説明

キャッピング装置

【課題】 ピルファープルーフキャップ及びスクリューキャップといった異なる種類のキャップの装着に対して適用することができ、キャップを装着する際の速度やトルクを制御することができるキャッピング装置を提供する。
【解決手段】 サーボモータ18と、サーボモータ18によってそれぞれ回転可能であり、同心状に配置される内軸38,40及び外筒30,32,34と、サーボモータ18からの回転を選択的に切り替えて内軸38,40及び外筒30,32,34のいずれかに伝達する回転力伝達切替機構60と、内軸及び外筒の先端に設けられ、少なくとも2種類のキャッピングヘッドが着脱可能に取付可能となったヘッド取付部34c、40bと、を備え、内軸及び外筒のいずれかに伝達された回転力をキャッピングヘッドに伝達して、少なくとも2種類のキャップを選択的に容器に装着可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップを容器の口部に装着するキャッピング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のキャッピング装置としては、特許文献1または2に記載されたものが知られている。特許文献1では、キャッピングヘッドを公転させるメインモータと、キャッピングヘッドを自転させるサーボモータを備えており、サーボモータの速度とトルクが制御されるようになっている。また、特許文献2では、1本のカムトラックに装着されたスピンドルにキャッピングヘッドを着脱可能とし、ピルファープルーフキャップ及びスクリューキャップの両方の装着を可能としている。
【0003】
【特許文献1】特開平10−324396号公報
【特許文献2】特開平7−232795号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、主としてスクリューキャップに適用することを考慮しているものの、ピルファープルーフキャップに適用する場合については考慮されていないという問題がある。
【0005】
また、特許文献2では、ピルファープルーフキャップ及びスクリューキャップの両方の装着について、着脱可能なキャッピングヘッドを取り替えることで対応しているが、キャッピングヘッドの自転は、いずれの装着の場合であってもキャッピングヘッドの公転の回転を利用しており、従って、キャップを装着する際の速度やトルクを適切に制御することが困難であるという問題がある。
【0006】
本発明はかかる課題に鑑みなされたもので、ピルファープルーフキャップ及びスクリューキャップといった異なる種類のキャップの装着に対して適用することができ、キャップを装着する際の速度やトルクを適切に制御することができるキャッピング装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の発明は、キャップを容器の口部に装着するキャッピング装置において、
サーボモータと、
サーボモータによってそれぞれ回転可能であり、同心状に配置される内軸及び外筒と、
サーボモータからの回転を選択的に切り替えて内軸及び外筒のいずれかに伝達する回転力伝達切替機構と、
内軸及び外筒の先端に設けられ、少なくとも2種類のキャッピングヘッドが着脱可能に取付可能となったヘッド取付部と、
を備え、内軸及び外筒のいずれかに伝達された回転力をキャッピングヘッドに伝達して、少なくとも2種類のキャップを選択的に容器に装着可能となったことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の前記回転力伝達切替機構が、遊星歯車機構を含むことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の前記回転力伝達切替機構が、遊星歯車機構の異なる構成歯車に設けられた複数の回り止めピンと、該回り止めピンに選択的に係合可能となった回り止め手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の前記キャッピングヘッドには、スクリューキャッピングヘッドと、ピルファープルーフキャッピングヘッドとがあり、これらが選択的且つ着脱可能に内軸の先端または外筒の先端に設けられたヘッド取付部に取り付けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、内軸及び外軸の先端に設けられたヘッド取付部に所望のキャッピングヘッドを取り付け、且つ、回転力伝達切替機構によって、サーボモータからの回転を選択的に内軸と外筒へと伝達するようにしたために、所望のキャッピングヘッドに合致した内軸及び外筒の回転を可能にして、異なる種類のキャップの容器への装着を可能にすることができる。