説明

キャッシュレジスタ

【課題】キャッシュレジスタにおいて、オペレータが顧客に渡す釣銭硬貨の枚数を減らし、これによりオペレータの動作を簡素化する。
【解決手段】今年度購入累計金額は、売上処理が実行されるごとに更新される。そして、前年度購入累計金額により、顧客のランクが決定される。ランクは、商品の購入金額の小計額に対する割引額の算出に利用される。ランクAの顧客あれば小計額の500円以下の端数が、ランクBでの顧客では小計額の100円以下の端数が、ランクCの顧客であれば小計額の10円以下の端数が、それぞれ割引額とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャッシュレジスタに関し、特に、入力された商品金額の小計額から値引を行なうことによって合計額を算出するキャッシュレジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、商品販売の促進の観点から、顧客に対して特典を付与する目的で、商品金額の小計額に対して値引や割引を行なうキャッシュレジスタについて、種々の技術が開示されている。
【0003】
たとえば、特許公報1(特開2004−220426号公報)には、顧客毎の商品購入累計額またはそのランクに応じて、より多く商品を購入した顧客に対してはより大きい特典(値引率)を付与する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−220426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のキャッシュレジスタでは、精算時に、オペレータが、顧客との間で、代金の支払や釣銭の返却のために多数の硬貨の授受という煩雑な動作を必要とされる場合があり、レジ業務の効率を低下させていた。
【0006】
レジ業務の効率化のために、ポイントカードでの支払を受付ける技術が構築されているが、顧客がポイントカードに溜まっているポイント数を忘れている場合にはポイント残額を調べ顧客に提示するなどの動作をオペレータが必要とされる場合があり、却ってレジ業務の効率の低下に繋がる場合があった。
【0007】
本発明は、係る実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、商品販売を促進しつつ、購入金額に対する釣銭硬貨の枚数を減らすことにより、キャッシュレジスタのオペレータの動作を簡素化すること、およびリピータとなる顧客を獲得することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に従ったキャッシュレジスタは、商品金額の入力を受付ける受付手段と、入力された商品金額の小計額を算出する第1の算出手段と、取引対象となっている顧客を特定する顧客特定情報を取得する第1の取得手段と、顧客毎の商品購入金額の履歴を記憶する履歴記憶手段と、第1の取得手段が取得した顧客特定情報に基づき履歴記憶手段より取引対象となっている顧客の商品購入金額の累計を取得する第2の取得手段と、商品購入金額累計に対する差し引き限度額情報を記憶する限度額情報記憶手段と、第2の取得手段にて取得した商品購入金額累計に基づき限度額情報記憶手段より差し引き限度額を取得する第3の取得手段と、小計額から、第3の取得手段にて取得した差し引き限度額までの端数を差し引くことにより合計額を算出する第2の算出手段とを備える。
【0009】
また、本発明のキャッシュレジスタでは、履歴記憶手段は、顧客特定情報ごとに最終購入日をさらに記憶し、第2の算出手段は、第1の取得手段が取得した顧客特定情報に関連付けられた最終購入日から所定期間が経過前であることを条件として、小計額から差し引き限度額までの端数を差し引くことにより合計額を算出することが好ましい。
【0010】
また、本発明のキャッシュレジスタは、履歴記憶手段に、第1の取得手段が取得した顧客特定情報についての合計額の追加と、最終購入日を第2の算出手段が合計額を算出した最新の日に更新する更新手段をさらに備えることが好ましい。
【0011】
また、本発明のキャッシュレジスタでは、履歴記憶手段は、顧客特定情報ごとに合計額の累計を記憶し、合計額の累計の算出において、各合計額が記憶されてから一定期間経過を条件に当該合計額を無効化し、第2の算出手段は、第1の取得手段が取得した顧客特定情報に関連付けられた合計額の累計に応じて、差し引き限度額を決定することが好ましい。
【0012】
