説明

キャップ及びキャップ付容器

【課題】外観をさらに良好にすることが可能なキャップ及びキャップ付容器を提供すること。
【解決手段】口部に装着される装着筒部21を有し、容器の内部と連通する注出口32Aが形成された本体筒部と、本体筒部11に装着され、注出口32Aを開閉する蓋体部12と、蓋体部12の外周面に容易破断部43を介して接続された被覆筒部13と、を備え、装着筒部21が口部に装着された状態で、口部に突設されたネックリング部が外部に露出されると共に、被覆筒部13を押し込みつつ容易破断部43を破断させたときに、ネックリング部が被覆筒部13によって径方向の外側から被覆される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップ及びキャップ付容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、容器の口部に打栓することによって装着されて容器内に連通する注出口が形成された本体筒部と、本体筒部に着脱自在に装着される蓋体部と、を備えるキャップが用いられている。このような容器の口部の下側には、キャップの打栓時にキャップに加わる力によって容器が変形することを防止するためにネックリング(ネックリング部)と称される部位が設けられている。そして、打栓時には、このネックリング部の下側を打栓用の治具で支持することによって容器に加わる力を低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第2600481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のキャップにおいても、キャップの容器への打栓後にネックリング部が外部に露出するため、さらに良好な外観を得ることが望まれている。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、外観をさらに良好にすることが可能なキャップ及びキャップ付容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明のキャップは、容器の口部に押し込まれて装着されるキャップであって、前記口部に装着される装着筒部を有し、前記容器の内部と連通する注出口が形成された本体筒部と、前記本体筒部に装着され、前記注出口を開閉する蓋体部と、前記蓋体部の外周面に容易破断部を介して接続された被覆筒部と、を備え、前記装着筒部が前記口部に装着された状態で、前記口部に突設されたネックリング部が外部に露出されると共に、前記被覆筒部を押し込みつつ前記容易破断部を破断させたときに、前記ネックリング部が前記被覆筒部によって径方向の外側から被覆されることを特徴とする。
【0006】
この発明では、キャップを口部に打栓して装着した後に容易破断部を破断することによって被覆筒部がネックリング部を被覆するため、キャップが装着された容器の外観をさらに良好にすることができる。
すなわち、容器の口部にキャップを打栓して装着するときに被覆筒部がネックリング部を露出させているので、キャップの打栓時に治具を用いてネックリング部を支持しても、被覆筒部によってキャップの打栓が阻害されることを回避できる。そして、キャップの打栓後に容易破断部を破断して被覆筒部を装着筒部の外周面に沿って移動させることで、ネックリング部は、被覆筒部によって覆われて外部に露出しなくなる。このとき、容易破断部を破断するために加える力がキャップを打栓するときにキャップに加える力よりも小さいため、治具でネックリング部を支持する必要がなくなり、容易破断部の破断時に加えられる力によって容器が変形することを回避できる。
以上より、キャップが装着された容器の外観がさらに向上する。
【0007】
また、本発明のキャップは、前記被覆筒部が、前記ネックリング部を被覆した状態で、前記装着筒部に外嵌されることが好ましい。
この発明では、被覆筒部が装着筒部に外嵌されることによって装着筒部をネックリング部に向けて押圧するため、キャップを口部により強固に装着できる。
【0008】
また、本発明のキャップは、前記蓋体部が、前記本体筒部に螺着されており、前記装着筒部の外周面には、第1係合部が設けられ、前記被覆筒部の内周面には、前記第1係合部と係合する第2係合部が設けられており、前記第1及び第2係合部の係合が、前記装着筒部と前記被覆筒部との相対的な回転を防止することが好ましい。
この発明では、キャップを容器に装着した後に蓋体部を本体筒部から取り外すときに、被覆筒部が蓋体部と共に回転することを防止する。これにより、例えば一方の手で蓋体部を把持し、他方の手で容器を把持する必要なく被覆筒部を把持した状態で、蓋体部の取り外しを行うことができる。
【0009】
また、本発明のキャップ付容器は、上記記載のキャップと、前記口部を有する容器と、を備えることを特徴とする。
この発明では、上述したキャップを備えることによってネックリング部が露出しないため、キャップ付容器の外観をさらに向上させることができる。
【発明の効果】
【0010】
この発明にかかるキャップ及びキャップ付容器によれば、キャップを口部に装着した後に容易破断部を破断して被覆筒部でネックリング部を被覆することで、キャップが装着された容器の外観をさらに良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態におけるキャップを示す部分断面図である。
【図2】図1のキャップを容器に装着する工程を示す説明図である。
【図3】同じく、図1のキャップを容器に装着する工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明によるキャップ及びキャップ付容器の一実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能とするために縮尺を適宜変更している。