そしてサーボモータによって回転速度及びトルクを制御することにより、所望のキャップ装着を行なうことができるようになる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、回転力伝達切替機構が遊星歯車機構を含むために、減速機能を合わせ持ち、簡単に回転力を切り替えることができる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、回り止め手段を手動または任意の駆動源からの駆動力により駆動して、回り止めピンに選択的に係合させて、遊星歯車機構の中の構成歯車を選択的に回り止めすることにより、選択的に回転力を取り出すことができるようになる。また、サーボモータによって遊星歯車機構の構成歯車を任意の位置に停止させることができるために、回り止ピンと回り止め手段との位置合せを簡単に行なうことができる。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、スクリューキャップ及びピルファープルーフキャップのいずれのキャップの装着にも適用することができる。スクリューキャップを装着するときには内軸を回転させ、ピルファープルーフキャップを装着するときには外筒を回転させるとよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下図面につき本発明の第一の実施の形態を詳細に説明する。
【0016】
図1は本発明の実施形態にかかるキャッピング装置の全体断面図である。図において、10はキャッピング装置であり、キャッピング装置10は、上部回転板12、中部回転板14及び下部回転板16に、ブッシュ15及び17を介して支持されており、図示しない駆動源によって公転される。公転軸を中心として、周方向に離間して複数のキャッピング装置10が配置されるが、ここでは、1つのキャッピング装置を表している。
【0017】
上部回転板12には、サーボモータ18が支持されており、サーボモータ18の出力軸18aは、上部回転板12よりも下方に延びて、遊星歯車機構20のサンギヤ22に連結される。
【0018】
遊星歯車機構20は、サンギヤ22と、リングギヤ24と、サンギヤ22及びリングギヤ24と同時に噛み合うピニオンギヤ26を回転可能に支持するピニオンキャリア28、29とを有している。
【0019】
リングギヤ24には、さらに、下方に伸びる第1外筒30が一体的に連結される。また、第1外筒30にはキー31を介して相対回転不能且つ軸方向に移動可能に第2外筒32が連結される。さらに第2外筒32の下部には第3外筒34が一体的に連結される。
【0020】
一方、ピニオンキャリア29には、第1内軸38が一体的に連結され、さらに、第1内軸38の下部には第2内軸40が相対回転不能且つ軸方向に移動可能に連結される。
【0021】
前記第1外筒30、第2外筒32及び第3外筒34によって外筒が構成され、第1内軸38及び第2内軸40によって内軸が構成される。第2内軸40は、第3外筒34の内径側を伸びており、第2内軸40と第3外筒34との間には、その上部にラジアル軸受41が、その下部にスラスト軸受42がそれぞれ設けられており、これによって、第2内軸40と第3外筒34とは同心的に配置されると共に、相対回転可能且つ軸方向に一体的に移動可能となっている。
【0022】
第3外筒34の外周側には、カムフォロア筒44が配設される。カムフォロア筒44には従動カムローラ46が取り付けられており、従動カムローラ46は、キャッピング装置10の公転軌跡に沿って設けられるカムトラック48にはめ込まれている。このカムトラック等については例えば、特開平7−232795号公報等に記載されたものとすることができ、公転角度に従ってカムフォロア筒44は上下動する。第3外筒34とカムフォロア筒44との間には、その上部にラジアル軸受43が、その下部にスラスト軸受45がそれぞれ設けられている。これによって、カムフォロア44と第3外筒34とは、相対回転可能且つ軸方向に一体的に移動可能となっている。
【0023】
第2内軸40の先端は非円形断面をした取付軸40bとなっている。また、第3外筒34の先端は取付フランジ34cとなっており、複数の取付孔34dが形成されている。この第2内軸40の取付軸40b及び第3外筒34の取付フランジ34cはキャッピングヘッドを選択的に装着可能なヘッド取付部を構成し、スクリューキャッピングヘッド50とピルファープルーフキャッピングヘッド52とが取付可能となっている。
【0024】
