたときには、実際には入出金機に金銭が投入されておらず実残高が増加していないにもかかわらず、理論残高は増加されるという事態が生じる。従来のキャッシュレジスタ装置では、このような入出金機の動作エラーに起因して過不足が生じたとしても、その原因の特定が難しく問題となっていた。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、入出金機の動作エラーにより、入出金機の実際の収納金額と理論残高とが相違する過不足が生じたとしても適切に対応できるキャッシュレジスタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、投入された金銭の金額を計数するとともに指定された金額の金銭を放出する入出金機と連動し、前記入出金機による計数結果に基づいて売買取引に係る演算処理を行うキャッシュレジスタ装置であって、前記売買取引に係る演算処理における演算値に基づいて、前記入出金機の収納金額を理論残高として導出する導出手段と、前記入出金機において金銭の投入動作及び放出動作のいずれかの動作エラーが発生した場合に、当該動作エラーの種別情報を特定する種別特定手段と、前記動作エラーにより投入または放出できなかった金額であるエラー金額を取得する金額取得手段と、を備えている。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のキャッシュレジスタ装置において、前記動作エラーの種別情報と、該動作エラーに起因する前記エラー金額とを記録用紙に印刷する印刷手段、をさらに備えている。
【0011】
また、請求項3の発明は、請求項2に記載のキャッシュレジスタ装置において、前記入出金機の実際の収納金額である実残高を、前記入出金機から取得する取得手段、をさらに備え、前記印刷手段は、前記理論残高と前記実残高とを前記記録用紙にさらに印刷する。
【0012】
また、請求項4の発明は、請求項1に記載のキャッシュレジスタ装置において、前記動作エラーの種別情報、及び、該動作エラーに起因する前記エラー金額に基づいて、前記理論残高を修正する修正手段、をさらに備えている。
【0013】
また、請求項5の発明は、請求項4に記載のキャッシュレジスタ装置において、前記動作エラーの種別情報は、前記投入動作の動作エラー、及び、前記放出動作の動作エラーのいずれであるかを特定可能な情報である。
【0014】
また、請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載のキャッシュレジスタ装置において、時刻を計時する計時手段と、前記動作エラーが発生した場合に、前記計時手段から得られる前記動作エラーの発生時刻と、前記動作エラーの種別情報と、前記動作エラーに起因する前記エラー金額とを記録用紙に印刷する記録手段と、をさらに備えている。
【0015】
また、請求項7の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載のキャッシュレジスタ装置において、時刻を計時する計時手段と、前記動作エラーが発生した場合に、前記計時手段から得られる前記動作エラーの発生時刻と、前記動作エラーの種別情報と、前記動作エラーに起因する前記エラー金額とを関連付けて記憶する記憶手段と、をさらに備えている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1ないし7の発明によれば、入出金機において金銭の投入動作時及び放出動作時のいずれかの動作エラーが発生した場合に、発生した動作エラーの種別情報を特定するとともに、その動作エラーに起因するエラー金額を取得する。このため、動作エラーにより、入出金機の実際の収納金額と理論残高とが相違する過不足の状態が生じたとしても適切に対応できる。
【0017】
また、特に請求項2の発明によれば、動作エラーの種別情報と、その動作エラーに起因するエラー金額とが関連付けて記録用紙に印刷されるため、過不足の要因を事後的に容易に把握できる。
【0018】
また、特に請求項3の発明によれば、理論残高、実残高、及び、動作エラーに関する情報が一つの記録用紙に印刷されるため、過不足の状況と、その要因とを容易に把握できる。
【0019】
また、特に請求項4の発明によれば、動作エラーが発生したとしても理論残高を修正して、入出金機の実際の収納金額と理論残高とを一致させることができる。
【0020】
また、特に請求項5の発明によれば、理論残高を正しく修正できる。
【0021】
また、特に請求項6の発明によれば、動作エラーが発生するごとに、その動作エラーの発生時刻と、種別情報と、エラー金額とが記録用紙に記録されるため、いつどのような動作エラーが発生したかを事後的に把握できる。
【0022】
また、特に請求項7の発明によれば、動作エラーが発生するごとに、その動作エラーの発生時刻と、種別情報と、エラー金額とが関連付けて記憶されるため、いつどのような動作エラーが生じたかを事後的に把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
【0024】
<1.第1の実施の形態>
<1−1.構成概要>
図1は、第1の実施の形態に係るキャッシュレジスタ装置であるPOSターミナル2が適用されるPOSシステム(キャッシュレジスタシステム)100の概要を示す図である。このPOSシステム100は、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの店舗において採用されるものであり、POSサーバ1と、複数のPOSターミナル2とを主に備えている。POSサーバ1と複数のPOSターミナル2とはLAN41によって接続され、相互にデータ通信が可能とされている。また、複数のPOSターミナル2のそれぞれには入出金機3がケーブル42によって接続されている。これにより、各POSターミナル2は、自装置に接続された入出金機3とデータ通信が可能となっている。
【0025】
POSサーバ1は、POSシステム100の全体を統括的に管理する装置であり、通常は店舗の販売エリアとは別の管理事務所等に配置される。POSサーバ1は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えた一般的なコンピュータで構成される。POSサーバ1のハードディスクには、当該店舗で扱われる各商品の商品データが登録された商品マスタなど、POSシステム100の全体で必要となるデータが記憶される。
【0026】
POSターミナル2は、主として商品の売買取引の際に店舗の販売スタッフによって実際に操作される装置であり、店舗の販売エリアに配置される。POSターミナル2は、売買取引ごとに精算処理を実行する。精算処理では、売買取引に係る商品の商品登録(商品データの登録)、及び、売買取引に係る各種の演算処理(商品の合計価格や釣銭の導出等)がなされる。