また、本発明のキャッシュレジスタでは、第2の算出手段は、小計額が特定の額以上であることを条件として、小計額から差し引き限度額までの端数を差し引くことにより合計額を算出する。
【発明の効果】
【0013】
本願発明によれば、商品金額の小計額から所定の金額以下の端数が差し引かれて、合計額が算出される。これにより、キャッシュレジスタのオペレータが顧客に渡す釣銭硬貨の枚数を減らすことができる。よって、購入金額に対する釣銭硬貨の枚数を減らすことによるキャッシュレジスタのオペレータの動作を簡素化することである。
【0014】
また、購入金額に応じて値引き額を変えることができるため、リピータとなる顧客を獲得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のキャッシュレジスタの一実施の形態であるPOS(Point Of Sales)端末を含む、商品販売システムの全体構成を模式的に示す図である。
【図2】図1のPOS端末の構成を示す図である。
【図3】図1の顧客情報データベースの内容を模式的に示す図である。
【図4】図1の商品情報データベースの内容の一例を模式的に示す図である。
【図5】図2のPOS端末が実行する売上登録処理のフローチャートである。
【図6】図2のPOS端末が実行する売上登録処理のフローチャートである。
【図7】図2のPOS端末が実行する売上登録処理のフローチャートである。
【図8】図2のPOS端末が実行する売上登録処理のフローチャートである。
【図9】図5〜図8の売上登録処理において印刷されるレシートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の一実施の形態であるキャッシュレジスタ(以下、単に「レジスタ」という)を含む商品販売システムについて説明する。
【0017】
[商品販売システムの全体構成]
図1は、商品販売システムの全体構成を模式的に示す図である。
【0018】
商品販売システムは、ホストコンピュータ100と、レジスタの一実施の形態であるPOS端末200,300と、顧客情報等が登録されているデータベース500とを含む。なお、図1において、システムを構成するPOS端末の数は2であるが、本発明に従ったシステムはこの数に限定されない。
【0019】
ホストコンピュータ100は、データベース500にアクセスでき、また、POS端末200,300と、ネットワークを介して接続されている。
【0020】
データベース500は、顧客情報データベース510、商品情報データベース520および端数値引テーブル530を含む。各データベースおよびテーブルの内容の詳細については、後述する。
【0021】
[POS端末の構成]
図2は、POS端末200のハードウェア構成を示す。
【0022】
POS端末200は、POS端末200の動作を全体的に制御するCPU(Central Processing Unit)201と、CPU201が実行するプログラムや各種のデータを保持するメモリ202と、CPU201の指令に基づいて情報を表示するディスプレイ203と、商品コードや顧客コード、金額などの入力を受付けるキーボード204と、レシートの印字動作等を行なうプリンタ205と、顧客等が所持するカードに記録された情報を読込むカードリーダ206と、商品に付されたバーコードを読込むバーコードリーダ207と、ネットワークを介したホストコンピュータ100等の他の機器との通信においてインターフェイスとして機能するネットワークインターフェイス208とを含む。
【0023】
CPU201は、第1の算出部211と、第2の算出部212と、第1の取得部213と、第2の取得部214と、更新部215を含む。
【0024】
第1の算出部211は、バーコードリーダ207またはキーボード204から入力された商品コードについて、商品情報データベース520から商品名および単価を取得し、商品の合計金額(後述するステップS240)が算出されるまでの売上小計金額を算出する。第2の算出部212は、値引金額として設定された金額を、第1の算出部211が算出した売上小計金額から差し引くことにより、合計金額を算出する。
【0025】
第1の取得部213は、カードリーダ206またはキーボード204から入力された顧客コード(顧客番号)に基づいて、顧客情報データベース510から、当該顧客番号に関連付けられた、顧客名512、電話番号513、ポイント残高514、前年度購入累計金額515、今年度購入累計金額516、来店回数累計517、直近購入日付518の少なくとも一部のデータを取得する。