図2に示すように、遊星歯車機構20を含み、サーボモータ18からの回転を選択的に切り替えて内軸及び外筒に伝達する回転力伝達切替機構60が設けられる。具体的には、回転力伝達切替機構60は、遊星歯車機構20と、遊星歯車機構20のピニオンキャリア28に設けられた回り止めピン28aと、リングギヤ24に設けられた回り止めピン24aと、回り止めピン28a、24aと係合可能となった回り止め部材62と、回り止め部材62にピストンロッドの先端が連結されて回り止め部材62を上下駆動する駆動源としてのシリンダ66とから構成される。回り止め部材62は、詳細には、回り止めピン28aが嵌め込み可能となった切欠62cを有するプレート部62aと、プレート62aの下面からL字状をなして伸び回り止めピン24aが嵌め込み可能となった切欠を有するアーム部62bとを有している。図3にも示したように、公転軸を中心として複数配置される全てのキャッピング装置10に対して、回り止め部材62を共通として、1つのプレート部62aに各キャッピング装置10に対応した切欠62cとアーム部62bとを設けて、1つのシリンダ66で1つの回り止め部材62を駆動するようにしてもよい。勿論、各キャッピング装置10ごとにプレート部62aとアーム62bとをそれぞれ別個にシリンダ66によって駆動するようにしてもよいが、一体とすることによって構成を簡単にすることができる。
【0025】
回り止めピン28a及び回り止めピン24aが所定停止位置にあるときに、図2(a)に示すように、シリンダ66が回り止め部材62を下方に駆動することにより、プレート部62aの切欠62cが回り止めピン28aを拘束し、ピニオンキャリア28が回転不能となる。または、図2(b)に示すように、シリンダ66が回り止め部材62を上方に駆動することにより、アーム部62bの切欠が回り止めピン24aを拘束し、リングギヤ24が回転不能となる。こうして、回転力伝達切替機構60は、選択的にリングギヤ24かピニオンキャリア28のいずれかの回転だけを許容することができるようになっている。
【0026】
以上のように構成されるキャッピング装置10において、容器の口部にスクリューキャップの装着を行うときには、まず、予め図4に示すように、スクリューキャッピングヘッド50を第2内軸40の取付軸40b及び第3外筒34の取付フランジ34cに取り付けておく。そして、回転力伝達切替機構60を動作させて、回り止め部材62を上動して、リングギヤ24を回転不能にする。尚、このときに、遊星歯車機構20はサーボモータ18により予め所定停止位置にまで回転されているものとする。
【0027】
以上の準備後に、キャッピング装置10を公転させていくと、カムトラック48に沿って従動カムローラ46が上下動し、これに連動して第3外筒34及び第2内軸40が上下動する。また、公転角度に応じてサーボモータ18を回転する。サーボモータ18の出力軸18aの回転は、ピニオンキャリア28に減速されて出力され、第1内軸38を介して第2内軸40に伝達して、第2内軸40の取付軸40bからスクリューキャッピングヘッド50の中心軸上に配置される中心回転軸50aを回転させる。スクリューキャッピングヘッド50の中心回転軸50aの先端に設けられたキャップ装着部50bが、容器に被着されたキャップに嵌合して、キャップを容器に対して回転させることによって容器に装着させる。このときに、サーボモータ18への速度指令信号及びトルク制限指令信号を制御することによって、所望の速度及びトルクでスクリューキャッピングヘッド50の中心回転軸50aを回転させることができ、キャッピング装置10の公転と共に、所望の締め付け制御をすることができる。尚、一連の動作において、外筒は自転しない。
【0028】
次に、ピルファープルーフキャップの装着を行うときには、まず、予め図5に示すように、ピルファープルーフキャッピングヘッド52を内軸40の取付軸40bと第3外筒34の取付フランジ34cに取り付ける。このときに、プレッシャブロック52bが下部に設けられる中心軸52aを内軸40の取付軸40bに、スレッドローラ52c及びスカートローラ52dが下部に設けられる取付ブロック52eを第3外筒34の取付フランジ34cに取り付ける。そして、回転力伝達切替機構60を動作させて、回り止め部材62を下動して、ピニオンキャリア28を回転不能にする。尚、このときに、遊星歯車機構20はサーボモータ18により予め所定停止位置にまで回転されているものとする。
【0029】