【0027】
また、入出金機3は、投入された金銭の金額を計数する入金機能と、指定された金額の金銭を放出する出金機能と、金銭を収納する収納機能とを有する装置である。POSターミナル2は精算処理において、自装置に接続された入出金機3と連動することになる。原則として、精算処理において顧客と販売スタッフとの間で受け渡される全ての金銭は、入出金機3において計数される。また原則として、売買取引に関する全ての金銭(売上金及び釣銭準備金の双方)は、入出金機3に収納される。
【0028】
精算処理において顧客から受け渡された預かり金は、入出金機3に投入される。投入された預かり金の金額は入出金機3により正確に計数され、その計数結果が信号でPOSターミナル2に受け渡されて演算処理に利用される。また、POSターミナル2において釣銭の金額が導出されると、導出された釣銭の金額が信号で入出金機3に受け渡され、その金額の金銭が釣銭として入出金機3から放出されるようになっている。
【0029】
<1−2.POSターミナル>
図2は、POSターミナル2の外観構成を示す図である。図に示すように、POSターミナル2は、各種情報の表示を行う2つのディスプレイ22,23と、ユーザの操作や入力を受け付ける複数のボタンからなる操作キー部24と、商品に付されたバーコードなどを読み取るバーコードリーダ25と、記録用紙を印刷してレシート等を発行する印刷発行部26と、金銭を収納可能なドロワ27とを備えている。操作キー部24には、小計キーやテンキーなどの各種のボタンが含まれている。
【0030】
また、2つのディスプレイ22,23のうち、一方はユーザたる販売スタッフの側に示すべき情報を表示する販売側ディスプレイ22であり、他方は顧客の側に示すべき情報を表示する顧客側ディスプレイ23である。顧客側ディスプレイ23の画面は、精算処理において顧客が視認しやすいように、その向きが調整可能となっている。
【0031】
図3は、POSターミナル2の内部構成を含めた構成を示すブロック図である。図に示すように、POSターミナル2はその内部に、装置全体を制御するとともに、各種の演算処理を行うコンピュータである制御部21を備えている。制御部21は、演算処理を行うCPU201と、制御用プログラム等を記憶するROM202と、演算処理の作業領域となるRAM203と、各種データを記憶する不揮発性メモリであるバッテリーバックアップされたSRAM204と、時刻を計時する機能を有するタイマ205とを備えている。制御部21の各種機能は、CPU201がROM202内の制御用プログラムに従って演算処理を行うことで実現される。
【0032】
POSターミナル2の制御部21は、精算処理における演算値に基づいて、入出金機3が収納している理論上の金額(以下、「理論残高」という。)を導出して把握している。具体的には、理論残高を示す内部変数がRAM203に記憶されており、精算処理で導出された商品の合計価格に基づいて理論残高がCPU201により更新される。この理論残高の更新を含む精算処理の詳細については後述する。
【0033】
また、上述した販売側ディスプレイ22、顧客側ディスプレイ23、操作キー部24、バーコードリーダ25、ドロワ27及び印刷発行部26の各部は、バスライン20を介して制御部21に接続される。これにより、POSターミナル2の各部は制御部21の制御下で動作するとともに、操作キー部24及びバーコードリーダ25で取得された情報は制御部21に入力される。
【0034】
また、POSターミナル2は、LAN41を介して通信するための通信部28と、ケーブル42を介して通信するためのインターフェイス29とを備えている。これら通信部28及びインターフェイス29もバスライン20を介して制御部21に接続されている。これにより、制御部21はPOSサーバ1及び入出金機3との間で、各種信号やデータの送受信を行うことが可能となっている。
【0035】
<1−3.入出金機>
図4は、入出金機3の外観構成を示す図である。図に示すように、入出金機3は、前面側上部に硬貨を投入するための硬貨投入部32を備え、前面側右方に紙幣を投入するための紙幣投入部34を備えている。また、前面側左方には硬貨を放出するための硬貨放出部33を備え、紙幣投入部34の左側には紙幣を放出するための紙幣放出部35を備えている。
【0036】
精算処理において顧客から受け渡された預かり金は、硬貨投入部32及び紙幣投入部34を介して入出金機3に収納される。また、釣銭は、硬貨放出部33及び紙幣放出部35を介して入出金機3から払い出される。
【0037】
図5は、入出金機3の内部構成を含めた構成を示すブロック図である。図に示すように、入出金機3はその内部に、硬貨投入部32を介して投入された硬貨を計数する硬貨計数部36と、硬貨を収納する硬貨収納部361と、紙幣投入部34を介して投入された紙幣を計数する紙幣計数部37と、紙幣を収納する紙幣収納部371とを備えている。硬貨計数部36及び紙幣計数部37は、投入された金銭が真貨であるか否かを判別する機能も有している。
【0038】
硬貨収納部361は、硬貨計数部36で計数された硬貨を収納するとともに、外部へ放出すべき硬貨を硬貨放出部33に供給する。同様に、紙幣収納部371は、紙幣計数部37で計数された紙幣を収納するとともに、外部へ放出すべき紙幣を紙幣放出部35に供給する。
【0039】
また、入出金機3は、その内部に装置全体を制御するとともに、各種の演算処理を行うコンピュータである制御部31を備えている。制御部31は、演算処理を行うCPU301と、制御用プログラム等を記憶するROM302と、演算処理の作業領域となるRAM303と、各種データを記憶する不揮発性メモリであるバッテリーバックアップされたSRAM304とを備えている。制御部31の各種機能は、CPU301がROM302内の制御用プログラムに従って演算処理を行うことで実現される。
【0040】
上述した硬貨投入部32、硬貨放出部33、紙幣投入部34、紙幣放出部35、硬貨計数部36及び紙幣計数部37の各部は、バスライン30を介して制御部31に接続される。これにより、入出金機3の各部は制御部31の制御下で動作するとともに、硬貨計数部36及び紙幣計数部37における計数結果は制御部31に入力される。
【0041】
入出金機3の制御部31は、硬貨計数部36及び紙幣計数部37の計数結果、及び、硬貨放出部33及び紙幣放出部35が放出した金額に基づいて、硬貨収納部361及び紙幣収納部371が実際に収納している金額(以下、「実残高」という。)を導出して把握している。具体的には、実残高を示す内部変数がRAM303に記憶されており、実際の金銭の投入や放出に応じて実金額がCPU301により更新される。さらに、制御部31は、硬貨収納部361及び紙幣収納部371に収納されている金銭の種別とその数も把握している。