【0026】
第2の取得部214は、カードリーダ206またはキーボード204に顧客コードを入力された顧客についての、小計額から値引金額として差し引く端数について、どの金額までの端数を差し引くかについての差し引き限度額を取得する。
【0027】
更新部215は、ステップS290の処理等によって示されるように、データベース500の内容を適宜更新する。
【0028】
なお、本実施の形態では、第1の算出部211、第2の算出部212、第1の取得部213、および第2の取得部214は、CPU201がメモリ202等に記録されたプログラムを実行することにより実現されるが、これらは、CPU201とは独立して設けられた個々の機能を有するハードウェアとして実現されても良い。
【0029】
本実施の形態において、POS端末300の構成は、POS端末200の構成と同様とすることができるため、ここでは説明は繰返さない。
【0030】
[データベースの構成]
図3は、顧客情報データベース510として記憶されている内容を模式的に示す図である。
【0031】
本実施の形態の商品販売システムでは、各顧客に顧客番号が付され、顧客番号ごとに情報が管理されることにより、当該顧客に関連付けられた情報が管理されている。
【0032】
図3を参照して、顧客情報データベース510では、顧客名512、顧客の電話番号513、各顧客に付与されているポイント残高514、前年度の商品購入額の累計(後述する売上登録処理の各回において算出される合計金額の合計)である前年度購入累計金額515、今年度の商品購入額の累計である今年度購入累計金額516、来店回数累計517、および直近の商品を購入した日付518が、顧客番号511に関連付けられて記憶されている。
【0033】
図4は、商品情報データベース520として記憶されている内容を模式的に示す図である。
【0034】
本実施の形態の商品販売システムでは、各商品が、商品毎に固有の商品コードを付されている。商品情報データベース520では、各商品について、商品コード521、商品名522、および単価523が、互いに関連付けられて記憶されている。
【0035】
表1に、端数値引テーブル530の内容の一例を示す。
【0036】
【表1】

【0037】
表1から理解されるように、端数値引テーブルでは前年度購入累計の金額の範囲に基づいて、A〜Cのいずれかに値引ランクが関連付けられ、また、各値引ランクについて、最大値引額(499円、99円または9円)が関連付けられている。
【0038】
[POS端末における売上登録処理]
次に、顧客による商品の購入の際の、合計額の算出のためにPOS端末200において実行される売上登録処理について、当該処理のフローチャートである図5〜図8を参照して説明する。
【0039】
まず、POS端末200のオペレータまたは顧客が、カードリーダ206に対して顧客カードをセットする。これに応じて、CPU201は、カードリーダ206から顧客番号を取得して、ステップS20へ処理を進める。
【0040】
ステップS20では、CPU201は、ホストコンピュータ100を介してデータベース500にアクセスし、ステップS10で取得した顧客番号に関連付けられた顧客情報データを顧客情報データベース510から読込んで、メモリ202に記憶させて、ステップS30へ処理を進める。
【0041】
ステップS30では、CPU201は、ディスプレイ203にステップS20で読込んだ顧客情報データ(または、その一部(たとえば顧客番号と直近購入日付のみ))をディスプレイ203に表示させて、ステップS40へ処理を進める。
【0042】
ステップS40では、CPU201は、バーコードリーダ207またはキーボード204から商品コードの入力を受付けて、ステップS50へ処理を進める。このとき、オペレータ(または顧客)は、バーコードリーダ207に対し、顧客が購入を希望する商品に付されたバーコードをかざし、または、キーボード204に対して商品コードを入力する。
【0043】
ステップS50では、CPU201は、ホストコンピュータ100を介して商品情報データベース520にアクセスして、商品情報データベース520からステップS40で取得した商品コードに関連付けられた商品情報データを読込み、メモリ202に記憶させて、ステップS60へ処理を進める。
【0044】
ステップS60では、CPU201は、ディスプレイ203に、ステップS50で取得した商品情報データ(または、その一部)を表示させて、ステップS70へ処理を進める。