以上の準備後に、キャッピング装置10を公転させていくと、カムトラック48に沿って従動カムローラ46が上下動し、これに連動して第3外筒34及び第2内軸40が上下動する。また、公転角度に応じてサーボモータ18を回転する。サーボモータ18の出力軸18aの回転は、リングギヤ24に減速されて出力され、第1、第2外筒30、32を介して第3外筒34に伝達して、ピルファープルーフキャッピングヘッド52の取付ブロック52eを回転させて、スレッドローラ52c及びスカートローラ52dを回転させる。スレッドローラ52c及びスカートローラ52dは、容器に被着されたキャップの周囲を回転すると共に、取付ブロック52eの下方に設けられたカム機構の作動により容器に接近して、公知のようにキャップに螺旋溝を形成すると共にキャップ下端部を折曲して巻締めを行う。このときに、サーボモータ18への速度指令信号及びトルク制限指令信号を制御することによって、所望の速度及びトルクでスレッドローラ52c及びスカートローラ52dを回転させることができ、キャッピング装置10の公転と共に、所望の締め付け制御をすることができる。尚、一連の動作において、プレッシャブロック52bは自転せずに、キャップ上面に圧接している。
【0030】
こうして、スクリューキャッピングヘッド50及びピルファープルーフキャッピングヘッド52を適宜交換することにより、両方のキャッピングに対応することができ、いずれのキャッピングにおいても各キャッピングに適したサーボモータの速度及びトルク制御によってキャッピングヘッド50,52を制御することができる。
【0031】
また、回転力伝達切替機構60で切替えることにより、ヘッド取付部の回転を、装着するキャッピングヘッドの動作に合致したものとすることができる。回転力伝達切替機構として、遊星歯車機構20を利用することにより、簡単に切替を行うことができ、減速機能も兼用することができる。
【0032】
また、図示した例では、シリンダ66により回り止め部材62を駆動して切替えを行っていたが、他の任意の駆動源または手動によって切替えを行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態にかかるキャッピング装置の全体縦断面図である。
【図2】回転力伝達切替機構の拡大断面図であり、(a)はピニオンキャリアが回転不能となった状態、(b)はリングギヤが回転不能となった状態を表す。
【図3】回り止め部材の底面図である。
【図4】図1のキャッピング装置にスクリューキャッピングヘッドを取り付けた状態を表す要部縦断面図である。
【図5】図1のキャッピング装置にピルファープルーフキャッピングヘッドを取り付けた状態を表す要部縦断面図である。
【符号の説明】
【0034】
10 キャッピング装置
18 サーボモータ
20 遊星歯車機構
22 サンギヤ
24 リングギヤ
24a 回り止めピン
26 ピニオンギヤ
28,29 ピニオンキャリア
28a 回り止めピン
30 第1外筒(外筒)
32 第2外筒(外筒)
34 第3外筒(外筒)
34c 取付フランジ(ヘッド取付部)
38 第1内軸(内軸)
40 第2内軸(内軸)
40b 取付軸(ヘッド取付部)
50 スクリューキャッピングヘッド
52 ピルファープルーフキャッピングヘッド
60 回転力伝達切替機構
62 回り止め部材(回り止め手段)
66 シリンダ(駆動源)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップを容器の口部に装着するキャッピング装置において、
サーボモータと、
サーボモータによってそれぞれ回転可能であり、同心状に配置される内軸及び外筒と、
サーボモータからの回転を選択的に切り替えて内軸及び外筒のいずれかに伝達する回転力伝達切替機構と、
内軸及び外筒の先端に設けられ、少なくとも2種類のキャッピングヘッドが着脱可能に取付可能となったヘッド取付部と、
を備え、内軸及び外筒のいずれかに伝達された回転力をキャッピングヘッドに伝達して、少なくとも2種類のキャップを選択的に容器に装着可能となったキャッピング装置。
【請求項2】
前記回転力伝達切替機構は、遊星歯車機構を含むことを特徴とする請求項1記載のキャッピング装置。
【請求項3】
前記回転力伝達切替機構は、遊星歯車機構の異なる構成歯車に設けられた複数の回り止めピンと、該回り止めピンに選択的に係合可能となった回り止め手段と、を有することを特徴とする請求項2記載のキャッピング装置。
【請求項4】
前記キャッピングヘッドには、スクリューキャッピングヘッドと、ピルファープルーフキャッピングヘッドとがあり、これらが選択的且つ着脱可能に内軸の先端または外筒の先端に設けられたヘッド取付部に取り付けられることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のキャッピング装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−15726(P2007−15726A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−199118(P2005−199118)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(391035430)東洋食品機械株式会社 (11)
【Fターム(参考)】