【0042】
また、入出金機3は、ケーブル42を介して通信するためのインターフェイス39を備えている。インターフェイス39もバスライン30を介して制御部31に接続されている。これにより、制御部31はPOSターミナル2との間で、各種信号やデータの送受信を行うことが可能となっている。
【0043】
このような入出金機3においては、投入すべき預かり金を投入できない、あるいは、放出すべき釣銭を放出できないという動作エラーが発生することがある。このような動作エラーとしては、「釣銭切れ」「リジェクト」及び「釣銭フル」がある。
【0044】
「釣銭切れ」とは、放出すべき釣銭を放出できないという放出動作の動作エラーである。釣銭を放出する際には、その金額を指定する信号がPOSターミナル2から入出金機3に入力される。しかしながら、硬貨収納部361及び紙幣収納部371に収納された金銭の金額が指定された金額に満たない場合や、収納された金銭では指定された金額の組合せを実現できない場合は、釣銭が放出されない。すなわち、「釣銭切れ」が発生する。
【0045】
「リジェクト」とは、投入すべき預かり金を投入できないという投入動作の動作エラーである。預かり金を投入した場合において、金銭が真貨であっても、汚れや折り目などにより硬貨計数部36及び紙幣計数部37にその金銭が真貨と認識されない場合がある。この場合、真貨と認識されない金銭は、入出金機3に収納されずにそのまま放出される。すなわち、「リジェクト」が発生する。
【0046】
「釣銭フル」とは、投入すべき預かり金を投入できないという投入動作の動作エラーである。預かり金を投入した場合において、金銭が真貨と認識された場合あっても、硬貨収納部361及び紙幣収納部371の収納スペースが物理的に満杯であれば、さらなる金銭の収納はできない。このため、この場合においては、収納できない金銭は入出金機3に収納されずにそのまま放出される。すなわち、「釣銭フル」が発生する。なお、「リジェクト」及び「釣銭フル」の場合においては、預かり金のうちの一部の金銭のみが入出金機3に収納され、残りの金銭が入出金機3に収納されずに放出されるといった場面もあり得る。
【0047】
入出金機3においてこのような動作エラーが発生したときには、制御部31の制御により動作エラー信号が入出金機3からPOSターミナル2に送信されるようになっている。動作エラー信号には、発生した動作エラーが、「釣銭切れ」「リジェクト」及び「釣銭フル」のいずれであるかを示す種別情報が含まれている。
【0048】
<1−4.精算処理>
POSターミナル2は、精算処理において動作エラー信号を入出金機3から受信すると、それに応じた処理を行うようになっている。以下、このようなPOSターミナル2の精算処理について説明する。
【0049】
図6及び図7は、精算処理の流れを示す図である。図6及び図7に示す一連の処理は、一の売買取引ごと(一の顧客が購入を希望する商品群ごと)になされる処理である。また、図6及び図7において、左側はPOSターミナル2の処理の流れを示し、右側は入出金機3の処理の流れを示している。
【0050】
まず、顧客が購入を希望する商品に付されたバーコードが、POSターミナル2のバーコードリーダ25によって読み取られる。これにより取得された商品コードに基づいてPOSサーバ1内の商品マスタが参照され、当該商品の「商品名」及び「価格」などの商品データがPOSターミナル2に取得される。取得された商品データはRAM202に記憶され、これにより当該商品の商品登録がなされる。このような商品登録は、顧客が購入を希望する全ての商品について行われる(ステップS11)。
【0051】
全ての商品について商品登録がなされると、ユーザたる販売スタッフにより操作キー部24に含まれる小計キーが押下される。小計キーが押下されると(ステップS12にてYes)、全ての商品についての「価格」がCPU201により合計され、その結果の演算値が合計価格としてRAM202に記憶される(ステップS13)。
【0052】
導出された合計価格は、2つのディスプレイ22,23に表示される。この合計価格の表示に基づいて、預かり金となる決済用の金銭が顧客から店舗スタッフに受け渡される。預かり金は、入出金機3の硬貨投入部32及び紙幣投入部34に、店舗スタッフにより投入される。預かり金が入出金機3に投入されると、入出金機3の硬貨計数部36及び紙幣計数部37により預かり金の金額が計数される。そして、その計数結果(すなわち、預かり金の金額)を示す信号(以下、「計数結果信号」という。)が、入出金機3からPOSターミナル2に送信される(ステップS91)。
【0053】
しかしながら、この入出金機3の投入動作において「リジェクト」あるいは「釣銭フル」の動作エラーが発生した場合は、動作エラー信号が入出金機3からPOSターミナル2に送信される。また、「リジェクト」あるいは「釣銭フル」の動作エラーにより、預かり金のうちの一部の金銭のみが入出金機3に収納され、残りの金銭が収納されずに放出された場合は、収納された一部の金銭の金額を示す計数結果信号と、動作エラー信号との双方が、入出金機3からPOSターミナル2に送信される。
【0054】
入出金機3から送信された信号はPOSターミナル2に受信される(ステップS14)。そして、受信した信号に動作エラー信号がなかった場合(すなわち、入出金機3の投入動作において動作エラーが発生しなかった場合)は(ステップS15にてNo)、計数結果信号に基づいて預かり金の金額がCPU201により取得され、RAM202に記憶される(ステップS16)。
【0055】
一方、受信した信号に動作エラー信号があった場合(すなわち、入出金機3の投入動作において動作エラーが発生した場合)は(ステップS15にてYes)、まず、動作エラーがあった旨が販売側ディスプレイ22に表示される(ステップS17)。
【0056】
次に、動作エラー信号とともに計数結果信号を受信していた場合は、その計数結果信号に基づいて、預かり金のうち入出金機3に投入できた金銭の金額(以下、「投入済金額」という。)が、CPU201により取得され、RAM202に記憶される(ステップS18)。
【0057】
次に、預かり金のうち入出金機3に投入できなかった金銭の金額(以下、「未投入金額」という。)が、操作キー部24を介して店舗スタッフにより操作入力される。これにより、未投入金額がPOSターミナル2に取得され、RAM202に記憶される。入出金機3に投入できなかった金銭はドロワ27などに収納される。未投入金額は、「リジェクト」あるいは「釣銭フル」の動作エラーに起因して入出金機3に投入できなかったエラー金額であるともいえる(ステップS19)。