【0045】
ステップS70では、CPU201は、今回売上登録処理を開始してからステップS50で読込みメモリ202に登録しているすべての商品についての小計金額を算出し、ディスプレイ203に表示させて、ステップS80へ処理を進める。
【0046】
ステップS80では、顧客が購入を希望しているすべての商品について、ステップS40における商品コードの入力が終了したか否かを判断し、まだ終了していないと判断するとステップS40へ処理を戻し、終了したと判断するとステップS90へ処理を進める。
【0047】
なお、ステップS80では、CPU202は、たとえば、キーボード204に含まれる、小計キーが押圧されたか否かを判断し、押圧されたと判断するとステップS90へ処理を進め、小計キーが押圧されることなく次の商品コードの入力があった場合にはステップS40に処理を戻して、当該商品コードの入力を受付ける。
【0048】
図6を参照して、CPU202は、ステップS90で、ホストコンピュータ100を介して顧客情報データベース510からステップS10で読込んだ顧客番号についての直近購入日付データを読込み、ステップS100へ処理を進める。
【0049】
ステップS100では、CPU202は、ステップS10で読込んだ顧客番号についての今年度最初の購入であるか否かを判断し、そうであると判断するとステップS110へ処理を進め、そうではないと判断するとステップS130へ処理を進める。
【0050】
なお、ステップS100では、CPU202は、直近購入日付が前年度のものであれば今年度最初の購入であると判断し、そうではない場合には、今年度最初の購入ではないと判断する。
【0051】
ステップS110では、CPU202は、ステップS10で顧客番号を読込んだ顧客についての今年度購入累計金額516の値を前年度購入累計金額515に移すように、ホストコンピュータ100を介して顧客情報データベース510を更新させて、ステップS120へ処理を進める。
【0052】
ステップS120では、CPU202は、ホストコンピュータ100を介して顧客情報データベース510を、ステップS10で顧客番号を読込んだ顧客についての今年度購入累計金額516の値をクリアする(0円にする)ように更新して、ステップS130へ処理を進める。
【0053】
ステップS130では、CPU202は、ステップS90で読込んだ直近購入日付データに基づいて、今回の購入が直近購入日付から1年以上経過しているか否かを判断し、そうであると判断するとステップS220へ処理を進め、そうではないと判断するとステップS140へ処理を進める。
【0054】
図7を参照して、ステップS140では、CPU202は、ホストコンピュータ100を介してデータベース500にアクセスすることにより顧客情報データベース510からステップS10で顧客番号を読込んだ顧客についての前年度購入累計金額516のデータを読込んで、ステップS150へ処理を進める。
【0055】
ステップS150では、CPU202は、ステップS10で顧客番号を読込んだ顧客についての値引ランクを判定する。
【0056】
CPU201は、各顧客番号について、その前年度購入累計金額515に基づき、端数値引テーブル530を参照して、値引ランクを判定する。
【0057】
図7に戻って、ステップS150では、CPU201は、ステップS10で読込んだ顧客番号について、5万円以上であれば値引ランクをAと判定し、1万円以上49999円以下であれば値引ランクをBと判定し、9999円以下であれば値引ランクをCと判定する。
【0058】
値引ランクをAと判定すると、CPU21は、ステップS160で、ステップS70で最終的に計算した売上小計金額が1万円未満であるか否かを判定し、そうであると判断するとステップS180へ処理を進め、1万円以上であると判断すると、ステップS170へ処理を進める。
【0059】
ステップS170では、CPU21は、上記売上小計金額を500円で割った余りを値引金額と設定して、ステップS230へ処理を進める。
【0060】
ステップS180では、CPU201は、上記売上小計金額が1000円未満であるか否かを判断し、そうであると判断するとステップS200へ処理を進め、1000円以上であると判断するとステップS190へ処理を進める。
【0061】
ステップS190では、CPU201は、売上小計金額を100円で割った余りを値引金額と設定して、ステップS230へ処理を進める。