本実施形態におけるキャップ1は、図1に示すように、例えばPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)などの樹脂材料で形成されており、本体筒部11と、蓋体部12と、被覆筒部13と、を備えている。そして、キャップ1は、図2及び図3に示すように、後述する容器51の口部52に装着される。
図示の例では、本体筒部11、蓋体部12及び被覆筒部13は、共通軸上に配置されている。以下、この共通軸をキャップ軸Oと称し、キャップ軸Oに沿って蓋体部12側を上側、本体筒部11側を下側とし、キャップ軸Oに直交する方向を径方向とし、さらにキャップ軸Oを中心に周回する方向を周方向とする。
【0013】
本体筒部11は、装着筒部21と、栓体部22と、を備えている。
装着筒部21は、口部52に被着される筒状部材である。そして、装着筒部21は、口部52の外側に嵌合される外筒部25と、口部52の内側に嵌合される内筒部26と、を有する。
外筒部25は、円筒状をなしており、その上端部が環状部27を介して内筒部26の上下方向の中央部における外周面に接続されている。また、外筒部25の外周面には、上下方向に延在する凸条部(第1係合部)28が周方向に沿って複数形成されている。
内筒部26は、円筒状をなしており、外筒部25よりも上側に突出する部分の外周面には、雄ネジ部26Aが形成されている。
【0014】
栓体部22は、連結筒部31と、隔壁部32と、プルリング33と、を備えている。
連結筒部31は、円筒状をなしており、下端が内筒部26の下端よりも上側にあり、上端が内筒部26の上端よりも上側にある。そして、連結筒部31の上側部分の外周面には、内筒部26の上端部が接続されている。また、連結筒部31の上端部は、径方向外側に向けて反っている。
【0015】
隔壁部32は、平面視でほぼ円形をなしており、その外周が全周にわたって連結筒部31の内周面に接続されて連結筒部31の内側を閉塞する。また、隔壁部32の外周部よりも若干径方向の内側には、容器51の内部と連通する注出口32Aが形成されている。
この注出口32Aは、封止板34によって密閉されており、図示の例において封止板34の外周縁と注出口32Aの開口周縁部とは、全周にわたって薄肉部35を介して連結されている。
プルリング33は、封止板34の外周縁部に接続されており、指などを掛けることが可能となっている。
【0016】
蓋体部12は、注出口32Aを開閉可能に本体筒部11に着脱自在に螺着される有頂筒状部材であり、天板部41と、周壁部42と、を備えている。
天板部41は、平面視でほぼ円形をなしており、径方向の外周縁が周壁部42の上端に接続されている。また、天板部41の下面には、下側に向けて突出する筒状凸部が設けられている。筒状凸部の下端は、蓋体部12を本体筒部11に螺着させたときに連結筒部31の上端部の内周面に当接する。
周壁部42は、筒状をなしており、下側部分の内周面には、雄ネジ部26Aと螺合する雌ネジ部42Aが形成されている。また、周壁部42の下端は、蓋体部12を本体筒部11に螺着したときに環状部27の上面に当接する。さらに、周壁部42の上側部分の外周面には、上下方向に延在して蓋体部12の螺合及び螺合解除する際の滑り止めとして機能する凸部が全周にわたって複数形成されている。
【0017】
被覆筒部13は、筒状をなしており、上端部の内周面が容易破断部43を介して周壁部42の上下方向の中間部における外周面に接続されている。また、被覆筒部13の上端は、径方向内側に向けて若干突出している。さらに、被覆筒部13の内周面には、上下方向に沿って延在して凸条部28と係合する溝条部(第2係合部)44が全周にわたって形成されている。
被覆筒部13の下端は、装着筒部21の下端よりも下側に突出しているが、キャップ1を容器51の口部52に装着した際に後述するネックリング部53を露出させる程度となっている。
容易破断部43は、薄肉部35と同様に、天板部41などよりもその厚さを小さくすることによって形成されており、被覆筒部13の上端において全周にわたって形成されている。
【0018】
以上のような構成のキャップ1は、図2及び図3に示すようなキャップ付容器50のキャップとして用いられる。このキャップ付容器50は、上述したキャップ1と、容器51と、を備えている。容器51の口部52には、開口端52Aから下側に離間して位置するネックリング部53が径方向外側に向けて突出するように形成されている。
【0019】
次に、キャップ1の装着方法について説明する。まず、図2に示すように、打栓用受治具Tをネックリング部53と容器51の肩部54との間に配置する。そして、キャップ1を口部52に押し込む。このとき、打栓用受治具Tがネックリング部53と肩部54との間に配置されているため、キャップ1を介して口部52に加わる力がネックリング部53の下側に配置されている打栓用受治具Tによって受け止められる。これにより、打栓時の力が容器51に加わって容器51が変形することが抑制される。
また、被覆筒部13が装着筒部21の下端から下側に向けて過度に突出せずにネックリング部53を露出させるため、キャップ1の打栓時に被覆筒部13が打栓用受治具Tに接触してキャップ1の打栓を阻害することが回避される。
【0020】
続いて、被覆筒部13を下側に向けて押し込んで容易破断部43を破断し、被覆筒部13を下側に向けて押し込む。容易破断部43を破断すると、被覆筒部13は、装着筒部21の外周面に沿って下側に向けて移動し、ネックリング部53を被覆する。このとき、容易破断部43を破断する際に加える力がキャップ1の打栓時にキャップ1に加える力よりも十分に小さいため、容易破断部43は、上述のような打栓用受治具Tを用いることなく破断される。これにより、容易破断部43の破断時に加えた力によって容器51が変形することが抑制される。
【0021】