【0058】
次に、投入済金額と未投入金額とがCPU201により加算され、その結果が預かり金の金額とされる。導出された預かり金の金額は、RAM202に記憶される(ステップS20)。
【0059】
このようにして預かり金の金額が得られると、次に、預かり金の金額から合計価格がCPU201により差し引かれ、その結果が釣銭金額とされる。導出された釣銭金額は、2つのディスプレイ22,23に表示される(図7のステップS21)。次に、釣銭金額を指定してその金銭の放出を指示する釣銭指示信号が、POSターミナル2から入出金機3に送信される(ステップS22)。
【0060】
この釣銭指示信号の受信に応答して入出金機3では、釣銭指示信号が指定する釣銭金額の金銭が、硬貨放出部33及び紙幣放出部35から放出される。放出された金銭は、釣銭として店舗スタッフにより顧客に受け渡される。このようにして入出金機3が正常に釣銭を放出した場合は、正常完了信号が入出金機3からPOSターミナル2に送信される。しかしながら、この入出金機3の放出動作において「釣銭切れ」の動作エラーが発生した場合は、動作エラー信号が入出金機3からPOSターミナル2に送信される(ステップS92)。
【0061】
入出金機3から送信された信号はPOSターミナル2に受信される(ステップS23)。受信した信号が正常完了信号の場合(すなわち、入出金機3の放出動作において動作エラーが発生しなかった場合)は(ステップS24にてNo)、処理はそのままステップS27に進む。
【0062】
一方、受信した信号が動作エラー信号の場合(すなわち、入出金機3の放出動作において動作エラーが発生した場合)は(ステップS24にてYes)、まず、動作エラーがあった旨が販売側ディスプレイ22に表示される(ステップS25)。このようなエラー表示があった場合は、釣銭が入出金機3から放出されないため、ドロワ27や店舗事務室などから釣銭が持ち出されて顧客に受け渡される。
【0063】
続いて、入出金機3が放出できなかった金銭の金額(以下、「未放出金額」という。)が取得される。本実施の形態の入出金機3は、「釣銭切れ」の場合には、釣銭となる全ての金銭を放出しない。このため、ステップS21において導出された釣銭金額が、そのまま未放出金額としてCPU201により取得され、RAM202に記憶される。未放出金額は「釣銭切れ」の動作エラーに起因して入出金機3から放出できなかったエラー金額であるともいえる(ステップS26)。
【0064】
ステップS27では、ステップS13において導出された合計価格に基づいて、RAM203に記憶された理論残高が更新される。具体的には、その時点の理論残高に合計価格がCPU201により加算され、その結果が新たな理論残高とされる(ステップS27)。ただし、以上の処理過程において入出金機3において動作エラーが生じたときには、理論残高と実残高とはこの時点で相違することになる(具体例については後述。)。
【0065】
次に、印刷発行部26により、売買取引の内容が記録用紙に印刷され、レシートとして発行される(ステップS28)。通常は、このレシートの発行により精算処理が完了する。しかしながら、以上の処理過程において動作エラー信号を入出金機3から受信していた場合は、動作エラーに対応すべくエラー対応処理がさらに行われる(ステップS29,S30)。
【0066】
図8は、エラー対応処理の流れの詳細を示す図である。まず、タイマ205が計時している時刻が取得される(ステップS31)。このとき取得された時刻は、以降、動作エラーの発生時刻として取り扱われる。なお、動作エラー信号を受信した時点で、タイマ205が計時している時刻が取得され、その時刻が動作エラーの発生時刻とされてもよい。
【0067】
次に、入出金機3において発生した動作エラーの種別情報が、CPU201により特定される。前述のように、入出金機3から受信した動作エラー信号には、発生した動作エラーが「釣銭切れ」「リジェクト」及び「釣銭フル」のいずれであるかを示す種別情報が含まれている。このため、この動作エラー信号に基づいて、発生した動作エラーの種別情報が容易に特定される(ステップS32)。
【0068】
次に、以上のようにして取得された動作エラーに関連する情報が、SRAM204に記憶される。SRAM204には、発生した全ての動作エラーに関する情報が登録されるテーブルデータであるエラーテーブルが記憶されている。このエラーテーブルに対して、動作エラーの発生時刻と、動作エラーの種別情報と、動作エラーに起因するエラー金額とが関連付けられて記録される(ステップS33)。
【0069】
図9は、エラーテーブル72の一例を示す図である。図に示すように、エラーテーブル72では、一つのレコードRに一つの動作エラーに関連する情報が登録される。すなわち、各レコードRにおいては、一つの動作エラーに関する発生時刻、種別情報、及び、エラー金額が関連付けられている。エラーテーブル72のレコードRは、精算処理において入出金機3の動作エラーが発生するごとに登録される。したがって、このエラーテーブル72を参照することで、いつどのような動作エラーが入出金機3において発生したかを事後的に把握することが可能となる。
【0070】
エラーテーブル72に情報が記録されると、エラーテーブル72に記録された情報と同一の情報が、印刷発行部26により記録用紙に印刷され、エラー伝票として発行される(ステップS34)。図10は、発行されたエラー伝票71の一例を示す図である。図に示すように、エラー伝票71においては、一つの動作エラーに関する発生時刻71a、種別情報71b、及び、エラー金額71cが印刷されている。動作エラーが発生するごとに、このようなエラー伝票71が発行される。このため、エラーテーブル72を閲覧する装置を利用せずとも、エラー伝票71を管理しておくことで、いつどのような動作エラーが入出金機3において発生したかを事後的に把握することが可能となる。
【0071】
なお、一回の精算処理において「リジェクト」と「釣銭切れ」とが生じるなど、複数回の動作エラーが発生することもある。この場合は、発生した動作エラーごとに図8に示すエラー対応処理が実行される。したがって、発生した動作エラーごとに、エラーテーブル72のレコードRが登録されるとともに、エラー伝票71が発行されることになる。
【0072】
<1−5.在高登録処理>
POSターミナル2では、上記の精算処理が繰り返された後、店舗の営業時間の終了後などにおいて在高登録処理と呼ばれる処理が実行される。この在高登録処理では、POSターミナル2が管理している理論残高と、入出金機3の実際の収納金額である実残高とが対比され、過不足の存在が確認される。