【0062】
ステップS200では、CPU201は、上記売上小計金額が100円未満であるか否かを判断し、そうであると判断するとステップS220へ処理を進め、100円以上であると判断するとステップS210へ処理を進める。
【0063】
ステップS210では、CPU201は、上記売上小計金額を10円で割った余りを値引金額と設定して、ステップS230へ処理を進める。
【0064】
ステップS220では、CPU201は、値引金額を0円と設定して、ステップS230へ処理を進める。
【0065】
ステップS230では、CPU201は、ディスプレイ203に、ステップS170,S190,S210,S220で設定した値引金額を表示させて、ステップS240へ処理を進める。
【0066】
ステップS240では、CPU201は、ステップS70で最後に算出した売上小計金額からステップS170,S190,S210,S220で設定した値引金額を差し引くことにより、合計金額を算出して、ディスプレイ203に表示させ、ステップS250へ処理を進める。
【0067】
ステップS250では、預かり金のキー入力を受付け、ステップS260へ処理を進める。
【0068】
ステップS260では、ステップS250で入力を受付けた預かり金をディスプレイ203に表示させて、ステップS270へ処理を進める。
【0069】
ステップS270では、ステップS250で入力された預かり金からステップS240で算出した合計金額を差し引くことにより釣銭の額を計算し、ディスプレイ203に表示させて、ステップS280へ処理を進める。
【0070】
ステップS280では、CPU201は、今回の取引についてのレシートをプリンタ205に印刷させて、ステップS290へ処理を進める。
【0071】
ステップS290では、CPU201は、顧客情報データベース510のデータを更新して、処理を終了させる。
【0072】
ステップS290におけるデータベースの更新では、ステップS10で入力された顧客番号について、ステップS240で算出した合計金額を今年度購入累計金額に加算するように当該累計金額が更新される。また、来店回数累計が1加算更新される。直近購入日付が、この処理が実行された日に更新される。
【0073】
図9に、ステップS280において印刷されるレシートの一例を示す。
図9を参照して、レシート900では、その最上部に、「ABCデンキ」等の一般的な広告情報が印刷され、その下に、購入された各商品についての情報901が印刷されている。情報901では、各商品について、ステップS50で読込まれた商品情報データとして、商品名、当該商品の点数および単価が含まれる。
【0074】
また、レシート900には、ステップS70で最後に算出された売上小計金額902が含まれている。
【0075】
また、レシート900には、ステップS170,S190,S210,S220で設定された値引金額903、ステップS240で算出された合計金額904、ステップS250でオペレータから入力された預かり金の金額905、およびステップS270で算出された釣銭の金額905が示されている。
【0076】
以上説明した本実施の形態では、表1に定められるように、顧客の値引ランク毎に、最大値引額が設定されている。ここで、最大値引額は、ステップS170,S190,S210で説明されたように、どの差し引き限度額を値引金額とするかに対応している。つまり、表1において、値引ランクAであれば、最大499円まで値引が行なわれるため、売上小計金額の500円以下の端数が値引金額とされることに相当する。
【0077】
また、以上説明した本実施の形態では、顧客情報データベース510では、各顧客番号について、最後に当該店舗で商品を購入した日付(直近購入日付518)が記憶されている。本実施の形態のシステムでは、直近購入日付518から一定の期間(たとえば、2年や3年)が経過した場合には、上記したような購入金額の端数の値引を行なわないようにすることができる。
【0078】
また、本実施の形態では、値引金額は、商品の精算の対象とされている顧客番号についての端数値引テーブルで決定されるランクだけではなく、その時点での売上小計金額に基づいても、算出されている(ステップS160,S180,ステップS200)。具体的には、端数値引テーブルによれば、Aランクの顧客は、最大499円までの値引が可能であり、Bランクの顧客は99円までの値引が可能であり、Cランクの顧客は最大9円までの値引が可能である。つまり、それぞれ、500円以下、100円以下または10円以下の端数の金額の端数が値引可能とされている。しかし、Aランクの顧客であっても、その回の売上小計金額が1万円に満たなければ(ステップS160でYES判断時)、その売上小計金額が1000円以上であるか否かが判断され(ステップS180)、1000円以上であれば、最大99円までの、つまり100円以下の端数を値引金額として設定される(ステップS190)。