そして、被覆筒部13は、上端部が外筒部25の上端に当接することで外筒部25に係止される。また、被覆筒部13の内周面に形成されている溝条部44は、外筒部25の外周面に形成されている凸条部28と係合する。このとき、被覆筒部13は、外筒部25に外嵌されて外筒部25を径方向内側に向けて押圧する(締め付ける)。これにより、装着筒部21が口部52により強固に嵌合される。以上のようにして、キャップ1を口部52に装着する。
【0022】
以上のようにして口部52に装着されたキャップ1は、例えば一方の手で被覆筒部13の外周面を支えた状態で他方の手で蓋体部12を回転させることにより、蓋体部12が本体筒部11から取り外される。このとき、外筒部25の凸条部28と被覆筒部13の溝条部44とが係合しているため、被覆筒部13は、本体筒部11に対して相対的に回転しない。これにより、一方の手で被覆筒部13を支えた場合であっても、蓋体部12は、被覆筒部13を共回りさせることなく本体筒部11に対して相対的に回転し、取り外される。その後、プルリング33を引っ張って薄肉部35を破断することで、プルリング33と共に封止板34を栓体部22から分離する。これにより、注出口32Aは、開口される。
【0023】
次に、キャップ1の取り外し方法について説明する。まず、被覆筒部13を上側に移動させて取り外す。これにより、外筒部25が被覆筒部13によって径方向内側に向けて押圧されなくなるため、装着筒部21と口部52との嵌合が弱まる。そして、本体筒部11を蓋体部12と共に口部52から取り外す。以上のようにして、容器51の口部52に装着されたキャップ1を取り外す。
【0024】
このような構成のキャップ1及びキャップ付容器50によれば、キャップ1の装着後に容易破断部43を破断して被覆筒部13でネックリング部53を覆うことで、キャップ1が装着された容器51の外観をより向上させることができる。
また、被覆筒部13が装着筒部21をネックリング部53に向けて径方向内側に押圧するように装着筒部21に外嵌されることで、口部52に対するキャップ1の嵌合がより強固になる。
さらに、キャップ1を装着した後に蓋体部12を本体筒部11から取り外すときに、被覆筒部13が蓋体部12と共に回転することを防止できる。
【0025】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、容易破断部は、薄肉とすることによって形成されているが、打栓時にキャップに加わる力よりも小さい力で破断することができる構成であればよく、ブリッジ(複数の連結片)など他の構成であってもよい。
また、被覆筒部は、ネックリング部を被覆しているときに装着筒部を径方向内側に向けて押圧するように外嵌されているが、装着筒部に外嵌されない構成としてもよい。
さらに、被覆筒部は、容易破断部を破断させたときに下端部を容器の肩部上に当接させることによってネックリングと肩部との間を被覆してもよい。これにより、キャップ付容器の外観をさらに向上させることができる。
また、蓋体部は、本体筒部に対して着脱自在に螺合する構成となっているが、蓋体部を本体筒部に対してスナップ係合させる構成など、他の構成であってもよい。この場合、蓋体部を取り外す際に蓋体部が被覆筒部と共に蓋体部の回転方向で回転することを防止するための凸条部及び溝条部を形成しなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0026】
この発明によれば、外観をさらに良好にすることが可能なキャップ及びキャップ付容器に関して、産業上の利用可能性が認められる。
【符号の説明】
【0027】
1 キャップ、11 本体筒部、12 蓋体部、13 被覆筒部、21 装着筒部、28 凸条部(第1係合部)、32A 注出口、43 容易破断部、44 溝条部(第2係合部)、50 キャップ付容器、51 容器、52 口部、52A 開口端、53 ネックリング部、O キャップ軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部に押し込まれて装着されるキャップであって、
前記口部に装着される装着筒部を有し、前記容器の内部と連通する注出口が形成された本体筒部と、
前記本体筒部に装着され、前記注出口を開閉する蓋体部と、
前記蓋体部の外周面に容易破断部を介して接続された被覆筒部と、を備え、
前記装着筒部が前記口部に装着された状態で、前記口部に突設されたネックリング部が外部に露出されると共に、前記被覆筒部を押し込みつつ前記容易破断部を破断させたときに、前記ネックリング部が前記被覆筒部によって径方向の外側から被覆されることを特徴とするキャップ。
【請求項2】
前記被覆筒部が、前記ネックリング部を被覆した状態で、前記装着筒部に外嵌されることを特徴とする請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
前記蓋体部が、前記本体筒部に螺着されており、
前記装着筒部の外周面には、第1係合部が設けられ、
前記被覆筒部の内周面には、前記第1係合部と係合する第2係合部が設けられており、
前記第1及び第2係合部の係合が、前記装着筒部と前記被覆筒部との相対的な回転を防止することを特徴とする請求項1または2に記載のキャップ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のキャップと、
前記口部を有する容器と、を備えることを特徴とするキャップ付容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−274961(P2010−274961A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−128999(P2009−128999)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】