【0073】
図11は、在高登録処理の流れを示す図である。以下、図11を参照して在高登録処理の流れを説明する。
【0074】
まず、RAM203に記憶された理論残高が取得される(ステップS41)。次に、入出金機3に所定の制御信号が送信され、入出金機3の制御部31が管理している実残高が、入出金機3からPOSターミナル2に取得される(ステップS42)。
【0075】
続いて、実残高から理論残高がCPU201により差し引かれ、その結果が過不足額とされる。過不足額は、実残高が理論残高よりも多いとき(残高過剰のとき)は正の値、実残高が理論残高よりも少ないとき(残高不足のとき)は負の値となる(ステップS43)。
【0076】
次に、SRAM204に記憶されたエラーテーブル72が参照され、営業時間内の精算処理において発生した全ての動作エラーに関する情報(発生時刻、種別情報、エラー金額)が取得される(ステップS44)。
【0077】
そして、以上のようにして取得された実残高、理論残高、過不足額、及び、全ての動作エラーに関する情報が、印刷発行部26により記録用紙に印刷され、一枚の在高登録票として発行される(ステップS45)。
【0078】
図12は、このようにして発行された在高登録票73の一例を示す図である。図に示すように、在高登録票73では、残高に関する情報を示す現金残高欄73aと、動作エラーに関する情報を示す動作エラー欄73bとがある。
【0079】
現金残高欄73aでは、実残高と、理論残高と、過不足額とが示される。この現金残高欄73aを閲覧することにより、実残高及び理論残高とともに、営業時間内の精算処理において発生した過不足の状況を把握することができる。
【0080】
一方で、動作エラー欄73bでは、動作エラーの種別情報と、該動作エラーの発生件数と、該動作エラーに起因するトータルのエラー金額とが、動作エラーの種別ごとに記録されている。したがって、この動作エラー欄73bを閲覧することにより、営業時間内の精算処理において、どのような動作エラーが何件発生し、それによってどれだけのエラー金額が生じたかを容易に把握することができる。したがって、過不足(実残高と理論残高との相違)が生じた場合であっても、その過不足がどのような要因で生じたかを容易に特定することが可能となる。
【0081】
<1−6.釣銭切れの具体例>
次に、精算処理において「釣銭切れ」が発生した場合の具体例を説明する。
【0082】
図13は、「釣銭切れ」が発生した一例となる精算処理における、POSターミナル2及び入出金機3の具体的動作と、理論残高及び実残高の推移とを時系列に沿って示す図である。図中の符号T11ないしT19は時点を示している。なお、説明の便宜上、精算処理の開始時点T11における理論残高と実残高とは一致しており、それぞれ「0円」であるとする。
【0083】
まず、時点T12において、POSターミナル2において合計価格が「900円」と導出される。
【0084】
次に、時点T13において、預かり金の千円札が入出金機3に投入される。これにより、預かり金の金額が「1,000円」と計数され、その計数結果を示す計数結果信号sg1が入出金機3からPOSターミナル2に送信される。また、実残高「0円」に計数結果「1,000円」が加算され、実残高が「1,000円」に更新される。
【0085】
次に、時点T14において、計数結果信号sg1がPOSターミナル2に受信される。これにより、預かり金の金額が「1,000円」としてPOSターミナル2に取得される。
【0086】
次に、時点T15において、預かり金の金額「1,000円」から合計価格「900円」が差し引かれ、釣銭金額が「100円」と導出される。そして、釣銭金額「100円」を指定した釣銭指示信号sg2が、POSターミナル2から入出金機3に送信される。
【0087】
次に、時点T16において、釣銭指示信号sg2が入出金機3に受信される。入出金機3は、釣銭指示信号sg2に従って釣銭を放出すべきであるが、その内部には千円札のみが収納されていることから「100円」の金銭を放出できない。このため、「釣銭切れ」が発生し、その旨を示す動作エラー信号sg3が入出金機3からPOSターミナル2に送信される。
【0088】
次に、時点T17において、動作エラー信号sg3がPOSターミナル2に受信される。これにより、POSターミナル2において、釣銭金額「100円」が未放出金額(エラー金額)として取得される。
【0089】
次に、時点T18において、理論残高の「0円」に合計価格「900円」が加算され、理論残高が「900円」に更新される。その結果、理論残高が「900円」、実残高が「1,000円」となり、「+100円」の過不足(残高過剰)が生じる。
【0090】
次に、時点T19において、エラー対応処理がなされ、発生した「釣銭切れ」に関する情報を示すレコードRがエラーテーブル72に登録される。これとともに、図10に示すエラー伝票71が発行される。このエラー伝票71では、動作エラーの種別情報として「釣銭切れ」、エラー金額として「100円」が記録されている。
【0091】
図13に示す精算処理のみを行った状態で在高登録処理を実行した場合は、図14に示す在高登録票73が発行される。図14に示すように、在高登録票73の現金残高欄73aでは、「100円」の残高過剰が生じていることが示されている。一方で、動作エラー欄73bでは、「釣銭切れ」が1件発生し、その「釣銭切れ」に起因するエラー金額が「100円」であることが示される。したがって、この在高登録票73を視認すれば、過不足が「釣銭切れ」によって生じたことを容易に把握できる。また、図10に示すエラー伝票71も併せて参照することで、「釣銭切れ」の発生時刻も確認可能である。
【0092】
<1−7.リジェクトの具体例>
次に、精算処理において「リジェクト」が発生した場合の具体例を説明する。
【0093】
図15は、「リジェクト」が発生した一例となる精算処理における、POSターミナル2及び入出金機3の具体的動作と、理論残高及び実残高の推移とを時系列に沿って示す図である。図中の符号T21ないしT28は時点を示している。なお、説明の便宜上、精算処理の開始時点T21における理論残高と実残高とは一致しており、それぞれ「100円」であるとする。より具体的には、この開始時点T21において入出金機3には、百円玉が1枚収納されているものとする。
【0094】
まず、時点T22において、POSターミナル2において合計価格が「900円」と導出される。
【0095】
次に、時点T23において、預かり金の千円札の入出金機3への投入を試みるが、「リジェクト」が発生し、入出金機3に投入できずに放出される。このため、「リジェクト」が発生した旨を示す動作エラー信号sg4が入出金機3からPOSターミナル2に送信される。