【0079】
[変形例等]
以上説明した本実施の形態では、第1の算出部211、第2の算出部212、第1の取得部213および第2の取得部214は、それぞれ、CPU101が、メモリ202等に記録されているプログラムを実行することにより実現される。なお、一般的傾向として、コンピュータのオペレーティングシステムの一部として様々なプログラムモジュールを用意しておき、アプリケーションプログラムはこれらモジュールを所定の配列で必要なときに呼び出して処理が進められる。そうした場合、本実施の形態の商品販売システムを実現するためのソフトウェア自体にはそうしたモジュールは含まれず、当該コンピュータでオペレーティングシステムと協働してはじめて商品販売システムが実現することになる。しかし、一般的なプラットフォームを使用する限り、そうしたモジュールを含ませたソフトウェアを流通させる必要はなく、それらモジュールを含まないソフトウェア自体およびそれらソフトウェアを記録した記録媒体(およびそれらソフトウェアがネットワーク上を流通する場合のデータ信号)が実施の形態を構成すると考えることができる。
【0080】
本実施の形態では、顧客の購入履歴に基づいて、値引きの有無および値引きの額が決定される。
【0081】
具体的には、前年度の購入累計金額に応じて端数の値引きについてのランクが決められ、当該ランクに応じて値引き額が決定される。たとえば、ランクAの顧客とランクBの顧客がそれぞれ買い物をし、両者のそれぞれの商品の小計額が23850円であった場合を例に挙げる。ランクAの顧客については、小計額の500円以下の端数が値引き額とされる。よって、350円が値引き額とされる。一方、ランクBの顧客については、小計額の100円以下の端数が値引き額とされる。よって、50円が値引き額とされる。
【0082】
本実施の形態では、ステップS110において前年度の購入累計金額が更新されることにより、前年度以前の購入累計金額は消去される。これにより、一定期間を経過すれば、顧客の購入累計金額は無効化されることとなる。
【0083】
また、本実施の形態では、ステップS130,S220によれば、直近購入日付(最終購入日)が現在よりも1年以上前であれば、購入履歴に基づいた値引きが行なわれなくなる。
【0084】
なお、顧客情報データベース510において、直近購入日付が現在よりも1年以上前のものであれば、つまり、処理対象となっている顧客番号について1年以上購入に基づく情報の更新がなかった場合には、ステップS110においてそれまでの今年度購入累計金額で前年度購入累計金額を更新する代わりに、前年度購入累計金額を0円で更新して、それまでの今年度購入累計金額を無効化してもよい。
【0085】
また、今年度購入累計金額は、売上登録処理が実行されるごとに更新される。なお、CPU101は、顧客情報データベースにおいて、今年度購入累計金額とは別に、売上登録処理の各回の合計額が当該処理が実行された日付とともに記録し、各回の合計額について、今年度購入累計金額を構成することに対する有効期限が設定しても良い。つまり、ある顧客について、有効期限が3ヶ月とされた場合であって、5月に500円の買い物をし、7月に1000円の買い物をしていた場合、今年度購入累計金額は1500円となるが、9月になると、5月の買い物からは3ヶ月が経過することになるため、その分の買い物の金額が無効化されて、今年度購入累計金額は1000円とされるのである。
【0086】
以上説明した本実施の形態では、データベース500に記憶された情報は、POS端末200とPOS端末300が同店舗内に設置されていても、別の店舗内に設置されていても、両端末の双方で共有して利用することができる。
【0087】
また、POS端末ごとに、データベース500を準備し、店舗ごと等、個々の端末で、顧客情報や商品情報を利用することもできる。
【0088】