【0096】
次に、時点T24において、動作エラー信号sg4がPOSターミナル2に受信される。そして、店舗スタッフの操作入力により、未投入金額(エラー金額)が「1,000円」とPOSターミナル2に取得される。投入済金額は存在しないため、預かり金の金額が「1,000円」としてPOSターミナル2に取得される。
【0097】
次に、時点T25において、預かり金の金額「1,000円」から合計価格「900円」が差し引かれ、釣銭金額が「100円」と導出される。そして、釣銭金額「100円」を指定した釣銭指示信号sg2が、POSターミナル2から入出金機3に送信される。
【0098】
次に、時点T26において、釣銭指示信号sg2が入出金機3に受信される。この釣銭指示信号sg2に従って、入出金機3の内部に収納されている百円玉が、釣銭として入出金機3から放出される。また、実残高「100円」から放出金額「100円」が減算され、実残高が「0円」に更新される。
【0099】
次に、時点T27において、理論残高の「100円」に合計価格「900円」が加算され、理論残高が「1,000円」に更新される。その結果、理論残高が「1,000円」、実残高が「0円」となり、「−1,000円」の過不足(残高不足)が生じる。
【0100】
次に、時点T28において、エラー対応処理がなされ、発生した「リジェクト」に関する情報を示すレコードRがエラーテーブル72に登録される。これとともに、図16に示すエラー伝票71が発行される。このエラー伝票71では、動作エラーの種別情報として「リジェクト」、エラー金額として「1,000円」が記録されている。
【0101】
図15に示す精算処理のみを行った状態で在高登録処理を実行した場合は、図17に示す在高登録票73が発行される。図17に示すように、在高登録票73の現金残高欄73aでは、「1,000円」の残高不足が生じていることが示されている。一方で、動作エラー欄73bでは、「リジェクト」が1件発生し、その「リジェクト」に起因するエラー金額が「1,000円」であることが示される。したがって、この在高登録票73を視認すれば、過不足が「リジェクト」によって生じたことを容易に把握できる。また、図16に示すエラー伝票71も併せて参照することで、「リジェクト」の発生時刻も確認可能である。
【0102】
<1−8.釣銭フルの具体例>
次に、精算処理において「釣銭フル」が発生した場合の具体例を説明する。
【0103】
図18は、「釣銭フル」が発生した一例となる精算処理における、POSターミナル2及び入出金機3の具体的動作と、理論残高及び実残高の推移とを時系列に沿って示す図である。図中の符号T31ないしT39は時点を示している。なお、説明の便宜上、精算処理の開始時点T31における理論残高と実残高とは一致しており、それぞれ「100円」であるとする。より具体的には、この開始時点T31において入出金機3には、百円玉が1枚収納されているものとする。
【0104】
まず、時点T32において、POSターミナル2において合計価格が「900円」と導出される。
【0105】
次に、時点T33において、預かり金の2枚の五百円玉の入出金機3への投入を試みるが、1枚の五百円玉は入出金機3に投入できたものの、「釣銭フル」が発生し、他の1枚の五百円玉は投入できずに放出される。これにより、計数結果は「500円」となり、その計数結果を示す計数結果信号sg1が入出金機3からPOSターミナル2に送信される。また、実残高「100円」に計数結果「500円」が加算され、実残高が「600円」に更新される。さらに、「釣銭フル」が発生した旨を示す動作エラー信号sg5も入出金機3からPOSターミナル2に送信される。
【0106】
次に、時点T34において、計数結果信号sg1及び動作エラー信号sg5の双方がPOSターミナル2に受信される。これにより、投入済金額が「500円」としてPOSターミナル2に取得される。
【0107】
次に、時点T35において、店舗スタッフの操作入力により、未投入金額(エラー金額)が「500円」とPOSターミナル2に取得される。そして、投入済金額「500円」と未投入金額「500円」とが加算され、預かり金の金額が「1,000円」としてPOSターミナル2に取得される。
【0108】
次に、時点T36において、預かり金の金額「1,000円」から合計価格「900円」が差し引かれ、釣銭金額が「100円」と導出される。そして、釣銭金額「100円」を指定した釣銭指示信号sg2が、POSターミナル2から入出金機3に送信される。
【0109】
次に、時点T37において、釣銭指示信号sg2が入出金機3に受信される。この釣銭指示信号sg2に従って、入出金機3の内部に収納されている百円玉が、釣銭として入出金機3から放出される。また、実残高「600円」から放出金額「100円」が減算され、実残高が「500円」に更新される。
【0110】
次に、時点T38において、理論残高の「100円」に合計価格「900円」が加算され、理論残高が「1,000円」に更新される。その結果、理論残高が「1,000円」、実残高が「500円」となり、「−500円」の過不足(残高不足)が生じる。
【0111】
次に、時点T39において、エラー対応処理がなされ、発生した「釣銭フル」に関する情報を示すレコードRがエラーテーブル72に登録される。これとともに、図19に示すエラー伝票71が発行される。このエラー伝票71では、動作エラーの種別情報として「釣銭フル」、エラー金額として「500円」が記録されている。
【0112】
図18に示す精算処理のみを行った状態で在高登録処理を実行した場合は、図20に示す在高登録票73が発行される。図20に示すように、在高登録票73の現金残高欄73aでは、「500円」の残高不足が生じていることが示されている。一方で、動作エラー欄73bでは、「釣銭フル」が1件発生し、その「釣銭フル」に起因するエラー金額が「500円」であることが示される。したがって、この在高登録票73を視認すれば、過不足が「釣銭フル」によって生じたことを容易に把握できる。また、図19に示すエラー伝票71も併せて参照することで、「釣銭フル」の発生時刻も確認可能である。
【0113】
<1−9.まとめ>
以上のように、POSターミナル2では、精算処理における演算値である合計価格に基づいて、入出金機3の収納金額が理論残高として導出される。一方で、入出金機3において金銭の投入動作及び放出動作のいずれかの動作エラーが発生した場合には、当該動作エラーの種別情報が動作エラー信号に基づいて特定される。さらに、その動作エラーにより投入または放出できなかった金額であるエラー金額も取得される。このように、入出金機3の動作エラーが発生した場合には、その動作エラーの種別情報とそれに起因するエラー金額とが取得されるため、動作エラーにより実残高と理論残高とが相違する過不足の状態が生じたとしても適切に対応できることになる。
【0114】
また、在高登録処理においては、実残高、理論残高、過不足額、及び、発生した全ての動作エラーに関する情報が取得され、これらが一つの記録用紙に印刷されて在高登録票73として発行される。したがって、過不足が生じた場合であっても、過不足の具体的な状況と、その過不足がどのような要因で生じたかを容易に把握することが可能となる。
【0115】
また、動作エラーが発生するごとに、当該動作エラーの情報(発生時刻、種別情報、及び、エラー金額)がSRAM204に記憶されると共に、記録用紙に印刷されてエラー伝票71として発行される。したがって、個々の動作エラーごとの情報も事後的に容易に把握可能である。
【0116】
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では、入出金機3の動作エラーが発生したとしても理論残高を修正することはなかったが、本実施の形態では動作エラーが発生したときは、エラー金額に基づいて理論残高が修正されるようになっている。
【0117】
本実施の形態の精算処理の内容は、図6及び図7に示す第1の実施の形態のものとほぼ同様であるが、エラー対応処理(図7のステップS30)の内容が相違している。
【0118】
図21は、本実施の形態のエラー対応処理の流れの詳細を示す図である。ステップS51からステップS54までの処理は、図8に示すステップS31からS34までの処理と同一である。すなわち、タイマ205の計時する時刻に基づいて動作エラーの発生時刻が取得されるとともに(ステップS51)、動作エラー信号に基づいて発生した動作エラーの種別情報が特定される(ステップS52)。続いて、取得された動作エラーに関連する情報がエラーテーブル72に記録されるとともに(ステップS53)、その情報が記録用紙に印刷されてエラー伝票71が発行される(ステップS54)。
【0119】
次に、発生した動作エラーの種別情報が確認され(ステップS55)、動作エラーの種別情報と、該動作エラーに起因するエラー金額とに基づいて、RAM203に記憶された理論残高がCPU201により修正される。
【0120】
発生した動作エラーが「釣銭切れ」、すなわち、放出動作の動作エラーの場合は、放出できなかったエラー金額の分だけ理論残高が実残高よりも少なくなっている。このため、その時点の理論残高にエラー金額が加算され、その結果が新たな理論残高とされる(ステップS56)。
【0121】
一方、発生した動作エラーが「リジェクト」あるいは「釣銭フル」、すなわち、投入動作の動作エラーの場合は、投入できなかったエラー金額の分だけ理論残高が実残高よりも多くなっている。このため、その時点の理論残高からエラー金額が減算され、その結果が新たな理論残高とされる(ステップS57)。
【0122】
このように本実施の形態では、動作エラーが発生したとしても、動作エラーの種別情報とエラー金額とに基づいて理論残高が修正される。このため、実残高と理論残高とを一致させることができ、動作エラーに起因する過不足そのものの発生を防止できる。
【0123】
なお、このような理論残高の修正は、発生した動作エラーが投入動作及び放出動作のいずれの動作エラーであるかの情報と、エラー金額とが得られれば行うことが可能である。このため、動作エラーの種別情報は、「釣銭切れ」、「リジェクト」及び「釣銭フル」を示す情報でなくても、少なくとも投入動作の動作エラー、及び、放出動作の動作エラーのいずれであるかを特定可能な情報であればよい。
【0124】
<3.他の実施の形態>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような他の実施の形態について説明する。もちろん、以下で説明する形態を適宜に組み合わせてもよい。
【0125】
上記実施の形態では、動作エラー信号に基づいて動作エラーの種別情報が特定されていたが、操作キー部24等を介してユーザたる店舗スタッフが動作エラーの種別情報を操作入力することにより、動作エラーの種別情報が特定されてもよい。このような場合、動作エラー信号が入出金機3からPOSターミナル2に送信されなくてもよい。
【0126】
また、動作エラーが発生した時点における精算処理における工程に基づいて、動作エラーの種別情報が特定されてもよい。例えば、預かり金を投入すべき工程(図6のステップS14)において動作エラーが発生すれば投入動作の動作エラーであると特定でき、釣銭を放出すべき工程(図7のステップS23)において動作エラーが発生すれば放出動作の動作エラーであると特定できる。
【0127】
また、上記第2の実施の形態ではエラー対応処理において理論残高が修正されていたが、理論残高を更新する際(図7のステップS27)において、エラー金額を考慮して理論残高を修正するようにしてもよい。
【0128】
また、入出金機3は、売買取引とは無関係に、金銭(釣銭準備金等)を投入する入金処理と、金銭(売上金等)を放出する出金処理とを行うことが可能であり、この入金処理及び出金処理を行う場合はPOSターミナル2に信号が送信されて、理論残高も更新される。この入金処理及び出金処理に伴う理論残高の更新の際に、エラー金額を考慮して理論残高を修正するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】POSターミナルが適用されるPOSシステムの概要を示す図である。
【図2】POSターミナルの外観構成を示す図である。
【図3】POSターミナルの内部構成を含めた構成を示すブロック図である。
【図4】入出金機の外観構成を示す図である。
【図5】入出金機の内部構成を含めた構成を示すブロック図である。
【図6】精算処理の流れを示す図である。
【図7】精算処理の流れを示す図である。
【図8】第1の実施の形態のエラー対応処理の流れの詳細を示す図である。
【図9】エラーテーブルの一例を示す図である。
【図10】エラー伝票の一例を示す図である。
【図11】在高登録処理の流れを示す図である。
【図12】在高登録票の一例を示す図である。
【図13】釣銭切れが発生した場合の理論残高及び実残高の推移の一例を示す図である。
【図14】在高登録票の一例を示す図である。
【図15】リジェクトが発生した場合の理論残高及び実残高の推移の一例を示す図である。
【図16】エラー伝票の一例を示す図である。
【図17】在高登録票の一例を示す図である。
【図18】釣銭フルが発生した場合の理論残高及び実残高の推移の一例を示す図である。
【図19】エラー伝票の一例を示す図である。
【図20】在高登録票の一例を示す図である。