また、POS端末200を、ホストコンピュータ100やデータベース500として利用することもできる。つまり、データベース500の記憶内容が、メモリ202やPOS端末200のCPU201がアクセス可能であって当該端末に着脱可能な記録媒体に記憶されていても良い。この場合、POS端末300は、POS端末200にアクセスすることにより、POS端末200内の商品情報データベース520や顧客情報データベース510にアクセスし、図5〜図8を参照して説明した売上登録処理を実行する。
【0089】
本実施の形態では、顧客番号ごとに前年度購入累計金額515を関連付ける顧客情報データベース510と、前年度購入累計の金額の範囲に応じて最大値引き額を関連付ける端数値引きテーブル530を記憶するデータベース500により、第1の算出部211が算出した小計額から差し引く端数についての差し引き限度額を特定する情報を顧客特定情報ごとに記憶する記憶装置が構成されている。なお、本実施の形態における「499円」「99円」「9円」という最大値引き額は、それぞれ500円以下、100円以下、10円以下という、端数を差し引く端数金額値を特定する情報である。そして、第2の取得部214は、当該データベース510から、最大値引き額を特定する値引きランクを取得して、どの差し引き限度額までの端数を差し引くかを決定する(ステップS140〜ステップS210)。
【0090】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0091】
100 ホストコンピュータ、200,300 POS端末、201 CPU、202 メモリ、203 ディスプレイ、204 キーボード、205 プリンタ、206 カードリーダ、207 バーコードリーダ、208 ネットワークインターフェイス、211 第1の算出部、212 第2の算出部、213 第1の取得部、214 第2の取得部、500 データベース、510 顧客情報データベース、520 商品情報データベース、530 端数値引テーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品金額の入力を受付ける受付手段と、
入力された商品金額の小計額を算出する第1の算出手段と、
取引対象となっている顧客を特定する顧客特定情報を取得する第1の取得手段と、
顧客毎の商品購入金額の履歴を記憶する履歴記憶手段と、
前記第1の取得手段が取得した顧客特定情報に基づき前記履歴記憶手段より取引対象となっている顧客の商品購入金額の累計を取得する第2の取得手段と、
商品購入金額累計に対する差し引き限度額情報を記憶する限度額情報記憶手段と、
前記第2の取得手段にて取得した商品購入金額累計に基づき前記限度額情報記憶手段より差し引き限度額を取得する第3の取得手段と、
前記小計額から、前記第3の取得手段にて取得した差し引き限度額までの端数を差し引くことにより合計額を算出する第2の算出手段とを備える、キャッシュレジスタ。
【請求項2】
前記履歴記憶手段は、前記顧客特定情報ごとに最終購入日をさらに記憶し、
前記第2の算出手段は、前記第1の取得手段が取得した顧客特定情報に関連付けられた前記最終購入日から所定期間が経過前であることを条件として、小計額から前記差し引き限度額までの端数を差し引くことにより合計額を算出する、請求項1に記載のキャッシュレジスタ。
【請求項3】
前記履歴記憶手段に、前記第1の取得手段が取得した顧客特定情報についての合計額の追加と、最終購入日を前記第2の算出手段が前記合計額を算出した最新の日に更新する更新手段をさらに備える、請求項2に記載のキャッシュレジスタ。
【請求項4】
前記履歴記憶手段は、
顧客特定情報ごとに前記合計額の累計を記憶し、
前記合計額の累計の算出において、各前記合計額が記憶されてから一定期間経過を条件に当該合計額を無効化し、
前記第2の算出手段は、前記第1の取得手段が取得した顧客特定情報に関連付けられた合計額の累計に応じて、前記差し引き限度額を決定する、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のキャッシュレジスタ。
【請求項5】
前記第2の算出手段は、前記小計額が特定の額以上であることを条件として、前記小計額から前記差し引き限度額までの端数を差し引くことにより合計額を算出する、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のキャッシュレジスタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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