【図21】第2の実施の形態のエラー対応処理の流れの詳細を示す図である。
【符号の説明】
【0130】
1 POSサーバ
2 POSターミナル
3 入出金機
21 制御部
24 操作キー部
26 印刷発行部
71 エラー伝票
73 在高登録票
201 CPU
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された金銭の金額を計数するとともに指定された金額の金銭を放出する入出金機と連動し、前記入出金機による計数結果に基づいて売買取引に係る演算処理を行うキャッシュレジスタ装置であって、
前記売買取引に係る演算処理における演算値に基づいて、前記入出金機の収納金額を理論残高として導出する導出手段と、
前記入出金機において金銭の投入動作及び放出動作のいずれかの動作エラーが発生した場合に、当該動作エラーの種別情報を特定する種別特定手段と、
前記動作エラーにより投入または放出できなかった金額であるエラー金額を取得する金額取得手段と、
を備えることを特徴とするキャッシュレジスタ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のキャッシュレジスタ装置において、
前記動作エラーの種別情報と、該動作エラーに起因する前記エラー金額とを記録用紙に印刷する印刷手段、
をさらに備えることを特徴とするキャッシュレジスタ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のキャッシュレジスタ装置において、
前記入出金機の実際の収納金額である実残高を、前記入出金機から取得する取得手段、
をさらに備え、
前記印刷手段は、前記理論残高と前記実残高とを前記記録用紙にさらに印刷することを特徴とするキャッシュレジスタ装置。
【請求項4】
請求項1に記載のキャッシュレジスタ装置において、
前記動作エラーの種別情報、及び、該動作エラーに起因する前記エラー金額に基づいて、前記理論残高を修正する修正手段、
をさらに備えることを特徴とするキャッシュレジスタ装置。
【請求項5】
請求項4に記載のキャッシュレジスタ装置において、
前記動作エラーの種別情報は、前記投入動作の動作エラー、及び、前記放出動作の動作エラーのいずれであるかを特定可能な情報であることを特徴とするキャッシュレジスタ装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載のキャッシュレジスタ装置において、
時刻を計時する計時手段と、
前記動作エラーが発生した場合に、前記計時手段から得られる前記動作エラーの発生時刻と、前記動作エラーの種別情報と、前記動作エラーに起因する前記エラー金額とを記録用紙に印刷する記録手段と、
をさらに備えることを特徴とするキャッシュレジスタ装置。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれかに記載のキャッシュレジスタ装置において、
時刻を計時する計時手段と、
前記動作エラーが発生した場合に、前記計時手段から得られる前記動作エラーの発生時刻と、前記動作エラーの種別情報と、前記動作エラーに起因する前記エラー金額とを関連付けて記憶する記憶手段と、
をさらに備えることを特徴とするキャッシュレジスタ装置。
【請求項1】
投入された金銭の金額を計数するとともに指定された金額の金銭を放出する入出金機と連動し、前記入出金機による計数結果に基づいて売買取引に係る演算処理を行うキャッシュレジスタ装置であって、
前記売買取引に係る演算処理における演算値に基づいて、前記入出金機の収納金額を理論残高として導出する導出手段と、
前記入出金機において金銭の投入動作及び放出動作のいずれかの動作エラーが発生した場合に、当該動作エラーの種別情報を特定する種別特定手段と、
前記動作エラーにより投入または放出できなかった金額であるエラー金額を取得する金額取得手段と、
を備えることを特徴とするキャッシュレジスタ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のキャッシュレジスタ装置において、
前記動作エラーの種別情報と、該動作エラーに起因する前記エラー金額とを記録用紙に印刷する印刷手段、
をさらに備えることを特徴とするキャッシュレジスタ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のキャッシュレジスタ装置において、
前記入出金機の実際の収納金額である実残高を、前記入出金機から取得する取得手段、
をさらに備え、
前記印刷手段は、前記理論残高と前記実残高とを前記記録用紙にさらに印刷することを特徴とするキャッシュレジスタ装置。
【請求項4】
請求項1に記載のキャッシュレジスタ装置において、
前記動作エラーの種別情報、及び、該動作エラーに起因する前記エラー金額に基づいて、前記理論残高を修正する修正手段、
をさらに備えることを特徴とするキャッシュレジスタ装置。
【請求項5】
請求項4に記載のキャッシュレジスタ装置において、
前記動作エラーの種別情報は、前記投入動作の動作エラー、及び、前記放出動作の動作エラーのいずれであるかを特定可能な情報であることを特徴とするキャッシュレジスタ装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載のキャッシュレジスタ装置において、
時刻を計時する計時手段と、
前記動作エラーが発生した場合に、前記計時手段から得られる前記動作エラーの発生時刻と、前記動作エラーの種別情報と、前記動作エラーに起因する前記エラー金額とを記録用紙に印刷する記録手段と、
をさらに備えることを特徴とするキャッシュレジスタ装置。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれかに記載のキャッシュレジスタ装置において、
時刻を計時する計時手段と、
前記動作エラーが発生した場合に、前記計時手段から得られる前記動作エラーの発生時刻と、前記動作エラーの種別情報と、前記動作エラーに起因する前記エラー金額とを関連付けて記憶する記憶手段と、
をさらに備えることを特徴とするキャッシュレジスタ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2008−210029(P2008−210029A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−44184(P2007−44184)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】
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